1844株式会社大盛工業||

大盛工業(1844) 理論株価分析:2026年1月期 中間決算:OLY事業が利益倍増の急成長、建設事業の増収もコスト増が課題 カチノメ

決算発表日: 2026-03-132026年1月期 第2四半期(中間期)
総合業績スコア
68/100
中立

決算履歴(業績推移)

売上高推移(百万円)30億40億50億60億70億80億2017年 2017年 2019年 2020年 2021年 2023年 2024年 '26/7売上高利益推移(営業利益・経常利益・当期純利益)-2億0百万2億4億6億8億2017年 2017年 2019年 2020年 2021年 2023年 2024年 '26/70営業利益経常利益純利益利益率推移(%)-5.0%0.0%5.0%10.0%15.0%2017年 2017年 2019年 2020年 2021年 2023年 2024年 '26/70営業利益率経常利益率純利益率
年度 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 包括利益
2017年 7月期 連結 3,650 161 166 141 -
2017年 7月期 連結 3,650 161 -79 -104 -
2017年 7月期 連結 3,785 199 1 34 -
2017年 7月期 連結 3,786 200 2 34 34
2018年 7月期 連結 4,129 414 382 302 -
2018年 7月期 連結 4,141 312 307 261 261
2019年 7月期 連結 6,021 412 379 278 -
2019年 7月期 連結 5,975 433 458 157 -
2019年 7月期 連結 5,976 434 458 158 158
2020年 7月期 連結 4,909 501 481 378 -
2020年 7月期 連結 5,187 540 512 337 -
2020年 7月期 連結 5,187 540 513 337 337
2021年 7月期 連結 4,955 325 313 243 243
2022年 7月期 連結 5,244 314 317 254 -
2022年 7月期 連結 5,245 314 318 255 255
2023年 7月期 連結 5,858 428 416 320 -
2023年 7月期 連結 6,054 452 433 293 293
2024年 7月期 連結 6,106 581 557 384 -
2024年 7月期 連結 5,982 622 595 414 414
2025年 7月期 連結 6,405 759 727 516 -
2025年 7月期 連結 6,444 785 760 519 519
2026年7月期 7,190 657 607 431

※単位: 百万円

利益率推移

営業利益率 = 営業利益÷売上高×100 / 経常利益率 = 経常利益÷売上高×100 / 純利益率 = 当期純利益÷売上高×100

年度 売上高 (百万円) 営業利益率 (%) 経常利益率 (%) 純利益率 (%)
2017年 7月期 連結 3,650 4.41% 4.55% 3.86%
2017年 7月期 連結 3,650 4.41% -2.16% -2.85%
2017年 7月期 連結 3,785 5.26% 0.03% 0.90%
2017年 7月期 連結 3,786 5.28% 0.05% 0.90%
2018年 7月期 連結 4,129 10.03% 9.25% 7.31%
2018年 7月期 連結 4,141 7.53% 7.41% 6.30%
2019年 7月期 連結 6,021 6.84% 6.29% 4.62%
2019年 7月期 連結 5,975 7.25% 7.67% 2.63%
2019年 7月期 連結 5,976 7.26% 7.66% 2.64%
2020年 7月期 連結 4,909 10.21% 9.80% 7.70%
2020年 7月期 連結 5,187 10.41% 9.87% 6.50%
2020年 7月期 連結 5,187 10.41% 9.89% 6.50%
2021年 7月期 連結 4,955 6.56% 6.32% 4.90%
2022年 7月期 連結 5,244 5.99% 6.05% 4.84%
2022年 7月期 連結 5,245 5.99% 6.06% 4.86%
2023年 7月期 連結 5,858 7.31% 7.10% 5.46%
2023年 7月期 連結 6,054 7.47% 7.15% 4.84%
2024年 7月期 連結 6,106 9.52% 9.12% 6.29%
2024年 7月期 連結 5,982 10.40% 9.95% 6.92%
2025年 7月期 連結 6,405 11.85% 11.35% 8.06%
2025年 7月期 連結 6,444 12.18% 11.79% 8.05%
2026年7月期 7,190 9.14% 8.44% 5.99%

※営業利益率 = 営業利益÷売上高×100、経常利益率 = 経常利益÷売上高×100、純利益率 = 当期純利益÷売上高×100

決算サマリー

2026年1月期 中間連結会計期間(2025年8月1日~2026年1月31日)の業績は、売上高36億3百万円(前年同期比13.5%増)、営業利益4億94百万円(同2.3%減)、経常利益4億73百万円(同3.9%減)、親会社株主に帰属する中間純利益3億43百万円(同3.5%増)となりました。主力の建設事業での増収や、機材販売等を行うOLY事業の躍進により売上は二桁成長を記録しましたが、資材価格の高騰や外注費の増加が利益面を押し下げました。

注目ポイント

今回の決算で最も注目すべきは「OLY事業」の急成長です。セグメント利益が前年同期比116.6%増と倍増しており、グループ全体の収益を支える第2の柱として存在感を増しています。また、通信関連事業もNTT局内設備の保守案件などで着実に利益を積み上げており、事業ポートフォリオの多角化が進んでいます。

業界動向

国内建設市場は、国土強靭化計画に基づく防災・減災対策や老朽化した上下水道インフラの更新需要により、公共投資が底堅く推移しています。しかし、業界全体で慢性的な人手不足と建設資材価格の高止まりが続いており、受注価格への転嫁や施工効率の向上が各社の共通課題となっています。

投資判断材料

長期投資家にとってのポジティブ要素は、インフラ老朽化対策という「逃げられない需要」を背景にした安定した受注環境です。一方で、営業キャッシュ・フローが大幅なマイナス(22億円の支出)となっている点は、売上債権の増加という一時的要因があるものの、運転資金の管理状況として注視が必要です。

セグメント別業績

  • 建設事業: 売上高26億81百万円(17.0%増)、利益2億29百万円(19.1%減)。受注高は77.3%増と極めて好調ですが、コスト増により減益。
  • 不動産事業: 売上高2億98百万円(25.0%減)、利益85百万円(29.0%減)。物件売却のタイミングにより減収減益。
  • OLY事業: 売上高3億95百万円(46.0%増)、利益1億28百万円(116.6%増)。機材のリース販売が大幅伸長。
  • 通信関連事業: 売上高2億43百万円(10.3%増)、利益49百万円(20.8%増)。安定的な保守業務が寄与。

財務健全性

自己資本比率は47.2%となり、前連結会計年度末の48.8%から1.6ポイント低下しました。受注増に伴う未収入金の増加を背景に、短期借入金が約15億円増加したことが要因です。総資産は127億33百万円と拡大していますが、負債も増加傾向にあるため、今後の有利子負債の圧縮ペースが焦点となります。

配当・株主還元

2025年10月に、前期末配当として1株当たり11.5円の配当を実施済みです。会社の方針として、安定的な配当維持と業績に連動した還元を重視しています。今期の中間配当は実施していませんが、通期での配当性向および還元姿勢に注目が集まります。

通期業績予想

中間期終了時点での売上高は36億円となり、前通期実績(約64億円)に対して56%の進捗を見せています。利益面でも中間純利益が3億43百万円と、前通期実績(5億18百万円)に対し66%の高い進捗率を確保しており、通期目標の達成、あるいは上方修正の可能性も視野に入る堅調な推移です。

中長期成長戦略

主力の上下水道関連工事でのシェア維持に加え、成長分野である「OLY事業」の全国展開(名古屋営業所を拠点とした中部・西日本への拡大)を加速させています。また、通信インフラの保守など、景気変動に左右されにくいストック型ビジネスの強化を図る方針です。

リスク要因

最大の懸念事項は「資材価格のさらなる高騰」と「労務コストの上昇」です。これらが想定を上回るペースで進行した場合、豊富な受注残高が逆に利益率を圧迫するリスクがあります。また、借入金増に伴う金利上昇の影響も考慮すべき点です。

ESG・サステナビリティ

同社が手掛ける上下水道インフラの整備は、SDGsの目標6「安全な水とトイレを世界中に」に直結する社会貢献性の高い事業です。災害に強い都市づくりへの寄与を通じ、社会的なガバナンス責任を果たしています。

経営陣コメント

経営陣は、建設事業における「工事コストの低減」と「施工期間の短縮」に注力する姿勢を鮮明にしています。また、新規受注体制の強化が功を奏し、受注高が大幅に増加していることについて、今後の成長への自信を示しています。

バリュエーション

1株当たり中間純利益は18.40円となり、単純合算での年間期待EPSは36円程度と試算されます。BPS(1株当たり純資産)は約324円であり、解散価値であるPBR1倍を大きく下回る水準で推移している場合は、割安感のある水準と言えます。

過去決算との比較

前年同期と比較して売上高が約4.3億円増加しており、成長トレンドにあります。特にOLY事業の利益貢献度が前年同期の約12%から約26%(セグメント利益合計比)へと倍増しており、収益構造がより多角化・強化されていることが分かります。

市場の評判

大盛工業 (1844) is a construction company known for its OLY工法 technology, focusing on sustainable infrastructure projects. It has a strong market position due to its technological innovation and sustainable practices. The company is publicly traded on the Tokyo Stock Exchange.

詳細リサーチレポート

株式会社大盛工業(1844)リサーチレポート

最新の業績動向と今後の見通し

  • 2026年7月期第2四半期累計(2025年8月-2026年1月)連結業績
- 売上高: 36.03億円(前年同期比13.5%増) - 営業利益: 4.94億円(同2.3%減) - 経常利益: 4.73億円(同3.9%減) - 親会社株主に帰属する四半期純利益:3.43億円(同3.3%増)
  • 業績修正(2026年3月11日発表)
- 2026年7月期第2四半期累計の連結経常利益を、従来予想の2.1億円から4.7億円に上方修正 - 設計変更に伴う収益増加、工事費低減、OLY事業・不動産事業の販売利益・賃貸収益増加などが要因 - 通期の経常利益予想は6億円で据え置き
  • 通期業績予想(据え置き)
- 売上高: 71.90億円(前期比11.6%増) - 営業利益: 6.57億円(同16.3%減) - 経常利益: 6.07億円(同20.0%減) - 親会社株主に帰属する当期純利益:4.31億円(同16.8%減)
  • 今後の見通し
- 中間期実績は期首予想を上回っており、今後の動向が注目される - ただし、会社側が発表した上期実績と据え置いた通期計画に基づくと、下期(2026年2月-7月期)の連結経常利益は前年同期比49.8%減の1.3億円に落ち込む計算になる - 建設作業員の人材不足など厳しい状況が続くとの見通しもある

業界内での競合ポジションと市場シェア

  • 大盛工業は、東京都の上・下水道工事を主体とする建設会社
  • 下水道・地中工事に強み
  • 路面開削のOLY工法を拡充
  • 主要顧客は東京都水道局、東京都下水道局、石巻市
  • 電線地中化、インフラ整備関連銘柄としても注目されている
  • 競合他社との比較として、パフォーマンスやバリュエーションのベンチマーク分析がある

成長戦略と重点投資分野

  • 中期経営計画
- M&Aによる事業拡大や、高収益事業の育成など、中期経営計画で示された成長ストーリーが存在する - 具体的な中期経営計画の内容については、公開されている情報から詳細を把握することはできなかった
  • OLY工法
- 独自開発のOLY工法は、工期短縮、コスト削減、環境負荷低減を実現する画期的な技術として、業界内外から注目されている - OLY工法は、施工期間の短縮、施工の安全性の向上、地球資源である原材料使用量の削減、作業の効率化によるCO2排出量の削減を実現
  • 不動産事業
- 小規模マンションの建設・販売などを手掛ける - 投機的な開発ではなく、安定収益を目的とした堅実な運営が中心

リスク要因と課題

  • 事業上のリスク
- 建設作業員の人材不足 - 資材価格の高騰による利益率の低下 [ここから記事概要] - 運転資金需要に伴う借入金の増加 [ここから記事概要] - 不動産市況の変動リスク - 金利変動や不動産市況の悪化による、保有資産の価値下落や販売不振
  • 外部環境の変化
- 温暖化等の地球環境の悪化 - 自然災害(地震、豪雨など)の増加

アナリストの評価と目標株価

  • アナリストによる目標株価のデータは確認できなかった
  • 証券会社によるレーティング情報も確認できなかった

最近の重要ニュースやイベント

  • 2026年3月12日: 2026年7月期第2四半期決算発表
- 増収減益の内容 - 株価は急落
  • 2026年3月11日: 2026年7月期第2四半期累計業績予想の上方修正を発表
  • 2025年9月: 株価が急騰
- 下水道管が原因と見られる道路陥没事故による、下水道工事需要拡大の思惑が背景 - 電線地中化、インフラ整備関連銘柄としての注目
  • 2025年1月: 埼玉県で下水道管が原因と見られる道路陥没事故が発生

ESG・サステナビリティへの取り組み

  • 「建設業を通じて人と社会に貢献する」という企業理念
  • CO2排出抑制、サステナブル調達、社会課題を解決する新技術への挑戦など、地球環境の課題解決に向けた取り組み
  • OLY工法による環境負荷低減
  • 不動産事業における太陽光発電設備事業
  • 上・下水道事業を通じた「生活環境を守る」、「浸水から街を守る」、「自然環境を守る」取り組み
  • サステナビリティ方針を掲げ、事業を通じた環境問題への取り組み、地域社会への参画と貢献、社会からの信頼の確立を目指す

配当政策と株主還元

  • 株主に対する利益還元を経営の最重要政策の一つと位置づけ
  • 経営基盤の強化と事業領域拡大のためのM&A等に必要な資金を確保しつつ、継続的な配当を実施
  • 配当性向40%以上の実施を基本方針
  • 配当金
- 2026年7月期末配当予想: 11.50円 - 2026年7月期配当利回り(会社予想): 1.63% - 過去の配当推移については、Yahoo!ファイナンスなどで確認可能
  • 株主還元
- 自己株式の取得については、2009年7月に実施したとの情報がある - 最新の自社株買いの状況については、公開されている情報から確認できなかった

情報源

年度別バリュエーション推移(PBR/PER/時価総額)

株価推移(高値・安値)0200400600800'11/7'14/7'17/7'20/7'23/7最新(株探)高値安値PBR推移(高値・安値・期末PBR)0.0倍1.0倍2.0倍3.0倍4.0倍'11/7'14/7'17/7'20/7'23/7最新(株探)PBR高値PBR安値期末PBRPER推移(高値・安値)0倍50倍100倍150倍'11/7'14/7'17/7'20/7'23/7最新(株探)PER高値PER安値時価総額推移(高値・安値)0億20億40億60億80億100億120億'11/7'14/7'17/7'20/7'23/7最新(株探)高値安値ROE推移(PBR÷PERで算出・高値同士/安値同士)0.0%2.0%4.0%6.0%8.0%10.0%'11/7'14/7'17/7'20/7'23/7最新(株探)ROE高値ROE安値
年度 株価高値 株価安値 PER高値 PER安値 PBR高値 PBR安値 時価総額高値 時価総額安値 期末PBR
2011年7月期 420 120 赤字 赤字 2.42 0.69 32億5615万 9億3033万 1.15倍
2012年7月期 440 120 赤字 赤字 2.63 0.72 34億9040万 9億3393万 1.2倍
2013年7月期 340 160 53.38 25.12 1.89 0.89 31億2553万 14億7243万 1.28倍
2014年7月期 800 230 145.45 41.82 3.96 1.14 81億6219万 23億4663万 1.78倍
2015年7月期 440 320 50.69 36.87 1.94 1.41 57億360万 41億3207万 1.67倍
2016年7月期 480 148 53.22 16.41 2.01 0.62 65億2451万 21億9756万 0.79倍
2017年7月期 206 155 88.79 66.81 0.87 0.66 30億5877万 23億150万 0.75倍
2018年7月期 328 164 18.66 9.33 1.3 0.65 48億7028万 24億3514万 1.04倍
2019年7月期 303 153 28.53 14.41 1.18 0.59 44億9907万 22億7180万 0.88倍
2020年7月期 300 160 13.19 7.04 1.09 0.58 44億5452万 23億7574万 0.77倍
2021年7月期 242 187 14.77 11.41 0.85 0.66 35億9331万 27億7665万 0.71倍
2022年7月期 205 172 12.01 10.08 0.7 0.58 30億4921万 25億7533万 0.64倍
2023年7月期 222 170 11.66 8.93 0.77 0.59 36億6807万 25億4538万 0.67倍
2024年7月期 307 176 13.51 7.75 1.03 0.59 57億3256万 31億5442万 0.78倍
2025年7月期 520 190 18.71 6.83 1.65 0.6 97億988万 35億4784万 1.58倍
最新(株探) 629 - 27.3倍 - 1.96倍 - 118億円 - 1.96倍

ROE算出表(PBR÷PER×100)

PBR = ROE × PER の関係式から逆算。高値同士・安値同士で算出しています。

年度 PBR高値 PER高値 ROE高値(%) PBR安値 PER安値 ROE安値(%)
2011年7月期 2.42 赤字 - 0.69 赤字 -
2012年7月期 2.63 赤字 - 0.72 赤字 -
2013年7月期 1.89 53.38 3.5% 0.89 25.12 3.5%
2014年7月期 3.96 145.45 2.7% 1.14 41.82 2.7%
2015年7月期 1.94 50.69 3.8% 1.41 36.87 3.8%
2016年7月期 2.01 53.22 3.8% 0.62 16.41 3.8%
2017年7月期 0.87 88.79 1.0% 0.66 66.81 1.0%
2018年7月期 1.3 18.66 7.0% 0.65 9.33 7.0%
2019年7月期 1.18 28.53 4.1% 0.59 14.41 4.1%
2020年7月期 1.09 13.19 8.3% 0.58 7.04 8.2%
2021年7月期 0.85 14.77 5.8% 0.66 11.41 5.8%
2022年7月期 0.7 12.01 5.8% 0.58 10.08 5.8%
2023年7月期 0.77 11.66 6.6% 0.59 8.93 6.6%
2024年7月期 1.03 13.51 7.6% 0.59 7.75 7.6%
2025年7月期 1.65 18.71 8.8% 0.6 6.83 8.8%
最新(株探) 1.96倍 27.3倍 7.2% - - -

PBR分析

PBR(株価純資産倍率)は、2014年7月期に記録した3.96倍をピークに、その後は長期的な下落トレンドを辿りました。特に2019年7月期から2023年7月期にかけては、期末PBRが0.6倍〜0.8倍台と解散価値である1倍を恒常的に下回る状態が続いていました。この期間のPBR安値は0.58倍(2020年・2022年)であり、極めて割安な水準に放置されていたことが分かります。しかし、2025年7月期の高値では1.65倍まで回復し、最新データでは1.96倍に達しています。これは過去10年以上の推移において、2014年の水準に次ぐ高い評価を得ていることを示しています。

PER分析

PER(株価収益率)の推移は、企業の収益性の変化を顕著に表しています。2011年〜2012年の赤字期を経て、2014年にはPER145.45倍という異常値に近い高水準を記録しました。その後、2018年以降はPERのレンジが概ね7倍〜28倍程度に収まり、利益水準に基づいた株価形成へと移行しました。特に2020年から2024年にかけてはPER下限が7倍〜8倍台、上限が12倍〜14倍台と、比較的保守的な評価を受けてきました。最新のPERは27.3倍となっており、直近5年間の安定レンジ(10倍〜15倍前後)を大きく逸脱し、利益成長に対する強い期待、あるいは何らかの材料を織り込んだ価格形成がなされています。

時価総額の推移

時価総額は、2011年の約9億円(安値)から最新の118億円まで、長期的に大きな変動を伴いながらも拡大しています。2014年には一時81億円まで到達しましたが、その後は20億円〜40億円規模で推移する期間が長く続きました。特筆すべきは近年の伸びで、2023年7月期の高値36億円に対し、最新データでは118億円と約3.2倍に急増しています。これは単なる利益の蓄積だけでなく、市場が同社の将来性や資産価値に対して、過去数十年とは異なる新しい評価軸を適用し始めた可能性を示唆しています。

現在のバリュエーション評価

最新のバリュエーション(PER 27.3倍、PBR 1.96倍)を歴史的水準と比較すると、以下の評価が可能です。PBR 1.96倍は、2017年から2024年までの大半の期間が1倍割れであったことを踏まると、極めて強気な評価にあります。また、PER 27.3倍についても、直近10年の平均的なPER水準を大きく上回っており、歴史的な「高値圏」に位置していると言えます。現在の株価水準は、過去の低迷期(株価100円〜200円台)のバリュエーションとは明らかに異なるステージにあり、投資家は現在の収益力が維持・拡大されるのか、あるいは一過性の期待先行であるのかを慎重に見極める段階にあります。

キャッシュフロー推移

キャッシュフロー推移(営業CF・投資CF・フリーCF)-20億-10億0百万10億20億'17/7'19/7'21/7'23/7'25/70営業CF投資CFフリーCF設備投資 vs フリーCF(百万円)-20億-10億0百万10億20億'17/7'19/7'21/7'23/7'25/70設備投資#1フリーCF現金等残高推移15億20億25億30億35億'17/7'19/7'21/7'23/7'25/7現金等
年度 四半期 営業CF 投資CF 財務CF フリーCF 設備投資#1 現金等
2017年7月期 通期 221 96 365 317 -325 2650
2018年7月期 通期 -679 -200 -164 -879 -69 1607
2019年7月期 通期 -811 -28 1161 -839 -31 1927
2020年7月期 通期 189 -50 289 139 -24 2354
2021年7月期 通期 334 -150 -244 184 -55 2296
2022年7月期 通期 504 -4 -204 500 -51 2602
2023年7月期 通期 -1950 175 1483 -1776 -142 2309
2024年7月期 通期 1476 -135 -296 1340 -68 3353
2025年7月期 通期 -871 -194 123 -1065 -170 2411

※単位: 百万円。データ出典: IRBank(irbank.net)

キャッシュフロー推移の概要

株式会社大盛工業の過去9年間のキャッシュフロー(CF)推移を確認すると、営業活動によるキャッシュの出入りが非常に激しいのが特徴です。2024年7月期には過去最高の営業CF(14.76億円)を記録した一方、翌2025年7月期にはマイナス8.71億円へと転じています。直近2025年7月期のCFパターンは、営業CFがマイナス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなっており、フレームワークに基づくと「勝負型(借入等で営業赤字と投資を賄う)」と判定されます。ただし、前年度の大きなプラスの反動や事業サイクルの影響も強く見受けられます。

営業キャッシュフロー分析

営業CFは、年度によってプラス14億円規模からマイナス19億円規模まで大きく乱高下しています。特に2023年7月期のマイナス19.5億円、2025年7月期のマイナス8.71億円といった大幅なキャッシュアウトが目立ちます。建設業という業態特有の、大型案件の完工時期や売上債権の回収、仕入債務の支払タイミングのズレが営業CFの不安定さに直結していると考えられます。本業でのキャッシュ創出力(稼ぐ力)は安定しているとは言い難く、運転資本の管理が極めて重要なフェーズにあります。

投資キャッシュフロー・設備投資分析

投資CFおよび設備投資額については、2022年7月期までは年間数千万円程度と、事業規模に対して抑制された傾向にありました。しかし、2023年7月期には設備投資に1.42億円、2025年7月期には1.7億円と、近年は投資規模を拡大させています。2025年7月期は投資CFがマイナス1.94億円となっており、将来の収益基盤強化に向けた資産取得を積極的に進めている様子が伺えます。投資の効率性が今後、営業CFの安定化に寄与するかが注目されます。

フリーキャッシュフロー分析

フリーCF(営業CF+投資CF)も、営業CFの変動に連動して不安定な推移を見せています。2024年7月期には13.4億円の潤沢なフリーキャッシュを生み出した一方、2025年7月期はマイナス10.65億円と、株主に帰属するキャッシュが大きく減少しています。過去9年間でフリーCFがプラスとなったのは4回、マイナスが5回となっており、安定的な株主還元(配当や自社株買い)を継続するための原資を、毎年の営業活動のみから安定的に確保するには至っていない状況です。

財務戦略・現金残高の評価

財務戦略の特徴は、営業CFが大幅なマイナスとなった年度(2019年、2023年、2025年)において、財務CFをプラス(借入等による調達)にすることで、手元の現金残高を維持している点です。2025年7月期末の現金等残高は24.11億円と、前年の33.53億円からは減少したものの、依然として一定の水準を維持しています。営業CFのマイナスを財務活動で補完する機動的な資金繰りを行っており、現時点での手元流動性に致命的な懸念は見られませんが、借入依存度が高まるリスクには注意が必要です。

キャッシュフロー総合評価

全体として、同社はキャッシュの創出と流出のサイクルが非常に大きい「ハイボラティリティ型」の財務構造と言えます。2025年7月期は「勝負型」のパターンを示しており、一時的な営業キャッシュの流出と投資拡大を、外部調達や手元資金で賄っている状態です。財務健全性は、24億円を超える現金残高によって一定程度保たれていますが、中長期的には営業CFのプラス定着とボラティリティの低減が、投資余力の拡大と企業価値向上の鍵となります。投資家としては、次期以降に営業CFがプラスに転じ、投資フェーズから回収フェーズへと移行できるかを注視すべきでしょう。

DCF法による理論株価分析

DCF分析の前提条件

パラメータ 説明
WACC(割引率) 9.0% 加重平均資本コスト
FCF成長率 6.0% 予測期間中の年平均成長率
EV/FCF倍率 21.95倍 ターミナルバリュー算出用(現在の市場評価)
予測年数 5年 将来FCFの予測期間
発行済株式数 18,759,936株 理論株価算出の分母
現金及び現金同等物 24億 非事業資産として加算
有利子負債 15億 企業価値から控除

将来フリーキャッシュフロー予測

予測年 予測FCF 現在価値(PV)
1年目 5億 5億
2年目 6億 5億
3年目 6億 5億
4年目 6億 4億
5年目 7億 4億
ターミナルバリュー 146億 95億
フリーキャッシュフロー推移(実績 + DCF予測)-20億-10億0百万10億20億2123252028予2030予2031予0FCF実績FCF予測

理論株価の算出プロセス

① 予測FCF現在価値の合計 23億
② ターミナルバリューの現在価値 95億
③ 事業価値(① + ②) 118億
④ 加算: 現金及び現金同等物 +24億
⑤ 控除: 有利子負債 -15億
⑥ 株主価値(③ + ④ − ⑤) 127億
DCF理論株価
675円
現在の株価
629円
乖離率(割安)
+7.3%

感度分析(理論株価: 円)

WACC(横軸)とFCF成長率(縦軸)を変化させた場合の理論株価の変動を示します。

WACC →
FCF成長率 ↓
7.0%8.0%9.0%10.0%11.0%
1.0%595572551530511
3.5%660634610587565
6.0%731702675649625
8.5%809777746717690
11.0%894858824792761

※ 緑色: 現在株価(629円)より高い(割安方向) / 赤色: 低い(割高方向) / 青背景: 現在の前提条件

DCF分析の総合評価

今回のDCF分析に基づく株式会社大盛工業(1844)の理論株価は675円と算出されました。現在の市場価格629円と比較すると、理論上は+7.3%の乖離(割安)の状態にあります。この乖離率は、一般的に市場が織り込んでいるリスクに対して、将来のキャッシュフロー創出力がわずかに上回っていることを示唆しています。ただし、10%未満の乖離はDCF法の計算前提の変化によって容易に逆転する範囲内であり、現時点では「大幅な割安」というよりは「概ね妥当な水準から、やや強含みの評価」と捉えるのが適切です。

フリーキャッシュフローの質

過去の実績を確認すると、同社のフリーキャッシュフロー(FCF)は極めて変動が激しい傾向にあります。2023年7月期の-1,776百万円から2024年7月期の1,340百万円への急回復、そして2025年7月期(予想)の-1,065百万円という推移は、土木・建設業特有の大型案件の受注タイミングや運転資金(売上債権・棚卸資産)の増減が激しいことを示しています。予測期間におけるFCFを526百万円〜664百万円と安定的に成長する前提で置いていますが、過去のボラティリティを考慮すると、この予測値の達成には不確実性が伴います。安定的な創出能力が証明されるまでは、FCFの「質」に関しては慎重な見極めが必要です。

前提条件の妥当性

本分析では、割引率(WACC)を9.0%、予測期間の成長率を6.0%に設定しています。中小型株特有のリスクプレミアムを考慮した9.0%のWACCは妥当な水準と言えますが、建設セクターにおいて長期的・継続的に6.0%のFCF成長を維持するという前提は、やや楽観的な側面があるかもしれません。また、出口マルチプル(EV/FCF倍率)の21.95倍は、将来のキャッシュフローに対する期待値が相応に高いことを前提としており、事業環境の変化や金利上昇局面においては下方修正のリスクを孕んでいる点に留意が必要です。

ターミナルバリューの影響

事業価値118億円のうち、ターミナルバリュー(予測期間以降の価値)の現在価値が95億円を占めており、事業価値全体の約80.5%が予測期間外の将来価値に依存しています。これは、同社の企業価値評価が直近5年間の具体的な事業計画よりも、さらに先の長期的な継続性や残存価値に大きく左右される構造であることを意味します。この依存度の高さは、長期的な市場環境(公共投資の動向や建設需要)のわずかな前提変化が、理論株価に大きな変動をもたらすリスク要因となります。

感度分析から読み取れること

本分析の結果、理論株価の決定要因として最も影響が大きいのは「WACC」と「出口マルチプル」の関係性です。仮にWACCが1.0%上昇して10.0%になった場合、あるいは成長率が想定を下回った場合、7.3%の割安分は容易に消失し、理論株価が現在株価を下回る可能性があります。一方で、有利子負債15億円に対し現金等が24億円とネットキャッシュ(手元資金)が豊富であることは、財務面での安定性を提供しており、株主価値の毀損を防ぐ下支えとして機能しています。

投資判断への示唆

以上の分析に基づくと、大盛工業の株価は現在、理論価値に対して「やや割安な水準」にあります。しかし、DCF法は将来予測に強く依存する手法であり、特に同社のようにFCFの年度ごとの振れ幅が大きい企業の場合、単一の理論株価を過信することは危険です。投資家は、以下の点に注目すべきです。

  • 予測FCF(年間5〜6億円規模)が、運転資金の変動を超えて安定的に創出されるか。
  • 自己資本比率や手元流動性の厚さが、受注変動リスクをどの程度カバーできるか。
本レポートは情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。最終的な投資決定は、DCF法の限界(前提条件一つで結果が大きく変わる点)を十分に理解した上で、ご自身の判断で行ってください。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

営業利益が堅調な増加傾向にある一方、建設業特有の運転資本の変動によりフリーキャッシュフローが不安定なため、成長率は利益成長を下回る保守的な6%と推定しました。WACCは小型株特有のリスクプレミアムと建設セクターのボラティリティを考慮し、やや高めの9%に設定しています。有利子負債は手元現預金水準と事業規模から1,500百万円と推計し、発行済株式数は最新の時価総額を株価で除して算出しました。

⚠️ 免責事項: 本DCF分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 DCF法は前提条件(WACC、成長率等)に大きく依存するため、感度分析を参考に幅を持って評価してください。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

リバースDCF分析(市場の期待値)

市場が織り込んでいる成長期待

現在の株価(629円)を正当化するために必要なインプライドFCF成長率を逆算しました。

インプライドFCF成長率
4.3%
市場が織り込む成長率
AI推定FCF成長率
6.0%
ファンダメンタル分析ベース
成長率ギャップ
-1.7%
ほぼ妥当

リバースDCF詳細

現在の株価629円
インプライドFCF成長率4.27%
AI推定FCF成長率6.00%
成長率ギャップ-1.73%(ほぼ妥当)
インプライドWACC30.00%
AI推定WACC9.00%
📖 読み方:
  • インプライド成長率 > AI推定成長率 → 市場は楽観的。期待通りの成長が実現しなければ株価下落リスク
  • インプライド成長率 < AI推定成長率 → 市場は悲観的。実態より過小評価されている可能性
  • 両者がほぼ一致 → 市場の評価はファンダメンタルに整合的

市場の期待値の評価

現在の株価629円に基づき算出されたインプライドFCF(フリーキャッシュフロー)成長率は4.27%です。これは、市場が株式会社大盛工業に対し、今後中長期にわたって年率4%強のキャッシュフロー成長を継続すると織り込んでいることを意味します。AIによる推定成長率が6.00%であることを踏まえると、成長率ギャップは-1.73%となり、市場の期待値はAIの予測よりもやや慎重、あるいは控えめな水準にあると言えます。過去の業績推移を鑑みると、土木事業、特に同社が強みを持つ下水道関連のインフラ整備需要は堅実ですが、4.27%という数字は、急激な拡大というよりは、着実な成長と収益性の維持を前提とした妥当な評価範囲内にあると分析されます。

インプライド成長率の実現可能性

市場が織り込む4.27%の成長率の実現可能性については、外部環境と内部環境の両面から考察する必要があります。外部環境としては、国内の老朽化インフラ更新需要や「国土強靱化」に向けた公共投資の継続が追い風となります。特に、同社が得意とする小口径推進工法などの専門技術は、都市部の下水道整備において競争優位性を持っています。一方で、建設業界全体が直面している資材価格の高騰や人手不足による労務コストの上昇は、FCFを圧迫するリスク要因です。AI推定の6.00%に対し、市場が4.27%に留まっている背景には、これらのコスト増による利益率の鈍化を一定程度織り込んでいる可能性が高いと考えられます。したがって、現状の受注環境が維持され、適切なコスト管理がなされるならば、4.27%という期待値の達成は十分に現実的なシナリオと言えるでしょう。

投資判断への示唆

今回のリバースDCF分析において最も注目すべきは、インプライドWACC(30.00%)とAI推定WACC(9.00%)の大きな乖離です。通常、資本コスト(WACC)が30%という極めて高い水準で市場に評価されている場合、それは「将来のキャッシュフローに対する不確実性(リスク)が過大に評価されている」か、あるいは「現在の株価が本来の企業価値に対して著しく割安に放置されている」かのいずれかを示唆します。AI推定の9.00%というWACCが一般的な中小型建設株の妥当なリスク水準であると仮定すれば、現在の株価629円は、市場が過度なリスクを織り込んでいる(=過小評価している)可能性があります。投資家としては、この高いインプライドWACCを「安全余裕(マージン・オブ・セーフティ)」と捉えるか、あるいは同社固有の流動性リスクや業績変動リスクの現れと捉えるかが、判断の分かれ目となります。

拡張感応度分析・シナリオ分析

感度分析: WACC × FCF成長率(理論株価: 円)

金利上昇はWACCの増加、景気後退はFCF成長率の低下として理論株価に影響します。

WACC →
FCF成長率 ↓
7.0%8.0%9.0%10.0%11.0%
1.0%595572551530511
3.5%660634610587565
6.0%731702675649625
8.5%809777746717690
11.0%894858824792761

※ 緑色: 現在株価(629円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 現在の前提条件

シナリオ分析(楽観・基本・悲観)

金利環境・景気動向の変化に応じた3つのシナリオで理論株価を比較します。

楽観シナリオ
WACC: 7.5% / FCF成長率: 12.0%
永久成長率: 1.5%
911円
+44.8%
基本シナリオ
WACC: 9.0% / FCF成長率: 6.0%
永久成長率: 1.0%
675円
+7.3%
悲観シナリオ
WACC: 10.5% / FCF成長率: -2.0%
永久成長率: 0.5%
461円
-26.7%

シナリオ分析の総合評価

株式会社大盛工業(1844)の現在株価629円に対し、基本シナリオにおける理論株価は675円と算出されました。これは、現在の市場価格が理論上の価値に対して約7.3%割安な水準にあることを示しています。理論株価のレンジは、楽観シナリオの911円(+44.8%)から悲観シナリオの461円(-26.7%)と非常に幅広くなっており、将来の業績推移や外部環境の変化に対して株価が大きく変動しやすい特性を持っていることが伺えます。現在株価は基本シナリオに近い位置にあり、現時点では市場の期待値と概ね整合的であると評価されます。

金利変動の影響

本分析において、WACC(加重平均資本コスト)の変化は理論株価に顕著な影響を与えています。基本シナリオのWACC 9.0%に対し、悲観シナリオで10.5%を想定した場合、理論株価は461円まで低下します。建設セクターに属する同社にとって、金利上昇は調達コストの増加のみならず、割引率の上昇を通じて企業価値を押し下げる要因となります。金利が1.5%上昇するだけで理論上の価値が大幅に毀損する可能性があることから、金利変動リスクに対する感応度は比較的高く、マクロ経済における金利動向には十分な注意が必要です。

景気変動の影響

FCF(フリーキャッシュフロー)成長率の前提変化も、バリュエーションに多大な影響を及ぼします。基本シナリオの成長率6.0%に対し、景気後退等を背景に成長率が-2.0%まで落ち込む悲観シナリオでは、株価の下値リスクが明確化します。一方で、成長率が12.0%まで加速する楽観シナリオでは、理論株価は911円まで跳ね上がります。同社の主力事業である土木・建設関連の需要は公共投資や民間設備投資の影響を受けやすく、景気サイクルに応じた成長率の変動が投資リターンを大きく左右する構造となっています。

投資判断への示唆

基本シナリオに基づく理論株価(675円)と現在株価(629円)を比較すると、約7%強の「安全域(マージン・オブ・セーフティ)」が確認されます。ただし、悲観シナリオにおける下振れリスク(-26.7%)が基本シナリオの上振れ期待を上回る非対称的な構造には留意が必要です。投資家としては、同社が掲げる成長戦略の確実性と、金利上昇局面における耐性をどう評価するかが鍵となります。現在の株価水準は、一定の成長を織り込みつつも、過度な期待は含まれていない中立的なフェーズにあると考察されます。

EPS/BPSベース理論株価分析

理論株価モデルの前提条件

パラメータ 説明
直近EPS 23.00円 1株あたり利益
直近BPS 320.92円 1株あたり純資産
1株配当 11.50円 年間配当金
EPS成長率 7.0% 予測期間中の年平均
割引率 11.0% 将来EPSの割引率
想定PER 27.30倍 理論株価算出に使用

EPS/BPS予測と理論株価

年度 期首BPS EPS 配当 自己資本増加 期末BPS ROE(%) EPS成長率(%) PER(倍) PBR(倍) DCF 理論株価
2026年7月 320.92 23.00 11.50 11.50 332.42 7.17 0.00 27.30 1.89 23.00 628
2027年7月 332.42 24.61 11.50 13.11 345.53 7.40 7.00 27.30 1.94 22.17 672
2028年7月 345.53 26.33 11.50 14.83 360.36 7.62 7.00 27.30 1.99 21.37 719
2029年7月 360.36 28.18 11.50 16.68 377.04 7.82 7.00 27.30 2.04 20.60 769
2030年7月 377.04 30.15 11.50 18.65 395.69 8.00 7.00 27.30 2.08 19.86 823
ターミナル 488.44
PER×EPS 理論株価
628円
-0.2%
DCF合計値
595.44円
-5.3%
現在の株価
629円

DCF内訳

予測期間EPS現在価値合計(5年分) 107.00円
ターミナルバリュー現在価値 488.44円(全体の82%)
DCF合計理論株価 595.44円

EPS/BPSモデルの総合評価

株式会社大盛工業(1844)の現在株価629円に対し、PER×EPSモデルによる理論株価は628円、DCF合計による理論株価は595.44円と算出されました。現在株価はPERベースの理論値とほぼ一致しており、短期的には現在の収益力に見合った妥当な水準で推移していると言えます。一方で、将来の利益成長を現在価値に割り引いたDCFベースでは、現在株価に対して-5.3%の乖離(割高)が見られます。この乖離は、現在の市場価格が将来のキャッシュフローに対してやや楽観的な期待を織り込んでいる、あるいは割引率の設定が保守的である可能性を示唆しています。

ROE推移の見通し

本モデルの予測では、BPS(1株純資産)が2026年7月期の320.92円から2030年7月期には395.69円まで着実に蓄積される見通しです。特筆すべきはROE(自己資本利益率)の推移であり、期首BPSの増加に伴いながらも、7.0%のEPS成長を前提とすることで、2026年7月期の7.17%から2030年7月期には8.00%へと改善するシナリオとなっています。一般に利益剰余金の蓄積はROEの低下圧力を生みますが、当モデルではそれを上回る利益成長を想定しており、資本効率の向上がPBR(株価純資産倍率)を2.0倍台に乗せるための重要なドライバーとなっています。

前提条件の妥当性

本試算における主要な前提条件の妥当性を検証します。まず、想定PER 27.30倍は、一般的な建設業の平均と比較して高い水準に設定されています。これは同社の成長性やニッチな市場性を反映している可能性がありますが、市場全体のセンチメント変化による下振れリスクには留意が必要です。一方、割引率11.0%は、小型株特有のリスクプレミアムを考慮した妥当な設定と言えます。EPS成長率7.0%の維持については、公共投資の動向や同社の受注環境に依存するため、この成長継続性が理論株価の正当性を左右する最大の焦点となります。

投資判断への示唆

以上の分析から、現在の株価629円は「モデル上の適正価格(628円)を充足しており、追加的な割安感は乏しい」と評価できます。投資判断においては、現在の高いPER(27.30倍)が今後も市場で許容され続けるか、あるいは予測を上回る利益成長によるROEの改善が実現するかが鍵となります。DCFベースでの乖離率(-5.3%)を安全余裕率の欠如と捉えるか、あるいは堅実なBPSの積み上げによる底堅さと捉えるか、投資家それぞれの時間軸とリスク許容度に基づいた判断が求められます。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

2022年から2026年にかけてのEPSのCAGRは約7.7%ですが、直近の減益予想を考慮し、持続可能な成長率を7.0%と推定しました。割引率は、スタンダード市場上場の小規模建設企業であることのリスクプレミアムと、業種特有の景気敏感性を加味して11.0%に設定しています。現在のPERが27.3倍と高いことから、市場の成長期待を反映しつつも、将来の不確実性を織り込んだ保守的なパラメータ設計を行いました。

⚠️ 免責事項: 本理論株価分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 EPS成長率・割引率・PER等の前提条件により結果は大きく変動します。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

リバースDCF分析(市場の期待値)

市場が織り込んでいる成長期待

現在の株価(629円)を正当化するために必要なインプライドEPS成長率を逆算しました。

インプライドEPS成長率
8.6%
市場が織り込む成長率
AI推定EPS成長率
7.0%
ファンダメンタル分析ベース
成長率ギャップ
+1.6%
ほぼ妥当

リバースDCF詳細

現在の株価629円
インプライドEPS成長率8.63%
AI推定EPS成長率7.00%
成長率ギャップ+1.63%(ほぼ妥当)
インプライド割引率50.00%
AI推定割引率11.00%
📖 読み方:
  • インプライド成長率 > AI推定成長率 → 市場は楽観的。期待通りの成長が実現しなければ株価下落リスク
  • インプライド成長率 < AI推定成長率 → 市場は悲観的。実態より過小評価されている可能性
  • 両者がほぼ一致 → 市場の評価はファンダメンタルに整合的

市場の期待値の評価

株式会社大盛工業(1844)の現在株価629円に基づき算出されたインプライドEPS成長率は8.63%です。これは、市場が同社に対して今後数年間、年平均で約8.6%の1株当たり利益(EPS)成長を継続することを期待していることを示しています。AIが推定する成長率7.00%と比較すると、+1.63%の成長率ギャップが生じており、市場の評価はAIの保守的な見積もりよりもやや楽観的、あるいは「ほぼ妥当」な範囲内にあると評価できます。特筆すべきは、インプライド割引率が50.00%と極めて高い水準にある点です。これは、市場が同社に対して非常に高いリスクプレミアム(不確実性)を織り込んでおり、その高いリスクを差し引いてもなお、現在の株価を正当化するためには8.63%の成長が必要であると解釈されます。

インプライド成長率の実現可能性

市場が求める8.63%の成長率が実現可能かどうかを検討する際、同社の事業基盤である土木工事、特に老朽化が進む下水道インフラの補修・更新需要が重要な鍵となります。AI推定の7.00%という数値は過去のトレンドや業界平均を反映したものと考えられますが、市場が期待する8.63%との差(1.63%)は、今後の公共投資の見通しや同社の独自技術による受注競争力の強化をどう評価するかで分かれます。インプライド割引率が50.00%とAI推定の11.00%を大きく上回っていることは、株価のボラティリティの高さや、中小型株特有の流動性リスクが強く意識されていることを示唆しています。この高いリスク許容度を背景に、8.63%という成長を「着実に達成できる」と判断できるかどうかが、実現可能性を評価する分岐点となります。

投資判断への示唆

本分析の結果は、現在の株価629円が「市場の期待とAIの推計が概ね整合している状態」であることを示しています。投資家にとっての判断材料は、主に以下の2点に集約されます。第一に、市場が織り込んでいる8.63%の成長が、同社の事業戦略や受注環境に照らして「控えめ」であると感じるならば、現在の株価は過小評価されている可能性があります。第二に、AI推定の11.00%を遥かに上回る50.00%というインプライド割引率を、過度な警戒による「割安の放置」と捉えるか、あるいは「それだけのリスクが潜在している」と捉えるかです。これらの数値は、現在の株価が決して過熱した期待に基づいているわけではないことを示唆していますが、最終的な投資判断においては、同社の業績推移に加え、建設業界全体のコスト動向や受注環境を慎重に見極める必要があります。

感応度分析・シナリオ分析

感度分析: 割引率 × EPS成長率(理論株価: 円)

金利上昇は割引率の増加、景気後退はEPS成長率の低下として理論株価に影響します。

割引率 →
EPS成長率 ↓
9.0%10.0%11.0%12.0%13.0%
2.0%543521501482464
4.5%593569547525505
7.0%646620595572550
9.5%703674648622598
12.0%764733703676649

※ 緑色: 現在株価(629円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 現在の前提条件

シナリオ分析(楽観・基本・悲観)

金利環境・景気動向の変化に応じた3つのシナリオで理論株価を比較します。

楽観シナリオ
割引率: 9.5% / EPS成長率: 12.0%
748円
+18.9%
基本シナリオ
割引率: 11.0% / EPS成長率: 7.0%
595円
-5.3%
悲観シナリオ
割引率: 12.5% / EPS成長率: 1.0%
456円
-27.4%

シナリオ分析の総合評価

今回のシナリオ分析の結果、株式会社大盛工業(1844)の理論株価は、悲観的な456円から楽観的な748円という広いレンジ内に収まりました。現在の市場価格である629円は、基本シナリオの理論株価(595円)を約5.7%上回る水準に位置しており、市場は基本シナリオよりもやや強気な成長、あるいはリスクの低減を織り込んでいると推察されます。楽観シナリオ(748円)に対しては18.9%の上値余地がある一方、悲観シナリオ(456円)に対しては27.4%の下落リスクを内包しており、リターンよりもリスクの振れ幅がやや大きい非対称な価格形成となっています。

金利変動の影響

本分析における割引率は11.0%を基本前提としていますが、これが理論株価に与える影響は極めて深刻です。楽観シナリオのように割引率が9.5%(-1.5%)まで低下した場合、EPS成長率の押し上げ効果と相まって理論株価は748円まで上昇します。一方で、悲観シナリオのように割引率が12.5%(+1.5%)まで上昇すると、資本コストの増大が企業価値を強く圧迫します。建設業という業態特有の事業リスクや金利上昇局面における資金調達コストの変化が、投資家が求める期待収益率(割引率)に敏感に反映される点に留意が必要です。

景気変動の影響

EPS成長率の変化もまた、理論株価を大きく左右する要因です。基本シナリオの成長率7.0%に対し、楽観シナリオで設定した12.0%(+5.0%)の成長が実現できれば、株価のさらなる上昇を正当化する根拠となります。しかし、景気後退や土木・建設需要の停滞により成長率が1.0%(-6.0%)まで鈍化する悲観シナリオでは、理論株価は456円まで沈み込みます。このように、同社の価値評価は将来の成長期待に対する感応度が高く、受注環境の動向や利益率の改善スピードが投資尺度を大きく変容させる性質を持っています。

投資判断への示唆

以上の分析を踏まえると、現在株価629円は、弊社の基本シナリオ(595円)を一定程度超えて評価されている状態にあります。投資家にとっての注目点は、市場が現在織り込んでいる「基本シナリオ以上の期待感」が、実際の業績拡大(EPS成長)によって裏付けられるか、あるいはマクロ環境の安定により割引率が低下するかという点に集約されます。現在の株価水準が楽観シナリオと基本シナリオの中間に位置していることを考慮し、上値の期待値と下振れのリスク許容度を照らし合わせながら、慎重に判断を行うことが肝要です。

限界利益分析(CVP分析)

高低点法による費用構造の推定

売上高が最大の年度と最小の年度を比較し、総費用(売上高−営業利益)の変化から変動費率と固定費を推定します。

推定変動費率
86.0%
売上高に対する変動費の割合
推定限界利益率
14.0%
1 − 変動費率
推定固定費
350
百万円
基準: 2026年7月期(売上高 7,190 百万円)と 2017年 7月期 連結(売上高 3,650 百万円)の比較

年度別 限界利益指標

年度 売上高 限界利益 限界利益率 損益分岐点 安全余裕率 経営レバレッジ
17年 7月期 3,650 511 14.0% 2,501 31.5% 3.18倍
17年 7月期 3,650 511 14.0% 2,501 31.5% 3.18倍
17年 7月期 3,785 530 14.0% 2,501 33.9% 2.66倍
17年 7月期 3,786 530 14.0% 2,501 33.9% 2.65倍
18年 7月期 4,129 579 14.0% 2,501 39.4% 1.40倍
18年 7月期 4,141 580 14.0% 2,501 39.6% 1.86倍
19年 7月期 6,021 844 14.0% 2,501 58.5% 2.05倍
19年 7月期 5,975 837 14.0% 2,501 58.1% 1.93倍
19年 7月期 5,976 837 14.0% 2,501 58.1% 1.93倍
20年 7月期 4,909 688 14.0% 2,501 49.0% 1.37倍
20年 7月期 5,187 727 14.0% 2,501 51.8% 1.35倍
20年 7月期 5,187 727 14.0% 2,501 51.8% 1.35倍
21年 7月期 4,955 694 14.0% 2,501 49.5% 2.14倍
22年 7月期 5,244 735 14.0% 2,501 52.3% 2.34倍
22年 7月期 5,245 735 14.0% 2,501 52.3% 2.34倍
23年 7月期 5,858 821 14.0% 2,501 57.3% 1.92倍
23年 7月期 6,054 848 14.0% 2,501 58.7% 1.88倍
24年 7月期 6,106 856 14.0% 2,501 59.0% 1.47倍
24年 7月期 5,982 838 14.0% 2,501 58.2% 1.35倍
25年 7月期 6,405 897 14.0% 2,501 61.0% 1.18倍
25年 7月期 6,444 903 14.0% 2,501 61.2% 1.15倍
26年7月期 7,190 1,007 14.0% 2,501 65.2% 1.53倍
売上高と損益分岐点売上高の推移2十億3十億4十億5十億6十億7十億8十億1717192021232426売上高(百万円)損益分岐点(百万円)
安全余裕率と経営レバレッジの推移0.020.040.060.080.01717192021232426安全余裕率(%)経営レバレッジ(倍)
直近年度の損益分岐点分析(2026年7月期)
売上高
7,190
百万円
損益分岐点
2,501
百万円
安全余裕率
65.2%
十分な安全余裕
経営レバレッジ
1.53倍
低い経営リスク

費用構造の評価

高低点法に基づく分析の結果、株式会社大盛工業の推定変動費率は86.0%、限界利益率は14.0%となっています。この数値から、同社は「変動費型」の費用構造を有していると評価できます。売上高の大部分を材料費や外注費などの変動費が占めており、売上の増減に応じて費用も柔軟に変動する特性があります。一方で、推定固定費は350百万円と、売上規模(2024年7月期で約6,000百万円前後)に対して比較的低水準に抑えられています。これは、大規模な自社設備を抱え込むリスクを避け、プロジェクトごとの原価管理に重点を置いた経営スタイルを反映しているものと推察されます。

損益分岐点と安全余裕率

本分析における損益分岐点売上高は2,501百万円と算出されました。2017年7月期の売上高(3,650百万円)時点ですでに損益分岐点を大きく上回っており、直近の2024年7月期(約6,000百万円)や2026年7月期の予測(7,190百万円)においては、その乖離がさらに拡大しています。 特筆すべきは安全余裕率の推移です。2017年時点の31.5%から、2026年予測では65.2%まで上昇する見込みとなっており、目安とされる30%を大幅に上回っています。これは、多少の減収局面においても赤字に転落しにくい、強固な収益基盤と安定性を備えていることを示唆しています。

経営レバレッジとリスク

経営レバレッジは、2017年時点の3.18倍から、直近では1倍台(2025年予測で1.15倍、2026年予測で1.53倍)へと低下傾向にあります。経営レバレッジの低下は、売上高の変化が営業利益に与えるインパクトが相対的に小さくなっていることを意味します。 かつてのような「売上が少し伸びれば利益が爆発的に増える」というハイレバレッジな状態ではありませんが、同時に「売上が少し下がると利益が激減する」というリスクも抑制されています。現在の同社は、急激な成長を追う段階から、拡大した売上規模を背景に、着実かつ安定的に利益を積み上げるフェーズに移行していると分析できます。

投資判断への示唆

以上の限界利益分析から、以下の2点が主要な考察として導き出されます。 第一に、損益分岐点が低く安全余裕率が極めて高い(60%超)ことから、事業の継続性と下値不安の少なさは評価に値します。第二に、限界利益率が14.0%と一定であるため、利益成長の源泉は「売上高の拡大」または「原価率(変動費率)の改善」に強く依存する構造です。 2026年7月期に向けた増収計画が達成される場合、固定費が維持される前提であれば、着実な増益が期待できるでしょう。ただし、本分析は高低点法による推定値に基づいているため、将来的な資材価格の高騰や外注費の上昇による変動費率の悪化、あるいは事業拡大に伴う固定費の増加リスクについては、別途決算短信等で精査する必要があります。これらの数値を踏まえ、同社の成長性と安定性のバランスをどう評価するかが投資判断の要となります。

⚠️ 注意: 本分析は高低点法による推定値です。実際の変動費・固定費は有価証券報告書の費用明細と異なる場合があります。 費用構造が大きく変化した期間を含む場合、推定精度が低下する可能性があります。投資判断の際は他の指標と合わせてご確認ください。

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データソース

この記事はEDINETから取得した決算報告書をAIが分析して生成しています。

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