4022ラサ工業株式会社

ラサ工業(4022) 理論株価分析:半導体・電子材料の躍進で純利益2.1倍の急成長 カチノメ

決算発表日: 2025-11-132026年3月期 中間決算
総合業績スコア
74/100
好決算

セクション別スコア

業績成長性85収益性75財務健全性80株主還元70成長戦略65理論株価評価70
業績成長性85
収益性75
財務健全性80
株主還元70
成長戦略65
理論株価評価70

※ 本記事は後半になるにつれて、内容が専門的になるように構成しています。

決算履歴(業績推移)

売上高推移(百万円)200億300億400億500億600億2017年 2017年 2018年 2020年 2021年 2022年 2024年 2026年 売上高利益推移(営業利益・経常利益・当期純利益)10億20億30億40億50億60億2017年 2017年 2018年 2020年 2021年 2022年 2024年 2026年 営業利益経常利益純利益利益率推移(%)2.0%4.0%6.0%8.0%10.0%12.0%14.0%2017年 2017年 2018年 2020年 2021年 2022年 2024年 2026年 営業利益率経常利益率純利益率
年度 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 包括利益
2017年 3月期 連結 24,500 1,300 1,000 1,700 -
2017年 3月期 連結 23,283 1,622 1,342 1,729 -
2017年 3月期 連結 23,283 1,622 1,342 1,726 -
2017年 3月期 連結 23,283 1,622 1,342 1,726 2,053
2018年 3月期 連結 26,000 2,100 1,900 1,500 -
2018年 3月期 連結 27,000 2,500 2,300 1,800 -
2018年 3月期 連結 27,000 2,800 2,700 2,200 -
2018年 3月期 連結 27,427 2,842 2,718 2,251 2,409
2019年 3月期 連結 30,999 2,573 2,618 2,274 2,063
2020年 3月期 連結 30,500 1,700 1,550 1,100 -
2020年 3月期 連結 29,759 1,871 1,726 1,377 1,319
2021年 3月期 連結 29,400 2,100 2,100 1,500 -
2021年 3月期 連結 28,978 2,659 2,649 2,004 2,290
2022年 3月期 連結 31,500 2,700 2,700 2,100 -
2022年 3月期 連結 35,400 3,460 3,550 2,530 -
2022年 3月期 連結 35,411 3,475 3,562 2,538 2,922
2023年 3月期 連結 52,600 4,500 4,600 3,200 -
2023年 3月期 連結 49,600 4,622 4,690 3,232 3,544
2024年 3月期 連結 43,000 3,250 3,050 2,100 -
2024年 3月期 連結 42,788 3,591 3,396 2,382 2,913
2025年 3月期 連結 45,421 4,736 4,602 3,131 3,863
2026年 3月期 連結 47,700 5,800 6,000 4,200 -

※単位: 百万円

利益率推移

営業利益率 = 営業利益÷売上高×100 / 経常利益率 = 経常利益÷売上高×100 / 純利益率 = 当期純利益÷売上高×100

年度 売上高 (百万円) 営業利益率 (%) 経常利益率 (%) 純利益率 (%)
2017年 3月期 連結 24,500 5.31% 4.08% 6.94%
2017年 3月期 連結 23,283 6.97% 5.76% 7.43%
2017年 3月期 連結 23,283 6.97% 5.76% 7.41%
2017年 3月期 連結 23,283 6.97% 5.76% 7.41%
2018年 3月期 連結 26,000 8.08% 7.31% 5.77%
2018年 3月期 連結 27,000 9.26% 8.52% 6.67%
2018年 3月期 連結 27,000 10.37% 10.00% 8.15%
2018年 3月期 連結 27,427 10.36% 9.91% 8.21%
2019年 3月期 連結 30,999 8.30% 8.45% 7.34%
2020年 3月期 連結 30,500 5.57% 5.08% 3.61%
2020年 3月期 連結 29,759 6.29% 5.80% 4.63%
2021年 3月期 連結 29,400 7.14% 7.14% 5.10%
2021年 3月期 連結 28,978 9.18% 9.14% 6.92%
2022年 3月期 連結 31,500 8.57% 8.57% 6.67%
2022年 3月期 連結 35,400 9.77% 10.03% 7.15%
2022年 3月期 連結 35,411 9.81% 10.06% 7.17%
2023年 3月期 連結 52,600 8.56% 8.75% 6.08%
2023年 3月期 連結 49,600 9.32% 9.46% 6.52%
2024年 3月期 連結 43,000 7.56% 7.09% 4.88%
2024年 3月期 連結 42,788 8.39% 7.94% 5.57%
2025年 3月期 連結 45,421 10.43% 10.13% 6.89%
2026年 3月期 連結 47,700 12.16% 12.58% 8.81%

※営業利益率 = 営業利益÷売上高×100、経常利益率 = 経常利益÷売上高×100、純利益率 = 当期純利益÷売上高×100

決算サマリー

ラサ工業の2026年3月期中間決算は、売上高22,698百万円(前年同期比3.9%増)、営業利益2,860百万円(同68.5%増)、経常利益2,950百万円(同82.9%増)、親会社株主に帰属する中間純利益2,046百万円(同110.3%増)と、大幅な増益を達成しました。半導体市況の回復を背景に、高付加価値製品の販売が利益を大きく押し上げています。

注目ポイント

電子材料事業の爆発的成長

化合物半導体向けの高純度無機素材(インジウム、ガリウム等)が非常に好調で、セグメント利益は前年同期比約9倍(805.2%増)の3億51百万円に達しました。スポット販売の寄与もあり、同社の新たな成長柱として存在感を示しています。

化成品事業の収益性向上

主力事業である化成品では、半導体向け高純度燐酸の海外向け販売が堅調に推移しました。原材料価格やエネルギーコストの影響を受けつつも、セグメント利益は29.5%増と着実に成長しています。

業界動向

半導体業界の在庫調整が一巡し、再び成長局面に入ったことが同社にとって強力な追い風となっています。特に先端半導体製造に不可欠な高純度化学薬品や、次世代パワー半導体に関連する化合物半導体材料の需要は、中長期的に右肩上がりのトレンドにあります。

投資判断材料

長期投資家にとって、従来の「機械・土木」イメージから「半導体関連材料」への事業構造転換(ポートフォリオ変革)が進んでいる点は高く評価できます。営業利益率が12.6%(前年同期は7.7%)へと急改善しており、収益力のステージが変わった可能性があります。

セグメント別業績

  • 化成品事業: 売上高19,143百万円(5.0%増)、利益2,711百万円(29.5%増)。半導体向け・上水道向けが堅調。
  • 機械事業: 売上高1,699百万円(22.5%減)、利益85百万円(前年は240百万円の損失)。販売台数は減ったものの、採算重視の経営で黒字転換。
  • 電子材料事業: 売上高1,148百万円(61.6%増)、利益351百万円(805.2%増)。ガリウム、インジウムが非常に好調。

財務健全性

自己資本比率は63.1%となり、前連結会計年度末の60.8%からさらに向上しました。流動比率も高く、有利子負債の返済も進んでおり、非常に強固な財務基盤を維持しています。営業キャッシュ・フローも3,019百万円のプラスと、稼ぐ力も安定しています。

配当・株主還元

中間配当金は1株当たり64円(前年同期は48円)と大幅な増配を決定しました。利益成長を適切に株主へ還元する姿勢が明確になっています。配当性向を考慮しても、無理のない範囲での還元と言えます。

通期業績予想

今回の中間決算では、通期予想に対する進捗が非常に良好です。特に利益面では、中間期時点で純利益20億円を超えており、通期目標の達成に向けた確度は高いと考えられます。今後の修正発表にも注目が集まります。

中長期成長戦略

長期ビジョン「RasaVision2033」に基づき、キャッシュアロケーションを重視した資源配分を行っています。有形固定資産の取得に20億円を投じるなど、コア事業の収益力強化と成長事業への投資を加速させています。

リスク要因

電子材料事業におけるスポット販売の持続性や、原材料価格の変動、地政学リスクに伴うサプライチェーンへの影響が懸念材料です。また、為替変動が海外向け販売の採算に与える影響も注視する必要があります。

バリュエーション

1株当たり中間純利益(EPS)は262.06円に達しました。これを年換算し、現在の株価水準でPERを算出すると、依然として割安な水準に放置されている可能性があります。PBR面でも資産価値に対して評価の余地が残されています。

過去決算との比較

前年同期と比較して、売上高の伸び以上に利益が大きく伸びる「増収大幅増益」の形となっており、固定費をカバーした後の利益率の高さが際立っています。特に電子材料の急成長は、過去数四半期の中でも特筆すべきトレンドの変化です。

市場の評判

Lasa Industrial Co., Ltd. (4022) is a Japanese company specializing in rare metal recycling. It has shown strong financial growth and is considered a mid-sized chemical firm with a focus on IT-related products. The company's stock has been subject to market fluctuations based on industry trends and economic conditions.

年度別バリュエーション推移(PBR/PER/時価総額)

株価推移(高値・安値)05001,0001,5002,0002,500'11/3'14/3'17/3'20/3'23/3最新(株探)高値安値PBR推移(高値・安値・期末PBR)0.0倍0.5倍1.0倍1.5倍2.0倍2.5倍3.0倍'11/3'14/3'17/3'20/3'23/3最新(株探)PBR高値PBR安値期末PBRPER推移(高値・安値)0倍10倍20倍30倍40倍50倍60倍'11/3'14/3'17/3'20/3'23/3最新(株探)PER高値PER安値時価総額推移(高値・安値)0億200億400億600億800億1,000億'11/3'14/3'17/3'20/3'23/3最新(株探)高値安値ROE推移(PBR÷PERで算出・高値同士/安値同士)5.0%10.0%15.0%20.0%25.0%'11/3'14/3'17/3'20/3'23/3最新(株探)ROE高値ROE安値
年度 株価高値 株価安値 PER高値 PER安値 PBR高値 PBR安値 時価総額高値 時価総額安値 期末PBR
2011年3月期 354 108 18.21 5.56 2.59 0.79 140億6123万 42億8986万 1.9倍
2012年3月期 312 214 8.96 6.14 1.8 1.24 123億9295万 85億29万 1.44倍
2013年3月期 318 132 29.94 12.43 1.68 0.7 126億3128万 52億4317万 1.38倍
2014年3月期 562 206 52.92 19.4 2.9 1.06 223億2321万 81億8252万 1.45倍
2015年3月期 320 236 19.22 14.17 1.45 1.07 127億1072万 93億7416万 1.27倍
2016年3月期 318 182 19.04 10.9 1.45 0.83 126億3128万 72億2922万 1倍
2017年3月期 306 178 7.03 4.09 1.13 0.66 121億5463万 70億7034万 1.07倍
2018年3月期 554 252 9.75 4.44 1.69 0.77 219億8955万 100億969万 1.3倍
2019年3月期 715 229 12.46 4 1.93 0.62 284億52万 91億1200万 0.79倍
2020年3月期 351 193 10.11 5.57 0.89 0.49 139億5796万 76億8204万 0.67倍
2021年3月期 542 235 10.72 4.65 1.22 0.53 215億2879万 93億4238万 0.95倍
2022年3月期 485 289 7.58 4.51 0.95 0.57 192億7263万 114億7142万 0.62倍
2023年3月期 507 275 6.21 3.37 0.87 0.47 201億3855万 109億2327万 0.71倍
2024年3月期 561 382 9.31 6.34 0.89 0.6 222億9937万 151億8137万 0.87倍
2025年3月期 667 410 8.36 5.15 0.93 0.57 264億9391万 163億150万 0.78倍
最新(株探) 2024 - 18.8倍 - 2.61倍 - 804億円 - 2.61倍

ROE算出表(PBR÷PER×100)

PBR = ROE × PER の関係式から逆算。高値同士・安値同士で算出しています。

年度 PBR高値 PER高値 ROE高値(%) PBR安値 PER安値 ROE安値(%)
2011年3月期 2.59 18.21 14.2% 0.79 5.56 14.2%
2012年3月期 1.8 8.96 20.1% 1.24 6.14 20.2%
2013年3月期 1.68 29.94 5.6% 0.7 12.43 5.6%
2014年3月期 2.9 52.92 5.5% 1.06 19.4 5.5%
2015年3月期 1.45 19.22 7.5% 1.07 14.17 7.6%
2016年3月期 1.45 19.04 7.6% 0.83 10.9 7.6%
2017年3月期 1.13 7.03 16.1% 0.66 4.09 16.1%
2018年3月期 1.69 9.75 17.3% 0.77 4.44 17.3%
2019年3月期 1.93 12.46 15.5% 0.62 4 15.5%
2020年3月期 0.89 10.11 8.8% 0.49 5.57 8.8%
2021年3月期 1.22 10.72 11.4% 0.53 4.65 11.4%
2022年3月期 0.95 7.58 12.5% 0.57 4.51 12.6%
2023年3月期 0.87 6.21 14.0% 0.47 3.37 13.9%
2024年3月期 0.89 9.31 9.6% 0.6 6.34 9.5%
2025年3月期 0.93 8.36 11.1% 0.57 5.15 11.1%
最新(株探) 2.61倍 18.8倍 13.9% - - -

バリュエーション推移の概要

ラサ工業(4022)の過去15年弱のバリュエーション推移を俯瞰すると、大きく分けて3つのフェーズに分類されます。2011年から2016年頃まではPBR1.0倍を維持する高評価期間、2019年から2023年頃まではPBRが1.0倍を恒常的に下回る低迷期間、そして足元の急激な再評価(リレーティング)期間です。特にPERは2014年3月期の52.92倍から2023年3月期の3.37倍まで極端な振れ幅を見せており、収益性の変動と市場の期待値が乖離しやすい傾向が見て取れます。

PBR分析

歴史的なPBRの推移を見ると、2014年3月期の高値2.9倍をピークに、長期的な下落トレンドを辿ってきました。特に2019年3月期(期末0.79倍)から2023年3月期(期末0.71倍)にかけては、解散価値である1.0倍を大幅に割り込む水準が定着していました。この期間の最安値は2023年3月期の0.47倍です。しかし、直近のデータではPBRが2.61倍まで急上昇しており、これは2014年以来の極めて高い水準です。過去の安値圏(0.5〜0.6倍台)と比較すると、現在の評価は歴史的な上限付近に位置していると言えます。

PER分析

PERの推移は、2010年代半ばまでに見られた高PER(2014年3月期:19.4〜52.92倍)から、2017年以降は10倍以下で推移する期間が長く続きました。2023年3月期にはPER安値が3.37倍まで低下しており、収益に対して株価が極めて過小評価される「バリュートラップ」の状態にありました。最新のPERは18.8倍となっており、2017年以降の平均的な水準(概ね5倍〜10倍程度)を大きく上回っています。これは、利益成長に対する市場の期待が数年来で最も高まっている、あるいは一過性の要因で株価が先行している可能性を示唆しています。

時価総額の推移

時価総額は、2011年3月期の安値42.8億円から着実な底上げが見られます。2010年代は概ね100億円から200億円台のレンジで推移してきましたが、2025年3月期予想ベースで264.9億円に達し、さらに最新データでは804億円と急拡大しています。この時価総額の急増は、過去10年以上の推移(上限300億円未満)から大きく逸脱した「異次元」の成長を記録しており、同社の企業価値に対する市場の定義が根本から変化したことを示しています。

現在のバリュエーション評価

現在のバリュエーション(PER 18.8倍、PBR 2.61倍)を歴史的な水準と比較すると、過去15年間で最も割高に近い評価を受けていると言わざるを得ません。特に、2020年から2023年にかけてPBR 0.5〜0.8倍、PER 3〜7倍程度で放置されていた期間と比較すると、現在の株価水準は非常にアグレッシブな成長を織り込んでいます。投資家としては、この急激な評価上昇が持続的な業績拡大(半導体関連材料等の需要増など)に裏打ちされたものか、あるいは一時的な需給要因によるものかを慎重に見極める局面にあると考えられます。

キャッシュフロー推移

キャッシュフロー推移(営業CF・投資CF・フリーCF)-40億-20億0百万20億40億60億'17/3'19/3'21/3'23/3'25/30営業CF投資CFフリーCF設備投資 vs フリーCF(百万円)-40億-20億0百万20億40億'17/3'19/3'21/3'23/3'25/30設備投資#1フリーCF現金等残高推移30億35億40億45億50億55億'17/3'19/3'21/3'23/3'25/3現金等
年度 四半期 営業CF 投資CF 財務CF フリーCF 設備投資#1 現金等
2017年3月期 通期 1803 -924 135 879 -944 3658
2018年3月期 通期 2538 -2120 1074 418 -2140 5188
2019年3月期 通期 2769 -3522 961 -753 -3177 5333
2020年3月期 通期 2963 -1407 -2151 1556 -1870 4737
2021年3月期 通期 2367 -1860 -1825 507 -1220 3407
2022年3月期 通期 1996 -2322 308 -326 -2464 3538
2023年3月期 通期 2042 -961 245 1081 -1030 4940
2024年3月期 通期 4972 -1891 -4735 3081 -1017 3405
2025年3月期 通期 5038 -1829 -1641 3209 -2176 5054

※単位: 百万円。データ出典: IRBank(irbank.net)

キャッシュフロー推移の概要

ラサ工業の過去9年間のキャッシュフロー(CF)推移を俯瞰すると、営業活動によるキャッシュ創出力が近年劇的に向上していることが分かります。2017年3月期から2023年3月期までは、営業CFが18億円〜30億円の範囲で推移していましたが、直近の2024年3月期および2025年3月期には50億円規模へと大きくステージを変えています。投資CFは継続的にマイナスを維持しており、本業で稼いだ資金を成長投資に充て、残った資金を債務の返済や配当に充てるという健全なサイクルが定着しています。直近のCFパターンは、営業CF(+)・投資CF(−)・財務CF(−)の「優良安定型」と判定されます。

営業キャッシュフロー分析

営業CFは、2023年3月期の20.4億円から、2024年3月期には49.7億円、2025年3月期には50.4億円と、2倍以上に急増しています。2017年以降、一度もマイナスに転じることなく安定してプラスを維持しており、本業のキャッシュ創出力は極めて堅実です。特にここ2年間の急増は、収益性の向上や運転資本の効率化が寄与している可能性を示唆しており、事業モデルがより多額の現金を産み出しやすい構造へとシフトしたと推察されます。

投資キャッシュフロー・設備投資分析

投資CFは一貫してマイナスで推移しており、継続的な設備投資姿勢が見て取れます。特に2019年3月期(31.8億円)や2022年3月期(24.6億円)には積極的な設備投資を実施しています。直近の2025年3月期においても、前年の10.2億円から21.8億円へと設備投資額を倍増させており、将来の成長に向けた布石を打っています。特筆すべきは、これらの投資額を営業CFの範囲内で十分に賄えている点であり、無理のない範囲で着実な投資が継続されています。

フリーキャッシュフロー分析

フリーCF(営業CF+投資CF)は、積極投資を行った2019年(-7.5億円)や2022年(-3.3億円)を除き、概ねプラスで推移しています。特に2024年3月期以降は、営業CFの増大により年間30億円を超える極めて潤沢なフリーCFを創出しています。これにより、借入金の返済だけでなく、株主還元(配当や自社株買い)に向けた余力が大幅に高まっている状況にあり、企業価値向上のための戦略的な選択肢が広がっていると評価できます。

財務戦略・現金残高の評価

財務CFの動きからは、規律ある財務戦略が読み取れます。2024年3月期には、創出したフリーCFを背景に47.4億円という大幅な財務CFのマイナス(債務の返済等)を計上し、財務体質の強化を図っています。一方で、2025年3月期末の現金等残高は50.5億円を確保しており、2017年当時の36.6億円と比較しても手元流動性は厚みを増しています。借入と返済のバランスをコントロールしながら、一定水準以上のキャッシュを維持する保守的かつ安定的な資金管理が行われています。

キャッシュフロー総合評価

ラサ工業のキャッシュフロー構造は、直近の数年で非常に強固なものへと進化しています。年間50億円規模のキャッシュを創出する能力を確立したことで、年間20億円規模の設備投資を継続しながらも、同時に多額の負債圧縮や株主還元が可能な状態にあります。投資CFが常にマイナスであることは製造業としての成長意欲の表れであり、それを上回る営業CFを安定的に稼ぎ出している点は、財務健全性の観点から高く評価されます。今後は、この潤沢なフリーCFを、更なる成長投資へ振り向けるのか、あるいは株主還元へより積極的に配分するのか、その資本配分(キャピタル・アロケーション)の動向が投資家にとっての注目点となるでしょう。

DCF法による理論株価分析

DCF分析の前提条件

パラメータ 説明
WACC(割引率) 8.0% 加重平均資本コスト
FCF成長率 7.0% 予測期間中の年平均成長率
EV/FCF倍率 28.15倍 ターミナルバリュー算出用(現在の市場評価)
予測年数 5年 将来FCFの予測期間
発行済株式数 39,723,320株 理論株価算出の分母
現金及び現金同等物 51億 非事業資産として加算
有利子負債 150億 企業価値から控除

将来フリーキャッシュフロー予測

予測年 予測FCF 現在価値(PV)
1年目 34億 32億
2年目 37億 32億
3年目 39億 31億
4年目 42億 31億
5年目 45億 31億
ターミナルバリュー 1,267億 862億
フリーキャッシュフロー推移(実績 + DCF予測)-10億0百万10億20億30億40億50億2123252028予2030予2031予0FCF実績FCF予測

理論株価の算出プロセス

① 予測FCF現在価値の合計 156億
② ターミナルバリューの現在価値 862億
③ 事業価値(① + ②) 1,018億
④ 加算: 現金及び現金同等物 +51億
⑤ 控除: 有利子負債 -150億
⑥ 株主価値(③ + ④ − ⑤) 919億
DCF理論株価
2,313円
現在の株価
2,024円
乖離率(割安)
+14.3%

感度分析(理論株価: 円)

WACC(横軸)とFCF成長率(縦軸)を変化させた場合の理論株価の変動を示します。

WACC →
FCF成長率 ↓
6.0%7.0%8.0%9.0%10.0%
2.0%1,9861,8911,8001,7141,633
4.5%2,2552,1472,0451,9481,857
7.0%2,5492,4282,3132,2052,102
9.5%2,8712,7362,6072,4862,371
12.0%3,2233,0722,9292,7932,665

※ 緑色: 現在株価(2,024円)より高い(割安方向) / 赤色: 低い(割高方向) / 青背景: 現在の前提条件

DCF分析の総合評価

今回のDCF分析に基づくラサ工業(4022)の理論株価は2,313円と算出されました。現在の株価2,024円と比較すると、乖離率は+14.3%の「割安」圏内にあると評価できます。この14.3%のアップサイド(上昇余地)は、一定の安全余裕率(マージン・オブ・セーフティ)を確保していると言えますが、前提条件となる将来のフリーキャッシュフロー(FCF)成長の実現性が、このバリュエーションの正当性を左右する鍵となります。

フリーキャッシュフローの質

過去の実績を見ると、2019年3月期の-7.5億円や2022年3月期の-3.2億円など、年度による変動が激しい傾向にあります。これは設備投資負担や運転資本の変動が大きい素材・機械セクター特有の動きと言えます。一方で、2024年3月期以降は30億円を超える高い水準のFCFを創出しており、キャッシュ創出能力は近年飛躍的に向上しています。予測期間における年率7.0%の成長は、近年の好調な実績をベースとしていますが、過去のボラティリティを考慮すると、将来的な不確実性(ダウンサイドリスク)も内包されている点に注意が必要です。

前提条件の妥当性

WACC(加重平均資本コスト)を8.0%と設定した点は、同社の市場リスクと財務構成を考慮すると標準的な水準です。一方で、FCF成長率7.0%という前提は、日本の製造業の長期成長率としてはやや楽観的な設定とも捉えられます。また、出口マルチプル(EV/FCF倍率)の28.15倍は、成熟産業としては高めの水準です。これは、同社が特定の高付加価値製品(高純度リン酸など)において高い市場シェアを持ち、今後も構造的な成長が続くというシナリオに基づいた設定と言えます。

ターミナルバリューの影響

本分析における事業価値1,018億円のうち、ターミナルバリュー(予測期間以降の価値)の現在価値が862億円を占めており、全体構成比は約84.7%に達しています。これは、企業価値の大部分が5年目以降の遠い将来のキャッシュフローに依存していることを意味します。ターミナルバリューへの依存度が高いことは、長期的な事業環境の安定性が重要であることを示唆しており、将来の不確実な要因によって理論株価が大きく変動するリスクを孕んでいます。

感度分析から読み取れること

WACCと成長率の変化は、理論株価に極めて大きな影響を与えます。例えば、WACCが1%上昇して9.0%になった場合、あるいは成長率が数%下振れた場合、現在の株価(2,024円)を理論株価が下回る可能性があります。現在の割安評価は、8.0%という資本コスト内で安定して7%成長を継続できるというシナリオが担保となっており、特にWACC(割引率)の微差が企業価値を大きく左右する構造となっています。

投資判断への示唆

以上の分析から、現在の株価は理論値に対して一定の割安感があるものの、その前提には「近年向上したキャッシュ創出能力の維持と成長」という強い仮定が置かれています。DCF法は将来予測に強く依存する手法であり、原材料価格の変動や需要動向によって予測FCFが下振れた場合、理論株価は容易に修正されます。投資家は、同社の直近の業績推移を注視しつつ、算出された14.3%の乖離が将来の不確実性に対する十分な対価であるかを慎重に判断する必要があります。最終的な投資判断は、これらの前提条件の変化を考慮し、ご自身の責任において行ってください。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

FCF成長率は、直近の営業利益の拡大とフリーキャッシュフローの改善傾向を反映しつつ、半導体関連市場のサイクルを考慮して保守的に7%と推定しました。WACCは、日本の中小型株のリスクプレミアムと有利子負債比率を考慮し、標準的な8%に設定しています。発行済株式数は時価総額804億円を現在株価2,024円で除して算出し、有利子負債は設備投資規模と一般的な製造業の財務構成から150億円と推計しました。

⚠️ 免責事項: 本DCF分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 DCF法は前提条件(WACC、成長率等)に大きく依存するため、感度分析を参考に幅を持って評価してください。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

リバースDCF分析(市場の期待値)

市場が織り込んでいる成長期待

現在の株価(2,024円)を正当化するために必要なインプライドFCF成長率を逆算しました。

インプライドFCF成長率
4.3%
市場が織り込む成長率
AI推定FCF成長率
7.0%
ファンダメンタル分析ベース
成長率ギャップ
-2.7%
ほぼ妥当

リバースDCF詳細

現在の株価2,024円
インプライドFCF成長率4.30%
AI推定FCF成長率7.00%
成長率ギャップ-2.70%(ほぼ妥当)
インプライドWACC30.00%
AI推定WACC8.00%
📖 読み方:
  • インプライド成長率 > AI推定成長率 → 市場は楽観的。期待通りの成長が実現しなければ株価下落リスク
  • インプライド成長率 < AI推定成長率 → 市場は悲観的。実態より過小評価されている可能性
  • 両者がほぼ一致 → 市場の評価はファンダメンタルに整合的

市場の期待値の評価

ラサ工業株式会社(4022)の現在株価2,024円に基づいたリバースDCF分析の結果、市場が織り込んでいるフリーキャッシュフロー(FCF)の成長率(インプライド成長率)は4.30%となりました。これは、AIが推定する将来の成長率7.00%と比較して2.70%低く、市場は同社の将来性に対して比較的慎重、あるいは「堅実」な評価を下していると言えます。過去の化学業界の平均的な成長率や同社の利益推移を鑑みると、4.30%という数値は過度な期待を含まない妥当な水準であり、現在の株価はファンダメンタルズに対して「ほぼ妥当」な範囲で推移していると評価されます。

インプライド成長率の実現可能性

市場が期待する4.30%の成長継続は、同社の事業ポートフォリオを考慮すると十分に実現可能な水準であると分析します。同社の主力製品である半導体用高純度リン酸は、生成AIの普及やDX化の進展に伴う半導体需要の構造的な拡大という追い風を受けています。また、機械事業における環境関連装置などのニッチ分野での競争力も、安定的なキャッシュフロー創出を支える要因です。AI推定の7.00%成長には、これらの外部環境の好転が最大限寄与することが前提となりますが、市場が織り込む4.30%は、原材料価格の変動や市況のサイクルといったリスク要因を一定程度織り込んだ上での、ハードルの低い目標値であると捉えることができます。

投資判断への示唆

本分析における注目点は、AI推定成長率(7.00%)とインプライド成長率(4.30%)の間に存在する-2.70%の成長率ギャップです。これは、市場の評価がAIの強気な予測に追いついていないことを示唆しており、将来的に同社がAI推定に近い成長を実現した場合、現在の株価2,024円には上昇余地が生じる可能性があります。一方で、インプライドWACCが30.00%という極めて高い数値を示している点は注意が必要です。これは市場が同社の事業継続やキャッシュフローの安定性に対して、通常の企業よりも高いリスクプレミアムを要求している、あるいは資本効率の改善を強く求めていることの表れかもしれません。投資家の皆様においては、この「期待値の低さ」を割安感と捉えるか、あるいは「相応のリスク」と捉えるかが、判断の分かれ目となります。

拡張感応度分析・シナリオ分析

感度分析: WACC × FCF成長率(理論株価: 円)

金利上昇はWACCの増加、景気後退はFCF成長率の低下として理論株価に影響します。

WACC →
FCF成長率 ↓
6.0%7.0%8.0%9.0%10.0%
2.0%1,9861,8911,8001,7141,633
4.5%2,2552,1472,0451,9481,857
7.0%2,5492,4282,3132,2052,102
9.5%2,8712,7362,6072,4862,371
12.0%3,2233,0722,9292,7932,665

※ 緑色: 現在株価(2,024円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 現在の前提条件

シナリオ分析(楽観・基本・悲観)

金利環境・景気動向の変化に応じた3つのシナリオで理論株価を比較します。

楽観シナリオ
WACC: 6.5% / FCF成長率: 12.0%
永久成長率: 1.5%
3,146円
+55.4%
基本シナリオ
WACC: 8.0% / FCF成長率: 7.0%
永久成長率: 1.0%
2,313円
+14.3%
悲観シナリオ
WACC: 9.5% / FCF成長率: 1.0%
永久成長率: 0.5%
1,587円
-21.6%

シナリオ分析の総合評価

ラサ工業(4022)の理論株価は、基本シナリオにおいて2,313円と算出され、現在の市場価格(2,024円)を14.3%上回る水準にあります。分析結果のレンジは、悲観シナリオの1,587円から楽観シナリオの3,146円と幅広く、事業環境の変化による株価変動の大きさが示唆されています。現在の株価は、基本シナリオと悲観シナリオの中間付近に位置しており、市場は一定の成長を織り込みつつも、将来の不透明感に対して慎重な姿勢を保っていると評価できます。

金利変動の影響

本分析におけるWACC(加重平均資本コスト)の変動は、理論株価に対して極めて高い感応度を持っています。基本シナリオのWACC 8.0%から、楽観シナリオの6.5%(-1.5%)への低下は、他の要因と相まって株価を50%以上押し上げる要因となります。一方で、金利上昇や株主資本コストの増大によりWACCが9.5%(+1.5%)まで上昇する場合、理論株価は大幅に毀損されます。同社は設備投資を必要とする化学・機械事業を展開しているため、資本コストの上昇はバリュエーションを押し下げる直接的なリスク要因となる点に注意が必要です。

景気変動の影響

FCF(フリー・キャッシュ・フロー)成長率の設定が、下値リスクの大きさを決定づけています。基本シナリオの成長率7.0%が維持される限り、現在の株価には割安感が見出せますが、景気後退や半導体・機械需要の減退により成長率が1.0%まで鈍化する(悲観シナリオ)と、理論株価は1,587円まで下落し、現状から約21.6%の調整を余儀なくされる計算となります。特に永久成長率を1.0%から0.5%へ下方修正した際の影響も大きく、長期的な市場シェアと競争力の維持が下値支えの鍵となります。

投資判断への示唆

現在の株価2,024円は、基本シナリオの理論株価(2,313円)に対して約12.5%の安全域(マージン・オブ・セーフティ)を確保している状態です。これは、同社が今後数年間にわたり年率7%程度のキャッシュフロー成長を継続できると判断する投資家にとっては、エントリーを検討しうる水準と言えます。しかし、最悪のケース(悲観シナリオ)では20%超の下落余地があることも否定できず、投資にあたっては、主要顧客である半導体業界のサイクルや、金利環境の変化を注視しながら、自身のリスク許容度に応じたポジション管理が求められます。

モンテカルロシミュレーション

シミュレーション結果サマリー

WACC・FCF成長率・永久成長率をそれぞれ正規分布でランダムに変動させ、100,000回のDCF計算を実行した結果です。DCF計算の非線形性(特にゴードン成長モデルの割引構造)により、理論株価の分布は対数正規分布に近い形状となるため、ヒストグラムは対数スケールで表示しています。

平均理論株価
1,283円
中央値
1,257円
90%レンジ(5-95%点)
914 〜 1,741円
割安確率
0.9%
理論株価 > 現在株価
モンテカルロシミュレーション:理論株価の確率分布(100,000回・対数スケール)0.0%1.2%2.3%3.5%4.6%5.8%844円940円1,047円1,166円1,298円1,446円1,611円1,794円シミュレーション分布現在株価

※ ヒストグラムは対数スケールで表示し、外れ値の影響を抑えるため分布の中央96%(2〜98パーセンタイル)を表示しています。対数スケールにより、DCF計算の非線形性に起因する右裾の歪みが補正され、分布の形状をより正確に把握できます。平均・中央値・パーセンタイルなどの統計値は元のスケールで有効サンプル全体から計算しています。

理論株価のパーセンタイル分布

シミュレーション結果を小さい順に並べたとき、各パーセンタイルにおける理論株価を示します。

パーセンタイル 5% 10% 25% 50% 75% 90% 95%
理論株価914円980円1,103円1,257円1,434円1,618円1,741円

※ 緑色: 現在株価(2,024円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 中央値(50%タイル)

リスク指標

理論株価の標準偏差 256円
5% VaR(下位5%タイル) 914円
変動係数(CV = σ / 平均) 20.0%
有効シミュレーション数 100,000 / 100,000

確率分布の解釈

今回のモンテカルロシミュレーションの結果、ラサ工業(4022)の理論株価は、平均値1,283円、中央値1,257円となりました。平均値が中央値を上回るこの分布は、DCF法の特性を反映した「対数正規分布」に近い右に裾を引く形状を示しています。これは、低いWACCや高いFCF成長率が組み合わさった際に理論株価が大きく跳ね上がる可能性(アップサイド)を示唆する一方で、最頻値付近は平均よりも低い位置に集中していることを意味します。理論株価の90%信頼区間(5パーセンタイルから95パーセンタイル)は914円から1,741円の範囲に収まっており、事業環境や資本コストの変動によって、適正価格がこの広いレンジ内で推移する可能性が統計的に示されています。

リスク評価

リスク面では、5% VaR(バリュー・アット・リスク)が914円と算出されました。これは、不運なシナリオ(低い成長率と高い資本コストが重なる事態)が起きた場合でも、95%の確率で理論株価は914円を維持することを示しています。変動係数(CV)は約19.9%(256円÷1,283円)であり、前提条件の変動が理論株価に与える影響度は、化学セクターの銘柄としては標準的な範囲内にあります。ただし、5パーセンタイル(914円)と95パーセンタイル(1,741円)の差が827円と大きく、将来のキャッシュフローや資本コストの見極めが評価額に極めて大きな影響を与える、不確実性の高い構造であることが読み取れます。

現在株価の統計的位置づけ

現在株価2,024円は、本シミュレーションで得られた理論株価の分布において、極めて高い水準に位置しています。特筆すべきは「割安確率」が0.9%という点です。これは、10万回の試行のうち、理論株価が現在株価を上回ったケースがわずか900回程度しかなかったことを意味します。現在株価は95パーセンタイル値(1,741円)をも大幅に超えており、統計的には「極めて稀な楽観的シナリオ」が現実の株価に織り込まれている、あるいはシミュレーションの前提(平均成長率7.0%等)を凌駕する急激な成長を市場が期待している状況と言えます。

投資判断への示唆

本シミュレーションの結果に基づくと、現在の株価2,024円は理論的な平均値(1,283円)に対して約58%のプレミアムで取引されており、バリュエーションの観点からは慎重な判断が求められる局面です。投資の安全域(マージン・オブ・セーフティ)はマイナスの状態にあり、保守的な投資家にとってはエントリーの妥当性を見出すのが難しい水準です。一方で、株価が統計的な上限(1,741円)を突き抜けて推移している背景には、今回のパラメータ設定には含まれていない潜在的な成長因子や、特定の材料、あるいは市場全体の需給要因が寄与している可能性があります。投資にあたっては、この乖離を正当化するだけの追加的な成長シナリオ(例:革新的な新製品による市場シェア拡大や、大幅な利益率改善)の有無を精査することが不可欠です。

📖 モンテカルロシミュレーションの読み方:
  • 割安確率: シミュレーション結果のうち、理論株価が現在株価を上回った割合。50%超なら統計的に割安寄り
  • 90%レンジ(5-95%点): 全シミュレーション結果を並べたときの下位5%点から上位95%点までの範囲。幅が広いほど不確実性が高い
  • 5% VaR: 悲観的な条件下でも95%の確率でこの値以上になると期待される最低ライン
  • 変動係数: 平均に対する標準偏差の比率。30%超だとパラメータ感度が高い(結果の信頼性に注意)
⚠️ 免責事項: 本モンテカルロシミュレーションはAIが推定したパラメータの分布に基づく統計的な参考値であり、投資助言ではありません。 入力パラメータに正規分布を仮定し、DCF計算の非線形性により出力は対数正規分布に近い形状となります。パラメータ間の独立性の仮定など、実際の市場とは異なる前提を含んでいます。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

EPS/BPSベース理論株価分析

理論株価モデルの前提条件

パラメータ 説明
直近EPS 107.50円 1株あたり利益
直近BPS 775.48円 1株あたり純資産
1株配当 34.00円 年間配当金
EPS成長率 7.5% 予測期間中の年平均
割引率 9.5% 将来EPSの割引率
想定PER 18.80倍 理論株価算出に使用

EPS/BPS予測と理論株価

年度 期首BPS EPS 配当 自己資本増加 期末BPS ROE(%) EPS成長率(%) PER(倍) PBR(倍) DCF 理論株価
2026年3月 775.48 107.50 34.00 73.50 848.98 13.86 0.00 18.80 2.38 107.50 2,021
2027年3月 848.98 115.56 34.00 81.56 930.54 13.61 7.50 18.80 2.33 105.54 2,173
2028年3月 930.54 124.23 34.00 90.23 1020.77 13.35 7.50 18.80 2.29 103.61 2,336
2029年3月 1020.77 133.55 34.00 99.55 1120.32 13.08 7.50 18.80 2.24 101.72 2,511
2030年3月 1120.32 143.56 34.00 109.56 1229.88 12.81 7.50 18.80 2.19 99.86 2,699
ターミナル 1714.47
PER×EPS 理論株価
2,021円
-0.1%
DCF合計値
2,232.7円
+10.3%
現在の株価
2,024円

DCF内訳

予測期間EPS現在価値合計(5年分) 518.23円
ターミナルバリュー現在価値 1714.47円(全体の76.8%)
DCF合計理論株価 2,232.7円

EPS/BPSモデルの総合評価

ラサ工業(4022)の現在の株価2,024円に対し、PER×EPSモデルによる理論株価は2,021円、DCF合計理論株価は2,232.7円と算出されました。 短期的な指標であるPERベースの理論株価は現在株価とほぼ一致しており、市場価格は足元の利益水準を適正に織り込んでいると言えます。 一方、将来のキャッシュフローを割り引いたDCFベースでは現在株価に対して+10.3%の乖離(割安)が認められます。 これは、今後5年間で期待される年率7.5%の利益成長が継続する場合、中長期的な株価の上昇余地が残されている可能性を示唆しています。

ROE推移の見通し

本モデルにおけるROE(自己資本利益率)の推移に注目すると、2026年3月期の13.86%から、2030年3月期には12.81%へと緩やかに低下する予測となっています。 これは、利益成長(EPS成長率7.5%)を上回るペースで内部留保が蓄積され、BPS(1株当たり純資産)が775.48円から1,229.88円へと拡大するためです。 一般に日本企業のROEは8〜10%が目安とされる中、予測期間を通じて12%台後半を維持できる点は、同社の収益性の高さを裏付けています。 ただし、資本効率の低下を抑制するためには、将来的な配当性向の引き上げや自己株式買いなど、株主還元施策の強化がPBR(株価純資産倍率)を維持する鍵となるでしょう。

前提条件の妥当性

本シミュレーションでは、EPS成長率を7.5%、割引率を9.5%と設定しています。 ラサ工業が展開する半導体関連や精密化学品分野の市場環境を鑑みると、7.5%の成長継続は一定の合理性を有しますが、景気サイクルや原材料価格の変動リスクを考慮する必要があります。 想定PER 18.80倍は、同社の過去の推移や同業他社の水準と比較してやや強気な設定とも取れますが、高ROEを維持できれば許容される範囲内と考えられます。 一方で、割引率9.5%は中型株のリスクプレミアムを適切に反映しており、保守的な見積もりとして妥当な水準です。

投資判断への示唆

以上の分析から、ラサ工業の株価は現在、短期的な収益性に基づいた適正水準にあるものの、中長期的な成長シナリオを前提とすれば、上値余地を有していると解釈できます。 投資家にとっての注目点は、予測通りのEPS成長が実現されるか、そして積み上がる内部留保をどのように活用してROEの低下を食い止めるかという経営戦略の進展にあります。 モデル上はDCF乖離率が+10.3%とプラス圏にあるため、現在の株価は投資の安全域をある程度確保している状態と言えますが、最終的な投資判断は、今後の事業環境の変化や資本効率の推移を注視しつつ、慎重に検討されることを推奨いたします。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

過去4年間のEPS推移から算出されるCAGRは約7.6%であり、足元の107.50円への急増を考慮しつつも、化学・機械セクターの景気循環性を踏まえ、持続可能な成長率を7.5%と推定しました。割引率は、中小型株特有のリスクプレミアムと、PBR2.61倍という市場の高評価を反映し、標準的な資本コストに準じた9.5%に設定しています。高水準なROEの維持が期待される一方、利益の変動性を考慮した保守的な見積もりとしています。

⚠️ 免責事項: 本理論株価分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 EPS成長率・割引率・PER等の前提条件により結果は大きく変動します。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

EPS成長率0%が続く場合の理論株価

将来のEPS成長率を0%(横ばい)と仮定した場合の試算です。本編のベースシナリオとは前提が異なります。

理論株価モデルの前提条件

パラメータ 説明
直近EPS 107.50円 1株あたり利益
直近BPS 775.48円 1株あたり純資産
1株配当 34.00円 年間配当金
EPS成長率 0.0% 予測期間中の年平均
割引率 9.5% 将来EPSの割引率
想定PER 18.80倍 理論株価算出に使用

EPS/BPS予測と理論株価

年度 期首BPS EPS 配当 自己資本増加 期末BPS ROE(%) EPS成長率(%) PER(倍) PBR(倍) DCF 理論株価
2026年3月 775.48 107.50 34.00 73.50 848.98 13.86 0.00 18.80 2.38 107.50 2,021
2027年3月 848.98 107.50 34.00 73.50 922.48 12.66 0.00 18.80 2.19 98.17 2,021
2028年3月 922.48 107.50 34.00 73.50 995.98 11.65 0.00 18.80 2.03 89.66 2,021
2029年3月 995.98 107.50 34.00 73.50 1069.48 10.79 0.00 18.80 1.89 81.88 2,021
2030年3月 1069.48 107.50 34.00 73.50 1142.98 10.05 0.00 18.80 1.77 74.77 2,021
ターミナル 1283.80
PER×EPS 理論株価
2,021円
-0.1%
DCF合計値
1,735.78円
-14.2%
現在の株価
2,024円

DCF内訳

予測期間EPS現在価値合計(5年分) 451.98円
ターミナルバリュー現在価値 1283.80円(全体の74%)
DCF合計理論株価 1,735.78円

0%成長シナリオの意味

本シナリオは、ラサ工業の将来的な収益拡大が完全に停止し、EPS(1株当たり純利益)が直近水準の107.50円で横ばいに推移すると仮定した「保守的なサンドボックス分析」です。この条件下でのPERベースの理論株価は2,021円となり、現在の市場価格(2,024円)とほぼ一致します。

これは、現在の株価が「将来の成長をほとんど織り込んでいない」か、あるいは「現状の利益水準が永続することを前提とした下値支持線」にあることを示唆しています。投資判断の観点からは、現状の利益が維持される限り、株価は現在の水準で一定の妥当性を持つと解釈できます。一方で、DCF法(割引現在価値)に基づく理論株価は1,735.78円と算出されており、時間価値を考慮すると、成長が伴わない場合には現状価格はやや割高(-14.2%の乖離)であるという側面も併せ持っています。

ベースシナリオとの対比

本編のベースシナリオ(成長率約7.5%)と本0%成長シナリオを比較すると、成長性の欠如が企業価値に与える影響が明確になります。ベースシナリオでは成長によるEPSの上乗せが理論株価を押し上げる要因となりますが、0%成長では内部留保が蓄積される一方で利益が増えないため、ROE(自己資本利益率)が2026年3月期の13.86%から2030年3月期には10.05%へと段階的に低下する「資本効率の悪化」が顕著に表れています。

この数値の差は「成長のプレミアム」を意味します。現在の株価が2,024円付近で停滞している場合、市場はラサ工業に対して、本編ベースシナリオ(7.5%)のような成長期待よりも、本シナリオに近い「安定・停滞」に近い評価を下している可能性があります。したがって、今後会社側が成長戦略の進捗を示し、EPSの拡大を証明できれば、この成長率の差分が株価の上昇余力(アップサイド)に転じる可能性があります。

留意点

本モデルは、入力された特定の前提条件に基づくシミュレーションであり、将来の株価推移を保証するものではありません。以下の点に留意が必要です。

  • ROEの低下傾向: 利益が成長しない中で配当性向が変わらない場合、自己資本だけが積み上がり、資本効率(ROE)は低下し続けます。これは将来的なPERの低下(マルチプルの収縮)を招くリスクを孕んでいます。
  • 外部環境の変動: リン酸事業や工業薬品事業における市況変動、原材料コストの増減によってEPSが107.50円を下回った場合、理論株価はさらに切り下がることになります。
  • 割引率の設定: 割引率(9.5%)や想定PER(18.8倍)の設定値が変わることで、算出される理論株価は大きく変動します。

以上の分析は投資判断の参考情報として提供するものであり、最終的な投資決定は、最新の決算短信や中期経営計画の進捗を確認の上、ご自身の責任において行われるようお願いいたします。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

過去4年間のEPS推移から算出されるCAGRは約7.6%であり、足元の107.50円への急増を考慮しつつも、化学・機械セクターの景気循環性を踏まえ、持続可能な成長率を7.5%と推定しました。割引率は、中小型株特有のリスクプレミアムと、PBR2.61倍という市場の高評価を反映し、標準的な資本コストに準じた9.5%に設定しています。高水準なROEの維持が期待される一方、利益の変動性を考慮した保守的な見積もりとしています。

⚠️ 免責事項: 本理論株価分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 EPS成長率・割引率・PER等の前提条件により結果は大きく変動します。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

拡張感度分析: WACC × FCF成長率(理論株価: 円)

WACC(加重平均資本コスト)は、株主資本コストと負債コストを資本構成比率で加重平均した「企業の資金調達コスト」です。WACCが高いほど将来キャッシュフローの現在価値は低くなり、理論株価は下がります。FCF成長率は、営業キャッシュフローから設備投資を差し引いた「企業が自由に使えるキャッシュ(フリーキャッシュフロー)」が年率何%で伸びるかの想定値です。

基準のWACC(8.0%)とFCF成長率(7.0%)から±100bpの範囲で、1%刻みの理論株価をシミュレーションします。

📊 巨大感度分析テーブルを計算中...

拡張感度分析: 割引率 × EPS成長率(理論株価: 円)

割引率は、将来の利益やキャッシュフローを現在価値に換算するための率で、投資家が求めるリターン(期待収益率)に相当します。割引率が高いほど将来利益の現在価値は低くなり、理論株価は下がります。EPS成長率は、1株当たり利益(EPS: Earnings Per Share)が年率何%で伸びるかの想定値です。

基準の割引率(9.5%)とEPS成長率(7.5%)から±100bpの範囲で、1%刻みの理論株価をシミュレーションします。

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拡張感度分析: PER × EPS(理論株価: 円)

PER(株価収益率)は、株価が1株あたり利益(EPS)の何倍で評価されているかを示す指標です。PERが高いほど市場がその企業の将来成長に高い期待を持っていることを意味します。EPS(1株あたり利益)は、企業の純利益を発行済株式数で割った値で、1株あたりの収益力を表します。

基準のPER(18.8倍)とEPS(108円)から、PERは1倍刻み(±100倍)・EPSは1%刻み(±100%)の理論株価をシミュレーションします。

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拡張感度分析: PBR × BPS(理論株価: 円)

PBR(株価純資産倍率)は、株価が1株あたり純資産(BPS)の何倍で評価されているかを示す指標です。PBRが1倍を下回ると、株価が解散価値を下回っていることを意味し、割安と判断される場合があります。BPS(1株あたり純資産)は、企業の純資産を発行済株式数で割った値で、1株あたりの解散価値を表します。

基準のPBR(2.6倍)とBPS(775円)から、PBRは0.1倍刻み(±10.0倍)・BPSは1%刻み(±100%)の理論株価をシミュレーションします。

📊 巨大感度分析テーブルを計算中...

残留利益モデル分析(Residual Income Model)

残留利益モデル(Residual Income Model)

残留利益モデルは、現在のBPS(1株純資産)に将来の「超過利益」の現在価値を加算して理論株価を算出します。 株主資本コストを上回るROEを持続できる企業ほど、BPSに大きなプレミアムが付きます。

理論株価 = BPS₀ + Σ[(ROEₜ − r) × BPSₜ₋₁ / (1+r)ᵗ] + TV/(1+r)ⁿ

前提条件

パラメータ 説明
直近BPS 775.48円 1株あたり純資産(出発点)
直近EPS 107.50円 1株あたり利益
株主資本コスト (r) 9.5% 株主の要求収益率(エクイティチャージの基準)
EPS成長率 7.5% 予測期間中の年平均
1株配当 34.00円 年間配当金(BPS蓄積に影響)
予測年数 5年 個別予測期間

残留利益の年次予測

年度 期首BPS EPS ROE(%) エクイティチャージ 残留利益 PV(残留利益) 期末BPS
2026年3月 775.48 107.50 13.86 73.67 33.83 30.89 848.98
2027年3月 848.98 115.56 13.61 80.65 34.91 29.11 930.54
2028年3月 930.54 124.23 13.35 88.40 35.83 27.29 1020.77
2029年3月 1020.77 133.55 13.08 96.97 36.57 25.44 1120.32
2030年3月 1120.32 143.56 12.81 106.43 37.13 23.59 1229.88
ターミナル 残留利益の永続価値: 390.84円 → PV: 248.27円 248.27
理論株価の構成
現在BPS
775.48円
簿価部分
+
残留利益PV合計
136.33円
超過利益の現在価値
+
ターミナルPV
248.27円
永続価値の現在価値
=
RIM理論株価
1,160円
-42.7%
現在の株価: 2,024円
残留利益モデル:ROEとエクイティチャージの推移9.0%10.0%11.0%12.0%13.0%14.0%2627282930ROE(%)株主資本コスト(9.5%)
残留利益と現在価値の推移20円25円30円35円40円2627282930残留利益(円)PV(残留利益)(円)
📖 残留利益モデルの読み方:
  • 残留利益 > 0(ROE > 株主資本コスト)→ 企業はBPS以上の価値を創出。理論株価 > BPS となりプレミアム付与
  • 残留利益 < 0(ROE < 株主資本コスト)→ 資本効率が不十分。理論株価 < BPS となりディスカウント
  • DCF法との違い: RIMはBPS(純資産)を出発点とするため、資産ベースの評価に強く、安定企業・金融機関の評価に適しています

残留利益の評価

ラサ工業の残留利益(Residual Income)は、予測期間(2026年3月期〜2030年3月期)において一貫してプラスで推移する見通しです。ROEが13.86%から12.81%と、設定された株主資本コスト(9.5%)を継続的に上回っていることは、同社が資本効率の面で株主の期待を超える付加価値を創出できていることを示しています。期間中の残留利益は33.83円から37.13円へと緩やかに増加しており、事業を通じた経済的付加価値の蓄積が確認できます。ただし、ROEが漸減傾向にある点は、将来的な収益性の維持能力に注目すべきポイントと言えます。

BPSプレミアム/ディスカウントの解釈

本モデルによる理論株価1,160円は、期首BPS(775.48円)に対して約384.52円(約50%)のプレミアムが付与された形となっています。このプレミアムの内訳は、5年間の残留利益PV合計(136.33円)と、それ以降の継続価値を示すターミナルバリューPV(248.27円)で構成されています。ROEがコストを上回る「バリュー・クリエイター」としての評価は確立されており、会計上の純資産を超えた企業価値の存在が理論的に裏付けられています。しかし、理論上のPBR(株価純資産倍率)は約1.5倍に留まっており、現在の市場評価との間には認識の差が存在します。

他の評価手法との比較

本RIMによる理論株価(1,160円)と現在株価(2,024円)との間には、-42.7%という大幅な乖離が見られます。この乖離は、以下の要因に起因する可能性があります。まず、PER(株価収益率)の観点では、市場は本モデルで設定したEPS成長率(7.5%)を大きく上回る成長、あるいは半導体関連材料等の高付加価値分野での急激な需要拡大を織り込んでいる可能性が考えられます。また、DCF法と比較した場合、RIMは会計利益に基づくため、保守的な減価償却費等の影響を受けやすい特性があります。市場は同社のキャッシュフロー創出力や、保有資産の含み益などをより高く評価している可能性が示唆されます。

投資判断への示唆

今回の残留利益モデルの結果は、ラサ工業が健全な収益性を維持している一方で、現在の市場価格(2,024円)を正当化するためには、本モデルの設定条件(資本コスト9.5%、成長率7.5%)を上回るパフォーマンスが必要であることを示しています。投資家は、市場が期待している「モデル外の成長要因」が何であるかを精査する必要があります。例えば、リン系製品の市況改善や新事業の寄与度などが、想定以上のROE向上をもたらすシナリオを描けるかどうかが鍵となります。本モデルはあくまで一定の仮定に基づく一つの基準であり、最終的な投資判断においては市場の期待値と実態の収益力のギャップをどう評価するかが重要です。

⚠️ 注意: 残留利益モデルの結果は、EPS成長率・株主資本コスト・BPSの前提条件に大きく依存します。 また、会計基準の違い(日本基準/IFRS)によりBPSの定義が異なる場合があります。投資判断の際は他の手法と合わせてご検討ください。

リバースDCF分析(EPSベース・市場の期待値)

市場が織り込んでいる成長期待

現在の株価(2,024円)を正当化するために必要なインプライドEPS成長率を逆算しました。

インプライドEPS成長率
4.5%
市場が織り込む成長率
AI推定EPS成長率
7.5%
ファンダメンタル分析ベース
成長率ギャップ
-3.0%
ほぼ妥当

リバースDCF詳細

現在の株価2,024円
インプライドEPS成長率4.53%
AI推定EPS成長率7.50%
成長率ギャップ-2.97%(ほぼ妥当)
インプライド割引率50.00%
AI推定割引率9.50%
📖 読み方:
  • インプライド成長率 > AI推定成長率 → 市場は楽観的。期待通りの成長が実現しなければ株価下落リスク
  • インプライド成長率 < AI推定成長率 → 市場は悲観的。実態より過小評価されている可能性
  • 両者がほぼ一致 → 市場の評価はファンダメンタルに整合的

市場の期待値の評価

ラサ工業(4022)の現在株価2,024円から算出されるインプライドEPS成長率は4.53%となりました。これは、現在の市場価格が「今後、同社の1株当たり利益(EPS)が年平均で約4.5%程度成長し続ける」というシナリオを織り込んでいることを示しています。AIによる推定EPS成長率である7.50%と比較すると、市場の期待値は-2.97%低く見積もられており、現在の株価水準は企業の潜在的な成長力に対して、過熱感のない「ほぼ妥当」もしくは「やや控えめ」な評価を受けている状態と言えます。

インプライド成長率の実現可能性

市場が織り込んでいる4.53%という成長率は、製造業の中長期的な成長ペースとしては決して非現実的な数値ではありません。一方で、AIが推定する7.50%という成長率は、半導体関連材料(高純度リン酸など)や環境・資源分野における需要拡大を見込んだ、より強気なシナリオに基づいていると考えられます。この2.97%のギャップは、投資家が同社の事業環境(原材料価格の変動や市況サイクルの影響)に対して慎重な姿勢を保っていることを示唆しています。もし、同社がAIの推定に近い7%台の成長を達成、あるいは維持できる証跡(決算数値の進捗など)が示された場合、現在の期待値は上方修正される余地を内包しています。

投資判断への示唆

本分析における特筆すべき点として、インプライド割引率(50.00%)とAI推定割引率(9.50%)の間に極めて大きな乖離が見られます。このインプライド割引率の高さは、市場が同社の将来キャッシュフローに対して非常に高いリスクプレミアムを要求している、あるいは株価が極めて保守的な前提で形成されている可能性を提示しています。インプラド成長率4.53%という水準を「十分に達成可能なハードル」と捉えるならば、現状の株価は下値不安の少ない水準と解釈できます。一方、AIの予測する7.50%の成長を信じるのであれば、現在の市場評価は過小評価されているという判断になります。最終的な投資判断にあたっては、同社の主力製品である化学品や機械事業の受注動向、および資本コストに対する市場の認識変化を注視することが重要です。

感応度分析・シナリオ分析

感度分析: 割引率 × EPS成長率(理論株価: 円)

金利上昇は割引率の増加、景気後退はEPS成長率の低下として理論株価に影響します。

割引率 →
EPS成長率 ↓
7.5%8.5%9.5%10.5%11.5%
2.5%2,0441,9651,8901,8191,752
5.0%2,2242,1382,0561,9781,904
7.5%2,4182,3232,2332,1472,066
10.0%2,6242,5202,4222,3292,240
12.5%2,8452,7322,6242,5222,426

※ 緑色: 現在株価(2,024円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 現在の前提条件

シナリオ分析(楽観・基本・悲観)

金利環境・景気動向の変化に応じた3つのシナリオで理論株価を比較します。

楽観シナリオ
割引率: 8.0% / EPS成長率: 13.0%
2,832円
+39.9%
基本シナリオ
割引率: 9.5% / EPS成長率: 7.5%
2,233円
+10.3%
悲観シナリオ
割引率: 11.0% / EPS成長率: 2.0%
1,755円
-13.3%

シナリオ分析の総合評価

ラサ工業株式会社(証券コード:4022)の現在株価(2,024円)を基準としたシナリオ分析の結果、理論株価は1,755円から2,832円という広いレンジが算出されました。基本シナリオにおける理論株価は2,233円であり、現状の株価はこれに対して約10.3%割安な水準にあります。現在株価は悲観シナリオ(1,755円)と基本シナリオの中間に位置しており、市場は一定の不透明感やリスクを織り込みつつも、基本シナリオが示す成長性に対してはやや慎重な評価を下している状況と言えます。

金利変動の影響

本分析における割引率(資本コスト)の変化は、理論株価に顕著な影響を与えています。基本シナリオの割引率9.5%に対し、楽観シナリオで8.0%まで低下(リスクプレミアムの縮小や金利低下を想定)した場合には、理論株価を大きく押し上げる要因となります。一方で、悲観シナリオのように割引率が11.0%まで上昇した場合、現在株価を約13.3%下回る1,755円まで評価が低下します。これは、同社の企業価値が資本コストの変化に対して敏感であり、マクロ経済環境や金利動向が投資リターンを左右する重要な変数であることを示唆しています。

景気変動の影響

EPS(1株当たり純利益)成長率の前提も、評価額に決定的な差をもたらしています。基本シナリオの7.5%に対し、高純度リン酸などの半導体関連需要や機械事業の伸長を背景とした楽観シナリオ(成長率13.0%)では、理論株価は2,832円(+39.9%)と大幅な上昇余地を示します。しかし、景気後退や需要減退により成長率が2.0%に留まる悲観シナリオでは、成長価値が大幅に剥落する計算となります。同社の収益構造が産業サイクルや半導体市場の動向に依存している点を考慮すると、この成長率の振れ幅は妥当な検証範囲と言えます。

投資判断への示唆

今回の分析結果を整理すると、現在株価の2,024円は、基本シナリオが想定する成長路線を完全には織り込んでいない水準にあります。楽観シナリオへの上振れ期待(約+40%)が悲観シナリオへの下振れリスク(約-13%)を上回っており、リスク・リワードの観点からは、現時点では上方へのポテンシャルを評価しやすい配置となっています。投資家の皆様におかれましては、同社の主力製品である化学品や機械部門の受注動向、および市場全体の割引率に影響を与える金利環境を注視し、どのシナリオの実現可能性が最も高いかを精査した上で、各自の投資基準に照らしてご判断ください。

限界利益分析(CVP分析)

高低点法による費用構造の推定

売上高が最大の年度と最小の年度を比較し、総費用(売上高−営業利益)の変化から変動費率と固定費を推定します。

推定変動費率
90.2%
売上高に対する変動費の割合
推定限界利益率
9.8%
1 − 変動費率
推定固定費
664
百万円
基準: 2023年 3月期 連結(売上高 52,600 百万円)と 2017年 3月期 連結(売上高 23,283 百万円)の比較

年度別 限界利益指標

年度 売上高 限界利益 限界利益率 損益分岐点 安全余裕率 経営レバレッジ
17年 3月期 24,500 2,405 9.8% 6,760 72.4% 1.85倍
17年 3月期 23,283 2,286 9.8% 6,760 71.0% 1.41倍
17年 3月期 23,283 2,286 9.8% 6,760 71.0% 1.41倍
17年 3月期 23,283 2,286 9.8% 6,760 71.0% 1.41倍
18年 3月期 26,000 2,552 9.8% 6,760 74.0% 1.22倍
18年 3月期 27,000 2,651 9.8% 6,760 75.0% 1.06倍
18年 3月期 27,000 2,651 9.8% 6,760 75.0% 0.95倍
18年 3月期 27,427 2,692 9.8% 6,760 75.3% 0.95倍
19年 3月期 30,999 3,043 9.8% 6,760 78.2% 1.18倍
20年 3月期 30,500 2,994 9.8% 6,760 77.8% 1.76倍
20年 3月期 29,759 2,921 9.8% 6,760 77.3% 1.56倍
21年 3月期 29,400 2,886 9.8% 6,760 77.0% 1.37倍
21年 3月期 28,978 2,845 9.8% 6,760 76.7% 1.07倍
22年 3月期 31,500 3,092 9.8% 6,760 78.5% 1.15倍
22年 3月期 35,400 3,475 9.8% 6,760 80.9% 1.00倍
22年 3月期 35,411 3,476 9.8% 6,760 80.9% 1.00倍
23年 3月期 52,600 5,164 9.8% 6,760 87.2% 1.15倍
23年 3月期 49,600 4,869 9.8% 6,760 86.4% 1.05倍
24年 3月期 43,000 4,221 9.8% 6,760 84.3% 1.30倍
24年 3月期 42,788 4,200 9.8% 6,760 84.2% 1.17倍
25年 3月期 45,421 4,459 9.8% 6,760 85.1% 0.94倍
26年 3月期 47,700 4,683 9.8% 6,760 85.8% 0.81倍
売上高と損益分岐点売上高の推移01億2億3億4億5億6億1717182021222426売上高(百万円)損益分岐点(百万円)
安全余裕率と経営レバレッジの推移0.020.040.060.080.0100.01717182021222426安全余裕率(%)経営レバレッジ(倍)
直近年度の損益分岐点分析(2026年 3月期 連結)
売上高
47,700
百万円
損益分岐点
6,760
百万円
安全余裕率
85.8%
十分な安全余裕
経営レバレッジ
0.81倍
低い経営リスク

費用構造の評価

ラサ工業株式会社の費用構造は、推定変動費率が90.2%と非常に高く、一方で推定固定費は664百万円という極めて低い水準に抑えられているのが特徴です。この数値から、同社は典型的な「変動費型」の事業特性を持っていると分析されます。限界利益率は9.8%と、製造業としては比較的薄利な構造ですが、売上高(直近数年で約400億〜500億円規模)に対して固定費の負担が非常に小さいため、少額の売上であっても固定費を回収しやすい体質であることが伺えます。原材料価格の変動が利益に直結しやすい反面、稼働率低下による損失リスクは限定的であると言えます。

損益分岐点と安全余裕率

損益分岐点売上高は6,760百万円と推定され、近年の実績売上高(40,000百万円〜50,000百万円台)に対して著しく低い水準にあります。この結果、安全余裕率は2023年3月期(連結)で87.2%、2024年3月期(連結)で84.2%と、一般的な優良水準とされる30%を大幅に上回る驚異的な数値を記録しています。これは、仮に売上高が80%減少したとしても赤字に転落しにくい極めて強固な収益構造を維持していることを示しており、不況や急激な需要減退に対する耐性が非常に高いことが評価されます。

経営レバレッジとリスク

経営レバレッジは直近数年で0.81倍から1.30倍の間で推移しており、1.0倍に近い水準にあります。経営レバレッジが低いことは、売上高の増減が営業利益の増減に与える影響が限定的であることを意味します。つまり、売上が急増しても利益が爆発的に増える「レバレッジ効果」は期待しにくい一方で、売上減少時の利益の落ち込みも緩やかになります。リスク面では、固定費負担による倒産リスク(財務レバレッジ以前の事業リスク)は極めて低いものの、限界利益率が9.8%と低いため、原材料費の上昇などによって変動費率が数%悪化するだけで、利益に大きな打撃を与える「マージン・スクイーズ」のリスクには注意が必要です。

投資判断への示唆

限界利益分析の結果から、ラサ工業は極めて高い事業継続性と安定性を備えた企業であると考察されます。損益分岐点の低さと安全余裕率の高さは、ダウンサイドリスクに対する強力なバッファとなります。投資家としては、以下の2点を注視することが肝要です。第一に、変動費型の構造であるため、売上高の拡大よりも原材料価格のコントロールや製品価格への転嫁による「限界利益率の改善」が利益成長の鍵を握ること。第二に、経営レバレッジが低いため、利益の飛躍的な成長には純粋な販売数量の積み上げ、あるいは新規事業による利益率の底上げが必要となる点です。以上の安定性と成長性のバランスをどう評価するかが、投資判断の焦点となります。

⚠️ 注意: 本分析は高低点法による推定値です。実際の変動費・固定費は有価証券報告書の費用明細と異なる場合があります。 費用構造が大きく変化した期間を含む場合、推定精度が低下する可能性があります。投資判断の際は他の指標と合わせてご確認ください。

デュポン分析(ROE分解)

ROEの3要素分解(デュポン分析)

ROE = 純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ に分解し、収益性の源泉を可視化します。

年度 純利益率(%) × 総資産回転率(回) × 財務レバレッジ(倍) = ROE(%)
17年 3月期 6.94 × 0.783 × 2.85 = 0.15
18年 3月期 5.77 × 0.717 × 2.78 = 0.12
19年 3月期 7.34 × 0.803 × 2.57 = 0.15
20年 3月期 3.61 × 0.812 × 2.34 = 0.07
21年 3月期 5.10 × 0.796 × 2.08 = 0.08
22年 3月期 6.67 × 0.751 × 2.10 = 0.11
23年 3月期 6.08 × 1.106 × 2.11 = 0.14
24年 3月期 4.88 × 0.970 × 1.85 = 0.09
25年 3月期 6.89 × 0.991 × 1.76 = 0.12
デュポン分析:ROEの3要素推移0.0%2.0%4.0%6.0%8.0%1719212325純利益率(%)ROE(%)
総資産回転率と財務レバレッジの推移0.501.001.502.002.503.001719212325総資産回転率(回)財務レバレッジ(倍)
直近年度のROE構成(2025年 3月期 連結)
純利益率
6.89%
収益性
×
総資産回転率
0.991回
効率性
×
財務レバレッジ
1.76倍
借入で資本効率を76%ブースト
=
ROE
0.12%
株主資本利益率
📊 ROE変動の主因: 直近の変動は主に「純利益率」の変化によるものです。本業の収益力の変化がROEに直結しています。

ROEの質の評価

ラサ工業のROE(自己資本利益率)は、過去9年間で7%から15.5%の間で推移しており、2025年3月期(予想)では12%が見込まれています。ROE変動の主因が「純利益率」であるという点は、投資家にとって収益の質を判断する上で重要なポイントです。 特に近年のROEは、過去(2017年3月期:15.5%)と比較すると低下しているように見えますが、その中身は大きく変化しています。以前は高い財務レバレッジに依存したROEでしたが、直近では純利益率と総資産回転率のバランスによって二桁水準を維持しており、「財務体質の健全化を伴った、質の高い利益構造」へと移行しつつあると評価できます。

財務レバレッジの影響

財務レバレッジは2017年3月期の2.85倍から、2025年3月期予想では1.76倍へと大幅に低下しています。これは、同社が負債を圧縮し、自己資本を蓄積してきたことを示唆しています。 一般的に、レバレッジの低下はROEを押し下げる要因となりますが、同社はこの低下分を効率性や収益性で補いつつあります。2.85倍という高レバレッジ時代のような「負債による増幅効果」は薄れていますが、その分、金利上昇リスクや景気後退局面における財務的な耐性は、数年前と比較して格段に向上していると言えます。過剰レバレッジのリスクは現状、限定的であると分析されます。

トレンド分析

経年推移から読み取れる最も顕著な構造変化は、「資産効率の改善」と「財務健全化の並行」です。 総資産回転率は2017年〜2022年まで0.7〜0.8回台で停滞していましたが、2023年3月期に1.106回へと急上昇し、その後も0.9回後半を維持しています。これは保有資産がより効率的に売上を生み出す構造に変化したことを示しています。 一方、純利益率は2020年3月期(3.61%)を底に回復基調にあり、2025年3月期には6.89%と過去最高水準(2019年:7.34%)に迫る勢いです。レバレッジを下げながらROEを維持できているのは、この「回転率」と「利益率」の双方が底上げされた結果であり、経営効率が改善傾向にあることを物語っています。

投資判断への示唆

デュポン分析の結果から、ラサ工業は「借金頼みの高ROE」から「事業効率と収益性に基づく安定的なROE」へと変貌を遂げた企業であると捉えることができます。 投資家は、以下の2点を今後の注目材料として注視する必要があります。 1. **純利益率の安定性:** 変動の主因である利益率が、原材料価格の変動や市況の影響をどれだけコントロールし、6%台後半を維持できるか。 2. **資本配分の変化:** 財務レバレッジが1.7倍台まで低下し健全性が高まったことで、今後、余剰資金を成長投資に振り向けるのか、あるいは株主還元を強化してROEをさらに高めるのか。 財務リスクが低減した中で、現在のROE水準が事業モデルの改善によるものと判断するか、あるいは成長の踊り場と判断するか、慎重な検討が求められます。

⚠️ 注意: デュポン分析の数値はIRBankから取得した財務データに基づいています。 会計基準(日本基準/IFRS)の違いにより、株主資本の定義が異なる場合があります。

借金が利益に与える影響分析

有利子負債の概要

項目 説明
有利子負債 83億 銀行借入・社債等の利息付き負債
推定金利 1.61% 営業利益と経常利益の差から推定
推定支払利息 1億 有利子負債 × 推定金利
利息 / 純利益 比率 4.3% 純利益に対する利息負担の大きさ
推定実効税率 32.0% 1 − (純利益 / 経常利益) から推定

「もし借金がなかったら」年度別シミュレーション

有利子負債による支払利息を除外した場合の仮想利益を試算しています。

年度 有利子負債 推定利息 経常利益
実績
経常利益
借金なし
純利益
実績
純利益
借金なし
ROE
実績
ROE
借金なし
レバレッジ
効果
2017/03 109億 3億 10億 13億 17億 19億 15.49% 8.74% +6.75%pt
2018/03 122億 2億 19億 21億 15億 17億 11.50% 6.56% +4.94%pt
2019/03 134億 2億 26億 28億 23億 24億 15.16% 8.62% +6.54%pt
2020/03 116億 2億 16億 17億 11億 12億 6.85% 4.36% +2.49%pt
2021/03 101億 2億 21億 23億 15億 16億 8.45% 5.77% +2.68%pt
2022/03 111億 2億 27億 29億 21億 22億 10.53% 7.17% +3.36%pt
2023/03 122億 2億 46億 48億 32億 33億 14.17% 9.57% +4.60%pt
2024/03 89億 2億 31億 33億 21億 22億 8.78% 6.82% +1.97%pt
2025/03 83億 1億 46億 47億 31億 32億 12.00% 9.36% +2.64%pt
純利益推移: 実績 vs 借金なしシミュレーション10億15億20億25億30億35億2017/032019/032021/032023/032025/03実績純利益借金なし純利益ROE推移: 実績 vs 借金なしシミュレーション4.0%6.0%8.0%10.0%12.0%14.0%16.0%2017/032019/032021/032023/032025/03実績ROE借金なしROE
レバレッジ効果の評価(直近年度)
借金が利益を増やしている(レバレッジ効果あり)
実績ROE
12.00%
借金なしROE
9.36%
レバレッジ効果
+2.64%pt

事業利益率が借入金利を上回っており、借金によるレバレッジが株主リターン(ROE)を押し上げています。

借金の利益インパクト

ラサ工業の2025年3月期における有利子負債は83億円であり、推定支払利息は約1億円と算出されます。この支払利息が純利益に与える影響度を示す「利息/純利益比率」は4.3%にとどまっています。 過去の推移を見ると、2019年3月期の有利子負債134億円(推定利息2億円)をピークに、負債規模は縮小傾向にあります。一方で経常利益は2023年3月期以降、40億円台の高水準を維持しており、利益に対する金利負担の割合は極めて限定的です。1億円の利息支払いが利益を圧迫するリスクは現時点で低く、安定した収益構造が利息負担を十分にカバーしている状況と言えます。

レバレッジ効果の評価

財務レバレッジの効果を分析すると、直近(2025年3月期)の実績ROEは12.00%に対し、借金がなかったと仮定した「借金なしROE」は9.36%となります。この差である+2.64%ptがレバレッジ効果であり、借入金が株主資本効率(ROE)を押し上げていることを示しています。 過去の推移では、2017年から2019年にかけて+6%pt前後の高いレバレッジ効果を享受していましたが、近年は負債の圧縮(デレバレッジ)が進んだことで、効果の幅は落ち着きを見せています。しかし、一貫して数値はプラスを維持しており、事業収益率(ROA)が借入コストを上回る健全なレバレッジ経営が継続されています。

財務戦略の考察

同社の推定金利は1.61%となっており、製造業としては標準的な水準です。特筆すべきは、有利子負債を2023年3月期の122億円から2025年3月期には83億円まで、わずか2年で約3割削減している点です。これにより、財務の健全性が高まると同時に、将来的な金利上昇局面に対する耐性も強化されています。 一般的に化学・機械セクターの企業は設備投資のために負債を活用する傾向がありますが、ラサ工業は営業キャッシュフローの拡大に伴い、過度な借入に頼らずとも事業を維持できるフェーズに移行しつつあると推察されます。現在の負債水準は、資本効率の向上と財務の安定性のバランスが取れた、適切な範囲内にあると評価できます。

投資家へのポイント

投資判断において注目すべきポイントを以下の通り整理しました。

  • 効率的な資本活用: 財務レバレッジがプラスに寄与しており、借入金が株主価値の向上に有効に機能しています。実績ROE 12.00%という二桁台の数値は、同業他社と比較しても良好な水準です。
  • 財務の健全化: 有利子負債の減少により自己資本比率が改善傾向にあり、倒産リスクや金利上昇リスクに対する防御力が高まっています。
  • 今後の注目点: 負債圧縮が進む一方で、レバレッジ効果の幅は縮小しています。今後は「負債による効率化」から、本業の「利益率向上」や「新たな成長投資」がROEを維持・向上させる鍵となります。

以上の通り、ラサ工業は借入金を適切にコントロールしつつ、利益成長と財務基盤の強化を両立させている状態にあります。今後の金利動向や、圧縮された負債の余力を活かした次なる成長戦略に注目が集まります。

⚠️ 注意事項: 本分析は営業利益と経常利益の差額から支払利息を推定しており、実際の支払利息とは異なる場合があります。 営業外収支には受取利息・配当金・為替差損益等も含まれるため、あくまで参考値としてご活用ください。 また、借金を全額返済した場合の実際の影響は資金調達構造の変化を伴うため、単純なシミュレーションとは異なります。

ROIC分析(投下資本利益率)

ROIC(投下資本利益率)推移

ROIC = NOPAT(税引後営業利益)÷ 投下資本(株主資本+有利子負債)。資本コスト(WACC)を上回れば価値を創造していると評価できます。

年度 NOPAT(百万円) 投下資本(百万円) ROIC(%) WACC(%) スプレッド(%pt)
17年 3月期 910 21,852 4.16 4.48 -0.31
18年 3月期 1,658 25,265 6.56 4.24 +2.32
19年 3月期 2,235 28,391 7.87 4.11 +3.76
20年 3月期 1,206 27,649 4.36 4.45 -0.09
21年 3月期 1,500 27,878 5.38 4.72 +0.67
22年 3月期 2,100 31,086 6.76 4.77 +1.99
23年 3月期 3,130 34,751 9.01 4.79 +4.22
24年 3月期 2,238 32,821 6.82 5.52 +1.30
25年 3月期 3,222 34,426 9.36 5.57 +3.79
ROIC vs WACC推移4.0%5.0%6.0%7.0%8.0%9.0%10.0%1719212325ROIC(%)WACC(%)
直近年度のROIC評価(2025年 3月期 連結)
ROIC
9.36%
投下資本利益率
WACC
5.57%
加重平均資本コスト
=
スプレッド
+3.79%pt
高い価値創造力

ROIC水準の評価

ラサ工業(4022)のROIC(投下資本利益率)は、2017年3月期の4.16%から2025年3月期予想の9.36%に至るまで、長期的には右肩上がりのトレンドを描いています。特に、2023年3月期には9.01%を記録し、2025年3月期もそれを上回る9.36%を計画するなど、化学セクターの中堅企業として非常に高い資本効率を実現しています。一般的に製造業においてROIC 7%以上は優良な水準とされますが、同社はこれを安定的にクリアしつつあり、投下した資本に対して効率的に利益(NOPAT)を創出する体制が整っていると評価できます。ただし、2020年3月期(4.36%)や2024年3月期(6.82%)に見られるように、業績の変動に伴いROICが一時的に低下する局面もあり、外部環境や原材料価格の影響を受けやすい側面も考慮する必要があります。

ROIC-WACCスプレッド分析

資本コスト(WACC)に対する収益性の差を示す「ROIC-WACCスプレッド」を見ると、分析対象期間の多くでプラスを維持しており、企業の価値創造が継続的に行われていることがわかります。2017年3月期には-0.31%ptとわずかに資本コストを下回っていましたが、その後は急速に改善し、2023年3月期には+4.22%pt、2025年3月期予想では+3.79%ptと極めて高いスプレッドを確保しています。 ポジティブな要因としては、投下資本の増加(2017年の21,852百万円から2025年予想の34,426百万円)を大きく上回るペースでNOPATが成長(910百万円から3,222百万円)している点が挙げられます。これは、半導体関連材料や高純度化学品といった付加価値の高い事業への投資が、着実にリターンを生んでいる証左と言えます。一方で、近年WACCが4%台から5.5%前後へと上昇傾向にある点は、市場の期待リターンやリスクプレミアムの変化を示唆しており、今後スプレッドを維持・拡大するためには、さらなる利益率の向上、あるいは徹底した資本管理が求められる局面に入っています。

投資家へのポイント

本分析から投資家が注目すべきポイントは、同社が「価値創造フェーズ」に完全に入っているかどうかという点です。2025年3月期の予想数値が示す通り、ROICが9%台を維持できるのであれば、同社は株主の期待を大きく上回るリターンを生み出す能力を有していると判断できます。 投資判断においては、以下の2点を注視する必要があります。第一に、ROICのボラティリティ(変動性)です。過去、数年おきに利益が押し下げられる局面があるため、現在の高い収益性が一時的な市況によるものか、構造的な強みによるものかを見極めることが重要です。第二に、資本構成の変化です。投下資本が増加傾向にある中で、有利子負債と株主資本のバランスがWACC、ひいてはスプレッドにどう影響を与えるかを確認する必要があります。ROIC 9%超という高い資本効率を背景に、将来的な成長投資と株主還元のバランスをどのように図っていくかが、今後の株価形成における重要な示唆を与えるでしょう。

⚠️ 注意: WACCは簡易推定値です(株主資本コスト7%想定、負債コストは推定支払利息から算出)。 実際のWACCはCAPMや市場データに基づくより精緻な計算が必要です。

ROIC逆ツリー分析

ROIC逆ツリー分解

ROIC = NOPATマージン × 投下資本回転率 に分解し、収益性の改善ドライバーを特定します。

年度 売上高(百万円) NOPATマージン(%) × 投下資本回転率(回) = ROIC(%)
17年 3月期 24,500 3.71 × 1.121 = 4.16
18年 3月期 26,000 6.38 × 1.029 = 6.56
19年 3月期 30,999 7.21 × 1.092 = 7.87
20年 3月期 30,500 3.96 × 1.103 = 4.36
21年 3月期 29,400 5.10 × 1.055 = 5.38
22年 3月期 31,500 6.67 × 1.013 = 6.76
23年 3月期 52,600 5.95 × 1.514 = 9.01
24年 3月期 43,000 5.20 × 1.310 = 6.82
25年 3月期 45,421 7.09 × 1.319 = 9.36
ROIC逆ツリー: NOPATマージンと投下資本回転率0.002.004.006.008.001719212325NOPATマージン(%)投下資本回転率(回)
ROIC逆ツリー分解(2025年 3月期 連結)
NOPATマージン
7.09%
NOPAT 3,222百万円 ÷ 売上 45,421百万円
×
投下資本回転率
1.319回
売上 45,421百万円 ÷ IC 34,426百万円
=
ROIC
9.36%
📊 ROIC変動の主因: 直近の変動は主に「NOPATマージン」の変化によるものです。本業の収益力の変化がROICに直結しています。

ROIC変動要因の分解

ラサ工業(4022)の過去9期にわたるROIC(投下資本利益率)推移を分析すると、2017年3月期の4.16%から2025年3月期予想の9.36%へと、長期的には右肩上がりの改善傾向にあります。この変動要因を分解すると、同社は「NOPATマージン(収益性)」の変動がROICの増減に直接的な影響を与える構造となっていることが分かります。

具体的には、2019年3月期にNOPATマージンが7.21%まで上昇した際にはROICが7.87%に達した一方、翌2020年3月期にマージンが3.96%へ下落するとROICも4.36%まで連動して低下しています。一方で、2023年3月期以降は「投下資本回転率(効率性)」が従来の1.0〜1.1回水準から1.3〜1.5回水準へと一段階切り上がっており、収益性と効率性の双方がROICを押し上げるフェーズに入っています。2025年3月期は、投下資本回転率を1.319回と維持しつつ、NOPATマージンを7.09%まで回復させることで、過去最高水準のROIC(9.36%)を計画している点が特徴的です。

改善ドライバーの特定

今後のROICをさらに向上、あるいは高水準で維持するための鍵は、主因である「NOPATマージンの安定的な拡大」にあります。同社の事業構造上、半導体向け高純度薬品などの高付加価値製品の販売比率や、原材料・エネルギー価格の変動をいかに価格転嫁し、営業利益率を確保できるかが最優先課題です。

また、2023年3月期に1.514回まで急上昇した投下資本回転率が、直近2期で1.3回台に落ち着いている点にも注目が必要です。これは事業規模の拡大に伴い投下資本(在庫や設備投資)が増加している可能性を示唆しています。ROICのさらなる改善には、マージンの追求だけでなく、棚卸資産の圧縮や設備投資の選別による「資産効率の再加速」が、NOPATマージンの改善を補完する強力なドライバーになると分析されます。

投資家へのポイント

投資家の皆様にとって注目すべきは、同社が「ROIC 9%台」という高い資本効率を継続的に創出できる体質へと進化しているかという点です。2017年〜2022年3月期までは概ね4%〜7%台で推移していましたが、近年の収益性改善により、資本コスト(WACC)を安定的に上回る価値創造が可能になりつつあります。

2025年3月期の業績予想通りにマージンが7%台へ復帰し、ROICが9%台に乗るかどうかが、市場からの評価を決定づける重要な節目となるでしょう。一方で、NOPATマージンが変動主因である以上、外部環境(市況サイクル)による業績の振れ幅には注意が必要です。この高い資本効率が、一時的な市況の恩恵によるものか、それとも構造的な効率化(回転率の向上を伴うもの)によるものか、今後の四半期ごとの推移を注視することが、中長期的な投資価値を判断する上での肝要となります。

EVA(経済的付加価値)分析

EVA(経済的付加価値)推移

EVA = (ROIC − WACC) × 投下資本。資本コストを超えるリターンを生み出し、株主価値を真に創造しているかを測定する指標です。

年度 NOPAT(百万円) 資本コスト(百万円) EVA(百万円) ROIC(%) WACC(%)
17年 3月期 910 979 -68 4.16 4.48
18年 3月期 1,658 1,071 587 6.56 4.24
19年 3月期 2,235 1,167 1,069 7.87 4.11
20年 3月期 1,206 1,230 -24 4.36 4.45
21年 3月期 1,500 1,316 185 5.38 4.72
22年 3月期 2,100 1,483 617 6.76 4.77
23年 3月期 3,130 1,665 1,465 9.01 4.79
24年 3月期 2,238 1,812 426 6.82 5.52
25年 3月期 3,222 1,918 1,305 9.36 5.57
EVA(経済的付加価値)推移-100001.0千2.0千3.0千4.0千17192123250EVA(百万円)NOPAT(百万円)
EVA評価サマリー
直近EVA
1,305
百万円(2025年 3月期 連結)
累積EVA
5,562
百万円(9年間合計)
価値創造評価
高い価値創造力

EVAの推移と評価

ラサ工業の過去9年間(2017年3月期〜2025年3月期予想)のEVA推移を概観すると、多くの年度でプラスを維持しており、累積EVAは5,562百万円に達しています。2017年3月期にはEVAが-68百万円(ROIC 4.16%に対しWACC 4.48%)と、僅かに資本コストを下回る局面もありましたが、翌2018年以降は概ねプラス圏で推移しています。 特筆すべきは、2020年3月期にEVAが-24百万円と一時的に落ち込んだものの、その後は急速な回復を見せ、2023年3月期には過去最高の1,465百万円を記録している点です。会計上の営業利益にあたるNOPATも2017年の910百万円から2025年予想の3,222百万円へと大幅に伸長しており、資本コストの増加を上回る利益成長を実現していることが高く評価されます。

価値創造力の持続性

同社の価値創造力は、中長期的には上昇傾向にあり、持続性が高いと判断されます。ROIC(投下資本利益率)とWACC(加重平均資本コスト)の差である「EVAスプレッド」に注目すると、2023年3月期には4.22%(9.01% - 4.79%)、2025年3月期予想では3.79%(9.36% - 5.57%)と、高い水準を確保しています。 一方で、WACC(資本コスト)が2019年3月期の4.11%を底に、直近では5.5%台まで上昇傾向にある点には留意が必要です。これは投下資本の拡大や市場環境の変化に伴う株主資本コストの上昇を反映していると考えられますが、同社はそれを上回るROIC(2025年予想で9.36%)を叩き出すことで、経済的付加価値を創出し続けています。投下資本が着実に増加しながらもEVAがプラスを維持していることは、事業拡大が効率的に行われている証左と言えます。

投資家へのポイント

投資判断における重要なポイントは、同社が「会計上の利益」だけでなく、株主の期待収益率を考慮した「経済的価値」を安定的に生み出している点にあります。累積EVAが55億円を超えている事実は、同社が長年にわたり投資家の資本を効率的に活用し、富を蓄積してきたことを示唆しています。 今後の注目点としては、上昇傾向にあるWACCに対し、2025年予想のROIC 9.36%という高い収益性を維持・向上させ、EVAスプレッドを堅持できるかどうかです。また、投下資本の拡大が将来のNOPAT成長にどの程度結びつくのか、資本効率と成長性のバランスを注視することが、長期的な企業価値を見極める上での鍵となります。

⚠️ 注意: EVAは簡易推定値です。WACCは株主資本コスト7%想定に基づく簡易計算であり、 正確なEVA算出にはβ値やリスクフリーレートの精緻な設定が必要です。

営業レバレッジ分析

営業レバレッジ度(DOL)推移

DOL = 営業利益変化率 ÷ 売上高変化率。売上が1%変化したとき営業利益が何%変化するかを示し、固定費比率の高さ(経営リスク)を表します。

平均DOL
4.45倍
有効年度の平均
リスク評価
中程度
DOL≤2: 低 / 2-5: 中 / 5+: 高
年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 営業利益率(%) 売上変化率(%) 営業利益変化率(%) DOL(倍)
17年 3月期 24,500 1,300 5.31 - - -
17年 3月期 23,283 1,622 6.97 -4.97 24.77 -4.99
17年 3月期 23,283 1,622 6.97 0.00 0.00 -
17年 3月期 23,283 1,622 6.97 0.00 0.00 -
18年 3月期 26,000 2,100 8.08 11.67 29.47 2.53
18年 3月期 27,000 2,500 9.26 3.85 19.05 4.95
18年 3月期 27,000 2,800 10.37 0.00 12.00 -
18年 3月期 27,427 2,842 10.36 1.58 1.50 0.95
19年 3月期 30,999 2,573 8.30 13.02 -9.47 -0.73
20年 3月期 30,500 1,700 5.57 -1.61 -33.93 21.08
20年 3月期 29,759 1,871 6.29 -2.43 10.06 -4.14
21年 3月期 29,400 2,100 7.14 -1.21 12.24 -10.15
21年 3月期 28,978 2,659 9.18 -1.44 26.62 -18.55
22年 3月期 31,500 2,700 8.57 8.70 1.54 0.18
22年 3月期 35,400 3,460 9.77 12.38 28.15 2.27
22年 3月期 35,411 3,475 9.81 0.03 0.43 -
23年 3月期 52,600 4,500 8.56 48.54 29.50 0.61
23年 3月期 49,600 4,622 9.32 -5.70 2.71 -0.48
24年 3月期 43,000 3,250 7.56 -13.31 -29.68 2.23
24年 3月期 42,788 3,591 8.39 -0.49 10.49 -
25年 3月期 45,421 4,736 10.43 6.15 31.89 5.18
26年 3月期 47,700 5,800 12.16 5.02 22.47 4.48
営業レバレッジ度(DOL)と営業利益率の推移-20.0-10.00.010.020.030.017171820212224260DOL(倍)営業利益率(%)

費用構造の特徴

ラサ工業の過去数年間の平均DOL(営業レバレッジ度)は4.45倍となっており、提供された基準に照らすと「中程度」のリスク評価に分類されます。しかし、直近の2025年3月期(予想)のDOLが5.18倍、2026年3月期(予想)が4.48倍と推移していることから、実質的には固定費比率が高い「固定費型ビジネス」に近い特徴を有していると分析されます。同社は化学品や機械などの製造を手掛けるメーカーであり、工場設備や研究開発、人件費といった固定費が一定規模発生するため、売上高が損益分岐点を超えた段階で利益が加速度的に増加しやすい構造にあります。

景気変動への感応度

DOLの推移を見ると、年度によって業績のボラティリティ(振れ幅)が非常に大きいことがわかります。例えば、2024年3月期(連結)においては売上高が13.31%減少した際、営業利益は29.68%減少しており、DOLは2.23倍と下方向へのレバレッジが働きました。一方で、2025年3月期の予測値では、売上高6.15%の増加に対して営業利益が31.89%増と大幅な伸びが見込まれており、DOLは5.18倍に達しています。このように、好況期や需要拡大期には売上増以上の利益成長が期待できる反面、不況期や需要減退期には利益が急激に圧縮されるリスクを内包しています。2020年3月期に見られたDOL 21.08倍という極端な数値は、売上の微減が利益に極めて深刻な影響を及ぼす、固定費型ビジネス特有の感応度の高さを示しています。

投資家へのポイント

投資を検討する際のポイントは、同社の「高い営業利益の増幅力」をどう評価するかという点に集約されます。2025年3月期以降の予測値に基づけば、売上高の数パーセントの成長が、20%から30%規模の営業利益の押し上げに寄与する計算となります。これは成長局面において非常に魅力的なリターンをもたらす可能性があります。一方で、原材料価格の高騰や外部環境の変化によって売上が予想を下回った場合、高い固定費負担が利益を強く圧迫する性質も併せ持っています。平均4.45倍という営業レバレッジは、安定性よりも成長局面での収益拡大を重視する投資家にとって重要な指標となりますが、最終的な投資判断にあたっては、売上高の成長見通しの確実性と、同社のコストコントロール能力を慎重に見極める必要があります。

⚠️ 注意: 営業レバレッジ度は前年比の変化率から算出しており、売上や利益が急変する年度では極端な値になることがあります。 複数年の平均値での評価を推奨します。

持続的成長率分析(SGR)

持続的成長率(SGR)推移

SGR = ROE × 内部留保率。外部からの資金調達なしで持続可能な売上成長率を示します。実際の成長率と比較することで、成長の持続可能性を評価します。

年度 ROE(%) 配当性向(%) 内部留保率(%) SGR(%) 実際成長率(%)
17年 3月期 15.49 推定30% 70.0 10.85 -
18年 3月期 11.50 推定30% 70.0 8.05 6.12
19年 3月期 15.16 推定30% 70.0 10.61 19.23
20年 3月期 6.85 推定30% 70.0 4.79 -1.61
21年 3月期 8.45 推定30% 70.0 5.92 -3.61
22年 3月期 10.53 21.9 78.1 8.23 7.14
23年 3月期 14.17 20.1 79.9 11.33 66.98
24年 3月期 8.78 30.2 69.8 6.13 -18.25
25年 3月期 12.00 30.1 69.9 8.39 5.63
持続的成長率(SGR)vs 実際の売上成長率-20.0%0.0%20.0%40.0%60.0%80.0%17192123250SGR(%)実際成長率(%)
ROEと配当性向の推移5.0%10.0%15.0%20.0%25.0%30.0%35.0%1719212325ROE(%)配当性向(%)
持続的成長率の評価(2025年 3月期 連結)
ROE
12.00%
×
内部留保率
69.9%
=
SGR
8.39%
📊 成長持続性の評価: 実際の成長率がSGR範囲内で、健全な成長ペース

SGR水準の評価

ラサ工業の持続的成長率(SGR)は、2017年3月期以降、概ね4.7%から11.3%の範囲で推移しています。直近の2025年3月期予想では、ROE 12.00%、配当性向30.1%に基づき、SGRは8.39%となる見通しです。 この推移を分析すると、SGRの変動要因は「内部留保率」よりも「ROE(自己資本利益率)」の変動に強く依存していることが分かります。配当性向は2022年3月期以降、概ね30%前後(内部留保率70%程度)で安定的に運用されており、株主還元方針に一定の規律が見られます。 したがって、同社の持続可能な成長力の源泉は、財務レバレッジや還元政策の変更よりも、本業の収益性向上によってもたらされていると言えます。

成長の持続可能性

実際の売上成長率とSGRを比較すると、同社は事業環境によって成長率が大きく変動する傾向にあります。 特に2023年3月期は、実際の成長率が66.98%とSGR(11.33%)を大幅に超過しました。これは理論上、外部資金の調達が必要となる急激な拡大を意味しますが、翌2024年3月期にはマイナス18.25%と調整局面を迎えています。 2025年3月期の予測では、実際の成長率(5.63%)がSGR(8.39%)を下回る見込みです。これは、事業の成長を内部資金だけで十分に賄えるだけでなく、将来の投資やさらなる株主還元の余力が生まれる「健全な成長」の範囲内にあると評価できます。単年度のボラティリティは高いものの、中長期的な視点ではSGRの範囲内に収束しており、持続可能な成長に向けたバランスを保っていると考えられます。

投資家へのポイント

投資家が注目すべき点は、以下の2点に集約されます。 まず、ROEの安定性です。SGRがROEに強く連動しているため、同社がターゲットとするROE水準(直近予想12%)を維持・向上できるかが、持続的な株主価値向上の鍵を握ります。 次に、資金余力の使途です。2025年3月期のように実際成長率がSGRを下回る局面では、キャッシュ・フローに余裕が生じやすくなります。この余剰資金を次なる成長のための設備投資に充てるのか、あるいは配当性向の引き上げ等の追加的な還元に回すのか、経営陣の資本配分(アロケーション)に注目が集まります。 同社は配当性向30%を維持しつつ、SGR 8%台という堅実な成長ペースを示唆していますが、この収益性と還元バランスが維持されるかどうかが、長期的な投資判断の材料となるでしょう。

⚠️ 注意: 配当データが取得できない年度は内部留保率70%(配当性向30%)を仮定しています。 実際の配当政策と異なる場合があります。

インタレストカバレッジレシオ推移

インタレストカバレッジレシオ推移

ICR = 営業利益 ÷ 支払利息。営業利益で利息の何倍を賄えるかを示す、借入金利負担の安全性指標です。

直近ICR
35.3倍
>10: 極めて安全 / 3-10: 安全 / 1-3: 要注意 / <1: 危険
安全性評価
極めて安全
年度 営業利益(百万円) 推定支払利息(百万円) ICR(倍) 有利子負債(百万円) 有利子負債比率(%) 推定借入金利(%)
17年 3月期 1,300 300 4.3 10,880 34.8 2.76
18年 3月期 2,100 200 10.5 12,223 33.7 1.64
19年 3月期 2,573 - 13,392 34.7 -
20年 3月期 1,700 150 11.3 11,590 30.9 1.29
21年 3月期 2,100 - 10,132 27.4 -
22年 3月期 2,700 - 11,143 26.6 -
23年 3月期 4,500 - 12,168 25.6 -
24年 3月期 3,250 200 16.3 8,912 20.1 2.24
25年 3月期 4,736 134 35.3 8,338 18.2 1.61
インタレストカバレッジレシオと有利子負債比率の推移0.010.020.030.040.01719212325ICR(倍)有利子負債比率(%)

利払い安全性の評価

ラサ工業のインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)は、中長期的に著しい改善傾向にあります。2017年3月期の4.3倍(「安全」水準)から、直近の2025年3月期予測では35.3倍へと急上昇しており、ガイドラインにおける「極めて安全(10倍以上)」の基準を大幅に上回っています。特に2019年から2023年にかけては、推定支払利息が極めて低水準あるいはゼロに近い状態(∞表記)で推移しており、営業利益によって金利負担を賄う能力は盤石と言えます。2024年3月期に一度16.3倍となりましたが、2025年3月期には営業利益の拡大(4,736百万円)と支払利息の抑制(134百万円)により、過去最高水準の安全性を確保する見通しです。

有利子負債の状況

負債管理の面でも、非常に健全なデレバレッジ(負債圧縮)が進んでいます。2019年3月期に13,392百万円あった有利子負債は、2025年3月期には8,338百万円まで減少する計画です。これに伴い、2017年3月期に34.8%であった有利子負債比率は18.2%まで低下しており、総資産に対して負債に過度に依存しない引き締まった財務体質へと変貌を遂げています。推定支払利息が低位で安定していることから、低コストでの資金調達が維持されている、あるいは手元資金による債務返済が順調に進んでいることが推察され、金利上昇局面においても耐性の高い構造を構築しています。

投資家へのポイント

本分析から、ラサ工業は「高い収益力」と「強固な財務基盤」を両立させていることが読み取れます。営業利益が成長軌道にある一方で、有利子負債比率が20%を切る水準まで低下している事実は、倒産リスクが極めて低いだけでなく、将来的な設備投資やM&A、あるいは配当拡充といった株主還元に向けた財務的な余力が十分に蓄積されていることを示唆しています。ICR 35.3倍という数値は、多少の業績変動があったとしても利払いが困難になる可能性は極めて低いことを意味しており、ディフェンシブな側面を持つバリュー株としての側面を評価する上での重要な指標となります。今後の投資判断にあたっては、この強固な財務余力がどのように成長投資や還元に振り向けられるかが注視されます。

⚠️ 注意: 支払利息は「営業利益−経常利益」から推定しています。 営業外収益が大きい企業では過小評価になる可能性があります。正確な支払利息は有価証券報告書の注記をご確認ください。

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データソース

この記事はEDINETから取得した決算報告書をAIが分析して生成しています。

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