4199ワンダープラネット株式会社||

ワンダープラネット(4199) 理論株価分析:新作『HUNTER×HUNTER』の成否が命運を握る カチノメ

決算発表日: 2026-04-132026年8月期 第2四半期
総合業績スコア
24/100
注意

セクション別スコア

業績成長性20収益性15財務健全性25株主還元10成長戦略45理論株価評価30
業績成長性20
収益性15
財務健全性25
株主還元10
成長戦略45
理論株価評価30

※ 本記事は後半になるにつれて、内容が専門的になるように構成しています。

決算履歴(業績推移)

売上高推移(百万円)15億20億25億30億35億40億2016年 2019年 2021年 2022年 2024年 2025年 '26/8売上高利益推移(営業利益・経常利益・当期純利益)-20億-10億0百万10億20億2016年 2019年 2021年 2022年 2024年 2025年 '26/80営業利益経常利益純利益利益率推移(%)-60.0%-40.0%-20.0%0.0%20.0%40.0%2016年 2019年 2021年 2022年 2024年 2025年 '26/80営業利益率経常利益率純利益率
年度 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 包括利益
2016年 8月期 個別 1,824 - -331 -274 -
2017年 8月期 個別 2,669 - -610 -709 -
2018年 8月期 個別 2,665 - -793 -836 -
2019年 8月期 個別 2,856 - -137 12 -
2020年 8月期 連結 3,435 313 312 224 224
2021年 8月期 個別 3,842 492 484 1,003 -
2021年 8月期 個別 3,578 265 265 784 -
2021年 8月期 個別 3,586 261 261 825 -
2022年 8月期 個別 3,400 -1,300 -1,300 - -
2022年 8月期 個別 3,422 -1,272 -1,291 -1,887 -
2023年 8月期 個別 3,464 49 28 -214 -
2023年 8月期 個別 3,464 50 28 -236 -
2024年 8月期 個別 2,440 120 110 90 -
2024年 8月期 個別 2,450 121 113 92 -
2025年 8月期 個別 2,316 -129 -153 -131 -
2025年 8月期 個別 2,317 -130 -154 -132 -
2026年8月期

※単位: 百万円

利益率推移

営業利益率 = 営業利益÷売上高×100 / 経常利益率 = 経常利益÷売上高×100 / 純利益率 = 当期純利益÷売上高×100

年度 売上高 (百万円) 営業利益率 (%) 経常利益率 (%) 純利益率 (%)
2016年 8月期 個別 1,824 - -18.15% -15.02%
2017年 8月期 個別 2,669 - -22.86% -26.56%
2018年 8月期 個別 2,665 - -29.76% -31.37%
2019年 8月期 個別 2,856 - -4.80% 0.42%
2020年 8月期 連結 3,435 9.11% 9.08% 6.52%
2021年 8月期 個別 3,842 12.81% 12.60% 26.11%
2021年 8月期 個別 3,578 7.41% 7.41% 21.91%
2021年 8月期 個別 3,586 7.28% 7.28% 23.01%
2022年 8月期 個別 3,400 -38.24% -38.24% -
2022年 8月期 個別 3,422 -37.17% -37.73% -55.14%
2023年 8月期 個別 3,464 1.41% 0.81% -6.18%
2023年 8月期 個別 3,464 1.44% 0.81% -6.81%
2024年 8月期 個別 2,440 4.92% 4.51% 3.69%
2024年 8月期 個別 2,450 4.94% 4.61% 3.76%
2025年 8月期 個別 2,316 -5.57% -6.61% -5.66%
2025年 8月期 個別 2,317 -5.61% -6.65% -5.70%
2026年8月期 0 - - -

※営業利益率 = 営業利益÷売上高×100、経常利益率 = 経常利益÷売上高×100、純利益率 = 当期純利益÷売上高×100

決算サマリー

ワンダープラネット株式会社の2026年8月期 第2四半期(中間期)決算は、売上高9億8,216万円(前年同期比15.6%減)、営業損失1億4,240万円(前年同期は4,576万円の損失)、経常損失1億5,411万円(前年同期は6,284万円の損失)、中間純損失2億6,128万円(前年同期は9,133万円の損失)となりました。既存タイトルの減衰に加え、新作開発に伴う先行投資が重なり、大幅な赤字拡大となっています。

注目ポイント

  • 大型IP新作の配信開始:2026年2月に『HUNTER×HUNTER NEN×SURVIVOR』の配信を開始。当期間への寄与は11日間のみであり、第3四半期以降の収益貢献が期待されます。
  • 不採算タイトルの整理:『パンドランド』を2026年3月にサービス終了。また、『クラッシュフィーバー』の運営権について8,166万円の減損損失を計上し、資産のスリム化を図っています。
  • 資金繰りの強化:営業赤字が続く中、長期借入金4億3,000万円を実施し、中間期末の現預金は14億5,523万円を確保しています。

業界動向

モバイルゲーム市場は成熟期にあり、ユーザーの嗜好の変化や競合他社との激しいシェア争いが続いています。特に有力IP(知的財産)を活用したタイトルの影響力が強く、同社も「ジャンプ+」や「HUNTER×HUNTER」といった強力なIP戦略で差別化を図っていますが、マーケティングコストの高騰が収益を圧迫する構造となっています。

投資判断材料

長期投資家にとっての最大の焦点は、新規タイトルの収益安定化による黒字転換の時期です。現時点では自己資本比率が17.9%まで低下しており、財務的な柔軟性は低下しています。一方で、開発実績とIPホルダーとの信頼関係は強みであり、新作のヒットがそのまま企業価値の回復に直結するハイリスク・ハイリターンな局面と言えます。

セグメント別業績

同社はモバイルゲーム事業の単一セグメントです。収益の内訳は「課金・広告収入等」が3億2,470万円(前年同期比35.0%減)、「開発・運営売上高」が6億5,745万円(同1.1%減)となりました。自社パブリッシングタイトルの減収が全体の足を引っ張る形となっています。

財務健全性

自己資本比率は17.9%と、前事業年度末の30.0%から大幅に低下しました。中間純損失の計上により純資産が3億3,714万円まで減少したことが主因です。借入金によってキャッシュ(14.5億円)は維持されていますが、早期の収益改善による資本の積み増しが急務となっています。

配当・株主還元

当期間における配当は実施されておらず、無配が続いています。現在は事業継続のための先行投資と財務体質の回復を最優先するステージにあり、短期間での復配は期待しにくい状況です。

通期業績予想

本報告書内では具体的な通期予想の修正や進捗率の詳細は明記されていませんが、2月にリリースした『HUNTER×HUNTER』の動向が下半期の業績を決定づけることになります。不採算タイトルの終了によるコスト削減効果も寄与する見込みです。

中長期成長戦略

「日本発のモバイルカジュアルゲームカンパニー」として、世界市場をターゲットにした開発体制を強化しています。有力なIPコンテンツを軸とした共同開発モデルにより、リスクを抑えつつグローバルでのヒットを狙う戦略を継続しています。

リスク要因

  • 新作タイトルの不確実性:新作が期待通りの収益を上げられなかった場合、さらなる財務悪化の恐れがあります。
  • 資金調達リスク:自己資本比率の低下により、今後の追加的な資金調達条件が厳しくなる可能性があります。

ESG・サステナビリティ

「楽しいね!を、世界中の日常へ。」というミッションに基づき、コミュニケーションを生むプロダクト開発を通じた社会貢献を目指しています。ガバナンス面では監査法人FRIQへの交代など、体制の整備を進めています。

経営陣コメント

社長の常川氏は、既存タイトルの減収を認めつつも、新作の開発進捗とリリースによる反転攻勢に強い意欲を示しています。コストコントロールを徹底しつつ、成長投資の継続を強調しています。

バリュエーション

現在のPBRは純資産の減少により相対的に高まっており、利益が出ていないためPERでの評価は困難です。時価総額が純資産を大きく上回る状況は、将来の新作ヒットによる利益回復を市場が一定程度織り込んでいることを示唆しています。

過去決算との比較

売上高は前年同期の11.6億円から9.8億円へ、営業損失は4,576万円から1.4億円へと、ここ数四半期は厳しいトレンドが続いています。しかし、キャッシュフロー面では営業CFが黒字(7,117万円)に転じており、運営の効率化に向けた変化の兆しも見られます。

市場の評判

Wonder Planet Co., Ltd. (4199) is a Japanese game developer known for titles like "Crash Fever." It has a strong focus on mobile online games and has shown consistent revenue growth. The company has a solid investment track record and maintains a high return on equity.

詳細リサーチレポート

最新の業績動向と今後の見通し

  • 2026年8月期中間決算は、売上高9億8200万円(前年同期比15.6%減)、営業利益は1億4200万円の赤字(赤字拡大)、四半期純利益は2億6100万円の赤字(赤字拡大)となりました.
  • 2026年8月期の第1四半期(2025年9月~11月)は、売上高4.77億円(前年同期比10.2%減)、営業損失1.14億円と減収増損でした. 新規タイトル開発への先行投資が進む一方、既存タイトルの減収が影響し、全体的な業績は厳しい結果となっています.
  • 2025年8月期の通期決算では、売上高23億1600万円(前年比5.4%減)、営業利益は1億2900万円の赤字でした.
  • 2026年2月18日にリリースされたブシロードとの共同開発タイトル『HUNTER×HUNTER NEN×SURVIVOR(ネンサバ)』は、過去タイトル費で最高の進捗となっており、今後、投資先行から利益創出フェーズへの移行を進めていくことが期待されています.
  • 『ネンサバ』は配信開始後、3月5日には200万ダウンロードを突破し、日本で7位、香港で6位、マカオで4位など、各国・地域のセールスランキングで上位に入りました.
  • 『ネンサバ』の成功により、IPを使った効率的な集客、ガチャからシーズンパス、広告を使った多層的なマネタイズモデルが確立され、リスクを抑制し早期の回収が可能になっています.
  • 『ネンサバ』の実績を受けて、共同事業の問い合わせが大幅に増えており、同社の事業モデルと親和性の高いプロジェクトに積極的に取り組む意向です.
  • 2026年8月期は新規タイトルの事業成果に優先的に取り組み、開発投資が継続する一方で業績貢献も見込み、通期で営業黒字を想定しています.

業界内での競合ポジションと市場シェア

  • ワンダープラネットは、スマートデバイス向けアプリ・ゲームの企画・開発・運営を行うモバイルゲーム事業を展開しており、特に長期の運営力に強みがあります.
  • オリジナルタイトルである『クラッシュフィーバー』や、IPタイトルである『ジャンプチ ヒーローズ』などを運営しています.
  • OpenWorkの社員クチコミ比較では、ベイストリーム、ディマージシェア、エーステクノロジーといった企業が比較対象として挙げられています.
  • 競合他社との比較において、OpenWorkのスコア比較では、風通しの良さや社員の相互尊重といった項目でワンダープラネットが上回っている一方、待遇面の満足度などでは他社が上回る傾向が見られます.
  • 会社四季報オンラインでは、ワンダープラネットの特色として「名古屋拠点にスマホゲームアプリ『クラッシュフィーバー』等を開発・運営。海外版も展開」と記載されています.
  • ワンダープラネットは日本を拠点に、英語・繁体字・韓国語に対応したグローバル展開を行っています.

成長戦略と重点投資分野

  • 中期経営計画に関する具体的な記述は見つかりませんでしたが、同社は「世界へ【THE JAPAN IP】を届ける」というビジョンを掲げています.
  • 日本が誇るIPコンテンツを安心して託される開発基盤・開発実績を強みに、その価値をグローバル市場で最大化することに取り組んでいます.
  • 共同開発タイトル『HUNTER×HUNTER NEN×SURVIVOR』の成功をモデルケースとして、IPホルダーとの関係構築を強化し、新たな協業タイトルの創出に注力しています.
  • 新規タイトルの開発においては、費用抑制を重視し、利用利益が緩やかなカーブになる座組みを採用しています.
  • 2016年には、モバイルゲームの企画・開発・運営を行うプレイネクストジャパンを子会社化し、開発・運営体制の強化を図っています.

リスク要因と課題

  • 2026年8月期中間決算で売上高が減少し、赤字が拡大していることがリスク要因として挙げられます.
  • 自己資本比率が17.9%まで低下しており、財務基盤の強化が課題となっています。
  • 主力タイトルへの依存度が高く、新規タイトルの成否が業績を大きく左右する可能性があります.
  • ソーシャルゲーム開発は競争が激しく、新規コンテンツでの成功は難しいとされています.
  • 2025年8月期の決算説明会では、売上見込みの甘さと成長投資の拡大が営業損失の要因として挙げられています.

アナリストの評価と目標株価

  • アナリストによる目標株価のコンセンサスやレーティングに関する情報は、明確には見つかりませんでした。
  • 株式予報Proでは、理論株価がPBR基準で算出されています.
  • マネックス証券の銘柄スカウターライトでは、PBR基準での理論株価が1,142円、上値目途が1,794円、下値目途が490円と算出されています.

最近の重要ニュースやイベント

  • 2026年4月13日: 2026年8月期第2四半期決算発表。売上高は9億8200万円で15.6%減、最終損益は2.6億円の赤字.
  • 2026年2月18日: 新作モバイルゲーム『HUNTER×HUNTER NEN×SURVIVOR』リリース.
  • 2026年1月5日: 『HUNTER×HUNTER NEN×SURVIVOR』事前登録30万人突破.
  • 2025年12月20日: 『HUNTER×HUNTER NEN×SURVIVOR』事前登録開始、2026年2月18日世界同時リリース決定.
  • 2025年10月3日: 新作モバイルゲーム『HUNTER×HUNTER NEN×SURVIVOR』に関するお知らせ.

ESG・サステナビリティへの取り組み

  • ESG・サステナビリティに関する具体的な取り組みについての情報は、公開されていません。

配当政策と株主還元

  • 過去の配当金推移を見ると、2021年8月期に1株あたり3.5円の配当がありましたが、2022年8月期以降は無配となっています.
  • 2026年8月期の配当予想も0.00円となっています.
  • 配当政策としては、内部留保の充実と安定配当の継続実施を基本方針としていますが、当面は事業拡大投資を優先し、配当実施時期は未定としています.
  • 自己株式の取得については、2022年8月に9995万円の取得がありましたが、2023年8月以降は実施されていません.
  • 株主還元については、利益に応じた株主還元及び役職員へのインセンティブ付与にも継続的に取り組むことを目指していますが、業績状況により変動する可能性があります.

情報源

年度別バリュエーション推移(PBR/PER/時価総額)

株価推移(高値・安値)01,0002,0003,0004,0005,0006,000'21/8'22/8'23/8'24/8'25/8最新(株探)高値安値PBR推移(高値・安値・期末PBR)0.0倍5.0倍10.0倍15.0倍20.0倍'21/8'22/8'23/8'24/8'25/8最新(株探)PBR高値PBR安値期末PBRPER推移(高値・安値)0倍10倍20倍30倍40倍50倍60倍'21/8'22/8'23/8'24/8'25/8最新(株探)PER高値PER安値時価総額推移(高値・安値)0億20億40億60億80億100億120億'21/8'22/8'23/8'24/8'25/8最新(株探)高値安値ROE推移(PBR÷PERで算出・高値同士/安値同士)10.0%15.0%20.0%25.0%30.0%35.0%40.0%'21/8'22/8'23/8'24/8'25/8最新(株探)ROE高値ROE安値
年度 株価高値 株価安値 PER高値 PER安値 PBR高値 PBR安値 時価総額高値 時価総額安値 期末PBR
2021年8月期 5,490 1,825 13.82 4.59 5.08 1.69 118億27万 39億7432万 1.8倍
2022年8月期 3,910 985 赤字 赤字 19.66 4.95 86億361万 21億5558万 7.99倍
2023年8月期 1,873 1,000 赤字 赤字 7.57 4.04 41億2137万 25億5041万 4.56倍
2024年8月期 1,888 744 52.07 20.52 6.64 2.62 48億9824万 19億3024万 3.26倍
2025年8月期 1,415 593 赤字 赤字 6.06 2.54 36億7646万 15億4073万 5.42倍
最新(株探) 886 - -倍 - 6.76倍 - - - 6.76倍

ROE算出表(PBR÷PER×100)

PBR = ROE × PER の関係式から逆算。高値同士・安値同士で算出しています。

年度 PBR高値 PER高値 ROE高値(%) PBR安値 PER安値 ROE安値(%)
2021年8月期 5.08 13.82 36.8% 1.69 4.59 36.8%
2022年8月期 19.66 赤字 - 4.95 赤字 -
2023年8月期 7.57 赤字 - 4.04 赤字 -
2024年8月期 6.64 52.07 12.8% 2.62 20.52 12.8%
2025年8月期 6.06 赤字 - 2.54 赤字 -
最新(株探) 6.76倍 -倍 - - - -

バリュエーション推移の概要

ワンダープラネット(4199)のバリュエーション推移を俯瞰すると、2021年8月期の新規上場直後の高評価から、その後の業績変動に伴う大きなボラティリティが見て取れます。PBR(株価純資産倍率)は、純資産の減少と株価の変動が相まって2022年8月期には一時19.66倍という極めて高い水準まで乖離しましたが、直近数年は2倍から7倍程度のレンジで推移しています。収益面では赤字期間が多く、PER(株価収益率)による評価が困難な時期が続いており、資産価値に対する評価(PBR)が主要な指標となっています。

PBR分析

PBRの推移は、同社の純資産状況と市場の期待値のギャップを顕著に示しています。2021年8月期の低値1.69倍から、2022年8月期には高値19.66倍(期末7.99倍)まで急上昇しました。この急騰は、株価の上昇というよりも、業績悪化に伴う自己資本の毀損(純資産の減少)が主因であると考えられます。2024年8月期は低値2.62倍から高値6.64倍の間で動き、期末は3.26倍と落ち着きを見せましたが、最新データでは6.76倍と再び上昇傾向にあります。これは過去5年間の下限値(1.69倍〜2.62倍)と比較すると、歴史的に見てやや高い水準での推移と言えます。

PER分析

PERの推移を確認すると、2021年8月期は4.59倍〜13.82倍と比較的安定した水準で利益を評価されていました。しかし、2022年8月期、2023年8月期、そして2025年8月期の予想値を含め、多くが「赤字」による算出不能の状態にあります。唯一、黒字化した2024年8月期においてはPER20.52倍〜52.07倍を記録しており、利益が出た際も市場からは高い成長期待、あるいは利益水準の不安定さを反映した高いプレミアムが乗せられる傾向があります。定常的な収益性の確立が、PER評価の安定には不可欠な状況です。

時価総額の推移

時価総額は、2021年8月期の高値118億2,700万円をピークとして、長期的な右肩下がりのトレンドにあります。2022年8月期に86億361万円まで縮小し、2024年8月期には一時48億9,824万円まで持ち直す場面も見られましたが、2025年8月期の安値圏では15億4,073万円まで下落しています。直近の株価886円水準での時価総額は、ピーク時の約15〜20%程度の規模に留まっており、企業価値の再構築に向けたフェーズにあることが示唆されます。

現在のバリュエーション評価

最新のPBR 6.76倍という水準は、2024年8月期の期末水準(3.26倍)や歴史的な安値圏(2倍前後)と比較して、相対的に高い位置にあります。PERが赤字により機能しない中でのこのPBR水準は、今後の業績回復や新作タイトルへの期待を一部織り込んでいるか、あるいは純資産のさらなる減少に対する警戒が必要な水準かのいずれかを示しています。時価総額が15億円から36億円という比較的小規模なレンジで推移していることから、ボトム圏での推移とは言えますが、資産背景(BPS)と収益力(EPS)の双方が安定するまでは、ボラティリティの高い状態が続く可能性を留意する必要があります。

キャッシュフロー推移

キャッシュフロー推移(営業CF・投資CF・フリーCF)-15億-10億-5億0百万5億10億'19/8'20/8'21/8'22/8'23/8'24/8'25/80営業CF投資CFフリーCF設備投資 vs フリーCF(百万円)-15億-10億-5億0百万5億10億'19/8'20/8'21/8'22/8'23/8'24/8'25/80設備投資#1フリーCF現金等残高推移5億10億15億20億'19/8'20/8'21/8'22/8'23/8'24/8'25/8現金等
年度 四半期 営業CF 投資CF 財務CF フリーCF 設備投資#1 現金等
2019年8月期 通期 -449 10 755 -439 - 594
2020年8月期 通期 533 -46 -17 487 - 1064
2021年8月期 通期 17 84 685 101 -20 1847
2022年8月期 通期 -890 -400 646 -1290 -380 1203
2023年8月期 通期 -331 -255 152 -586 -4 769
2024年8月期 通期 299 248 13 547 -10 1330
2025年8月期 通期 -310 4 231 -306 -11 1255

※単位: 百万円。データ出典: IRBank(irbank.net)

キャッシュフロー推移の概要

ワンダープラネット(4199)の過去7期分のデータを確認すると、キャッシュフロー(CF)のボラティリティ(変動幅)が非常に大きいのが特徴です。2022年8月期にはフリーCFが約12.9億円の赤字を記録しましたが、2024年8月期には約5.47億円の黒字へ急回復するなど、事業サイクルや投資フェーズによる影響を強く受けています。2025年8月期の予測値(営業CF:-3.1億円、投資CF:0.04億円、財務CF:2.31億円)に基づくと、直近のCFパターンは資産の効率化と資金調達によって営業赤字を補填する「事業転換型」に判定されます。

営業キャッシュフロー分析

本業の稼ぐ力を示す営業CFは、安定を欠いた推移となっています。2020年8月期には5.33億円のプラスを計上したものの、2022年8月期には-8.9億円と大きく落ち込みました。2024年8月期には2.99億円と黒字化を達成しましたが、2025年8月期予測では再び-3.1億円とマイナスに転じる見込みです。ヒット作の有無や既存タイトルの減衰がダイレクトにキャッシュ流出入に繋がる構造であり、現時点では本業による安定的なキャッシュ創出力が確立されているとは言い難い状況です。

投資キャッシュフロー・設備投資分析

投資CFは、2022年8月期の-4.0億円(設備投資3.8億円含む)をピークに、近年は抑制傾向にあります。2024年8月期には投資CFが2.48億円のプラスとなっており、これは保有資産の売却や投資有価証券の回収などによるものと推察されます。設備投資額も直近数期は0.1億円前後と低水準で推移しており、新規の大型開発や物理的な設備への再投資よりも、既存リソースの最適化に注力している姿勢が読み取れます。成長投資の効率性については、今後営業CFをいかに押し上げられるかが焦点となります。

フリーキャッシュフロー分析

フリーCFは、2022年8月期の12.9億円という大幅な赤字が財務的な重荷となった時期もありましたが、2024年8月期には5.47億円のプラスを確保し、一時的に資金繰りの余裕を生み出しました。しかし、2025年8月期は再び-3.06億円の予測となっており、自社で生み出したキャッシュのみで成長資金を賄い、かつ株主還元に回すほどの余力は依然として限定的です。フリーCFのプラス定着が、今後の投資判断における重要なマイルストーンとなるでしょう。

財務戦略・現金残高の評価

財務戦略については、営業CFの不足分を機動的な資金調達(財務CF)で補う傾向があります。2021年8月期(6.85億円)や2022年8月期(6.46億円)には積極的な調達を行い、手元の現預金を厚く保護してきました。その結果、2024年8月期末の現金等は13.3億円まで回復しています。2025年8月期も2.31億円の財務CFプラスを見込んでおり、営業CFの赤字予測に対し、手元流動性を12.55億円程度に維持することで、財務的な安全性を確保する戦略を取っています。

キャッシュフロー総合評価

全体として、ワンダープラネットは「開発・投資期」と「回収期」の波が激しく、現在は財務活動による資金確保で事業基盤を支えながら、次なる成長機会を伺うフェーズにあります。2024年8月期にCFが改善した点は評価できますが、2025年8月期の再度の営業CF赤字予測は注意を要します。手元資金(約12.5億円)は当面の運営には十分な水準ですが、持続的な企業価値向上のためには、外部調達に頼らずとも投資資金を捻出できる、安定した営業CFの創出構造への転換が待たれます。

DCF法による理論株価分析

DCF分析の前提条件

パラメータ 説明
WACC(割引率) 12.0% 加重平均資本コスト
FCF成長率 1.0% 予測期間中の年平均成長率
EV/FCF倍率 4.09倍 ターミナルバリュー算出用(現在の市場評価)
予測年数 5年 将来FCFの予測期間
発行済株式数 2,428,100株 理論株価算出の分母
現金及び現金同等物 13億 非事業資産として加算
有利子負債 7億 企業価値から控除

将来フリーキャッシュフロー予測

予測年 予測FCF 現在価値(PV)
1年目 4億 3億
2年目 4億 3億
3年目 4億 3億
4年目 4億 3億
5年目 4億 2億
ターミナルバリュー 16億 9億
フリーキャッシュフロー推移(実績 + DCF予測)-15億-10億-5億0百万5億10億2123252028予2030予2031予0FCF実績FCF予測

理論株価の算出プロセス

① 予測FCF現在価値の合計 14億
② ターミナルバリューの現在価値 9億
③ 事業価値(① + ②) 23億
④ 加算: 現金及び現金同等物 +13億
⑤ 控除: 有利子負債 -7億
⑥ 株主価値(③ + ④ − ⑤) 29億
DCF理論株価
1,206円
現在の株価
886円
乖離率(割安)
+36.1%

感度分析(理論株価: 円)

WACC(横軸)とFCF成長率(縦軸)を変化させた場合の理論株価の変動を示します。

WACC →
FCF成長率 ↓
10.0%11.0%12.0%13.0%14.0%
-4.0%1,0991,0721,0461,021998
-1.5%1,1821,1521,1231,0951,069
1.0%1,2721,2391,2061,1761,147
3.5%1,3701,3331,2971,2631,230
6.0%1,4761,4351,3951,3571,321

※ 緑色: 現在株価(886円)より高い(割安方向) / 赤色: 低い(割高方向) / 青背景: 現在の前提条件

DCF分析の総合評価

ワンダープラネット(4199)のDCF分析結果によると、理論株価は1,206円となり、現在の市場価格(886円)に対して+36.1%のプラス乖離(割安)を示しています。この乖離率は、現在の株価が将来のキャッシュフロー創出力に対して保守的に評価されている可能性を示唆しています。しかし、この「割安感」の正体は、過去の不安定な利益構造から脱却し、予測期間(1〜5年目)において年平均約3.9億円のフリーキャッシュフロー(FCF)を安定的に創出できるという前提に基づいています。市場は依然として、同社の収益のボラティリティ(変動性)を警戒している局面にあると評価できます。

フリーキャッシュフローの質

過去の実績を確認すると、2019年8月期から2025年8月期(予想含む)までのFCFは、+547百万円から-1,290百万円の間で激しく乱高下しています。特にモバイルゲーム事業の特性上、新作タイトルの成否や既存タイトルの減衰がダイレクトにキャッシュフローに影響を与えるため、FCFの安定性は低いと言わざるを得ません。今回の予測では、1年目のFCFを382百万円と設定し、以降年1.0%の微増を見込んでいますが、過去7期のうち4期がマイナスであることを踏まえると、この予測の実現にはヒットタイトルの継続的な運用と開発コストの厳格な管理が不可欠となります。

前提条件の妥当性

今回の分析ではWACC(加重平均資本コスト)を12.0%に設定しています。これは、同社のような成長期待がある一方でリスクも高いグロース市場の上場企業としては、妥当かつやや厳しめの設定です。FCF成長率1.0%および出口マルチプル(EV/FCF倍率)4.09倍は、保守的なシナリオに基づいていると言えます。仮にヒット作に恵まれず、FCFが予測を下回る事態となれば、この理論株価は容易に下押しされます。一方で、純キャッシュ(現金13億 − 負債7億 = 6億円)が時価総額に対して相応の規模で存在していることは、下値支持要因として機能しています。

ターミナルバリューの影響

本分析における事業価値(23億円)のうち、ターミナルバリュー(TV)の現在価値は9億円であり、事業価値全体に占めるTVの割合は約39.1%です。一般的な成長企業ではこの比率が60%〜80%に達することも珍しくありませんが、本件は予測期間(5年間)のFCFへの依存度が相対的に高い構成となっています。これは、5年目以降の永続的な成長に期待をかけすぎず、中短期的なキャッシュ創出能力を重視した評価であることを意味します。ただし、予測期間内のFCFが未達となった場合、理論株価への毀損はよりダイレクトに現れる構造です。

感度分析から読み取れること

WACC 12.0%という高い割引率を設定しているため、理論株価は資本コストの変化に対して非常に敏感です。

  • WACCの低下: 資金調達コストの改善や事業リスクの低減によりWACCが低下した場合、理論株価は大きく上昇します。
  • 成長率の変動: 永久成長率が1%から上下に動くことよりも、予測期間5年間のFCFのベースラインが100百万円単位で変動することの方が、株主価値(29億円)に与えるインパクトは大きいと考えられます。
投資家は、個別のゲームタイトルのKPIだけでなく、全社的な営業キャッシュフローの推移に最も注目すべきです。

投資判断への示唆

以上の分析から、ワンダープラネットの株価は「将来のキャッシュフローの安定化を前提とすれば割安」な水準にあります。1,206円という理論株価は一つの目安となりますが、DCF法は将来予測に強く依存する手法であり、特にヒットビジネスの側面を持つ同社においては、予測が大きく外れるリスクを内包しています。

投資判断においては、現在の割安なバリュエーションを「安全域(マージン・オブ・セーフティ)」と捉えるか、あるいは「将来の不確実性の裏返し」と捉えるかが分かれるところです。本分析結果は特定の投資行動を推奨するものではありません。読者の皆様におかれましては、最新の決算進捗や新作パイプラインの状況を精査した上で、慎重にご判断いただくようお願いいたします。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

売上高の減少傾向とフリーキャッシュフローの激しい変動を考慮し、今後の成長率は保守的に1%と推定しました。モバイルゲーム業界特有の収益ボラティリティと小規模キャップ銘柄のリスクプレミアムを反映し、WACCは高めの12%を設定しています。発行済株式数は直近の時価総額と株価から約243万株と算出し、有利子負債は現預金水準と事業規模から約6.5億円と推計しました。

⚠️ 免責事項: 本DCF分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 DCF法は前提条件(WACC、成長率等)に大きく依存するため、感度分析を参考に幅を持って評価してください。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

リバースDCF分析(市場の期待値)

市場が織り込んでいる成長期待

現在の株価(886円)を正当化するために必要なインプライドFCF成長率を逆算しました。

インプライドFCF成長率
-10.0%
市場が織り込む成長率
AI推定FCF成長率
1.0%
ファンダメンタル分析ベース
成長率ギャップ
-11.0%
悲観的

リバースDCF詳細

現在の株価886円
インプライドFCF成長率-10.00%
AI推定FCF成長率1.00%
成長率ギャップ-11.00%(悲観的)
インプライドWACC1.00%
AI推定WACC12.00%
📖 読み方:
  • インプライド成長率 > AI推定成長率 → 市場は楽観的。期待通りの成長が実現しなければ株価下落リスク
  • インプライド成長率 < AI推定成長率 → 市場は悲観的。実態より過小評価されている可能性
  • 両者がほぼ一致 → 市場の評価はファンダメンタルに整合的

市場の期待値の評価

ワンダープラネット(4199)の現在株価886円に基づき算出されたインプライドFCF(フリーキャッシュフロー)成長率は-10.00%です。これは、市場が同社の将来的な資金創出能力に対し、毎年2桁ベースでの縮小を織り込んでいることを意味します。AIが推定する成長率1.00%と比較すると、-11.00%という大幅な成長率ギャップが生じており、現在の市場評価は極めて「悲観的」な局面にあります。過去のスマートフォンゲーム市場におけるヒット作の減衰リスクや、新規タイトルの開発不確実性が、株価形成において強い下押し圧力となっていることが推察されます。

インプライド成長率の実現可能性

市場が織り込む「マイナス10%成長」というシナリオは、既存タイトルの緩やかな衰退と、それを補う新規ヒット作が長期にわたって現れない状況を想定したものです。スマートフォンゲーム業界はヒットの有無で業績が激しく変動するボラティリティの高い業種ですが、同社が培ってきた運営ノウハウやグローバル展開力を考慮すると、永続的に2桁のマイナス成長が続くという予測は、かなり保守的な見積もりと言えます。一方で、AI推定のWACC(加重平均資本コスト)が12.00%であるのに対し、インプライドWACCが1.00%という乖離を示している点は、投資家が将来の不確実性(リスク)を非常に高く見積もっており、標準的な理論価格から大きく解離したディスカウント状態で取引されている可能性を示唆しています。

投資判断への示唆

リバースDCF分析の結果、現在の株価886円は、企業の現状維持(AI推定の1.00%成長)すら期待していない「過度な悲観」の状態にある可能性が浮き彫りとなりました。市場の期待値(-10.00%)を実際の成長率が上回る、すなわち「想定ほど悪くない」結果や、収益性の改善が確認された場合、株価には強い反発余地が生じ得ます。しかし、インプライドWACCの低さは、現在のキャッシュフローに対する市場の信頼性の低さも表しており、高い不確実性を伴う銘柄であることも事実です。本分析結果を基に、現在の株価を割安な放置状態と捉えるか、あるいは事業リスクを正当に反映した妥当な水準と捉えるかは、今後の新作パイプラインの進捗や収益基盤の安定性をどう評価するかに委ねられます。

拡張感応度分析・シナリオ分析

感度分析: WACC × FCF成長率(理論株価: 円)

金利上昇はWACCの増加、景気後退はFCF成長率の低下として理論株価に影響します。

WACC →
FCF成長率 ↓
10.0%11.0%12.0%13.0%14.0%
-4.0%1,0991,0721,0461,021998
-1.5%1,1821,1521,1231,0951,069
1.0%1,2721,2391,2061,1761,147
3.5%1,3701,3331,2971,2631,230
6.0%1,4761,4351,3951,3571,321

※ 緑色: 現在株価(886円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 現在の前提条件

シナリオ分析(楽観・基本・悲観)

金利環境・景気動向の変化に応じた3つのシナリオで理論株価を比較します。

楽観シナリオ
WACC: 10.5% / FCF成長率: 8.0%
永久成長率: 1.1%
1,545円
+74.4%
基本シナリオ
WACC: 12.0% / FCF成長率: 1.0%
永久成長率: 0.7%
1,206円
+36.1%
悲観シナリオ
WACC: 13.5% / FCF成長率: -5.0%
永久成長率: 0.3%
982円
+10.8%

シナリオ分析の総合評価

ワンダープラネット(4199)のシナリオ分析結果を俯瞰すると、現在の市場価格(886円)は、本分析における「悲観シナリオ」の理論株価(982円)をも下回る水準で推移しています。基本シナリオ(1,206円)と比較して約26.5%の乖離があり、楽観シナリオ(1,545円)に対しては74.4%の上値余地が示唆されています。全シナリオにおいて理論株価が現在株価を上回っている事実は、現在の市場評価が極めて保守的、あるいは将来の不確実性を過度に織り込んでいる可能性を示唆しています。

金利変動の影響

本分析では、WACC(加重平均資本コスト)を10.5%から13.5%の範囲で設定しています。基本シナリオの12.0%から1.5ポイント上昇した悲観シナリオにおいても、理論株価は982円を維持しており、現在株価(886円)に対して10.8%のプラス乖離を保っています。同社のような成長過程にある企業にとって資本コストの上昇はバリュエーションを押し下げる要因となりますが、現時点での株価水準は、金利上昇やリスクプレミアムの拡大といったマクロ経済的な下押し圧力に対しても、一定の耐性を備えていると評価できます。

景気変動の影響

FCF(フリーキャッシュフロー)成長率が+8.0%(楽観)から-5.0%(悲観)まで大きく変動する設定において、理論株価は1,545円から982円まで変動します。特に、FCF成長率がマイナス5.0%に落ち込む厳しい収益環境を想定した場合でも、理論株価が現在株価を割り込まないという結果は、事業リスクに対する下値の堅牢性を示しています。ただし、モバイルゲーム事業の特性上、ヒットタイトルの有無によるボラティリティが大きいため、長期的な永久成長率(0.3%〜1.1%)の前提条件が維持されるかどうかが、下値リスクを抑える鍵となります。

投資判断への示唆

今回の分析結果において最も注目すべき点は、安全域(マージン・オブ・セーフティ)の広さです。現在株価886円は、FCFが年率5%減少するという悲観的な前提に基づいた理論株価(982円)よりもさらに約10%低い水準にあります。これは、市場が現在、企業のファンダメンタルズが示す「最悪の想定」よりもさらに厳しい評価を下している、あるいは流動性リスク等を強く意識していることを示唆します。投資家は、この価格乖離を割安なエントリーポイントと捉えるか、あるいはモデルに織り込まれていない固有のリスクが市場に先行して評価されていると捉えるか、慎重な検討が求められます。

モンテカルロシミュレーション

シミュレーション結果サマリー

WACC・FCF成長率・永久成長率をそれぞれ正規分布でランダムに変動させ、100,000回のDCF計算を実行した結果です。DCF計算の非線形性(特にゴードン成長モデルの割引構造)により、理論株価の分布は対数正規分布に近い形状となるため、ヒストグラムは対数スケールで表示しています。

平均理論株価
1,672円
中央値
1,656円
90%レンジ(5-95%点)
1,353 〜 2,046円
割安確率
100.0%
理論株価 > 現在株価
モンテカルロシミュレーション:理論株価の確率分布(100,000回・対数スケール)0.0%1.1%2.3%3.4%4.5%5.7%1,287円1,379円1,478円1,583円1,697円1,818円1,948円2,088円シミュレーション分布現在株価

※ ヒストグラムは対数スケールで表示し、外れ値の影響を抑えるため分布の中央96%(2〜98パーセンタイル)を表示しています。対数スケールにより、DCF計算の非線形性に起因する右裾の歪みが補正され、分布の形状をより正確に把握できます。平均・中央値・パーセンタイルなどの統計値は元のスケールで有効サンプル全体から計算しています。

理論株価のパーセンタイル分布

シミュレーション結果を小さい順に並べたとき、各パーセンタイルにおける理論株価を示します。

パーセンタイル 5% 10% 25% 50% 75% 90% 95%
理論株価1,353円1,413円1,523円1,656円1,804円1,952円2,046円

※ 緑色: 現在株価(886円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 中央値(50%タイル)

リスク指標

理論株価の標準偏差 212円
5% VaR(下位5%タイル) 1,353円
変動係数(CV = σ / 平均) 12.7%
有効シミュレーション数 100,000 / 100,000

確率分布の解釈

本シミュレーションにおける理論株価の平均値は1,672円、中央値は1,656円となりました。平均値が中央値をわずかに上回る右に裾の長い「対数正規分布」に近い形状を示しています。これはDCF法において、成長率の上振れやWACCの下振れが理論株価を指数関数的に押し上げる非線形的な特性を反映したものです。理論株価の90%信頼区間(5パーセンタイルから95パーセンタイル)は1,353円〜2,046円の範囲に収束しており、パラメータの変動を考慮しても、企業の潜在価値はこのレンジ内に位置する蓋然性が高いと解釈されます。

リスク評価

リスク指標としての5% VaR(バリュー・アット・リスク)は1,353円となりました。これは、FCF成長率の停滞や資本コストの上昇といった悲観的なシナリオが重なる下位5%の状況下においても、理論上の価値が1,353円を維持することを示唆しています。変動係数(CV)は約12.7%(212円/1,672円)と算出され、パラメータの不確実性が理論株価に与える影響は、過度な拡散を見せず、比較的安定した範囲に留まっていると評価できます。不確実性の幅(95%点と5%点の差)は693円であり、事業環境の変動に対する感応度は相応に存在します。

現在株価の統計的位置づけ

ワンダープラネット株式会社の現在株価886円は、シミュレーションされた理論株価の分布において極めて特異な位置にあります。割安確率は100.0%に達しており、100,000回の試行の中で一度も現在株価を下回る理論株価が算出されなかったことを意味します。現在株価は、最も保守的なシナリオである5パーセンタイル値(1,353円)をさらに約34.5%下回っており、統計的な観点からは、現在の市場価格はDCFモデルが前提とする基礎的条件(平均FCF成長率1.0%等)に対して過度に悲観的、あるいはモデル化されていない固有のリスクを織り込んでいる状態と言えます。

投資判断への示唆

本分析に基づくと、現在株価と理論株価平均値(1,672円)の間には約47.0%の乖離があり、極めて広大な「マージン・オブ・セーフティ(安全域)」が確保されていると判断されます。5% VaR(1,353円)を基準とした場合でも、現在株価はそこから大幅に下方乖離しており、ダウンサイド・リスクに対する防衛力は統計上非常に高い水準にあります。ただし、割安確率100%という結果は、市場が「継続疑義」や「急激な業績悪化」など、本シミュレーションのパラメータ(平均1.0%の成長率等)を大きく下回る事象を予見している可能性も示唆します。投資にあたっては、この統計的な割安感と、実際の業績トレンドや市場の流動性リスクを照らし合わせ、慎重に判断を行う必要があります。

※本レポートは、提供されたモンテカルロシミュレーション結果に基づき、統計的な解釈を試みたものです。将来の株価を保証するものではなく、実際の投資決定はご自身の責任において行ってください。

📖 モンテカルロシミュレーションの読み方:
  • 割安確率: シミュレーション結果のうち、理論株価が現在株価を上回った割合。50%超なら統計的に割安寄り
  • 90%レンジ(5-95%点): 全シミュレーション結果を並べたときの下位5%点から上位95%点までの範囲。幅が広いほど不確実性が高い
  • 5% VaR: 悲観的な条件下でも95%の確率でこの値以上になると期待される最低ライン
  • 変動係数: 平均に対する標準偏差の比率。30%超だとパラメータ感度が高い(結果の信頼性に注意)
⚠️ 免責事項: 本モンテカルロシミュレーションはAIが推定したパラメータの分布に基づく統計的な参考値であり、投資助言ではありません。 入力パラメータに正規分布を仮定し、DCF計算の非線形性により出力は対数正規分布に近い形状となります。パラメータ間の独立性の仮定など、実際の市場とは異なる前提を含んでいます。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

限界利益分析(CVP分析)

高低点法による費用構造の推定

売上高が最大の年度と最小の年度を比較し、総費用(売上高−営業利益)の変化から変動費率と固定費を推定します。

推定変動費率
59.3%
売上高に対する変動費の割合
推定限界利益率
40.7%
1 − 変動費率
推定固定費
1,071
百万円
基準: 2021年 8月期 個別(売上高 3,842 百万円)と 2025年 8月期 個別(売上高 2,316 百万円)の比較

年度別 限界利益指標

年度 売上高 限界利益 限界利益率 損益分岐点 安全余裕率 経営レバレッジ
20年 8月期 3,435 1,398 40.7% 2,633 23.4% 4.47倍
21年 8月期 個別 3,842 1,563 40.7% 2,633 31.5% 3.18倍
21年 8月期 個別 3,578 1,456 40.7% 2,633 26.4% 5.49倍
21年 8月期 個別 3,586 1,459 40.7% 2,633 26.6% 5.59倍
22年 8月期 個別 3,400 1,384 40.7% 2,633 22.6% -
22年 8月期 個別 3,422 1,393 40.7% 2,633 23.1% -
23年 8月期 個別 3,464 1,410 40.7% 2,633 24.0% 28.77倍
23年 8月期 個別 3,464 1,410 40.7% 2,633 24.0% 28.19倍
24年 8月期 個別 2,440 993 40.7% 2,633 -7.9% 8.27倍
24年 8月期 個別 2,450 997 40.7% 2,633 -7.5% 8.24倍
25年 8月期 個別 2,316 942 40.7% 2,633 -13.7% -
25年 8月期 個別 2,317 943 40.7% 2,633 -13.6% -
売上高と損益分岐点売上高の推移2十億3十億3十億4十億4十億20212223242525売上高(百万円)損益分岐点(百万円)
安全余裕率と経営レバレッジの推移-20.0-10.00.010.020.030.040.0202122232425250安全余裕率(%)経営レバレッジ(倍)
直近年度の損益分岐点分析(2025年 8月期 個別)
売上高
2,317
百万円
損益分岐点
2,633
百万円
安全余裕率
-13.6%
安全余裕が低い
経営レバレッジ
-
中程度の経営リスク

費用構造の評価

ワンダープラネット(4199)の推定変動費率は59.3%、限界利益率は40.7%となっています。一般的にモバイルゲーム事業は、プラットフォーム手数料(売上の約30%)や版権使用料(IPものの場合)が発生するため、製造業と比較して変動費率が高くなる傾向にあります。同社の限界利益率40.7%という数値は、売上が100百万円増加するごとに約41百万円が利益(固定費回収および利益)に寄与する構造であることを示しています。 また、推定固定費は1,071百万円と算出されており、人件費や開発維持費、地代家賃などの固定的な支出が一定規模存在します。限界利益でこの固定費をどれだけ効率的にカバーできるかが、同社の収益性を左右する鍵となります。

損益分岐点と安全余裕率

本分析における損益分岐点売上高は2,633百万円と推定されます。過去の推移を振り返ると、2021年8月期(個別)には売上高3,842百万円を記録し、安全余裕率は31.5%と良好な水準にありました。しかし、2024年8月期以降は売上高が2,400百万円台まで減少しており、最新の2025年8月期推定値では売上高2,317百万円に対し、安全余裕率は-13.6%とマイナス圏に沈んでいます。 これは、現在の売上規模が固定費を賄うために必要な損益分岐点を下回っており、構造的に営業損失が発生しやすいフェーズにあることを示唆しています。収益の安定性を回復させるためには、損益分岐点である2,633百万円を超える売上高の確保、あるいは固定費の圧縮が急務といえます。

経営レバレッジとリスク

経営レバレッジは、2023年8月期に28倍を超える極めて高い数値を示しています。これは営業利益が損益分岐点付近にあることを意味し、売上高のわずかな変動が利益(または損失)に非常に大きなインパクトを与える「ハイリスク・ハイリターン」な状態です。 2024年以降、売上高が減少傾向にある中で経営レバレッジが高い状態が続くことは、下方リスクへの感応度が高いことを示しています。一方で、ヒットタイトルの創出などにより売上が損益分岐点を上回る方向に転じた場合には、高いレバレッジがプラスに作用し、利益が爆発的に回復するポテンシャルも秘めています。現在の同社は、景気感応度よりもプロダクトサイクルに起因する業績変動リスクを強く抱えていると分析されます。

投資判断への示唆

限界利益分析の結果から、ワンダープラネットは現在、損益分岐点を下回る売上水準にあり、収益構造の立て直しが必要な局面にあることが読み取れます。投資家にとっての注目点は以下の2点に集約されます。 第一に、売上高が損益分岐点の目安である2,633百万円を再び突破できるかという「トップラインの回復力」です。新規タイトルの成否や既存タイトルの減衰抑制がその成否を分けます。 第二に、1,071百万円と推定される固定費の適正化です。現在の売上規模に見合ったコスト構造への転換が進めば、損益分岐点が下がり、黒字化の難易度は低下します。 高い経営レバレッジゆえに、好転時の利益反発は期待されますが、現状の安全余裕率がマイナスである点については、財務的な耐性とあわせて慎重な見極めが求められます。

⚠️ 注意: 本分析は高低点法による推定値です。実際の変動費・固定費は有価証券報告書の費用明細と異なる場合があります。 費用構造が大きく変化した期間を含む場合、推定精度が低下する可能性があります。投資判断の際は他の指標と合わせてご確認ください。

デュポン分析(ROE分解)

ROEの3要素分解(デュポン分析)

ROE = 純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ に分解し、収益性の源泉を可視化します。

年度 純利益率(%) × 総資産回転率(回) × 財務レバレッジ(倍) = ROE(%)
19年 8月期 個別 0.42 × 1.640 × 2.13 = 0.01
20年 8月期 6.52 × 1.445 × 2.28 = 0.21
21年 8月期 個別 26.11 × 1.035 × 1.57 = 0.42
22年 8月期 個別 0.00 × 1.133 × 7.01 = 0.00
23年 8月期 個別 -6.18 × 1.680 × 3.27 = -0.34
24年 8月期 個別 3.69 × 1.137 × 2.96 = 0.12
25年 8月期 個別 -5.66 × 1.167 × 3.34 = -0.22
デュポン分析:ROEの3要素推移-10.0%0.0%10.0%20.0%30.0%192021222324250純利益率(%)ROE(%)
総資産回転率と財務レバレッジの推移1.002.003.004.005.006.007.008.0019202122232425総資産回転率(回)財務レバレッジ(倍)
直近年度のROE構成(2025年 8月期 個別)
純利益率
-5.66%
収益性
×
総資産回転率
1.167回
効率性
×
財務レバレッジ
3.34倍
借入で資本効率を234%ブースト
=
ROE
-0.22%
株主資本利益率
📊 ROE変動の主因: 直近の変動は主に「純利益率」の変化によるものです。本業の収益力の変化がROEに直結しています。

ROEの質の評価

ワンダープラネット(4199)のROE(自己資本利益率)は、過去7年間で非常に激しい変動を見せています。2021年8月期のROE 0.42(42%)をピークに、2023年8月期には-0.34(-34%)、2025年8月期予想では-0.22(-22%)と、プラスとマイナスの間で大きく振れる傾向にあります。 ROEの構成要素を分解すると、変動の主因は「純利益率」の振れ幅にあります。2021年8月期の26.11%から、直近では-5.66%へと落ち込んでおり、売上の多寡よりも、収益構造の安定性に課題があることが伺えます。資産を効率的に売上に変える「総資産回転率」は1.0回〜1.6回程度で比較的安定していますが、利益率の急激な変化がROEの「質」を不安定にしており、現時点では「持続的に質の高いROE」を維持できているとは言い難い状況です。

財務レバレッジの影響

財務レバレッジの推移を見ると、企業の財務戦略とリスクが顕著に現れています。2019年から2021年にかけては1.5倍〜2.2倍程度で推移していましたが、業績が急速に悪化した2022年8月期には7.01倍へと急上昇しました。これは純損失の計上などにより自己資本が毀損し、相対的に負債比率が高まったことが要因と考えられます。 2024年8月期以降は2.96倍〜3.34倍程度に落ち着きつつありますが、依然として初期の2倍前後と比較すると高い水準にあります。収益がプラスの局面では高いレバレッジがROEを押し上げるブースト効果を発揮しますが、現在のような赤字局面では、財務的な柔軟性を低下させるリスク要因として注意深く監視する必要があります。

トレンド分析

過去7年間のトレンドを分析すると、同社のビジネスモデルが典型的な「ヒットビジネス」の様相を呈していることが読み取れます。 2021年までは利益率・ROEともに上昇基調にありましたが、2022年以降は収益性が急落。2024年8月期には純利益率3.69%と一旦の回復を見せたものの、2025年8月期には再び-5.66%の赤字転落が予想されています。 特筆すべきは「総資産回転率」です。2023年8月期に1.680回と過去最高を記録しながらも、純利益率が-6.18%であったため、ROEは大幅なマイナスとなりました。これは「売上は作れているが、それ以上にコスト(開発費や広告宣伝費など)が嵩んでいる」構造を示唆しており、効率性(回転率)の改善が必ずしも最終的な利益(ROE)に結びつかない局面があることが浮き彫りになっています。

投資判断への示唆

デュポン分析の結果から、ワンダープラネットの投資判断における焦点は、財務レバレッジのコントロールではなく「純利益率の安定化」にあることが明確です。 ROEがマイナスとプラスを繰り返す不安定な推移は、将来のキャッシュフロー予測を困難にします。投資家としては、以下の2点に注目すべきでしょう。 第一に、赤字転落が予想される2025年8月期において、高水準にある財務レバレッジ(3.34倍)が財務健全性に与える影響。第二に、総資産回転率は維持できているため、いかにして変動費や固定費を適正化し、再び2021年時のような高い純利益率を計上できる体制を構築できるかという点です。 収益構造のボラティリティが極めて高い銘柄であるため、単年度のROE数値のみならず、その内訳である利益率の回復兆候を慎重に見極めることが求められます。

⚠️ 注意: デュポン分析の数値はIRBankから取得した財務データに基づいています。 会計基準(日本基準/IFRS)の違いにより、株主資本の定義が異なる場合があります。

借金が利益に与える影響分析

有利子負債の概要

項目 説明
有利子負債 12億 銀行借入・社債等の利息付き負債
推定金利 2.05% 営業利益と経常利益の差から推定
推定支払利息 24百万 有利子負債 × 推定金利
利息 / 純利益 比率 0.0% 純利益に対する利息負担の大きさ
推定実効税率 30.0% 1 − (純利益 / 経常利益) から推定

「もし借金がなかったら」年度別シミュレーション

有利子負債による支払利息を除外した場合の仮想利益を試算しています。

年度 有利子負債 推定利息 経常利益
実績
経常利益
借金なし
純利益
実績
純利益
借金なし
ROE
実績
ROE
借金なし
レバレッジ
効果
2019/08 3億 4百万 -1億 -1億 12百万 15百万 1.47% 1.37% +0.10%pt
2020/08 2億 1百万 3億 3億 2億 2億 21.46% 17.50% +3.95%pt
2021/08 4億 8百万 5億 5億 10億 10億 42.41% 36.00% +6.41%pt
2022/08 12億 18百万 -13億 -13億 0百万 13百万 0.00% 0.77% -0.77%pt
2023/08 9億 21百万 28百万 49百万 -2億 -2億 -33.97% -12.87% -21.10%pt
2024/08 9億 10百万 1億 1億 90百万 98百万 12.43% 5.95% +6.48%pt
2025/08 12億 24百万 -2億 -1億 -1億 -1億 -22.02% -6.48% -15.54%pt
純利益推移: 実績 vs 借金なしシミュレーション-5億0百万5億10億15億2019/082020/082021/082022/082023/082024/082025/080実績純利益借金なし純利益ROE推移: 実績 vs 借金なしシミュレーション-40.0%-20.0%0.0%20.0%40.0%60.0%2019/082020/082021/082022/082023/082024/082025/080実績ROE借金なしROE
レバレッジ効果の評価(直近年度)
借金が利益を減らしている(逆レバレッジ)
実績ROE
-22.02%
借金なしROE
-6.48%
レバレッジ効果
-15.54%pt

借入金利が事業利益率を上回っている、または利息負担が大きく、借金が株主リターン(ROE)を押し下げています。

借金の利益インパクト

ワンダープラネット(4199)の2025年8月期における有利子負債は12億円であり、推定金利2.05%に基づくと、年間で約2,400万円の支払利息が発生していると試算されます。直近の経常利益の実績がマイナス2億円(赤字)である中、この支払利息は赤字幅を拡大させる要因となっています。 仮に借金がなかった場合、経常利益はマイナス1億円程度に抑えられていたと推測され、純利益ベースでも利息負担と税効果を考慮すると、借金の存在が最終的な赤字額を一定程度押し下げている状況にあります。

レバレッジ効果の評価

財務レバレッジの効果を確認すると、2025年8月期は-15.54%ptと、大きなマイナス評価となっています。これは、事業から得られる利益率が借入コストを下回っている、あるいは赤字の状態であるため、負債を利用することでかえって株主資本に対するリターン(ROE)を悪化させていることを示しています。 過去の推移を見ると、2021年8月期にはレバレッジ効果が+6.41%ptと大きく寄与していましたが、2023年8月期(-21.10%pt)以降、業績のボラティリティに伴い財務レバレッジが逆回転し、株主資本を圧迫するリスクとして顕在化している点が特徴的です。

財務戦略の考察

同社の有利子負債12億円という水準は、過去5年間で最も高い水準にあります。推定金利2.05%は、一般的な中小・ベンチャー企業向け融資としては標準的な範囲内と言えますが、モバイルゲーム事業のようにヒット作の有無で利益が大きく変動する業態においては、固定的な利息負担は収益の下押し圧力となります。 同業他社と比較して、自己資本で開発資金を賄う「無借金経営」を選択する企業も多い中、同社は負債を活用した資金調達を行っています。この戦略は、新規タイトルのヒットによる急激な利益成長局面ではROEを飛躍的に高める武器となりますが、現状のように開発費が先行し赤字が続く局面では、財務の柔軟性を低下させる要因になり得ます。

投資家へのポイント

投資判断にあたっては、以下の2点を注視する必要があります。

総じて、同社は財務レバレッジを積極的に活用する局面から、現在はそのコストが重荷となる局面にあります。この負債を「将来の成長への先行投資」として許容できるか、あるいは「財務リスクの増大」と捉えるかは、今後の新作パイプラインの成功確率に対する評価に依存すると言えるでしょう。

⚠️ 注意事項: 本分析は営業利益と経常利益の差額から支払利息を推定しており、実際の支払利息とは異なる場合があります。 営業外収支には受取利息・配当金・為替差損益等も含まれるため、あくまで参考値としてご活用ください。 また、借金を全額返済した場合の実際の影響は資金調達構造の変化を伴うため、単純なシミュレーションとは異なります。

ROIC分析(投下資本利益率)

ROIC(投下資本利益率)推移

ROIC = NOPAT(税引後営業利益)÷ 投下資本(株主資本+有利子負債)。資本コスト(WACC)を上回れば価値を創造していると評価できます。

年度 NOPAT(百万円) 投下資本(百万円) ROIC(%) WACC(%) スプレッド(%pt)
19年 8月期 個別 0 1,077 0.00 7.84 -7.84
20年 8月期 225 1,284 17.50 5.75 +11.75
21年 8月期 個別 344 2,802 12.29 6.11 +6.18
22年 8月期 個別 -910 1,622 -56.10 2.36 -58.47
23年 8月期 個別 34 1,549 2.21 3.80 -1.58
24年 8月期 個別 98 1,649 5.95 3.57 +2.38
25年 8月期 個別 -90 1,763 -5.12 3.32 -8.44
ROIC vs WACC推移-60.0%-40.0%-20.0%0.0%20.0%192021222324250ROIC(%)WACC(%)
直近年度のROIC評価(2025年 8月期 個別)
ROIC
-5.12%
投下資本利益率
WACC
3.32%
加重平均資本コスト
=
スプレッド
-8.44%pt
価値破壊

ROIC水準の評価

ワンダープラネット(4199)のROIC(投下資本利益率)は、モバイルゲーム業界特有のボラティリティを色濃く反映した推移を辿っています。2020年8月期には17.50%という高い収益性を記録し、資本効率の高さを示しましたが、2022年8月期には新作の不振や開発費の先行によりROICは-56.10%まで急落しました。直近の2024年8月期には5.95%まで回復を見せたものの、2025年8月期の予想では再び-5.12%とマイナス圏に沈む見通しとなっています。業界平均が概ね5〜10%程度で推移する中で、同社の資本効率は年度ごとの振れ幅が非常に大きく、安定的な利益創出フェーズには至っていないと評価されます。

ROIC-WACCスプレッド分析

資本コスト(WACC)に対する超過利潤を示すROIC-WACCスプレッドを見ると、過去7期間のうちスプレッドが正(プラス)となったのは3期に留まり、全体としては「価値破壊」の状態が続いています。特に2020年8月期には+11.75%ptという大幅なプラスを記録し、株主の期待を大きく上回る価値創造を実現しましたが、2022年8月期の-58.47%ptという記録的なマイナスが累積的な企業価値を押し下げる要因となりました。WACC自体は2〜7%台と比較的低水準で推移していますが、NOPAT(税引後営業利益)の不安定さがスプレッドの乱高下を招いており、投下資本を効率的に利益へ転換する力の継続性が課題となっています。

投資家へのポイント

投資判断における焦点は、同社の「収益の再現性」と「資本再配分」の精度にあります。2024年8月期にはROIC 5.95%、スプレッド+2.38%ptと一時的に価値創造局面へ回帰しましたが、翌2025年8月期の赤字予想(ROIC -5.12%)が示す通り、新作パイプラインの成否が資本効率を極端に左右する収益構造となっています。投下資本(1,500〜1,700百万円規模)に対して、安定的にWACCを上回るNOPATを積み上げられる体制が構築されるか、あるいは既存タイトルの運用効率化によってダウンサイドをどこまで抑制できるかが、長期的な企業価値評価の分水嶺となります。ボラティリティを許容した成長期待か、あるいは安定的な資本効率の回復を待つか、慎重な見極めが求められます。

⚠️ 注意: WACCは簡易推定値です(株主資本コスト7%想定、負債コストは推定支払利息から算出)。 実際のWACCはCAPMや市場データに基づくより精緻な計算が必要です。

ROIC逆ツリー分析

ROIC逆ツリー分解

ROIC = NOPATマージン × 投下資本回転率 に分解し、収益性の改善ドライバーを特定します。

年度 売上高(百万円) NOPATマージン(%) × 投下資本回転率(回) = ROIC(%)
19年 8月期 個別 2,856 0.00 × 2.652 = 0.00
20年 8月期 3,435 6.54 × 2.675 = 17.50
21年 8月期 個別 3,842 8.96 × 1.371 = 12.29
22年 8月期 個別 3,400 -26.76 × 2.096 = -56.10
23年 8月期 個別 3,464 0.99 × 2.236 = 2.21
24年 8月期 個別 2,440 4.02 × 1.480 = 5.95
25年 8月期 個別 2,316 -3.90 × 1.314 = -5.12
ROIC逆ツリー: NOPATマージンと投下資本回転率-30.00-20.00-10.000.0010.00192021222324250NOPATマージン(%)投下資本回転率(回)
ROIC逆ツリー分解(2025年 8月期 個別)
NOPATマージン
-3.90%
NOPAT -90百万円 ÷ 売上 2,316百万円
×
投下資本回転率
1.314回
売上 2,316百万円 ÷ IC 1,763百万円
=
ROIC
-5.12%
📊 ROIC変動の主因: 直近の変動は主に「NOPATマージン」の変化によるものです。本業の収益力の変化がROICに直結しています。

ROIC変動要因の分解

ワンダープラネット(4199)のROIC(投下資本利益率)推移を分析すると、その変動の主因は「NOPATマージン」の激しい振れ幅にあることが明確です。2020年8月期にはROIC 17.50%(NOPATマージン 6.54%、投下資本回転率 2.675回)という高い資本効率を記録しましたが、2022年8月期には新規タイトルの不振や開発費・広告宣伝費の増大により、NOPATマージンが-26.76%まで急落し、ROICも-56.10%と大幅な赤字を記録しました。

その後、2023年から2024年にかけてはコスト構造の見直しや不採算タイトルの整理により、NOPATマージンが4.02%まで回復し、ROICも5.95%とプラス圏に浮上しました。しかし、2025年8月期の予測ではNOPATマージンが-3.90%に転じ、ROICも-5.12%と再びマイナス圏に沈む見通しとなっています。一方で、投下資本回転率は2020年の2.675回から2025年の1.314回へと低下傾向にあり、売上高に対して投下資本(資産)が肥大化、あるいは売上創出能力が相対的に弱まっている局面にあると分析されます。

改善ドライバーの特定

同社がROICを安定的に向上させるためには、以下の2点に注力する必要があります。

投資家へのポイント

本分析から読み取れる投資上の注目点は、同社が「ボラティリティ(変動性)の非常に高いフェーズ」を脱し切れていないという点です。

以上の通り、ワンダープラネットのROIC改善の鍵は、不安定なマージンをいかに制御し、低下傾向にある回転率を反転させられるかにかかっています。同社のリソース配分と収益化までのタイムスパンを考慮した上で、今後の動向を注視する必要があります。

EVA(経済的付加価値)分析

EVA(経済的付加価値)推移

EVA = (ROIC − WACC) × 投下資本。資本コストを超えるリターンを生み出し、株主価値を真に創造しているかを測定する指標です。

年度 NOPAT(百万円) 資本コスト(百万円) EVA(百万円) ROIC(%) WACC(%)
19年 8月期 個別 0 84 -84 0.00 7.84
20年 8月期 225 74 151 17.50 5.75
21年 8月期 個別 344 171 173 12.29 6.11
22年 8月期 個別 -910 38 -948 -56.10 2.36
23年 8月期 個別 34 59 -25 2.21 3.80
24年 8月期 個別 98 59 39 5.95 3.57
25年 8月期 個別 -90 59 -149 -5.12 3.32
EVA(経済的付加価値)推移-1000-5000500192021222324250EVA(百万円)NOPAT(百万円)
EVA評価サマリー
直近EVA
-149
百万円(2025年 8月期 個別)
累積EVA
-843
百万円(7年間合計)
価値創造評価
価値破壊

EVAの推移と評価

ワンダープラネット(4199)の2019年から2025年(予想)にかけてのEVA(経済的付加価値)は、激しいボラティリティを伴う推移を見せています。2020年(151百万円)および2021年(173百万円)は、ROIC(投下資本利益率)がWACC(加重平均資本コスト)を大きく上回り、実質的な企業価値を創造していました。しかし、2022年8月期にはNOPAT(税引後営業利益)が-910百万円と急落し、EVAも-948百万円という大幅なマイナスを記録しました。

2024年8月期にはROICが5.95%まで回復し、EVAは39百万円と再びプラス圏に浮上しましたが、2025年8月期の予想では再び-149百万円の赤字(価値破壊)が見込まれています。累積EVAが-843百万円となっている点は、これまでの事業活動において、投資家が期待する資本コストを十分に補填できていない現状を示唆しています。

価値創造力の持続性

同社の価値創造力には、現時点で持続性に関する不透明感が残ります。ROICの推移を見ると、2020年の17.50%から2022年の-56.10%まで極端に変動しており、ヒットタイトルや開発サイクルに依存しやすいゲーム事業特有のリスクがEVAに色濃く反映されています。

WACCは2022年以降、2〜3%台と比較的低水準で推移しており、資金調達コストそのものは抑制されています。しかし、2025年のEVA予想が再びマイナスに転じることは、投下資本を効率的に利益へ結びつける構造がまだ安定していないことを示しています。中長期的な価値創造には、単発のヒットに依存しない収益基盤の確立と、ROICを安定的にWACC(約3.3〜3.8%)以上に保つ規律ある経営が求められます。

投資家へのポイント

投資家にとっての注目点は、回復基調にあったEVAが2025年予想で再び悪化する要因をどう評価するかです。以下の3点が分析の鍵となります。

以上の数値を踏まえ、同社が掲げる成長戦略がどのようにROICの向上に結びつき、資本コストを上回る付加価値を創出できるかを注視することが重要です。

⚠️ 注意: EVAは簡易推定値です。WACCは株主資本コスト7%想定に基づく簡易計算であり、 正確なEVA算出にはβ値やリスクフリーレートの精緻な設定が必要です。

営業レバレッジ分析

営業レバレッジ度(DOL)推移

DOL = 営業利益変化率 ÷ 売上高変化率。売上が1%変化したとき営業利益が何%変化するかを示し、固定費比率の高さ(経営リスク)を表します。

平均DOL
13.16倍
有効年度の平均
リスク評価
高リスク
DOL≤2: 低 / 2-5: 中 / 5+: 高
年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 営業利益率(%) 売上変化率(%) 営業利益変化率(%) DOL(倍)
20年 8月期 3,435 313 9.11 - - -
21年 8月期 個別 3,842 492 12.81 11.85 57.19 4.83
21年 8月期 個別 3,578 265 7.41 -6.87 -46.14 6.71
21年 8月期 個別 3,586 261 7.28 0.22 -1.51 -
22年 8月期 個別 3,400 -1,300 -38.24 -5.19 -598.08 -
22年 8月期 個別 3,422 -1,272 -37.17 0.65 2.15 3.33
23年 8月期 個別 3,464 49 1.41 1.23 103.85 -
23年 8月期 個別 3,464 50 1.44 0.00 2.04 -
24年 8月期 個別 2,440 120 4.92 -29.56 140.00 -4.74
24年 8月期 個別 2,450 121 4.94 0.41 0.83 -
25年 8月期 個別 2,316 -129 -5.57 -5.47 -206.61 37.78
25年 8月期 個別 2,317 -130 -5.61 0.04 -0.78 -
営業レバレッジ度(DOL)と営業利益率の推移-40.0-20.00.020.040.0202122232425250DOL(倍)営業利益率(%)

費用構造の特徴

ワンダープラネット(4199)の平均DOL(営業レバレッジ度)は13.16倍と非常に高く、典型的な「固定費型ビジネス」の構造を有しています。同社が属するスマートフォン向けゲーム開発・運営事業は、ヒットの有無にかかわらず発生する人件費やサーバー費用、開発費の償却負担といった固定費の割合が大きいため、売上高の変動が営業利益に増幅して反映される特性があります。特に、2025年8月期のDOLが37.78倍に達している点は、現在の損益分岐点付近において、わずかな売上の減少が利益を大幅に押し下げる、極めて敏感な費用構造にあることを示唆しています。

景気変動への感応度

売上高の変化に対する業績のボラティリティ(振れ幅)は極めて大きい状況にあります。過去の推移を見ると、2021年8月期の売上高11.85%増に対し営業利益が57.19%増(DOL 4.83倍)と大きく伸長した一方で、2022年8月期には売上高が約5%減少しただけで13億円の営業赤字に転落するなど、下振れ局面での脆弱性が顕著です。2024年から2025年にかけては売上規模が24億円台から23億円台へと縮小傾向にあり、その僅かな減収が206.61%もの営業利益の悪化(黒字から赤字への転落)を招く予測となっています。好況時やヒット作創出時には利益が爆発的に増加する潜在力を持つ反面、現状のような減収局面では固定費を賄いきれず、利益が急速に毀損するリスクを抱えています。

投資家へのポイント

投資家は、同社の営業レバレッジを「諸刃の剣」として認識する必要があります。

現在の高リスク・高ボラティリティな収益構造を踏まえ、今後の売上回復の確実性と、固定費コントロールの推移を注視することが重要です。

⚠️ 注意: 営業レバレッジ度は前年比の変化率から算出しており、売上や利益が急変する年度では極端な値になることがあります。 複数年の平均値での評価を推奨します。

持続的成長率分析(SGR)

持続的成長率(SGR)推移

SGR = ROE × 内部留保率。外部からの資金調達なしで持続可能な売上成長率を示します。実際の成長率と比較することで、成長の持続可能性を評価します。

年度 ROE(%) 配当性向(%) 内部留保率(%) SGR(%) 実際成長率(%)
19年 8月期 個別 1.47 推定30% 70.0 1.03 -
20年 8月期 21.46 推定30% 70.0 15.02 20.27
21年 8月期 個別 42.41 推定30% 70.0 29.69 11.85
22年 8月期 個別 0.00 推定30% 70.0 0.00 -11.50
23年 8月期 個別 -33.97 推定30% 70.0 -23.78 1.88
24年 8月期 個別 12.43 0.0 100.0 12.43 -29.56
25年 8月期 個別 -22.02 推定30% 70.0 -15.41 -5.08
持続的成長率(SGR)vs 実際の売上成長率-30.0%-20.0%-10.0%0.0%10.0%20.0%30.0%192021222324250SGR(%)実際成長率(%)
ROEと配当性向の推移-40.0%-20.0%0.0%20.0%40.0%60.0%192021222324250ROE(%)配当性向(%)
持続的成長率の評価(2025年 8月期 個別)
ROE
-22.02%
×
内部留保率
70.0%
=
SGR
-15.41%
📊 成長持続性の評価: 実際の成長率がSGRを大幅に上回っており、外部資金調達や財務レバレッジの拡大が必要な可能性

SGR水準の評価

ワンダープラネット株式会社(4199)の持続的成長率(SGR)は、極めて変動の激しい推移を辿っています。2021年8月期にはROE 42.41%を背景にSGR 29.69%という高い数値を記録しましたが、翌2022年以降はROEの急激な悪化に伴い、SGRも大幅に低下・マイナス圏へ沈む事態となっています。この変動の主因は、配当性向(推定30%で概ね一定)ではなく、分母となる自己資本に対する当期純利益(ROE)の不安定さにあります。特に2023年8月期のROE -33.97%およびSGR -23.78%は、事業収益性の低下が財務基盤を直接的に侵食していることを示唆しています。2024年8月期には配当をゼロ(内部留保率100%)にすることでSGR 12.43%まで回復させましたが、2025年8月期の予想では再び-15.41%と、持続的な自己資本蓄積が困難な局面が続くと推測されます。

成長の持続可能性

実際の売上高成長率とSGRを比較すると、同社の成長持続性には慎重な見極めが必要です。2020年8月期は実際の成長率(20.27%)がSGR(15.02%)を上回り、外部資金やレバレッジを活用した積極的な拡大期にありました。しかし、直近の2024年8月期においては、SGRが12.43%であるのに対し、実際の成長率は-29.56%と大幅な減収を記録しています。これは、利益面では黒字化したものの、事業規模自体は縮小していることを意味し、計算上の「成長可能性」と「実態の事業拡大」の間に大きな乖離が生じています。2025年8月期の予測値においても、実際の成長率(-5.08%)がSGR(-15.41%)を上回る状態であり、これは収益性の低迷によって自己資本が減少する速度の方が、売上高の減少速度よりも速いことを示しており、財務体質のさらなる弱体化が懸念される状況にあります。

投資家へのポイント

本分析を踏まえた投資判断の材料として、以下の3点に注目すべきです。第一に、同社のSGRはROEに過度に依存しており、ヒットタイトルの有無に左右されるゲーム事業特有のボラティリティを色濃く反映している点です。第二に、2024年8月期に見られた「収益性改善と事業規模縮小のミスマッチ」が、2025年以降にどのように解消されるか、あるいは構造的な縮小均衡に陥るのかという点です。第三に、直近のSGRが-15.41%と予測されていることから、外部資金調達(増資等)による財務基盤の補強が必要となる可能性について留意が必要です。これらの指標が示す財務的な持続可能性と、同社の新作パイプラインや既存タイトルの運用状況を照らし合わせ、中長期的な回復の蓋然性を判断することが重要となります。

⚠️ 注意: 配当データが取得できない年度は内部留保率70%(配当性向30%)を仮定しています。 実際の配当政策と異なる場合があります。

インタレストカバレッジレシオ推移

インタレストカバレッジレシオ推移

ICR = 営業利益 ÷ 支払利息。営業利益で利息の何倍を賄えるかを示す、借入金利負担の安全性指標です。

直近ICR
-5.4倍
>10: 極めて安全 / 3-10: 安全 / 1-3: 要注意 / <1: 危険
安全性評価
危険
年度 営業利益(百万円) 推定支払利息(百万円) ICR(倍) 有利子負債(百万円) 有利子負債比率(%) 推定借入金利(%)
19年 8月期 個別 0 137 0.0 258 14.8 53.10
20年 8月期 313 1 313.0 240 10.1 0.42
21年 8月期 個別 492 8 61.5 437 11.8 1.83
22年 8月期 個別 -1,300 - 1,194 39.8 -
23年 8月期 個別 49 21 2.3 919 44.6 2.29
24年 8月期 個別 120 10 12.0 925 43.1 1.08
25年 8月期 個別 -129 24 -5.4 1,168 58.8 2.05
インタレストカバレッジレシオと有利子負債比率の推移-100.00.0100.0200.0300.0400.0192021222324250ICR(倍)有利子負債比率(%)

利払い安全性の評価

ワンダープラネット株式会社のインタレストカバレッジレシオ(ICR)は、年度によって極めて大きな変動を見せており、収益基盤の不安定さが財務安全性に直結している状況が伺えます。2020年・2021年8月期はICRが61.5倍から313.0倍と非常に高い水準にありましたが、2022年8月期には1,300百万円の営業損失を計上。2023年・2024年8月期には一度回復の兆しを見せ、2024年8月期にはICR 12.0倍と安全圏に戻りました。しかし、2025年8月期(個別)の数値では、営業利益が129百万円の赤字に転落し、ICRは-5.4倍となっています。営業キャッシュフローで利息を賄えない状態に陥っており、安全性評価が「危険」とされる水準にあることは、投資家として留意すべき重要な指標です。

有利子負債の状況

有利子負債の推移を見ると、2020年8月期の240百万円(有利子負債比率10.1%)から、2025年8月期には1,168百万円(同58.8%)へと大幅に増加しています。特に2022年以降、負債比率が40%から60%弱のレンジで高止まりしており、借入金への依存度が高まっています。推定支払利息も2021年の8百万円から、直近では24百万円へと増加傾向にあります。事業規模に対して負債総額が膨らんでおり、営業利益が赤字化する局面では、この金利負担が純利益をさらに圧迫する構造となっています。負債管理の観点からは、自己資本の拡充または収益性の急回復による負債比率の低減が急務であると分析されます。

投資家へのポイント

本分析から浮かび上がる投資判断のポイントは以下の3点です。第一に「ボラティリティの高さ」です。ヒット作の有無に左右されるゲーム事業の特性上、利益の振れ幅が大きく、それに伴いICRも急激に悪化・改善を繰り返す傾向があります。第二に「財務余力の低下」です。有利子負債比率が58.8%まで上昇しているため、追加の資金調達余力や金利上昇局面での耐性に注視が必要です。第三に「営業利益の黒字転換の確度」です。ICRがマイナス圏にある現状では、本業での現金創出能力の回復が財務健全化の絶対条件となります。これらの財務リスクと、同社が展開する新規タイトルの成長性を天秤にかけ、慎重な検討が求められます。

⚠️ 注意: 支払利息は「営業利益−経常利益」から推定しています。 営業外収益が大きい企業では過小評価になる可能性があります。正確な支払利息は有価証券報告書の注記をご確認ください。

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