4345株式会社シーティーエス

シーティーエス(4345) 理論株価分析:建設DXへの転換で高収益体質を加速 カチノメ

決算発表日: 2025-11-142025年3月期 第2四半期(中間期)
総合業績スコア
79/100
好決算

セクション別スコア

業績成長性70収益性95財務健全性90株主還元80成長戦略80理論株価評価60
業績成長性70
収益性95
財務健全性90
株主還元80
成長戦略80
理論株価評価60

※ 本記事は後半になるにつれて、内容が専門的になるように構成しています。

決算履歴(業績推移)

売上高推移(百万円)70億80億90億100億110億120億130億2017年 2018年 2019年 2021年 2022年 2024年 2025年 2026年 売上高利益推移(営業利益・経常利益・当期純利益)0百万10億20億30億40億2017年 2018年 2019年 2021年 2022年 2024年 2025年 2026年 営業利益経常利益純利益利益率推移(%)10.0%15.0%20.0%25.0%30.0%2017年 2018年 2019年 2021年 2022年 2024年 2025年 2026年 営業利益率経常利益率純利益率
年度 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 包括利益
2017年 3月期 個別 7,285 1,179 1,130 800 -
2018年 3月期 連結 8,200 1,330 1,280 896 -
2018年 3月期 連結 8,500 1,480 1,440 1,000 -
2018年 3月期 連結 8,578 1,508 1,465 1,027 1,003
2019年 3月期 連結 8,613 1,590 1,559 1,066 1,054
2020年 3月期 連結 9,172 1,852 1,818 1,248 1,233
2021年 3月期 連結 9,968 2,228 2,127 1,456 1,467
2022年 3月期 連結 10,600 2,550 2,460 1,720 -
2022年 3月期 連結 10,542 2,628 2,535 1,731 1,853
2023年 3月期 連結 10,797 2,691 2,722 1,758 1,749
2024年 3月期 連結 11,000 2,800 2,770 1,930 -
2024年 3月期 連結 11,090 2,865 2,785 1,858 2,559
2025年 3月期 連結 11,821 3,077 3,162 2,190 2,605
2026年 3月期 連結 12,885 3,353 3,643 2,527 -

※単位: 百万円

利益率推移

営業利益率 = 営業利益÷売上高×100 / 経常利益率 = 経常利益÷売上高×100 / 純利益率 = 当期純利益÷売上高×100

年度 売上高 (百万円) 営業利益率 (%) 経常利益率 (%) 純利益率 (%)
2017年 3月期 個別 7,285 16.18% 15.51% 10.98%
2018年 3月期 連結 8,200 16.22% 15.61% 10.93%
2018年 3月期 連結 8,500 17.41% 16.94% 11.76%
2018年 3月期 連結 8,578 17.58% 17.08% 11.97%
2019年 3月期 連結 8,613 18.46% 18.10% 12.38%
2020年 3月期 連結 9,172 20.19% 19.82% 13.61%
2021年 3月期 連結 9,968 22.35% 21.34% 14.61%
2022年 3月期 連結 10,600 24.06% 23.21% 16.23%
2022年 3月期 連結 10,542 24.93% 24.05% 16.42%
2023年 3月期 連結 10,797 24.92% 25.21% 16.28%
2024年 3月期 連結 11,000 25.45% 25.18% 17.55%
2024年 3月期 連結 11,090 25.83% 25.11% 16.75%
2025年 3月期 連結 11,821 26.03% 26.75% 18.53%
2026年 3月期 連結 12,885 26.02% 28.27% 19.61%

※営業利益率 = 営業利益÷売上高×100、経常利益率 = 経常利益÷売上高×100、純利益率 = 当期純利益÷売上高×100

決算サマリー

2025年3月期 第2四半期(中間期)の連結業績は、売上高6,184百万円(前年同期比6.5%増)、営業利益1,522百万円(同7.1%増)、経常利益1,713百万円(同21.6%増)、親会社株主に帰属する中間純利益1,226百万円(同29.3%増)となりました。増収増益を確保しており、特に経常利益以降の大幅増は、持分法投資利益の計上や受取配当金の増加が寄与しています。

注目ポイント

最大の注目点は、従来の「ハードレンタル企業」から「建設ICTの専門企業」への事業転換が着実に進んでいることです。主力の中核サービス「サイトアシストパッケージ」の普及により、売上総利益率が向上。営業利益率は24.6%という極めて高い水準を維持しており、高付加価値なストック型ビジネスへの移行が収益性を下支えしています。

業界動向

建設業界では人手不足や働き方改革(残業上限規制)への対応が急務となっており、国土交通省が進める「i-Construction 2.0」を背景に、ICTを活用した生産性向上の需要が極めて強い状況です。同社は全国約2,600社の地場ゼネコンをターゲットとしており、競合他社が大手ゼネコンに注力する中で、地域密着型の営業展開により独自のポジションを築いています。

投資判断材料

長期投資家にとっての魅力は、高い資本効率(ROE目標20%超)と強固な財務基盤の両立です。リピート率が64.4%と上昇傾向にあり、現場ごとのスポット契約から法人単位のサブスクリプション契約(BtoB)への移行が進んでいる点は、将来の業績予測可能性を高めるポジティブな要因です。

セグメント別業績

  • DDS事業(デジタルデータサービス): 売上高3,606百万円(10.4%増)、セグメント利益1,099百万円(13.2%増)。クラウドサービス等の高利益率案件が成長を牽引。
  • SMS事業(測量計測システム): 売上高1,901百万円(4.1%増)、セグメント利益314百万円(3.5%増)。レンタル需要が堅調に推移。
  • その他: 売上高675百万円(5.4%減)、セグメント利益108百万円(26.1%減)。

財務健全性

自己資本比率は74.1%と極めて高く、無借金経営に近い健全な財務状態です。中間期末の現金及び現金同等物は4,672百万円を確保。営業キャッシュ・フローも1,516百万円のプラスとなっており、成長投資と株主還元の両立が可能な余裕資金を有しています。

配当・株主還元

株主還元を重視しており、当中間期の配当金は前年同期の12.5円から1.5円増配し、14.0円となりました。また、自己株式の取得・消却を機動的に実施しており、総還元性向を意識した経営姿勢が鮮明です。

通期業績予想

2025年3月期の通期予想については公表されていませんが、中間期までの進捗は概ね順調です。中期経営計画では2026年3月期に売上高128億円、営業利益33億円を掲げており、現在の利益成長ペースはこの目標に沿った推移を見せています。

中長期成長戦略

「サイトアシストパッケージ」による現場の見える化とデータ利活用の推進を軸に、地場ゼネコンへの深掘り(BtoB化)を図っています。また、新市場として官公庁向けの「クラウド映像サービス」による河川監視カメラ等の展開を強化しており、建設現場以外への収益源の多様化も進めています。

リスク要因

建設市場の投資動向や、資材価格高騰による工期遅延などがリスクとなります。また、同社の提供するICTサービスはクラウド依存度が高いため、大規模な通信障害やサイバーセキュリティリスクが事業継続に影響を及ぼす可能性があります。

ESG・サステナビリティ

建設現場のDX化を通じて、業界全体の残業削減や安全性の向上(遠隔監視)に寄与しており、社会課題の解決に直結する事業モデルを展開しています。また、計測機器のレンタル活用はサーキュラーエコノミーの観点からも環境負荷低減に貢献しています。

経営陣コメント

中期経営計画において「ハードレンタル企業からの脱却」を明言。付加価値の高いソフト・サービスを統合提供することで、顧客の生産性向上に深くコミットする方針を示しています。持分法適用会社ファイルフォースの黒字化など、戦略的投資の成果も出始めています。

バリュエーション

営業利益率25%弱という高収益性と、建設DXという成長テーマを考慮すると、現在の株価指標は成長株としての評価を十分に受けている水準と言えます。今後はストック収入の比率高まりによる利益の安定性が、更なるマルチプル向上(PERの切り上がり)の鍵となります。

過去決算との比較

前年同期と比較して、売上高成長(+6.5%)を上回る純利益成長(+29.3%)を達成しており、収益構造の改善が顕著です。直近4四半期のトレンドを見ても、DDS事業の構成比率が高まるにつれて利益率が右肩上がりで推移している点が特徴的です。

市場の評判

株式会社シーティーエスの評判は全体的に良好で、投資家からも高い評価を受けています。主要業績は安定しており、特に情報サービス分野での成長が顕著です。財務状況は堅調で、収益と利益が増加傾向にあります。

年度別バリュエーション推移(PBR/PER/時価総額)

株価推移(高値・安値)05001,0001,500'11/3'13/3'15/3'17/3'19/3'21/3'23/3'25/3高値安値PBR推移(高値・安値・期末PBR)0.0倍2.0倍4.0倍6.0倍8.0倍'11/3'13/3'15/3'17/3'19/3'21/3'23/3'25/3PBR高値PBR安値期末PBRPER推移(高値・安値)0倍10倍20倍30倍40倍50倍60倍'11/3'13/3'15/3'17/3'19/3'21/3'23/3'25/3PER高値PER安値時価総額推移(高値・安値)0億100億200億300億400億500億600億'11/3'13/3'15/3'17/3'19/3'21/3'23/3'25/3高値安値ROE推移(PBR÷PERで算出・高値同士/安値同士)5.0%10.0%15.0%20.0%25.0%'11/3'13/3'15/3'17/3'19/3'21/3'23/3'25/3ROE高値ROE安値
年度 株価高値 株価安値 PER高値 PER安値 PBR高値 PBR安値 時価総額高値 時価総額安値 期末PBR
2011年3月期 81 38 18.14 8.41 1.78 0.83 36億4000万 16億8840万 1.38倍
2012年3月期 66 39 11.28 6.66 1.44 0.85 29億6240万 17億4720万 1.13倍
2013年3月期 75 43 9.67 5.54 1.46 0.84 33億7400万 19億3200万 1.36倍
2014年3月期 208 63 18.27 5.49 3.32 1 93億2400万 28億 2.41倍
2015年3月期 230 123 16.17 8.65 3.13 1.67 103億1520万 55億1600万 2.98倍
2016年3月期 242 163 14.58 9.83 3.06 2.06 108億5280万 73億1360万 2.49倍
2017年3月期 444 169 22.25 8.46 4.9 1.86 198億8000万 75億6000万 3.78倍
2018年3月期 1,028 319 41.14 12.77 6.41 1.99 460億5440万 285億8240万 4.9倍
2019年3月期 1,260 521 51.18 21.16 7.55 3.12 546億8400万 226億1140万 3.73倍
2020年3月期 830 435 28.39 14.88 4.52 2.37 360億2200万 188億7900万 2.98倍
2021年3月期 1,074 473 31.48 13.86 5.22 2.3 466億1160万 205億2820万 4.15倍
2022年3月期 940 712 23.04 17.46 4.09 3.1 407億9600万 309億80万 3.66倍
2023年3月期 914 710 22.03 17.12 3.66 2.84 396億6760万 308億1400万 3.08倍
2024年3月期 804 618 18.34 14.1 2.79 2.14 348億9360万 268億2120万 2.76倍
2025年3月期 951 712 18.13 13.57 3.05 2.29 399億4200万 301億8880万 2.48倍

ROE算出表(PBR÷PER×100)

PBR = ROE × PER の関係式から逆算。高値同士・安値同士で算出しています。

年度 PBR高値 PER高値 ROE高値(%) PBR安値 PER安値 ROE安値(%)
2011年3月期 1.78 18.14 9.8% 0.83 8.41 9.9%
2012年3月期 1.44 11.28 12.8% 0.85 6.66 12.8%
2013年3月期 1.46 9.67 15.1% 0.84 5.54 15.2%
2014年3月期 3.32 18.27 18.2% 1 5.49 18.2%
2015年3月期 3.13 16.17 19.4% 1.67 8.65 19.3%
2016年3月期 3.06 14.58 21.0% 2.06 9.83 21.0%
2017年3月期 4.9 22.25 22.0% 1.86 8.46 22.0%
2018年3月期 6.41 41.14 15.6% 1.99 12.77 15.6%
2019年3月期 7.55 51.18 14.8% 3.12 21.16 14.7%
2020年3月期 4.52 28.39 15.9% 2.37 14.88 15.9%
2021年3月期 5.22 31.48 16.6% 2.3 13.86 16.6%
2022年3月期 4.09 23.04 17.8% 3.1 17.46 17.8%
2023年3月期 3.66 22.03 16.6% 2.84 17.12 16.6%
2024年3月期 2.79 18.34 15.2% 2.14 14.1 15.2%
2025年3月期 3.05 18.13 16.8% 2.29 13.57 16.9%

バリュエーション推移の概要

株式会社シーティーエス(4345)の過去15年間のデータを確認すると、同社の評価は「割安な小規模企業」から「高成長期待のグロース株」、そして現在の「安定成長を背景とした適正評価」へと大きく変遷してきました。2011年3月期から2013年3月期にかけてはPER10倍以下、PBR1倍前後と極めて保守的な評価に留まっていましたが、2014年3月期以降、DX(デジタルトランスフォーメーション)や建設ICTへの関心の高まりを背景に市場評価が急上昇しました。特に2018年3月期から2021年3月期にかけては、PERが一時50倍を超え、PBRも7倍を上回るなど、期待先行型の高いバリュエーションが形成されていました。その後、2022年3月期以降は利益成長の安定化とともに、指標面では落ち着きを見せています。

PBR分析

PBR(純資産倍率)の推移を見ると、歴史的な最安値は2011年3月期の0.83倍であり、最高値は2019年3月期の7.55倍です。2011年から2013年頃までは資産価値に対して解散価値を割り込むような水準で推移していましたが、2014年以降は一度もPBR1.0倍を割り込んでおらず、市場からの期待値の底上げが確認できます。2018年3月期(期末4.9倍)から2021年3月期(期末4.15倍)にかけての過熱期を経て、直近の2024年3月期および2025年3月期は2.4倍〜2.7倍程度で推移しています。これは過去10年の推移における中下位水準に位置しており、かつての過熱感は払拭されていると言えます。

PER分析

PER(株価収益率)は、収益力の拡大と投資家心理を色濃く反映しています。2014年3月期まではPER5倍〜10倍台と、収益に対して株価が追いつかない状況が続いていました。しかし、2019年3月期にはPER高値が51.18倍に達し、将来の成長性に対して非常に高いプレミアムが支払われました。その後、利益水準が拡大・安定するにつれ、PERは徐々に低下(平均回帰)しています。2024年3月期以降のPERは13倍〜18倍のレンジで推移しており、これは2016年3月期(9.83倍〜14.58倍)や2017年3月期(8.46倍〜22.25倍)のレンジに近く、同社の成長フェーズが成熟期に入りつつあることを示唆しています。

時価総額の推移

時価総額は、2011年3月期時点では安値16億8840万円という極めて小規模な水準でした。しかし、業容の拡大とバリュエーションの上昇が相まって、2019年3月期には546億8400万円のピークを記録しました。約8年間で時価総額が30倍以上に膨らんだ計算となります。その後、株価の調整を経て、直近の2025年3月期時点では300億円〜400億円のレンジで推移しています。これは2018年以前の急騰期よりは高い水準を維持しており、一時的なブームに終わらず、企業規模が一段階引き上げられた状態で定着していることを示しています。

現在のバリュエーション評価

現在のバリュエーションを歴史的水準と比較すると、PER・PBRともに「過去10年間のレンジにおける中等度からやや低位」に位置していると評価されます。2025年3月期のPER高値18.13倍、PBR高値3.05倍という数字は、2018年〜2021年のピーク時(PER 30〜50倍、PBR 5〜7倍)と比較すれば大幅に是正されており、割高感は低下しています。一方で、2011年〜2013年のようなPBR1倍割れといった極端な割安水準でもありません。現在の水準は、同社の安定的な利益創出能力を市場が織り込みつつ、成長のスピードを冷静に見極めている状態と言えます。投資家は、今後の利益成長率と現在のPER10倍台後半という水準の妥当性を、他の同業他社や市場平均と比較して判断する必要があります。

キャッシュフロー推移

キャッシュフロー推移(営業CF・投資CF・フリーCF)-30億-20億-10億0百万10億20億30億'17/3'19/3'21/3'23/3'25/30営業CF投資CFフリーCF設備投資 vs フリーCF(百万円)-20億-10億0百万10億20億30億'17/3'19/3'21/3'23/3'25/30設備投資#1フリーCF現金等残高推移20億30億40億50億60億70億'17/3'19/3'21/3'23/3'25/3現金等
年度 四半期 営業CF 投資CF 財務CF フリーCF 設備投資#1 現金等
2017年3月期 通期 1601 -424 -1125 1177 -197 2923
2018年3月期 通期 1862 -222 1612 1641 -236 6391
2019年3月期 通期 1724 -224 -1647 1500 -845 6243
2020年3月期 通期 1973 -420 -2259 1553 -1171 5536
2021年3月期 通期 2328 -377 -1271 1951 -1625 6216
2022年3月期 通期 2905 -2262 -1686 643 -1125 5172
2023年3月期 通期 2614 222 -1736 2836 -464 6272
2024年3月期 通期 2982 -553 -1749 2429 -933 6952
2025年3月期 通期 2842 -2447 -2816 395 -1032 4529

※単位: 百万円。データ出典: IRBank(irbank.net)

キャッシュフロー推移の概要

株式会社シーティーエスの過去9年間のキャッシュフロー(CF)推移を俯瞰すると、営業CFが安定的にプラスを維持し、その範囲内で投資や財務活動を行う非常に健全な構造が見て取れます。2017年3月期の営業CF 16.01億円から2024年3月期には29.82億円へと着実に成長しており、本業のキャッシュ創出力は極めて強固です。直近の2024年3月期および2025年3月期予想においても、「営業CF:正、投資CF:負、財務CF:負」のパターンを維持しており、フレームワークに基づけば「優良安定型」に判定されます。これは本業で稼いだキャッシュを、将来の成長のための投資と、借入金返済や株主還元(財務活動)の両方にバランスよく配分できている状態を示しています。

営業キャッシュフロー分析

営業CFは、2017年3月期の16.01億円から、直近では30億円弱の規模まで拡大しています。特筆すべきは、9年間にわたり一度もマイナスに転じることなく、かつ概ね右肩上がりのトレンドを維持している点です。2022年3月期には29.05億円、2024年3月期には過去最高の29.82億円を記録しており、ICT建築関連などの本業において、効率的に現金を獲得するビジネスモデルが確立されていると評価できます。2025年3月期(予想)も28.42億円と高水準を維持する見込みであり、外部環境に左右されにくい安定したキャッシュ創出力を有しています。

投資キャッシュフロー・設備投資分析

投資CFは、2022年3月期(-22.62億円)や2025年3月期予想(-24.47億円)のように、数年おきに大型の投資を実行する傾向が見られます。設備投資額に注目すると、2020年3月期(11.71億円)から2022年3月期(11.25億円)にかけて積極的な投資が行われてきました。これはICT建機や計測機器などの資産保有型ビジネスにおける戦略的な投資と考えられます。投資CFがプラスとなった2023年3月期(2.22億円)は、投資有価証券の売却や設備売却などが寄与した可能性がありますが、全体としては「稼いだ現金の範囲内で次なる成長の種をまく」という、規律ある投資姿勢が鮮明です。

フリーキャッシュフロー分析

フリーCF(FCF)は、多くの年度で10億円以上の大幅なプラスを確保しています。特に2023年3月期には28.36億円、2024年3月期には24.29億円に達しており、極めて高い資金余力を示しています。2025年3月期予想では投資CFの拡大により3.95億円まで縮小する見込みですが、これは将来の利益成長に向けた意欲的な投資の裏返しであり、ネガティブな要因とは言えません。長年にわたり累計で多額のプラスのFCFを積み上げてきた実績は、配当原資の確保やM&A、さらなる設備投資に対する高い柔軟性を担保しています。

財務戦略・現金残高の評価

財務CFは、2018年3月期を除いて一貫してマイナスで推移しています。これは、営業CFから得た余剰資金を、借入金の返済や配当支払い、自社株買いといった株主還元に充当していることを示唆しています。特に2025年3月期予想では財務CFが-28.16億円と過去最大のマイナスを見込んでおり、積極的な還元姿勢または債務圧縮が予想されます。現金等残高についても、2017年3月期の29.23億円から、直近の2024年3月期には69.52億円まで積み上がっており、手元流動性は非常に潤沢です。不測の事態への備えと成長投資への即応性を両立した、強固な財務基盤を構築しています。

キャッシュフロー総合評価

株式会社シーティーエスのキャッシュフローは、典型的な「高収益企業の優良モデル」と言えます。本業で稼ぐ(営業CF)、将来へ投資する(投資CF)、株主還元や返済を行う(財務CF)というサイクルが非常に高いレベルで循環しています。特に、営業CFの成長性と現金残高の積み上がりは、同社の事業競争力の高さと経営の安定性を物語っています。2025年3月期は投資と財務活動によるキャッシュ流出が大きくなる計画ですが、これまでの実績から判断して、一時的な変動が財務の健全性を揺るがすリスクは低いと考えられます。投資家にとっては、潤沢なキャッシュを背景とした持続的な成長投資と、安定的な還元を両立できる企業体力が備わっている点が注目に値します。

限界利益分析(CVP分析)

高低点法による費用構造の推定

売上高が最大の年度と最小の年度を比較し、総費用(売上高−営業利益)の変化から変動費率と固定費を推定します。

推定変動費率
61.2%
売上高に対する変動費の割合
推定限界利益率
38.8%
1 − 変動費率
推定固定費
1,649
百万円
基準: 2026年 3月期 連結(売上高 12,885 百万円)と 2017年 3月期 個別(売上高 7,285 百万円)の比較

年度別 限界利益指標

年度 売上高 限界利益 限界利益率 損益分岐点 安全余裕率 経営レバレッジ
17年 3月期 個別 7,285 2,828 38.8% 4,248 41.7% 2.40倍
18年 3月期 8,200 3,183 38.8% 4,248 48.2% 2.39倍
18年 3月期 8,500 3,300 38.8% 4,248 50.0% 2.23倍
18年 3月期 8,578 3,330 38.8% 4,248 50.5% 2.21倍
19年 3月期 8,613 3,344 38.8% 4,248 50.7% 2.10倍
20年 3月期 9,172 3,561 38.8% 4,248 53.7% 1.92倍
21年 3月期 9,968 3,870 38.8% 4,248 57.4% 1.74倍
22年 3月期 10,600 4,115 38.8% 4,248 59.9% 1.61倍
22年 3月期 10,542 4,093 38.8% 4,248 59.7% 1.56倍
23年 3月期 10,797 4,192 38.8% 4,248 60.7% 1.56倍
24年 3月期 11,000 4,270 38.8% 4,248 61.4% 1.53倍
24年 3月期 11,090 4,305 38.8% 4,248 61.7% 1.50倍
25年 3月期 11,821 4,589 38.8% 4,248 64.1% 1.49倍
26年 3月期 12,885 5,002 38.8% 4,248 67.0% 1.49倍
売上高と損益分岐点売上高の推移4十億6十億8十億1億1億1億1718192122242526売上高(百万円)損益分岐点(百万円)
安全余裕率と経営レバレッジの推移0.020.040.060.080.01718192122242526安全余裕率(%)経営レバレッジ(倍)
直近年度の損益分岐点分析(2026年 3月期 連結)
売上高
12,885
百万円
損益分岐点
4,248
百万円
安全余裕率
67.0%
十分な安全余裕
経営レバレッジ
1.49倍
低い経営リスク

費用構造の評価

高低点法に基づく推定の結果、株式会社シーティーエスの変動費率は61.2%、限界利益率は38.8%となりました。推定固定費は1,649百万円と、売上規模(2025年3月期予想:11,821百万円)に対して比較的低水準に抑えられています。同社は建設ICT(情報通信技術)関連のレンタルやシステム提供を主軸としており、売上の増加に伴い変動費も相応に発生する構造ですが、限界利益率が約4割弱で一定に保たれている点は、付加価値の高いサービス提供と安定した原価管理の両立を示唆しています。固定費が売上の成長に比して膨らんでいないことから、売上高の拡大が着実に利益を押し上げる効率的な収益構造を構築していると評価できます。

損益分岐点と安全余裕率

損益分岐点売上高は4,248百万円と推定され、近年の売上実績はこの水準を大きく上回って推移しています。特筆すべきは「安全余裕率」の推移です。2017年3月期の41.7%から年々上昇を続け、2026年3月期の予測値では67.0%に達する見込みです。一般的に安全余裕率は30%以上が優良水準とされますが、同社はそれを大幅に上回っており、将来的な景気後退や建設投資の減少等によって仮に売上高が半減したとしても、なお赤字に転落しにくい極めて強固な収益基盤を有していることを示しています。この高い安全余裕率は、長期的な投資を行う上での下値不安を軽減するポジティブな指標と言えます。

経営レバレッジとリスク

経営レバレッジは、2017年3月期の2.40倍から2026年3月期の1.49倍へと低下傾向にあります。経営レバレッジの低下は、売上の増減が営業利益に与える影響度(感応度)が小さくなっていることを意味します。創業期や拡大期においては高いレバレッジが利益の爆発力を生みますが、現在の同社は損益分岐点を遥かに超えた売上を計上する「成熟・安定期」のフェーズにあります。1.49倍という数値は、売上が10%増加した際に営業利益が約15%増加することを意味し、過度なリスクを取ることなく、着実な増益を期待できる状態です。景気変動に対する利益の振れ幅が小さくなっていることは、リスク耐性の高まりとして評価できます。

投資判断への示唆

以上のCVP分析結果から、株式会社シーティーエスは「低リスク・高耐性」の財務特性を強めていることが浮き彫りとなりました。売上の成長とともに安全余裕率が拡大し、経営レバレッジが適正化されている点は、同社の経営が量(売上)の拡大と質(利益の安定性)の向上を同時に達成していることを示しています。建設業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進という追い風の中で、損益分岐点の低さを武器にした安定的なキャッシュフロー創出が期待されます。投資家の皆様におかれましては、この堅実な費用構造と、今後のICT建設市場の成長性をどのように天秤にかけるかが、意思決定の鍵となるでしょう。最終的な投資判断は、これらの分析結果と市場環境を照らし合わせ、ご自身の責任において行われますようお願い申し上げます。

⚠️ 注意: 本分析は高低点法による推定値です。実際の変動費・固定費は有価証券報告書の費用明細と異なる場合があります。 費用構造が大きく変化した期間を含む場合、推定精度が低下する可能性があります。投資判断の際は他の指標と合わせてご確認ください。

デュポン分析(ROE分解)

ROEの3要素分解(デュポン分析)

ROE = 純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ に分解し、収益性の源泉を可視化します。

年度 純利益率(%) × 総資産回転率(回) × 財務レバレッジ(倍) = ROE(%)
17年 3月期 個別 10.98 × 0.841 × 2.44 = 0.23
18年 3月期 10.93 × 0.668 × 1.78 = 0.13
19年 3月期 12.38 × 0.714 × 1.70 = 0.15
20年 3月期 13.61 × 0.783 × 1.50 = 0.16
21年 3月期 14.61 × 0.760 × 1.50 = 0.17
22年 3月期 16.23 × 0.738 × 1.50 = 0.18
23年 3月期 16.28 × 0.732 × 1.41 = 0.17
24年 3月期 17.55 × 0.658 × 1.47 = 0.17
25年 3月期 18.53 × 0.692 × 1.47 = 0.19
デュポン分析:ROEの3要素推移0.0%5.0%10.0%15.0%20.0%1719212325純利益率(%)ROE(%)
総資産回転率と財務レバレッジの推移0.501.001.502.002.501719212325総資産回転率(回)財務レバレッジ(倍)
直近年度のROE構成(2025年 3月期 連結)
純利益率
18.53%
収益性
×
総資産回転率
0.692回
効率性
×
財務レバレッジ
1.47倍
借入で資本効率を47%ブースト
=
ROE
0.19%
株主資本利益率
📊 ROE変動の主因: 直近の変動は主に「純利益率」の変化によるものです。本業の収益力の変化がROEに直結しています。

ROEの質の評価

株式会社シーティーエスのROEは、直近数年間で17%〜19%という極めて高い水準を維持しており、投資家にとって非常に魅力的な利回りを示しています。特筆すべきは、このROEの向上が「純利益率の改善」によって主導されている点です。純利益率は2017年3月期の10.98%から、2025年3月期予想では18.53%へと、約7.5ポイントも大幅に上昇しています。一方で財務レバレッジは縮小傾向にあることから、借入金に頼った見せかけの利益率向上ではなく、本業の収益力の強化による「質の高いROE」であると評価できます。

財務レバレッジの影響

財務レバレッジは、2017年3月期の2.44倍から2023年3月期には1.41倍まで低下し、直近の予測でも1.47倍程度と低い水準にあります。一般的に、レバレッジを下げるとROEは低下する圧力を受けますが、同社は純利益率の圧倒的な伸びによってこの影響を打ち消し、高いROEを維持しています。これは財務の健全性が高まっていることを意味しており、金利上昇局面などの外部環境の変化に対しても、強い耐性を持つ財務体質を構築しているといえます。

トレンド分析

過去約8年間の推移を分析すると、明確な構造変化が見て取れます。総資産回転率は2017年3月期の0.841回から低下傾向にあり、直近では0.6〜0.7回台で推移しています。これは資産の効率的な活用という面では課題が残るものの、それを補って余りあるほど「売上高純利益率」が右肩上がりで推移している点が最大の特徴です。特に2022年以降は利益率が16%〜18%台へと一段上のステージにシフトしており、高付加価値なサービスへの移行、あるいは徹底したコストコントロールが奏功していることが推察されます。2025年3月期の予想では、回転率と利益率が共に改善する見込みとなっており、効率性と収益性の両立が期待されます。

投資判断への示唆

デュポン分析の結果から、株式会社シーティーエスは「低レバレッジ・高利益率」という、盤石な収益構造への転換に成功している企業といえます。資産回転率の低下は、将来の成長に向けた資産(設備やシステム等)の蓄積が先行している可能性もあります。投資家としては、今後この高い純利益率を維持・更新し続けられるか、そして停滞気味の資産回転率が反転上昇し、さらなるROEの押し上げ要因となるかに注目が集まります。企業の収益構造は極めて健全ですが、現在の高い期待値が株価にどの程度織り込まれているかを踏まえた慎重な判断が求められます。

⚠️ 注意: デュポン分析の数値はIRBankから取得した財務データに基づいています。 会計基準(日本基準/IFRS)の違いにより、株主資本の定義が異なる場合があります。

借金が利益に与える影響分析

有利子負債の概要

項目 説明
有利子負債 0百万 銀行借入・社債等の利息付き負債
推定金利 0.00% 営業利益と経常利益の差から推定
推定支払利息 0百万 有利子負債 × 推定金利
利息 / 純利益 比率 0.0% 純利益に対する利息負担の大きさ
推定実効税率 30.7% 1 − (純利益 / 経常利益) から推定

「もし借金がなかったら」年度別シミュレーション

有利子負債による支払利息を除外した場合の仮想利益を試算しています。

年度 有利子負債 推定利息 経常利益
実績
経常利益
借金なし
純利益
実績
純利益
借金なし
ROE
実績
ROE
借金なし
レバレッジ
効果
2017/03 10億 49百万 11億 12億 8億 8億 22.54% 18.34% +4.19%pt
2018/03 10億 50百万 13億 13億 9億 9億 12.96% 11.77% +1.20%pt
2019/03 10億 31百万 16億 16億 11億 11億 15.05% 13.45% +1.60%pt
2020/03 0百万 0百万 18億 18億 12億 12億 15.96% 15.96% +0.00%pt
2021/03 0百万 0百万 21億 21億 15億 15億 16.62% 16.62% +0.00%pt
2022/03 0百万 0百万 25億 25億 17億 17億 17.94% 17.94% +0.00%pt
2023/03 0百万 0百万 27億 27億 18億 18億 16.84% 16.84% +0.00%pt
2024/03 0百万 0百万 28億 28億 19億 19億 16.95% 16.95% +0.00%pt
2025/03 0百万 0百万 32億 32億 22億 22億 18.86% 18.86% +0.00%pt
純利益推移: 実績 vs 借金なしシミュレーション5億10億15億20億25億2017/032019/032021/032023/032025/03実績純利益借金なし純利益ROE推移: 実績 vs 借金なしシミュレーション10.0%12.0%14.0%16.0%18.0%20.0%22.0%24.0%2017/032019/032021/032023/032025/03実績ROE借金なしROE
レバレッジ効果の評価(直近年度)
借金の影響は限定的
実績ROE
18.86%
借金なしROE
18.86%
レバレッジ効果
+0.00%pt

有利子負債の水準が小さい、または事業利益率と借入金利がほぼ均衡しています。

借金の利益インパクト

株式会社シーティーエスの直近(2025年3月期)の財務状況を確認すると、有利子負債は0百万円となっており、完全な「無借金経営」を実現しています。これにより、推定支払利息による利益の圧迫は全く存在せず、経常利益(実績:32億円)および純利益(実績:22億円)は、借入コストの影響を一切受けないクリーンな構造となっています。

過去(2017年3月期)には約10億円の有利子負債があり、年間約49百万円の推定利息が発生していましたが、2020年3月期以降は無借金化が進み、金利変動が利益に与えるリスクを完全に排除している点が大きな特徴です。

レバレッジ効果の評価

財務レバレッジの効果について、2017年3月期には+4.19%ptという高いレバレッジ効果が見られ、借入金が株主資本利益率(ROE)を押し上げる効果を発揮していました。しかし、2020年3月期を境にレバレッジ効果は0.00%ptとなっています。

特筆すべきは、レバレッジによる「底上げ」がなくなった後も、ROEが極めて高い水準を維持している点です。2025年3月期の実績ROEは18.86%に達しており、借金に頼らずとも、事業そのものの収益性の高さと資本効率の良さによって、株主に対して高いリターンを提供できていることが数値から読み取れます。

財務戦略の考察

同社の財務戦略は、過去の負債活用フェーズから、自社で稼ぎ出すキャッシュフローによって成長資金を賄うフェーズへと移行したと考察されます。建設ICT関連というストック性の高いビジネスモデルや、専門性の高いサービス展開が、高い営業利益率と安定した現金創出を可能にしていると考えられます。

一般的に無借金経営は財務の健全性が高い一方で、資本構成の最適化(資本コストの低減)という観点からは議論の余地が生じることもあります。しかし、同社のようにROEが15%〜18%台という高水準で推移している場合、現時点ではあえて借入を行う必要性が低く、現在の有利子負債ゼロという水準は極めて健全かつ合理的な選択であると評価できます。

投資家へのポイント

本分析を踏まえた、投資判断における注目点は以下の通りです。

  • 財務の安全性:有利子負債ゼロ、利息負担ゼロであるため、金利上昇局面においても業績が悪化するリスクが極めて低く、守りに強い財務体質と言えます。
  • 資本効率の質:レバレッジ効果に頼らず、18.86%という高いROEを達成していることは、本業の競争力が非常に強いことを示唆しています。
  • 将来の拡張性:現在は無借金ですが、将来的に大規模なM&Aや設備投資が必要となった際、追加の借入余力(デット・キャパシティ)が十分にある点は、成長の「伸び代」としてポジティブに捉えることができます。

投資家の皆様におかれましては、現在の高い資本効率が無借金状態でどこまで維持・拡大されるか、また内部留保の使途(株主還元や新規投資)に注目することが肝要です。

⚠️ 注意事項: 本分析は営業利益と経常利益の差額から支払利息を推定しており、実際の支払利息とは異なる場合があります。 営業外収支には受取利息・配当金・為替差損益等も含まれるため、あくまで参考値としてご活用ください。 また、借金を全額返済した場合の実際の影響は資金調達構造の変化を伴うため、単純なシミュレーションとは異なります。

ROIC分析(投下資本利益率)

ROIC(投下資本利益率)推移

ROIC = NOPAT(税引後営業利益)÷ 投下資本(株主資本+有利子負債)。資本コスト(WACC)を上回れば価値を創造していると評価できます。

年度 NOPAT(百万円) 投下資本(百万円) ROIC(%) WACC(%) スプレッド(%pt)
17年 3月期 個別 835 4,550 18.34 6.22 +12.12
18年 3月期 931 7,913 11.77 6.56 +5.21
19年 3月期 1,087 8,085 13.45 6.40 +7.05
20年 3月期 1,271 7,821 16.26 7.00 +9.26
21年 3月期 1,525 8,758 17.41 7.00 +10.41
22年 3月期 1,783 9,589 18.59 7.00 +11.59
23年 3月期 1,738 10,437 16.65 7.00 +9.65
24年 3月期 1,951 11,385 17.14 7.00 +10.14
25年 3月期 2,131 11,611 18.35 7.00 +11.35
ROIC vs WACC推移5.0%10.0%15.0%20.0%1719212325ROIC(%)WACC(%)
直近年度のROIC評価(2025年 3月期 連結)
ROIC
18.35%
投下資本利益率
WACC
7.00%
加重平均資本コスト
=
スプレッド
+11.35%pt
高い価値創造力

ROIC水準の評価

株式会社シーティーエスのROIC(投下資本利益率)は、分析期間を通じて極めて高い水準を維持しています。2018年3月期の連結移行時に一時11.77%まで低下したものの、その後は右肩上がりの回復基調にあり、直近の2025年3月期(予想)では18.35%に達する見込みです。

日本企業の平均的なROICが5〜8%程度と言われる中で、同社の15%を超える水準は、DX化が進む建設業界において、建設ICT関連のサービスが高い収益性を有していることを示唆しています。特に、投下資本が2017年の約45億円から2025年には約116億円へと2.5倍以上に拡大しているにもかかわらず、ROICの水準を維持・向上させている点は、事業のスケールメリットと資本効率の良さが両立している証左と言えます。

ROIC-WACCスプレッド分析

資本コスト(WACC)をどの程度上回る利益を生み出したかを示す「ROIC-WACCスプレッド」においても、非常にポジティブな推移が見られます。同社のWACCが6〜7%程度で推移しているのに対し、スプレッドは2021年3月期以降、安定して10ポイント(%pt)前後のプラスを確保しています。

ポジティブ要因:
NOPAT(税引後営業利益)が2017年の835百万円から2025年には2,131百万円へと、投下資本の増加ペースを上回る勢いで成長していることが、スプレッド拡大の主因です。これは、単なる資産の積み増しではなく、付加価値の高いソリューション提供を通じてマージンを確保できていることを示しています。

懸念・留意点:
2023年3月期にはスプレッドが9.65%ptと前年から一時的に縮小しています。これは投下資本が約8.5億円増加した一方で、NOPATが微減したことによるものです。投資(投下資本の増大)が利益成長に結びつくまでのタイムラグ、あるいは一時的なコスト増が生じた可能性が考えられますが、翌年以降は再び拡大に転じており、価値創造力は依然として強固であると判断されます。

投資家へのポイント

ROIC分析から見る同社の投資判断における注目点は以下の通りです。

  • 資本効率の持続性: 投下資本を拡大しながらROICを高水準で維持している点は評価に値します。今後、建設業界の2024年問題などを背景としたICT需要の取り込みにより、さらなるNOPATの成長が資本コストを上回り続けられるかが焦点となります。
  • 成長投資とリターン: 投下資本が着実に増加していることは、同社が将来の成長に向けて積極的に投資(機器の拡充やシステム開発等)を行っていることを示します。これらの投資が今後も15%以上のROICを維持できる「質の高い投資」であり続けるかを注視する必要があります。
  • 高いマージンの源泉: WACCを大幅に上回るリターンは、同社の市場における競争優位性(独自のサービスモデルや顧客基盤)を反映しています。業界構造の変化や競合他社の動向が、この高いスプレッドにどのような影響を与えるかが長期的なリスク・リターンを見極める鍵となります。

以上の通り、数値面では卓越した価値創造力を示していますが、将来の株価パフォーマンスはこれらの収益性が市場価格にどこまで織り込まれているかにも依存します。本分析結果を一つの指標とし、事業環境の変化と併せて総合的にご判断ください。

⚠️ 注意: WACCは簡易推定値です(株主資本コスト7%想定、負債コストは推定支払利息から算出)。 実際のWACCはCAPMや市場データに基づくより精緻な計算が必要です。

ROIC逆ツリー分析

ROIC逆ツリー分解

ROIC = NOPATマージン × 投下資本回転率 に分解し、収益性の改善ドライバーを特定します。

年度 売上高(百万円) NOPATマージン(%) × 投下資本回転率(回) = ROIC(%)
17年 3月期 個別 7,285 11.46 × 1.601 = 18.34
18年 3月期 8,200 11.35 × 1.036 = 11.77
19年 3月期 8,613 12.62 × 1.065 = 13.45
20年 3月期 9,172 13.86 × 1.173 = 16.26
21年 3月期 9,968 15.30 × 1.138 = 17.41
22年 3月期 10,600 16.82 × 1.105 = 18.59
23年 3月期 10,797 16.10 × 1.034 = 16.65
24年 3月期 11,000 17.74 × 0.966 = 17.14
25年 3月期 11,821 18.03 × 1.018 = 18.35
ROIC逆ツリー: NOPATマージンと投下資本回転率0.005.0010.0015.0020.001719212325NOPATマージン(%)投下資本回転率(回)
ROIC逆ツリー分解(2025年 3月期 連結)
NOPATマージン
18.03%
NOPAT 2,131百万円 ÷ 売上 11,821百万円
×
投下資本回転率
1.018回
売上 11,821百万円 ÷ IC 11,611百万円
=
ROIC
18.35%
📊 ROIC変動の主因: 直近の変動は主に「投下資本回転率」の変化によるものです。資産の効率的活用(または非効率化)がROICを動かしています。

ROIC変動要因の分解

株式会社シーティーエスのROIC(投下資本利益率)を時系列で俯瞰すると、2018年3月期の連結決算移行時に一時的な低下が見られたものの、その後は概ね上昇基調にあり、2025年3月期(予想)には18.35%と高水準まで回復する見通しです。

この変動要因を詳しく分解すると、NOPATマージンは2017年3月期の11.46%から、2025年3月期予想では18.03%へと、一貫して右肩上がりの推移を遂げています。これは、建設ICT市場における同社の付加価値向上や、収益性の高いストック型ビジネスへのシフトが奏功していることを示唆しています。

一方で、ROIC変動の主因となっているのは投下資本回転率の動向です。2017年3月期の1.601回から、2024年3月期には0.966回まで低下しており、利益率の改善を効率性の低下が相殺する構図となっています。特に2024年3月期は、マージンが過去最高の17.74%に達しながらも、回転率が1.0回を割り込んだことで、ROICは前年比で微増(17.14%)にとどまりました。

改善ドライバーの特定

同社が今後、ROICをさらに向上させ、20%台を目指すための鍵は、これまでの牽引役であった「マージンの向上」に加え、「投下資本回転率の反転」にあると考えられます。

2025年3月期の予想数値(マージン18.03%、回転率1.018回)を見ると、利益率の改善ペースが緩やかになる中で、回転率が再び1.0回を上回ることでROICが大きく改善(18.35%)する計画となっています。以下の2点が主要なドライバーとなります。

  • 資産効率の適正化: 建設DX関連の設備投資や棚卸資産の管理効率を高め、売上高の成長に対して投下資本の膨張を抑制できるか。
  • 成長投資の早期収益化: 連結化以降、投下資本ベースが拡大していますが、これら投資された資本がどれだけ速やかに売上高として還元されるかが焦点となります。

投資家へのポイント

本分析から読み取れる株式会社シーティーエスの経営状況は、非常に強力な「収益性(マージン)」を武器に、効率性の低下を補いながら成長を続けている姿です。投資家の皆様においては、以下の観点が注目ポイントとなります。

  • 高収益体質の持続性: NOPATマージン18%前後という数字は、同業他社と比較しても極めて高い水準です。この利益率を維持・拡大できる競争優位性が維持されているか。
  • 資本効率改善の兆し: 2024年3月期にボトムを打った可能性のある投下資本回転率が、2025年3月期予想通りに回復へ転じるか。特に「売上高の伸びが投下資本の伸びを上回るか」が、ROIC再浮上の真価を問う指標となります。
  • 成長と効率のバランス: 積極的な投資(資本の増加)は将来の利益源泉ですが、短期的には回転率を押し下げます。経営陣が「効率」と「規模」をどうコントロールしていくのか、今後の決算数値を通じて注視する必要があります。

同社は高いマージンを背景に、資本効率のわずかな改善がROICを大きく押し上げるフェーズにあります。この「効率性」への注力具合が、将来の企業価値を左右する重要な要素の一つとなるでしょう。

EVA(経済的付加価値)分析

EVA(経済的付加価値)推移

EVA = (ROIC − WACC) × 投下資本。資本コストを超えるリターンを生み出し、株主価値を真に創造しているかを測定する指標です。

年度 NOPAT(百万円) 資本コスト(百万円) EVA(百万円) ROIC(%) WACC(%)
17年 3月期 個別 835 283 552 18.34 6.22
18年 3月期 931 519 412 11.77 6.56
19年 3月期 1,087 517 570 13.45 6.40
20年 3月期 1,271 547 724 16.26 7.00
21年 3月期 1,525 613 912 17.41 7.00
22年 3月期 1,783 671 1,112 18.59 7.00
23年 3月期 1,738 731 1,007 16.65 7.00
24年 3月期 1,951 797 1,154 17.14 7.00
25年 3月期 2,131 813 1,318 18.35 7.00
EVA(経済的付加価値)推移05001.0千1.5千2.0千2.5千1719212325EVA(百万円)NOPAT(百万円)
EVA評価サマリー
直近EVA
1,318
百万円(2025年 3月期 連結)
累積EVA
7,761
百万円(9年間合計)
価値創造評価
高い価値創造力

EVAの推移と評価

株式会社シーティーエス(4345)のEVA(経済的付加価値)は、2017年3月期から2025年3月期の予想値に至るまで、一貫してプラス圏で推移しています。これは、同社が株主の期待収益率(資本コスト)を上回る真の経済的利益を創出し続けていることを示しています。特に注目すべきは、EVAの絶対額の成長です。2018年3月期の412百万円を底に、2025年3月期には1,318百万円に達する見込みであり、約7年間で3倍以上の規模に拡大しています。

会計上の利益(NOPAT)も着実に増加していますが、EVAもそれに連動して拡大している点は高く評価できます。2023年3月期には一時的にEVAが前年比で減少(1,112百万円から1,007百万円)していますが、これは投下資本の増加に伴う資本コストの上昇(731百万円)が主な要因です。しかし、翌2024年3月期には再び成長軌道に戻しており、資本効率を維持しながら事業規模を拡大させる「質の高い成長」を裏付けています。

価値創造力の持続性

同社の価値創造力の源泉は、ROIC(投下資本利益率)とWACC(加重平均資本コスト)の広範なスプレッドにあります。直近のデータでは、WACCが7.00%で安定しているのに対し、ROICは概ね16%〜18%台という高い水準を維持しています。2025年3月期の予測ROICは18.35%に達し、WACCとの差(ROICスプレッド)は11.35%と非常に高水準です。これは、同社が建設ICT分野などの高付加価値なサービスを展開し、模倣困難な独自のビジネスモデルを確立している可能性を示唆しています。

累積EVAが7,761百万円に達している事実は、過去9年間にわたり一度も価値を毀損することなく、着実に株主価値を積み上げてきた証です。投下資本が増加傾向にありながらROICが低下せず、むしろ高水準で安定している点は、同社の投資案件がいずれも高い収益性を伴っていることを示しており、今後も持続的な価値創造が期待される推移となっています。

投資家へのポイント

本EVA分析に基づくと、株式会社シーティーエスは「資本効率」と「利益成長」を高い次元で両立している企業と言えます。投資家が注目すべき具体的なポイントは以下の通りです。

  • 資本効率の高さ:ROICがWACCの2倍以上で推移しており、投下した資本に対して極めて効率的にリターンを得ている。
  • 強固な財務基盤と収益性:NOPATが2,000百万円規模に迫る中で、資本コストを800百万円程度に抑制できており、経営陣の資本コストに対する意識の高さが伺える。
  • 成長の質:単なる増収増益ではなく、資本コストを差し引いた後の「残り」であるEVAが増大していることは、企業価値の本質的な向上を意味する。

以上の通り、同社は優れた価値創造力を示していますが、今後の投資判断においては、現在の株価がこれらの将来的なEVA成長をどの程度織り込んでいるか(市場期待値との乖離)、および建設業界のDX化の進展など外部環境の変化がROICに与える影響を慎重に見極めることが重要です。

⚠️ 注意: EVAは簡易推定値です。WACCは株主資本コスト7%想定に基づく簡易計算であり、 正確なEVA算出にはβ値やリスクフリーレートの精緻な設定が必要です。

営業レバレッジ分析

営業レバレッジ度(DOL)推移

DOL = 営業利益変化率 ÷ 売上高変化率。売上が1%変化したとき営業利益が何%変化するかを示し、固定費比率の高さ(経営リスク)を表します。

平均DOL
1.95倍
有効年度の平均
リスク評価
低リスク
DOL≤2: 低 / 2-5: 中 / 5+: 高
年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 営業利益率(%) 売上変化率(%) 営業利益変化率(%) DOL(倍)
17年 3月期 個別 7,285 1,179 16.18 - - -
18年 3月期 8,200 1,330 16.22 12.56 12.81 1.02
18年 3月期 8,500 1,480 17.41 3.66 11.28 3.08
18年 3月期 8,578 1,508 17.58 0.92 1.89 2.06
19年 3月期 8,613 1,590 18.46 0.41 5.44 -
20年 3月期 9,172 1,852 20.19 6.49 16.48 2.54
21年 3月期 9,968 2,228 22.35 8.68 20.30 2.34
22年 3月期 10,600 2,550 24.06 6.34 14.45 2.28
22年 3月期 10,542 2,628 24.93 -0.55 3.06 -5.59
23年 3月期 10,797 2,691 24.92 2.42 2.40 0.99
24年 3月期 11,000 2,800 25.45 1.88 4.05 2.15
24年 3月期 11,090 2,865 25.83 0.82 2.32 2.84
25年 3月期 11,821 3,077 26.03 6.59 7.40 1.12
26年 3月期 12,885 3,353 26.02 9.00 8.97 1.00
営業レバレッジ度(DOL)と営業利益率の推移-10.00.010.020.030.017181921222425260DOL(倍)営業利益率(%)

費用構造の特徴

株式会社シーティーエスの営業レバレッジ度(DOL)は、対象期間の平均で1.95倍となっており、一般的に「低リスク(変動費型ビジネス)」に分類される水準にあります。同社は建設ICT関連のシステム提供や計測機器のレンタルなどを主業としていますが、2017年3月期の営業利益率16.18%から2026年3月期の予想26.02%まで、利益率が段階的に向上している点が大きな特徴です。

DOLの推移を詳細に見ると、期によって3.08倍(2018年3月期)や2.84倍(2024年3月期)といった「中程度」のレバレッジが掛かる局面があるものの、直近の予測(2025年・2026年3月期)では1.12倍から1.00倍へと落ち着く見通しとなっています。これは、事業規模の拡大に伴い固定費が効率的に回収され、売上の伸びがダイレクトに利益へと結びつく、安定したコスト構造へシフトしていることを示唆しています。

景気変動への感応度

DOLが平均1.95倍と比較的低水準であることは、売上高の変動が営業利益に与えるインパクトが限定的であることを意味します。具体的には、2022年3月期において売上高が前年比0.55%の微減となった際も、営業利益は3.06%の増加を確保しており、減収局面においても利益を維持・拡大できる柔軟な費用構造が確認できます。

景気好況期において爆発的な利益成長を狙う「高レバレッジ型」ではありませんが、建設業界のDX化という底堅い需要を背景に、売上高が12.56%増加した2018年3月期には利益も12.81%増加(DOL 1.02倍)させるなど、着実な成長を遂げています。平均して売上の変化率に対し利益の変化率が極端に乖離しない傾向にあるため、業績のボラティリティ(振れ幅)は抑制されており、景気後退局面においても比較的耐性がある構造と評価されます。

投資家へのポイント

本分析に基づくと、株式会社シーティーエスは「低リスク・高収益」の特性を強めていると言えます。営業利益率は約10年間で約10ポイント上昇(16.18%→26.02%予想)しており、単なる規模の拡大だけでなく、収益性の質的向上が継続している点が注目されます。営業レバレッジの観点からは、以下の2点が投資判断の検討材料となります。

  • ダウンサイドリスクの抑制:平均DOLが2倍を下回る水準であり、万が一売上が低迷した場合でも、固定費の負担によって利益が急落するリスクは相対的に低いと考えられます。
  • 将来の利益成長の確実性:2025年・2026年3月期の予測DOLが1.0倍前後であることは、売上の伸びがそのまま利益の伸びに直結するフェーズに入ったことを示唆しています。

同社の成長を支える建設ICT市場の動向と、この安定した費用構造が今後も維持されるかどうかが、中長期的な企業価値を見極める上での鍵となります。なお、本データに基づくリスク評価は過去の実績および現時点の予測に基づくものであり、将来の運用成果を保証するものではありません。投資の最終決定は、ご自身の判断で行っていただきますようお願いいたします。

⚠️ 注意: 営業レバレッジ度は前年比の変化率から算出しており、売上や利益が急変する年度では極端な値になることがあります。 複数年の平均値での評価を推奨します。

持続的成長率分析(SGR)

持続的成長率(SGR)推移

SGR = ROE × 内部留保率。外部からの資金調達なしで持続可能な売上成長率を示します。実際の成長率と比較することで、成長の持続可能性を評価します。

年度 ROE(%) 配当性向(%) 内部留保率(%) SGR(%) 実際成長率(%)
17年 3月期 個別 22.54 推定30% 70.0 15.77 -
18年 3月期 12.96 推定30% 70.0 9.07 12.56
19年 3月期 15.05 推定30% 70.0 10.53 5.04
20年 3月期 15.96 推定30% 70.0 11.17 6.49
21年 3月期 16.62 推定30% 70.0 11.64 8.68
22年 3月期 17.94 推定30% 70.0 12.56 6.34
23年 3月期 16.84 推定30% 70.0 11.79 1.86
24年 3月期 16.95 推定30% 70.0 11.87 1.88
25年 3月期 18.86 推定30% 70.0 13.20 7.46
持続的成長率(SGR)vs 実際の売上成長率0.0%5.0%10.0%15.0%20.0%1719212325SGR(%)実際成長率(%)
ROEと配当性向の推移12.0%14.0%16.0%18.0%20.0%22.0%24.0%1719212325ROE(%)配当性向(%)
持続的成長率の評価(2025年 3月期 連結)
ROE
18.86%
×
内部留保率
70.0%
=
SGR
13.20%
📊 成長持続性の評価: 実際の成長率がSGR範囲内で、健全な成長ペース

SGR水準の評価

株式会社シーティーエス(4345)の持続的成長率(SGR)は、分析期間を通じて9.07%から13.20%の高水準で推移しています。この堅調なSGRを支えている主因は、極めて高い自己資本利益率(ROE)にあります。特に2021年3月期以降、ROEは16%から18%台へと上昇傾向にあり、2025年3月期の予想ROEは18.86%に達する見込みです。配当性向を30%(内部留保率70%)と一定に仮定した場合、ROEの向上が直接的にSGRを押し上げており、外部資金に頼らずとも二桁成長を維持できる高い潜在能力を有していると評価できます。

成長の持続可能性

実際の売上成長率とSGRを比較すると、2018年3月期を除き、実際の成長率はSGRを下回る範囲で推移しています。これは、同社が無理な外部調達(増資や過度な借入)を行うことなく、自社の営業キャッシュフローと内部留保の範囲内で着実に事業を拡大していることを示唆しています。特に2023年3月期(1.86%)および2024年3月期(1.88%)の実際成長率はSGR(約11%台)を大きく下回っており、財務的な余力(資金余剰)が蓄積されている状態です。2025年3月期は実際成長率が7.46%に回復する見通しですが、依然としてSGR(13.20%)の範囲内であり、財務健全性を維持したまま持続可能な成長フェーズにあると言えます。

投資家へのポイント

本分析から、投資家が注目すべきポイントは以下の3点です。第一に、高いSGRと実際成長率の乖離は、同社に「成長投資への余力」あるいは「株主還元を強化する余地」が十分にあることを示しています。第二に、ROEが18%超という高効率な経営を実現しており、資本効率の面で極めて優れている点です。第三に、外部資金調達への依存度が低いため、金利上昇局面などの外部環境の変化に対しても強い耐性を持っている可能性が高い点です。蓄積された内部留保を今後どのように成長投資や還元に振り向けるのか、同社の資本政策の進展が、今後の株価形成における重要な判断材料となるでしょう。最終的な投資判断は、これらの財務指標と市場環境を照らし合わせ、慎重にご検討ください。

⚠️ 注意: 配当データが取得できない年度は内部留保率70%(配当性向30%)を仮定しています。 実際の配当政策と異なる場合があります。

インタレストカバレッジレシオ推移

インタレストカバレッジレシオ推移

ICR = 営業利益 ÷ 支払利息。営業利益で利息の何倍を賄えるかを示す、借入金利負担の安全性指標です。

直近ICR
∞(利息負担なし)
>10: 極めて安全 / 3-10: 安全 / 1-3: 要注意 / <1: 危険
安全性評価
極めて安全(実質無借金)
年度 営業利益(百万円) 推定支払利息(百万円) ICR(倍) 有利子負債(百万円) 有利子負債比率(%) 推定借入金利(%)
17年 3月期 個別 1,179 49 24.1 1,000 11.5 4.90
18年 3月期 1,330 50 26.6 1,000 8.1 5.00
19年 3月期 1,590 31 51.3 1,000 8.3 3.10
20年 3月期 1,852 34 54.5 - 0.0 -
21年 3月期 2,228 101 22.1 - 0.0 -
22年 3月期 2,550 90 28.3 - 0.0 -
23年 3月期 2,691 - - 0.0 -
24年 3月期 2,800 30 93.3 - 0.0 -
25年 3月期 3,077 - - 0.0 -
インタレストカバレッジレシオと有利子負債比率の推移0.020.040.060.080.0100.01719212325ICR(倍)有利子負債比率(%)

利払い安全性の評価

株式会社シーティーエスのインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)は、分析期間を通じて「極めて安全」とされる10倍を大幅に上回る水準で推移しています。2017年3月期の24.1倍から、直近の2024年3月期には93.3倍にまで上昇しており、営業利益の成長に伴い利払い能力が飛躍的に高まっていることが示されています。特筆すべきは、2023年3月期および2025年3月期(予想)においてICRが「∞(無限大)」となっている点です。これは支払利息が実質的に発生しない、あるいは営業外収益が費用を上回る状態を示唆しており、利害関係者にとって金利上昇局面における財務リスクは極めて低いと評価できます。

有利子負債の状況

同社の有利子負債の管理状況は極めて良好です。2017年3月期時点では1,000百万円(有利子負債比率11.5%)の負債を抱えていましたが、2020年3月期以降は有利子負債比率0.0%を維持しており、実質無借金経営へと移行しています。営業利益が2017年3月期の1,179百万円から2025年3月期予想の3,077百万円へと約2.6倍に拡大する一方で、負債に頼らない経営基盤を確立しており、自己資本の蓄積とキャッシュフローの創出力が安定していることが伺えます。

投資家へのポイント

投資判断における主なポイントは以下の通りです。第一に、強固な財務基盤です。ICRの推移から見て、金利負担が収益を圧迫する懸念はほぼ皆無であり、不透明な経済環境下でも高い耐性を持っています。第二に、余剰資金の活用方法です。実質無借金かつ高い利払い安全性を有していることは、将来的な成長投資(設備投資やM&A)や、配当・自社株買いなどの株主還元に対する余力が大きいことを意味します。一方で、極めて高い安全性は資本効率(ROE等)の低下を招く側面もあるため、同社が蓄積されたキャッシュを今後どのように成長戦略へ再配分していくかが、中長期的な企業価値向上を見極める上での鍵となります。

⚠️ 注意: 支払利息は「営業利益−経常利益」から推定しています。 営業外収益が大きい企業では過小評価になる可能性があります。正確な支払利息は有価証券報告書の注記をご確認ください。

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シーティーエス(4345) 理論株価分析:建設DXへの転換で高収益体質を加速 カチノメ | カチノメ