5075アップコン株式会社||

アップコン(5075) 理論株価分析:営業利益率30%超、公共事業の急拡大で新たな成長フェーズへ カチノメ

決算発表日: 2026-04-232026年1月期 通期
総合業績スコア
79/100
好決算

セクション別スコア

業績成長性85収益性95財務健全性90株主還元60成長戦略75理論株価評価70
業績成長性85
収益性95
財務健全性90
株主還元60
成長戦略75
理論株価評価70

※ 本記事は後半になるにつれて、内容が専門的になるように構成しています。

決算履歴(業績推移)

売上高推移(百万円)6億8億10億12億14億2018年 2020年 2022年 2024年 2025年 2026年 2026年 '27/1売上高利益推移(営業利益・経常利益・当期純利益)0百万1億2億3億4億5億2018年 2020年 2022年 2024年 2025年 2026年 2026年 '27/1営業利益経常利益純利益利益率推移(%)0.0%5.0%10.0%15.0%20.0%25.0%30.0%35.0%2018年 2020年 2022年 2024年 2025年 2026年 2026年 '27/1営業利益率経常利益率純利益率
年度 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 包括利益
2018年 1月期 個別 782 - 208 139
2019年 1月期 個別 915 - 202 147
2020年 1月期 個別 620 - 33 23
2021年 1月期 個別 914 - 251 181
2022年 1月期 個別 673 - 53 38
2023年 1月期 個別 917 169 178 116
2024年 1月期 個別 855 - 92 59
2024年 1月期 個別 852 90 94 68
2025年 1月期 個別 1,050 210 214 128
2025年 1月期 個別 1,195 332 338 245
2026年 1月期 個別 1,200 228 231 153
2026年 1月期 個別 1,320 350 355 215
2026年 1月期 個別 1,387 420 428 304
2026年 1月期 個別 1,388 421 429 304
★2027年1月期(予想) 1,300 322 325 213

※単位: 百万円

利益率推移

営業利益率 = 営業利益÷売上高×100 / 経常利益率 = 経常利益÷売上高×100 / 純利益率 = 当期純利益÷売上高×100

年度 売上高 (百万円) 営業利益率 (%) 経常利益率 (%) 純利益率 (%)
2018年 1月期 個別 782 - 26.60% 17.77%
2019年 1月期 個別 915 - 22.08% 16.07%
2020年 1月期 個別 620 - 5.32% 3.71%
2021年 1月期 個別 914 - 27.46% 19.80%
2022年 1月期 個別 673 - 7.88% 5.65%
2023年 1月期 個別 917 18.43% 19.41% 12.65%
2024年 1月期 個別 855 - 10.76% 6.90%
2024年 1月期 個別 852 10.56% 11.03% 7.98%
2025年 1月期 個別 1,050 20.00% 20.38% 12.19%
2025年 1月期 個別 1,195 27.78% 28.28% 20.50%
2026年 1月期 個別 1,200 19.00% 19.25% 12.75%
2026年 1月期 個別 1,320 26.52% 26.89% 16.29%
2026年 1月期 個別 1,387 30.28% 30.86% 21.92%
2026年 1月期 個別 1,388 30.33% 30.91% 21.90%
★2027年1月期(予想) 1,300 24.77% 25.00% 16.38%

※営業利益率 = 営業利益÷売上高×100、経常利益率 = 経常利益÷売上高×100、純利益率 = 当期純利益÷売上高×100

決算サマリー

アップコン株式会社の2026年1月期通期決算は、売上高13億8,751万円(前年同期比16.1%増)、営業利益4億2,060万円(同26.7%増)、経常利益4億2,898万円(同27.1%増)、当期純利益3億449万円(同24.5%増)となりました。独自の「アップコン工法」を武器に、設立以来の過去最高益を更新する極めて力強い決算となっています。

注目ポイント

最大の注目点は、公共事業セグメントの爆発的な成長です。農業用水路トンネルの補修を行う「FRT工法」などの受注が急増し、公共事業向け売上高は前年同期比344.5%増と驚異的な伸びを記録しました。民間事業の落ち込みを完全にカバーし、収益構造の多角化に成功しています。

業界動向

建設業界全体では資材高騰や人手不足が課題となっていますが、同社が展開する「ストック型」の維持・修繕市場は、国内インフラの老朽化に伴い需要が拡大しています。競合するコンクリート打ち替え工法に対し、「操業を止めない」「短工期(従来比1/10)」という圧倒的な差別化要因が、公共・民間双方で選好される要因となっています。

投資判断材料

  • 営業利益率30.3%という製造・建設系企業としては異例の高収益性。
  • 自己資本比率80.0%の極めて強固な財務体質。
  • ニッチな市場での特許(現在12件)による参入障壁の構築。
  • 時価総額が比較的小さく、流動性リスクには注意が必要。

セグメント別業績

同社は「沈下修正事業」の単一セグメントですが、施工対象別の内訳は以下の通りです。

  • 民間事業: 売上高9億6,470万円(前年同期比10.0%減)。大型案件の端境期により微減。
  • 公共事業: 売上高4億2,281万円(前年同期比344.5%増)。道路、トンネル、農業用水路向けが大幅進展。

財務健全性

自己資本比率は80.0%と非常に高く、無借金に近い経営を続けていましたが、当期は土地取得等のため長期借入金を実施。それでも有利子負債比率は低水準を維持しており、現預金13.3億円に対して負債総額は4.6億円と、キャッシュリッチな状態にあります。

配当・株主還元

2025年10月に1株につき3株の株式分割を実施しました。分割後の期末配当は12円(普通配当6円+特別配当6円)。分割前換算では36円となり、前期(25円)から大幅な増配です。配当性向は16.7%とまだ低めですが、成長投資と還元のバランスを考慮した方針となっています。

通期業績予想

本報告書は通期決算であり、当初予想を上回る過去最高益で着地しました。インフラ老朽化対策という国策に近いテーマに加え、民間工場のDX化に伴う床面精度向上の需要も根強く、次期も堅調な推移が期待されます。

中長期成長戦略

既存の床沈下修正だけでなく、「FRT工法」の横展開や、ベトナムを中心とした海外展開の再強化を掲げています。また、研究開発(杭状地盤改良、壁断熱など)への投資を継続し、ウレタン樹脂の応用範囲を広げることで、新たな収益の柱を育成する方針です。

リスク要因

  • 原材料価格: 主原料であるウレタンの価格はナフサ価格に連動するため、原油安の影響を受けるリスクがあります。
  • 特定人物依存: 創業者である松藤社長の経験と知識に依存する部分が大きく、組織的経営への移行が課題です。
  • 工期リスク: 農業用水路案件は農閑期(11月〜2月)に集中するため、天候や工程遅延が四半期業績を大きく左右します。

ESG・サステナビリティ

「ストック型社会」の実現に貢献する事業そのものがESGに直結しています。環境面ではノンフロンウレタンを使用。ガバナンス面では社外取締役の比率を高め、透明性の高い経営体制を構築しています。

経営陣コメント

松藤社長は、当期が設立以来の過去最高益を達成したことを強調。独自の「アップコン工法」の認知度が公共・民間の双方で向上しており、今後も「健康第一」を掲げた研究開発型企業として、社会インフラの長寿命化に貢献する姿勢を示しています。

バリュエーション

実績PERは16.64倍。営業利益率30%超、ROE17.9%という高い収益性と成長性を考慮すると、依然として成長余力がある評価水準と言えます。自己資本比率の高さからくる安全性も加味すれば、長期投資家にとって魅力的な水準にあります。

過去決算との比較

売上高は第19期の6.7億円から第23期の13.8億円へと、4年間で約2倍に成長しました。特に利益面での伸びが著しく、営業利益は第19期の約5,000万円から4.2億円へと8倍以上に急増しており、収益構造が劇的に改善していることが分かります。

市場の評判

Upcon Co., Ltd. (5075) is a Japanese company involved in the printing and ink manufacturing industry. It has received positive feedback for its sustainability initiatives and innovative products. Investor opinions generally regard it as a stable and growing company.

年度別バリュエーション推移(PBR/PER/時価総額)

株価推移(高値・安値)05001,0001,5002,000'23/1'24/1'25/1'26/1最新(株探)高値安値PBR推移(高値・安値・期末PBR)0.5倍1.0倍1.5倍2.0倍2.5倍3.0倍3.5倍4.0倍'23/1'24/1'25/1'26/1最新(株探)PBR高値PBR安値期末PBRPER推移(高値・安値)0倍10倍20倍30倍40倍50倍'23/1'24/1'25/1'26/1最新(株探)PER高値PER安値時価総額推移(高値・安値)10億20億30億40億50億60億70億'23/1'24/1'25/1'26/1最新(株探)高値安値ROE推移(PBR÷PERで算出・高値同士/安値同士)4.0%6.0%8.0%10.0%12.0%14.0%16.0%18.0%'23/1'24/1'25/1'26/1最新(株探)ROE高値ROE安値
年度 株価高値 株価安値 PER高値 PER安値 PBR高値 PBR安値 時価総額高値 時価総額安値 期末PBR
2023年1月期 430 268 14.53 9.07 1.47 0.92 18億522万 11億2651万 1.33倍
2024年1月期 663 350 41.26 21.79 2.17 1.14 27億9194万 14億7462万 1.44倍
2025年1月期 550 417 9.48 7.18 1.51 1.14 23億1726万 17億5550万 1.35倍
2026年1月期 1,632 473 22.66 6.57 3.72 1.08 69億1369万 19億9424万 2.73倍
最新(株探) 1336 - 26.6倍 - 3.05倍 - - - 3.05倍

ROE算出表(PBR÷PER×100)

PBR = ROE × PER の関係式から逆算。高値同士・安値同士で算出しています。

年度 PBR高値 PER高値 ROE高値(%) PBR安値 PER安値 ROE安値(%)
2023年1月期 1.47 14.53 10.1% 0.92 9.07 10.1%
2024年1月期 2.17 41.26 5.3% 1.14 21.79 5.2%
2025年1月期 1.51 9.48 15.9% 1.14 7.18 15.9%
2026年1月期 3.72 22.66 16.4% 1.08 6.57 16.4%
最新(株探) 3.05倍 26.6倍 11.5% - - -

バリュエーション推移の概要

アップコン株式会社(5075)のバリュエーション推移を概観すると、2023年1月期から2025年1月期にかけては、PBR(株価純資産倍率)1.0倍〜1.5倍、PER(株価収益率)10倍〜20倍前後を中心とした比較的落ち着いた評価水準にありました。しかし、2026年1月期の期中において株価が急騰し、バリュエーションのレンジが上方へ大きくシフトしています。特に直近のデータでは、従来のバリュエーション水準を大きく上回るプレミアムが付与されており、市場の期待値が急激に高まっている局面にあると言えます。

PBR分析

PBRの推移を確認すると、2023年1月期から2025年1月期の安値圏では、PBR 0.92倍〜1.14倍と解散価値に近い水準が下値支持線として機能してきました。しかし、2026年1月期に入ると高値圏でPBR 3.72倍まで上昇し、期末PBRも2.73倍と過去数年と比較して極めて高い水準を記録しています。最新のPBR 3.05倍は、歴史的な下限値(0.92倍)の約3.3倍に相当し、資産価値に対する評価から成長期待に対する評価へと、評価軸が変化していることが示唆されます。

PER分析

PERは、年度によって変動が激しい傾向にあります。2023年1月期のPER 9.07倍〜14.53倍という低水準から、2024年1月期には一時41.26倍まで上昇しました。その後、2025年1月期には再び一桁台(安値時7.18倍)まで低下し、収益性の改善に伴い割安感が強まる局面もありました。2026年1月期の高値時PER 22.66倍、および最新の26.6倍という数値は、同社の過去の平均的なPER水準と比較して高位に位置しており、現在の株価は将来の利益成長を一定程度先読みして織り込んでいると考えられます。

時価総額の推移

時価総額は、2023年1月期の安値11億2,651万円から、直近の2026年1月期高値では69億1,369万円まで、最大で約6倍の拡大を見せています。特に2025年1月期の時価総額レンジ(17.5億〜23.1億円)から、2026年1月期のレンジ(19.9億〜69.1億円)への跳ね上がりは顕著です。この企業価値の急増は、単なる業績の拡大だけでなく、株式市場における同社への注目度の高まりや、流動性の変化が影響している可能性が高いと分析されます。

現在のバリュエーション評価

最新のデータに基づくPBR 3.05倍、PER 26.6倍という水準は、過去4年間のレンジと比較して明らかに「高値圏」に位置しています。2023年から2025年までの平均的な評価水準に戻るのか、あるいは現在の高い期待値を裏付ける継続的な利益成長を実現し、新たなバリュエーション・レンジを形成するのかの分岐点にあります。投資家においては、現在の株価に織り込まれた期待値と、実際の業績進捗の整合性を慎重に比較検討することが求められる局面です。

キャッシュフロー推移

キャッシュフロー推移(営業CF・投資CF・フリーCF)-4億-2億0百万2億4億'21/1'22/1'23/1'24/1'25/1'26/10営業CF投資CFフリーCF設備投資 vs フリーCF(百万円)-4億-2億0百万2億4億'21/1'22/1'23/1'24/1'25/1'26/10設備投資#1フリーCF現金等残高推移4億6億8億10億12億14億'21/1'22/1'23/1'24/1'25/1'26/1現金等
年度 四半期 営業CF 投資CF 財務CF フリーCF 設備投資#1 現金等
2021年1月期 通期 360 -102 -7 258 - 856
2022年1月期 通期 -171 -150 -16 -321 - 519
2023年1月期 通期 264 48 111 312 -2 942
2024年1月期 通期 -26 -38 -22 -64 -15 856
2025年1月期 通期 334 -98 -16 236 -2 1076
2026年1月期 通期 358 -283 183 75 -247 1334

※単位: 百万円。データ出典: IRBank(irbank.net)

キャッシュフロー推移の概要

アップコン株式会社(5075)の過去6年間のキャッシュフロー(CF)推移を見ると、年度によって数値の変動が激しいものの、直近ではキャッシュ創出力が力強さを増している傾向が伺えます。2022年1月期や2024年1月期には営業CFがマイナスに沈む局面もありましたが、翌年には大幅なプラスに転換しており、プロジェクトの進捗や入金タイミングによるボラティリティが存在する事業構造と推察されます。直近の2026年1月期については、営業CFがプラス3.58億円、投資CFがマイナス2.83億円、財務CFがプラス1.83億円となっており、フレームワークに基づくと、外部調達を行いながら将来の成長に向けた投資を加速させる「積極投資型」のフェーズにあると判定されます。

営業キャッシュフロー分析

本業によるキャッシュ創出力を示す営業CFは、2021年1月期の3.6億円から、直近の2026年1月期には3.58億円と、高い水準を維持しています。特筆すべきは、2022年1月期(-1.71億円)や2024年1月期(-0.26億円)のマイナス局面から、翌期にはそれぞれ2.64億円、3.34億円とV字回復を果たしている点です。これにより、単年度での赤字リスクを翌期の黒字で十分にカバーできる底堅さが示されています。直近2年間の営業CFは3億円台を安定して計上しており、事業規模の拡大とともに現金を稼ぐ力(キャッシュ・ジェネレーション能力)が着実に強化されていることが読み取れます。

投資キャッシュフロー・設備投資分析

投資CFの推移を見ると、2025年1月期までは年間0.4億円〜1.5億円程度の投資規模でしたが、2026年1月期には投資CFがマイナス2.83億円、そのうち設備投資額が2.47億円と急増しています。これは、同社が将来の収益基盤を強化するために、有形固定資産やシステム等のインフラへ過去最大規模の投資を実行したことを示唆しています。以前はフリーCFの範囲内での小規模な投資に留まっていましたが、直近では営業CFの約7割に相当する額を投資に振り向けており、経営陣の成長に対する強い意思が反映された投資方針へとシフトしていると言えます。

フリーキャッシュフロー分析

フリーCF(FCF)は、6年間のうち4年間でプラスを確保しています。2023年1月期には3.12億円、2025年1月期には2.36億円と、多額の余剰資金を生み出しており、事業単体での資金繰りは極めて良好です。直近の2026年1月期は、大規模な設備投資を実行したにもかかわらず、本業の稼ぎが投資額を上回ったため、0.75億円のプラスを維持しています。このように「稼いだ範囲内で投資を賄い、なおかつ手元に資金を残す」という規律あるCF経営がなされている点は、株主還元余力や不測の事態への備えという観点から、投資家にとって一定の安心材料となります。

財務戦略・現金残高の評価

財務戦略においては、極めて慎重かつ強固な手元流動性の確保が特徴的です。2026年1月期には1.83億円の財務CF(調達)を計上していますが、これにより現金等残高は過去最高の13.34億円(前年比2.58億円増)にまで積み上がっています。2021年1月期の8.56億円と比較すると、5年間で約1.5倍に増加しました。多額の借入に頼ることなく、営業CFで稼いだ資金を主軸として現金を蓄積しており、自己資本比率の向上や財務の健全性が維持されていると評価できます。この潤沢な手元資金は、今後の更なるM&Aや大規模な研究開発投資、あるいは安定的な配当継続に向けた重要な原資となります。

キャッシュフロー総合評価

アップコン株式会社のキャッシュフローデータ全体を俯瞰すると、高い財務健全性と、機動的な投資余力を兼ね備えた企業であると評価できます。営業CFの年次変動という課題はあるものの、累積ベースでは着実にキャッシュを積み上げており、現金残高が13億円を突破したことは、経営の安定性を一段と高めています。特に直近の「積極投資型」への移行は、守りの経営から攻めの経営への転換期である可能性を示唆しています。今後は、2026年1月期に実行した大規模な設備投資が、次期以降の営業CFにどれだけの増分をもたらすか、その投資効率が焦点となるでしょう。

DCF法による理論株価分析

DCF分析の前提条件

パラメータ 説明
WACC(割引率) 9.5% 加重平均資本コスト
FCF成長率 7.0% 予測期間中の年平均成長率
EV/FCF倍率 59.76倍 ターミナルバリュー算出用(現在の市場評価)
予測年数 5年 将来FCFの予測期間
発行済株式数 4,240,868株 理論株価算出の分母
現金及び現金同等物 13億 非事業資産として加算
有利子負債 2億 企業価値から控除

将来フリーキャッシュフロー予測

予測年 予測FCF 現在価値(PV)
1年目 80百万 73百万
2年目 86百万 72百万
3年目 92百万 70百万
4年目 98百万 68百万
5年目 1億 67百万
ターミナルバリュー 63億 40億
フリーキャッシュフロー推移(実績 + DCF予測)-4億-2億0百万2億4億2224262028予2030予2031予0FCF実績FCF予測

理論株価の算出プロセス

① 予測FCF現在価値の合計 4億
② ターミナルバリューの現在価値 40億
③ 事業価値(① + ②) 43億
④ 加算: 現金及び現金同等物 +13億
⑤ 控除: 有利子負債 -2億
⑥ 株主価値(③ + ④ − ⑤) 55億
DCF理論株価
1,303円
現在の株価
1,336円
乖離率(割高)
-2.5%

感度分析(理論株価: 円)

WACC(横軸)とFCF成長率(縦軸)を変化させた場合の理論株価の変動を示します。

WACC →
FCF成長率 ↓
7.5%8.5%9.5%10.5%11.5%
2.0%1,1681,1291,0921,0571,024
4.5%1,2781,2341,1931,1541,116
7.0%1,3991,3501,3031,2591,218
9.5%1,5321,4771,4241,3751,328
12.0%1,6771,6151,5571,5021,450

※ 緑色: 現在株価(1,336円)より高い(割安方向) / 赤色: 低い(割高方向) / 青背景: 現在の前提条件

DCF分析の総合評価

アップコン株式会社(5075)のDCF分析による理論株価は1,303円と算出されました。現在の市場価格1,336円と比較すると、乖離率は-2.5%であり、理論上は「わずかに割高(ほぼ適正水準)」なバリュエーションと言えます。3%未満の乖離は、前提条件の微細な変化で容易に逆転する範囲内であり、現在の株価は将来のキャッシュフロー創出能力を概ね適正に織り込んでいると評価できます。ただし、後述するターミナルバリューへの依存度の高さから、下振れリスクに対する一定の警戒が必要です。

フリーキャッシュフローの質

過去5年間の実績を確認すると、2022年1月期の-321百万円から2023年1月期の312百万円まで、FCFは非常に激しく変動しています。これは同社の事業構造において、大型案件の受注タイミングや設備投資、あるいは運転資本の増減がキャッシュフローに大きな影響を与える特性を示唆しています。予測期間のFCFを80百万円(1年目)から105百万円(5年目)と、過去の実績値よりも抑制かつ安定的に見積もっている点は、保守的で信頼性の高いアプローチと言えます。しかし、過去のボラティリティを考慮すると、予測通りの安定成長を維持できるかどうかが、理論株価の妥当性を左右する鍵となります。

前提条件の妥当性

WACC(加重平均資本コスト)を9.5%に設定している点は、中小型株特有のリスクプレミアムを考慮した妥当な水準です。また、予測期間内のFCF成長率7.0%は、同社のニッチな市場での強みを踏まえれば現実的な範囲内と言えるでしょう。一方で、出口マルチプル(EV/FCF倍率)の59.76倍は、一般的な成熟企業と比較すると非常に高い水準です。これは市場が同社の長期的な成長持続性に対して極めて高い期待を寄せていることを前提としており、この倍率設定の正当性が理論株価の根拠を支えています。

ターミナルバリューの影響

今回の分析において、事業価値43億円のうち、予測期間以降の価値を示すターミナルバリュー(現在価値)が40億円を占めています。これは事業価値全体の約93%が5年目以降のキャッシュフローに依存していることを意味します。DCF法においてターミナルバリューの割合が高まるのは一般的ですが、9割を超える水準は、短中期の収益よりも「遠い将来の永続的な成長」に価値の重きが置かれていることを示しています。将来の成長シナリオに狂いが生じた場合、株価が大きく調整されるリスクを内包しています。

感度分析から読み取れること

本分析の構造上、理論株価は「WACC」と「出口マルチプル」の変化に対して極めて高い感応度を持っています。仮にWACCが1%上昇(10.5%)するか、あるいは出口マルチプルが10%低下すれば、理論株価は容易に1,100円台まで下落する可能性があります。逆に、資本効率の向上によりWACCが低下すれば、株価の割安感は一気に強まります。投資家は、単一の理論株価だけでなく、これら変数の変動がもたらす価格の振れ幅を認識しておく必要があります。

投資判断への示唆

以上の分析から、現在のアップコンの株価は、将来の成長期待を十分に反映した「適正価格圏」にあると判断されます。乖離率-2.5%という結果は、積極的な買い推奨、あるいは売り推奨を決定づけるほどの決定的な割安・割高感を示してはいません。投資にあたっては、予測FCFの起点となる1年目の実績が予測(80百万円)を上回るペースで推移するか、また、設定された高いマルチプルを正当化できるだけの市場シェア拡大が見込めるかを精査する必要があります。なお、DCF法はあくまで一定の仮定に基づく試算であり、将来の株価推移を保証するものではない点にご留意ください。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

売上高および利益の拡大基調を背景に、FCF成長率は過去の利益成長を平準化した7%と推定しました。WACCは小型株のリスクプレミアムを反映し9.5%に設定し、永久成長率は国内のインフラ維持管理需要の継続性を考慮し1%としています。発行済株式数は予想純利益とPERから導出される時価総額(約5,666百万円)を株価で除して算出しました。有利子負債は、豊富な現預金残高を考慮し、運転資金程度の150百万円と推計しています。

⚠️ 免責事項: 本DCF分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 DCF法は前提条件(WACC、成長率等)に大きく依存するため、感度分析を参考に幅を持って評価してください。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

リバースDCF分析(市場の期待値)

市場が織り込んでいる成長期待

現在の株価(1,336円)を正当化するために必要なインプライドFCF成長率を逆算しました。

インプライドFCF成長率
7.7%
市場が織り込む成長率
AI推定FCF成長率
7.0%
ファンダメンタル分析ベース
成長率ギャップ
+0.7%
ほぼ妥当

リバースDCF詳細

現在の株価1,336円
インプライドFCF成長率7.71%
AI推定FCF成長率7.00%
成長率ギャップ+0.71%(ほぼ妥当)
インプライドWACC30.00%
AI推定WACC9.50%
📖 読み方:
  • インプライド成長率 > AI推定成長率 → 市場は楽観的。期待通りの成長が実現しなければ株価下落リスク
  • インプライド成長率 < AI推定成長率 → 市場は悲観的。実態より過小評価されている可能性
  • 両者がほぼ一致 → 市場の評価はファンダメンタルに整合的

市場の期待値の評価

アップコン株式会社(5075)の現在株価1,336円から算出されるインプライドFCF(フリーキャッシュフロー)成長率は7.71%です。これに対し、AIが推定する適正なFCF成長率は7.00%となっており、その差(ギャップ)は+0.71%と極めて僅かです。この数値は、現在の株式市場が同社の将来的な成長性を過度に楽観視することも、あるいは過小評価することもなく、概ね実力に見合った水準で評価していることを示唆しています。過去の業績推移や施工実績に照らし合わせても、年率7%台の成長は、特殊土木・床修正というニッチ分野での安定した需要を背景に、市場が一定の信頼を寄せている結果といえるでしょう。

インプライド成長率の実現可能性

市場が織り込んでいる7.71%という成長率の実現可能性については、同社が展開する独自の「アップコン工法(ウレタン注入によるコンクリート床修正)」の競争力と市場環境が鍵となります。国内では物流倉庫や工場の老朽化に伴うメンテナンス需要が堅調であり、操業を止めずに施工できる同社の技術は高い優位性を持っています。また、インフラ老朽化対策という社会的課題も追い風です。ただし、人件費の上昇や原材料価格の変動といった建設・土木業界特有のリスクを考慮すると、7.71%の成長を継続的に達成するためには、施工効率のさらなる向上や新規顧客の開拓が不可欠となります。AI推定の7.00%との乖離が小さいことから、事業計画の着実な遂行がそのまま株価の正当化につながるフェーズにあります。

投資判断への示唆

リバースDCF分析の結果、現在の株価は「ほぼ妥当」な水準にあると判断されます。注目すべき点は、インプライドWACC(加重平均資本コスト)が30.00%と非常に高い水準で市場に算出されている一方で、AI推定のWACCが9.50%に留まっている点です。この乖離は、市場が同社に対して流動性リスクや小規模銘柄ゆえのボラティリティを強く警戒し、高いハードル(割引率)を課している可能性を示しています。もし、今後のIR活動や業績の安定化によって市場が認識するリスクが緩和され、WACCがAI推定の9.50%へと収束していくならば、理論上の株価評価は大きく切り上がる余地を残しています。現在の1,336円という価格を、適正な評価と見るか、あるいはリスクプレミアムが乗りすぎた割安な状態と見るか、投資家自身の将来予測に基づいた判断が求められます。

拡張感応度分析・シナリオ分析

感度分析: WACC × FCF成長率(理論株価: 円)

金利上昇はWACCの増加、景気後退はFCF成長率の低下として理論株価に影響します。

WACC →
FCF成長率 ↓
7.5%8.5%9.5%10.5%11.5%
2.0%1,1681,1291,0921,0571,024
4.5%1,2781,2341,1931,1541,116
7.0%1,3991,3501,3031,2591,218
9.5%1,5321,4771,4241,3751,328
12.0%1,6771,6151,5571,5021,450

※ 緑色: 現在株価(1,336円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 現在の前提条件

シナリオ分析(楽観・基本・悲観)

金利環境・景気動向の変化に応じた3つのシナリオで理論株価を比較します。

楽観シナリオ
WACC: 8.0% / FCF成長率: 12.0%
永久成長率: 1.4%
1,645円
+23.1%
基本シナリオ
WACC: 9.5% / FCF成長率: 7.0%
永久成長率: 1.0%
1,303円
-2.5%
悲観シナリオ
WACC: 11.0% / FCF成長率: 0.0%
永久成長率: 0.6%
972円
-27.2%

シナリオ分析の総合評価

今回のシナリオ分析の結果、アップコン株式会社(5075)の理論株価は972円から1,645円の範囲に分布しました。 現在の市場株価1,336円は、基本シナリオに基づく理論株価(1,303円)を約2.5%上回る水準にあります。 これは、現在の株価が弊社の基本前提をほぼ織り込んだ「妥当な範囲」にあることを示唆していますが、 基本シナリオよりもわずかに楽観的な成長、あるいは資本コストの低減を市場が期待している状況と言えます。

金利変動の影響

WACC(加重平均資本コスト)を8.0%から11.0%の間で変動させた結果、理論株価に大きな影響が見られました。 基本シナリオの9.5%から悲観シナリオの11.0%へ上昇(+1.5%)した場合、理論株価は1,303円から972円へと大幅に低下します。 金利上昇やリスクプレミアムの拡大は、同社のような成長期待を持つ企業にとって割引率の上昇を招き、株価の下押し圧力となります。 現時点では金利変動に対する感応度は比較的高く、マクロ経済環境の変化には注意が必要です。

景気変動の影響

FCF(フリー・キャッシュ・フロー)成長率の変化による影響を分析したところ、景気後退時を想定した悲観シナリオ(成長率0.0%)では、理論株価は972円となり、現在株価から約27.2%の下落リスクがあることが示されました。 一方で、楽観シナリオ(成長率12.0%)が実現した場合には、理論株価は1,645円(現在比+23.1%)まで上昇するポテンシャルを有しています。 同社の事業構造において、安定的なキャッシュフローの創出が維持できるか、あるいは成長が停滞するかという点が、下値リスクの大きさを決定付ける要因となります。

投資判断への示唆

投資判断における安全域(マージン・オブ・セーフティ)の観点では、現在の株価1,336円は基本シナリオをわずかに上回っており、現時点での割安感は限定的と評価されます。 楽観シナリオへの期待をどの程度持つかが投資の焦点となりますが、悲観シナリオへの下振れリスク(-27.2%)も考慮に入れると、リスク・リワードのバランスは中立的な位置にあります。 今後の同社の成長戦略の進捗や、金利環境の推移を注視し、基本シナリオの前提条件(FCF成長率7.0%)を上回る確証が得られるかどうかが、投資判断の鍵となるでしょう。

モンテカルロシミュレーション

シミュレーション結果サマリー

WACC・FCF成長率・永久成長率をそれぞれ正規分布でランダムに変動させ、100,000回のDCF計算を実行した結果です。DCF計算の非線形性(特にゴードン成長モデルの割引構造)により、理論株価の分布は対数正規分布に近い形状となるため、ヒストグラムは対数スケールで表示しています。

平均理論株価
553円
中央値
549円
90%レンジ(5-95%点)
490 〜 629円
割安確率
0.0%
理論株価 > 現在株価
モンテカルロシミュレーション:理論株価の確率分布(100,000回・対数スケール)0.0%1.2%2.4%3.7%4.9%6.1%477円497円519円541円564円588円613円639円シミュレーション分布現在株価

※ ヒストグラムは対数スケールで表示し、外れ値の影響を抑えるため分布の中央96%(2〜98パーセンタイル)を表示しています。対数スケールにより、DCF計算の非線形性に起因する右裾の歪みが補正され、分布の形状をより正確に把握できます。平均・中央値・パーセンタイルなどの統計値は元のスケールで有効サンプル全体から計算しています。

理論株価のパーセンタイル分布

シミュレーション結果を小さい順に並べたとき、各パーセンタイルにおける理論株価を示します。

パーセンタイル 5% 10% 25% 50% 75% 90% 95%
理論株価490円501円523円549円579円609円629円

※ 緑色: 現在株価(1,336円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 中央値(50%タイル)

リスク指標

理論株価の標準偏差 43円
5% VaR(下位5%タイル) 490円
変動係数(CV = σ / 平均) 7.8%
有効シミュレーション数 100,000 / 100,000

確率分布の解釈

今回のモンテカルロシミュレーションの結果、理論株価の平均値は553円、中央値は549円となりました。平均値が中央値をわずかに上回っており、分布が右側に裾を引く対数正規分布に近い形状を示しています。これはDCF法特有の非線形性(成長率の上昇が理論株価に指数関数的な影響を与える性質)を反映したものです。理論株価の90%信頼区間(5パーセンタイルから95パーセンタイル)は490円から629円の範囲に収まっており、入力パラメータ(WACCやFCF成長率)の変動に対して、理論上の価値は比較的限定的な範囲で推移することが示唆されています。

リスク評価

リスク指標である5% VaR(バリュー・アット・リスク)は490円となりました。これは、設定した前提条件(WACC 9.5%±0.75%、成長率 7.0%±3.0%など)に基づけば、最悪に近いシナリオ(下位5%)においても理論価値は490円以上を維持する確率が高いことを示しています。標準偏差は43円、変動係数(CV)は約7.8%と算出され、パラメータの不確実性が理論株価に与える影響は統計的に見て比較的安定しています。しかし、この「安定性」はあくまで算出された理論株価の範囲内での話であり、市場価格との乖離リスクとは別個に評価する必要があります。

現在株価の統計的位置づけ

現在株価1,336円は、シミュレーションで得られた理論株価の分布において極めて特異な位置にあります。割安確率は0.0%であり、100,000回の試行の中で一度も現在株価を上回る理論株価が算出されませんでした。現在株価は、最も楽観的なシナリオである95パーセンタイル(629円)の2倍以上の水準に達しており、ファンダメンタルズに基づくDCFモデルの観点からは、現在の市場価格は統計的に「極めて割高」な領域にあると分析されます。

投資判断への示唆

本シミュレーション結果は、アップコン株式会社の現在株価が、事業成長性や資本コストから導かれる理論的な裏付けを大きく逸脱している可能性を示唆しています。バリュー投資の基本概念である「マージン・オブ・セーフティ(安全域)」の観点では、現在の株価水準において安全域は皆無であり、むしろ大幅な下方リスクを内包している状態と言えます。

投資家としては、この1,336円という株価を正当化するために、本モデルで設定した平均7.0%のFCF成長率を劇的に上回る爆発的な成長、あるいは大幅な資本効率の改善が市場から期待されている可能性を考慮すべきです。現在の株価水準での投資は、DCFモデルには現れない思惑や流動性、あるいは極めて限定的な確率で起こりうる超成長シナリオに賭ける側面が強いことを認識し、慎重な判断が求められます。

※本解析は提供されたシミュレーションデータに基づく客観的な分析であり、将来の株価を保証するものではありません。投資の最終決定はご自身の責任で行ってください。

📖 モンテカルロシミュレーションの読み方:
  • 割安確率: シミュレーション結果のうち、理論株価が現在株価を上回った割合。50%超なら統計的に割安寄り
  • 90%レンジ(5-95%点): 全シミュレーション結果を並べたときの下位5%点から上位95%点までの範囲。幅が広いほど不確実性が高い
  • 5% VaR: 悲観的な条件下でも95%の確率でこの値以上になると期待される最低ライン
  • 変動係数: 平均に対する標準偏差の比率。30%超だとパラメータ感度が高い(結果の信頼性に注意)
⚠️ 免責事項: 本モンテカルロシミュレーションはAIが推定したパラメータの分布に基づく統計的な参考値であり、投資助言ではありません。 入力パラメータに正規分布を仮定し、DCF計算の非線形性により出力は対数正規分布に近い形状となります。パラメータ間の独立性の仮定など、実際の市場とは異なる前提を含んでいます。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

EPS/BPSベース理論株価分析

理論株価モデルの前提条件

パラメータ 説明
直近EPS 50.30円 1株あたり利益
直近BPS 438.03円 1株あたり純資産
1株配当 0.00円 年間配当金
EPS成長率 18.0% 予測期間中の年平均
割引率 11.0% 将来EPSの割引率
想定PER 26.60倍 理論株価算出に使用

EPS/BPS予測と理論株価

年度 期首BPS EPS 配当 自己資本増加 期末BPS ROE(%) EPS成長率(%) PER(倍) PBR(倍) DCF 理論株価
2027年1月 438.03 50.30 0.00 50.30 488.33 11.48 0.00 26.60 2.74 50.30 1,338
2028年1月 488.33 59.35 0.00 59.35 547.68 12.15 18.00 26.60 2.88 53.47 1,579
2029年1月 547.68 70.04 0.00 70.04 617.72 12.79 18.00 26.60 3.02 56.84 1,863
2030年1月 617.72 82.64 0.00 82.64 700.37 13.38 18.00 26.60 3.14 60.43 2,198
2031年1月 700.37 97.52 0.00 97.52 797.89 13.92 18.00 26.60 3.25 64.24 2,594
ターミナル 1539.44
PER×EPS 理論株価
1,338円
+0.1%
DCF合計値
1,824.72円
+36.6%
現在の株価
1,336円

DCF内訳

予測期間EPS現在価値合計(5年分) 285.28円
ターミナルバリュー現在価値 1539.44円(全体の84.4%)
DCF合計理論株価 1,824.72円

EPS/BPSモデルの総合評価

アップコン株式会社(5075)の理論株価モデルの結果、現在の株価1,336円は、2027年1月期の予測EPSに基づくPER評価(1,338円)とほぼ一致しており、短期的には極めて適正な水準で取引されていると言えます。一方で、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いたDCF合計理論株価は1,824.72円となり、現状の株価との間に+36.6%の乖離(割安性)が示されています。これは、市場が直近の業績を織り込んでいるものの、モデルが前提とする年率18.0%の継続的な利益成長については、まだ完全には評価に反映していない可能性を示唆しています。

ROE推移の見通し

本モデルの予測テーブルによると、ROE(自己資本利益率)は2027年1月期の11.48%から、2031年1月期には13.92%まで上昇する軌道を描いています。一般的に、配当を実施せず利益を内部留保(BPSの蓄積)に回す場合、分母となる自己資本が拡大するためROEは低下しやすくなります。しかし、本予測ではEPS成長率が18.0%と高い水準に設定されているため、資本の蓄積スピードを上回る利益成長が想定されており、資本効率が年々向上するシナリオとなっています。この「高成長によるROEの維持・向上」が、将来的な理論株価を押し上げる大きな要因となっています。

前提条件の妥当性

本モデルの妥当性を検証する上で、3つの主要な前提条件に注目する必要があります。 第一にEPS成長率18.0%は、同社のニッチな施工技術(コンクリート床の沈下修正)に対するインフラ老朽化対策需要の強さを反映していますが、長期的な成長持続性が鍵となります。 第二に割引率11.0%は、中小型株特有のリスクプレミアムを考慮した妥当な設定と言えます。 第三に想定PER26.60倍は、成長期待が高い時期の評価としては標準的ですが、将来的に利益成長が鈍化した場合には、このPER水準の維持が難しくなり、理論株価の下押し圧力となる可能性がある点に留意が必要です。

投資判断への示唆

本モデルの結果は、アップコンが掲げる成長シナリオが実現する場合、現行株価には3割以上のアップサイドポテンシャルが潜在していることを示しています。現在の市場価格(1,336円)は直近の収益力に基づく「守りの評価」にとどまっており、将来の利益蓄積に伴う企業価値の向上を十分に織り込んでいないと解釈することも可能です。

一方で、無配当政策(1株配当0.00円)が継続される前提であるため、投資成果は純粋に株価の上昇(キャピタルゲイン)に依存する形となります。投資家としては、同社が予測通りの成長を維持できるか、あるいはROEを向上させるための効率的な事業再投資が実行されているかを、四半期ごとの決算数値を通じて継続的に検証していくことが求められます。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

2024年の利益落ち込みから2026年にかけての急回復を見込むEPS予想に基づき、中期的な成長期待を反映して18%と推定しました。割引率は、同社が小規模な専門工事会社であり、業績のボラティリティが比較的高いことを考慮し、標準的な株主資本コストよりやや高い11%に設定しています。現在のPERが26倍を超えている点は、市場が将来の利益成長を強く織り込んでいる現状を裏付けています。

⚠️ 免責事項: 本理論株価分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 EPS成長率・割引率・PER等の前提条件により結果は大きく変動します。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

EPS成長率0%が続く場合の理論株価

将来のEPS成長率を0%(横ばい)と仮定した場合の試算です。本編のベースシナリオとは前提が異なります。

理論株価モデルの前提条件

パラメータ 説明
直近EPS 50.30円 1株あたり利益
直近BPS 438.03円 1株あたり純資産
1株配当 0.00円 年間配当金
EPS成長率 0.0% 予測期間中の年平均
割引率 11.0% 将来EPSの割引率
想定PER 26.60倍 理論株価算出に使用

EPS/BPS予測と理論株価

年度 期首BPS EPS 配当 自己資本増加 期末BPS ROE(%) EPS成長率(%) PER(倍) PBR(倍) DCF 理論株価
2027年1月 438.03 50.30 0.00 50.30 488.33 11.48 0.00 26.60 2.74 50.30 1,338
2028年1月 488.33 50.30 0.00 50.30 538.63 10.30 0.00 26.60 2.48 45.32 1,338
2029年1月 538.63 50.30 0.00 50.30 588.93 9.34 0.00 26.60 2.27 40.82 1,338
2030年1月 588.93 50.30 0.00 50.30 639.23 8.54 0.00 26.60 2.09 36.78 1,338
2031年1月 639.23 50.30 0.00 50.30 689.53 7.87 0.00 26.60 1.94 33.13 1,338
ターミナル 794.03
PER×EPS 理論株価
1,338円
+0.1%
DCF合計値
1,000.38円
-25.1%
現在の株価
1,336円

DCF内訳

予測期間EPS現在価値合計(5年分) 206.35円
ターミナルバリュー現在価値 794.03円(全体の79.4%)
DCF合計理論株価 1,000.38円

0%成長シナリオの意味

本シナリオは、アップコン株式会社の将来的な利益成長が完全に停滞し、現状のEPS(50.30円)が永続的に続くという極めて保守的な前提に基づいたシミュレーションです。この「ゼロ成長」の条件下では、PER(株価収益率)をベースとした理論株価は1,338円となり、現在株価(1,336円)とほぼ同水準の結果となりました。これは、現在の市場価格が「成長が止まったとしても、現在の利益水準とPER 26.6倍という評価が維持されるのであれば妥当」という水準にあることを示唆しています。しかし、将来の現金を現在価値に割り引くDCFモデルでは理論株価が1,000.38円に留まり、現在株価を約25%下回ります。これは、成長による価値の上乗せがない場合、現在の株価水準をキャッシュフローの観点から正当化するには、より低い割引率や高い資本効率が必要であることを意味しています。

ベースシナリオとの対比

本編のベースシナリオ(成長率18.0%)とこの0%成長シナリオを対比すると、成長期待がバリュエーションに与える影響が明確になります。ベースシナリオでは高いEPS成長が理論株価を押し上げる要因となりますが、0%成長モデルでは利益が横ばいである一方、配当が0円であるために純資産(BPS)だけが積み上がっていく構造となります。その結果、ROE(自己資本利益率)は2027年1月期の11.48%から2031年1月期には7.87%へと段階的に低下する試算です。この「ROEの低下」は、利益を生み出す力が資本の蓄積スピードに追いついていないことを示しており、成長投資や株主還元が行われない場合の資本効率の悪化を浮き彫りにしています。現在株価と0%成長DCF値との乖離(-25.1%)は、市場が同社に対して「単なる現状維持」以上の成長、あるいは将来的な資本政策の変更を期待していることの裏返しと言えるでしょう。

留意点

本モデルは、入力された前提条件(EPS成長率0%、割引率11%、想定PER26.6倍)に基づく計算結果であり、将来の株価を保証するものではありません。特に、成長率が0%で推移する場合、市場が許容するPER自体が現在の26.6倍から低下するリスク(マルチプル・コントラクション)は考慮されていません。また、同社のような成長ステージにある企業において、0%成長は一時的な踊り場なのか構造的な停滞なのかにより、市場の評価は大きく分かれます。本シミュレーションはあくまで投資判断における「下限の目安」を測るためのサンドボックス分析であり、実際の投資に際しては、同社の技術的優位性や施工実績、インフラ補修市場の動向などを総合的に判断する必要があります。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

2024年の利益落ち込みから2026年にかけての急回復を見込むEPS予想に基づき、中期的な成長期待を反映して18%と推定しました。割引率は、同社が小規模な専門工事会社であり、業績のボラティリティが比較的高いことを考慮し、標準的な株主資本コストよりやや高い11%に設定しています。現在のPERが26倍を超えている点は、市場が将来の利益成長を強く織り込んでいる現状を裏付けています。

⚠️ 免責事項: 本理論株価分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 EPS成長率・割引率・PER等の前提条件により結果は大きく変動します。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

拡張感度分析: WACC × FCF成長率(理論株価: 円)

WACC(加重平均資本コスト)は、株主資本コストと負債コストを資本構成比率で加重平均した「企業の資金調達コスト」です。WACCが高いほど将来キャッシュフローの現在価値は低くなり、理論株価は下がります。FCF成長率は、営業キャッシュフローから設備投資を差し引いた「企業が自由に使えるキャッシュ(フリーキャッシュフロー)」が年率何%で伸びるかの想定値です。

基準のWACC(9.5%)とFCF成長率(7.0%)から±100bpの範囲で、1%刻みの理論株価をシミュレーションします。

📊 巨大感度分析テーブルを計算中...

拡張感度分析: 割引率 × EPS成長率(理論株価: 円)

割引率は、将来の利益やキャッシュフローを現在価値に換算するための率で、投資家が求めるリターン(期待収益率)に相当します。割引率が高いほど将来利益の現在価値は低くなり、理論株価は下がります。EPS成長率は、1株当たり利益(EPS: Earnings Per Share)が年率何%で伸びるかの想定値です。

基準の割引率(11.0%)とEPS成長率(18.0%)から±100bpの範囲で、1%刻みの理論株価をシミュレーションします。

📊 巨大感度分析テーブルを計算中...

拡張感度分析: PER × EPS(理論株価: 円)

PER(株価収益率)は、株価が1株あたり利益(EPS)の何倍で評価されているかを示す指標です。PERが高いほど市場がその企業の将来成長に高い期待を持っていることを意味します。EPS(1株あたり利益)は、企業の純利益を発行済株式数で割った値で、1株あたりの収益力を表します。

基準のPER(26.6倍)とEPS(50円)から、PERは1倍刻み(±100倍)・EPSは1%刻み(±100%)の理論株価をシミュレーションします。

📊 巨大感度分析テーブルを計算中...

拡張感度分析: PBR × BPS(理論株価: 円)

PBR(株価純資産倍率)は、株価が1株あたり純資産(BPS)の何倍で評価されているかを示す指標です。PBRが1倍を下回ると、株価が解散価値を下回っていることを意味し、割安と判断される場合があります。BPS(1株あたり純資産)は、企業の純資産を発行済株式数で割った値で、1株あたりの解散価値を表します。

基準のPBR(3.0倍)とBPS(438円)から、PBRは0.1倍刻み(±10.0倍)・BPSは1%刻み(±100%)の理論株価をシミュレーションします。

📊 巨大感度分析テーブルを計算中...

残留利益モデル分析(Residual Income Model)

残留利益モデル(Residual Income Model)

残留利益モデルは、現在のBPS(1株純資産)に将来の「超過利益」の現在価値を加算して理論株価を算出します。 株主資本コストを上回るROEを持続できる企業ほど、BPSに大きなプレミアムが付きます。

理論株価 = BPS₀ + Σ[(ROEₜ − r) × BPSₜ₋₁ / (1+r)ᵗ] + TV/(1+r)ⁿ

前提条件

パラメータ 説明
直近BPS 438.03円 1株あたり純資産(出発点)
直近EPS 50.30円 1株あたり利益
株主資本コスト (r) 11.0% 株主の要求収益率(エクイティチャージの基準)
EPS成長率 18.0% 予測期間中の年平均
1株配当 0.00円 年間配当金(BPS蓄積に影響)
予測年数 5年 個別予測期間

残留利益の年次予測

年度 期首BPS EPS ROE(%) エクイティチャージ 残留利益 PV(残留利益) 期末BPS
2027年1月 438.03 50.30 11.48 48.18 2.12 1.91 488.33
2028年1月 488.33 59.35 12.15 53.72 5.64 4.58 547.68
2029年1月 547.68 70.04 12.79 60.25 9.79 7.16 617.72
2030年1月 617.72 82.64 13.38 67.95 14.70 9.68 700.37
2031年1月 700.37 97.52 13.92 77.04 20.48 12.15 797.89
ターミナル 残留利益の永続価値: 186.18円 → PV: 110.49円 110.49
理論株価の構成
現在BPS
438.03円
簿価部分
+
残留利益PV合計
35.48円
超過利益の現在価値
+
ターミナルPV
110.49円
永続価値の現在価値
=
RIM理論株価
584円
-56.3%
現在の株価: 1,336円
残留利益モデル:ROEとエクイティチャージの推移11.0%12.0%13.0%14.0%2728293031ROE(%)株主資本コスト(11.0%)
残留利益と現在価値の推移0円5円10円15円20円25円2728293031残留利益(円)PV(残留利益)(円)
📖 残留利益モデルの読み方:
  • 残留利益 > 0(ROE > 株主資本コスト)→ 企業はBPS以上の価値を創出。理論株価 > BPS となりプレミアム付与
  • 残留利益 < 0(ROE < 株主資本コスト)→ 資本効率が不十分。理論株価 < BPS となりディスカウント
  • DCF法との違い: RIMはBPS(純資産)を出発点とするため、資産ベースの評価に強く、安定企業・金融機関の評価に適しています

残留利益の評価

アップコン株式会社(5075)の残留利益(RI)は、2027年1月期の2.12円から2031年1月期には20.48円へと、5年間で大幅な増加が予想されるシミュレーションとなっています。ROE(自己資本利益率)に注目すると、2027年1月期の11.48%から段階的に上昇し、2031年1月期には13.92%に達する見込みです。株主資本コスト(r)を11.0%と設定した場合、全ての期においてROEがコストを上回っており(ROE > r)、企業が株主の期待収益を超える付加価値を創出している、いわゆる「価値創造力」を有している状態と評価できます。ただし、期初時点(2027年1月期)でのスプレッドは0.48%と僅少であり、将来的なROEの向上が理論価格形成の重要な鍵を握っています。

BPSプレミアム/ディスカウントの解釈

本モデルによる理論株価は584円となり、算出根拠となるBPS(1株当たり純資産)438.03円に対して約146円(約33%)のプレミアムが付与された形となっています。これは、同社が将来にわたって資本コストを上回る利益を生み出し続けるという期待を反映したものです。内訳をみると、5年間の残留利益の現在価値合計が35.48円、それ以降の継続価値(ターミナルバリュー)の現在価値が110.49円となっており、理論上の企業価値の多くが将来の成長期待に依存している構造が浮き彫りになります。現状の収益力に基づけば、解散価値であるBPSを上回る評価は妥当であるものの、そのプレミアムの幅は保守的な見積もりにとどまっています。

他の評価手法との比較

RIMによる理論株価584円に対し、現在の市場価格(1,336円)は大幅な乖離(-56.3%)を示しています。これをPBR(株価純資産倍率)で換算すると、理論上のPBRは約1.33倍ですが、市場価格ベースでは約3.05倍に達しています。PER(株価収益率)の観点では、2027年予想EPS 50.30円に対し市場価格は約26.5倍で取引されている計算になります。DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)との比較においては、同社のような成長ステージにある企業の場合、設備投資負担や運転資本の変動によりキャッシュフローが不安定になりやすい側面がありますが、RIMは会計上の利益とBPSをベースとするため、資産背景を重視した堅実な評価が出やすい傾向があります。現在の市場価格は、本モデルで想定したEPS成長率18.0%やROE 13.9%をさらに上回る、極めて高い成長シナリオや資本効率の劇的な改善を織り込んでいる可能性があります。

投資判断への示唆

残留利益モデル(RIM)の結果から導き出される理論株価584円と、現在株価1,336円の間に存在する大きな乖離をどう解釈するかが投資判断の焦点となります。市場が同社の独自の技術力やニッチ市場での優位性を高く評価し、本モデルの前提(コスト11.0%、最終ROE13.92%)を上回る収益性を期待していると考えるならば、現在の株価も正当化の余地があるでしょう。一方で、本モデルの結果を基準とするならば、現在の株価はファンダメンタルズに対して割高な水準にあると見ることも可能です。投資家の皆様におかれましては、同社の成長持続性や資本効率向上の確度、および設定された株主資本コストの妥当性を精査し、ご自身の投資スタンスに照らしてご判断いただくことが肝要です。

⚠️ 注意: 残留利益モデルの結果は、EPS成長率・株主資本コスト・BPSの前提条件に大きく依存します。 また、会計基準の違い(日本基準/IFRS)によりBPSの定義が異なる場合があります。投資判断の際は他の手法と合わせてご検討ください。

リバースDCF分析(EPSベース・市場の期待値)

市場が織り込んでいる成長期待

現在の株価(1,336円)を正当化するために必要なインプライドEPS成長率を逆算しました。

インプライドEPS成長率
8.4%
市場が織り込む成長率
AI推定EPS成長率
18.0%
ファンダメンタル分析ベース
成長率ギャップ
-9.6%
悲観的

リバースDCF詳細

現在の株価1,336円
インプライドEPS成長率8.39%
AI推定EPS成長率18.00%
成長率ギャップ-9.61%(悲観的)
インプライド割引率50.00%
AI推定割引率11.00%
📖 読み方:
  • インプライド成長率 > AI推定成長率 → 市場は楽観的。期待通りの成長が実現しなければ株価下落リスク
  • インプライド成長率 < AI推定成長率 → 市場は悲観的。実態より過小評価されている可能性
  • 両者がほぼ一致 → 市場の評価はファンダメンタルに整合的

市場の期待値の評価

アップコン株式会社(5075)の現在株価1,336円に基づくリバースDCF分析の結果、市場が織り込んでいる「インプライドEPS成長率」は8.39%となりました。これに対し、AIが推定する成長率は18.00%であり、その差(成長率ギャップ)は-9.61%と大きく乖離しています。この数値は、現在の市場が同社の将来性に対して非常に慎重、あるいは「悲観的」な評価を下していることを示唆しています。特筆すべきはインプライド割引率が50.00%という極めて高い水準にある点で、これは投資家が将来のキャッシュフローに対して非常に高いリスクプレミアムを要求している、あるいは流動性リスク等を強く警戒している状態を反映していると考えられます。

インプライド成長率の実現可能性

市場が求めている年率8.39%のEPS成長というハードルは、AI推定の18.00%と比較すると大幅に低い水準にあります。アップコンは独自の「アップコン工法」を用いたコンクリート床の修正・メンテナンスというニッチかつ需要の安定した事業を展開しており、老朽化インフラの補修需要や物流倉庫の整備といった社会的背景を考慮すると、8.39%の成長維持は十分に現実的なラインであると分析されます。AI推定の18.00%成長が実現に向かう場合、現在の株価水準は将来の利益成長をほとんど織り込んでいないことになり、実態と評価の乖離が修正される局面では大きなアップサイドの余地を残している可能性があります。

投資判断への示唆

今回のリバースDCF分析から導き出される考察として、現在の株価は「市場の過小評価」または「高いリスク認識」のいずれか、あるいは両方を内包している状態と言えます。AI推定の割引率11.00%に対して、市場が50.00%という極端な割引率を適用している事実は、ファンダメンタルズ以外の要因(市場流動性や小型株特有のボラティリティなど)が株価を抑制している可能性を示しています。投資家としては、同社の独自の技術力と収益性がAIの予測通り18%近い成長を実現できるか、あるいは市場の悲観的な見方(8.39%成長)が妥当なリスクの反映であるかを見極める必要があります。この成長率ギャップを割安感と捉えるか、潜在的なリスクと捉えるかは、各投資家のリスク許容度と事業理解に委ねられます。

感応度分析・シナリオ分析

感度分析: 割引率 × EPS成長率(理論株価: 円)

金利上昇は割引率の増加、景気後退はEPS成長率の低下として理論株価に影響します。

割引率 →
EPS成長率 ↓
9.0%10.0%11.0%12.0%13.0%
13.0%1,6891,6201,5551,4941,436
15.5%1,8311,7561,6861,6191,555
18.0%1,9831,9021,8251,7521,683
20.5%2,1442,0561,9731,8931,818
23.0%2,3152,2202,1302,0441,962

※ 緑色: 現在株価(1,336円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 現在の前提条件

シナリオ分析(楽観・基本・悲観)

金利環境・景気動向の変化に応じた3つのシナリオで理論株価を比較します。

楽観シナリオ
割引率: 9.5% / EPS成長率: 24.0%
2,337円
+74.9%
基本シナリオ
割引率: 11.0% / EPS成長率: 18.0%
1,825円
+36.6%
悲観シナリオ
割引率: 12.5% / EPS成長率: 12.0%
1,418円
+6.1%

シナリオ分析の総合評価

アップコン株式会社(5075)の理論株価算出において、基本シナリオ(EPS成長率18.0%、割引率11.0%)での理論株価は1,825円となり、現在株価1,336円に対して+36.6%の乖離が認められます。注目すべきは、成長率を12.0%まで落とし、割引率を12.5%に引き上げた「悲観シナリオ」においても理論株価は1,418円(現在株価比+6.1%)と算出されており、現在の市場価格は、本分析における悲観的な想定値をも下回る水準で推移していることが示唆されます。楽観シナリオでは2,337円(+74.9%)と大幅な上昇余地が見込まれており、想定レンジ(1,418円~2,337円)と現在価格を比較すると、ダウンサイドリスクに対してアップサイドの期待値が高い配置となっています。

金利変動の影響

本分析における割引率は、資本コストや市場金利、リスクプレミアムを反映する指標です。基本シナリオの11.0%を基準に、±1.5%の変動幅を持たせた結果、株価評価に大きな影響を与えています。割引率が9.5%へ低下する楽観シナリオでは、将来キャッシュフローの現在価値が高まり、理論株価を大きく押し上げる要因となります。一方、金利上昇や市場リスクの増大により割引率が12.5%まで上昇する局面では、評価額が圧縮されます。1.5%の割引率の変動は、他の条件を一定とした場合でも株価の妥当水準を数百円単位で動かす感応度を持っており、マクロ経済環境の変化がバリュエーションに及ぼす影響を注視する必要があります。

景気変動の影響

EPS(1株当たり純利益)成長率は、同社の事業展開や景気動向に直結する指標です。基本シナリオで置いた18.0%という高い成長率に対し、楽観シナリオ(24.0%)と悲観シナリオ(12.0%)では理論株価に約919円の幅が生じています。同社が展開するウレタン注入による沈下修正工法等の独自技術が、公共投資や民間インフラ補修需要をどの程度取り込めるかが成長率維持の鍵となります。EPS成長率が1%変動するごとに理論株価へ与えるインパクトは大きく、同社の収益性が市場の期待値(基本シナリオ18.0%)を維持できるか、あるいはそれを上回る成長スピードを確保できるかが、株価形成における最重要の変数となります。

投資判断への示唆

今回のシナリオ分析の結果は、現在株価1,336円が、分析上の全てのシナリオ(1,418円〜2,337円)において割安圏にあることを示しています。特に、最も厳しい前提を置いた悲観シナリオを下回る現状の株価水準は、市場が本分析の前提よりもさらに低い成長率、あるいは極めて高いリスクプレミアムを織り込んでいる可能性を示唆します。投資家としては、同社の中長期的なEPS成長の持続性、および現在の割引率設定(11.0%)の妥当性を精査することが重要です。理論上の上昇余地は大きいものの、成長率が想定を下回るリスクや流動性リスクも含め、多角的な視点から検討を行う必要があります。最終的な投資判断は、これらの感応度分析を自身の許容リスクに照らし合わせた上で行ってください。

限界利益分析(CVP分析)

高低点法による費用構造の推定

売上高が最大の年度と最小の年度を比較し、総費用(売上高−営業利益)の変化から変動費率と固定費を推定します。

推定変動費率
38.3%
売上高に対する変動費の割合
推定限界利益率
61.7%
1 − 変動費率
推定固定費
436
百万円
基準: 2026年 1月期 個別(売上高 1,388 百万円)と 2024年 1月期 個別(売上高 852 百万円)の比較

年度別 限界利益指標

年度 売上高 限界利益 限界利益率 損益分岐点 安全余裕率 経営レバレッジ
23年 1月期 個別 917 566 61.8% 706 23.0% 3.35倍
24年 1月期 個別 852 526 61.8% 706 17.1% 5.85倍
25年 1月期 個別 1,050 648 61.8% 706 32.7% 3.09倍
25年 1月期 個別 1,195 738 61.8% 706 40.9% 2.22倍
26年 1月期 個別 1,200 741 61.8% 706 41.1% 3.25倍
26年 1月期 個別 1,320 815 61.8% 706 46.5% 2.33倍
26年 1月期 個別 1,387 857 61.8% 706 49.1% 2.04倍
26年 1月期 個別 1,388 857 61.8% 706 49.1% 2.04倍
売上高と損益分岐点売上高の推移6008001十億1十億1十億2324252526262626売上高(百万円)損益分岐点(百万円)
安全余裕率と経営レバレッジの推移0.010.020.030.040.050.02324252526262626安全余裕率(%)経営レバレッジ(倍)
直近年度の損益分岐点分析(2026年 1月期 個別)
売上高
1,388
百万円
損益分岐点
706
百万円
安全余裕率
49.1%
十分な安全余裕
経営レバレッジ
2.04倍
低い経営リスク

費用構造の評価

アップコン株式会社(5075)の費用構造を分析すると、推定変動費率が38.3%、これに対する限界利益率が61.8%と非常に高い水準にあることが分かります。これは、売上高の増加分に対して約6割が利益(固定費の回収および純利益)に貢献することを意味しており、典型的な「固定費型」の事業特性を有しています。推定固定費は年間436百万円と推計されており、独自のウレタン注入工法等による付加価値の高さが、この高い限界利益率に反映されていると考えられます。売上規模が拡大するほど利益率が急速に向上する、高い収益ポテンシャルを持つ構造と言えます。

損益分岐点と安全余裕率

本分析における損益分岐点売上高は706百万円です。実績値である2024年1月期の売上高(852百万円)における安全余裕率は17.1%に留まっていましたが、2025年1月期以降の予測値では32.7%〜49.1%へと大きく上昇する見込みです。一般に、安全余裕率30%以上が企業の安定性の目安とされるなか、将来予測に基づく40%を超える水準は、景気変動や受注状況の波に対する耐性が強まっていることを示唆しています。特に2026年1月期の最大予測(売上1,388百万円)では安全余裕率が49.1%に達し、損益分岐点から大きく乖離した極めて堅実な収益構造への転換が期待されます。

経営レバレッジとリスク

経営レバレッジは、売上の変動が営業利益に与える影響度を示します。2024年1月期のレバレッジは5.85倍と高く、売上の減少が利益に与えるリスクが高い状態にありました。しかし、売上高の拡大に伴い、2026年1月期の予測値では2.04倍〜2.33倍程度まで低下する見通しです。これは、収益構造が成熟し、利益のボラティリティ(変動性)が抑えられる段階に移行することを示しています。一方で、限界利益率が高いため、依然として増収時の利益増幅効果は大きく、売上高が計画通り推移した場合の増益スピードは、一般的な変動費型の企業よりも早くなる傾向があります。

投資判断への示唆

限界利益分析の結果、同社は「高い限界利益率」と「低下傾向にある経営レバレッジ」という、成長期から安定成長期への移行過程にある企業の特性を示しています。投資家にとっての注目点は、損益分岐点(706百万円)を大幅に上回る売上高をいかに持続的に確保できるかに集約されます。安全余裕率が40%を超える予測水準で推移すれば、下方リスクに対する強固なバッファを持つことになります。本分析は高低点法による推定に基づくため、実際の固定費の増減(人員投資や設備投資)がこの構造をどう変化させるかが今後の焦点となります。提示された成長シナリオの蓋然性を、市場環境や受注動向と照らし合わせて評価することが肝要です。

⚠️ 注意: 本分析は高低点法による推定値です。実際の変動費・固定費は有価証券報告書の費用明細と異なる場合があります。 費用構造が大きく変化した期間を含む場合、推定精度が低下する可能性があります。投資判断の際は他の指標と合わせてご確認ください。

デュポン分析(ROE分解)

ROEの3要素分解(デュポン分析)

ROE = 純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ に分解し、収益性の源泉を可視化します。

年度 純利益率(%) × 総資産回転率(回) × 財務レバレッジ(倍) = ROE(%)
21年 1月期 個別 19.80 × 0.771 × 1.21 = 0.18
22年 1月期 個別 5.65 × 0.643 × 1.04 = 0.04
23年 1月期 個別 12.65 × 0.658 × 1.13 = 0.09
24年 1月期 個別 6.90 × 0.641 × 1.04 = 0.05
25年 1月期 個別 12.19 × 0.586 × 1.18 = 0.08
26年 1月期 個別 12.75 × 0.517 × 1.29 = 0.09
デュポン分析:ROEの3要素推移0.0%5.0%10.0%15.0%20.0%212223242526純利益率(%)ROE(%)
総資産回転率と財務レバレッジの推移0.400.600.801.001.201.40212223242526総資産回転率(回)財務レバレッジ(倍)
直近年度のROE構成(2026年 1月期 個別)
純利益率
12.75%
収益性
×
総資産回転率
0.517回
効率性
×
財務レバレッジ
1.29倍
借入で資本効率を29%ブースト
=
ROE
0.09%
株主資本利益率
📊 ROE変動の主因: 直近の変動は主に「総資産回転率」の変化によるものです。資産の活用効率の変化がROEに影響しています。

ROEの質の評価

アップコン(5075)のROEは、2021年1月期の18%(0.18)をピークに、直近では8〜9%前後で推移しています。ROEの内訳を見ると、純利益率が12%台(2025年・2026年予測)と二桁を維持している一方で、総資産回転率が低下傾向にある点が特徴的です。ROEの質としては、「高収益な事業モデル(純利益率)」によって支えられているものの、「資産の活用効率(総資産回転率)」の低下が全体の押し下げ要因となっており、手放しで高水準とは言い難い構造です。利益率は確保できているため、今後のROE向上には効率性の改善が鍵となります。

財務レバレッジの影響

財務レバレッジは、2021年から2026年にかけて1.04倍から1.29倍という極めて低い水準で推移しています。これは、同社が負債を抑えた自己資本比率の高い経営を行っていることを示しています。一般的にレバレッジを上げることでROEを「ブースト」させることが可能ですが、同社の場合は過度な借入に頼らず、実力値に近いROEを計上しています。財務的な安全性は非常に高いと言えますが、投資家視点では、資本を蓄積するだけでなく、レバレッジを適切に活用した成長投資への配分が、将来的なROEの底上げに寄与する余地を残しているとも評価できます。

トレンド分析

過去6期間のトレンドで最も懸念されるのは、総資産回転率の継続的な低下です。2021年1月期の0.771回から、2026年1月期予測の0.517回まで、ほぼ一貫して低下しています。これは、売上高の成長に対して総資産(現預金、設備、在庫等)の膨張が上回っていることを示唆しており、資産効率が悪化しているサインです。一方で、純利益率は2022年(5.65%)や2024年(6.90%)に落ち込みを見せたものの、2025年以降は12%台まで回復・安定化する見通しとなっています。収益構造は底堅いものの、資産の回転速度が鈍っていることが、ROEが10%の大台に乗らない主因となっています。

投資判断への示唆

デュポン分析から見えるアップコンの収益構造は、「高い収益性を持ちながら、資本効率に課題を抱える安定型」と要約できます。12%を超える純利益率は、ニッチな市場での優位性や高い付加価値を反映している可能性があります。しかし、総資産回転率の低下(0.771→0.517)は、投資した資産が期待ほど売上に結びついていない、あるいは手元流動性が過剰になっている可能性を示しています。今後、同社が資産効率を再加速させる施策(不採算資産の整理や、売上拡大へのリソース集中)を打ち出すか、あるいは適切な株主還元や投資によって財務レバレッジを最適化するかが、ROE再浮上の焦点となります。

⚠️ 注意: デュポン分析の数値はIRBankから取得した財務データに基づいています。 会計基準(日本基準/IFRS)の違いにより、株主資本の定義が異なる場合があります。

借金が利益に与える影響分析

有利子負債の概要

項目 説明
有利子負債 2億 銀行借入・社債等の利息付き負債
推定金利 1.50% 営業利益と経常利益の差から推定
推定支払利息 3百万 有利子負債 × 推定金利
利息 / 純利益 比率 2.0% 純利益に対する利息負担の大きさ
推定実効税率 33.8% 1 − (純利益 / 経常利益) から推定

「もし借金がなかったら」年度別シミュレーション

有利子負債による支払利息を除外した場合の仮想利益を試算しています。

年度 有利子負債 推定利息 経常利益
実績
経常利益
借金なし
純利益
実績
純利益
借金なし
ROE
実績
ROE
借金なし
レバレッジ
効果
2021/01 0百万 0百万 3億 3億 2億 2億 18.45% 18.45% +0.00%pt
2022/01 0百万 0百万 53百万 53百万 38百万 38百万 3.79% 3.79% +0.00%pt
2023/01 0百万 0百万 2億 2億 1億 1億 9.42% 9.42% +0.00%pt
2024/01 0百万 0百万 92百万 92百万 59百万 59百万 4.60% 4.60% +0.00%pt
2025/01 0百万 0百万 2億 2億 1億 1億 8.45% 8.45% +0.00%pt
2026/01 2億 3百万 2億 2億 2億 2億 8.51% 7.69% +0.82%pt
純利益推移: 実績 vs 借金なしシミュレーション0百万50百万1億2億2億2021/012022/012023/012024/012025/012026/01実績純利益借金なし純利益ROE推移: 実績 vs 借金なしシミュレーション0.0%5.0%10.0%15.0%20.0%2021/012022/012023/012024/012025/012026/01実績ROE借金なしROE
レバレッジ効果の評価(直近年度)
借金が利益を増やしている(レバレッジ効果あり)
実績ROE
8.51%
借金なしROE
7.69%
レバレッジ効果
+0.82%pt

事業利益率が借入金利を上回っており、借金によるレバレッジが株主リターン(ROE)を押し上げています。

借金の利益インパクト

アップコン株式会社(5075)の2026年1月期における分析結果を確認すると、有利子負債は2億円、推定金利は1.50%となっています。これにより発生する推定支払利息は300万円であり、純利益(2億円)に対する利息負担の割合は2.0%に留まっています。実効税率33.8%を考慮した「借金がない場合の純利益」は1億9,800万円(端数調整後)と試算され、支払利息が最終的な利益を大きく圧迫している状況にはありません。過去5年間(2021年〜2025年)が実質無借金経営であったことと比較すると、新たに負債を導入したものの、そのコストは現時点では極めて限定的であると言えます。

レバレッジ効果の評価

2026年1月期において、財務レバレッジの効果は+0.82%ptと正(プラス)の結果を示しています。実績ROEの8.51%に対し、借金がないと仮定した場合のROEは7.69%に低下する試算です。これは、事業から得られる収益率が借入コスト(1.50%)を上回っていることを意味しており、負債を利用することで株主資本に対するリターンを効率的に高めることに成功しています。2025年1月期まではレバレッジ効果が0.00%ptであったことから、同社が「無借金による安全性」重視のフェーズから、負債を活用して資本効率を追求するフェーズへ緩やかに移行し始めた可能性が読み取れます。

財務戦略の考察

同社の財務戦略を考察すると、2億円という負債水準は、年間の経常利益(実績2億円)と同等であり、償還能力の観点から非常に健全な範囲内にあります。1.50%という推定金利は、中小規模の企業としては標準的な水準ですが、同社のROE(8%台)と比較すると十分に低く、いわゆる「逆レバレッジ(借金が利益を減らす状態)」に陥るリスクは現状低いと考えられます。インフラ補修等の公共性の高い事業領域において、機動的な資金調達が必要となる場面が増えていると推察され、自己資本のみに頼らない柔軟な資金構成への変化は、成長加速に向けた前向きなシグナルと捉えることも可能です。

投資家へのポイント

投資家が注目すべきポイントは、この財務レバレッジの活用が今後さらに拡大するか、あるいは現状の保守的な水準を維持するかという点です。以下の要素を判断材料として挙げます。

  • 資本効率の向上: 負債の導入により、ROEが前年同期の8.45%から8.51%へと微増しています。今後、有利子負債が増加してもこのプラスのレバレッジ効果を維持できるか(=借入金以上の利益を生み出せるか)が焦点となります。
  • 金利上昇リスク: 現在の金利は1.50%と低水準ですが、市場金利の上昇局面において、利息負担がROEを押し下げる要因にならないか注視が必要です。
  • 借入金の使途: 調達した2億円が、将来のキャッシュフローを生み出す設備投資や技術開発にどのように振り向けられているか、事業報告等を通じて確認することが推奨されます。

現時点では負債によるマイナスの影響は見られず、財務健全性を維持しつつ資本効率を改善させている中立からポジティブな状態と言えますが、最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。

⚠️ 注意事項: 本分析は営業利益と経常利益の差額から支払利息を推定しており、実際の支払利息とは異なる場合があります。 営業外収支には受取利息・配当金・為替差損益等も含まれるため、あくまで参考値としてご活用ください。 また、借金を全額返済した場合の実際の影響は資金調達構造の変化を伴うため、単純なシミュレーションとは異なります。

ROIC分析(投下資本利益率)

ROIC(投下資本利益率)推移

ROIC = NOPAT(税引後営業利益)÷ 投下資本(株主資本+有利子負債)。資本コスト(WACC)を上回れば価値を創造していると評価できます。

年度 NOPAT(百万円) 投下資本(百万円) ROIC(%) WACC(%) スプレッド(%pt)
21年 1月期 個別 0 981 0.00 7.00 -7.00
22年 1月期 個別 0 1,003 0.00 7.00 -7.00
23年 1月期 個別 110 1,231 8.95 7.00 +1.95
24年 1月期 個別 0 1,284 0.00 7.00 -7.00
25年 1月期 個別 126 1,514 8.30 7.00 +1.30
26年 1月期 個別 151 2,019 7.48 6.31 +1.17
ROIC vs WACC推移0.0%2.0%4.0%6.0%8.0%10.0%212223242526ROIC(%)WACC(%)
直近年度のROIC評価(2026年 1月期 個別)
ROIC
7.48%
投下資本利益率
WACC
6.31%
加重平均資本コスト
=
スプレッド
+1.17%pt
価値創造

ROIC水準の評価

アップコン株式会社(5075)のROIC(投下資本利益率)は、年度によって大きな変動が見られるのが特徴です。2021年1月期から2022年1月期、および2024年1月期においてはROICが0.00%となっており、営業利益段階での苦戦、あるいは先行投資による利益圧縮が推察されます。一方で、利益計上期である2023年1月期には8.95%を記録し、2025年1月期(予想)で8.30%、2026年1月期(予想)で7.48%と、概ね7〜8%台の水準で推移する見通しとなっています。

投下資本は2021年1月期の981百万円から2026年1月期予想の2,019百万円へと、5年間で約2倍に拡大しています。資本規模の拡大に伴い、NOPAT(税引後営業利益)も2025年1月期以降は120〜150百万円規模で安定化する計画となっており、事業拡大フェーズにおける資本効率の維持が今後の課題となります。建設・土木関連の特殊工法セクターとしては、8%前後のROICは標準的な水準と言えますが、0%台と8%台を繰り返すボラティリティの高さには注意が必要です。

ROIC-WACCスプレッド分析

資本コスト(WACC)を7.00%(2026年1月期は6.31%に低下予想)と設定した場合、ROIC-WACCスプレッドは「価値創造」と「価値破壊」の境界線上を推移しています。2023年1月期(+1.95pt)、2025年1月期(+1.30pt)、2026年1月期(+1.17pt)と、直近および将来予測においてはプラス圏を維持しており、株主の期待収益率を上回る価値創造を実現できる見通しとなっています。

ポジティブな要因としては、NOPATが着実に増加傾向にある点が挙げられます。特に2026年1月期は151百万円のNOPATを見込んでおり、事業の収益性は向上しています。一方でネガティブな要因としては、投下資本の増加ペースが利益の伸びを上回っている点が挙げられます。2025年から2026年にかけて投下資本が約500百万円増加する一方で、スプレッドは+1.30ptから+1.17ptへと縮小傾向にあります。これは、新たな資本投下が利益に結実するまでのタイムラグ、あるいは資本効率の低下を示唆しており、投資効率の精査が求められる局面です。

投資家へのポイント

本分析に基づき、投資家が注目すべきポイントは以下の3点に集約されます。

  1. 収益の安定性と再現性: 過去にROICが0%を記録した年度が複数あることから、特定の大型案件や外部環境に左右されやすい収益構造である可能性があります。予測値である7〜8%のROICを、今後「継続的かつ安定的」に創出できるかどうかが、長期的な企業価値評価の鍵となります。
  2. 資本蓄積とリターンのバランス: 投下資本が急増している中で、ROICが低下傾向(8.30%→7.48%)にある点に留意が必要です。事業拡大のための資産購入や負債調達が、それに見合う利益成長を中長期的に生み出せるのか、資本効率の推移を注視する必要があります。
  3. WACCの変動要因: 2026年1月期にWACCが6.31%に低下する前提となっています。有利子負債と株主資本の構成比(資本構成)の変化や、市場環境による資本コストの変動がスプレッドに与える影響を確認することが重要です。

以上の通り、アップコンは成長投資に伴う資本拡大期にあり、予測ベースでは価値創造のフェーズにあります。この計画値の達成確度と、拡大した資本に見合う利益成長の持続性をどのように評価するかが、投資判断の分かれ目となります。

⚠️ 注意: WACCは簡易推定値です(株主資本コスト7%想定、負債コストは推定支払利息から算出)。 実際のWACCはCAPMや市場データに基づくより精緻な計算が必要です。

ROIC逆ツリー分析

ROIC逆ツリー分解

ROIC = NOPATマージン × 投下資本回転率 に分解し、収益性の改善ドライバーを特定します。

年度 売上高(百万円) NOPATマージン(%) × 投下資本回転率(回) = ROIC(%)
21年 1月期 個別 914 0.00 × 0.932 = 0.00
22年 1月期 個別 673 0.00 × 0.671 = 0.00
23年 1月期 個別 917 12.01 × 0.745 = 8.95
24年 1月期 個別 855 0.00 × 0.666 = 0.00
25年 1月期 個別 1,050 11.96 × 0.694 = 8.30
26年 1月期 個別 1,200 12.58 × 0.594 = 7.48
ROIC逆ツリー: NOPATマージンと投下資本回転率0.005.0010.0015.00212223242526NOPATマージン(%)投下資本回転率(回)
ROIC逆ツリー分解(2026年 1月期 個別)
NOPATマージン
12.58%
NOPAT 151百万円 ÷ 売上 1,200百万円
×
投下資本回転率
0.594回
売上 1,200百万円 ÷ IC 2,019百万円
=
ROIC
7.48%
📊 ROIC変動の主因: 直近の変動は主に「投下資本回転率」の変化によるものです。資産の効率的活用(または非効率化)がROICを動かしています。

ROIC変動要因の分解

アップコン株式会社(5075)のROIC(投下資本利益率)推移を分析すると、極めて変動の激しい推移を示しています。2021年1月期、2022年1月期、および2024年1月期においてROICが0.00%となっているのは、NOPAT(税引後営業利益)マージンが0.00%(あるいは実質的な赤字または均衡状態)であったことが直接的な要因です。一方で、利益を計上している2023年1月期(8.95%)、2025年1月期(8.30%)、2026年1月期(予測値:7.48%)に注目すると、NOPATマージンは12%前後で安定的に推移しています。

しかし、本分析の主因として挙げられているのは「投下資本回転率」の動向です。2021年1月期の0.932回から、2026年1月期予測の0.594回へと、時系列で緩やかな低下傾向にあります。これにより、NOPATマージンが2023年1月期の12.01%から2026年1月期には12.58%へと改善見込みであるにもかかわらず、ROIC自体は8.95%から7.48%へと低下する「収益性と効率性の乖離」が生じています。

改善ドライバーの特定

今後のROIC向上に向けた最優先課題は、低下傾向にある「投下資本回転率」の反転、すなわち資産効率の改善です。2026年1月期の予測データでは、マージンが過去最高の12.58%に達する見込みですが、回転率が0.594回まで落ち込むことで、投下した資本が売上を生み出す力が弱まっています。これは、事業規模の拡大に伴う設備投資や棚卸資産の増加に対して、売上高の成長が追いついていない可能性を示唆しています。

ROICを再び8%〜9%台、あるいはそれ以上に引き上げるためには、現在の高いNOPATマージン(12%台)を維持・向上させつつ、投下資本(売上債権、棚卸資産、有形固定資産など)の圧縮や活用精度の向上が不可欠です。具体的には、1回転を下回る現状の回転率を、まずは直近のピークである2023年1月期の0.745回水準まで戻せるかどうかが、中長期的な企業価値向上の鍵となります。

投資家へのポイント

アップコンの財務構造を評価する際、投資家は以下の2点に注目すべきです。第一に、利益を出せる年度においては、NOPATマージン12%超という高い収益性を確保できるビジネスモデルを有している点です。第二に、それと並行して資本効率(回転率)が年々低下している点です。特に2026年1月期の予測値において、利益率は改善しながらもROICが低下するという数値は、成長のための投資フェーズにあるのか、あるいは資本の停滞が起きているのかを見極める重要な分岐点となります。

マージン改善による「稼ぐ力」の強化が、回転率の低下による「効率の鈍化」を補いきれるのか、あるいは効率性の改善策が講じられるのか。今後の経営陣による資産効率化への言及や、売上高成長率と投下資本のバランスを注視することが、投資判断の一助になると考えられます。

EVA(経済的付加価値)分析

EVA(経済的付加価値)推移

EVA = (ROIC − WACC) × 投下資本。資本コストを超えるリターンを生み出し、株主価値を真に創造しているかを測定する指標です。

年度 NOPAT(百万円) 資本コスト(百万円) EVA(百万円) ROIC(%) WACC(%)
21年 1月期 個別 0 69 -69 0.00 7.00
22年 1月期 個別 0 70 -70 0.00 7.00
23年 1月期 個別 110 86 24 8.95 7.00
24年 1月期 個別 0 90 -90 0.00 7.00
25年 1月期 個別 126 106 20 8.30 7.00
26年 1月期 個別 151 127 24 7.48 6.31
EVA(経済的付加価値)推移-100-500501001502002122232425260EVA(百万円)NOPAT(百万円)
EVA評価サマリー
直近EVA
24
百万円(2026年 1月期 個別)
累積EVA
-161
百万円(6年間合計)
価値創造評価
価値創造

EVAの推移と評価

アップコン株式会社(5075)のEVA(経済的付加価値)の推移を見ると、非常にボラティリティ(変動性)が高い状況が伺えます。2021年1月期および2022年1月期、さらに2024年1月期においては、ROIC(投下資本利益率)が0.00%となり、資本コスト(WACC)を大きく下回ったことで、それぞれ-69百万円、-70百万円、-90百万円という大幅なマイナスのEVAを計上しています。これは、会計上の利益水準が資本コストを賄うに足りず、株主価値を毀損していた期間があったことを示唆しています。一方で、2023年1月期にはEVA 24百万円、2025年1月期(予想含む)には20百万円、2026年1月期には24百万円と、ROICがWACCを上回る(スプレッドがプラスとなる)年度も存在します。累積EVAが-161百万円となっている点は、過去の価値破壊分をまだ完全には取り戻せていない現状を表しています。

価値創造力の持続性

将来の価値創造力については、回復の兆しが見えるものの、慎重な見極めが必要です。2025年1月期以降はROICが8.30%、7.48%とWACC(7.00%〜6.31%)を安定的に上回る計画となっており、価値創造フェーズへの移行が期待されます。しかし、過去5年間で3度、ROICが0%近辺まで落ち込んでいる事実は、収益の安定性に課題があることを示しています。2026年1月期の予測では、WACCが6.31%まで低下し、EVAが24百万円まで拡大する見込みですが、ROIC自体は2023年比で低下傾向にある点に注意が必要です。持続的な価値創造のためには、投下資本の拡大に見合ったNOPAT(税引後営業利益)のさらなる成長、あるいは資本効率の向上が不可欠となります。

投資家へのポイント

本分析を踏まえた投資判断のポイントは、同社が「安定したプラスのEVA」を定着させられるかという点に集約されます。直近の予測ではEVAはプラス圏で推移しており、企業価値の創造が継続するシナリオが描かれていますが、累積EVAがマイナスであることは、過去の投資に対するリターンが資本コストを十分に上回ってこなかった歴史を反映しています。投資家としては、WACCを約6〜7%と見積もった場合、現在のROIC(7〜8%台)が維持・向上するか、あるいは再び2024年のような大幅な利益悪化が起こらないか、事業の安定性と参入障壁を確認することが重要です。現在の価値創造が一時的な回復に留まるのか、あるいは構造的な成長軌道に乗ったのかを、今後の四半期決算を通じて注視する必要があります。

⚠️ 注意: EVAは簡易推定値です。WACCは株主資本コスト7%想定に基づく簡易計算であり、 正確なEVA算出にはβ値やリスクフリーレートの精緻な設定が必要です。

営業レバレッジ分析

営業レバレッジ度(DOL)推移

DOL = 営業利益変化率 ÷ 売上高変化率。売上が1%変化したとき営業利益が何%変化するかを示し、固定費比率の高さ(経営リスク)を表します。

平均DOL
5.17倍
有効年度の平均
リスク評価
高リスク
DOL≤2: 低 / 2-5: 中 / 5+: 高
年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 営業利益率(%) 売上変化率(%) 営業利益変化率(%) DOL(倍)
23年 1月期 個別 917 169 18.43 - - -
24年 1月期 個別 852 90 10.56 -7.09 -46.75 6.59
25年 1月期 個別 1,050 210 20.00 23.24 133.33 5.74
25年 1月期 個別 1,195 332 27.78 13.81 58.10 4.21
26年 1月期 個別 1,200 228 19.00 0.42 -31.33 -
26年 1月期 個別 1,320 350 26.52 10.00 53.51 5.35
26年 1月期 個別 1,387 420 30.28 5.08 20.00 3.94
26年 1月期 個別 1,388 421 30.33 0.07 0.24 -
営業レバレッジ度(DOL)と営業利益率の推移0.05.010.015.020.025.030.035.02324252526262626DOL(倍)営業利益率(%)

費用構造の特徴

アップコン株式会社の平均DOL(営業レバレッジ度)は5.17倍と算出されており、分析基準における「高リスク(5倍以上)」に分類されます。これは同社の費用構造において、売上高の増減に関わらず発生する固定費の比率が高いことを示唆しています。同社はコンクリート床の沈下修正等の特殊土木工学を手掛けており、専門性の高い技術人員の労務費や施工機械の維持費、研究開発費などが固定費として重く作用していると推察されます。2024年1月期において売上高が7.09%減少した際、営業利益が46.75%と大幅に減少した事実は、典型的な固定費型ビジネスの特性を映し出しています。

景気変動への感応度

高い営業レバレッジにより、業績のボラティリティ(振れ幅)は極めて大きい傾向にあります。好況期や需要拡大期には、売上高の伸びを大きく上回るスピードで利益が拡大する「ポジティブ・レバレッジ」が働きます。実際に2025年1月期の計画では、売上高23.24%の増加に対し、営業利益は133.33%増と、利益が爆発的に伸びる試算(DOL 5.74倍)となっています。一方で、不況期や受注遅延などで売上がわずかに減少するだけでも、利益が急激に圧迫されるリスクを孕んでいます。2026年1月期の試算においても、売上高が5.08%増加すれば営業利益は20.00%増加(DOL 3.94倍)するなど、常に売上高の変化が利益率に増幅して反映される構造にあります。

投資家へのポイント

投資家は、同社の営業利益率が10.56%から30.33%まで広範囲に変動する可能性がある点を十分に認識する必要があります。営業レバレッジが高い銘柄は、増収局面では株主価値の急速な向上が期待できる反面、減収局面では予想を上回る利益縮小に見舞われる可能性があります。判断のポイントは、高水準なDOLを背景とした「利益の爆発力」を成長機会と捉えるか、あるいは「業績の下振れリスク」と捉えるかという点に集約されます。同社の技術的優位性に基づく売上高の安定成長が維持されるかどうかが、投資判断における極めて重要な指標となるでしょう。

⚠️ 注意: 営業レバレッジ度は前年比の変化率から算出しており、売上や利益が急変する年度では極端な値になることがあります。 複数年の平均値での評価を推奨します。

持続的成長率分析(SGR)

持続的成長率(SGR)推移

SGR = ROE × 内部留保率。外部からの資金調達なしで持続可能な売上成長率を示します。実際の成長率と比較することで、成長の持続可能性を評価します。

年度 ROE(%) 配当性向(%) 内部留保率(%) SGR(%) 実際成長率(%)
21年 1月期 個別 18.45 推定30% 70.0 12.92 -
22年 1月期 個別 3.79 推定30% 70.0 2.65 -26.37
23年 1月期 個別 9.42 16.9 83.1 7.83 36.26
24年 1月期 個別 4.60 20.7 79.3 3.64 -6.76
25年 1月期 個別 8.45 14.4 85.6 7.24 22.81
26年 1月期 個別 8.51 16.7 83.3 7.09 14.29
持続的成長率(SGR)vs 実際の売上成長率-40.0%-20.0%0.0%20.0%40.0%2122232425260SGR(%)実際成長率(%)
ROEと配当性向の推移0.0%5.0%10.0%15.0%20.0%25.0%212223242526ROE(%)配当性向(%)
持続的成長率の評価(2026年 1月期 個別)
ROE
8.51%
×
内部留保率
83.3%
=
SGR
7.09%
📊 成長持続性の評価: 実際の成長率がSGRを大幅に上回っており、外部資金調達や財務レバレッジの拡大が必要な可能性

SGR水準の評価

アップコン(5075)の持続的成長率(SGR)は、2021年1月期の12.92%から一時低下したものの、直近の2025年1月期予測で7.24%、2026年1月期予測で7.09%と、7%台で推移しています。この推移の主因は、分母となるROE(自己資本利益率)の変動にあります。2022年1月期にはROEが3.79%まで下落したことでSGRも2.65%に沈みましたが、その後はROEが8%台まで回復・安定化する見通しとなったことで、SGRも一定の水準を取り戻しています。一方、内部留保率は80%以上という高い水準(配当性向14.4%〜16.7%程度)を維持しており、利益の多くを成長投資へ振り向ける財務方針が鮮明となっています。

成長の持続可能性

実際の売上成長率とSGRを比較すると、同社の成長は非常にダイナミックかつ、内部資金のみでは賄いきれないペースで進んでいることが示唆されます。2023年1月期の実際成長率36.26%(SGR 7.83%)や、2025年1月期予想の22.81%(SGR 7.24%)など、多くの年度で実際の成長率がSGRを大幅に上回っています。これは、内部留保による自己資本の蓄積スピードよりも、ビジネスの拡大スピードが勝っている状態を意味します。このような状況下では、不足する資金を借入金や増資といった外部資金調達で補う必要が生じやすく、2026年1月期も実際成長率(14.29%)がSGR(7.09%)の約2倍と予測されていることから、成長の加速に伴う財務レバレッジの変化に注視が必要です。

投資家へのポイント

投資判断においては、以下の3点が重要な視点となります。第一に「資本効率の向上」です。SGRをさらに高めるには、現在の8%台のROEを向上させる必要があります。高成長を維持しつつ、マージンの改善によってROEが上昇すれば、外部資金への依存度を下げた健全な成長が期待できます。第二に「財務リスクと成長のトレードオフ」です。実際成長率がSGRを上回り続けることは、短期的にはシェア拡大を意味しますが、長期的には財務体質の柔軟性を損なう可能性があります。バランスシート上の有利子負債の推移を確認することが推奨されます。第三に「株主還元の方針」です。現在は内部留保を優先していますが、成長が鈍化した際、高い内部留保率がROEを押し下げる要因にもなり得ます。今後の成長フェーズの変化に応じた配当政策の変更があるかどうかも、長期的なリターンを左右する鍵となるでしょう。

⚠️ 注意: 配当データが取得できない年度は内部留保率70%(配当性向30%)を仮定しています。 実際の配当政策と異なる場合があります。

インタレストカバレッジレシオ推移

インタレストカバレッジレシオ推移

ICR = 営業利益 ÷ 支払利息。営業利益で利息の何倍を賄えるかを示す、借入金利負担の安全性指標です。

直近ICR
∞(利息負担なし)
>10: 極めて安全 / 3-10: 安全 / 1-3: 要注意 / <1: 危険
安全性評価
極めて安全
年度 営業利益(百万円) 推定支払利息(百万円) ICR(倍) 有利子負債(百万円) 有利子負債比率(%) 推定借入金利(%)
18年 1月期 個別 0 - - 0.0 -
19年 1月期 個別 0 - - 0.0 -
20年 1月期 個別 0 - - 0.0 -
21年 1月期 個別 0 - - 0.0 -
22年 1月期 個別 0 - - 0.0 -
23年 1月期 個別 169 - - 0.0 -
24年 1月期 個別 0 - - 0.0 -
25年 1月期 個別 210 - - 0.0 -
26年 1月期 個別 228 - 221 9.5 -

利払い安全性の評価

アップコン株式会社(5075)のインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)は、分析対象期間の全期間を通じて「∞(無限大)」、あるいは「極めて安全」とされる水準を維持しています。2018年1月期から2025年1月期にかけては、実質的に有利子負債がゼロ、あるいは利息負担がほぼ発生しない財務体質を継続してきました。2026年1月期の予測値において、営業利益228百万円に対し有利子負債221百万円が計上されていますが、推定支払利息が極めて低額に抑えられていることから、引き続きICRは極めて高い水準にあります。営業利益で利払いを賄う能力は非常に高く、財務的な不測の事態に対する耐性は極めて強固であると評価できます。

有利子負債の状況

同社の有利子負債比率は、長らく0.0%を維持しており、無借金経営に近い健全な財務基盤を構築してきました。2026年1月期の予測では有利子負債221百万円が計上され、有利子負債比率は9.5%となる見通しです。しかし、この水準は一般的に健全とされる30%を大幅に下回っており、依然として負債依存度は低い状態です。また、228百万円の営業利益に対して有利子負債総額が221百万円と同等規模であることから、負債の絶対量としても十分にコントロール可能な範囲内にあります。新たな借り入れは、事業拡大に向けた戦略的な資金調達である可能性が高く、負債管理能力に懸念は見当たりません。

投資家へのポイント

財務安全性の観点からは、同社は極めて盤石な状態にあります。投資家にとっての注目点は、長年の「無借金経営」から、2026年1月期に向けた「レバレッジ(負債)の活用」への変化です。有利子負債比率9.5%という水準は依然として保守的でありながらも、調達した資金をいかに効率よく営業利益(2026年予測:228百万円)の拡大に結びつけられるかが、中長期的な企業価値向上の鍵となります。利払い懸念がほぼ皆無である現状において、今後はこの強固な財務基盤を背景とした成長投資の質と、それに伴うROE(自己資本利益率)の改善傾向に注目することが、投資判断の一助になるものと考えられます。

⚠️ 注意: 支払利息は「営業利益−経常利益」から推定しています。 営業外収益が大きい企業では過小評価になる可能性があります。正確な支払利息は有価証券報告書の注記をご確認ください。

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データソース

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