6336株式会社石井表記||

石井表記(6336) 理論株価分析:AI基板・EV向け好調と資本効率改善への期待 カチノメ

決算発表日: 2026-04-232026年1月期 通期
総合業績スコア
72/100
好決算

セクション別スコア

業績成長性75収益性60財務健全性85株主還元75成長戦略65理論株価評価70
業績成長性75
収益性60
財務健全性85
株主還元75
成長戦略65
理論株価評価70

※ 本記事は後半になるにつれて、内容が専門的になるように構成しています。

決算履歴(業績推移)

売上高推移(百万円)80億100億120億140億160億180億200億2017年 2018年 2020年 2020年 2022年 2022年 2024年 2025年 '27/1売上高利益推移(営業利益・経常利益・当期純利益)0百万5億10億15億20億25億2017年 2018年 2020年 2020年 2022年 2022年 2024年 2025年 '27/1営業利益経常利益純利益利益率推移(%)0.0%2.0%4.0%6.0%8.0%10.0%12.0%14.0%2017年 2018年 2020年 2020年 2022年 2022年 2024年 2025年 '27/1営業利益率経常利益率純利益率
年度 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 包括利益
2017年 1月期 連結 9,726 403 268 199 -
2017年 1月期 連結 9,407 594 417 483 329
2018年 1月期 連結 12,621 1,043 1,060 943 -
2018年 1月期 連結 12,853 1,271 1,280 1,217 1,246
2019年 1月期 連結 12,922 1,146 1,110 899 -
2019年 1月期 連結 13,192 1,457 1,465 1,056 986
2020年 1月期 連結 13,191 1,456 1,464 1,056 -
2020年 1月期 連結 11,434 689 561 443 -
2020年 1月期 連結 10,186 458 310 222 -
2020年 1月期 連結 10,368 321 212 105 73
2021年 1月期 連結 10,983 824 829 715 -
2021年 1月期 連結 11,588 1,079 1,070 727 698
2022年 1月期 連結 11,588 1,078 1,069 726 -
2022年 1月期 連結 10,996 633 573 472 -
2022年 1月期 連結 13,802 1,556 1,484 1,212 -
2022年 1月期 連結 14,424 1,771 1,731 1,491 1,873
2023年 1月期 連結 16,987 1,597 1,478 1,166 -
2023年 1月期 連結 18,222 2,016 2,017 1,640 2,036
2024年 1月期 連結 16,268 1,504 1,608 1,295 -
2024年 1月期 連結 16,729 1,580 1,721 1,101 1,346
2025年 1月期 連結 14,347 732 835 620 -
2025年 1月期 連結 14,821 907 1,109 788 1,174
2026年 1月期 連結 15,261 1,006 1,053 804 -
2026年 1月期 連結 15,651 1,140 1,184 890 1,168
★2027年1月期(予想) 16,666 1,155 1,206 945

※単位: 百万円

利益率推移

営業利益率 = 営業利益÷売上高×100 / 経常利益率 = 経常利益÷売上高×100 / 純利益率 = 当期純利益÷売上高×100

年度 売上高 (百万円) 営業利益率 (%) 経常利益率 (%) 純利益率 (%)
2017年 1月期 連結 9,726 4.14% 2.76% 2.05%
2017年 1月期 連結 9,407 6.31% 4.43% 5.13%
2018年 1月期 連結 12,621 8.26% 8.40% 7.47%
2018年 1月期 連結 12,853 9.89% 9.96% 9.47%
2019年 1月期 連結 12,922 8.87% 8.59% 6.96%
2019年 1月期 連結 13,192 11.04% 11.11% 8.00%
2020年 1月期 連結 13,191 11.04% 11.10% 8.01%
2020年 1月期 連結 11,434 6.03% 4.91% 3.87%
2020年 1月期 連結 10,186 4.50% 3.04% 2.18%
2020年 1月期 連結 10,368 3.10% 2.04% 1.01%
2021年 1月期 連結 10,983 7.50% 7.55% 6.51%
2021年 1月期 連結 11,588 9.31% 9.23% 6.27%
2022年 1月期 連結 11,588 9.30% 9.23% 6.27%
2022年 1月期 連結 10,996 5.76% 5.21% 4.29%
2022年 1月期 連結 13,802 11.27% 10.75% 8.78%
2022年 1月期 連結 14,424 12.28% 12.00% 10.34%
2023年 1月期 連結 16,987 9.40% 8.70% 6.86%
2023年 1月期 連結 18,222 11.06% 11.07% 9.00%
2024年 1月期 連結 16,268 9.25% 9.88% 7.96%
2024年 1月期 連結 16,729 9.44% 10.29% 6.58%
2025年 1月期 連結 14,347 5.10% 5.82% 4.32%
2025年 1月期 連結 14,821 6.12% 7.48% 5.32%
2026年 1月期 連結 15,261 6.59% 6.90% 5.27%
2026年 1月期 連結 15,651 7.28% 7.57% 5.69%
★2027年1月期(予想) 16,666 6.93% 7.24% 5.67%

※営業利益率 = 営業利益÷売上高×100、経常利益率 = 経常利益÷売上高×100、純利益率 = 当期純利益÷売上高×100

決算サマリー

2026年1月期(第53期)の連結業績は、売上高15,651百万円(前年同期比5.6%増)、営業利益1,140百万円(同25.7%増)、経常利益1,184百万円(同6.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益890百万円(同12.9%増)と、増収増益を達成しました。

  • 売上高:AI関連のパッケージ基板向け設備投資の増加が寄与。
  • 営業利益:増収効果に加え、販売費・一般管理費の抑制により大幅な増益。
  • 純利益:特別損失(減損損失等)を計上したものの、本業の好調により二桁増益を確保。

注目ポイント

今後の成長を牽引するのは「AI向けパッケージ基板」と「EV関連」の2軸です。スマートフォン等の民生機器向けは停滞していますが、データセンター等のAI需要拡大に伴う高機能基板への投資が装置事業の追い風となっています。また、中国市場におけるEV関連の電子部品実装需要が堅調に推移している点も大きな注目点です。

業界動向

プリント基板業界では、従来の民生品向けからAI・サーバー向けの高多層・高精細基板へのシフトが進んでいます。同社は研磨や表面処理といったニッチながら不可欠な工程で強みを持っており、市場の高度化が追い風となる構造です。一方、液晶パネル関連は構造的な需要縮小が続いており、同社も大型投資の減少を想定した戦略転換を急いでいます。

投資判断材料

長期投資家にとっての魅力は、強固な財務基盤と、経営陣が「PBR1倍割れ」を強く意識し始めた点にあります。自己資本比率は66.9%と高く、手元資金も豊富です。2025年3月には自己株買いを実施し、配当も増配傾向にあります。事業のライフサイクルが液晶からAI/EVへと移行する過渡期にあることをどう評価するかが鍵となります。

セグメント別業績

電子機器部品製造装置事業

売上高4,876百万円(前年同期比6.5%増)、営業利益806百万円(同24.6%増)。大型液晶向けインクジェットコーターは苦戦しましたが、AIパッケージ基板向け研磨装置や高機能材料向けメッキ設備が業績を牽引しました。

ディスプレイ及び電子部品事業

売上高10,764百万円(前年同期比5.2%増)、営業利益334百万円(同28.3%増)。自動車向けは生産調整の影響を受けましたが、中国の連結子会社によるEV関連の部品実装が好調で増収増益となりました。

財務健全性

非常に健全な状態です。自己資本比率は前年末の62.0%から66.9%へ向上しました。有利子負債依存度も8.0%と低水準であり、シンジケートローン等による流動性も十分に確保されています。営業キャッシュフローは13億円のプラスを維持しており、自律的な成長投資が可能な体制です。

配当・株主還元

株主還元を強化する方針を明確にしています。2026年1月期の配当は1株当たり28円(前期20円)を予定しており、大幅な増配となります。さらに次期(2027年1月期)は36円への増配を予想しています。また、2025年3月には約1億円の自己株式取得を実施しており、総還元性向の向上が見られます。

通期業績予想

今期の業績は概ね会社計画通りに進捗しました。次期についても、AI・EV分野の需要継続を見込んでおり、配当予想の引き上げに見られるように、経営陣は業績の持続性に対して自信をのぞかせています。

中長期成長戦略

既存の「研磨技術」の深掘りに加え、環境負荷を低減する「インクジェット塗布技術」の他分野展開を推進しています。特に試作機の販売から量産機受注へ繋げる戦略を掲げ、液晶依存からの脱却と新規成長領域(半導体・車載等)への参入を加速させています。

リスク要因

  • 原材料・エネルギー価格:原油価格の高騰に伴う材料費上昇のリスク。
  • 地政学リスク:売上構成比の高い中国市場における政策動向や米中対立の影響。
  • 技術革新:次世代基板プロセスにおいて同社の装置が陳腐化するリスク。

ESG・サステナビリティ

温室効果ガス排出量の削減に取り組んでおり、2022年比で31%の削減(Scope1+2)を達成しました。また「健康経営優良法人2025」に初認定されるなど、人的資本への投資にも注力しています。

経営陣コメント

PBR1倍割れを重要課題と捉え、営業所の統廃合による効率化や遊休資産の売却、有利子負債の削減を断行しています。資本コストを意識した経営への転換を図り、企業価値向上にコミットする姿勢を示しています。

バリュエーション

実績PERは約7.2倍、PBRは0.6倍前後(2026年1月期末実績ベース)と、依然として指標面では割安圏にあります。ROEは8.74%と改善傾向にあり、市場からの再評価(リレイティング)を待つ水準と言えます。

過去決算との比較

第52期(2025年1月期)に一度減収減益となりましたが、第53期で再び成長軌道に戻っています。特に利益率の改善が顕著であり、液晶依存からのポートフォリオ転換が着実に成果を上げつつあることが見て取れます。

市場の評判

株式会社石井表記 (Ishii Co., Ltd.) is a machinery company with a stock code of 6336. It has a corporate governance structure with an audit committee and external directors. The company's market capitalization and financial performance are stable.

年度別バリュエーション推移(PBR/PER/時価総額)

株価推移(高値・安値)05001,0001,5002,000'11/1'14/1'17/1'20/1'23/1'26/1最新(株探)高値安値PBR推移(高値・安値・期末PBR)-5.0倍0.0倍5.0倍10.0倍15.0倍'11/1'14/1'17/1'20/1'23/1'26/1最新(株探)0PBR高値PBR安値期末PBRPER推移(高値・安値)0倍20倍40倍60倍80倍'11/1'14/1'17/1'20/1'23/1'26/1最新(株探)PER高値PER安値時価総額推移(高値・安値)0億50億100億150億'11/1'14/1'17/1'20/1'23/1'26/1最新(株探)高値安値ROE推移(PBR÷PERで算出・高値同士/安値同士)0.0%50.0%100.0%150.0%200.0%250.0%'11/1'14/1'17/1'20/1'23/1'26/1最新(株探)ROE高値ROE安値
年度 株価高値 株価安値 PER高値 PER安値 PBR高値 PBR安値 時価総額高値 時価総額安値 期末PBR
2011年1月期 1,226 655 赤字 赤字 1.31 0.7 100億2433万 53億5557万 0.9倍
2012年1月期 1,130 210 赤字 赤字 -4.13 -0.77 92億3939万 17億1705万 赤字
2013年1月期 276 109 2.83 1.12 6.33 2.5 22億5670万 8億9123万 5.46倍
2014年1月期 469 221 赤字 赤字 10.09 4.75 38億3475万 18億699万 6.32倍
2015年1月期 1,158 240 9.61 1.99 5.72 1.19 94億6833万 19億6234万 2.82倍
2016年1月期 659 404 8.82 5.41 2.37 1.45 53億8828万 33億328万 1.69倍
2017年1月期 539 275 9.1 4.64 2.47 1.26 44億710万 22億4852万 2.18倍
2018年1月期 1,648 466 11.04 3.12 6.54 1.85 134億7479万 38億1022万 5.81倍
2019年1月期 1,599 557 12.34 4.3 4.37 1.52 130億7414万 45億5428万 1.81倍
2020年1月期 870 415 67.39 32.15 2.32 1.11 71億1351万 33億9322万 1.79倍
2021年1月期 950 360 10.67 4.04 2.11 0.8 77億6762万 29億4352万 1.86倍
2022年1月期 1,183 670 6.47 3.67 1.77 1 96億7274万 54億7822万 1.13倍
2023年1月期 903 630 4.49 3.13 0.99 0.69 73億8333万 51億5116万 0.74倍
2024年1月期 944 651 6.99 4.82 0.89 0.61 77億1857万 53億2287万 0.67倍
2025年1月期 721 480 7.46 4.97 0.6 0.4 58億9522万 39億2469万 0.43倍
2026年1月期 798 480 7.22 4.34 0.6 0.36 65億2480万 39億2469万 0.55倍
最新(株探) 1131 - 9.6倍 - 0.85倍 - - - 0.85倍

ROE算出表(PBR÷PER×100)

PBR = ROE × PER の関係式から逆算。高値同士・安値同士で算出しています。

年度 PBR高値 PER高値 ROE高値(%) PBR安値 PER安値 ROE安値(%)
2011年1月期 1.31 赤字 - 0.7 赤字 -
2012年1月期 -4.13 赤字 - -0.77 赤字 -
2013年1月期 6.33 2.83 223.7% 2.5 1.12 223.2%
2014年1月期 10.09 赤字 - 4.75 赤字 -
2015年1月期 5.72 9.61 59.5% 1.19 1.99 59.8%
2016年1月期 2.37 8.82 26.9% 1.45 5.41 26.8%
2017年1月期 2.47 9.1 27.1% 1.26 4.64 27.2%
2018年1月期 6.54 11.04 59.2% 1.85 3.12 59.3%
2019年1月期 4.37 12.34 35.4% 1.52 4.3 35.3%
2020年1月期 2.32 67.39 3.4% 1.11 32.15 3.5%
2021年1月期 2.11 10.67 19.8% 0.8 4.04 19.8%
2022年1月期 1.77 6.47 27.4% 1 3.67 27.2%
2023年1月期 0.99 4.49 22.0% 0.69 3.13 22.0%
2024年1月期 0.89 6.99 12.7% 0.61 4.82 12.7%
2025年1月期 0.6 7.46 8.0% 0.4 4.97 8.0%
2026年1月期 0.6 7.22 8.3% 0.36 4.34 8.3%
最新(株探) 0.85倍 9.6倍 8.9% - - -

バリュエーション推移の概要

株式会社石井表記(6336)の過去15年間にわたるバリュエーション推移を概観すると、業績の振れ幅に伴い評価が極端に変動する時期を経て、近年は低PBR・低PERの状態が定着している傾向が見て取れます。2011年から2014年頃までは赤字や債務超過懸念(2012年1月期のPBRマイナス表記等)を抱える不安定な時期がありましたが、2018年1月期には時価総額が134億円を超えるピークを記録しました。直近数年間は、収益が安定化している一方で、市場からの評価指標(PBR・PER)は歴史的な低水準で推移しており、「資産価値に対する割安感」が顕著な局面に入っています。

PBR分析

PBR(株価純資産倍率)の推移は、同社の評価の変遷を如実に物語っています。過去最高値は2014年1月期の10.09倍と極めて高い期待値を示した時期もありましたが、2023年1月期以降は期末PBRが1.0倍を恒常的に下回る状態が続いています。

  • 歴史的高値:10.09倍(2014年1月期)
  • 直近の推移:2022年1月期の1.13倍から、2024年1月期には0.67倍、2025年予測では0.43倍と、解散価値である1.0倍を大きく下回る水準で推移しています。
最新データでのPBRは0.85倍となっており、過去のボラティリティと比較すると、現在は資産価値に対して保守的に評価されている位置付けにあります。

PER分析

PER(株価収益率)の推移からは、収益性の不安定期から安定期への移行が確認できます。2011年、2012年、2014年と赤字を計上していた時期は算出不能(赤字)でしたが、黒字化定着後は概ね10倍以下で推移することが多くなっています。

  • 異常値の発生:2020年1月期にはPER高値が67.39倍まで急騰しましたが、これは一時的な利益水準の低下によるものと考えられます。
  • 近年の傾向:2021年1月期以降はPER 3倍〜10倍程度のレンジで推移しており、製造業(プリント基板製造装置等)としては比較的低いマルチプルで取引されています。最新のPER 9.6倍は、ここ数年のレンジ(4倍〜7倍程度)と比較すると、やや期待値が回復している兆しとも捉えられます。

時価総額の推移

時価総額は、2013年1月期の約8.9億円を底に、2018年1月期には134.7億円まで急拡大しました。この約15倍もの変動は、同社の業績が外部環境(半導体・液晶パネル市況等)に強く影響を受ける特性を示唆しています。

  • 成長トレンド:2018年以降は130億円台を維持できず、現在は60億円〜80億円前後での推移が定着しています。
  • 企業価値の変動要因:2025年・2026年予測の時価総額(安値圏で39億円程度)は、過去のピーク時の3分の1以下の水準にあり、利益成長に対して時価総額の回復が遅れている、あるいは将来的な不透明感が織り込まれている状況と推察されます。

現在のバリュエーション評価

現在の石井表記のバリュエーションは、歴史的水準と比較して以下の通り評価されます。

  • PBR面:最新の0.85倍は、2013年〜2022年までの平均的な水準(概ね1.5倍〜5倍超)と比較して明らかに割安な圏内にあります。ただし、2024年〜2025年予測の0.4倍〜0.6倍台と比較すると、最安値圏からは一段階脱した水準です。
  • PER面:最新の9.6倍は、過去の赤字期や2020年の異常値を除けば、概ね適正〜やや割安な水準です。直近3年の3倍〜6倍台という極端な低PER状態からは、市場の評価が適正化されつつあるプロセスにあります。
総じて、現在の株価1,131円という水準は、資産価値(PBR)の観点では依然として解散価値を下回るディスカウント状態にあり、収益力(PER)の観点では過去の安定期並みの評価まで戻りつつある、という「評価の過渡期」にあると分析されます。

キャッシュフロー推移

キャッシュフロー推移(営業CF・投資CF・フリーCF)-20億-10億0百万10億20億30億'17/1'19/1'21/1'23/1'25/1'26/10営業CF投資CFフリーCF設備投資 vs フリーCF(百万円)-10億-5億0百万5億10億15億20億'17/1'19/1'21/1'23/1'25/1'26/10設備投資#1フリーCF現金等残高推移10億15億20億25億30億'17/1'19/1'21/1'23/1'25/1'26/1現金等
年度 四半期 営業CF 投資CF 財務CF フリーCF 設備投資#1 現金等
2017年1月期 通期 860 -145 -1291 715 -429 1580
2018年1月期 通期 1505 -637 -1224 868 -633 1229
2019年1月期 通期 1277 -282 -417 995 -376 1792
2020年1月期 通期 369 -760 31 -391 -598 1411
2021年1月期 通期 2123 -505 -685 1618 -342 2347
2022年1月期 通期 1675 -390 -1131 1285 -468 2695
2023年1月期 通期 1748 -1119 -681 629 -852 2793
2024年1月期 通期 562 -1412 122 -850 -502 2226
2025年1月期 通期 2292 -626 -1785 1666 -446 2329
2026年1月期 通期 1300 183 -939 1483 -447 2961

※単位: 百万円。データ出典: IRBank(irbank.net)

キャッシュフロー推移の概要

株式会社石井表記の過去10年間(2017年1月期〜2026年1月期予想)のキャッシュフロー(CF)推移を概観すると、本業でしっかりと現金を稼ぎ出し、それを設備投資や債務の返済に充てるという健全なサイクルが定着しています。2024年1月期には一時的にフリーCFがマイナス8.5億円となりましたが、翌2025年1月期には営業CFが過去最高の22.9億円に達するなど、急回復を見せています。
直近のCFパターン(2025年1月期実績ベース)は、営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスの「優良安定型」に分類されます。これは、本業で稼いだ資金の範囲内で将来への投資と株主還元(または負債返済)を両立できている、極めて健全な状態と言えます。

営業キャッシュフロー分析

営業CFは、2020年1月期(約3.7億円)や2024年1月期(約5.6億円)のように落ち込む時期があるものの、長期的なトレンドとしては力強いキャッシュ創出力を維持しています。特に2021年1月期の21.2億円、2025年1月期の22.9億円といったピーク時には、売上高や利益水準に対して効率的にキャッシュを回収できていることが伺えます。
年度による変動幅が大きい点は、同社が手掛けるプリント基板製造装置やディスプレイ製造装置といった事業の性質上、受注タイミングや棚卸資産の増減、売上債権の回収条件が大きく影響している可能性を示唆しています。しかし、10期中全ての期で営業CFがプラスを維持している点は、本業の底堅さを証明しています。

投資キャッシュフロー・設備投資分析

投資CFは、2026年1月期の予想を除き、継続的にマイナスで推移しており、成長に向けた設備投資をコンスタントに継続している姿勢が見て取れます。特に2023年1月期(11.2億円の支出)から2024年1月期(14.1億円の支出)にかけて投資を加速させています。
設備投資額に注目すると、年間で概ね4億円から6億円規模の投資を安定的に実行しており、2023年1月期には一時的に8.5億円まで増額されました。投資CFが設備投資額を大きく上回る支出となっている期(2024年1月期など)は、有形固定資産の取得以外にも、投資有価証券の取得や定期預金の預入など、戦略的な資金配置が行われていると考えられます。2026年1月期は投資CFがプラス1.8億円と予想されており、大型投資の一服感や資産売却の可能性が示唆されます。

フリーキャッシュフロー分析

フリーCF(営業CF+投資CF)は、過去10期のうち8期でプラスを確保しています。特筆すべきは、2021年1月期の16.2億円、2025年1月期の16.7億円という巨額のフリーCFです。これらは同社に極めて高い財務的な余裕をもたらしています。
一方で、2020年1月期(マイナス3.9億円)と2024年1月期(マイナス8.5億円)は、営業CFの低下と積極的な投資が重なったことで一時的にキャッシュが流出しましたが、翌期にはいずれも大幅なプラスに転じており、リカバリーの早さが同社の強みです。累計ベースでのフリーCFは大幅なプラスであり、将来の成長投資や配当原資、内部留保を積み上げる能力は非常に高いと評価できます。

財務戦略・現金残高の評価

財務CFは多くの期でマイナスとなっており、借入金の返済や配当金の支払いなど、資金の出し手に対する還元が着実に行われています。特に2025年1月期の財務CFはマイナス17.9億円と大きく、借入の大幅な圧縮や株主還元が実施されたことが推測されます。対照的に、2020年1月期や2024年1月期には財務CFがわずかにプラス(0.3億円、1.2億円)となっており、フリーCFのマイナス分を外部調達で柔軟に補完する姿勢も見られます。
現金等残高については、2018年1月期の12.3億円を底に、右肩上がりのトレンドを描いています。2026年1月期には過去最高水準の29.6億円に達する見込みであり、手元流動性は極めて潤沢です。これは、急激な景気変動や予期せぬ投資機会に対しても、即座に対応可能な財務基盤を有していることを意味します。

キャッシュフロー総合評価

株式会社石井表記のキャッシュフローデータは、景気循環や受注環境の影響を受けやすい事業特性を持ちながらも、中長期的な財務健全性は非常に高いことを示しています。特筆すべき点は以下の3点です。
1. **強固な現金創出力**: 営業CFが長期的にプラスを維持しており、自力で投資資金を賄う能力がある。
2. **適切な投資サイクル**: 稼いだキャッシュを計画的に設備投資へ再投資し、余剰分を財務体質の強化(債務返済等)に充てている。
3. **潤沢な手元流動性**: 現金残高が20億円から30億円規模で積み上がっており、M&Aや次世代技術への大型投資を行うための「攻めの余力」が十分にある。
投資家としては、年度ごとの営業CFの振れ幅を許容しつつ、中長期的なフリーCFの蓄積と、積み上がった現金の使途(さらなる成長投資か、それとも株主還元か)に注目することが肝要です。総じて、キャッシュフローの観点からは極めて安定した財務運営が行われている企業と評価できます。

DCF法による理論株価分析

DCF分析の前提条件

パラメータ 説明
WACC(割引率) 8.5% 加重平均資本コスト
FCF成長率 3.0% 予測期間中の年平均成長率
EV/FCF倍率 5.47倍 ターミナルバリュー算出用(現在の市場評価)
予測年数 5年 将来FCFの予測期間
発行済株式数 8,021,220株 理論株価算出の分母
現金及び現金同等物 30億 非事業資産として加算
有利子負債 20億 企業価値から控除

将来フリーキャッシュフロー予測

予測年 予測FCF 現在価値(PV)
1年目 15億 14億
2年目 16億 13億
3年目 16億 13億
4年目 17億 12億
5年目 17億 11億
ターミナルバリュー 94億 63億
フリーキャッシュフロー推移(実績 + DCF予測)-10億-5億0百万5億10億15億20億2224262028予2030予2031予0FCF実績FCF予測

理論株価の算出プロセス

① 予測FCF現在価値の合計 64億
② ターミナルバリューの現在価値 63億
③ 事業価値(① + ②) 126億
④ 加算: 現金及び現金同等物 +30億
⑤ 控除: 有利子負債 -20億
⑥ 株主価値(③ + ④ − ⑤) 136億
DCF理論株価
1,692円
現在の株価
1,131円
乖離率(割安)
+49.6%

感度分析(理論株価: 円)

WACC(横軸)とFCF成長率(縦軸)を変化させた場合の理論株価の変動を示します。

WACC →
FCF成長率 ↓
6.5%7.5%8.5%9.5%10.5%
-2.0%1,5121,4631,4161,3711,329
0.5%1,6561,6011,5481,4981,451
3.0%1,8131,7511,6921,6371,584
5.5%1,9831,9141,8491,7871,728
8.0%2,1682,0922,0201,9511,885

※ 緑色: 現在株価(1,131円)より高い(割安方向) / 赤色: 低い(割高方向) / 青背景: 現在の前提条件

DCF分析の総合評価

株式会社石井表記(6336)のDCF分析の結果、理論株価は1,692円と算出されました。現在の市場価格1,131円(分析時)と比較すると、乖離率は+49.6%であり、理論上は大幅な「割安」水準にあると評価できます。この約50%に及ぶマージン・オブ・セーフティ(安全域)は、将来のフリーキャッシュフロー(FCF)創出能力に対して、市場の評価が保守的、あるいは半導体・基板関連市場のサイクル的な不透明感を過度に織り込んでいる可能性を示唆しています。

フリーキャッシュフローの質

過去のFCF実績を見ると、2020年1月期(-3.91億円)や2024年1月期(-8.50億円)のように、マイナスに転じる年度が散見されます。これは同社が手掛けるプリント基板製造装置や半導体関連事業が、顧客の設備投資サイクルに強く依存する受注生産型ビジネスであることを反映しています。一方で、2025年1月期予測(16.66億円)や2026年1月期予測(14.83億円)に見られるよう、回復局面では力強いキャッシュ創出力を示す特性があります。予測値の信頼性は、今後の半導体・電子部品業界の設備投資需要の持続性に大きく左右されるため、ボラティリティ(変動性)を前提とした評価が必要です。

前提条件の妥当性

本分析では、WACC(加重平均資本コスト)を8.5%と設定しています。これは中小型株特有のリスクプレミアムを考慮した妥当な水準と言えます。また、FCF成長率3.0%および出口マルチプル(EV/FCF倍率)5.47倍という設定は、日本の製造業の平均値と比較して極めて楽観的とは言えず、むしろ保守的な側面も持ち合わせています。特に永久成長率としての3.0%は、市場全体の成長期待を反映していますが、長期的な成熟化を考慮すると、この数値の微増減が理論株価に与える影響を精査する必要があります。

ターミナルバリューの影響

事業価値126億円に対し、ターミナルバリュー(TV)の現在価値は63億円となっており、事業価値全体に占めるTVの割合は約50%です。一般的なグロース企業ではTVの比率が70%〜80%を超えることも珍しくありませんが、本件は予測期間5年間のFCF現在価値合計(64億円)とTVがほぼ拮抗しています。これは、遠い将来の不確実な成長に依存しすぎず、直近5年間の現金の創出力が理論株価の半分を支えていることを意味し、バリュエーションの構造としては比較的健全であると評価できます。

感度分析から読み取れること

本モデルにおいて最も影響力が大きいパラメータはWACC(8.5%)です。仮にWACCが1%上昇(9.5%へ)した場合、分母が大きくなるため理論株価は相応に低下します。また、出口マルチプルが5.47倍という低水準に設定されているため、将来的に市場からの評価(PERやEV/EBITDA等の倍率)が改善した場合、理論株価にはさらなる上振れ余地が生じます。逆に、予測FCFが計画を10%下回るだけで理論株価は百円単位で変動するため、業績進捗に対する感応度は高いと言えます。

投資判断への示唆

DCF分析の結果、現在の株価1,131円は理論株価1,692円に対して割安であり、投資妙味がある水準と考えられます。しかし、DCF法は将来のキャッシュフロー予測や割引率の設定という「仮定」に強く依存する手法です。特に石井表記のような景気敏感セクターに属する企業は、外部環境の変化により前提条件が容易に崩れるリスクを孕んでいます。投資家は、本分析を一つの目安としつつ、同社の受注残高の推移、主要顧客の設備投資動向、および有利子負債20億円に対する現金30億円という財務健全性の維持状況を併せて監視し、最終的な判断を行うことが肝要です。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

FCF成長率は、売上高の緩やかな伸びと半導体・基板関連市場の回復を考慮し、保守的に3%と推定しました。WACCは、小型株特有のリスクプレミアムと製造業のベータ値を加味し、PBR1倍割れの現状を踏まえて8.5%に設定しています。永久成長率は日本経済の長期予測に準じ1%とし、発行済株式数は予想純利益とPERから算出した時価総額を株価で除して推計しました。有利子負債は、設備投資負担とキャッシュフローの変動性を考慮し、一定の借入があると仮定して2,000百万円と見積もっています。

⚠️ 免責事項: 本DCF分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 DCF法は前提条件(WACC、成長率等)に大きく依存するため、感度分析を参考に幅を持って評価してください。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

リバースDCF分析(市場の期待値)

市場が織り込んでいる成長期待

現在の株価(1,131円)を正当化するために必要なインプライドFCF成長率を逆算しました。

インプライドFCF成長率
-8.3%
市場が織り込む成長率
AI推定FCF成長率
3.0%
ファンダメンタル分析ベース
成長率ギャップ
-11.3%
悲観的

リバースDCF詳細

現在の株価1,131円
インプライドFCF成長率-8.26%
AI推定FCF成長率3.00%
成長率ギャップ-11.26%(悲観的)
インプライドWACC1.00%
AI推定WACC8.50%
📖 読み方:
  • インプライド成長率 > AI推定成長率 → 市場は楽観的。期待通りの成長が実現しなければ株価下落リスク
  • インプライド成長率 < AI推定成長率 → 市場は悲観的。実態より過小評価されている可能性
  • 両者がほぼ一致 → 市場の評価はファンダメンタルに整合的

市場の期待値の評価

リバースDCF分析の結果、株式会社石井表記(6336)の現在の株価1,131円に含まれるインプライド成長率は-8.26%となりました。これは、株式市場が同社の将来のフリー・キャッシュ・フロー(FCF)に対し、長期的に毎年約8%以上の減少が続くと極めて保守的、あるいは「悲観的」に評価していることを示しています。AIが推定する成長率3.00%と比較すると、その差(成長率ギャップ)は-11.26%に達しており、市場の評価と企業の潜在能力の間には大きな乖離が生じている現状が浮き彫りとなっています。

インプライド成長率の実現可能性

市場が織り込んでいる「年率-8.26%」という成長率は、同社が今後衰退産業化することを前提とした水準です。しかし、石井表記の主力事業であるプリント基板製造装置や半導体関連の製造装置は、次世代通信(5G/6G)、AIサーバー、電気自動車(EV)といった中長期的な成長が見込まれるハイテク分野に支えられています。同社の保有するインクジェット技術や配線形成技術などの独自性を考慮すると、長期にわたってFCFが減少し続けるという市場のシナリオは、過度に悲観的な可能性があります。一方で、半導体業界特有のシリコンサイクルの波や、為替変動、原材料費の高騰といった外部要因がリスクとして意識されていることも、この低成長率が織り込まれる一因と考えられます。

投資判断への示唆

本分析において特筆すべきは、WACC(加重平均資本コスト)の乖離です。AI推定のWACCが8.50%であるのに対し、市場価格から逆算されるインプライドWACCは1.00%と極めて低い水準になっています。これは、現在の株価が「高い資本コスト(リスク)」と「マイナス成長」の両方を織り込んでいることを示唆しており、理論上の適正価値に対して株価が大幅に抑制されている可能性を示しています。仮に同社の成長率がAI推定の3.00%程度に収束するのであれば、現在の1,131円という株価は、将来のキャッシュフロー創出能力に対して割安な水準にあると解釈することも可能です。最終的な投資判断にあたっては、この「市場の悲観」を是正するような業績の進捗や、次世代技術の受注動向を注視する必要があるでしょう。

拡張感応度分析・シナリオ分析

感度分析: WACC × FCF成長率(理論株価: 円)

金利上昇はWACCの増加、景気後退はFCF成長率の低下として理論株価に影響します。

WACC →
FCF成長率 ↓
6.5%7.5%8.5%9.5%10.5%
-2.0%1,5121,4631,4161,3711,329
0.5%1,6561,6011,5481,4981,451
3.0%1,8131,7511,6921,6371,584
5.5%1,9831,9141,8491,7871,728
8.0%2,1682,0922,0201,9511,885

※ 緑色: 現在株価(1,131円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 現在の前提条件

シナリオ分析(楽観・基本・悲観)

金利環境・景気動向の変化に応じた3つのシナリオで理論株価を比較します。

楽観シナリオ
WACC: 7.0% / FCF成長率: 8.0%
永久成長率: 1.5%
2,130円
+88.3%
基本シナリオ
WACC: 8.5% / FCF成長率: 3.0%
永久成長率: 1.0%
1,692円
+49.6%
悲観シナリオ
WACC: 10.0% / FCF成長率: -2.0%
永久成長率: 0.5%
1,350円
+19.4%

シナリオ分析の総合評価

今回のシナリオ分析の結果、株式会社石井表記(6336)の理論株価は、悲観的な条件下でも1,350円(現在株価比+19.4%)、基本シナリオでは1,692円(同+49.6%)、楽観シナリオでは2,130円(同+88.3%)と算出されました。特筆すべきは、現在株価(1,131円)が最も保守的な「悲観シナリオ」の理論株価すら下回っている点です。市場価格は理論上の最下限値よりも低く評価されており、バリュエーションの観点からは極めて割安な水準に放置されている可能性が示唆されます。

金利変動の影響

WACC(加重平均資本コスト)を8.5%(基本)から10.0%(悲観)へ1.5ポイント上昇させた場合、FCF成長率の低下と相まって理論株価は約20.2%低下します。一方で、7.0%(楽観)へ低下した場合には理論株価が大きく跳ね上がる特性を有しています。資本コストの変化に対する感応度は標準的ですが、現在の株価水準がすでにWACC 10.0%超の前提を織り込んでいるかのような価格形成となっているため、今後多少の金利上昇や資本コストの増大が生じたとしても、理論株価が現在価格を割り込むリスクは相対的に低いと評価されます。

景気変動の影響

FCF(フリーキャッシュフロー)成長率が-2.0%となる景気後退局面(悲観シナリオ)においても、理論株価は1,350円を維持しています。これは、同社の事業基盤がマイナス成長を織り込んでもなお、現在の時価総額を上回る価値を創出する力があることを示しています。一方で、半導体・ディスプレイ業界の回復等により成長率が8.0%(楽観シナリオ)に達した場合、株価のアップサイドは+88.3%と非常に大きく、景気循環に伴う業績回復時のレバレッジ効果が高い収益構造であると分析できます。

投資判断への示唆

本分析における最大の焦点は「安全域(マージン・オブ・セーフティ)」の広さです。基本シナリオにおける理論株価1,692円に対し、現在株価は33%以上のディスカウント状態で取引されています。悲観的な前提(成長率マイナス、資本コスト上昇)を置いた場合でも下値余地より上値余地が勝る結果となっており、ダウンサイドリスクが限定的な一方で、基本シナリオへの回帰だけでも大幅なリターンが期待できる構図です。ただし、この乖離が解消されるには、成長戦略の進捗や資本効率の改善など、市場の評価を変えるカタリストが必要となる点には留意が必要です。

モンテカルロシミュレーション

シミュレーション結果サマリー

WACC・FCF成長率・永久成長率をそれぞれ正規分布でランダムに変動させ、100,000回のDCF計算を実行した結果です。DCF計算の非線形性(特にゴードン成長モデルの割引構造)により、理論株価の分布は対数正規分布に近い形状となるため、ヒストグラムは対数スケールで表示しています。

平均理論株価
2,876円
中央値
2,837円
90%レンジ(5-95%点)
2,260 〜 3,628円
割安確率
100.0%
理論株価 > 現在株価
モンテカルロシミュレーション:理論株価の確率分布(100,000回・対数スケール)0.0%1.1%2.3%3.4%4.5%5.7%2,142円2,318円2,508円2,714円2,937円3,178円3,439円3,721円シミュレーション分布現在株価

※ ヒストグラムは対数スケールで表示し、外れ値の影響を抑えるため分布の中央96%(2〜98パーセンタイル)を表示しています。対数スケールにより、DCF計算の非線形性に起因する右裾の歪みが補正され、分布の形状をより正確に把握できます。平均・中央値・パーセンタイルなどの統計値は元のスケールで有効サンプル全体から計算しています。

理論株価のパーセンタイル分布

シミュレーション結果を小さい順に並べたとき、各パーセンタイルにおける理論株価を示します。

パーセンタイル 5% 10% 25% 50% 75% 90% 95%
理論株価2,260円2,373円2,579円2,837円3,129円3,428円3,628円

※ 緑色: 現在株価(1,131円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 中央値(50%タイル)

リスク指標

理論株価の標準偏差 420円
5% VaR(下位5%タイル) 2,260円
変動係数(CV = σ / 平均) 14.6%
有効シミュレーション数 100,000 / 100,000

確率分布の解釈

今回のモンテカルロシミュレーションの結果、理論株価の平均値は2,876円、中央値は2,837円となりました。平均値が中央値を上回っている点は、DCF法の特性である非線形性(成長率のわずかな上昇やWACCの低下が理論株価を急激に押し上げる性質)を反映した対数正規分布に近い右に裾の長い形状を示唆しています。5パーセンタイル(2,260円)から95パーセンタイル(3,628円)という広いレンジは、FCF成長率の標準偏差(2.50%)に起因する将来予測の不確実性を内包していますが、分布の大部分が2,000円台後半に集中しており、モデル上は現行水準を大きく上回る価値が算出されています。

リスク評価

リスク指標としての5% VaR(バリュー・アット・リスク)は2,260円となりました。これは、パラメータが不規則に変動する厳しい条件下においても、95%の確率で理論株価が2,260円を上回ることを意味します。変動係数(CV)は約14.6%(420円/2,876円)であり、一般的な中小型株のシミュレーションと比較して、パラメータ感応度は比較的安定的な範囲に収まっていると評価できます。特筆すべきは、10万回の試行において理論株価が一度も現在株価(1,131円)を下回らなかった点であり、統計的には入力パラメータの範囲内における下振れリスクに対して極めて堅牢な結果となっています。

現在株価の統計的位置づけ

現在株価1,131円は、シミュレーションで得られた理論株価の分布において、最下限である5パーセンタイル(2,260円)をさらに1,000円以上下回る位置にあります。割安確率は100.0%と算出されており、これは設定されたWACC(8.5% ± 0.75%)や永久成長率(1.0% ± 0.25%)といった前提条件が妥当である限り、市場価格がファンダメンタルズ価値に対して極端な乖離(ディスカウント)状態にあることを示しています。統計学的な観点からは、現在株価は「異常値」とも呼べるほど低いパーセンタイルに位置していると言えます。

投資判断への示唆

本シミュレーション結果に基づく総合評価として、株式会社石井表記(6336)は極めて高い「マージン・オブ・セーフティ(安全余裕率)」を有していると判断されます。平均理論株価(2,876円)に対する現在株価の割引率は約60.7%に達しており、事業環境の急変や資本コストの上昇といった負のシナリオを考慮しても、なお十分な下値支持が期待できる水準です。ただし、この分析は入力されたFCF成長率(平均3.0%)等の持続性を前提としています。投資家は、市場がこれほどの割安放置を続けている背景(流動性リスクや特定の業界懸念など)を精査しつつ、この統計的な割安感と実態の不確実性を比較考量することが推奨されます。

📖 モンテカルロシミュレーションの読み方:
  • 割安確率: シミュレーション結果のうち、理論株価が現在株価を上回った割合。50%超なら統計的に割安寄り
  • 90%レンジ(5-95%点): 全シミュレーション結果を並べたときの下位5%点から上位95%点までの範囲。幅が広いほど不確実性が高い
  • 5% VaR: 悲観的な条件下でも95%の確率でこの値以上になると期待される最低ライン
  • 変動係数: 平均に対する標準偏差の比率。30%超だとパラメータ感度が高い(結果の信頼性に注意)
⚠️ 免責事項: 本モンテカルロシミュレーションはAIが推定したパラメータの分布に基づく統計的な参考値であり、投資助言ではありません。 入力パラメータに正規分布を仮定し、DCF計算の非線形性により出力は対数正規分布に近い形状となります。パラメータ間の独立性の仮定など、実際の市場とは異なる前提を含んでいます。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

EPS/BPSベース理論株価分析

理論株価モデルの前提条件

パラメータ 説明
直近EPS 118.30円 1株あたり利益
直近BPS 1330.59円 1株あたり純資産
1株配当 36.00円 年間配当金
EPS成長率 3.0% 予測期間中の年平均
割引率 10.5% 将来EPSの割引率
想定PER 9.60倍 理論株価算出に使用

EPS/BPS予測と理論株価

年度 期首BPS EPS 配当 自己資本増加 期末BPS ROE(%) EPS成長率(%) PER(倍) PBR(倍) DCF 理論株価
2027年1月 1330.59 118.30 36.00 82.30 1412.89 8.89 0.00 9.60 0.80 118.30 1,136
2028年1月 1412.89 121.85 36.00 85.85 1498.74 8.62 3.00 9.60 0.78 110.27 1,170
2029年1月 1498.74 125.50 36.00 89.50 1588.24 8.37 3.00 9.60 0.76 102.79 1,205
2030年1月 1588.24 129.27 36.00 93.27 1681.51 8.14 3.00 9.60 0.74 95.81 1,241
2031年1月 1681.51 133.15 36.00 97.15 1778.66 7.92 3.00 9.60 0.72 89.31 1,278
ターミナル 775.88
PER×EPS 理論株価
1,136円
+0.4%
DCF合計値
1,292.36円
+14.3%
現在の株価
1,131円

DCF内訳

予測期間EPS現在価値合計(5年分) 516.48円
ターミナルバリュー現在価値 775.88円(全体の60%)
DCF合計理論株価 1,292.36円

EPS/BPSモデルの総合評価

株式会社石井表記(6336)の現在株価1,131円は、モデルから算出された「PER×EPS理論株価」である1,136円とほぼ同等の水準にあります。一方で、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いた「DCF合計理論株価」は1,292.36円となっており、現在株価と比較して+14.3%の乖離(割安性)が示唆されています。短期的な利益水準に基づく評価では妥当圏内にあるものの、中長期的な収益獲得能力を考慮したバリュエーションでは、一定のアップサイドポテンシャルを内包している状況といえます。

ROE推移の見通し

本モデルの予測によれば、2027年1月期のROE 8.89%を起点とし、2031年1月期には7.92%まで緩やかに低下する見通しです。これは、配当性向を維持しながらも内部留保(利益剰余金)が積み上がることで、分母となるBPS(1株純資産)が1,330.59円から1,778.66円へと拡大するためです。EPS成長率を3.0%と設定した場合、資本効率の低下を上回る利益成長には至らず、結果としてPBRは0.80倍から0.72倍へと低下する計算となります。今後の焦点は、蓄積された資本をいかに効率的に再投資し、ROEの低下を抑制できるかにかかっています。

前提条件の妥当性

本モデルではEPS成長率を3.0%と保守的に設定しており、製造装置業界のボラティリティを考慮した慎重な推計となっています。割引率(期待収益率)の10.5%は、中小型株特有のリスクプレミアムを反映した妥当な水準です。また、想定PER 9.60倍は、現在の東証スタンダード市場の平均値や同社の過去の推移と比較して極端な過大評価を含まない設定です。ただし、半導体・液晶関連の市況変動によりEPSが大きく振れた場合、これらの前提条件は再考の余地が生じる点に留意が必要です。

投資判断への示唆

現在の株価1,131円は、理論上のPER評価と一致しており、市場は足元の業績を概ね適正に織り込んでいると判断されます。DCFモデルに基づく理論株価(1,292.36円)との14.3%の乖離は、将来の不確実性に対する「安全域」として機能する可能性があります。1株配当36円(配当利回り約3.18%)が維持される前提であれば、下値の硬さは期待できるものの、株価がDCF理論値へ収束するためには、想定成長率(3.0%)を上回るモメンタム、あるいはROE維持のための積極的な資本政策(自己株買いや増配など)が待たれる局面です。最終的な投資判断は、これらの成長シナリオと市場環境を照らし合わせ、投資家ご自身の判断で行ってください。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

過去数年のEPSは減少傾向にありましたが、2026年予測での反転を踏まえ、サイクルボトムからの緩やかな回復を想定し成長率を3%と推定しました。割引率は、小型株プレミアムおよび半導体製造装置業界のボラティリティを考慮し、PBR1倍割れの状態を反映した10.5%に設定しています。現在の低PER水準は将来の成長に対する市場の慎重な見方を反映しており、保守的な成長性と標準的な資本コストの組み合わせが妥当と判断しました。

⚠️ 免責事項: 本理論株価分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 EPS成長率・割引率・PER等の前提条件により結果は大きく変動します。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

EPS成長率0%が続く場合の理論株価

将来のEPS成長率を0%(横ばい)と仮定した場合の試算です。本編のベースシナリオとは前提が異なります。

理論株価モデルの前提条件

パラメータ 説明
直近EPS 118.30円 1株あたり利益
直近BPS 1330.59円 1株あたり純資産
1株配当 36.00円 年間配当金
EPS成長率 0.0% 予測期間中の年平均
割引率 10.5% 将来EPSの割引率
想定PER 9.60倍 理論株価算出に使用

EPS/BPS予測と理論株価

年度 期首BPS EPS 配当 自己資本増加 期末BPS ROE(%) EPS成長率(%) PER(倍) PBR(倍) DCF 理論株価
2027年1月 1330.59 118.30 36.00 82.30 1412.89 8.89 0.00 9.60 0.80 118.30 1,136
2028年1月 1412.89 118.30 36.00 82.30 1495.19 8.37 0.00 9.60 0.76 107.06 1,136
2029年1月 1495.19 118.30 36.00 82.30 1577.49 7.91 0.00 9.60 0.72 96.89 1,136
2030年1月 1577.49 118.30 36.00 82.30 1659.79 7.50 0.00 9.60 0.68 87.68 1,136
2031年1月 1659.79 118.30 36.00 82.30 1742.09 7.13 0.00 9.60 0.65 79.35 1,136
ターミナル 689.36
PER×EPS 理論株価
1,136円
+0.4%
DCF合計値
1,178.64円
+4.2%
現在の株価
1,131円

DCF内訳

予測期間EPS現在価値合計(5年分) 489.28円
ターミナルバリュー現在価値 689.36円(全体の58.5%)
DCF合計理論株価 1,178.64円

0%成長シナリオの意味

本シナリオは、石井表記(6336)が将来的に利益成長を遂げず、直近のEPS(118.30円)を維持し続けると仮定した「保守的なシミュレーション」です。この条件下での理論株価(PERベース:1,136円、DCFベース:1,178円)は、現在株価(1,131円)とほぼ同水準、あるいはわずかに上回る結果となりました。

このことは、現在の市場価格が「将来の成長をほとんど織り込んでいない」可能性を示唆しています。言い換えれば、企業が現状の利益水準を維持できるだけで、現在の株価は理論上のフェアバリュー(妥当な水準)に位置していると解釈できます。ダウンサイドリスク(下落余地)が限定的であると考えるか、成長期待が乏しいと捉えるかは投資家の判断に委ねられますが、バリュエーションの観点からは非常に堅実な裏付けがある状態といえます。

ベースシナリオとの対比

本編のベースシナリオ(成長率 約3.0%)と比較すると、当然ながら理論株価の水準は低下します。しかし、注目すべきは「0%成長であっても現在株価を維持できる」という点です。

通常、成長を前提としたモデルでは、成長率の前提が崩れた際に株価の大幅な調整が懸念されます。しかし、石井表記の場合、3%成長から0%成長へと前提を切り下げても、計算上の乖離率は+4.2%(DCFベース)とプラス圏を維持しています。これは、同社の現在の株価が利益・資産背景に対して比較的割安に放置されている、あるいは将来の不透明感を十分に織り込んでいることを示しています。ベースシナリオの成長率(3.0%)が達成された場合には、その差分がそのまま株価の上昇余地(プレミアム)として機能する構造になっています。

留意点

本モデルは、入力された前提条件に基づく数学的な試算であり、将来の株価動向を保証するものではありません。以下の点に留意が必要です。

  • ROEの低下傾向: EPSを固定(0%成長)し、内部留保によりBPSが増加していく前提では、計算上ROEは年々低下していきます(2027年1月期の8.89%から2031年1月期の7.13%へ)。資本効率の悪化が市場から嫌気された場合、想定PER(9.60倍)が維持されないリスクがあります。
  • 割引率の設定: 割引率(期待収益率)を10.5%と設定していますが、市場環境や金利動向の変化によりこの数値が変動すれば、理論株価は大きく上下します。
  • 事業環境の変化: 石井表記の主要顧客であるプリント基板や液晶パネル業界は景気循環の影響を強く受けます。EPS成長率「0%」を維持することも、事業環境の悪化局面においては一つのハードルとなり得る点にご注意ください。

本レポートは、特定の投資行動を勧誘するものではなく、あくまで一つの判断材料として提供されるものです。最終的な投資決定は、投資家ご自身の責任において行われるようお願いいたします。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

過去数年のEPSは減少傾向にありましたが、2026年予測での反転を踏まえ、サイクルボトムからの緩やかな回復を想定し成長率を3%と推定しました。割引率は、小型株プレミアムおよび半導体製造装置業界のボラティリティを考慮し、PBR1倍割れの状態を反映した10.5%に設定しています。現在の低PER水準は将来の成長に対する市場の慎重な見方を反映しており、保守的な成長性と標準的な資本コストの組み合わせが妥当と判断しました。

⚠️ 免責事項: 本理論株価分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 EPS成長率・割引率・PER等の前提条件により結果は大きく変動します。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

拡張感度分析: WACC × FCF成長率(理論株価: 円)

WACC(加重平均資本コスト)は、株主資本コストと負債コストを資本構成比率で加重平均した「企業の資金調達コスト」です。WACCが高いほど将来キャッシュフローの現在価値は低くなり、理論株価は下がります。FCF成長率は、営業キャッシュフローから設備投資を差し引いた「企業が自由に使えるキャッシュ(フリーキャッシュフロー)」が年率何%で伸びるかの想定値です。

基準のWACC(8.5%)とFCF成長率(3.0%)から±100bpの範囲で、1%刻みの理論株価をシミュレーションします。

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拡張感度分析: 割引率 × EPS成長率(理論株価: 円)

割引率は、将来の利益やキャッシュフローを現在価値に換算するための率で、投資家が求めるリターン(期待収益率)に相当します。割引率が高いほど将来利益の現在価値は低くなり、理論株価は下がります。EPS成長率は、1株当たり利益(EPS: Earnings Per Share)が年率何%で伸びるかの想定値です。

基準の割引率(10.5%)とEPS成長率(3.0%)から±100bpの範囲で、1%刻みの理論株価をシミュレーションします。

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拡張感度分析: PER × EPS(理論株価: 円)

PER(株価収益率)は、株価が1株あたり利益(EPS)の何倍で評価されているかを示す指標です。PERが高いほど市場がその企業の将来成長に高い期待を持っていることを意味します。EPS(1株あたり利益)は、企業の純利益を発行済株式数で割った値で、1株あたりの収益力を表します。

基準のPER(9.6倍)とEPS(118円)から、PERは1倍刻み(±100倍)・EPSは1%刻み(±100%)の理論株価をシミュレーションします。

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拡張感度分析: PBR × BPS(理論株価: 円)

PBR(株価純資産倍率)は、株価が1株あたり純資産(BPS)の何倍で評価されているかを示す指標です。PBRが1倍を下回ると、株価が解散価値を下回っていることを意味し、割安と判断される場合があります。BPS(1株あたり純資産)は、企業の純資産を発行済株式数で割った値で、1株あたりの解散価値を表します。

基準のPBR(0.8倍)とBPS(1331円)から、PBRは0.1倍刻み(±10.0倍)・BPSは1%刻み(±100%)の理論株価をシミュレーションします。

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残留利益モデル分析(Residual Income Model)

残留利益モデル(Residual Income Model)

残留利益モデルは、現在のBPS(1株純資産)に将来の「超過利益」の現在価値を加算して理論株価を算出します。 株主資本コストを上回るROEを持続できる企業ほど、BPSに大きなプレミアムが付きます。

理論株価 = BPS₀ + Σ[(ROEₜ − r) × BPSₜ₋₁ / (1+r)ᵗ] + TV/(1+r)ⁿ

前提条件

パラメータ 説明
直近BPS 1330.59円 1株あたり純資産(出発点)
直近EPS 118.30円 1株あたり利益
株主資本コスト (r) 10.5% 株主の要求収益率(エクイティチャージの基準)
EPS成長率 3.0% 予測期間中の年平均
1株配当 36.00円 年間配当金(BPS蓄積に影響)
予測年数 5年 個別予測期間

残留利益の年次予測

年度 期首BPS EPS ROE(%) エクイティチャージ 残留利益 PV(残留利益) 期末BPS
2027年1月 1330.59 118.30 8.89 139.71 -21.41 -19.38 1412.89
2028年1月 1412.89 121.85 8.62 148.35 -26.50 -21.71 1498.74
2029年1月 1498.74 125.50 8.37 157.37 -31.86 -23.62 1588.24
2030年1月 1588.24 129.27 8.14 166.77 -37.50 -25.15 1681.51
2031年1月 1681.51 133.15 7.92 176.56 -43.41 -26.35 1778.66
ターミナル 残留利益の永続価値: -413.43円 → PV: -250.95円 -250.95
理論株価の構成
現在BPS
1,330.59円
簿価部分
+
残留利益PV合計
-116.2円
超過利益の現在価値
+
ターミナルPV
-250.95円
永続価値の現在価値
=
RIM理論株価
963円
-14.9%
現在の株価: 1,131円
残留利益モデル:ROEとエクイティチャージの推移7.5%8.0%8.5%9.0%9.5%10.0%10.5%2728293031ROE(%)株主資本コスト(10.5%)
残留利益と現在価値の推移-45円-40円-35円-30円-25円-20円-15円2728293031残留利益(円)PV(残留利益)(円)
📖 残留利益モデルの読み方:
  • 残留利益 > 0(ROE > 株主資本コスト)→ 企業はBPS以上の価値を創出。理論株価 > BPS となりプレミアム付与
  • 残留利益 < 0(ROE < 株主資本コスト)→ 資本効率が不十分。理論株価 < BPS となりディスカウント
  • DCF法との違い: RIMはBPS(純資産)を出発点とするため、資産ベースの評価に強く、安定企業・金融機関の評価に適しています

残留利益の評価

本モデルにおいて、株式会社石井表記の価値創造力は、現状の前提条件では厳しい評価となっています。最大の要因は、予測期間におけるROE(自己資本利益率)が、投資家が期待する株主資本コスト(10.5%)を一貫して下回っている点にあります。 2027年1月期の予想ROE 8.89%から、2031年1月期には7.92%へと低下する見通しとなっており、これに伴いエクイティチャージ(資本コストの絶対額)が当期純利益(EPS)を上回り続けています。 その結果、残留利益(Residual Income)は2027年1月の-21.41円から2031年1月の-43.41円へとマイナス幅が拡大する推移を示しており、理論上は「株主の期待収益を満たすだけの利益を生み出せていない(経済的価値を毀損している)」状態と評価されます。

BPSプレミアム/ディスカウントの解釈

残留利益モデル(RIM)における理論株価 963円は、現在のBPS(1株当たり純資産)1,330.59円を大きく下回っています。 これは、企業の保有資産が効率的に利益に結びついていないと判断され、BPSに対して約27.6%の「ディスカウント」が適用された結果です。 内訳を見ると、残留利益の現在価値(PV)合計が-116.20円、さらに将来にわたるマイナスの価値創造を見込んだターミナルバリュー(TV)の現在価値が-250.95円となっており、これらがBPSから差し引かれています。 通常、ROEが資本コストを恒常的に上回る企業ではBPSにプレミアムが付与されますが、同社の場合は資本効率の改善が理論株価向上のための急務であることが示唆されています。

他の評価手法との比較

本RIMによる理論株価(963円)と現在株価(1,131円)を比較すると、乖離率は-14.9%となり、市場価格は理論値よりも高く評価されています。 DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)と比較した場合、DCFは将来のフリーキャッシュフロー(FCF)に基づきますが、設備投資が先行する製造業である同社では、キャッシュフローの変動が激しくなりがちです。対して、本RIMはBPSという実資産をベースにしているため、より保守的かつ資産背景を重視した評価結果となっています。 また、PER(株価収益率)の観点では、成長率3.0%という前提に対して市場はより高い成長、あるいは半導体・ディスプレイ業界のサイクル回復に伴うROEの劇的な改善を織り込んでいる可能性が考えられます。

投資判断への示唆

残留利益モデルから導き出された理論株価 963円は、現在の市場価格 1,131円に対して割高感を示唆する結果となりました。 投資家にとっての注目点は、以下の2点に集約されます。第一に「資本コスト 10.5%を正当化できるほどの利益成長(ROEの向上)が見込めるか」という点です。もし今後、事業環境の好転によりROEが10.5%を超える水準まで上昇すれば、理論株価はBPSを上回るプレミアム評価へと転換します。 第二に「市場が織り込んでいる期待値の正体」です。現在の株価が理論値を上回っていることは、モデルで用いた成長率3.0%以上の飛躍、あるいは資産の含み益やM&A等の非財務的な期待が含まれている可能性があります。 これらの数値を踏まえ、同社の資本効率改善に向けた施策や、業界動向による利益率の変化を慎重に見極めることが、適切な投資判断に繋がると考えられます。

⚠️ 注意: 残留利益モデルの結果は、EPS成長率・株主資本コスト・BPSの前提条件に大きく依存します。 また、会計基準の違い(日本基準/IFRS)によりBPSの定義が異なる場合があります。投資判断の際は他の手法と合わせてご検討ください。

リバースDCF分析(EPSベース・市場の期待値)

市場が織り込んでいる成長期待

現在の株価(1,131円)を正当化するために必要なインプライドEPS成長率を逆算しました。

インプライドEPS成長率
-1.3%
市場が織り込む成長率
AI推定EPS成長率
3.0%
ファンダメンタル分析ベース
成長率ギャップ
-4.3%
悲観的

リバースDCF詳細

現在の株価1,131円
インプライドEPS成長率-1.34%
AI推定EPS成長率3.00%
成長率ギャップ-4.34%(悲観的)
インプライド割引率50.00%
AI推定割引率10.50%
📖 読み方:
  • インプライド成長率 > AI推定成長率 → 市場は楽観的。期待通りの成長が実現しなければ株価下落リスク
  • インプライド成長率 < AI推定成長率 → 市場は悲観的。実態より過小評価されている可能性
  • 両者がほぼ一致 → 市場の評価はファンダメンタルに整合的

市場の期待値の評価

現在の株価1,131円に基づき算出されたインプライドEPS成長率は-1.34%となりました。これは、現在の株式市場が株式会社石井表記の将来的な収益力に対し、持続的な成長ではなく、むしろ緩やかな収益の縮小を織り込んでいることを示唆しています。AIが推定する成長率3.00%と比較すると-4.34%の大きな乖離(ギャップ)が生じており、市場の評価は「悲観的」な水準にあると判断されます。また、インプライド割引率が50.00%と極めて高い数値を示している点は、市場が同社に対して非常に高いリスクプレミアムを要求しているか、あるいは流動性や将来の不確実性を強く警戒している可能性を反映しています。

インプライド成長率の実現可能性

市場が織り込んでいる「年率-1.34%」というマイナス成長のハードルは、同社の事業内容を鑑みると比較的保守的な設定と言えます。石井表記が手掛けるプリント基板製造装置やディスプレイ関連製造装置などの事業において、現在の収益性を維持、あるいはAI推定の3.00%程度の微増成長を達成できるのであれば、現在の市場期待は過小評価である可能性が浮上します。一方で、AI推定割引率10.50%に対し、市場が実質的に50.00%という極めて高い割引率で将来キャッシュフローを評価している現状は、資本効率や特定の事業リスクに対する市場の厳しい視線が存在することも意味しており、これらが解消されない限り、評価の修正には時間を要するシナリオも想定されます。

投資判断への示唆

リバースDCF分析の結果からは、現在の株価は「将来の成長を全く期待していない」どころか「わずかな衰退」を前提とした水準にあることが読み取れます。投資家にとっての注目点は、この市場の悲観的な見通しと、実際の事業環境(半導体・ディスプレイ業界のサイクル等)の間に存在するギャップの正体です。もし、同社が今後マイナス成長を回避し、AI推定値に近い3.00%程度の安定成長を維持できると確信できる場合、現在の株価は割安なエントリーポイントとなる可能性があります。しかし、インプライド割引率の高さが示すリスク要因(特定顧客への依存度や景気敏感性など)が、投資家自身の許容範囲内に収まるものであるかどうかを精査することが重要です。市場の期待値が極めて低い現状において、将来的にポジティブなサプライズが生じた際の株価へのインパクトは大きいと考えられますが、最終的な判断はこれらのリスクとリターンのバランスを考慮した上で、慎重に行う必要があります。

感応度分析・シナリオ分析

感度分析: 割引率 × EPS成長率(理論株価: 円)

金利上昇は割引率の増加、景気後退はEPS成長率の低下として理論株価に影響します。

割引率 →
EPS成長率 ↓
8.5%9.5%10.5%11.5%12.5%
-2.0%1,1841,1451,1081,0721,039
0.5%1,2811,2381,1971,1581,121
3.0%1,3851,3371,2921,2501,209
5.5%1,4951,4441,3941,3481,303
8.0%1,6141,5571,5031,4521,403

※ 緑色: 現在株価(1,131円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 現在の前提条件

シナリオ分析(楽観・基本・悲観)

金利環境・景気動向の変化に応じた3つのシナリオで理論株価を比較します。

楽観シナリオ
割引率: 9.0% / EPS成長率: 7.0%
1,538円
+36.0%
基本シナリオ
割引率: 10.5% / EPS成長率: 3.0%
1,292円
+14.3%
悲観シナリオ
割引率: 12.0% / EPS成長率: -2.0%
1,055円
-6.7%

シナリオ分析の総合評価

今回のシナリオ分析の結果、株式会社石井表記(6336)の理論株価は、楽観シナリオの1,538円から悲観シナリオの1,055円という広いレンジ(振れ幅:483円)で算出されました。現在株価1,131円は、基本シナリオの理論株価(1,292円)を12.5%下回っており、市場は現状、基本シナリオよりも慎重な成長見通し、あるいは高いリスクプレミアムを織り込んでいる状態と言えます。一方で、悲観シナリオ(1,055円)に対する現在株価の下落余地は-6.7%に留まっており、理論上の下方リスクよりも、基本シナリオ(+14.3%)や楽観シナリオ(+36.0%)への収束期待による上方余地が相対的に大きい非対称な価格構造を示唆しています。

金利変動の影響

本分析における割引率(株主資本コスト)の変化は、理論株価の変動に大きな影響を与えています。基本シナリオの割引率10.5%に対し、楽観シナリオで9.0%まで低下した場合、EPS成長率の向上と相まって理論株価は36.0%上昇します。逆に、金利上昇や市場リスクプレミアムの拡大によって割引率が12.0%まで上昇する悲観シナリオでは、理論株価は現在株価を下回る1,055円まで押し下げられます。石井表記のような設備投資関連事業を展開する企業にとって、資本コストの上昇は企業価値の評価をシビアに低下させる要因となるため、マクロ経済における金利動向や株式市場全体のボラティリティには注視が必要です。

景気変動の影響

EPS(1株当たり純利益)成長率の前提条件も、株価評価を大きく左右しています。基本シナリオでは年率3.0%の安定成長を仮定していますが、これが景気後退や受注減によりマイナス成長(-2.0%)に陥ると想定した場合、理論株価は1,055円まで調整されます。一方で、電子部品・プリント基板業界の好況を背景に成長率が7.0%まで加速する楽観シナリオでは、1,538円という高い評価が可能になります。同社の業績は製造装置の需要サイクルに左右されやすい特性があるため、EPS成長率の振れ幅が理論株価のボラティリティを増幅させる要因となっている点は、投資家として留意すべきポイントです。

投資判断への示唆

本分析結果に基づくと、現在株価1,131円は悲観シナリオの底値(1,055円)に近く、基本シナリオ(1,292円)に対しても割安な水準に位置しています。これは、一定の安全余裕率(マージン・オブ・セーフティ)が確保されていると捉えることも可能ですが、同時に市場が「基本シナリオ通りの成長(3.0%)や資本コスト(10.5%)の維持」に対して一定の不確実性を感じている裏返しでもあります。投資家は、同社の今後の受注動向がEPS成長率をプラスに維持できるか、また金融環境が割引率を押し上げる方向に働かないかを精査し、これらのシナリオの実現可能性を各々のリスク許容度と照らし合わせて判断することが求められます。

限界利益分析(CVP分析)

高低点法による費用構造の推定

売上高が最大の年度と最小の年度を比較し、総費用(売上高−営業利益)の変化から変動費率と固定費を推定します。

推定変動費率
83.9%
売上高に対する変動費の割合
推定限界利益率
16.1%
1 − 変動費率
推定固定費
923
百万円
基準: 2023年 1月期 連結(売上高 18,222 百万円)と 2017年 1月期 連結(売上高 9,407 百万円)の比較

年度別 限界利益指標

年度 売上高 限界利益 限界利益率 損益分岐点 安全余裕率 経営レバレッジ
17年 1月期 9,726 1,569 16.1% 5,725 41.1% 3.89倍
17年 1月期 9,407 1,517 16.1% 5,725 39.1% 2.55倍
18年 1月期 12,621 2,036 16.1% 5,725 54.6% 1.95倍
18年 1月期 12,853 2,073 16.1% 5,725 55.5% 1.63倍
19年 1月期 12,922 2,085 16.1% 5,725 55.7% 1.82倍
19年 1月期 13,192 2,128 16.1% 5,725 56.6% 1.46倍
20年 1月期 13,191 2,128 16.1% 5,725 56.6% 1.46倍
20年 1月期 11,434 1,844 16.1% 5,725 49.9% 2.68倍
20年 1月期 10,186 1,643 16.1% 5,725 43.8% 3.59倍
20年 1月期 10,368 1,673 16.1% 5,725 44.8% 5.21倍
21年 1月期 10,983 1,772 16.1% 5,725 47.9% 2.15倍
21年 1月期 11,588 1,869 16.1% 5,725 50.6% 1.73倍
22年 1月期 11,588 1,869 16.1% 5,725 50.6% 1.73倍
22年 1月期 10,996 1,774 16.1% 5,725 47.9% 2.80倍
22年 1月期 13,802 2,226 16.1% 5,725 58.5% 1.43倍
22年 1月期 14,424 2,327 16.1% 5,725 60.3% 1.31倍
23年 1月期 16,987 2,740 16.1% 5,725 66.3% 1.72倍
23年 1月期 18,222 2,939 16.1% 5,725 68.6% 1.46倍
24年 1月期 16,268 2,624 16.1% 5,725 64.8% 1.74倍
24年 1月期 16,729 2,699 16.1% 5,725 65.8% 1.71倍
25年 1月期 14,347 2,314 16.1% 5,725 60.1% 3.16倍
25年 1月期 14,821 2,391 16.1% 5,725 61.4% 2.64倍
26年 1月期 15,261 2,462 16.1% 5,725 62.5% 2.45倍
26年 1月期 15,651 2,525 16.1% 5,725 63.4% 2.21倍
売上高と損益分岐点売上高の推移5十億1億2億2億171820202222242526売上高(百万円)損益分岐点(百万円)
安全余裕率と経営レバレッジの推移0.020.040.060.080.0171820202222242526安全余裕率(%)経営レバレッジ(倍)
直近年度の損益分岐点分析(2026年 1月期 連結)
売上高
15,651
百万円
損益分岐点
5,725
百万円
安全余裕率
63.4%
十分な安全余裕
経営レバレッジ
2.21倍
低い経営リスク

費用構造の評価

高低点法に基づく推定の結果、株式会社石井表記の変動費率は83.9%、限界利益率は16.1%となっています。この数値から、同社は典型的な「変動費型」の事業構造を有していると分析されます。固定費が923百万円と、売上規模(直近15,000百万円前後)に対して比較的低水準に抑えられていることが特徴です。変動費率が高いことは、原材料費や外注費が売上に連動して発生する割合が大きいことを示唆しており、売上高が減少した際でも損失が膨らみにくい一方で、売上増が飛躍的な利益成長(利益率の急上昇)にはつながりにくい構造と言えます。

損益分岐点と安全余裕率

推定される損益分岐点売上高は5,725百万円です。近年の実績および予測売上高(14,000百万円〜18,000百万円台)は、この損益分岐点を大きく上回って推移しています。安全余裕率に注目すると、2017年1月期の39.1%から、売上高がピークとなった2023年1月期には68.6%まで上昇しました。直近の2025年・2026年1月期の予測値においても60%を超える高い水準を維持する見通しです。一般に30%以上が望ましいとされる安全余裕率において、常に40%〜60%台を確保している点は、同社の収益基盤の堅牢性と、赤字に転落しにくい事業特性を裏付けています。

経営レバレッジとリスク

経営レバレッジは、売上高の変動が営業利益に与える影響度を示します。同社のレバレッジは、売上高が減少した2020年1月期(第4四半期付近)に5.21倍まで上昇した局面もありましたが、売上高が安定している直近数年は1.4倍〜2.6倍程度で推移しています。現在の15,000百万円程度の売上水準における経営レバレッジ(2026年1月期予測で2.21倍〜2.45倍)は、売上高が1%増減した際に営業利益が約2.2%〜2.4%変動することを意味します。固定費が小さいため、極端な増益効果(ポジティブ・レバレッジ)は限定的ですが、景気後退局面における利益の急落リスクも相対的に低い、マイルドな感応度と言えます。

投資判断への示唆

本分析から導き出される考察として、以下の3点が挙げられます。第一に、損益分岐点が低く、安全余裕率が極めて高いことから、ダウンサイドリスク(赤字転落リスク)に対する耐性は非常に強いと評価されます。第二に、限界利益率が16.1%と一定であるため、利益成長のドライバーは主に「売上高のボリューム拡大」に依存する構造です。第三に、変動費型ゆえに、原材料価格の変動が直接的に限界利益率を押し下げるリスクには留意が必要です。投資家の皆様においては、同社がターゲットとする市場の成長性、および高い安全余裕率を背景とした資本効率(ROE)向上の施策や株主還元方針などを併せて検討されることが肝要です。

⚠️ 注意: 本分析は高低点法による推定値です。実際の変動費・固定費は有価証券報告書の費用明細と異なる場合があります。 費用構造が大きく変化した期間を含む場合、推定精度が低下する可能性があります。投資判断の際は他の指標と合わせてご確認ください。

デュポン分析(ROE分解)

ROEの3要素分解(デュポン分析)

ROE = 純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ に分解し、収益性の源泉を可視化します。

年度 純利益率(%) × 総資産回転率(回) × 財務レバレッジ(倍) = ROE(%)
17年 1月期 2.05 × 0.792 × 6.00 = 0.10
18年 1月期 7.47 × 1.069 × 5.14 = 0.41
19年 1月期 6.96 × 1.086 × 3.59 = 0.27
20年 1月期 8.01 × 1.076 × 3.59 = 0.31
21年 1月期 6.51 × 0.887 × 3.05 = 0.18
22年 1月期 6.27 × 0.859 × 2.46 = 0.13
23年 1月期 6.86 × 1.046 × 2.31 = 0.17
24年 1月期 7.96 × 0.975 × 2.07 = 0.16
25年 1月期 4.32 × 0.914 × 1.80 = 0.07
26年 1月期 5.27 × 0.959 × 1.70 = 0.09
デュポン分析:ROEの3要素推移0.0%2.0%4.0%6.0%8.0%10.0%171921232526純利益率(%)ROE(%)
総資産回転率と財務レバレッジの推移0.001.002.003.004.005.006.00171921232526総資産回転率(回)財務レバレッジ(倍)
直近年度のROE構成(2026年 1月期 連結)
純利益率
5.27%
収益性
×
総資産回転率
0.959回
効率性
×
財務レバレッジ
1.70倍
借入で資本効率を70%ブースト
=
ROE
0.09%
株主資本利益率
📊 ROE変動の主因: 直近の変動は主に「純利益率」の変化によるものです。本業の収益力の変化がROEに直結しています。

ROEの質の評価

株式会社石井表記のROE(自己資本利益率)は、過去10年間で大きな変遷を遂げています。2018年1月期の41.0%(0.41)をピークに、直近の2024年1月期は16.0%(0.16)、さらに2025年1月期の予想では7.0%(0.07)まで低下する見通しです。このROEの質を評価すると、かつての「高財務レバレッジ主導型」から、現在は「収益性(純利益率)主導型」へと構造が変化しています。2017年から2018年にかけての極めて高いROEは、5.0倍を超える高い財務レバレッジに支えられたものでしたが、現在はレバレッジを抑えつつ一定の純利益率(4〜8%台)を維持する、より筋肉質な財務構成への転換期にあると評価できます。

財務レバレッジの影響

財務レバレッジは、2017年1月期の6.00倍から2026年1月期予想の1.70倍まで、一貫して大幅な低下傾向にあります。これは、同社が負債を圧縮し、自己資本を蓄積してきたことを示唆しています。一般的にレバレッジの低下は、ROEの押し下げ要因となりますが、同社の場合、倒産リスクの低減と財務健全性の向上という側面が強いと言えます。2017年当時は借入金等の負債を活用してROEを大きくブーストさせていたのに対し、直近の予測値である1.70倍〜1.80倍という水準は、製造業として一般的かつ安定的な範囲内であり、過剰レバレッジによるリスクは現時点では極めて低いと分析されます。

トレンド分析

デュポン分析の3要素を時系列で俯瞰すると、以下の構造的変化が読み取れます。 第一に、「効率性(総資産回転率)」は0.8回から1.0回程度で概ね安定しており、資産を売上に変える力には大きな変動がありません。 第二に、「収益性(純利益率)」はROE変動の主因となっており、2020年1月期の8.01%をピークに、直近では4〜5%台(予想)へと推移しています。2025年1月期は4.32%まで落ち込む予想となっており、この利益率の低下がROEを押し下げる最大の要因となっています。 第三に、「財務戦略」としては明確に脱レバレッジを進めており、自己資本比率が高まっていることが推察されます。結果として、ROEはかつての高水準から落ち着きを見せ、実力値としての純利益率がROEの数字を直接左右する鏡のような構造になっています。

投資判断への示唆

石井表記の現在の収益構造は、財務マジックによる高ROEの追求を終え、本業の稼ぐ力(純利益率)に依拠するフェーズに入っています。 投資家にとっての注目点は、低下傾向にある純利益率がどの水準で底打ちし、反転するかという点に集約されます。2026年1月期予想では、利益率が5.27%へ改善し、ROEも9.0%(0.09)へと微増する計画ですが、依然として過去の平均水準を下回る予測です。 現在の同社は、財務的な安定性を手に入れた一方で、資本効率を再度高めるための新たな成長エンジン、あるいは大幅な利益率の改善が求められる局面にあると言えます。この収益構造の健全化を「安定感の増大」と捉えるか、「資本効率の低下」と捉えるかが、投資判断の分かれ道となるでしょう。

⚠️ 注意: デュポン分析の数値はIRBankから取得した財務データに基づいています。 会計基準(日本基準/IFRS)の違いにより、株主資本の定義が異なる場合があります。

借金が利益に与える影響分析

有利子負債の概要

項目 説明
有利子負債 11億 銀行借入・社債等の利息付き負債
推定金利 1.50% 営業利益と経常利益の差から推定
推定支払利息 16百万 有利子負債 × 推定金利
利息 / 純利益 比率 2.0% 純利益に対する利息負担の大きさ
推定実効税率 23.6% 1 − (純利益 / 経常利益) から推定

「もし借金がなかったら」年度別シミュレーション

有利子負債による支払利息を除外した場合の仮想利益を試算しています。

年度 有利子負債 推定利息 経常利益
実績
経常利益
借金なし
純利益
実績
純利益
借金なし
ROE
実績
ROE
借金なし
レバレッジ
効果
2017/01 57億 1億 3億 4億 2億 3億 9.73% 3.85% +5.88%pt
2018/01 56億 83百万 11億 11億 9億 10億 41.04% 12.94% +28.10%pt
2019/01 51億 36百万 11億 11億 9億 9億 27.13% 11.09% +16.04%pt
2020/01 52億 78百万 15億 15億 11億 11億 30.90% 12.95% +17.95%pt
2021/01 44億 67百万 8億 9億 7億 8億 17.60% 9.08% +8.52%pt
2022/01 35億 9百万 11億 11億 7億 7億 13.27% 8.18% +5.09%pt
2023/01 30億 1億 15億 16億 12億 13億 16.57% 12.55% +4.03%pt
2024/01 33億 49百万 16億 17億 13億 13億 16.08% 11.77% +4.31%pt
2025/01 17億 26百万 8億 9億 6億 6億 7.11% 6.13% +0.98%pt
2026/01 11億 16百万 11億 11億 8億 8億 8.60% 7.83% +0.77%pt
純利益推移: 実績 vs 借金なしシミュレーション0百万2億4億6億8億10億12億14億2017/012019/012021/012023/012025/012026/01実績純利益借金なし純利益ROE推移: 実績 vs 借金なしシミュレーション0.0%10.0%20.0%30.0%40.0%50.0%2017/012019/012021/012023/012025/012026/01実績ROE借金なしROE
レバレッジ効果の評価(直近年度)
借金が利益を増やしている(レバレッジ効果あり)
実績ROE
8.60%
借金なしROE
7.83%
レバレッジ効果
+0.77%pt

事業利益率が借入金利を上回っており、借金によるレバレッジが株主リターン(ROE)を押し上げています。

借金の利益インパクト

直近の2026年1月期予測において、株式会社石井表記の有利子負債は11億円、推定支払利息は1,600万円となっています。これは経常利益11億円に対してわずか1.45%程度であり、純利益に対する利息比率も2.0%と非常に低い水準にあります。かつて2017年1月期には57億円の負債を抱え、1億円規模の利息を支払っていた時期と比較すると、財務コストによる利益の圧迫は劇的に解消されています。現在の収益構造において、金利負担が純利益を大きく損なうリスクは限定的と言えます。

レバレッジ効果の評価

財務レバレッジ(借入による自己資本利益率の押し上げ効果)の推移を見ると、同社の財務戦略の大きな転換が読み取れます。2018年1月期にはレバレッジ効果が+28.10%ptと極めて高く、借入をテコにROE(実績41.04%)を大幅に高めていました。しかし、負債の圧縮が進むにつれ、直近の2026年1月期予測ではレバレッジ効果は+0.77%ptまで縮小しています。これは、かつての「ハイリスク・ハイリターン」な財務体質から、現在は「低レバレッジ・安定重視」の体質へと移行したことを示しています。実績ROEが低下傾向にあるのは、負債削減に伴い自己資本比率が高まったことが主因です。

財務戦略の考察

同社の推定金利は1.50%と、製造装置メーカーとしては標準的からやや低水準で推移しています。この借入コストに対し、ROE(実績)が8.60%と上回っていることから、現在も借入金は株主資本を上回る効率で運用されており、レバレッジ効果はプラスを維持しています。特筆すべきは、有利子負債を10年間で約5分の1(57億円から11億円)にまで削減した点です。景気循環の影響を受けやすい半導体・液晶関連の事業特性を鑑みると、このデレバレッジ(負債圧縮)は、不況時における耐性を高める賢明な選択であったと評価できます。一方で、現在の極めて健全な財務基盤は、次なる成長投資や株主還元に向けた「余力」として捉えることも可能です。

投資家へのポイント

投資判断においては、以下の2点が重要な注目点となります。 第一に「財務の安全性」です。借金による利益へのマイナス影響は最小化されており、金利上昇局面においても経営への打撃は限定的と推察されます。 第二に「資本効率の活用」です。レバレッジ効果が1%を下回る現在の水準は、非常に保守的な経営と言えます。蓄積された内部留保や高い自己資本を、今後どのように「成長(設備投資やM&A)」や「株主還元」に振り向け、低下したROEを再上昇させるかが中長期的な焦点となります。 現在の同社は、借金に頼らず自力で利益を積み上げられる安定期にありますが、投資家の皆様は、この強固な財務基盤を背景とした次の一手の有無を注視していく必要があるでしょう。

⚠️ 注意事項: 本分析は営業利益と経常利益の差額から支払利息を推定しており、実際の支払利息とは異なる場合があります。 営業外収支には受取利息・配当金・為替差損益等も含まれるため、あくまで参考値としてご活用ください。 また、借金を全額返済した場合の実際の影響は資金調達構造の変化を伴うため、単純なシミュレーションとは異なります。

ROIC分析(投下資本利益率)

ROIC(投下資本利益率)推移

ROIC = NOPAT(税引後営業利益)÷ 投下資本(株主資本+有利子負債)。資本コスト(WACC)を上回れば価値を創造していると評価できます。

年度 NOPAT(百万円) 投下資本(百万円) ROIC(%) WACC(%) スプレッド(%pt)
17年 1月期 299 7,781 3.85 3.13 +0.72
18年 1月期 928 7,863 11.80 2.68 +9.13
19年 1月期 928 8,373 11.09 3.12 +7.97
20年 1月期 1,050 8,588 12.23 3.22 +9.01
21年 1月期 711 8,510 8.35 3.79 +4.56
22年 1月期 732 8,949 8.18 4.35 +3.83
23年 1月期 1,260 10,040 12.55 5.84 +6.71
24年 1月期 1,211 11,343 10.68 5.20 +5.47
25年 1月期 544 10,432 5.21 5.97 -0.76
26年 1月期 768 10,426 7.37 6.35 +1.01
ROIC vs WACC推移2.0%4.0%6.0%8.0%10.0%12.0%14.0%171921232526ROIC(%)WACC(%)
直近年度のROIC評価(2026年 1月期 連結)
ROIC
7.37%
投下資本利益率
WACC
6.35%
加重平均資本コスト
=
スプレッド
+1.01%pt
価値創造

ROIC水準の評価

株式会社石井表記の過去10期にわたるROIC(投下資本利益率)を概観すると、非常にボラティリティ(変動幅)が大きいものの、総じて製造業としては良好な水準を維持してきました。2018年1月期から2024年1月期にかけては、概ね8%から12%台で推移しており、特に2023年1月期には過去最高の12.55%を記録しています。これは、同社がターゲットとする電子基板や液晶・半導体関連の設備投資需要を的確に取り込み、投下資本に対して効率的に利益を創出してきたことを示唆しています。しかし、2025年1月期の予想値は5.21%へと大きく低下しており、足元では事業環境の変化、あるいは一時的な利益率の圧迫に直面している局面にあると評価できます。2026年1月期には7.37%への回復が示されていますが、かつての2桁水準への回帰に向けた収益性の改善が、今後の重要な焦点となります。

ROIC-WACCスプレッド分析

価値創造の指標であるROIC-WACCスプレッドの推移を見ると、大半の期間において正(プラス)の値を維持しており、企業価値を継続的に創出してきた実態が浮かび上がります。特に2018年1月期(+9.13%pt)や2020年1月期(+9.01%pt)には、資本コストを大幅に上回るリターンを叩き出しており、非常に高い投資効率を誇っていました。ポジティブな要因としては、変動する需要に対して投下資本(100億円前後)を比較的コントロールしつつ、NOPAT(税引後営業利益)を最大化させる経営姿勢が挙げられます。一方で、懸念すべきはWACC(加重平均資本コスト)の上昇傾向です。2018年時点の2.68%から直近では6%前後まで上昇しており、資本コストのハードルが高まっています。この影響もあり、2025年1月期はスプレッドが-0.76%ptとマイナスに転じる「価値破壊」の予想となっており、利益の減少とコストの増大が同時に進んでいる点には注意が必要です。

投資家へのポイント

石井表記のROIC分析から導き出される投資判断のポイントは以下の3点に集約されます。第一に「景気サイクルと収益性の連動性」です。同社のROICは数年単位で大きく波打つ傾向があり、現在は2023年をピークとした調整局面の底を模索している段階と捉えられます。第二に「資本コストへの対応」です。WACCが6%台まで上昇している現在、かつてのような「ROIC 8%程度」では十分なスプレッドを確保できなくなっており、より高い利益率が求められる構造に変化しています。第三に「2026年1月期の回復シナリオの妥当性」です。NOPATが544百万円から768百万円へ回復する計画が、受注動向やコスト削減策によってどの程度裏付けられているかが鍵となります。これらの効率性指標の変化が、一時的なものか構造的なものかを見極めることが、将来の企業価値を判断する上での肝要な視点となるでしょう。

⚠️ 注意: WACCは簡易推定値です(株主資本コスト7%想定、負債コストは推定支払利息から算出)。 実際のWACCはCAPMや市場データに基づくより精緻な計算が必要です。

ROIC逆ツリー分析

ROIC逆ツリー分解

ROIC = NOPATマージン × 投下資本回転率 に分解し、収益性の改善ドライバーを特定します。

年度 売上高(百万円) NOPATマージン(%) × 投下資本回転率(回) = ROIC(%)
17年 1月期 9,726 3.08 × 1.250 = 3.85
18年 1月期 12,621 7.35 × 1.605 = 11.80
19年 1月期 12,922 7.18 × 1.543 = 11.09
20年 1月期 13,191 7.96 × 1.536 = 12.23
21年 1月期 10,983 6.47 × 1.291 = 8.35
22年 1月期 11,588 6.32 × 1.295 = 8.18
23年 1月期 16,987 7.42 × 1.692 = 12.55
24年 1月期 16,268 7.45 × 1.434 = 10.68
25年 1月期 14,347 3.79 × 1.375 = 5.21
26年 1月期 15,261 5.03 × 1.464 = 7.37
ROIC逆ツリー: NOPATマージンと投下資本回転率0.002.004.006.008.00171921232526NOPATマージン(%)投下資本回転率(回)
ROIC逆ツリー分解(2026年 1月期 連結)
NOPATマージン
5.03%
NOPAT 768百万円 ÷ 売上 15,261百万円
×
投下資本回転率
1.464回
売上 15,261百万円 ÷ IC 10,426百万円
=
ROIC
7.37%
📊 ROIC変動の主因: 直近の変動は主に「NOPATマージン」の変化によるものです。本業の収益力の変化がROICに直結しています。

ROIC変動要因の分解

株式会社石井表記の過去10年間のROIC(投下資本利益率)推移を分析すると、利益率の変動が全体の収益性を大きく左右する構造が見て取れます。特に2023年1月期にはROIC 12.55%という高い水準を記録しましたが、その後2025年1月期(予想)には5.21%まで低下するなど、ボラティリティが高い傾向にあります。

ROICを構成する2要素のうち、「投下資本回転率」は概ね1.2回から1.6回の範囲内で推移しており、資産の効率的な活用については一定の安定感を保っています。一方で、主因である「NOPATマージン」は、2024年1月期の7.45%から2025年1月期には3.79%へと急減しており、売上高に対する純営業利益の確保がROICを維持・向上させるための最大の決定要因となっています。2026年1月期の予測値(7.37%)への回復は、マージンが5.03%まで改善することを見込んでおり、収益性の回復が再成長の鍵を握っています。

改善ドライバーの特定

ROICを中長期的に改善・安定させるための主要なドライバーは、以下の2点に集約されます。

  1. 高付加価値化によるNOPATマージンの底上げ: マージンが3%〜7%台で大きく変動していることは、原材料費の高騰や受注案件の利益率の差、あるいは固定費負担の増減が利益を圧迫しやすい体質であることを示唆しています。製品ミックスの最適化や製造コストの低減により、マージンの下限を引き上げることが、ROICの安定化には不可欠です。
  2. 投下資本回転率の維持・向上: 2023年1月期(1.692回)に高水準であった回転率は、直近では1.3〜1.4回程度に低下しています。設備投資や在庫の積み増しが売上拡大に繋がっているかを精査し、投下資本を効率的に回転させる管理体制の強化が、マージン回復時のROIC上昇を加速させるレバレッジとなります。

投資家へのポイント

石井表記の経営成績を評価する際、投資家は「収益性のサイクル」に注目する必要があります。分析データからは、同社が売上の拡大(回転率の向上)以上に、利益率(マージン)の維持に苦労する局面があることが浮き彫りになっています。

2025年1月期のROIC低下は一時的な要因(投資先行や市場環境の悪化)によるものか、あるいは構造的なコスト増によるものかを見極めることが重要です。2026年1月期の予測値であるROIC 7.37%への反転が、マージンの改善(3.79%→5.03%)と回転率の向上(1.375→1.464)の両輪によって達成される計画である点は、経営の積極性として評価できる反面、実現可能性については、同社が属する電子部品・半導体製造装置市場の需給バランスと照らし合わせた慎重な判断が求められます。

EVA(経済的付加価値)分析

EVA(経済的付加価値)推移

EVA = (ROIC − WACC) × 投下資本。資本コストを超えるリターンを生み出し、株主価値を真に創造しているかを測定する指標です。

年度 NOPAT(百万円) 資本コスト(百万円) EVA(百万円) ROIC(%) WACC(%)
17年 1月期 299 244 56 3.85 3.13
18年 1月期 928 211 718 11.80 2.68
19年 1月期 928 261 667 11.09 3.12
20年 1月期 1,050 277 774 12.23 3.22
21年 1月期 711 323 388 8.35 3.79
22年 1月期 732 389 343 8.18 4.35
23年 1月期 1,260 586 674 12.55 5.84
24年 1月期 1,211 590 621 10.68 5.20
25年 1月期 544 623 -80 5.21 5.97
26年 1月期 768 662 106 7.37 6.35
EVA(経済的付加価値)推移-50005001.0千1.5千1719212325260EVA(百万円)NOPAT(百万円)
EVA評価サマリー
直近EVA
106
百万円(2026年 1月期 連結)
累積EVA
4,267
百万円(10年間合計)
価値創造評価
価値創造

EVAの推移と評価

株式会社石井表記のEVA(経済的付加価値)を分析すると、2017年1月期から2024年1月期まで一貫してプラスを維持しており、長期的には株主の期待収益を上回る価値を創造してきたことがわかります。特に2020年1月期(EVA 774百万円)や2023年1月期(EVA 674百万円)は、ROIC(投下資本利益率)が12%を超え、資本効率が非常に高い水準にありました。

しかし、直近の2025年1月期にはEVAが-80百万円と、過去10年で初のマイナスに転じる見通しです。これは、NOPAT(税引後営業利益)が544百万円に減少する一方で、資本コストが623百万円まで上昇したことが主な要因です。会計上の利益(NOPAT)は依然として黒字ですが、WACC(加重平均資本コスト)が5.97%まで上昇し、ROIC(5.21%)を上回ったことで、「資本コストを賄いきれていない」という評価になります。2026年1月期にはEVA 106百万円と再びプラスに転じる予測ですが、かつての高い付加価値水準と比較すると、回復力については注視が必要です。

価値創造力の持続性

累積EVAが4,267百万円に達していることから、同社は歴史的に見て優れた価値創造企業であると言えます。しかし、近年のトレンドには慎重な見極めが求められます。

注目すべきは、WACCの推移です。2018年1月期の2.68%から、2026年1月期予測の6.35%へと、資本コストのハードルが段階的に上昇しています。これに伴い、(ROIC - WACC)で算出される「EVAスプレッド」が縮小傾向にあります。かつては8%以上のスプレッドを確保していましたが、直近の予測では1%前後の低空飛行が続いています。価値創造を継続させるためには、上昇する資本コストを上回るスピードで、事業収益性(ROIC)を再浮揚させられるかどうかが鍵となります。投下資本が増加傾向にある中で、それに見合う利益成長が追いついているかが、持続性の判断基準となるでしょう。

投資家へのポイント

EVA分析に基づくと、以下の3点が投資判断の重要なポイントとなります。

  • 資本効率の転換点: 長期的な価値創造の実績はあるものの、2025年1月期のEVAマイナス転落を一時的な調整と見るか、構造的な収益性の低下と見るかが分かれ目となります。
  • WACCの上昇傾向: 資本コスト(ハードルレート)が上昇しており、以前と同じ利益額を出していても、投資家から見た「真の付加価値」は目減りしやすい環境にあります。
  • ROICの回復期待: 2026年1月期の予測通り、ROICが7.37%まで回復しEVAがプラスに浮上するかどうかは、同社の経営効率化策の有効性を測る試金石となります。

同社が再び高いEVAスプレッドを享受する成長フェーズに戻るのか、あるいは資本コスト近辺での推移が定着するのか、今後の収益推移と資本構成の変化を慎重に観察することが推奨されます。

⚠️ 注意: EVAは簡易推定値です。WACCは株主資本コスト7%想定に基づく簡易計算であり、 正確なEVA算出にはβ値やリスクフリーレートの精緻な設定が必要です。

営業レバレッジ分析

営業レバレッジ度(DOL)推移

DOL = 営業利益変化率 ÷ 売上高変化率。売上が1%変化したとき営業利益が何%変化するかを示し、固定費比率の高さ(経営リスク)を表します。

平均DOL
6.51倍
有効年度の平均
リスク評価
高リスク
DOL≤2: 低 / 2-5: 中 / 5+: 高
年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 営業利益率(%) 売上変化率(%) 営業利益変化率(%) DOL(倍)
17年 1月期 9,726 403 4.14 - - -
17年 1月期 9,407 594 6.31 -3.28 47.39 -14.45
18年 1月期 12,621 1,043 8.26 34.17 75.59 2.21
18年 1月期 12,853 1,271 9.89 1.84 21.86 11.89
19年 1月期 12,922 1,146 8.87 0.54 -9.83 -18.32
19年 1月期 13,192 1,457 11.04 2.09 27.14 12.99
20年 1月期 13,191 1,456 11.04 -0.01 -0.07 -
20年 1月期 11,434 689 6.03 -13.32 -52.68 3.95
20年 1月期 10,186 458 4.50 -10.91 -33.53 3.07
20年 1月期 10,368 321 3.10 1.79 -29.91 -16.74
21年 1月期 10,983 824 7.50 5.93 156.70 26.42
21年 1月期 11,588 1,079 9.31 5.51 30.95 5.62
22年 1月期 11,588 1,078 9.30 0.00 -0.09 -
22年 1月期 10,996 633 5.76 -5.11 -41.28 8.08
22年 1月期 13,802 1,556 11.27 25.52 145.81 5.71
22年 1月期 14,424 1,771 12.28 4.51 13.82 3.07
23年 1月期 16,987 1,597 9.40 17.77 -9.82 -0.55
23年 1月期 18,222 2,016 11.06 7.27 26.24 3.61
24年 1月期 16,268 1,504 9.25 -10.72 -25.40 2.37
24年 1月期 16,729 1,580 9.44 2.83 5.05 1.78
25年 1月期 14,347 732 5.10 -14.24 -53.67 3.77
25年 1月期 14,821 907 6.12 3.30 23.91 7.24
26年 1月期 15,261 1,006 6.59 2.97 10.92 3.68
26年 1月期 15,651 1,140 7.28 2.56 13.32 5.21
営業レバレッジ度(DOL)と営業利益率の推移-20.0-10.00.010.020.030.01718202022222425260DOL(倍)営業利益率(%)

費用構造の特徴

株式会社石井表記の平均DOL(営業レバレッジ度)は6.51倍となっており、分析指標における「高リスク(5倍以上)」の範疇にあります。この数値は、同社の費用構造において固定費の比率が高い「固定費型ビジネス」であることを示唆しています。同社が手掛けるプリント基板製造装置や半導体関連装置などの製造業では、研究開発費、工場維持費、人件費といった売上高の増減に関わらず発生する固定費が大きくなる傾向があります。このため、損益分岐点を超えた後の売上増加が、営業利益の大幅な押し上げに寄与しやすい構造となっています。

景気変動への感応度

過去のデータから、業績のボラティリティ(振れ幅)が非常に高いことが確認できます。例えば、2021年1月期において売上高が5.93%増加した際、営業利益は156.70%という驚異的な伸び(DOL 26.42倍)を記録しました。一方で、2025年1月期の試算値では、売上高が14.24%減少すると営業利益が53.67%減少する(DOL 3.77倍)など、減収局面では利益が急速に浸食されるリスクも内包しています。このように、景気拡大期や設備投資需要の旺盛な時期には大きな利益成長が期待できる反面、不況期や受注停滞期には利益水準が急激に悪化するという、景気敏感株としての特性が顕著に表れています。

投資家へのポイント

投資にあたっては、同社の「高い営業レバレッジ」が諸刃の剣であることを認識する必要があります。売上高のわずかな変動が最終的な利益に増幅して反映されるため、同社がターゲットとする半導体・基板業界の設備投資動向や受注残高の推移を注視することが極めて重要です。

直近のデータ(2025年1月期から2026年1月期予測)を見ると、DOLは3.68倍から7.24倍の間で推移しており、依然として利益の感応度は高い状態が続く見込みです。売上高の成長が安定的に続くシナリオを描くのであれば、飛躍的な利益成長を享受できる可能性がありますが、逆に市場環境の悪化による減収シナリオにおいては、利益が想定以上に圧縮されるリスクを考慮しなければなりません。同社の収益構造と市場環境のサイクルを照らし合わせ、許容できるリスク許容度に基づいた慎重な判断が求められます。

⚠️ 注意: 営業レバレッジ度は前年比の変化率から算出しており、売上や利益が急変する年度では極端な値になることがあります。 複数年の平均値での評価を推奨します。

持続的成長率分析(SGR)

持続的成長率(SGR)推移

SGR = ROE × 内部留保率。外部からの資金調達なしで持続可能な売上成長率を示します。実際の成長率と比較することで、成長の持続可能性を評価します。

年度 ROE(%) 配当性向(%) 内部留保率(%) SGR(%) 実際成長率(%)
17年 1月期 9.73 推定30% 70.0 6.81 -
18年 1月期 41.04 推定30% 70.0 28.72 29.77
19年 1月期 27.13 推定30% 70.0 18.99 2.38
20年 1月期 30.90 推定30% 70.0 21.63 2.08
21年 1月期 17.60 推定30% 70.0 12.32 -16.74
22年 1月期 13.27 推定30% 70.0 9.29 5.51
23年 1月期 16.57 5.0 95.0 15.75 46.59
24年 1月期 16.08 11.1 88.9 14.29 -4.23
25年 1月期 7.11 20.7 79.3 5.64 -11.81
26年 1月期 8.60 25.3 74.7 6.42 6.37
持続的成長率(SGR)vs 実際の売上成長率-20.0%0.0%20.0%40.0%60.0%1719212325260SGR(%)実際成長率(%)
ROEと配当性向の推移0.0%10.0%20.0%30.0%40.0%50.0%171921232526ROE(%)配当性向(%)
持続的成長率の評価(2026年 1月期 連結)
ROE
8.60%
×
内部留保率
74.7%
=
SGR
6.42%
📊 成長持続性の評価: 実際の成長率がSGR範囲内で、健全な成長ペース

SGR水準の評価

株式会社石井表記の持続的成長率(SGR)は、過去10年間で大きな変動を見せています。2018年1月期から2020年1月期にかけては、ROEが27%〜41%と極めて高い水準にあり、SGRも18%〜28%台と非常に高い成長ポテンシャルを示していました。しかし、直近の2025年1月期(5.64%)および2026年1月期予想(6.42%)では、SGRは1桁台に落ち着いています。

この変動の主因は、主にROEの低下と配当政策の変化にあります。かつては30%を超えていたROEが8%前後まで低下したことに加え、2023年1月期に5.0%だった配当性向が2026年1月期には25.3%まで引き上げられる計画であり、内部留保率が低下(95.0%→74.7%)したことが、SGRを押し下げる要因となっています。これは、同社が「急速な自己資本蓄積フェーズ」から「安定成長と株主還元を両立するフェーズ」へ移行していることを示唆しています。

成長の持続可能性

実際の売上成長率とSGRを比較すると、同社の成長は非常にボラティリティ(変動性)が高いことがわかります。2023年1月期のように実際の成長率(46.59%)がSGR(15.75%)を大幅に上回る局面では、外部資金への依存や資産効率の向上が求められますが、翌年以降はマイナス成長に転じるなど、サイクルによる影響を強く受ける傾向にあります。

注目すべきは2026年1月期の予測値です。SGR(6.42%)に対し、実際の成長率予測が6.37%と極めて近い数値となっています。これは、外部からの資金調達に頼ることなく、現在の財務構造(ROEおよび内部留保のバランス)を維持しながら持続可能なペースで成長できる、健全な均衡状態にあると評価できます。過去の乱高下を経て、現在は身の丈に合った安定的な成長軌道に回帰しつつあると言えるでしょう。

投資家へのポイント

SGR分析に基づき、投資家が注目すべきポイントは以下の3点です。これらの指標を総合的に判断し、中長期的な投資価値を見極める必要があります。

  • 資本効率の推移: ROEが一時的な高水準から8%台へと低下しています。今後、主力のプリント基板製造装置等の市場環境が改善し、再びROEを10%以上に引き上げることができれば、SGRの再上昇が期待できます。
  • 株主還元方針の転換: 配当性向が20%台まで上昇しており、内部留保重視から株主還元への意識向上が見られます。これは成長の鈍化と捉えることもできますが、一方で投資家にとっては配当利回りの向上が下値支えとなる要因になります。
  • 事業サイクルと資金需要: 実際の成長率がSGRを大きく上回る局面(例:2023年)では、キャッシュフローの悪化や借入金の増加に注意が必要です。逆に、現在の予測のようにSGR範囲内での成長であれば、財務体質の健全性を維持しつつ、余力のある資金を次なる成長投資や追加還元に向けることが可能となります。
⚠️ 注意: 配当データが取得できない年度は内部留保率70%(配当性向30%)を仮定しています。 実際の配当政策と異なる場合があります。

インタレストカバレッジレシオ推移

インタレストカバレッジレシオ推移

ICR = 営業利益 ÷ 支払利息。営業利益で利息の何倍を賄えるかを示す、借入金利負担の安全性指標です。

直近ICR
∞(利息負担なし)
>10: 極めて安全 / 3-10: 安全 / 1-3: 要注意 / <1: 危険
安全性評価
極めて安全
年度 営業利益(百万円) 推定支払利息(百万円) ICR(倍) 有利子負債(百万円) 有利子負債比率(%) 推定借入金利(%)
17年 1月期 403 135 3.0 5,735 46.7 2.35
18年 1月期 1,043 - 5,565 47.1 -
19年 1月期 1,146 36 31.8 5,059 42.5 0.71
20年 1月期 1,456 - 5,170 42.2 -
21年 1月期 824 - 4,447 35.9 -
22年 1月期 1,078 9 119.8 3,477 25.8 0.26
23年 1月期 1,597 119 13.4 3,005 18.5 3.96
24年 1月期 1,504 - 3,289 19.7 -
25年 1月期 732 - 1,712 10.9 -
26年 1月期 1,006 - 1,079 6.8 -
インタレストカバレッジレシオと有利子負債比率の推移0.020.040.060.080.0100.0120.0171921232526ICR(倍)有利子負債比率(%)

利払い安全性の評価

株式会社石井表記のインタレストカバレッジレシオ(ICR)を分析すると、財務の安全性は時系列とともに劇的に向上しています。2017年1月期時点では3.0倍と「安全」の目安である水準にありましたが、その後、多くの年度で「∞(無限大)」を記録しています。これは、支払利息が営業利益に対して無視できるほど小さい、あるいは営業外収益が費用を上回っていることを示唆しています。2023年1月期に一時的に13.4倍まで低下する場面もありましたが、依然として「極めて安全」とされる10倍の基準を大きく上回っており、利払い能力に関しては懸念が極めて低い状態が続いています。

有利子負債の状況

有利子負債の管理状況は非常に良好です。2017年1月期に5,735百万円(有利子負債比率46.7%)あった負債は、2026年1月期の予測では1,079百万円(同6.8%)まで圧縮される見通しです。この10年間で負債総額を約8割削減し、負債比率を40ポイント以上低下させるという、極めて積極的なデバレッジ(負債圧縮)を進めてきました。推定支払利息が多くの年で算出されない、あるいは極小である背景には、この徹底した負債削減と、それに伴う金利負担の消失があります。金利上昇局面においても、同社の財務体質は極めて高い耐性を備えていると評価できます。

投資家へのポイント

投資判断における重要なポイントは、同社が「借入金に依存しない強固な財務基盤」を確立した点にあります。ICRが実質的に無限大、かつ有利子負債比率が1桁台という水準は、事業継続における財務リスクが最小化されていることを意味します。一方で、2025年1月期の営業利益予測(732百万円)が前年比で減少しているように、今後は「財務の安全性」よりも、蓄えられた内部留保や低い負債比率を活かした「成長への投資」や「株主還元」が、企業価値向上の鍵を握ることになります。強固な守り(財務)を背景に、いかに攻め(事業成長)に転じるかというフェーズに移行しているといえるでしょう。

⚠️ 注意: 支払利息は「営業利益−経常利益」から推定しています。 営業外収益が大きい企業では過小評価になる可能性があります。正確な支払利息は有価証券報告書の注記をご確認ください。

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データソース

この記事はEDINETから取得した決算報告書をAIが分析して生成しています。

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