※ 本記事は後半になるにつれて、内容が専門的になるように構成しています。
決算履歴(業績推移)
| 年度 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | 包括利益 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2017年 11月期 連結 | 237,461 | 16,130 | 14,690 | 9,747 | 17,772 |
| 2018年 11月期 連結 | 252,209 | 15,306 | 13,901 | 8,945 | 4,316 |
| 2019年 11月期 連結 | 250,000 | 13,500 | 12,100 | 8,100 | - |
| 2019年 11月期 連結 | 249,077 | 13,348 | 12,241 | 8,245 | 8,250 |
| 2020年 11月期 連結 | 190,000 | 3,500 | 2,200 | 800 | - |
| 2020年 11月期 連結 | 196,000 | 5,800 | 4,300 | 1,800 | - |
| 2020年 11月期 連結 | 201,055 | 6,850 | 5,508 | 2,458 | 1,359 |
| 2021年 11月期 連結 | 225,000 | 13,500 | 13,200 | 9,000 | - |
| 2021年 11月期 連結 | 229,117 | 14,718 | 14,457 | 9,993 | 17,984 |
| 2022年 11月期 連結 | 258,097 | 17,025 | 17,100 | 12,237 | 22,585 |
| 2023年 11月期 連結 | 270,000 | 16,500 | 15,500 | 11,000 | - |
| 2023年 11月期 連結 | 265,464 | 11,873 | 11,028 | 6,469 | 17,526 |
| 2024年 11月期 連結 | 238,000 | 6,000 | 5,000 | 3,000 | - |
| 2024年 11月期 連結 | 239,892 | 6,636 | 4,236 | 3,351 | -377 |
| 2025年 11月期 連結 | 235,903 | 9,773 | 8,370 | 5,250 | 16,108 |
| ★2026年11月期(予想) | 243,000 | 12,100 | 10,400 | 6,400 |
※単位: 百万円
利益率推移
営業利益率 = 営業利益÷売上高×100 / 経常利益率 = 経常利益÷売上高×100 / 純利益率 = 当期純利益÷売上高×100
| 年度 | 売上高 (百万円) | 営業利益率 (%) | 経常利益率 (%) | 純利益率 (%) |
|---|---|---|---|---|
| 2017年 11月期 連結 | 237,461 | 6.79% | 6.19% | 4.10% |
| 2018年 11月期 連結 | 252,209 | 6.07% | 5.51% | 3.55% |
| 2019年 11月期 連結 | 250,000 | 5.40% | 4.84% | 3.24% |
| 2019年 11月期 連結 | 249,077 | 5.36% | 4.91% | 3.31% |
| 2020年 11月期 連結 | 190,000 | 1.84% | 1.16% | 0.42% |
| 2020年 11月期 連結 | 196,000 | 2.96% | 2.19% | 0.92% |
| 2020年 11月期 連結 | 201,055 | 3.41% | 2.74% | 1.22% |
| 2021年 11月期 連結 | 225,000 | 6.00% | 5.87% | 4.00% |
| 2021年 11月期 連結 | 229,117 | 6.42% | 6.31% | 4.36% |
| 2022年 11月期 連結 | 258,097 | 6.60% | 6.63% | 4.74% |
| 2023年 11月期 連結 | 270,000 | 6.11% | 5.74% | 4.07% |
| 2023年 11月期 連結 | 265,464 | 4.47% | 4.15% | 2.44% |
| 2024年 11月期 連結 | 238,000 | 2.52% | 2.10% | 1.26% |
| 2024年 11月期 連結 | 239,892 | 2.77% | 1.77% | 1.40% |
| 2025年 11月期 連結 | 235,903 | 4.14% | 3.55% | 2.23% |
| ★2026年11月期(予想) | 243,000 | 4.98% | 4.28% | 2.63% |
※営業利益率 = 営業利益÷売上高×100、経常利益率 = 経常利益÷売上高×100、純利益率 = 当期純利益÷売上高×100
決算サマリー
株式会社不二越の2025年11月期連結決算は、売上高が2,359億3百万円(前年同期比1.7%減)と微減したものの、各利益項目は大幅な増益を達成しました。営業利益は97億73百万円(同47.3%増)、経常利益は83億70百万円(同97.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は52億50百万円(同56.7%増)となりました。中国での設備投資延期や国内建設機械需要の低迷が売上の重しとなりましたが、不採算部門の整理や原価低減、価格転嫁といった構造改革が実を結び、利益率が大きく改善しています。
注目ポイント
今後の成長において最も重要なトピックは、同社が掲げる「ロボット事業の中核化」です。特に、人の接近を検知して自動停止する世界初の協働ロボット「MZS05」の開発や、AI機能を付加した次世代システムの展開が期待されています。また、ベアリング事業における標準ラジアル軸受の生産集約など、徹底した構造改革によって固定費を削減し、外部環境に左右されにくい体質へと変貌を遂げつつある点が評価されます。
業界動向
同社が主戦場とする自動車業界は、EV(電気自動車)化という歴史的な転換期にあります。これに伴い、従来のエンジン車向け部品の需要が減少するリスクがある一方、同社はEVモータ用「耐電食樹脂インサート軸受」など、電動化に対応した高付加価値製品の投入を加速させています。競合他社と比較しても、工具・ロボット・ベアリング・油圧機器を併せ持つ「総合機械メーカー」としての独自の技術連環が強みとなっています。
投資判断材料
長期投資家にとっての考慮点は、収益構造の質の変化です。当期は構造改革費用として31億18百万円の特別損失を計上していますが、これは将来の収益性向上のための「膿出し」と言えます。一方で、ROE(自己資本利益率)は3.2%に留まっており、資本効率の改善が今後の課題です。海外売上高比率は約5割に達しており、特に成長市場である米国やインドでの営業拠点拡充が、中長期的な株価形成の鍵を握るでしょう。
セグメント別業績
機械工具事業
売上高:734億7百万円(5.3%減)、営業利益:42億79百万円(10.3%増)。北米の工具需要は堅調でしたが、中国のロボット需要減少が響きました。ただし、固定費削減により利益は確保しています。
部品事業(ベアリング・油圧機器)
売上高:1,472億55百万円(0.6%増)、営業利益:49億98百万円(200.3%増)。自動車分野の生産回復と構造改革の効果が最も顕著に現れ、利益を牽引しました。
その他の事業
売上高:152億40百万円(4.7%減)、営業利益:4億80百万円(55.1%減)。国内の特殊鋼需要が減少し、操業度悪化により苦戦しました。
財務健全性
自己資本比率は51.5%と、前年末の47.4%から4.1ポイント上昇し、財務基盤は着実に強化されています。有利子負債残高は863億23百万円。営業活動によるキャッシュ・フローは179億38百万円の黒字を確保しており、投資有価証券の売却(政策保有株式の縮減)を進めることで、資産効率の向上とキャッシュポジションの適正化を図っています。
配当・株主還元
2025年11月期の配当金は、1株当たり年間100円(期末配当のみ)を維持しています。連結配当性向は42.8%程度となっており、安定的な還元姿勢を示しています。内部留保資金については、ロボット事業やEV対応製品の設備投資、および財務体質のさらなる強化に充当する方針です。
通期業績予想
当期実績は売上高こそ年度計画(2,430億円)に対し達成率97.1%とわずかに届かなかったものの、営業利益は計画(86億円)に対し達成率113.6%と超過達成しました。次期についても、引き続き「海外売上高比率60%、営業利益率10%」の長期目標に向けた施策が継続される見込みです。
中長期成長戦略
「世界に誇れるものづくりの技術」を掲げ、以下の3軸で戦略を展開しています。
- ロボット事業を成長の中核に据え、自動化・省人化ソリューションを拡大。
- 米国・インド市場への集中投資と、営業・サービス体制の強化。
- 世界の工場再編(マザー工場への集約と自動化ラインの導入)による生産性向上。
リスク要因
為替相場の変動(円高による収益圧迫)、自動車メーカーのEV化スピードの変化、鉄鋼・鋳物などの原材料価格の高騰が主なリスクです。また、売上の約5割を占める自動車業界の景気動向や、地政学リスクに伴うサプライチェーンの分断にも注意が必要です。
ESG・サステナビリティ
2023年に「サステナビリティ委員会」を設置し、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への対応を強化しています。富山・滑川の両事業所に太陽光発電設備を設置し、年間約1,250トンのCO2削減を見込むなど、環境負荷低減と事業成長の両立に取り組んでいます。
経営陣コメント
黒澤勉社長は、産業構造の大変革(EV化、DX)に対し、総合機械メーカーとしての独自性を活かしたソリューション提供を強調しています。特に、生産現場の自動化ニーズを捉えたロボット事業の拡大と、不採算の標準ベアリングからの構造転換を断行する姿勢を示しています。
バリュエーション
実績ベースのPER(株価収益率)は17.0倍。注目すべきはPBR(株価純資産倍率)の低さです。1株当たり純資産(BPS)は7,833.35円に達しており、現在の株価水準(3,000円〜4,000円台)は解散価値であるPBR1倍を大きく下回っています。構造改革による利益率改善が継続し、市場からの信頼が回復すれば、大きなリバウンドの余地があります。
過去決算との比較
過去5期の推移を見ると、第141期(2023年11月期)をピークに売上は頭打ち傾向にありますが、利益面では第142期の落ち込みから当期でV字回復を果たしました。自己資本比率も40.7%から51.5%まで右肩上がりで改善しており、経営効率よりもまず財務体質の「筋肉質化」を優先してきたフェーズであると分析できます。
市場の評判
株式会社不二越 (Fujikoshi) is a leading Japanese manufacturer of cutting tools and bearings. It has a mixed reputation among investors, with some analysts recommending it for its stable performance, while others caution about market competition. Employee reviews on OpenWork show mixed feedback on work-life balance and career growth.
詳細リサーチレポート
株式会社不二越 (6474) リサーチレポート
1. 最新の業績動向と今後の見通し
- 2026年11月期第1四半期決算: 売上高は前年同期比6.2%増の602億700万円、経常利益は45.8%増の21億3700万円. しかし、最終利益は21.7%減の11億2100万円. 構造改革費用1億6400万円を特別損失に計上したことが減益の要因.
- 2025年11月期決算: 連結経常利益は前の期比97.6%増の83.7億円に拡大し、従来予想の66億円を上回って着地.
- 2026年11月期の業績予想: 経常利益は前期比24.3%増の104億円に伸びる見通し.
- アナリストの見解:
2. 業界内での競合ポジションと市場シェア
- 不二越は、工具、軸受、産業用ロボットで大手であり、自動車向けを中心に、油圧機器、工作機械も展開している.
- ハイスドリルの世界トップシェアを持つ.
- 「素材→加工→制御→システム」までを一貫して担う総合機械メーカーであり、垂直統合モデルが競争優位性につながっている.
- 主要な事業領域である自動車分野では、EV化やAI・デジタル技術を融合させた自動車開発が進展.
- 産業機械分野も含め、ものづくりのDX・AIによる商品開発や生産性向上、生成AIの活用などが求められている.
3. 成長戦略と重点投資分野
- 中期経営計画(2024-2027): EV/ロボット/生産最適化を重点施策としている.
- 成長戦略:
- 重点投資分野:
4. リスク要因と課題
- 事業上のリスク:
- 外部環境の変化:
5. アナリストの評価と目標株価
- アナリスト判断(コンセンサス): 中立.
- アナリストの平均目標株価: 4,060円. これは、2026年4月6日時点の株価4,460円 より8.96%低い.
- レーティング内訳: 中立2人.
6. 最近の重要ニュースやイベント
- 2026年4月6日: 26年11月期第1四半期決算を発表。売上高は増収も、最終利益は減益. これを受け、株価は後場終盤に急落.
- 2026年2月25日: 株主総会で買収防衛策継続を承認.
- 2026年1月23日: 2026年度の設備投資を大幅に拡大し、220億円とする計画を発表.
- 2025年11月18日: 那智わねい持株会が株式の大量保有報告書を提出.
7. ESG・サステナビリティへの取り組み
- サステナビリティ基本方針: 「ものづくりの世界の発展に貢献する」という会社の使命に基づき、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努める.
- 環境への取り組み:
- ガバナンス体制:
8. 配当政策と株主還元
- 配当方針: 連結業績や配当性向などを総合的に勘案し、安定的な配当を継続実施することを基本方針とする.
- 配当: 年1回の期末配当を基本とするが、中間期の業績によっては中間配当を実施.
- 2026年11月期の1株当たり配当金(予想): 100円.
- 配当利回り(予想): 2.13%.
- 配当性向(予想): 34.0%.
- 株主総会: 2026年2月25日に開催された株主総会にて、当社株式の大規模買付行為に関する対応策の一部変更後の継続が株主承認された.
免責事項:
このリサーチレポートは、株式会社不二越に関する公開情報に基づいて作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。情報源
年度別バリュエーション推移(PBR/PER/時価総額)
| 年度 | 株価高値 | 株価安値 | PER高値 | PER安値 | PBR高値 | PBR安値 | 時価総額高値 | 時価総額安値 | 期末PBR |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2011年11月期 | 5,610 | 2,490 | 13.96 | 6.19 | 2.4 | 1.07 | 1397億9727万 | 620億4905万 | 1.5倍 |
| 2012年11月期 | 5,010 | 2,120 | 27.23 | 11.52 | 2.02 | 0.85 | 1248億4591万 | 528億2900万 | 1.14倍 |
| 2013年11月期 | 5,560 | 2,750 | 20.61 | 10.2 | 1.79 | 0.89 | 1385億5155万 | 685億2819万 | 1.68倍 |
| 2014年11月期 | 8,160 | 5,010 | 20.41 | 12.53 | 2.2 | 1.35 | 2033億4184万 | 1248億4591万 | 1.89倍 |
| 2015年11月期 | 7,730 | 4,770 | 16.48 | 10.17 | 1.87 | 1.15 | 1926億2652万 | 1188億6526万 | 1.4倍 |
| 2016年11月期 | 5,920 | 2,570 | 37.39 | 16.23 | 1.5 | 0.65 | 1475億2251万 | 640億4271万 | 1.11倍 |
| 2017年11月期 | 7,580 | 4,420 | 19.33 | 11.27 | 1.67 | 0.97 | 1888億8862万 | 1101億4349万 | 1.55倍 |
| 2018年11月期 | 8,500 | 4,225 | 23.61 | 11.74 | 1.84 | 0.92 | 2118億1442万 | 1052億8422万 | 1.05倍 |
| 2019年11月期 | 5,530 | 3,545 | 16.66 | 10.68 | 1.14 | 0.73 | 1378億396万 | 883億3907万 | 1.05倍 |
| 2020年11月期 | 5,150 | 2,281 | 51.07 | 22.62 | 1.07 | 0.48 | 1283億3461万 | 568億4102万 | 0.9倍 |
| 2021年11月期 | 5,170 | 3,850 | 12.37 | 9.21 | 0.95 | 0.7 | 1288億3300万 | 959億3947万 | 0.71倍 |
| 2022年11月期 | 4,655 | 3,390 | 9.07 | 6.61 | 0.74 | 0.54 | 1159億9954万 | 844億7657万 | 0.61倍 |
| 2023年11月期 | 4,260 | 3,470 | 15.38 | 12.53 | 0.61 | 0.5 | 1061億5640万 | 864億7012万 | 0.54倍 |
| 2024年11月期 | 3,820 | 2,699 | 26.51 | 18.73 | 0.55 | 0.39 | 951億9189万 | 672億5730万 | 0.44倍 |
| 2025年11月期 | 4,140 | 2,640 | 17.73 | 11.31 | 0.53 | 0.34 | 1031億6608万 | 657億8706万 | 0.51倍 |
| 最新(株探) | 4460 | - | 15.2倍 | - | 0.55倍 | - | 1,111億円 | - | 0.55倍 |
ROE算出表(PBR÷PER×100)
PBR = ROE × PER の関係式から逆算。高値同士・安値同士で算出しています。
| 年度 | PBR高値 | PER高値 | ROE高値(%) | PBR安値 | PER安値 | ROE安値(%) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2011年11月期 | 2.4 | 13.96 | 17.2% | 1.07 | 6.19 | 17.3% |
| 2012年11月期 | 2.02 | 27.23 | 7.4% | 0.85 | 11.52 | 7.4% |
| 2013年11月期 | 1.79 | 20.61 | 8.7% | 0.89 | 10.2 | 8.7% |
| 2014年11月期 | 2.2 | 20.41 | 10.8% | 1.35 | 12.53 | 10.8% |
| 2015年11月期 | 1.87 | 16.48 | 11.3% | 1.15 | 10.17 | 11.3% |
| 2016年11月期 | 1.5 | 37.39 | 4.0% | 0.65 | 16.23 | 4.0% |
| 2017年11月期 | 1.67 | 19.33 | 8.6% | 0.97 | 11.27 | 8.6% |
| 2018年11月期 | 1.84 | 23.61 | 7.8% | 0.92 | 11.74 | 7.8% |
| 2019年11月期 | 1.14 | 16.66 | 6.8% | 0.73 | 10.68 | 6.8% |
| 2020年11月期 | 1.07 | 51.07 | 2.1% | 0.48 | 22.62 | 2.1% |
| 2021年11月期 | 0.95 | 12.37 | 7.7% | 0.7 | 9.21 | 7.6% |
| 2022年11月期 | 0.74 | 9.07 | 8.2% | 0.54 | 6.61 | 8.2% |
| 2023年11月期 | 0.61 | 15.38 | 4.0% | 0.5 | 12.53 | 4.0% |
| 2024年11月期 | 0.55 | 26.51 | 2.1% | 0.39 | 18.73 | 2.1% |
| 2025年11月期 | 0.53 | 17.73 | 3.0% | 0.34 | 11.31 | 3.0% |
| 最新(株探) | 0.55倍 | 15.2倍 | 3.6% | - | - | - |
バリュエーション推移の概要
株式会社不二越(6474)の過去15年弱のバリュエーション推移を俯瞰すると、劇的な構造的変化が見て取れます。2010年代前半から半ばにかけては、PBRが1.0倍から2.0倍を超える水準で取引され、市場からの成長期待や資産効率への評価が一定程度維持されていました。しかし、2018年以降、PBRは継続的な低下傾向にあり、2020年以降は慢性的に1.0倍を下回る状況が定着しています。PERについても、業績のサイクルに応じて6倍台から50倍超まで激しく変動しており、典型的な景気敏感株(シクリカル銘柄)の特性を示しています。
PBR分析
PBR(純資産倍率)の推移は、同社の市場評価が大きく減退したことを明確に示しています。2011年の高値2.4倍や2014年の2.2倍といった水準から、直近2024年には高値でも0.55倍、安値では0.39倍まで売り込まれました。2018年に期末PBRが1.05倍と解散価値(1.0倍)の境界線に到達して以降、一度も1.0倍を回復できていない点は注目に値します。最新の0.55倍という数値は、歴史的な高値圏と比較すると約4分の1の水準であり、資産価値に対して極めて保守的な評価が続いている状態です。
PER分析
PER(株価収益率)は、純利益の変動に伴いボラティリティが非常に高い推移を見せています。2011年には安値PER 6.19倍を記録する一方、業績が落ち込んだ2020年には一時51.07倍まで跳ね上がるなど、利益水準の変化が倍率に大きく影響しています。特に2021年から2022年にかけてはPER 6倍〜12倍程度の低水準で推移していましたが、直近の2024年から2025年にかけては11倍〜26倍程度までレンジが切り上がっています。これは利益の減少、あるいは将来的な回復を期待した株価形成のいずれかを反映していると考えられます。
時価総額の推移
時価総額は2014年(2,033億円)および2018年(2,118億円)に2,000億円の大台を突破しましたが、その後は右肩下がりの傾向が続いています。2024年には安値ベースで672億円まで縮小し、ピーク時の約3分の1程度まで企業価値が減少しました。最新の時価総額は約1,111億円と、2011年〜2013年当時の水準(1,300億円前後)をも下回る位置にあり、長期的な成長トレンドが市場から疑問視されている、あるいは資本効率の改善が強く求められている局面にあると言えます。
現在のバリュエーション評価
現在のバリュエーションは、歴史的な観点から見て極めて対照的な位置にあります。PBR 0.55倍は、2010年代の平均的な水準(1.0〜2.0倍)から見れば歴史的な安値圏にあり、解散価値を大幅に下回る状態が常態化しています。一方で、PER 15.2倍は過去の低水準期(6〜9倍台)と比較すると、決して「最割安」とは言えない中庸な水準です。これは、資産面での割安感(低PBR)は顕著であるものの、収益力(PER)に基づいた評価では、過去の景気後退期や低迷期と同程度の期待値に留まっていることを示唆しています。投資家は、この資産価値の乖離を是正するような収益性の向上や株主還元策の強化が行われるか、その蓋然性を判断の軸とする局面にあると考えられます。