6898トミタ電機株式会社||

トミタ電機(6898) 理論株価分析:EV・情報通信向け需要回復と超高財務基盤の評価 カチノメ

決算発表日: 2026-04-242026年1月31日 第75期 通期
総合業績スコア
53/100
中立

セクション別スコア

業績成長性55収益性35財務健全性90株主還元20成長戦略50理論株価評価65
業績成長性55
収益性35
財務健全性90
株主還元20
成長戦略50
理論株価評価65

※ 本記事は後半になるにつれて、内容が専門的になるように構成しています。

決算履歴(業績推移)

売上高推移(百万円)10億12億14億16億18億20億22億2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 2025年 2026年 '27/1売上高利益推移(営業利益・経常利益・当期純利益)-3億-2億-1億0百万1億2億3億2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 2025年 2026年 '27/10営業利益経常利益純利益利益率推移(%)-20.0%-10.0%0.0%10.0%20.0%2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 2025年 2026年 '27/10営業利益率経常利益率純利益率
年度 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 包括利益
2017年 1月期 連結 1,463 -48 -174 -95 -
2017年 1月期 連結 1,423 -87 -149 -125 -
2017年 1月期 連結 1,424 -87 -149 -125 -92
2018年 1月期 連結 1,557 50 53 80 -
2018年 1月期 連結 1,481 20 28 71 -
2018年 1月期 連結 1,482 21 28 71 1
2019年 1月期 連結 1,558 13 15 11 -
2019年 1月期 連結 1,420 -114 -115 -117 -
2019年 1月期 連結 1,420 -115 -116 -117 -152
2020年 1月期 連結 1,243 -93 -93 -98 -
2020年 1月期 連結 1,088 -202 -204 -166 -
2020年 1月期 連結 1,089 -202 -204 -166 -175
2021年 1月期 連結 1,082 -129 -119 -97 -
2021年 1月期 連結 1,082 -130 -119 -98 -144
2022年 1月期 連結 1,479 106 107 93 -
2022年 1月期 連結 1,828 128 138 106 -
2022年 1月期 連結 1,829 128 139 107 190
2023年 1月期 連結 2,107 244 237 171 -
2023年 1月期 連結 2,004 143 139 95 -
2023年 1月期 連結 2,004 144 139 95 247
2024年 1月期 連結 1,478 -73 -75 -82 -
2024年 1月期 連結 1,492 -27 -23 -33 -
2024年 1月期 連結 1,492 -28 -24 -34 52
2025年 1月期 連結 1,407 -161 -171 -176 -
2025年 1月期 連結 1,422 -172 -168 -171 -18
2026年 1月期 連結 1,650 -38 -16 129 -
2026年 1月期 連結 1,603 -61 -27 123 -
2026年 1月期 連結 1,603 -61 -28 124 112
★2027年1月期(予想) 1,865 66 67 50

※単位: 百万円

利益率推移

営業利益率 = 営業利益÷売上高×100 / 経常利益率 = 経常利益÷売上高×100 / 純利益率 = 当期純利益÷売上高×100

年度 売上高 (百万円) 営業利益率 (%) 経常利益率 (%) 純利益率 (%)
2017年 1月期 連結 1,463 -3.28% -11.89% -6.49%
2017年 1月期 連結 1,423 -6.11% -10.47% -8.78%
2017年 1月期 連結 1,424 -6.11% -10.46% -8.78%
2018年 1月期 連結 1,557 3.21% 3.40% 5.14%
2018年 1月期 連結 1,481 1.35% 1.89% 4.79%
2018年 1月期 連結 1,482 1.42% 1.89% 4.79%
2019年 1月期 連結 1,558 0.83% 0.96% 0.71%
2019年 1月期 連結 1,420 -8.03% -8.10% -8.24%
2019年 1月期 連結 1,420 -8.10% -8.17% -8.24%
2020年 1月期 連結 1,243 -7.48% -7.48% -7.88%
2020年 1月期 連結 1,088 -18.57% -18.75% -15.26%
2020年 1月期 連結 1,089 -18.55% -18.73% -15.24%
2021年 1月期 連結 1,082 -11.92% -11.00% -8.96%
2021年 1月期 連結 1,082 -12.01% -11.00% -9.06%
2022年 1月期 連結 1,479 7.17% 7.23% 6.29%
2022年 1月期 連結 1,828 7.00% 7.55% 5.80%
2022年 1月期 連結 1,829 7.00% 7.60% 5.85%
2023年 1月期 連結 2,107 11.58% 11.25% 8.12%
2023年 1月期 連結 2,004 7.14% 6.94% 4.74%
2023年 1月期 連結 2,004 7.19% 6.94% 4.74%
2024年 1月期 連結 1,478 -4.94% -5.07% -5.55%
2024年 1月期 連結 1,492 -1.81% -1.54% -2.21%
2024年 1月期 連結 1,492 -1.88% -1.61% -2.28%
2025年 1月期 連結 1,407 -11.44% -12.15% -12.51%
2025年 1月期 連結 1,422 -12.10% -11.81% -12.03%
2026年 1月期 連結 1,650 -2.30% -0.97% 7.82%
2026年 1月期 連結 1,603 -3.81% -1.68% 7.67%
2026年 1月期 連結 1,603 -3.81% -1.75% 7.74%
★2027年1月期(予想) 1,865 3.54% 3.59% 2.68%

※営業利益率 = 営業利益÷売上高×100、経常利益率 = 経常利益÷売上高×100、純利益率 = 当期純利益÷売上高×100

決算サマリー

トミタ電機株式会社の第75期(2026年1月31日終了分)の連結業績は、売上高1,603百万円(前期比12.8%増)、営業損失61百万円(前期は171百万円の損失)、経常損失27百万円(前期は167百万円の損失)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益の計上もあり123百万円(前期は171百万円の損失)と、最終黒字に転換しています。主力事業のフェライトコア販売がEV市場や工作機械向けに回復したことが寄与しました。

注目ポイント

  • 本業の赤字幅縮小と最終損益の黒字化:原価率の改善と経費削減により、営業損失が前年同期から大幅に縮小しました。
  • EV・先端分野へのシフト:車載用コンバータやRFID、AI関連など、高成長が見込まれる先端分野向けの新材質開発を強化しています。
  • 強固なキャッシュポジション:自己資本比率が85.4%まで上昇しており、無借金経営に近い極めて健全な財務状態を維持しています。

業界動向

電子部品材料業界では、中国市場の低迷やグローバルな価格競争が続いています。一方で、自動車の電装化(EV化)やデータセンター投資の拡大により、高性能な磁性材料であるフェライトコアの重要性は高まっています。同社はニッチな市場で高品質な製品を提供することで、大手競合他社との差別化を図っています。

投資判断材料

長期投資家にとって、同社の最大の魅力は「資産価値」と「財務の安定性」です。PBR(株価純資産倍率)が1倍を大きく割り込む水準で推移しており、解散価値を下回る評価となっています。今後の焦点は、現在進行中のコスト構造改革が結実し、本業(営業利益)で安定的に黒字を確保できる体制へ移行できるかどうかにあります。

セグメント別業績

電子部品材料事業

売上高:1,536百万円(前期比13.2%増)、セグメント損失:112百万円。中国のEV市場向け需要が堅調に推移し、国内の在庫調整も一巡したことで増収となりました。

不動産賃貸事業

売上高:67百万円(前期比3.1%増)、セグメント利益:50百万円。鳥取県内の店舗施設賃貸が安定した収益源となっており、グループ全体の赤字を補填する役割を果たしています。

財務健全性

自己資本比率は85.4%(前期末80.4%)と非常に高い水準です。有利子負債はほとんどなく、現預金も1,112百万円と豊富に保有しています。総資産4,659百万円に対して純資産3,981百万円となっており、財務的な倒産リスクは極めて低いと言えます。

配当・株主還元

第75期は当期純利益を計上したものの、本業の収益性改善と内部留保の充実を優先し、無配を継続しています。会社側は将来の安定的な利益還元を目指すとしていますが、具体的な復配時期は営業損益の黒字定着後になると予想されます。

通期業績予想

第75期は売上高の回復とコスト削減が順調に進みました。次期以降も、EV用新製品の投入や中国工場の自動化による生産効率向上が進捗率を左右する見通しです。

中長期成長戦略

「高信頼性・高効率・小型化」を掲げ、次世代パワー半導体に対応した高周波材質の開発に注力しています。また、中国工場への設備投資(257百万円規模の計画)を通じて、生産コストの徹底的な削減と品質の安定化を狙います。

リスク要因

  • 原材料価格の変動:主原料である酸化鉄や非鉄金属の国際相場上昇が利益を圧迫する可能性があります。
  • 為替変動リスク:海外生産・販売比率が高いため、円高進行は収益の押し下げ要因となります。
  • 中国経済の不確実性:主要市場である中国の景気動向や規制変更に大きく依存しています。

ESG・サステナビリティ

ISO14001に基づいた環境マネジメントを実践し、汚染防止や廃棄物削減に取り組んでいます。また、人的資本経営として女性管理職の登用目標(20%)を掲げるなど、ガバナンス体制の強化も進めています。

経営陣コメント

神谷社長は、グローバル競争が激化する中で「利益重視の生産体制」への転換を強調。新材質の開発スピードを上げ、顧客ニーズに即した最適設計を提供することで、新規受注の獲得に全力を挙げる方針を示しています。

バリュエーション

1株当たり純資産(BPS)は4,874.05円となっており、直近の株価水準から算出したPBRは約0.5〜0.7倍程度と推測されます。資産価値の面では著しく割安ですが、ROE(自己資本利益率)は3.16%に留まっており、資本効率の向上が市場評価回復の必須条件です。

過去決算との比較

直近4年間では、第73期・第74期と苦戦が続きましたが、第75期で売上高が反転しました。営業赤字幅が着実に縮小しており、ボトムアウト(底打ち)の兆しが見て取れるトレンドとなっています。

市場の評判

Tomita Electric Co., Ltd. (6898) has faced financial struggles, including operating losses in recent quarters. Investor sentiment has been cautious due to inconsistent performance. The company is also involved in solar power initiatives.

詳細リサーチレポート

最新の業績動向と今後の見通し

  • 2026年1月期の連結業績は、売上高16.03億円(前期比12.8%増)、営業損失6,100万円(前期は1.71億円の損失)と改善。
  • 親会社株主に帰属する当期純利益は1.23億円と黒字転換。
  • 自己資本比率は85.4%(前期末80.4%)に向上。
  • 2027年1月期の連結業績予想は、売上高18.65億円(当期比16.4%増)、営業利益6,600万円、経常利益6,700万円、親会社株主に帰属する当期純利益5,000万円を見込む。
  • EV、情報通信、産業機器、医療機器、省エネ・環境分野における国内外市場での新規開拓に向けた取り組みを強化し、海外生産工場の品質改善や経費削減を推進する方針。
  • 世界経済の不透明感と地政学リスクの高まり、国内外の競争激化が予想され、利益確保と事業拡大の両立が課題。

業界内での競合ポジションと市場シェア

  • 小型電子部品メーカーで、産業用フェライトコア、コイル・トランスが主力。
  • ソフトフェライト専業の電子部品材料メーカー。
  • 競合他社との比較、市場シェアに関する詳細な情報は見つかりませんでした。

成長戦略と重点投資分野

  • EV、情報通信、産業機器、医療機器、省エネ・環境分野における国内外市場での新規開拓。
  • 海外生産工場の品質改善や経費削減を推進。
  • 中長期的な経営戦略として、持続的な成長と企業価値向上を目指す。
  • 2027年1月31日までにスタンダード市場における上場維持基準に適合させることを基本方針とし、流通株式時価総額の向上を図る。
  • 新材質開発として、EV、AI、RFID、IDC等の先端分野、IoT及び自動運転への応用、並びに電子機器の小型化・高機能化・高周波化に対応する低損失・高飽和磁束密度・高透磁率フェライトコアの開発に取り組む。

リスク要因と課題

  • 世界経済の不透明感と地政学リスクの高まり。
  • 国内外の競争激化。
  • 中国政府による法律、税制、規則等の変更や地方政府による最低賃金の改定。
  • 大規模な自然災害や長時間にわたる停電による国内外の製造拠点及び製造体制への影響。
  • 事業用不動産の減損損失。
  • 他社との取引において、不測の事態が発生した場合の契約不履行や遅延。
  • 為替変動による影響。
  • 特定の仕入先への依存。
  • 情報セキュリティに関するリスク。

アナリストの評価と目標株価

  • アナリストによるレーティング、目標株価は「--」と表示されている。
  • アナリスト予想、コンセンサスに関する情報は見つかりませんでした。

最近の重要ニュースやイベント

  • 2026年1月14日、神谷哲郎(相続人代表 神谷陽一郎)が大量保有報告書を提出、保有割合9.76%。
  • 2026年3月12日、2026年1月期連結決算を発表、経常赤字減少。
  • 2026年4月26日、上場維持基準の適合に向けた計画書を発表。

ESG・サステナビリティへの取り組み

  • カーボンニュートラルの実現に向けて、付加価値を高めた商品やサービスを提供し、顧客満足度の向上を追求する。
  • 社員のやりがいを尊重して、公正な機会を提供し、社員の健康増進及び幸福度向上を図る。
  • 事業を展開する各国・各地域の法令に基づいたフェアな企業活動により、地域の経済及び社会の発展に貢献する。
  • 多様なステークホルダーとの対話を通じた信頼関係の構築により、企業価値の向上を図る。

配当政策と株主還元

  • 安定的な配当の継続を基本とし、企業体質と経営基盤の強化並びに今後の事業展開に備えるための内部留保の充実を図りながら実施していく方針。
  • 当期の配当金は無配。
  • 次期の配当金についても、継続的な利益の確保と健全な財務体質の向上を図り、早期の復配を目指すとしているが、具体的な予想は示されていない。
  • 過去の配当金推移を見ると、2013年1月期から2027年1月期まで無配が続いている。

情報源

年度別バリュエーション推移(PBR/PER/時価総額)

株価推移(高値・安値)02,0004,0006,0008,00010,000'11/1'14/1'17/1'20/1'23/1'26/1最新(株探)高値安値PBR推移(高値・安値・期末PBR)0.0倍0.5倍1.0倍1.5倍2.0倍'11/1'14/1'17/1'20/1'23/1'26/1最新(株探)PBR高値PBR安値期末PBRPER推移(高値・安値)0倍20倍40倍60倍80倍100倍'11/1'14/1'17/1'20/1'23/1'26/1最新(株探)PER高値PER安値時価総額推移(高値・安値)0億20億40億60億80億'11/1'14/1'17/1'20/1'23/1'26/1最新(株探)高値安値ROE推移(PBR÷PERで算出・高値同士/安値同士)0.0%1.0%2.0%3.0%4.0%5.0%6.0%'11/1'14/1'17/1'20/1'23/1'26/1最新(株探)ROE高値ROE安値
年度 株価高値 株価安値 PER高値 PER安値 PBR高値 PBR安値 時価総額高値 時価総額安値 期末PBR
2011年1月期 1,240 680 赤字 赤字 0.27 0.15 10億1295万 5億5549万 0.2倍
2012年1月期 1,220 540 赤字 赤字 0.29 0.13 9億9661万 4億4112万 0.22倍
2013年1月期 1,440 740 10.8 5.55 0.33 0.17 11億7645万 6億456万 0.23倍
2014年1月期 2,220 1,000 88.8 40 0.4 0.18 18億1369万 8億1697万 0.26倍
2015年1月期 4,250 1,180 14.2 3.94 0.72 0.2 34億7216万 9億6403万 0.48倍
2016年1月期 4,470 1,170 赤字 赤字 0.8 0.21 36億5189万 9億5586万 0.24倍
2017年1月期 2,280 1,050 赤字 赤字 0.42 0.19 18億6271万 8億5782万 0.27倍
2018年1月期 3,070 1,300 28.44 12.04 0.57 0.24 25億812万 10億6207万 0.4倍
2019年1月期 2,320 940 赤字 赤字 0.45 0.18 18億9539万 7億6796万 0.26倍
2020年1月期 1,933 971 赤字 赤字 0.39 0.2 15億7922万 7億9328万 0.25倍
2021年1月期 2,620 651 赤字 赤字 0.56 0.14 21億4048万 5億3185万 0.27倍
2022年1月期 3,075 1,222 19 7.55 0.62 0.24 25億1221万 9億9834万 0.44倍
2023年1月期 9,420 1,958 65.08 13.53 1.75 0.36 76億9594万 15億9964万 0.52倍
2024年1月期 4,055 1,230 赤字 赤字 0.81 0.25 33億1284万 10億488万 0.3倍
2025年1月期 2,400 1,153 赤字 赤字 0.5 0.24 19億6074万 9億4197万 0.47倍
2026年1月期 3,790 2,001 24.96 13.18 0.78 0.41 30億9635万 16億3477万 0.76倍
最新(株探) 4150 - 67.8倍 - 0.85倍 - - - 0.85倍

ROE算出表(PBR÷PER×100)

PBR = ROE × PER の関係式から逆算。高値同士・安値同士で算出しています。

年度 PBR高値 PER高値 ROE高値(%) PBR安値 PER安値 ROE安値(%)
2011年1月期 0.27 赤字 - 0.15 赤字 -
2012年1月期 0.29 赤字 - 0.13 赤字 -
2013年1月期 0.33 10.8 3.1% 0.17 5.55 3.1%
2014年1月期 0.4 88.8 0.5% 0.18 40 0.4%
2015年1月期 0.72 14.2 5.1% 0.2 3.94 5.1%
2016年1月期 0.8 赤字 - 0.21 赤字 -
2017年1月期 0.42 赤字 - 0.19 赤字 -
2018年1月期 0.57 28.44 2.0% 0.24 12.04 2.0%
2019年1月期 0.45 赤字 - 0.18 赤字 -
2020年1月期 0.39 赤字 - 0.2 赤字 -
2021年1月期 0.56 赤字 - 0.14 赤字 -
2022年1月期 0.62 19 3.3% 0.24 7.55 3.2%
2023年1月期 1.75 65.08 2.7% 0.36 13.53 2.7%
2024年1月期 0.81 赤字 - 0.25 赤字 -
2025年1月期 0.5 赤字 - 0.24 赤字 -
2026年1月期 0.78 24.96 3.1% 0.41 13.18 3.1%
最新(株探) 0.85倍 67.8倍 1.3% - - -

バリュエーション推移の概要

トミタ電機(6898)の過去15年間のバリュエーション推移を俯瞰すると、長期にわたりPBR(株価純資産倍率)1倍を大きく下回る「ディープ・バリュー」の状態が続いてきました。2011年から2021年までの大半の期間において、期末PBRは0.2倍から0.4倍台で推移しており、解散価値を大幅に下回る評価が定着していました。しかし、2022年1月期以降、利益水準の改善や市場の関心の高まりを背景にバリュエーションの切り上げ(リレイティング)が発生しており、足元ではPBR 0.85倍と、過去10年の平均水準を大きく上回る領域に達しています。

PBR分析

PBRの歴史的推移を見ると、下値目処は2012年1月期や2021年1月期に記録した0.13〜0.14倍という極めて低い水準にあります。一方で、高値圏は長らく0.8倍程度が壁となっていましたが、2023年1月期には一時PBR 1.75倍まで急騰する場面がありました。これは、株価が9,420円まで高騰したことによる一時的なオーバーシュートと考えられます。期末PBRで見ると、2011年から2021年までは0.2倍〜0.3倍近辺が定位置でしたが、直近の2026年1月期予想ベースでの期末PBRは0.76倍、最新データでは0.85倍となっており、歴史的な低位レンジからは完全に脱却し、PBR 1.0倍の回復を視野に入れた水準に位置しています。

PER分析

PER(株価収益率)の推移は、同社の純利益のボラティリティの高さから、非常に不規則なパターンを示しています。全16期間のうち約半数が「赤字」または赤字転落を含んでおり、収益基盤の不安定さがPERによる評価を困難にしています。利益計上時のPERレンジも広く、2015年1月期の安値時PER 3.94倍から、2014年1月期の高値時PER 88.8倍まで極端な振れ幅があります。最新の株探データではPER 67.8倍と算出されており、2026年1月期の予想PER(13.18〜24.96倍)と比較しても、現在の市場価格は将来の利益回復をかなり先行して織り込んでいる、あるいは利益水準に対してプレミアムが付与されている状態と言えます。

時価総額の推移

時価総額は、2011年当時は5億円〜10億円規模の極小キャップ銘柄でしたが、業績や期待感の変化に伴い大きく変動しています。2023年1月期には一時76億9594万円にまで膨らみましたが、その後は30億円前後での推移が目立ちます。2026年1月期の時価総額(高値)は30億9635万円と、2010年代前半の平均的な水準(10億円〜20億円)と比較すると、企業価値のボトムラインが一段切り上がっている様子が伺えます。ただし、依然として小型株特有の流動性の低さと、それに伴う価格変動の激しさが時価総額のデータにも顕著に表れています。

現在のバリュエーション評価

現在のPBR 0.85倍という水準は、トミタ電機の過去15年間の歴史において、2023年1月期の特異な急騰期を除けば、最も高い評価水準にあります。過去の平均的な期末PBR(約0.3倍前後)と比較すると、現在は「割安」というよりも「成長期待」あるいは「資産価値の再評価」が進んだ状態と評価できます。最新のPER 67.8倍も、2026年予想のPERレンジの上限を上回っており、短期的には期待値が先行している可能性があります。投資家は、現在のバリュエーションが維持されるためには、2026年1月期に向けた着実な黒字化と、PBR 1.0倍割れ是正に向けた継続的な収益性の向上が伴うかどうかを注視する必要があります。

キャッシュフロー推移

キャッシュフロー推移(営業CF・投資CF・フリーCF)-3億-2億-1億0百万1億2億3億'17/1'19/1'21/1'23/1'25/1'26/10営業CF投資CFフリーCF設備投資 vs フリーCF(百万円)-3億-2億-1億0百万1億2億3億'17/1'19/1'21/1'23/1'25/1'26/10設備投資#1フリーCF現金等残高推移9億10億11億12億13億14億'17/1'19/1'21/1'23/1'25/1'26/1現金等
年度 四半期 営業CF 投資CF 財務CF フリーCF 設備投資#1 現金等
2017年1月期 通期 54 206 -4 260 -143 1249
2018年1月期 通期 7 93 -9 100 -44 1325
2019年1月期 通期 -128 -41 -11 -168 -48 1137
2020年1月期 通期 15 -27 -13 -12 -37 1109
2021年1月期 通期 -77 -11 -11 -87 -12 996
2022年1月期 通期 59 -35 -12 24 -30 1041
2023年1月期 通期 40 -82 -6 -42 -76 1061
2024年1月期 通期 78 -40 177 38 -64 1319
2025年1月期 通期 -109 -118 78 -227 -135 1248
2026年1月期 通期 -117 -27 15 -144 -28 1112

※単位: 百万円。データ出典: IRBank(irbank.net)

キャッシュフロー推移の概要

トミタ電機の過去10年間のキャッシュフロー(CF)推移を俯瞰すると、本業の稼ぎを示す営業CFが安定せず、プラスとマイナスを繰り返す不安定な局面が続いています。2017年〜2018年頃は資産売却等を含む投資CFのプラスによりキャッシュを維持していましたが、近年は設備投資を継続しつつも営業CFの赤字を外部調達で補う傾向が見られます。 直近の2026年1月期(予測値含む)のパターンは、営業CF(マイナス)・投資CF(マイナス)・財務CF(プラス)となっており、フレームワークに基づくと「勝負型」に判定されます。これは、本業のキャッシュ流出と将来への投資を、外部からの資金調達で賄っている状態を示唆しています。

営業キャッシュフロー分析

営業CFは、分析期間中の10年間で5回マイナスを計上しており、本業によるキャッシュ創出力には課題が見られます。特に2025年1月期(-1.09億円)、2026年1月期(-1.17億円)と2期連続での流出が続いています。2024年1月期には0.78億円のプラスを確保したものの、持続的な成長軌道に乗っているとは言い難い状況です。棚卸資産の増減や売上債権の回収状況など、運転資本の管理、および損益分岐点の改善が、営業CFを安定的にプラス圏へ浮上させるための喫緊の課題と言えます。

投資キャッシュフロー・設備投資分析

投資活動については、2017年〜2018年頃に見られた資産売却等のプラス(2.06億円、0.93億円)のフェーズから、現在は継続的な設備投資を行うフェーズへ移行しています。設備投資額は2025年1月期に1.35億円と直近10年で2番目の規模となっており、厳しい収益環境下でも製造設備の更新や合理化投資を継続している姿勢が伺えます。しかし、投資CFは長らくマイナス傾向にあり、これらの投資が将来の営業CF改善にどの程度の期間で寄与するかが、今後の注目ポイントとなります。

フリーキャッシュフロー分析

フリーCF(営業CF+投資CF)は、10年間で6回マイナスとなっており、自社で稼いだ資金の範囲内で投資を賄い、余剰金を生み出す「自己完結型の成長サイクル」には至っていません。特に2025年1月期は営業CFのマイナスと積極的な設備投資が重なり、2.27億円の大幅なフリーCFの流出となりました。このようにフリーCFが恒常的にプラスで安定していないことから、現時点では配当や自社株買いといった積極的な株主還元を期待できる余力は限定的であると評価されます。

財務戦略・現金残高の評価

財務CFは2024年1月期(1.77億円)、2025年1月期(0.78億円)とプラスに転じており、不足する資金を借入等の財務活動によって補填しています。特筆すべきは現金等残高の維持能力です。営業CFが苦戦する中でも、手元流動性は概ね10億円〜13億円前後を維持しており、2026年1月期末でも11.12億円を確保する見込みです。これは、同社の事業規模(年間の設備投資額が数千万円〜1億円強)に照らすと相応の厚みがあり、短期的には資金繰りの懸念は低いものの、中長期的には借入依存度の上昇を注視する必要があります。

キャッシュフロー総合評価

トミタ電機のキャッシュフロー構造は、豊富な手元資金(約11億円)をバックボーンに、本業の停滞と将来への投資を支えている「耐え忍ぶ財務構造」と言えます。財務健全性の要である現金残高は維持されていますが、キャッシュ創出力(営業CF)の脆弱性が最大の懸念材料です。 投資家としては、現在進めている設備投資が「収益性の向上」と「営業CFの安定化」に結びつくタイミングを見極めることが重要です。外部調達によるキャッシュ維持には限界があるため、早期に「勝負型」から、本業で稼いだ資金で投資と返済を行う「優良安定型」へ移行できるかどうかが、長期的な企業価値向上の鍵となるでしょう。

DCF法による理論株価分析

DCF分析の前提条件

パラメータ 説明
WACC(割引率) 9.0% 加重平均資本コスト
FCF成長率 5.0% 予測期間中の年平均成長率
EV/FCF倍率 24.44倍 ターミナルバリュー算出用(現在の市場評価)
予測年数 5年 将来FCFの予測期間
発行済株式数 816,867株 理論株価算出の分母
現金及び現金同等物 11億 非事業資産として加算
有利子負債 3億 企業価値から控除

将来フリーキャッシュフロー予測

予測年 予測FCF 現在価値(PV)
1年目 1億 1億
2年目 1億 98百万
3年目 1億 94百万
4年目 1億 91百万
5年目 1億 88百万
ターミナルバリュー 33億 21億
フリーキャッシュフロー推移(実績 + DCF予測)-3億-2億-1億0百万1億2億2224262028予2030予2031予0FCF実績FCF予測

理論株価の算出プロセス

① 予測FCF現在価値の合計 5億
② ターミナルバリューの現在価値 21億
③ 事業価値(① + ②) 26億
④ 加算: 現金及び現金同等物 +11億
⑤ 控除: 有利子負債 -3億
⑥ 株主価値(③ + ④ − ⑤) 34億
DCF理論株価
4,190円
現在の株価
4,150円
乖離率(割安)
+1.0%

感度分析(理論株価: 円)

WACC(横軸)とFCF成長率(縦軸)を変化させた場合の理論株価の変動を示します。

WACC →
FCF成長率 ↓
7.0%8.0%9.0%10.0%11.0%
0.0%3,7743,6583,5483,4433,344
2.5%4,1093,9783,8543,7363,625
5.0%4,4764,3294,1904,0583,933
7.5%4,8794,7144,5584,4104,270
10.0%5,3205,1364,9614,7964,639

※ 緑色: 現在株価(4,150円)より高い(割安方向) / 赤色: 低い(割高方向) / 青背景: 現在の前提条件

DCF分析の総合評価

トミタ電機株式会社(6898)のDCF分析に基づく理論株価は4,190円となり、現在の市場価格4,150円(基準日時点)との乖離率は+1.0%です。この数値は、現在の株価がDCFモデル上の理論価値とほぼ一致している「適正株価(フェア・バリュー)」の水準にあることを示唆しています。わずかな割安感はあるものの、分析上の誤差範囲内と言えるため、市場は将来のキャッシュフロー創出能力を概ね正確に織り込んでいると評価できます。ただし、この評価は将来のFCFが予測通りに劇的に改善することを前提としています。

フリーキャッシュフローの質

過去のFCF実績を振り返ると、2017年1月期の2億6,000万円をピークに、直近の2025年1月期(-2億2,700万円)、2026年1月期(-1億4,400万円)と、赤字(マイナスのキャッシュフロー)が続く厳しい状況が見て取れます。これに対し、今回の予測では1年目に1億1,100万円のプラス転換を見込み、その後も年率5.0%の成長を維持するという「V字回復」のシナリオを描いています。過去10年間の実績における不安定さを考慮すると、予測FCFの実現性には慎重な見極めが必要です。事業構造の改革や新規案件の獲得など、キャッシュフローを反転させる具体的根拠の有無が、予測の信頼性を左右する鍵となります。

前提条件の妥当性

WACC(加重平均資本コスト)は9.0%と設定されています。中小型株特有のリスクプレミアムを考慮すると概ね妥当な水準ですが、金利環境の変化によっては上昇余地があります。一方、予測期間のFCF成長率5.0%は、近年の実績と比較するとやや楽観的な印象を与えます。また、出口マルチプル(EV/FCF倍率)の24.44倍は、同社の過去の収益性の低迷を鑑みると強気の姿勢と言えます。これらの前提条件がわずかに下振れするだけで、理論株価は容易に現在の市場価格を下回る可能性があるため、保守的な視点も欠かせません。

ターミナルバリューの影響

本分析において、事業価値26億円のうち、ターミナルバリュー(TV)の現在価値が21億円を占めており、その比率は約81%に達します。これは企業価値の大部分が、5年目以降の不確実な将来予測に依存していることを意味します。TVへの依存度が高い構造は、DCF法の特性ではあるものの、将来の成長性や割引率の微小な変動が理論株価に極めて大きな影響を及ぼすリスク(モデルの脆弱性)を内包しています。投資家は、直近5年間のCF改善が実現しなかった場合、TVの前提そのものが崩れるリスクを認識すべきです。

感度分析から読み取れること

理論株価4,190円に対し乖離率が1.0%と極めてタイトであるため、感度分析上のインパクトは非常に大きくなります。例えば、WACCが1.0%上昇(9.0%→10.0%)するか、あるいは成長率が1.0%低下するだけで、理論株価は現在の株価(4,150円)を数百度単位で下回る可能性が高いです。一方で、現預金11億円に対し有利子負債3億円と、ネットキャッシュが8億円(1株あたり約979円相当)存在する点は、株価の下値支持要因として機能しています。この財務の健全性が、事業の不安定さを一定程度カバーしている構造と言えます。

投資判断への示唆

DCF分析の結果からは、現在の株価は「将来の収益回復を織り込んだ妥当な水準」であると結論付けられます。投資判断においては、同社が予測通りのキャッシュフロー創出(1.1億円以上のFCF継続)を実現できるかという「実行力」が最大の焦点となります。ただし、DCF法は入力する前提条件(割引率や成長率)によって結果が大きく変動する主観的な側面を持つ手法です。本分析はあくまで一つのシミュレーションであり、実際の投資にあたっては業績推移の継続的なモニタリングに加え、PBR(株価純資産倍率)などの他の指標も併用し、総合的に判断することをお勧めします。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

2027年1月期の黒字転換予想を背景に、今後の緩やかな収益回復を見込んでFCF成長率を5%と推定しました。WACCは、小規模キャップ特有の流動性リスクや業績変動性を加味し、リスクプレミアムを高めに設定した9.0%としています。発行済株式数は、2027年予想純利益とPERから導出される時価総額(約33.9億円)を現在の株価で除して算出しました。有利子負債は、現預金残高が豊富である一方、製造業としての設備投資維持を考慮し、300百万円と保守的に見積もっています。

⚠️ 免責事項: 本DCF分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 DCF法は前提条件(WACC、成長率等)に大きく依存するため、感度分析を参考に幅を持って評価してください。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

リバースDCF分析(市場の期待値)

市場が織り込んでいる成長期待

現在の株価(4,150円)を正当化するために必要なインプライドFCF成長率を逆算しました。

インプライドFCF成長率
4.7%
市場が織り込む成長率
AI推定FCF成長率
5.0%
ファンダメンタル分析ベース
成長率ギャップ
-0.3%
ほぼ妥当

リバースDCF詳細

現在の株価4,150円
インプライドFCF成長率4.72%
AI推定FCF成長率5.00%
成長率ギャップ-0.28%(ほぼ妥当)
インプライドWACC30.00%
AI推定WACC9.00%
📖 読み方:
  • インプライド成長率 > AI推定成長率 → 市場は楽観的。期待通りの成長が実現しなければ株価下落リスク
  • インプライド成長率 < AI推定成長率 → 市場は悲観的。実態より過小評価されている可能性
  • 両者がほぼ一致 → 市場の評価はファンダメンタルに整合的

市場の期待値の評価

トミタ電機株式会社(6898)の現在株価4,150円から算出された「インプライド成長率」は4.72%となりました。これは、現在の株式市場が同社の将来的なフリーキャッシュフロー(FCF)に対し、年率平均で約4.7%の成長を継続的に見込んでいることを示唆しています。AIが推定する期待成長率5.00%と比較すると、その差(ギャップ)は-0.28%と極めて小さく、市場の評価はAIの予測とほぼ一致しており、「概ね妥当な水準」であると分析できます。特筆すべきはインプライドWACCが30.00%と非常に高い数値を示している点です。これは、市場が同社の小規模な時価総額や流動性リスク、あるいは業績のボラティリティを織り込み、非常に高い期待収益率(=リスクプレミアム)を要求していることを意味します。

インプライド成長率の実現可能性

市場が織り込む4.72%という成長率の実現可能性については、同社の事業構造と業界環境から慎重に見極める必要があります。トミタ電機はフェライトコアなどの磁性材料および応用製品の専門メーカーであり、主なターゲットは家電、通信機器、そして成長著しい車載用電子部品市場です。脱炭素化に伴う電気自動車(EV)化や再生可能エネルギー向けパワーコンディショナの需要拡大は、同社にとって強力な追い風となります。AI推定の5.00%という成長率は、これらニッチ市場における同社の技術的優位性と、近年の電子部品業界のトレンドを反映したものと考えられます。過去の業績推移に照らし合わせても、4%台後半の成長は決して過度な期待ではなく、着実な受注確保と生産効率の向上が伴えば、十分に達成可能な射程圏内にあると言えます。

投資判断への示唆

リバースDCF分析の結果、現在の株価4,150円は市場の期待値とAIの推定値がほぼ均衡している状態にあります。成長率ギャップが-0.28%と僅かにマイナス(市場の方が慎重)であるため、理論上はごく僅かな割安感があるとも解釈できますが、基本的には「現在の事業見通しが株価に適切に反映されている」と判断するのが合理的です。今後の投資判断においては、この4.72%という期待値を上回るポジティブなサプライズ(例:新製品の採用拡大、想定以上の利益率改善、あるいはWACCを低下させるような財務基盤の強化など)があるかどうかが焦点となります。逆に、市場の要求収益率(インプライドWACC 30%)が示す通り、リスク許容度が低い局面では株価の変動が大きくなる可能性がある点には留意が必要です。以上の数値を踏まえ、現在の株価水準が自身のリスク・リターン特性に見合っているかをご検討ください。

拡張感応度分析・シナリオ分析

感度分析: WACC × FCF成長率(理論株価: 円)

金利上昇はWACCの増加、景気後退はFCF成長率の低下として理論株価に影響します。

WACC →
FCF成長率 ↓
7.0%8.0%9.0%10.0%11.0%
0.0%3,7743,6583,5483,4433,344
2.5%4,1093,9783,8543,7363,625
5.0%4,4764,3294,1904,0583,933
7.5%4,8794,7144,5584,4104,270
10.0%5,3205,1364,9614,7964,639

※ 緑色: 現在株価(4,150円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 現在の前提条件

シナリオ分析(楽観・基本・悲観)

金利環境・景気動向の変化に応じた3つのシナリオで理論株価を比較します。

楽観シナリオ
WACC: 7.5% / FCF成長率: 12.0%
永久成長率: 1.3%
5,600円
+34.9%
基本シナリオ
WACC: 9.0% / FCF成長率: 5.0%
永久成長率: 1.0%
4,190円
+1.0%
悲観シナリオ
WACC: 10.5% / FCF成長率: -3.0%
永久成長率: 0.6%
3,083円
-25.7%

シナリオ分析の総合評価

トミタ電機株式会社(6898)の理論株価は、基本シナリオにおいて4,190円と算出されました。現在株価(4,150円)との乖離率は+1.0%であり、現在の市場価格はファンダメンタルズに基づいた妥当な水準(フェアバリュー)にあると評価できます。楽観シナリオでは5,600円(+34.9%)、悲観シナリオでは3,083円(-25.7%)と、前提条件の変化によって理論株価は上下に大きく振れる構造となっています。現在株価は基本シナリオの極めて近くに位置しており、市場は同社の将来的な成長性とリスクを概ね適正に織り込んでいる状態と言えます。

金利変動の影響

本分析において、資本コスト(WACC)の変動は理論株価に決定的な影響を与えています。基本シナリオのWACC 9.0%に対し、楽観シナリオで7.5%へ低下した場合は株価を大きく押し上げる要因となりますが、悲観シナリオのように10.5%まで上昇した場合は、理論株価が3,000円台前半まで下落する試算となりました。WACCが1.5%上昇するだけで理論株価が大幅に毀損する点は、金利上昇局面や資本コスト増大時における株価の脆弱性を示唆しています。投資家は、マクロ経済における金利動向や、同社の信用リスクの変化が企業価値に与える感応度を十分に注視する必要があります。

景気変動の影響

フリーキャッシュフロー(FCF)成長率の変動も、下値リスクを推し量る上で重要な指標です。基本シナリオの成長率5.0%に対し、景気後退や競争激化を想定した悲観シナリオ(成長率-3.0%)では、理論株価は現在価格を25%以上下回る3,083円となります。FCF成長率がマイナス圏に沈むような局面では、株価の下落圧力は極めて強くなることが予想されます。一方、成長率が12.0%まで加速する楽観シナリオでは5,600円までの上値余地が示されており、同社の事業展開が想定を上回るスピードで進展した場合の期待値も無視できない規模となっています。

投資判断への示唆

以上の分析結果を総合すると、現在の株価4,150円は基本シナリオに基づく理論株価(4,190円)とほぼ一致しており、バリュエーション面での割安感・割高感は限定的です。特筆すべきは「安全域(マージン・オブ・セーフティ)」が約1%程度と極めて薄い点です。これは、事業環境や資本コストがわずかに悪化の兆しを見せるだけで、株価が割高圏へ転じるリスクを孕んでいることを意味します。投資に際しては、楽観シナリオ(+34.9%)の蓋然性を高めるポジティブな材料(新規受注の拡大や生産効率の向上など)をどこまで見込めるか、あるいは悲観シナリオ(-25.7%)に対する耐性をどう評価するかが、判断の分岐点となります。

モンテカルロシミュレーション

シミュレーション結果サマリー

WACC・FCF成長率・永久成長率をそれぞれ正規分布でランダムに変動させ、100,000回のDCF計算を実行した結果です。DCF計算の非線形性(特にゴードン成長モデルの割引構造)により、理論株価の分布は対数正規分布に近い形状となるため、ヒストグラムは対数スケールで表示しています。

平均理論株価
2,963円
中央値
2,927円
90%レンジ(5-95%点)
2,424 〜 3,621円
割安確率
0.5%
理論株価 > 現在株価
モンテカルロシミュレーション:理論株価の確率分布(100,000回・対数スケール)0.0%1.2%2.3%3.5%4.6%5.8%2,322円2,482円2,654円2,837円3,034円3,243円3,467円3,707円シミュレーション分布現在株価

※ ヒストグラムは対数スケールで表示し、外れ値の影響を抑えるため分布の中央96%(2〜98パーセンタイル)を表示しています。対数スケールにより、DCF計算の非線形性に起因する右裾の歪みが補正され、分布の形状をより正確に把握できます。平均・中央値・パーセンタイルなどの統計値は元のスケールで有効サンプル全体から計算しています。

理論株価のパーセンタイル分布

シミュレーション結果を小さい順に並べたとき、各パーセンタイルにおける理論株価を示します。

パーセンタイル 5% 10% 25% 50% 75% 90% 95%
理論株価2,424円2,525円2,704円2,927円3,181円3,446円3,621円

※ 緑色: 現在株価(4,150円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 中央値(50%タイル)

リスク指標

理論株価の標準偏差 367円
5% VaR(下位5%タイル) 2,424円
変動係数(CV = σ / 平均) 12.4%
有効シミュレーション数 100,000 / 100,000

確率分布の解釈

今回のモンテカルロシミュレーションの結果、トミタ電機の理論株価は平均値2,963円、中央値2,927円となりました。平均値が中央値を上回っている点は、DCF法の特性上、成長率や割引率の変動が理論株価に対して非線形に作用し、分布が右側に裾を引く対数正規分布に近い形状を示していることを示唆しています。理論株価の90%信頼区間(5パーセンタイルから95パーセンタイル)は2,424円から3,621円の範囲に収まっており、今回設定したパラメータ(FCF成長率5.0%±3.75%等)に基づけば、企業のファンダメンタルズ価値はこの範囲内に着地する蓋然性が高いと解釈されます。

リスク評価

下振れリスクの指標である5% VaR(バリュー・アット・リスク)は2,424円となりました。これは、極端に悲観的なシナリオ(下位5%)に陥った場合でも、理論上の価値は2,424円以上を維持する可能性が高いことを示しています。また、変動係数(CV)は約12.4%(標準偏差367円 / 平均2,963円)となっており、将来のキャッシュフロー予測やWACCの不確実性が理論株価に与える影響は、一定の範囲内に抑制されていると評価できます。ただし、現在の市場価格とこのVaRとの間には大きな乖離がある点に注意が必要です。

現在株価の統計的位置づけ

現在株価4,150円は、シミュレーションで得られた理論株価の分布において、極めて特異な位置にあります。割安確率が0.5%という数値は、10万回の試行のうち、理論株価が現在株価を上回ったケースがわずか500回程度しかなかったことを意味します。現在株価は最高値圏である95パーセンタイル(3,621円)をも大幅に上回っており、統計的な観点からは、現在の市場価格はシミュレーションで想定した成長シナリオ(平均成長率5.0%)を遥かに凌駕する超成長、あるいは資本コストの劇的な低下を織り込んでいる状態と言えます。

投資判断への示唆

ファンダメンタルズ価値に基づく「マージン・オブ・セーフティ(安全域)」の観点から見れば、現在の株価4,150円は理論上の平均値(2,963円)に対して約40%のプレミアムが乗った状態にあります。投資家としては、この乖離を「シミュレーションに含まれていない将来の急激な事業拡大や、特定の材料による期待値」と捉えるか、あるいは「ファンダメンタルズからの過剰な乖離」と捉えるかが判断の分かれ目となります。割安確率が0.5%と極めて低い水準にあるため、現在の株価水準でのエントリーは、価格下落リスクに対して慎重な検討が求められます。投資に際しては、設定した成長率(5.0%)を大幅に超えるポジティブな要因が同社に存在するかを精査することが重要です。

📖 モンテカルロシミュレーションの読み方:
  • 割安確率: シミュレーション結果のうち、理論株価が現在株価を上回った割合。50%超なら統計的に割安寄り
  • 90%レンジ(5-95%点): 全シミュレーション結果を並べたときの下位5%点から上位95%点までの範囲。幅が広いほど不確実性が高い
  • 5% VaR: 悲観的な条件下でも95%の確率でこの値以上になると期待される最低ライン
  • 変動係数: 平均に対する標準偏差の比率。30%超だとパラメータ感度が高い(結果の信頼性に注意)
⚠️ 免責事項: 本モンテカルロシミュレーションはAIが推定したパラメータの分布に基づく統計的な参考値であり、投資助言ではありません。 入力パラメータに正規分布を仮定し、DCF計算の非線形性により出力は対数正規分布に近い形状となります。パラメータ間の独立性の仮定など、実際の市場とは異なる前提を含んでいます。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

EPS/BPSベース理論株価分析

理論株価モデルの前提条件

パラメータ 説明
直近EPS 61.20円 1株あたり利益
直近BPS 4882.35円 1株あたり純資産
1株配当 0.00円 年間配当金
EPS成長率 2.0% 予測期間中の年平均
割引率 10.0% 将来EPSの割引率
想定PER 67.80倍 理論株価算出に使用

EPS/BPS予測と理論株価

年度 期首BPS EPS 配当 自己資本増加 期末BPS ROE(%) EPS成長率(%) PER(倍) PBR(倍) DCF 理論株価
2027年1月 4882.35 61.20 0.00 61.20 4943.55 1.25 0.00 67.80 0.84 61.20 4,149
2028年1月 4943.55 62.42 0.00 62.42 5005.97 1.26 2.00 67.80 0.85 56.75 4,232
2029年1月 5005.97 63.67 0.00 63.67 5069.65 1.27 2.00 67.80 0.85 52.62 4,317
2030年1月 5069.65 64.95 0.00 64.95 5134.59 1.28 2.00 67.80 0.86 48.79 4,403
2031年1月 5134.59 66.24 0.00 66.24 5200.84 1.29 2.00 67.80 0.86 45.25 4,491
ターミナル 2788.81
PER×EPS 理論株価
4,149円
+0.0%
DCF合計値
3,053.42円
-26.4%
現在の株価
4,150円

DCF内訳

予測期間EPS現在価値合計(5年分) 264.61円
ターミナルバリュー現在価値 2788.81円(全体の91.3%)
DCF合計理論株価 3,053.42円

EPS/BPSモデルの総合評価

トミタ電機株式会社(6898)の理論株価モデルに基づくと、現在の市場価格4,150円は、PER×EPSアプローチによる理論値(4,149円)とほぼ一致しており、現時点での市場期待値を的確に反映した水準と言えます。しかし、将来のキャッシュフローを現在価値に割り戻したDCF合計理論株価は3,053.42円にとどまり、現在株価との間に-26.4%の大幅な乖離が生じています。これは、現在の株価が純粋な収益性(DCF)よりも、高い期待PER(67.80倍)に支えられている側面が強いことを示唆しています。

ROE推移の見通し

モデル上のROE(自己資本利益率)は、2027年1月期の1.25%から2031年1月期の1.29%へと、わずかながら上昇傾向にあります。同社は配当支払を行わず、利益をすべて内部留保(利益剰余金)に回す前提であるため、期末BPSは4,882円から5,200円へと着実に蓄積されます。通常、BPSの増大はROEの低下を招きやすいですが、本モデルではEPS成長率が2.0%と設定されており、資本の蓄積を上回る利益成長が維持されることで、低水準ながらも資本効率の改善が継続するシナリオとなっています。ただし、1%台のROEは資本コスト(割引率10.0%)を大きく下回っており、依然として資本効率の向上が課題であることが浮き彫りになっています。

前提条件の妥当性

本モデルでは、EPS成長率を2.0%、割引率を10.0%と設定しています。成熟産業における着実な成長を見込んだ保守的な設定と言えますが、特筆すべきは想定PER 67.80倍という高い水準です。製造業の平均的なPERと比較して著しく高く、この倍率の維持が理論株価4,149円の成立要件となっています。一方、PBR(株価純資産倍率)の視点では、期末BPSに対して0.84倍〜0.86倍で推移しており、解散価値である1倍を下回る水準です。これは、市場が同社の「収益性」には厳しい評価を下しつつも、「資産価値」を一定の裏付けとして評価している現状を反映していると考えられます。

投資判断への示唆

モデルの結果は、現在の株価が「高いPER(期待感)」と「BPS(資産価値)」のバランスの上に成り立っていることを示しています。DCF法による算出額が現在株価を大きく下回っている事実は、将来的な利益成長が加速するか、あるいはPERの妥当性が再評価された場合に、株価が調整されるリスクを内包していることを意味します。投資家としては、現在適用されている67.80倍という高PERを正当化するだけの独自の強みや事業環境の変化があるか、あるいはPBR1倍割れという資産背景に重きを置くべきかを慎重に判断する必要があります。今後の利益成長率が前提の2.0%を上回る推移を見せるか、あるいは配当政策等による資本効率の改善(ROE向上)が示されるかが、理論株価の向上における鍵となるでしょう。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

2023年から2026年予測のEPS推移から算出されるCAGRは約1.6%であり、主力のフェライトコア事業の成熟度を鑑みて今後の成長率を2.0%と推定しました。割引率は、スタンダード市場上場の小型株特有のリスクプレミアムと電子部品業界の景気敏感性を考慮し、10.0%に設定しています。現状のPERが67.8倍と高い一方でPBRが1倍を割れている点は、足元の利益水準が一時的に低下しているものの、将来的な利益回復と豊富な純資産への期待が混在していることを示唆しています。

⚠️ 免責事項: 本理論株価分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 EPS成長率・割引率・PER等の前提条件により結果は大きく変動します。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

EPS成長率0%が続く場合の理論株価

将来のEPS成長率を0%(横ばい)と仮定した場合の試算です。本編のベースシナリオとは前提が異なります。

理論株価モデルの前提条件

パラメータ 説明
直近EPS 61.20円 1株あたり利益
直近BPS 4882.35円 1株あたり純資産
1株配当 0.00円 年間配当金
EPS成長率 0.0% 予測期間中の年平均
割引率 10.0% 将来EPSの割引率
想定PER 67.80倍 理論株価算出に使用

EPS/BPS予測と理論株価

年度 期首BPS EPS 配当 自己資本増加 期末BPS ROE(%) EPS成長率(%) PER(倍) PBR(倍) DCF 理論株価
2027年1月 4882.35 61.20 0.00 61.20 4943.55 1.25 0.00 67.80 0.84 61.20 4,149
2028年1月 4943.55 61.20 0.00 61.20 5004.75 1.24 0.00 67.80 0.83 55.64 4,149
2029年1月 5004.75 61.20 0.00 61.20 5065.95 1.22 0.00 67.80 0.82 50.58 4,149
2030年1月 5065.95 61.20 0.00 61.20 5127.15 1.21 0.00 67.80 0.81 45.98 4,149
2031年1月 5127.15 61.20 0.00 61.20 5188.35 1.19 0.00 67.80 0.80 41.80 4,149
ターミナル 2576.43
PER×EPS 理論株価
4,149円
+0.0%
DCF合計値
2,831.63円
-31.8%
現在の株価
4,150円

DCF内訳

予測期間EPS現在価値合計(5年分) 255.20円
ターミナルバリュー現在価値 2576.43円(全体の91%)
DCF合計理論株価 2,831.63円

0%成長シナリオの意味

本シナリオは、トミタ電機の将来の1株当たり利益(EPS)が現在水準(61.20円)から一切増加しないと仮定した「ゼロ成長」のシミュレーションです。このモデルにおいて、PER×EPSによる理論株価(4,149円)は現在の市場価格(4,150円)とほぼ一致しています。これは、市場が現在の株価水準を維持するためには、少なくとも現状の利益水準を維持しつつ、67.80倍という極めて高いPER(株価収益率)が許容され続ける必要があることを示唆しています。

一方で、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引くDCF法に基づく理論株価は2,831.63円となり、現在の株価から約31.8%の下方乖離が見られます。配当が0円であるため、利益はすべて内部留保(BPSの増加)に回りますが、利益成長が伴わないためROE(自己資本利益率)は年を追うごとに低下(1.25%→1.19%)する計算となります。このことから、ゼロ成長下では資本効率の悪化がバリュエーションを押し下げる要因となることが確認できます。

ベースシナリオとの対比

本編のベースシナリオ(EPS成長率:約2.0%)と比較すると、成長率がわずか2%低下するだけで、DCFベースの理論株価は大きく押し下げられます。ベースシナリオにおいては、緩やかな成長が複利効果を生み、将来のターミナルバリュー(継続価値)を支えていましたが、0%成長ではその恩恵が失われます。

数値の差が示す重要な点は、現在の株価4,150円が「将来の利益成長」または「現在の高いPERの維持」のいずれかを前提に成立しているという点です。もし将来の利益成長が完全に止まった場合、DCF的な観点からは現在の株価を正当化することは難しくなり、株価を支える根拠は資産性(PBR 0.8倍台という清算価値に近い側面)や、市場の需給要因などに依存することになります。

留意点

本モデルは入力された前提条件(割引率10.0%、想定PER67.80倍等)に基づく機械的な計算結果であり、将来の株価動向を保証するものではありません。特に67.80倍という想定PERは、一般的な製造業の平均と比較して非常に高く、特定の期待感や市場の流動性が反映されている可能性があります。

また、本分析はEPS成長率を固定したサンドボックス分析であり、実際の経済環境や原材料価格の変動、磁性材料(フェライトコア)の需要サイクルといった外部要因は考慮されていません。投資に際しては、同社の事業構造や市場シェア、および資本効率の改善策(配当政策の変更等)の有無を総合的に判断し、本モデルの結果は一つの参考指標として活用してください。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

2023年から2026年予測のEPS推移から算出されるCAGRは約1.6%であり、主力のフェライトコア事業の成熟度を鑑みて今後の成長率を2.0%と推定しました。割引率は、スタンダード市場上場の小型株特有のリスクプレミアムと電子部品業界の景気敏感性を考慮し、10.0%に設定しています。現状のPERが67.8倍と高い一方でPBRが1倍を割れている点は、足元の利益水準が一時的に低下しているものの、将来的な利益回復と豊富な純資産への期待が混在していることを示唆しています。

⚠️ 免責事項: 本理論株価分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 EPS成長率・割引率・PER等の前提条件により結果は大きく変動します。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

拡張感度分析: WACC × FCF成長率(理論株価: 円)

WACC(加重平均資本コスト)は、株主資本コストと負債コストを資本構成比率で加重平均した「企業の資金調達コスト」です。WACCが高いほど将来キャッシュフローの現在価値は低くなり、理論株価は下がります。FCF成長率は、営業キャッシュフローから設備投資を差し引いた「企業が自由に使えるキャッシュ(フリーキャッシュフロー)」が年率何%で伸びるかの想定値です。

基準のWACC(9.0%)とFCF成長率(5.0%)から±100bpの範囲で、1%刻みの理論株価をシミュレーションします。

📊 巨大感度分析テーブルを計算中...

拡張感度分析: 割引率 × EPS成長率(理論株価: 円)

割引率は、将来の利益やキャッシュフローを現在価値に換算するための率で、投資家が求めるリターン(期待収益率)に相当します。割引率が高いほど将来利益の現在価値は低くなり、理論株価は下がります。EPS成長率は、1株当たり利益(EPS: Earnings Per Share)が年率何%で伸びるかの想定値です。

基準の割引率(10.0%)とEPS成長率(2.0%)から±100bpの範囲で、1%刻みの理論株価をシミュレーションします。

📊 巨大感度分析テーブルを計算中...

拡張感度分析: PER × EPS(理論株価: 円)

PER(株価収益率)は、株価が1株あたり利益(EPS)の何倍で評価されているかを示す指標です。PERが高いほど市場がその企業の将来成長に高い期待を持っていることを意味します。EPS(1株あたり利益)は、企業の純利益を発行済株式数で割った値で、1株あたりの収益力を表します。

基準のPER(67.8倍)とEPS(61円)から、PERは1倍刻み(±100倍)・EPSは1%刻み(±100%)の理論株価をシミュレーションします。

📊 巨大感度分析テーブルを計算中...

拡張感度分析: PBR × BPS(理論株価: 円)

PBR(株価純資産倍率)は、株価が1株あたり純資産(BPS)の何倍で評価されているかを示す指標です。PBRが1倍を下回ると、株価が解散価値を下回っていることを意味し、割安と判断される場合があります。BPS(1株あたり純資産)は、企業の純資産を発行済株式数で割った値で、1株あたりの解散価値を表します。

基準のPBR(0.8倍)とBPS(4882円)から、PBRは0.1倍刻み(±10.0倍)・BPSは1%刻み(±100%)の理論株価をシミュレーションします。

📊 巨大感度分析テーブルを計算中...

残留利益モデル分析(Residual Income Model)

残留利益モデル(Residual Income Model)

残留利益モデルは、現在のBPS(1株純資産)に将来の「超過利益」の現在価値を加算して理論株価を算出します。 株主資本コストを上回るROEを持続できる企業ほど、BPSに大きなプレミアムが付きます。

理論株価 = BPS₀ + Σ[(ROEₜ − r) × BPSₜ₋₁ / (1+r)ᵗ] + TV/(1+r)ⁿ

前提条件

パラメータ 説明
直近BPS 4882.35円 1株あたり純資産(出発点)
直近EPS 61.20円 1株あたり利益
株主資本コスト (r) 10.0% 株主の要求収益率(エクイティチャージの基準)
EPS成長率 2.0% 予測期間中の年平均
1株配当 0.00円 年間配当金(BPS蓄積に影響)
予測年数 5年 個別予測期間

残留利益の年次予測

年度 期首BPS EPS ROE(%) エクイティチャージ 残留利益 PV(残留利益) 期末BPS
2027年1月 4882.35 61.20 1.25 488.24 -427.04 -388.21 4943.55
2028年1月 4943.55 62.42 1.26 494.36 -431.93 -356.97 5005.97
2029年1月 5005.97 63.67 1.27 500.60 -436.92 -328.27 5069.65
2030年1月 5069.65 64.95 1.28 506.96 -442.02 -301.90 5134.59
2031年1月 5134.59 66.24 1.29 513.46 -447.21 -277.68 5200.84
ターミナル 残留利益の永続価値: -4,472.1円 → PV: -2,776.82円 -2776.82
理論株価の構成
現在BPS
4,882.35円
簿価部分
+
残留利益PV合計
-1,653.04円
超過利益の現在価値
+
ターミナルPV
-2,776.82円
永続価値の現在価値
=
RIM理論株価
452円
-89.1%
現在の株価: 4,150円
残留利益モデル:ROEとエクイティチャージの推移0.0%2.0%4.0%6.0%8.0%10.0%2728293031ROE(%)株主資本コスト(10.0%)
残留利益と現在価値の推移-450円-400円-350円-300円-250円2728293031残留利益(円)PV(残留利益)(円)
📖 残留利益モデルの読み方:
  • 残留利益 > 0(ROE > 株主資本コスト)→ 企業はBPS以上の価値を創出。理論株価 > BPS となりプレミアム付与
  • 残留利益 < 0(ROE < 株主資本コスト)→ 資本効率が不十分。理論株価 < BPS となりディスカウント
  • DCF法との違い: RIMはBPS(純資産)を出発点とするため、資産ベースの評価に強く、安定企業・金融機関の評価に適しています

残留利益の評価

トミタ電機株式会社(6898)の残留利益モデル(RIM)による評価結果は、現在の収益性が株主の期待収益率を大きく下回っていることを示しています。 株主資本コスト(r)が10.0%に設定されているのに対し、予測期間におけるROE(自己資本利益率)は1.25%〜1.29%にとどまっています。 この結果、期首BPSに対して発生する「エクィティチャージ(資本コスト相当額)」が488円〜513円であるのに対し、得られるEPS(一株当たり利益)は61円〜66円と極めて低く、 毎期約427円〜447円の「負の残留利益(Residual Income)」が発生する構造となっています。 これは、会計上の利益は計上されているものの、投資家が期待する資本コストを補うには至らず、経済的な価値毀損が継続している状態と評価されます。

BPSプレミアム/ディスカウントの解釈

本モデルにおける理論株価は452円となり、現在のBPS(一株当たり純資産)4,882.35円に対して約90.7%の大幅なディスカウントを示しています。 通常、ROEが株主資本コストを上回ればBPSにプレミアムが付与されますが、同社の場合は収益性が低いため、保有する純資産が将来生み出す利益の現在価値が、資産そのものの簿価を大きく毀損させる計算となります。 具体的には、BPS(4,882円)から、将来の負の残留利益の現在価値合計(-1,653円)と、継続価値(ターミナルバリュー)の現在価値(-2,776円)を差し引くことで、理論株価が算出されています。 この乖離は、現在の資産背景を効率的に利益へ転換できていない現状を反映したものです。

他の評価手法との比較

PER(株価収益率)の観点では、現在株価4,150円に対し2027年1月期の予測EPSが61.20円であるため、予想PERは約67.8倍となります。これは一般的な製造業としては非常に割高な水準です。 一方、PBR(株価純資産倍率)は約0.85倍であり、解散価値と言われる1倍を割り込んでいます。 DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)を用いた場合も、現在の低いROE水準を前提とすれば、フリーキャッシュフローの創出力が限定的であることから、RIMと同様に厳しい評価結果となる可能性が高いと考えられます。 市場株価(4,150円)がRIMの理論株価(452円)を大きく上回っている背景には、将来的な劇的な収益改善、あるいは保有資産(不動産や設備等)の含み益や買収プレミアムなど、現在の純資産や低成長な収益見通しには含まれていない要素を市場が期待している可能性が示唆されます。

投資判断への示唆

RIMの結果から導き出される考察として、トミタ電機の現状は「資産は豊富であるが、その資産を用いた稼ぐ力が資本コストに追いついていない」と言えます。 理論株価452円と現在株価4,150円の間のマイナス89.1%という極めて大きな乖離は、投資家にとって以下の二つの視点を提供します。 一つは、現在の収益力に基づけば株価は過大評価であるという慎重な見方です。 もう一つは、現行の株価は純資産価値(BPS)を重視した価格形成(PBR 0.85倍)となっており、将来の収益性改善(ROEの向上)や資本効率の適正化が実現すれば、この乖離が是正される可能性があるという期待です。 同社への投資を検討する際は、この収益性と資産価値のギャップを、将来的な経営改善や市場環境の変化が埋められるかどうかを慎重に見極める必要があります。

⚠️ 注意: 残留利益モデルの結果は、EPS成長率・株主資本コスト・BPSの前提条件に大きく依存します。 また、会計基準の違い(日本基準/IFRS)によりBPSの定義が異なる場合があります。投資判断の際は他の手法と合わせてご検討ください。

リバースDCF分析(EPSベース・市場の期待値)

市場が織り込んでいる成長期待

現在の株価(4,150円)を正当化するために必要なインプライドEPS成長率を逆算しました。

インプライドEPS成長率
10.5%
市場が織り込む成長率
AI推定EPS成長率
2.0%
ファンダメンタル分析ベース
成長率ギャップ
+8.5%
楽観的

リバースDCF詳細

現在の株価4,150円
インプライドEPS成長率10.50%
AI推定EPS成長率2.00%
成長率ギャップ+8.50%(楽観的)
インプライド割引率50.00%
AI推定割引率10.00%
📖 読み方:
  • インプライド成長率 > AI推定成長率 → 市場は楽観的。期待通りの成長が実現しなければ株価下落リスク
  • インプライド成長率 < AI推定成長率 → 市場は悲観的。実態より過小評価されている可能性
  • 両者がほぼ一致 → 市場の評価はファンダメンタルに整合的

市場の期待値の評価

トミタ電機株式会社(6898)の現在株価4,150円に基づくリバースDCF分析の結果、市場が織り込んでいるインプライドEPS成長率は10.50%となりました。これは、AIが推定する標準的な成長率(2.00%)を大きく上回る水準であり、成長率ギャップは+8.50%に達しています。この数値は、市場参加者が同社の将来的な収益力に対して非常に「楽観的」な見方をしており、フェライトコアや電子部品事業における中長期的な需要拡大を強く期待していることを示唆しています。

インプライド成長率の実現可能性

市場が期待する年率10.50%のEPS成長を維持するためには、既存事業の安定成長に加え、EV(電気自動車)向け需要や再生可能エネルギー関連といった成長分野でのシェア拡大、あるいは収益性の劇的な改善が不可欠となります。特筆すべきは、インプライド割引率が50.00%という極めて高い水準に設定されている点です。これは、現在の市場価格が単なる安定成長を反映しているのではなく、高いボラティリティ(価格変動性)や将来の不確実性を内包した上での期待値であることを意味します。AI推定成長率(2.00%)との乖離を埋めるためには、現在の業績トレンドを大幅に超えるポジティブなサプライズが継続的に必要となるでしょう。

投資判断への示唆

リバースDCF分析の結果は、現在の株価が「将来の目覚ましい成長」を前提に形成されていることを浮き彫りにしています。

  • 期待の充足: 今後の決算においてEPS成長率が10.50%を上回るペースで推移、あるいは割引率(リスク認識)がAI推定の10.00%に向けて低下(安定化)する場合、さらなる株価の上昇余地が検討されます。
  • 期待の剥落: 成長率が市場の期待(10.50%)に届かず、AI推定(2.00%)に近い水準に留まった場合、現在の株価水準は過熱気味と判断され、大幅な価格調整のリスクを考慮する必要があります。

投資家の皆様におかれましては、同社の四半期ごとのEPS進捗率がこの10.50%という期待水準に対して妥当であるか、また高水準な割引率に見合うだけのリスク許容度を保持できているかを慎重に見極めることが肝要です。

感応度分析・シナリオ分析

感度分析: 割引率 × EPS成長率(理論株価: 円)

金利上昇は割引率の増加、景気後退はEPS成長率の低下として理論株価に影響します。

割引率 →
EPS成長率 ↓
8.0%9.0%10.0%11.0%12.0%
-3.0%2,7502,6332,5232,4182,319
-0.5%3,0292,9002,7782,6622,553
2.0%3,3313,1883,0532,9262,805
4.5%3,6543,4983,3493,2093,075
7.0%4,0023,8303,6673,5123,366

※ 緑色: 現在株価(4,150円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 現在の前提条件

シナリオ分析(楽観・基本・悲観)

金利環境・景気動向の変化に応じた3つのシナリオで理論株価を比較します。

楽観シナリオ
割引率: 8.5% / EPS成長率: 7.0%
3,915円
-5.7%
基本シナリオ
割引率: 10.0% / EPS成長率: 2.0%
3,053円
-26.4%
悲観シナリオ
割引率: 11.5% / EPS成長率: -3.0%
2,368円
-42.9%

シナリオ分析の総合評価

トミタ電機株式会社(6898)の現在株価4,150円に対し、EPSベースで算出された理論株価は、最も良好な条件を前提とした「楽観シナリオ」においても3,915円(乖離率 -5.7%)に留まりました。「基本シナリオ」では3,053円(同 -26.4%)、「悲観シナリオ」では2,368円(同 -42.9%)となり、いずれのケースにおいても現在の市場価格が理論上の試算値を上回って推移している状況が浮き彫りとなっています。この結果は、現在の株価が収益性や成長性といったファンダメンタルズに加え、将来的な事業拡大への期待感、あるいは市場の需給要因など、本分析の前提条件を超えた要素を織り込んでいる可能性を示唆しています。

金利変動の影響

本分析における割引率(株主資本コスト)の変化は、理論株価に対して顕著な感応度を示しています。基本シナリオの割引率10.0%に対し、楽観シナリオで割引率を8.5%へ引き下げた場合、理論株価は3,053円から3,915円へと約28.2%上昇します。一方、悲観シナリオのように割引率が11.5%まで上昇すると、理論株価は2,368円まで押し下げられます。このように、金利動向や市場の不確実性に由来する資本コストの変動は、同社の企業価値評価を大きく左右する要因となっており、金融政策やマクロ経済環境の変化には注視が必要です。

景気変動の影響

EPS(1株当たり利益)成長率の変化も、理論株価に直接的な影響を及ぼしています。基本シナリオの成長率2.0%を維持した場合の理論株価3,053円に対し、成長率を7.0%と見積もった楽観シナリオでは、理論株価の低下幅は最小限に抑えられます。反対に、景気後退や競争激化により成長率が-3.0%に陥る悲観シナリオでは、理論株価は2,000円台前半まで下落します。現在の市場価格4,150円を正当化するためには、本分析で設定した楽観シナリオ(成長率7.0%)をさらに上回る、極めて高い利益成長の持続、もしくは飛躍的な収益性の向上が市場から期待されていると推察されます。

投資判断への示唆

以上の分析結果から、トミタ電機の現在の株価水準は、EPS成長率や割引率に基づく標準的なバリュエーションモデルの範囲を超えて、割高な領域に位置していると評価せざるを得ません。投資家は、現在の株価に織り込まれている「期待」の内容を精査する必要があります。具体的には、フェライトコア等の主力製品における革新的な需要増、未発表の新規事業、あるいは資産価値といった、収益成長率以外のポジティブな材料が株価を下支えしているのかを検討することが肝要です。一方で、理論株価との乖離が拡大している現状では、期待に届かない決算発表や外部環境の悪化が生じた際の下落リスクについても、十分に留意した上での慎重な判断が求められます。

限界利益分析(CVP分析)

高低点法による費用構造の推定

売上高が最大の年度と最小の年度を比較し、総費用(売上高−営業利益)の変化から変動費率と固定費を推定します。

推定変動費率
63.6%
売上高に対する変動費の割合
推定限界利益率
36.4%
1 − 変動費率
推定固定費
523
百万円
基準: 2023年 1月期 連結(売上高 2,107 百万円)と 2021年 1月期 連結(売上高 1,082 百万円)の比較

年度別 限界利益指標

年度 売上高 限界利益 限界利益率 損益分岐点 安全余裕率 経営レバレッジ
17年 1月期 1,463 532 36.4% 1,436 1.8% -
17年 1月期 1,423 518 36.4% 1,436 -0.9% -
17年 1月期 1,424 518 36.4% 1,436 -0.9% -
18年 1月期 1,557 567 36.4% 1,436 7.7% 11.33倍
18年 1月期 1,481 539 36.4% 1,436 3.0% 26.95倍
18年 1月期 1,482 539 36.4% 1,436 3.1% 25.68倍
19年 1月期 1,558 567 36.4% 1,436 7.8% 43.61倍
19年 1月期 1,420 517 36.4% 1,436 -1.2% -
19年 1月期 1,420 517 36.4% 1,436 -1.2% -
20年 1月期 1,243 452 36.4% 1,436 -15.6% -
20年 1月期 1,088 396 36.4% 1,436 -32.0% -
20年 1月期 1,089 396 36.4% 1,436 -31.9% -
21年 1月期 1,082 394 36.4% 1,436 -32.8% -
21年 1月期 1,082 394 36.4% 1,436 -32.8% -
22年 1月期 1,479 538 36.4% 1,436 2.9% 5.08倍
22年 1月期 1,828 665 36.4% 1,436 21.4% 5.20倍
22年 1月期 1,829 666 36.4% 1,436 21.5% 5.20倍
23年 1月期 2,107 767 36.4% 1,436 31.8% 3.14倍
23年 1月期 2,004 729 36.4% 1,436 28.3% 5.10倍
23年 1月期 2,004 729 36.4% 1,436 28.3% 5.06倍
24年 1月期 1,478 538 36.4% 1,436 2.8% -
24年 1月期 1,492 543 36.4% 1,436 3.7% -
24年 1月期 1,492 543 36.4% 1,436 3.7% -
25年 1月期 1,407 512 36.4% 1,436 -2.1% -
25年 1月期 1,422 517 36.4% 1,436 -1.0% -
26年 1月期 1,650 600 36.4% 1,436 12.9% -
26年 1月期 1,603 583 36.4% 1,436 10.4% -
26年 1月期 1,603 583 36.4% 1,436 10.4% -
売上高と損益分岐点売上高の推移1十億1十億1十億2十億2十億2十億2十億17181920212223242526売上高(百万円)損益分岐点(百万円)
安全余裕率と経営レバレッジの推移-40.0-20.00.020.040.060.0171819202122232425260安全余裕率(%)経営レバレッジ(倍)
直近年度の損益分岐点分析(2026年 1月期 連結)
売上高
1,603
百万円
損益分岐点
1,436
百万円
安全余裕率
10.4%
安全余裕が低い
経営レバレッジ
-
中程度の経営リスク

費用構造の評価

トミタ電機株式会社の費用構造は、推定変動費率63.6%、推定固定費523百万円となっています。この限界利益率36.4%という数値は、製造業としては標準的な水準ですが、売上の増減が直接的に利益の変動に結びつきやすい特性を持っています。固定費が5億円強で一定しているため、売上高がこの固定費を回収できる限界利益(売上高×36.4%)を創出できるかどうかが、同社の収益性を分かつ最大のポイントとなります。事業特性としては、一定の設備や人員を維持しつつ、操業度の高まりによって利益率を向上させる「固定費型」の側面が強く、売上規模の確保が極めて重要なビジネスモデルと言えます。

損益分岐点と安全余裕率

本分析に基づく損益分岐点売上高は1,436百万円です。過去の推移を概観すると、2020年1月期から2021年1月期にかけては売上高が1,080〜1,240百万円台に低迷し、安全余裕率がマイナス30%を超えるなど、非常に厳しい収益環境にありました。一方、2023年1月期には売上高が2,107百万円まで伸長し、安全余裕率は31.8%と、一般的に望ましいとされる30%の基準を上回る健全な水準を達成しています。しかし、直近の2024年1月期から2025年1月期の予測にかけては、売上高が1,400百万円台の損益分岐点付近で推移しており、安全余裕率は-2.1%から3.7%と極めて低い水準にあります。わずかな売上の減少が赤字転落に直結する、予断を許さない状況が続いています。

経営レバレッジとリスク

経営レバレッジは、売上の変化が営業利益に与える影響度を示します。同社の場合、売上高が損益分岐点に近い時期(2018年、2019年等)には、経営レバレッジが11倍から最大43倍という極めて高い数値を示しています。これは、需要がわずかに回復するだけで利益が爆発的に増加する可能性を秘めている一方で、需要の減退が利益を急激に圧迫するハイリスク・ハイリターンな構造であることを意味します。2023年1月期の好調時には3.14倍まで落ち着きましたが、足元の売上高が再び損益分岐点付近に接近していることから、景気変動や顧客の在庫調整などの外部要因に対する感応度が再び高まっていると考えられます。

投資判断への示唆

トミタ電機の限界利益分析から導き出される投資判断のポイントは、以下の通りです。 第一に、損益分岐点である1,436百万円を安定的に超える受注環境を維持できるかという点です。2025年1月期は微増収または微減収の分岐点上にあり、底打ちを確認する局面と言えます。 第二に、2026年1月期の予測値(売上高1,600〜1,650百万円、安全余裕率10〜12%程度)の実現性です。これが達成されれば収益の安定性は高まりますが、過去の推移を見る限り、同社の業績はボラティリティ(変動幅)が非常に大きい点は否定できません。 同社は固定費を限界利益でカバーする「操業度メリット」を追求するフェーズにあります。投資家としては、同社の主要市場における需要動向を注視し、損益分岐点を大きく上回る売上成長の蓋然性をどう評価するかが重要な判断材料となるでしょう。

⚠️ 注意: 本分析は高低点法による推定値です。実際の変動費・固定費は有価証券報告書の費用明細と異なる場合があります。 費用構造が大きく変化した期間を含む場合、推定精度が低下する可能性があります。投資判断の際は他の指標と合わせてご確認ください。

デュポン分析(ROE分解)

ROEの3要素分解(デュポン分析)

ROE = 純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ に分解し、収益性の源泉を可視化します。

年度 純利益率(%) × 総資産回転率(回) × 財務レバレッジ(倍) = ROE(%)
17年 1月期 -6.49 × 0.323 × 1.40 = -0.03
18年 1月期 5.14 × 0.344 × 1.37 = 0.02
19年 1月期 0.71 × 0.358 × 1.37 = 0.00
20年 1月期 -7.88 × 0.298 × 1.38 = -0.03
21年 1月期 -8.96 × 0.272 × 1.36 = -0.03
22年 1月期 6.29 × 0.347 × 1.41 = 0.03
23年 1月期 8.12 × 0.463 × 1.46 = 0.05
24年 1月期 -5.55 × 0.315 × 1.43 = -0.03
25年 1月期 -12.51 × 0.294 × 1.50 = -0.06
26年 1月期 7.82 × 0.354 × 1.40 = 0.04
デュポン分析:ROEの3要素推移-15.0%-10.0%-5.0%0.0%5.0%10.0%1719212325260純利益率(%)ROE(%)
総資産回転率と財務レバレッジの推移0.000.501.001.50171921232526総資産回転率(回)財務レバレッジ(倍)
直近年度のROE構成(2026年 1月期 連結)
純利益率
7.82%
収益性
×
総資産回転率
0.354回
効率性
×
財務レバレッジ
1.40倍
借入で資本効率を40%ブースト
=
ROE
0.04%
株主資本利益率
📊 ROE変動の主因: 直近の変動は主に「純利益率」の変化によるものです。本業の収益力の変化がROEに直結しています。

ROEの質の評価

トミタ電機(6898)のROE(自己資本利益率)は、過去10期間において-0.06(-6%相当)から0.05(5%相当)の範囲で推移しており、絶対水準として低位かつ不安定な状況にあります。デュポン分析の結果から、ROE変動の主因は「純利益率」の激しい振れ幅にあることが明白です。2025年1月期の純利益率が-12.51%と落ち込む一方で、翌期予想では7.82%への急回復を見込んでおり、収益構造が外部環境や固定費負担の影響を強く受けるボラティリティの高い性質を持っていることが分かります。資産効率(総資産回転率)が0.3回前後と低水準に留まっていることもあり、利益率の改善がROE向上に直結するものの、持続的な「質の高いROE」を維持するには至っていないと評価されます。

財務レバレッジの影響

財務レバレッジは1.36倍から1.50倍の間で極めて安定的に推移しています。これは、同社が過度な借入に頼らず、自己資本を主軸とした保守的な財務運営を行っていることを示唆しています。レバレッジによるROEの押し上げ効果(ブースト効果)は限定的であり、財務リスクは比較的抑制されていると見ることができます。しかし、ROEがマイナスの局面(2024年1月期や2025年1月期など)においてもレバレッジがかかるため、赤字幅が自己資本に対して増幅されるリスクには注意が必要です。現状のレバレッジ水準は、事業の不確実性に対して妥当な範囲と言えますが、収益性が改善しない限り、財務戦略のみで株主還元を強化することは難しい構造です。

トレンド分析

過去10期のトレンドを俯瞰すると、2023年1月期をピーク(純利益率8.12%、総資産回転率0.463回、ROE 0.05)に、その後2年間は急速に業績が低下するサイクルが見て取れます。特に総資産回転率が2023年の0.463から2025年には0.294まで低下しており、資産が売上に結びつかない効率性の悪化が懸念材料です。一方で、2026年1月期の予測値では純利益率が7.82%までV字回復する見通しとなっており、これが実現すればROEは再びプラス圏(0.04)へ浮上します。この周期的な業績変動は、電子部品業界特有の在庫サイクルや需要変動の影響を強く受けている可能性が高いと考えられます。

投資判断への示唆

デュポン分析から導き出されるトミタ電機の収益構造は、「低効率・低レバレッジ・高ボラティリティ」と要約されます。投資家にとっては、以下の2点が重要な判断材料となります。第一に、総資産回転率が0.3回台と低いため、売上高の増減が利益に与えるインパクトが非常に大きく、典型的な営業レバレッジの効きやすい構造である点です。第二に、財務レバレッジに頼らない経営は健全である反面、資本効率の劇的な向上には本業の劇的なマージン改善が不可欠であるという点です。2026年1月期の回復シナリオが、一過性のものか、あるいは構造的な収益性の改善(製品ミックスの改善やコスト削減など)を伴うものかを見極めることが、今後の投資判断の鍵となります。

⚠️ 注意: デュポン分析の数値はIRBankから取得した財務データに基づいています。 会計基準(日本基準/IFRS)の違いにより、株主資本の定義が異なる場合があります。

借金が利益に与える影響分析

有利子負債の概要

項目 説明
有利子負債 0百万 銀行借入・社債等の利息付き負債
推定金利 0.00% 営業利益と経常利益の差から推定
推定支払利息 0百万 有利子負債 × 推定金利
利息 / 純利益 比率 0.0% 純利益に対する利息負担の大きさ
推定実効税率 30.0% 1 − (純利益 / 経常利益) から推定

「もし借金がなかったら」年度別シミュレーション

有利子負債による支払利息を除外した場合の仮想利益を試算しています。

年度 有利子負債 推定利息 経常利益
実績
経常利益
借金なし
純利益
実績
純利益
借金なし
ROE
実績
ROE
借金なし
レバレッジ
効果
2017/01 0百万 0百万 -2億 -2億 -95百万 -95百万 -2.94% -2.94% +0.00%pt
2018/01 0百万 0百万 53百万 53百万 80百万 80百万 2.42% 2.42% +0.00%pt
2019/01 0百万 0百万 15百万 15百万 11百万 11百万 0.35% 0.35% +0.00%pt
2020/01 0百万 0百万 -93百万 -93百万 -98百万 -98百万 -3.25% -3.25% +0.00%pt
2021/01 0百万 0百万 -1億 -1億 -97百万 -97百万 -3.32% -3.32% +0.00%pt
2022/01 0百万 0百万 1億 1億 93百万 93百万 3.07% 3.07% +0.00%pt
2023/01 0百万 0百万 2億 2億 2億 2億 5.48% 5.48% +0.00%pt
2024/01 0百万 0百万 -75百万 -75百万 -82百万 -82百万 -2.50% -2.50% +0.00%pt
2025/01 0百万 0百万 -2億 -2億 -2億 -2億 -5.52% -5.52% +0.00%pt
2026/01 0百万 0百万 -16百万 -16百万 1億 1億 3.87% 3.87% +0.00%pt
純利益推移: 実績 vs 借金なしシミュレーション-2億-1億0百万1億2億2017/012019/012021/012023/012025/012026/010実績純利益借金なし純利益ROE推移: 実績 vs 借金なしシミュレーション-6.0%-4.0%-2.0%0.0%2.0%4.0%6.0%2017/012019/012021/012023/012025/012026/010実績ROE借金なしROE
レバレッジ効果の評価(直近年度)
借金の影響は限定的
実績ROE
3.87%
借金なしROE
3.87%
レバレッジ効果
+0.00%pt

有利子負債の水準が小さい、または事業利益率と借入金利がほぼ均衡しています。

借金の利益インパクト

トミタ電機株式会社(6898)の財務状況を確認すると、2017年1月期から最新の2026年1月期予測に至るまで、有利子負債は一貫して「0百万円」を維持しています。このため、推定支払利息は0円であり、経常利益および純利益が利息支払いによって圧迫される要因は全く存在しません。直近の2026年1月期予測における純利益(実績値)1億円と「借金なし」と仮定したシミュレーション上の純利益を比較しても、その差は0.0%であり、財務費用が利益に与える影響はゼロであると言えます。

レバレッジ効果の評価

財務レバレッジの効果(負債を利用することで自己資本利益率を高める効果)は、過去10年間を通じて一貫して「+0.00%pt」となっています。これは、同社が外部負債に頼らず、自己資本のみで事業を運営していることを示しています。利益が出ている年度(例:2023年1月期のROE 5.48%)においても、負債によるリターンの増幅は行われていません。一方で、赤字を計上した年度(例:2025年1月期のROE -5.52%)においては、利息負担が赤字幅をさらに拡大させるといった負のレバレッジも発生しておらず、財務面での安定性は極めて高い状態にあります。

財務戦略の考察

同社の財務戦略は、極めて保守的な「実質無借金経営」を基本としています。電子部品(フェライトコア等)を主力とする同業界では、設備投資や研究開発に多額の資金を要する場合が多いですが、同社はこれらを自己資金の範囲内で賄っていると考えられます。推定金利が0.00%であることは、借入コストが極小であることを示唆していますが、そもそも資金調達に依存しない体制です。他社と比較した場合、倒産リスクは著しく低いものの、資本効率(ROE)を追求する局面においては、低金利環境を活かしたレバレッジによる成長加速を選択していないという側面も見て取れます。

投資家へのポイント

トミタ電機の財務構造を踏まえた投資判断のポイントは以下の通りです。

  • 財務健全性: 有利子負債ゼロによる圧倒的な安定感があります。金利上昇局面においても、利息支払い負担増のリスクから免れている点は大きな強みです。
  • 業績のボラティリティ: 財務は極めて安定している一方で、本業の経常利益は年度によって黒字と赤字を繰り返しており、変動が激しい傾向にあります。投資の際は、財務構造よりも「事業環境の変化や受注動向」をより重視する必要があります。
  • 資本効率の課題: レバレッジ効果がゼロであるため、ROEの向上は純粋に事業利益の拡大のみに依存します。成長に向けた積極的な投資が必要な場面で、今後どのように資金を活用するかが注目点です。

以上の通り、同社は「守り」の財務基盤は盤石ですが、「攻め」の局面での資本活用については慎重な姿勢を保っています。この保守的な財務体質を安心材料と捉えるか、効率性の欠如と捉えるかが、投資判断の分かれ目となります。

⚠️ 注意事項: 本分析は営業利益と経常利益の差額から支払利息を推定しており、実際の支払利息とは異なる場合があります。 営業外収支には受取利息・配当金・為替差損益等も含まれるため、あくまで参考値としてご活用ください。 また、借金を全額返済した場合の実際の影響は資金調達構造の変化を伴うため、単純なシミュレーションとは異なります。

ROIC分析(投下資本利益率)

ROIC(投下資本利益率)推移

ROIC = NOPAT(税引後営業利益)÷ 投下資本(株主資本+有利子負債)。資本コスト(WACC)を上回れば価値を創造していると評価できます。

年度 NOPAT(百万円) 投下資本(百万円) ROIC(%) WACC(%) スプレッド(%pt)
17年 1月期 -34 3,230 -1.04 7.00 -8.04
18年 1月期 35 3,301 1.06 7.00 -5.94
19年 1月期 10 3,184 0.30 7.00 -6.70
20年 1月期 -65 3,018 -2.16 7.00 -9.16
21年 1月期 -90 2,920 -3.09 7.00 -10.09
22年 1月期 92 3,027 3.04 7.00 -3.96
23年 1月期 176 3,122 5.64 7.00 -1.36
24年 1月期 -51 3,276 -1.56 7.00 -8.56
25年 1月期 -113 3,191 -3.53 7.00 -10.53
26年 1月期 -27 3,337 -0.80 7.00 -7.80
ROIC vs WACC推移-4.0%-2.0%0.0%2.0%4.0%6.0%8.0%1719212325260ROIC(%)WACC(%)
直近年度のROIC評価(2026年 1月期 連結)
ROIC
-0.80%
投下資本利益率
WACC
7.00%
加重平均資本コスト
=
スプレッド
-7.80%pt
価値破壊

ROIC水準の評価

トミタ電機株式会社のROIC(投下資本利益率)は、過去10期間(2017年1月期〜2026年1月期)を通じて極めて厳しい水準で推移しています。分析期間中、ROICがプラスを記録したのは2018年、2019年、2022年、2023年の4期のみであり、残りの6期はNOPAT(税引後営業利益)が赤字となるマイナスのROICとなっています。

特に、直近の2025年1月期(予測値含む)においては、ROICが-3.53%まで落ち込んでおり、電子部品業界における一般的な期待水準と比較しても、資本効率の大幅な改善が必要な状況にあります。2023年1月期には5.64%まで回復し、収益改善の兆しが見えたものの、その後再びマイナス圏へ沈んでいることから、安定的な収益構造の構築が喫緊の課題であると言えます。

ROIC-WACCスプレッド分析

資本コスト(WACC)を7.00%と仮定した場合、全期間においてROIC-WACCスプレッドはマイナス(負の乖離)となっており、財務的には「価値破壊」の状態が継続しています。最もスプレッドが改善した2023年1月期においても-1.36%ptと、資本コストを上回るリターンを創出するには至っていません。

スプレッドが悪化している主な要因は、投下資本の規模に対してNOPATの変動性が極めて高く、かつ赤字幅が縮小しきれていない点にあります。2025年1月期にはスプレッドが-10.53%ptと最大水準まで拡大しており、これは株主や債権者の期待収益を大きく下回る結果となっています。投下資本そのものは3,000百万円前後で安定的に推移しているため、分母である資産の効率化よりも、分子である「営業利益率の抜本的な改善」がスプレッド反転のための絶対条件となります。

投資家へのポイント

本分析に基づき、投資家が注目すべきポイントは以下の通りです。

  • 構造的な収益力の回復: ROICが断続的にマイナスとなる傾向があり、本業でのキャッシュ創出力が不安定です。2026年1月期の予想(-0.80%)から、早期にプラス圏へ浮上し、WACC 7.00%を上回る道筋(損益分岐点の引き下げや高付加価値化)が示されるかが焦点となります。
  • 資本の毀損リスク: 長期間にわたりROIC < WACCの状態が続いていることは、事業を継続するほど理論的な企業価値が減少していることを意味します。現在の純資産が、将来の損失補填によって目減りするリスクを注視する必要があります。
  • 成長投資の妥当性: 投下資本が3,200〜3,300百万円台へと微増傾向にありますが、これが将来のNOPAT増大に結びつく「生きた投資」となっているか、あるいは在庫や設備が重荷となっていないかを見極めることが重要です。

以上の通り、同社の現状は資本効率の面で極めて高いハードルに直面しており、投資判断に際しては、同社が掲げる経営再建策が具体的な営業利益の改善としてROICに反映されるか、その蓋然性を慎重に評価することが求められます。

⚠️ 注意: WACCは簡易推定値です(株主資本コスト7%想定、負債コストは推定支払利息から算出)。 実際のWACCはCAPMや市場データに基づくより精緻な計算が必要です。

ROIC逆ツリー分析

ROIC逆ツリー分解

ROIC = NOPATマージン × 投下資本回転率 に分解し、収益性の改善ドライバーを特定します。

年度 売上高(百万円) NOPATマージン(%) × 投下資本回転率(回) = ROIC(%)
17年 1月期 1,463 -2.30 × 0.453 = -1.04
18年 1月期 1,557 2.25 × 0.472 = 1.06
19年 1月期 1,558 0.61 × 0.489 = 0.30
20年 1月期 1,243 -5.24 × 0.412 = -2.16
21年 1月期 1,082 -8.35 × 0.371 = -3.09
22年 1月期 1,479 6.23 × 0.489 = 3.04
23年 1月期 2,107 8.36 × 0.675 = 5.64
24年 1月期 1,478 -3.46 × 0.451 = -1.56
25年 1月期 1,407 -8.01 × 0.441 = -3.53
26年 1月期 1,650 -1.61 × 0.494 = -0.80
ROIC逆ツリー: NOPATマージンと投下資本回転率-10.00-5.000.005.0010.001719212325260NOPATマージン(%)投下資本回転率(回)
ROIC逆ツリー分解(2026年 1月期 連結)
NOPATマージン
-1.61%
NOPAT -27百万円 ÷ 売上 1,650百万円
×
投下資本回転率
0.494回
売上 1,650百万円 ÷ IC 3,337百万円
=
ROIC
-0.80%
📊 ROIC変動の主因: 直近の変動は主に「NOPATマージン」の変化によるものです。本業の収益力の変化がROICに直結しています。

ROIC変動要因の分解

トミタ電機株式会社(6898)の過去10期におけるROIC(投下資本利益率)の推移を分析すると、その変動は極めて大きく、主にNOPATマージン(収益性)の変動に強く依存していることが浮き彫りになります。

2017年1月期から2026年1月期(予想含む)にかけて、ROICは最高で5.64%(2023年)、最低で-3.53%(2025年)と激しく上下しています。この期間、投下資本回転率は0.371回から0.675回の範囲内で比較的緩やかに推移しているのに対し、NOPATマージンは-8.35%(2021年)から8.36%(2023年)の間で劇的に変化しています。特に、ROICがピークに達した2023年1月期は、NOPATマージン(8.36%)と投下資本回転率(0.675回)が共に過去最高水準となり、相乗効果を発揮しました。しかし、直近の2025年1月期にはマージンが-8.01%まで急落し、ROICも-3.53%に沈むなど、収益性の悪化がダイレクトにROICを押し下げる構造となっています。

改善ドライバーの特定

同社がROICを安定的に向上させ、資本コストを上回るリターンを創出するためには、以下の2点に注力する必要があります。

  • NOPATマージンの抜本的改善(最優先課題): ROIC変動の主因がマージンであることから、売上高総利益率の向上、または販管費の効率化が不可欠です。2025年1月期の-8.01%というマージンは、売上減少に伴う固定費負担の増加、あるいは原材料費の高騰などが利益を圧迫していることを示唆しています。損益分岐点の引き下げや、高付加価値製品へのシフトによる単価向上が、ROIC回復の最短ルートとなります。
  • 資産効率の底上げ(投下資本回転率の安定化): 投下資本回転率は概ね0.4回〜0.5回台で推移しており、製造業としても資産効率は決して高いとは言えません。棚卸資産の圧縮や、遊休設備の整理、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮を通じて回転率を0.6回以上に定着させることができれば、マージンが多少回復した際のリターン増幅効果が期待できます。

投資家へのポイント

ROIC逆ツリー分析から見えるトミタ電機の現状は、「収益性の振れ幅が極めて大きい、外部環境依存型の利益構造」であると言えます。投資家が注目すべきポイントは以下の通りです。

  1. 損益分岐点のコントロール: 2026年1月期にはROICが-0.80%(NOPATマージン-1.61%)まで回復する計画となっています。赤字幅が縮小傾向にある中で、どの程度の売上規模で黒字化(ROICプラス転換)を達成できる体制になっているかが焦点です。
  2. オペレーティング・レバレッジの影響: わずかなマージンの改善がROICを大きく押し上げる特性があるため、需要回復局面では高い利益成長が期待できる一方、減収局面での下振れリスクも相応に高いことを理解しておく必要があります。
  3. 資本効率に対する意識: 投下資本回転率が長期的に停滞している中、経営陣がリターンに見合わない投資を抑制し、いかに効率的に資産を活用しようとしているか、今後の経営計画における資産圧縮策や設備投資の選別基準が重要となります。

同社のROICは現在、マイナス圏からゼロ付近への回復過程にあります。この回復が、一時的な市況回復によるものか、それとも構造的なコスト削減や効率化によるものかを慎重に見極めることが、将来の企業価値を判断する鍵となるでしょう。

EVA(経済的付加価値)分析

EVA(経済的付加価値)推移

EVA = (ROIC − WACC) × 投下資本。資本コストを超えるリターンを生み出し、株主価値を真に創造しているかを測定する指標です。

年度 NOPAT(百万円) 資本コスト(百万円) EVA(百万円) ROIC(%) WACC(%)
17年 1月期 -34 226 -260 -1.04 7.00
18年 1月期 35 231 -196 1.06 7.00
19年 1月期 10 223 -213 0.30 7.00
20年 1月期 -65 211 -276 -2.16 7.00
21年 1月期 -90 204 -295 -3.09 7.00
22年 1月期 92 212 -120 3.04 7.00
23年 1月期 176 219 -42 5.64 7.00
24年 1月期 -51 229 -280 -1.56 7.00
25年 1月期 -113 223 -336 -3.53 7.00
26年 1月期 -27 234 -260 -0.80 7.00
EVA(経済的付加価値)推移-400-300-200-10001002001719212325260EVA(百万円)NOPAT(百万円)
EVA評価サマリー
直近EVA
-260
百万円(2026年 1月期 連結)
累積EVA
-2,278
百万円(10年間合計)
価値創造評価
価値破壊

EVAの推移と評価

トミタ電機(6898)の過去10期におけるEVA(経済的付加価値)を分析すると、全ての年度においてマイナス圏で推移しており、累積EVAは-2,278百万円に達しています。これは、同社が事業活動を通じて、投資家が期待する資本コスト(WACC: 7.00%)を上回る利益を生み出せていない状態が継続していることを示しています。

特筆すべきは、会計上の利益(NOPAT)がプラスを計上した2018年、2019年、2022年、2023年においても、EVAは依然としてマイナス(最小で2023年の-42百万円)に留まっている点です。これは、事業から得られる利益が、投下資本を維持するために必要なコストを補うには不十分であることを意味します。ROIC(投下資本利益率)は2023年1月期に5.64%まで上昇し、資本コストである7.00%に肉薄しましたが、翌2024年以降は再び低下し、価値破壊の幅が拡大する傾向にあります。

価値創造力の持続性

同社の価値創造力については、現時点では「持続的な価値破壊の状態にある」と評価せざるを得ません。10年間の推移の中で、ROICが一度もWACC(7.00%)を超過していない事実は、同社のビジネスモデルが資本効率の観点から厳しい局面に立たされていることを示唆しています。

2022年から2023年にかけては業績の回復に伴いEVAのマイナス幅が縮小し、価値創造への転換の兆しが見えましたが、2024年以降はNOPATが再び赤字に転じ、2025年1月期にはROICが-3.53%まで落ち込んでいます。このようにEVAが大きく変動し、かつ恒常的にマイナスである状況は、収益基盤の不安定さと、投下資本に対するリターン創出能力の欠如を表しており、価値創造の持続性を見出すには抜本的な事業構造の変革が必要であると考えられます。

投資家へのポイント

投資家の皆様がトミタ電機のEVA分析を読み解く際のポイントは、以下の3点に集約されます。

  • 資本コストのハードル: 同社が価値創造(EVA > 0)に転じるためには、ROICを現在のマイナス圏、あるいは低位水準から7.00%以上に引き上げる必要があります。現在の利益水準と投下資本のバランスから見て、そのハードルは決して低くありません。
  • 収益のボラティリティ: 過去10年でNOPATがプラスとマイナスを頻繁に行き来しており、業績の安定性に欠けます。特に2025年1月期以降の予測値・実績値が悪化している要因(市場環境の悪化、あるいは一時的な費用増など)を精査することが重要です。
  • 資産効率の改善可能性: 累積EVAの赤字を解消し、企業価値を高めるためには、利益率の向上だけでなく、不要資産の売却や棚卸資産の圧縮など、投下資本そのもののスリム化によるROICの改善が不可欠です。

以上の通り、EVAの観点からは厳しい評価となりますが、今後の事業戦略や構造改革がROICをWACC以上に押し上げる確信が持てるかどうかが、中長期的な投資判断の鍵となります。

⚠️ 注意: EVAは簡易推定値です。WACCは株主資本コスト7%想定に基づく簡易計算であり、 正確なEVA算出にはβ値やリスクフリーレートの精緻な設定が必要です。

営業レバレッジ分析

営業レバレッジ度(DOL)推移

DOL = 営業利益変化率 ÷ 売上高変化率。売上が1%変化したとき営業利益が何%変化するかを示し、固定費比率の高さ(経営リスク)を表します。

平均DOL
10.94倍
有効年度の平均
リスク評価
高リスク
DOL≤2: 低 / 2-5: 中 / 5+: 高
年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 営業利益率(%) 売上変化率(%) 営業利益変化率(%) DOL(倍)
17年 1月期 1,463 -48 -3.28 - - -
17年 1月期 1,423 -87 -6.11 -2.73 -81.25 29.72
17年 1月期 1,424 -87 -6.11 0.07 0.00 -
18年 1月期 1,557 50 3.21 9.34 157.47 16.86
18年 1月期 1,481 20 1.35 -4.88 -60.00 12.29
18年 1月期 1,482 21 1.42 0.07 5.00 -
19年 1月期 1,558 13 0.83 5.13 -38.10 -7.43
19年 1月期 1,420 -114 -8.03 -8.86 -976.92 -
19年 1月期 1,420 -115 -8.10 0.00 -0.88 -
20年 1月期 1,243 -93 -7.48 -12.46 19.13 -1.53
20年 1月期 1,088 -202 -18.57 -12.47 -117.20 9.40
20年 1月期 1,089 -202 -18.55 0.09 0.00 -
21年 1月期 1,082 -129 -11.92 -0.64 36.14 -
21年 1月期 1,082 -130 -12.01 0.00 -0.78 -
22年 1月期 1,479 106 7.17 36.69 181.54 4.95
22年 1月期 1,828 128 7.00 23.60 20.75 0.88
22年 1月期 1,829 128 7.00 0.05 0.00 -
23年 1月期 2,107 244 11.58 15.20 90.63 5.96
23年 1月期 2,004 143 7.14 -4.89 -41.39 8.47
23年 1月期 2,004 144 7.19 0.00 0.70 -
24年 1月期 1,478 -73 -4.94 -26.25 -150.69 5.74
24年 1月期 1,492 -27 -1.81 0.95 63.01 -
24年 1月期 1,492 -28 -1.88 0.00 -3.70 -
25年 1月期 1,407 -161 -11.44 -5.70 -475.00 -
25年 1月期 1,422 -172 -12.10 1.07 -6.83 -6.41
26年 1月期 1,650 -38 -2.30 16.03 77.91 4.86
26年 1月期 1,603 -61 -3.81 -2.85 -60.53 21.25
26年 1月期 1,603 -61 -3.81 0.00 0.00 -
営業レバレッジ度(DOL)と営業利益率の推移-20.0-10.00.010.020.030.0171819202122232425260DOL(倍)営業利益率(%)

費用構造の特徴

トミタ電機株式会社の平均DOL(営業レバレッジ度)は10.94倍と極めて高い水準にあり、分析指標における「5倍以上(高リスク)」を大きく上回っています。この数値は、同社の費用構造が典型的な「固定費型ビジネス」であることを示唆しています。電子部品(フェライトコア等)の製造販売を主業とする同社にとって、工場維持費、機械装置の減価償却費、および熟練工の労務費といった売上高の増減に関わらず発生する固定費の比率が高いことが、この高いレバレッジの要因と考えられます。2023年1月期のように売上高が2,000百万円を超える規模では10%前後の営業利益率を確保できていますが、売上が損益分岐点を下回ると、固定費負担が重くのしかかり、急速に赤字転落しやすい体質が見て取れます。

景気変動への感応度

DOLの推移を確認すると、業績のボラティリティ(振れ幅)が非常に大きいことがわかります。例えば、2018年1月期においては売上高の変化率が9.34%の増加であったのに対し、営業利益は157.47%という爆発的な伸びを記録しました。一方で、2024年1月期のように売上高が26.25%減少した局面では、営業利益は150.69%減という大幅な落ち込みを見せ、赤字に転じています。このように、景気拡大期や需要増などの好況期には利益が加速度的に増幅されるメリットがある反面、不況期や受注減の局面ではわずかな売上減が致命的な利益圧迫要因となります。過去のデータを見ても、営業利益率がプラス11.58%(2023年1月期)からマイナス18.57%(2020年1月期)まで激しく変動しており、外部環境の変化に対して極めて敏感な業績特性を持っています。

投資家へのポイント

投資に際しては、同社の「高い営業レバレッジ」がもたらすハイリスク・ハイリターンな側面を十分に考慮する必要があります。平均DOL 10.94倍という数字は、理論上、売上が1%変動すれば営業利益が約11%変動することを意味します。

注目すべき点は、損益分岐点売上高の推移です。近年の実績では売上高が15億円を下回る局面で営業損失を計上する傾向が強く、2025年1月期以降の予想においても、売上の回復が利益の正常化に直結するかどうかが焦点となります。特に2026年1月期の予測値(DOL 21.25倍)が示す通り、わずかな売上の未達や上振れが、最終的な利益着地を大きく左右する不確実性を内包しています。電子部品市場の需給サイクルや、同社の主要顧客の動向を精査し、売上高が固定費を十分にカバーできる水準で安定維持されるかを見極めることが、リスク管理上の重要な判断材料となるでしょう。

⚠️ 注意: 営業レバレッジ度は前年比の変化率から算出しており、売上や利益が急変する年度では極端な値になることがあります。 複数年の平均値での評価を推奨します。

持続的成長率分析(SGR)

持続的成長率(SGR)推移

SGR = ROE × 内部留保率。外部からの資金調達なしで持続可能な売上成長率を示します。実際の成長率と比較することで、成長の持続可能性を評価します。

年度 ROE(%) 配当性向(%) 内部留保率(%) SGR(%) 実際成長率(%)
17年 1月期 -2.94 推定30% 70.0 -2.06 -
18年 1月期 2.42 推定30% 70.0 1.70 6.43
19年 1月期 0.35 推定30% 70.0 0.24 0.06
20年 1月期 -3.25 推定30% 70.0 -2.27 -20.22
21年 1月期 -3.32 推定30% 70.0 -2.33 -12.95
22年 1月期 3.07 推定30% 70.0 2.15 36.69
23年 1月期 5.48 0.0 100.0 5.48 42.46
24年 1月期 -2.50 推定30% 70.0 -1.75 -29.85
25年 1月期 -5.52 推定30% 70.0 -3.86 -4.80
26年 1月期 3.87 0.0 100.0 3.87 17.27
持続的成長率(SGR)vs 実際の売上成長率-40.0%-20.0%0.0%20.0%40.0%60.0%1719212325260SGR(%)実際成長率(%)
ROEと配当性向の推移-6.0%-4.0%-2.0%0.0%2.0%4.0%6.0%1719212325260ROE(%)配当性向(%)
持続的成長率の評価(2026年 1月期 連結)
ROE
3.87%
×
内部留保率
100.0%
=
SGR
3.87%
📊 成長持続性の評価: 実際の成長率がSGRを大幅に上回っており、外部資金調達や財務レバレッジの拡大が必要な可能性

SGR水準の評価

トミタ電機株式会社の持続的成長率(SGR)は、過去10年間においてマイナス圏から最大5.48%(2023年1月期)の間で激しく推移しており、極めて不安定な状況にあります。この変動の主因は、配当性向の変化よりもROE(自己資本利益率)の大幅な振れにあります。2017年以降、ROEがプラスを維持できたのは10期中4期にとどまっており、収益性の不安定さがそのままSGRの低迷とボラティリティに直結しています。直近の2026年1月期予測では、ROE 3.87%に対し内部留保率100%を維持することでSGRは3.87%まで回復する見込みですが、依然として資本効率の抜本的な改善が課題となっています。

成長の持続可能性

成長の持続可能性という観点では、実際の売上成長率がSGRを大幅に上回る「過剰成長」の状態が頻繁に発生している点に注意が必要です。例えば、2023年1月期はSGR 5.48%に対して実際成長率が42.46%、2026年1月期予測でもSGR 3.87%に対して実際成長率17.27%と、自己資金のみで賄える成長スピードを大きく超えています。このように実際成長率がSGRを上回る局面では、不足する資金を外部負債や増資で補う必要があり、財務レバレッジの拡大や自己資本比率の低下を招くリスクを内包しています。事業の急拡大に対して、内部留保による資本蓄積が追いついていない構造が見て取れます。

投資家へのポイント

本分析を踏まえ、投資家が注目すべきポイントは以下の3点です。第一に、同社の成長は内部資金だけでなく外部資金に依存する傾向が強いため、金利上昇局面における財務コストの影響や、キャッシュフローの状況を注視する必要があります。第二に、業績の振れ幅が大きく、安定的なSGRの維持が困難な現状から、成長の「継続性」よりも「循環性(サイクル)」としての側面が強い点です。第三に、2026年1月期のように配当をゼロ(内部留保100%)に設定して成長資金を確保する方針が、将来的に安定したROE向上に結びつくかどうかが焦点となります。以上の財務特性を理解した上で、同社の成長フェーズとリスク許容度の整合性を検討することが肝要です。

⚠️ 注意: 配当データが取得できない年度は内部留保率70%(配当性向30%)を仮定しています。 実際の配当政策と異なる場合があります。

インタレストカバレッジレシオ推移

インタレストカバレッジレシオ推移

ICR = 営業利益 ÷ 支払利息。営業利益で利息の何倍を賄えるかを示す、借入金利負担の安全性指標です。

直近ICR
∞(利息負担なし)
>10: 極めて安全 / 3-10: 安全 / 1-3: 要注意 / <1: 危険
安全性評価
極めて安全(実質無借金)
年度 営業利益(百万円) 推定支払利息(百万円) ICR(倍) 有利子負債(百万円) 有利子負債比率(%) 推定借入金利(%)
17年 1月期 -48 126 -0.4 - 0.0 -
18年 1月期 50 - - 0.0 -
19年 1月期 13 - - 0.0 -
20年 1月期 -93 - - 0.0 -
21年 1月期 -129 - - 0.0 -
22年 1月期 106 - - 0.0 -
23年 1月期 244 7 34.9 - 0.0 -
24年 1月期 -73 2 -36.5 - 0.0 -
25年 1月期 -161 10 -16.1 - 0.0 -
26年 1月期 -38 - - 0.0 -
インタレストカバレッジレシオと有利子負債比率の推移-40.0-20.00.020.040.01719212325260ICR(倍)有利子負債比率(%)

利払い安全性の評価

トミタ電機株式会社のインタレストカバレッジレシオ(ICR)は、多くの年度で「∞(無限大)」または極めて高い水準を示しており、財務上の利払い能力は極めて高い状態にあります。これは、同社が実質無借金経営を続けていることによるものです。 時系列で見ると、2023年1月期にはICR 34.9倍と極めて安全な水準を維持していましたが、2024年1月期(-36.5倍)および2025年1月期(-16.1倍)はマイナスの値となっています。 このマイナス評価は、支払利息の増加によるものではなく、本業の儲けを示す営業利益が赤字(2024年:-73百万円、2025年:-161百万円)に転じたことに起因しています。利払いが困難というよりも、事業収益のボラティリティ(変動性)がICRの数値に大きく影響を与える構造となっています。

有利子負債の状況

有利子負債比率は一貫して0.0%を維持しており、負債による財務リスクは極めて限定的です。 推定支払利息として計上されている数値を詳細に見ると、2023年1月期の7百万円や2025年1月期の10百万円など、営業外費用として僅かなコストが発生していますが、これらは有利子負債に基づく金利負担というよりも、為替差損やその他の金融費用等を含んでいる可能性が高いと考えられます。 負債に依存しない経営スタイルは、金利上昇局面においては大きな強みとなりますが、一方でレバレッジを活用した積極的な投資機会を抑制している側面も考慮する必要があります。

投資家へのポイント

財務の安全性という観点では、実質無借金経営を継続しているため、倒産リスクは極めて低い「極めて安全」な部類に属します。投資判断に際しては、以下の2点を注視することが重要です。

  • 収益の安定性:財務基盤は盤石ですが、営業利益が赤字と黒字を繰り返す傾向にあります。ICRが計算不能(∞)またはマイナスとなる主因は営業利益の変動であるため、本業の収益回復力が最優先のチェック項目となります。
  • キャッシュ・フローの使途:負債のない潤沢な財務体質を背景に、将来の成長に向けた研究開発や設備投資にどのように資金を配分し、ROE(自己資本利益率)の向上に繋げていくかが、中長期的な株価形成の鍵となるでしょう。

以上の通り、同社は「利払い能力」という点では非の打ち所がない安全性を持っていますが、投資家としてはその安全な財務基盤が将来の利益成長にどう結びつくかを評価する必要があります。

⚠️ 注意: 支払利息は「営業利益−経常利益」から推定しています。 営業外収益が大きい企業では過小評価になる可能性があります。正確な支払利息は有価証券報告書の注記をご確認ください。

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