6977株式会社日本抵抗器製作所||

日本抵抗器製作所(6977) 理論株価分析:2025年12月期決算:EV・建機向けが伸長するも、産業機器の低迷と特別損失で赤字拡大 カチノメ

決算発表日: 2026-03-272025年12月期 通期
総合業績スコア
35/100
注意

セクション別スコア

業績成長性25収益性20財務健全性30株主還元45成長戦略45理論株価評価45
業績成長性25
収益性20
財務健全性30
株主還元45
成長戦略45
理論株価評価45

※ 本記事は後半になるにつれて、内容が専門的になるように構成しています。

決算履歴(業績推移)

売上高推移(百万円)50億55億60億65億70億75億2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2022年 2022年 2023年 2024年 2025年 '26/12売上高利益推移(営業利益・経常利益・当期純利益)-4億-2億0百万2億4億2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2022年 2022年 2023年 2024年 2025年 '26/120営業利益経常利益純利益利益率推移(%)-8.0%-6.0%-4.0%-2.0%0.0%2.0%4.0%6.0%2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2022年 2022年 2023年 2024年 2025年 '26/120営業利益率経常利益率純利益率
年度 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 包括利益
2016年 12月期 連結 5,500 45 40 10 -
2016年 12月期 連結 5,135 66 92 31 -
2016年 12月期 連結 5,135 66 92 31 -26
2017年 12月期 連結 5,600 150 130 60 -
2017年 12月期 連結 5,863 242 226 110 -
2017年 12月期 連結 5,864 243 226 111 181
2018年 12月期 連結 7,000 350 310 170 -
2018年 12月期 連結 6,752 343 342 200 -
2018年 12月期 連結 6,753 343 342 200 105
2019年 12月期 連結 6,200 150 150 70 -
2019年 12月期 連結 6,179 141 150 74 58
2020年 12月期 連結 5,500 50 50 40 -
2020年 12月期 連結 5,543 37 44 31 3
2021年 12月期 連結 6,185 111 104 49 -
2021年 12月期 連結 6,193 113 106 30 142
2022年 12月期 連結 6,700 200 200 70 -
2022年 12月期 連結 7,000 270 270 70 -
2022年 12月期 連結 7,204 311 287 133 -
2022年 12月期 連結 7,206 287 263 80 153
2023年 12月期 連結 7,400 180 230 100 -
2023年 12月期 連結 7,176 100 139 84 -
2023年 12月期 連結 7,167 100 139 51 140
2024年 12月期 連結 6,800 40 50 30 -
2024年 12月期 連結 6,500 -50 -30 -10 -
2024年 12月期 連結 6,454 -133 -104 -181 -
2024年 12月期 連結 6,500 -50 -30 -10 -
2024年 12月期 連結 6,455 -133 -104 -181 -101
2025年 12月期 連結 6,200 30 20 20 -
2025年 12月期 連結 6,000 -60 -90 -90 -
2025年 12月期 連結 5,906 -110 -136 -377 -206
★2026年12月期(予想) 6,500 110 100 100

※単位: 百万円

利益率推移

営業利益率 = 営業利益÷売上高×100 / 経常利益率 = 経常利益÷売上高×100 / 純利益率 = 当期純利益÷売上高×100

年度 売上高 (百万円) 営業利益率 (%) 経常利益率 (%) 純利益率 (%)
2016年 12月期 連結 5,500 0.82% 0.73% 0.18%
2016年 12月期 連結 5,135 1.29% 1.79% 0.60%
2016年 12月期 連結 5,135 1.29% 1.79% 0.60%
2017年 12月期 連結 5,600 2.68% 2.32% 1.07%
2017年 12月期 連結 5,863 4.13% 3.85% 1.88%
2017年 12月期 連結 5,864 4.14% 3.85% 1.89%
2018年 12月期 連結 7,000 5.00% 4.43% 2.43%
2018年 12月期 連結 6,752 5.08% 5.07% 2.96%
2018年 12月期 連結 6,753 5.08% 5.06% 2.96%
2019年 12月期 連結 6,200 2.42% 2.42% 1.13%
2019年 12月期 連結 6,179 2.28% 2.43% 1.20%
2020年 12月期 連結 5,500 0.91% 0.91% 0.73%
2020年 12月期 連結 5,543 0.67% 0.79% 0.56%
2021年 12月期 連結 6,185 1.79% 1.68% 0.79%
2021年 12月期 連結 6,193 1.82% 1.71% 0.48%
2022年 12月期 連結 6,700 2.99% 2.99% 1.04%
2022年 12月期 連結 7,000 3.86% 3.86% 1.00%
2022年 12月期 連結 7,204 4.32% 3.98% 1.85%
2022年 12月期 連結 7,206 3.98% 3.65% 1.11%
2023年 12月期 連結 7,400 2.43% 3.11% 1.35%
2023年 12月期 連結 7,176 1.39% 1.94% 1.17%
2023年 12月期 連結 7,167 1.40% 1.94% 0.71%
2024年 12月期 連結 6,800 0.59% 0.74% 0.44%
2024年 12月期 連結 6,500 -0.77% -0.46% -0.15%
2024年 12月期 連結 6,454 -2.06% -1.61% -2.80%
2024年 12月期 連結 6,500 -0.77% -0.46% -0.15%
2024年 12月期 連結 6,455 -2.06% -1.61% -2.80%
2025年 12月期 連結 6,200 0.48% 0.32% 0.32%
2025年 12月期 連結 6,000 -1.00% -1.50% -1.50%
2025年 12月期 連結 5,906 -1.86% -2.30% -6.38%
★2026年12月期(予想) 6,500 1.69% 1.54% 1.54%

※営業利益率 = 営業利益÷売上高×100、経常利益率 = 経常利益÷売上高×100、純利益率 = 当期純利益÷売上高×100

決算サマリー

2025年12月期(第78期)の連結業績は、売上高5,905百万円(前期比8.5%減)、営業損失109百万円(前期は133百万円の損失)、経常損失136百万円(前期は104百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失376百万円(前期は181百万円の損失)となりました。産業機器向けの需要低迷が響き、減収および赤字幅の拡大という厳しい結果となりました。

注目ポイント

ポテンショメーター事業の成長

主力製品群の中で、建設機器や農業電機器向けに使用されるポテンショメーター(回転角センサー)は売上高787百万円(前期比18.7%増)と唯一大きく伸長しました。非接触型や高精度センサーへの需要が底堅く、今後の成長の柱として期待されます。

EV(電気自動車)向け抵抗器の展開

脱ガソリン車の動きに対応し、xEV向けの新規開発と受注拡大に注力しています。欧州やアジア市場での販路拡大を進めており、地域別売上では欧州が前期比22.1%増、アジアが11.9%増と、海外展開の成果が見え始めています。

業界動向

エレクトロニクス業界全体としては、自動車の電子化やAI普及に伴う電子部品需要は底堅いものの、産業機械分野での設備投資抑制が逆風となっています。同社が属する抵抗器業界では価格競争が激化しており、海外メーカーとの競合や原材料・エネルギー価格の高騰によるコスト増が収益を圧迫しています。

投資判断材料

現在の最優先課題は「収益性の回復」と「財務健全性の改善」です。1株当たり純資産(BPS)は946.07円まで低下しており、PBR(株価純資産倍率)は約1倍前後で推移しています。タイ拠点の減損処理など膿を出し切る動きが見られますが、黒字化のタイミングが投資判断の鍵となります。

セグメント別業績

  • 抵抗器:売上高1,626百万円(15.1%減)。産業機器・昇降機向けの落ち込みが顕著。
  • ポテンショメーター:売上高787百万円(18.7%増)。建機・農機向けが好調に推移。
  • ハイブリッドIC:売上高1,816百万円(2.5%減)。自動車向け電子部品の減少が影響。
  • 電子機器:売上高1,675百万円(16.8%減)。省エネ機器用が低迷。

財務健全性

自己資本比率は16.2%となり、前年末の19.5%からさらに低下しました。総資産が減少する中で純資産も減少しており、財務の安定性には懸念が残ります。一方で、営業活動によるキャッシュフローは230百万円のプラスに転じており、棚卸資産の圧縮などによる資金繰りの改善が見られます。

配当・株主還元

当期の年間配当は25円(中間15円、期末10円)とし、前期の30円から5円の減配となりました。当期純損失を計上しているものの、安定配当の方針に基づき配当を継続していますが、配当性向は算出不能(赤字)の状態です。

通期業績予想

本報告書は2025年12月期の実績報告であり、次期の具体的な予想数値については、産業機械向けの受注回復の遅れを考慮しつつ、工程の自動化・省力化によるコスト削減を徹底する方針が示されています。

中長期成長戦略

「JRMブランド」の強化を掲げ、以下の戦略を推進しています。

  • タイ・中国・東南アジアでの海外売上比率の向上
  • ロボット導入による生産工程の省人化・コスト競争力強化
  • EV・FCV用抵抗器およびインテリジェンスセンサーの新規開発

リスク要因

主要なリスクとして、特定の市場(産業機械)への依存、為替変動による海外連結子会社の円換算影響、原材料価格の変動が挙げられます。特に海外生産コストの上昇は、利益率を押し下げる直接的な要因となっています。

ESG・サステナビリティ

2021年に「日本抵抗器グループSDGs宣言」を策定。環境マネジメントシステム(ISO14001)に基づき、エネルギー消費の低減や廃棄物削減に取り組んでいます。また、人的資本への投資として多様な人材の活躍推進を掲げています。

経営陣コメント

木村準社長は、収益性の向上が最も重要であるとし、顧客のニーズを的確に把握した付加価値の高い新製品開発と、グローバルな販路拡大によって持続的な成長を目指す姿勢を強調しています。

バリュエーション

直近の株価指標では、PERは赤字のため算出不可。PBRは1倍をわずかに上回る水準です。配当利回りは約2〜3%程度(株価による)を維持していますが、今後の収益改善が伴わない場合、さらなる減配リスクも考慮する必要があります。

過去決算との比較

過去5年間の推移を見ると、売上高は7,000百万円台から5,000百万円台へ減少傾向にあり、利益面でも2期連続の最終赤字となっています。特に今期はタイ拠点の設備等に関する減損損失119百万円を特別損失として計上したことが、純損失拡大の主な要因となりました。

市場の評判

株式会社日本抵抗器製作所は半導体・電子機器製造会社で、投資家は業界の成長と設備投資に注目。社員の評判は中程度、ワークライフバランスは良好。

詳細リサーチレポート

株式会社日本抵抗器製作所(6977)リサーチレポート

最新の業績動向と今後の見通し

  • 2025年12月期の連結業績は、売上高が59.05億円と前年比8.5%減少、経常損失は1.36億円と赤字幅が拡大しました. 親会社株主に帰属する当期純損失は3.76億円でした.
  • 産業機械向け製品の受注減少が主な要因ですが、EV(電気自動車)向け抵抗器や建機向けセンサーは堅調に推移しています。海外売上高は増加傾向にあります.
  • 直近3ヶ月(2025年10-12月期)の連結経常損益は5600万円の黒字に転換し、売上営業損益率も大幅に改善しています.
  • 2026年12月期の業績予想では、売上高が65億円と前年比10.1%増、経常利益は1億円の黒字を見込んでいます.
  • 2026年2月16日発表の決算短信によると、2025年12月期の連結業績は事前予想を下回る水準でした.

業界内での競合ポジションと市場シェア

  • 日本抵抗器製作所は抵抗器の中堅メーカーであり、自動車向け依存度が大きいことが特徴です.
  • 主要な競合他社としては、村田製作所(6981)、KOA(6999)、東京コスモス電機(6772)、SEMITEC(6626)、帝国通信工業(6763)などが挙げられます.
  • 市場シェアに関する具体的なデータは見つかりませんでした。

成長戦略と重点投資分野

  • 中期経営計画に関する情報は見つかりませんでした。
  • EV向け抵抗器や建機向けセンサーなど、成長分野への注力が示唆されています.
  • 中国生産の拡大も進められています.

リスク要因と課題

  • 金利変動、為替相場変動、減損会計の適用などがリスク要因として挙げられています.
  • 特定の取引先、製品、技術への依存もリスク要因です.
  • 国内外の市場における激しい競争、特にハイブリッドIC、電子機器分野での価格競争が課題となっています.
  • 自己資本比率の低下(16.2%)と財務の立て直しが長期的な課題です.

アナリストの評価と目標株価

  • アナリストによるレーティングや目標株価は、データが存在しないという情報が見られます.
  • みんかぶによる株価予想では、2026年3月19日時点で「1025円で【買い】」と評価されています.

最近の重要ニュースやイベント

  • 2026年2月16日、2025年12月期の決算発表と、今期の増配予想が発表されました.
  • 2026年3月16日、第78回定時株主総会招集の通知が発表されました.

ESG・サステナビリティへの取り組み

  • ESG・サステナビリティに関する具体的な取り組み内容は見つかりませんでした。

配当政策と株主還元

  • 収益に応じた配当を基本方針としています.
  • 2025年12月期の年間配当は25円と、前期の30円から減額されました.
  • 2026年12月期の年間配当は30円と、前期比5円増の増配が予想されています.
  • 2026年3月19日時点での予想配当利回りは2.98%です.
  • 配当性向は2025年12月期で-8.2%となっています.
  • 自社株買いに関する情報は見つかりませんでした。
免責事項:本レポートは、公開されている情報に基づいて作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。

情報源

年度別バリュエーション推移(PBR/PER/時価総額)

株価推移(高値・安値)01,0002,0003,0004,0005,000'10/12'13/12'16/12'19/12'22/12'25/12最新(株探)高値安値PBR推移(高値・安値・期末PBR)0.0倍1.0倍2.0倍3.0倍4.0倍5.0倍'10/12'13/12'16/12'19/12'22/12'25/12最新(株探)PBR高値PBR安値期末PBRPER推移(高値・安値)0倍20倍40倍60倍80倍100倍'10/12'13/12'16/12'19/12'22/12'25/12最新(株探)PER高値PER安値時価総額推移(高値・安値)0億10億20億30億40億50億60億'10/12'13/12'16/12'19/12'22/12'25/12最新(株探)高値安値ROE推移(PBR÷PERで算出・高値同士/安値同士)0.0%5.0%10.0%15.0%20.0%'10/12'13/12'16/12'19/12'22/12'25/12最新(株探)ROE高値ROE安値
年度 株価高値 株価安値 PER高値 PER安値 PBR高値 PBR安値 時価総額高値 時価総額安値 期末PBR
2010年12月期 1,300 720 42.75 23.68 2.31 1.28 16億1200万 8億9280万 1.5倍
2011年12月期 1,090 650 赤字 赤字 2.07 1.23 13億5160万 8億600万 1.4倍
2012年12月期 1,220 600 赤字 赤字 2.22 1.09 15億1280万 7億4400万 1.35倍
2013年12月期 1,540 710 37.41 17.25 2.05 0.95 19億960万 8億8040万 1.47倍
2014年12月期 4,830 980 77.49 15.72 4.92 1 59億8920万 12億1520万 2.01倍
2015年12月期 2,330 1,000 赤字 赤字 2.49 1.07 28億8920万 12億4000万 2.01倍
2016年12月期 2,020 1,000 80.06 39.64 2.26 1.12 25億480万 12億4000万 1.39倍
2017年12月期 1,919 1,109 21.45 12.4 1.95 1.13 23億7956万 13億7516万 1.58倍
2018年12月期 2,082 951 12.87 5.88 1.95 0.89 25億8168万 11億7924万 0.94倍
2019年12月期 1,344 889 22.46 14.85 1.22 0.81 16億6656万 11億236万 1.03倍
2020年12月期 1,360 572 55.17 23.2 1.23 0.52 16億8640万 7億928万 0.93倍
2021年12月期 1,348 966 55.45 39.74 1.11 0.8 16億7152万 11億9784万 0.82倍
2022年12月期 1,321 866 20.56 13.48 1.04 0.68 16億3804万 10億7384万 0.78倍
2023年12月期 1,278 998 30.8 24.05 0.97 0.76 15億8472万 12億3752万 0.76倍
2024年12月期 1,079 761 赤字 赤字 0.89 0.62 13億3796万 9億4364万 0.67倍
2025年12月期 988 680 赤字 赤字 1.04 0.72 12億2512万 8億4320万 1.02倍
最新(株探) 988 - 12.2倍 - 1.04倍 - - - 1.04倍

ROE算出表(PBR÷PER×100)

PBR = ROE × PER の関係式から逆算。高値同士・安値同士で算出しています。

年度 PBR高値 PER高値 ROE高値(%) PBR安値 PER安値 ROE安値(%)
2010年12月期 2.31 42.75 5.4% 1.28 23.68 5.4%
2011年12月期 2.07 赤字 - 1.23 赤字 -
2012年12月期 2.22 赤字 - 1.09 赤字 -
2013年12月期 2.05 37.41 5.5% 0.95 17.25 5.5%
2014年12月期 4.92 77.49 6.3% 1 15.72 6.4%
2015年12月期 2.49 赤字 - 1.07 赤字 -
2016年12月期 2.26 80.06 2.8% 1.12 39.64 2.8%
2017年12月期 1.95 21.45 9.1% 1.13 12.4 9.1%
2018年12月期 1.95 12.87 15.2% 0.89 5.88 15.1%
2019年12月期 1.22 22.46 5.4% 0.81 14.85 5.5%
2020年12月期 1.23 55.17 2.2% 0.52 23.2 2.2%
2021年12月期 1.11 55.45 2.0% 0.8 39.74 2.0%
2022年12月期 1.04 20.56 5.1% 0.68 13.48 5.0%
2023年12月期 0.97 30.8 3.1% 0.76 24.05 3.2%
2024年12月期 0.89 赤字 - 0.62 赤字 -
2025年12月期 1.04 赤字 - 0.72 赤字 -
最新(株探) 1.04倍 12.2倍 8.5% - - -

バリュエーション推移の概要

株式会社日本抵抗器製作所(6977)の過去15年間のバリュエーション推移を俯瞰すると、2014年から2016年にかけての極めて高い評価局面を経て、その後は長期的な調整局面に入り、近年ではバリュー株としての側面が強まっていることが見て取れます。2014年にはPER 77.49倍、PBR 4.92倍という極めて高い水準を記録しましたが、2018年以降はPBRが1倍を割り込む期間が常態化するなど、市場の評価は保守的な水準へと移行してきました。しかし、最新のデータではPBR 1.04倍と再び1倍台を回復しており、評価の底打ち感を示唆しています。

PBR分析

PBR(株価純資産倍率)は、同社の資産価値に対する市場の評価を如実に表しています。歴史的高値は2014年の4.92倍であり、この時期は時価総額も急増していました。一方で、2020年にはPBR 0.52倍という歴史的低水準を記録し、純資産価値の約半分で取引される局面もありました。2018年以降、期末PBRは1.0倍を大きく下回る水準(0.67倍〜0.94倍)で推移してきましたが、2025年12月期および最新データにおいて1.04倍まで回復しています。これは、東証の「PBR1倍割れ改善」に向けた市場全体の意識の高まりや、同社の自己資本の蓄積、あるいは業績改善への期待が反映され、評価の正常化が進んでいるプロセスと言えます。

PER分析

PER(株価収益率)の推移は、同社の純利益の変動性の高さを示しています。2011年、2012年、2015年、そして直近の2024年〜2025年予測の一部において赤字(または赤字転落懸念)が見られ、PERが算出できない期間が散見されます。収益が安定していた時期のPERを見ると、2014年の77.49倍や2016年の80.06倍といった非常に高い倍率から、2018年の5.88倍(安値時)まで、その振れ幅は極めて大きいのが特徴です。最新の12.2倍という数値は、過去の利益計上局面(2017年の12.4倍〜21.45倍など)と比較して、標準的もしくはやや控えめな評価水準に位置しています。

時価総額の推移

時価総額は、2014年に一時59億8920万円まで急拡大しましたが、その後は長期的な縮小傾向を辿り、直近数年間は10億円から16億円程度のレンジで推移しています。2010年時点の約16億円という水準と比較しても、現在の約12億〜13億円規模は歴史的に見て低いレンジに留まっており、企業の成長性に対する市場の慎重な姿勢が継続しています。特に2020年以降、時価総額のボラティリティは以前に比べて低下しており、マイクロキャップ銘柄としての流動性リスクを内包しつつも、時価総額10億円台前半での定着が進んでいる状況です。

現在のバリュエーション評価

現在のバリュエーションを歴史的水準と比較すると、PBR 1.04倍、PER 12.2倍という数字は「過度な割安圏を脱し、均衡点に位置している」と評価できます。PBR 0.5倍〜0.6倍台まで売り込まれた2020年〜2024年頃の「超割安水準」からは修正が進んでいますが、2014年前後の過熱感(PBR 4倍超)からは程遠い状況です。今後、株価がさらなる上値を追うためには、赤字期を脱した後の安定的な収益構造の証明と、1.0倍台を維持するのに十分な株主還元や成長戦略の提示が重要な焦点となります。投資家は、最新のPER 12.2倍が過去の利益成長局面における水準に対して依然として妥当な範囲内にあることを踏まえ、今後の収益の持続性を見極める必要があります。

キャッシュフロー推移

キャッシュフロー推移(営業CF・投資CF・フリーCF)-4億-2億0百万2億4億'16/12'18/12'20/12'22/12'24/12'25/120営業CF投資CFフリーCF設備投資 vs フリーCF(百万円)-4億-3億-2億-1億0百万1億2億'16/12'18/12'20/12'22/12'24/12'25/120設備投資#1フリーCF現金等残高推移10億12億14億16億18億20億'16/12'18/12'20/12'22/12'24/12'25/12現金等
年度 四半期 営業CF 投資CF 財務CF フリーCF 設備投資#1 現金等
2016年12月期 通期 215 -45 -312 170 -68 1818
2017年12月期 通期 142 -67 -234 75 -126 1660
2018年12月期 通期 271 -165 -31 106 -139 1721
2019年12月期 通期 38 -215 2 -177 -191 1545
2020年12月期 通期 297 -113 -176 184 -157 1562
2021年12月期 通期 -276 -88 10 -364 -95 1213
2022年12月期 通期 -144 -104 221 -248 -118 1170
2023年12月期 通期 -187 -204 495 -391 -241 1295
2024年12月期 通期 76 -200 241 -124 -337 1472
2025年12月期 通期 231 -76 -169 155 -126 1460

※単位: 百万円。データ出典: IRBank(irbank.net)

キャッシュフロー推移の概要

株式会社日本抵抗器製作所の過去10年間のキャッシュフロー(CF)推移を俯瞰すると、2010年代後半の安定期、2021年から2023年にかけての苦境と先行投資期、そして2024年以降の回復期という三つのフェーズに分けられます。直近の2025年12月期(予測値含む)のCFパターンは、営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスの「優良安定型」に回帰しています。本業で稼いだキャッシュの範囲内で設備投資と借入返済を賄う、健全なサイクルを取り戻しつつある状態と評価できます。

営業キャッシュフロー分析

営業CFは、2016年から2020年までは概ねプラス圏(平均約2億円弱)で推移していましたが、2021年12月期(-2.76億円)から2023年12月期(-1.87億円)にかけて3期連続のマイナスを記録しました。これは原材料費の高騰や棚卸資産の増加などが本業の現金創出力を圧迫した可能性を示唆しています。しかし、2024年12月期に0.76億円、2025年12月期には2.31億円と、V字回復の兆しを見せています。本業の収益性が改善し、再びキャッシュを生み出す力が戻ってきた点は、投資家にとってポジティブな材料です。

投資キャッシュフロー・設備投資分析

投資CFは一貫してマイナスで推移しており、継続的な事業投資姿勢が鮮明です。特に注目すべきは設備投資額の推移で、2010年代は1億円台が中心でしたが、2023年12月期(-2.41億円)、2024年12月期(-3.37億円)と投資規模を拡大させています。この積極的な設備投資は、生産能力の増強や自動化、あるいは新製品開発に向けられたものと考えられます。2025年12月期は-1.26億円と落ち着きを見せる計画ですが、過去数年の大型投資が将来の営業CFの拡大に結びつくかどうかが、今後の重要な焦点となります。

フリーキャッシュフロー分析

フリーCF(営業CF+投資CF)は、営業CFの悪化と設備投資の拡大が重なった2021年から2024年にかけて、4期連続のマイナス(合計で約11.27億円の流出)となりました。この期間は「生み出すキャッシュ」よりも「使うキャッシュ」が大幅に上回っていたため、株主還元への余力は限定的であったと推察されます。しかし、2025年12月期には1.55億円のプラスに転換する見込みです。これにより、自力で投資資金を賄い、余剰資金を財務体質の強化や還元に充てられるフェーズに再び入ったと言えます。

財務戦略・現金残高の評価

財務CFの推移を見ると、営業CFがマイナスに沈んだ2022年(2.21億円)や2023年(4.95億円)にプラスとなっており、不足する運転資金や投資資金を外部調達(借入等)で補完していた様子が伺えます。手元流動性(現金等残高)については、2016年の18.18億円から2022年には11.70億円まで減少しましたが、借入による補填と営業CFの回復により、2025年には14.60億円まで回復する見込みです。総じて、苦境期を外部調達で凌ぎつつ、手元資金の急激な枯渇を防ぎながら投資を継続した粘り強い財務運営が見て取れます。

キャッシュフロー総合評価

日本抵抗器製作所のCF構造は、ここ数年の「勝負型(借入で赤字と投資を賄う)」から、再び「優良安定型」へと脱皮を図る過渡期にあります。

【強み】:厳しい局面でも設備投資の手を緩めず、2025年には本業のキャッシュ創出力(営業CF)を2.31億円まで回復させている点。
【懸念点】:過去数年の積極的な設備投資(特に2024年の3.37億円)が、期待通りのリターンを生むか。また、借入金が先行しているため、金利上昇局面での財務コストへの影響。

総合的には、最悪期を脱し、成長に向けた基盤整備を終えつつある評価になります。今後は回復したフリーCFを原資として、さらなる成長投資に向かうのか、あるいは財務の健全化(借入返済)を優先するのか、その資本配分の方針が注目されます。

DCF法による理論株価分析

DCF分析の前提条件

パラメータ 説明
WACC(割引率) 9.0% 加重平均資本コスト
FCF成長率 3.0% 予測期間中の年平均成長率
EV/FCF倍率 4.90倍 ターミナルバリュー算出用(現在の市場評価)
予測年数 5年 将来FCFの予測期間
発行済株式数 1,235,000株 理論株価算出の分母
現金及び現金同等物 15億 非事業資産として加算
有利子負債 10億 企業価値から控除

将来フリーキャッシュフロー予測

予測年 予測FCF 現在価値(PV)
1年目 2億 1億
2年目 2億 1億
3年目 2億 1億
4年目 2億 1億
5年目 2億 1億
ターミナルバリュー 9億 6億
フリーキャッシュフロー推移(実績 + DCF予測)-4億-3億-2億-1億0百万1億2億2123252028予2030予2031予0FCF実績FCF予測

理論株価の算出プロセス

① 予測FCF現在価値の合計 7億
② ターミナルバリューの現在価値 6億
③ 事業価値(① + ②) 12億
④ 加算: 現金及び現金同等物 +15億
⑤ 控除: 有利子負債 -10億
⑥ 株主価値(③ + ④ − ⑤) 17億
DCF理論株価
1,367円
現在の株価
988円
乖離率(割安)
+38.4%

感度分析(理論株価: 円)

WACC(横軸)とFCF成長率(縦軸)を変化させた場合の理論株価の変動を示します。

WACC →
FCF成長率 ↓
7.0%8.0%9.0%10.0%11.0%
-2.0%1,2551,2241,1951,1681,141
0.5%1,3441,3101,2781,2471,217
3.0%1,4421,4041,3671,3331,300
5.5%1,5481,5051,4651,4271,390
8.0%1,6631,6161,5711,5281,488

※ 緑色: 現在株価(988円)より高い(割安方向) / 赤色: 低い(割高方向) / 青背景: 現在の前提条件

DCF分析の総合評価

株式会社日本抵抗器製作所(6977)のDCF分析に基づく理論株価は1,367円と算出されました。現在の市場価格988円と比較すると、理論上の乖離率は+38.4%となり、バリュエーション面では「割安」な水準にあると評価できます。この乖離は、市場が同社の将来的なフリーキャッシュフロー(FCF)の回復力、あるいは保有するネットキャッシュ(現預金15億円に対し有利子負債10億円)を十分に評価しきれていない可能性を示唆しています。

フリーキャッシュフローの質

過去のFCF実績を振り返ると、2021年12月期から2024年12月期にかけて4期連続でマイナスを計上しており、キャッシュ創出力の不安定さが目立ちます。特に設備投資の先行や運転資本の増大が要因と推測されますが、分析の前提となる「1年目以降のFCF 160百万円〜」という予測は、過去数年の実績から見ると大幅なV字回復を前提としています。この予測の妥当性、つまり「マイナスから安定的なプラスへ転換できる確信」が、本理論株価の信頼性を左右する最大の鍵となります。

前提条件の妥当性

WACC(割引率)は9.0%に設定されており、小型株特有のリスクプレミアムを考慮した妥当な水準と言えます。一方で、FCF成長率3.0%という設定は、成熟産業である抵抗器市場においてはやや強気な印象を与えます。また、出口マルチプル(EV/FCF倍率)の4.90倍は保守的な設定であり、成長性の鈍化をあらかじめ織り込んだ慎重なシミュレーションであると評価できます。この控えめなマルチプル設定の下でも38%超の乖離が出ている点は注目に値します。

ターミナルバリューの影響

本分析における事業価値12億円のうち、ターミナルバリューの現在価値(6億円)が占める割合は約50%です。一般的なDCF分析ではターミナルバリューが全体の70〜80%を占めることも珍しくありませんが、本件は予測期間5年間のキャッシュフローへの依存度が相対的に高く、中短期的な業績回復シナリオに依存した価値算定となっています。したがって、5年目までの予測FCFが計画を下回った場合、理論株価は急速に下落するリスクを内包しています。

感度分析から読み取れること

本モデルにおいては、分母となるWACC(9.0%)と成長率(3.0%)の差が大きいため、成長率のわずかな変動よりも、WACC(資本コスト)の変動が理論株価に与える影響が大きくなります。例えば、金利上昇や市場リスクの増大によりWACCが1%上昇した場合、理論株価は10%程度の変動を受ける可能性があります。また、有利子負債10億円に対し現預金15億円という「キャッシュリッチ」な財務構造が、事業価値を上回る株主価値(17億円)を支える大きな要因となっています。

投資判断への示唆

DCF分析の結果は「割安」を示しており、資産背景(ネットキャッシュ5億円)を考慮すると下値余地は限定的であると考えられます。しかし、DCF法は将来予測という「不確実な仮定」に強く依存する手法です。過去のFCFがマイナス圏で推移してきた事実を重く見るならば、予測1年目のFCF 160百万円が達成可能なのか、四半期ごとの進捗を厳格に監視する必要があります。

本分析は、同社が構造的な収益改善を果たし、安定したキャッシュ創出フェーズに移行することをメインシナリオとしています。投資を検討される際は、この成長シナリオの実現性と、DCF法の感応度リスクを十分に勘案した上で、最終的な判断を行ってください。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

過去のFCFは不安定ですが、2026年12月期の黒字化予想を起点とした緩やかな回復を想定し、成長率を3%と推計しました。小規模キャップ特有のリスクプレミアムと業績のボラティリティを考慮し、WACCは9%と高めに設定しています。発行済株式数は予想純利益とPERから導出される時価総額(約12.2億円)に基づき算出し、有利子負債は現預金水準を考慮した標準的な財務構成を仮定して設定しました。

⚠️ 免責事項: 本DCF分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 DCF法は前提条件(WACC、成長率等)に大きく依存するため、感度分析を参考に幅を持って評価してください。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

リバースDCF分析(市場の期待値)

市場が織り込んでいる成長期待

現在の株価(988円)を正当化するために必要なインプライドFCF成長率を逆算しました。

インプライドFCF成長率
-9.4%
市場が織り込む成長率
AI推定FCF成長率
3.0%
ファンダメンタル分析ベース
成長率ギャップ
-12.4%
悲観的

リバースDCF詳細

現在の株価988円
インプライドFCF成長率-9.44%
AI推定FCF成長率3.00%
成長率ギャップ-12.44%(悲観的)
インプライドWACC1.00%
AI推定WACC9.00%
📖 読み方:
  • インプライド成長率 > AI推定成長率 → 市場は楽観的。期待通りの成長が実現しなければ株価下落リスク
  • インプライド成長率 < AI推定成長率 → 市場は悲観的。実態より過小評価されている可能性
  • 両者がほぼ一致 → 市場の評価はファンダメンタルに整合的

市場の期待値の評価

リバースDCF分析の結果、現在の株価988円に含まれるインプライドFCF成長率は-9.44%となりました。これは、市場が日本抵抗器製作所の将来のフリーキャッシュフロー(FCF)に対し、毎年約10%近い減少が永続的に続くと想定していることを意味します。AIが推定する成長率3.00%と比較すると、-12.44%もの乖離(ギャップ)が生じており、市場の期待値は極めて「悲観的」な水準にあると評価できます。過去の実績や電子部品業界の平均的な推移と比較しても、このマイナス成長の織り込みは、事業縮小や収益性の著しい悪化を前提とした厳しい評価と言わざるを得ません。

インプライド成長率の実現可能性

市場が織り込む「年率-9.44%」という成長率の妥当性を検討する必要があります。同社は抵抗器やハイブリッドIC、センサーなど、産業機器や自動車分野において不可欠な電子部品を供給しています。近年のEV化や工場の自動化(FA)といった潮流を考慮すると、電子部品需要が長期的にこれほど急激に減衰し続けるシナリオは、構造的な不況や致命的な競争力の喪失がない限り、現実的には考えにくい側面があります。一方で、同社のような中小型株は流動性が低く、将来のリスクが過剰に価格に反映される傾向(マイナス方向への過剰反応)が見られることも事実です。市場は、原材料価格の高騰や特定の顧客への依存リスクなど、不透明な外部環境を極めて保守的に見積もっている可能性があります。

投資判断への示唆

今回の分析結果は、現在の株価988円が理論的な期待値(AI推定成長率3.00%)に対して大幅に割安である可能性を示唆しています。インプライドWACCが1.00%と極めて低く算出されている一方で、AI推定の標準的なWACC(9.00%)を適用した場合、現在の市場価格を維持するにはさらに過酷なマイナス成長を維持しなければならない計算となります。これは、現在の株価が「最悪のシナリオ」に近い状態を既に織り込んでいる可能性を示しています。投資家は、同社の直近の決算からキャッシュフローの安定性を確認し、この「市場の過度な悲観」が一時的なものか、あるいは企業構造に起因する本質的な問題かを慎重に見極める必要があります。もし現状の収益が維持、あるいは微増するだけであれば、現在の株価は強力な安全域(マージン・オブ・セーフティ)を有していると解釈することも可能です。

拡張感応度分析・シナリオ分析

感度分析: WACC × FCF成長率(理論株価: 円)

金利上昇はWACCの増加、景気後退はFCF成長率の低下として理論株価に影響します。

WACC →
FCF成長率 ↓
7.0%8.0%9.0%10.0%11.0%
-2.0%1,2551,2241,1951,1681,141
0.5%1,3441,3101,2781,2471,217
3.0%1,4421,4041,3671,3331,300
5.5%1,5481,5051,4651,4271,390
8.0%1,6631,6161,5711,5281,488

※ 緑色: 現在株価(988円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 現在の前提条件

シナリオ分析(楽観・基本・悲観)

金利環境・景気動向の変化に応じた3つのシナリオで理論株価を比較します。

楽観シナリオ
WACC: 7.5% / FCF成長率: 8.0%
永久成長率: 1.2%
1,639円
+65.9%
基本シナリオ
WACC: 9.0% / FCF成長率: 3.0%
永久成長率: 0.8%
1,367円
+38.4%
悲観シナリオ
WACC: 10.5% / FCF成長率: -4.0%
永久成長率: 0.4%
1,097円
+11.0%

シナリオ分析の総合評価

株式会社日本抵抗器製作所(6977)のシナリオ分析結果に基づくと、現在の株価(988円)は、最も保守的な「悲観シナリオ」における理論株価(1,097円)をも下回る水準にあります。基本シナリオにおける理論株価は1,367円(乖離率+38.4%)、楽観シナリオでは1,639円(乖離率+65.9%)と算出されており、DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)モデルの観点からは、市場価格がファンダメンタルズに対して過小評価されている可能性が示唆されます。全シナリオにおいて理論株価が現在株価を上回っている点は、特筆すべき評価ポイントと言えます。

金利変動の影響

WACC(加重平均資本コスト)の変化に対する感応度を分析すると、金利上昇やリスクプレミアムの拡大によってWACCが基本の9.0%から10.5%へ上昇した場合でも、理論株価は1,097円に留まります。これは現在の株価988円と比較して約11%の余裕があることを意味し、一定の金利上昇リスクに対する耐性を備えていると評価できます。一方で、WACCが7.5%まで低下する楽観シナリオでは株価の押し上げ効果が非常に大きく、資本効率の改善や市場のリスク許容度向上が株価に与えるインパクトは大きいと考えられます。

景気変動の影響

FCF(フリー・キャッシュ・フロー)成長率の変化は、同社の企業価値に顕著な影響を与えます。基本シナリオの成長率3.0%に対し、景気後退や需要減退を想定した悲観シナリオ(成長率-4.0%)においても、理論株価は現在株価を維持する結果となりました。これは、たとえ恒常的なマイナス成長に陥ったとしても、現行の株価水準が一定のボトムラインを形成している可能性を示しています。ただし、永久成長率が0.8%から0.4%へ低下するような長期的な停滞シナリオが重なる場合、下値リスクへの警戒は必要ですが、現時点での下振れ余地は限定的であると分析されます。

投資判断への示唆

本分析における最大の示唆は、「安全域(マージン・オブ・セーフティ)」の広さです。最も厳しい前提を置いた悲観シナリオの理論株価(1,097円)が現在株価(988円)を上回っている事実は、投資家にとって一定の下値支持線として機能する可能性があります。期待収益率とリスクのバランスを考慮すると、現在の株価水準は割安圏にあると判断されますが、市場がこの価値をいつ反映するかは別問題です。流動性リスクやセクター特有の循環性を考慮しつつ、理論株価との乖離をどう解釈するかが投資判断の要となります。

モンテカルロシミュレーション

シミュレーション結果サマリー

WACC・FCF成長率・永久成長率をそれぞれ正規分布でランダムに変動させ、100,000回のDCF計算を実行した結果です。

平均理論株価
2,093円
中央値
2,069円
90%レンジ(5-95%点)
1,686 〜 2,584円
割安確率
100.0%
理論株価 > 現在株価
モンテカルロシミュレーション:理論株価の確率分布(100,000回)0.0%1.2%2.4%3.6%4.8%6.0%1,607円1,758円1,908円2,059円2,210円2,360円2,511円2,662円シミュレーション分布現在株価

※ ヒストグラムは外れ値の影響を抑えるため、分布の中央96%(2〜98パーセンタイル)を表示しています。平均・中央値・パーセンタイルなどの統計値は有効サンプル全体で計算しています。

理論株価のパーセンタイル分布

シミュレーション結果を小さい順に並べたとき、各パーセンタイルにおける理論株価を示します。

パーセンタイル 5% 10% 25% 50% 75% 90% 95%
理論株価1,686円1,761円1,899円2,069円2,260円2,455円2,584円

※ 緑色: 現在株価(988円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 中央値(50%タイル)

リスク指標

理論株価の標準偏差 275円
5% VaR(下位5%タイル) 1,686円
変動係数(CV = σ / 平均) 13.1%
有効シミュレーション数 100,000 / 100,000

確率分布の解釈

100,000回のシミュレーションに基づく理論株価の分布は、平均値2,093円に対し、中央値が2,069円となっており、平均値が中央値をわずかに上回る「右に裾を引く分布(正の歪み)」を示しています。これは、FCF成長率や永久成長率の上振れが理論株価に与えるインパクトが、下振れ時の影響よりも大きいことを示唆しています。 また、5パーセンタイル(1,686円)から95パーセンタイル(2,584円)という広いレンジは、不確実性を考慮した上でも、理論的な価値が一定の厚みを持って推移していることを表しており、DCFモデルにおける主要パラメータ(WACC、成長率)の変動を織り込んだ上での妥当な価格帯が、概ね1,700円から2,600円程度に集約されることを意味しています。

リスク評価

リスク指標としての5% VaR(Value at Risk)は1,686円となりました。これは、シミュレーション上の非常に悲観的なシナリオ(下位5%のケース)においても、理論上の価値が1,686円を下回る確率は極めて低いことを示しています。 変動係数(CV)を算出すると約13.1%(275円 / 2,093円)となり、推定パラメータ(WACCや成長率)の不確実性が理論株価に与える影響は、中小型株のシミュレーションとしては比較的安定した水準にあると評価できます。95パーセンタイルと5パーセンタイルの差(898円)は標準偏差の約3.2倍に相当し、極端な楽観シナリオを除けば、価格のブレ幅は管理可能な範囲内に収まっています。

現在株価の統計的位置づけ

現在株価988円は、今回のシミュレーション結果における「割安確率100.0%」という極めて特異な位置にあります。具体的には、シミュレーションで得られた最も低い価格帯である5パーセンタイル値(1,686円)すら大幅に下回っており、統計学的な分布の外側に位置する「著しい過小評価」の状態にあると言えます。 中央値(2,069円)と比較しても、現在株価は約52%のディスカウント(半値以下)で取引されていることになり、市場価格がファンダメンタルズに基づく理論価値を全く反映していない、あるいはシミュレーションで設定した前提条件(WACC 9.0%、FCF成長率 3.0%等)を市場が極めて否定的に捉えている可能性を示唆しています。

投資判断への示唆

本シミュレーション結果は、投資判断における「マージン・オブ・セーフティ(安全域)」が極めて大きいことを示しています。最も保守的な5% VaR(1,686円)を基準としても、現在株価に対して約70%の上方乖離が存在しており、理論上の下値リスクは統計的には限定的であると解釈できます。 しかし、割安確率100%という結果は、裏を返せば「市場がDCFモデルに含まれない固有のリスク(流動性リスク、特定顧客への依存度、資本効率の低さ、あるいは将来的な業績悪化への強い懸念)」を極端に織り込んでいる可能性も示唆します。投資家としては、この大幅な乖離を単なる「歪み」と捉えるだけでなく、乖離を解消するためのカタリスト(業績の変化や株主還元策など)の有無を併せて検討することが重要です。最終的な投資判断は、これらの統計的優位性と、個別企業の事業環境および市場流動性を総合的に勘案した上で行う必要があります。

📖 モンテカルロシミュレーションの読み方:
  • 割安確率: シミュレーション結果のうち、理論株価が現在株価を上回った割合。50%超なら統計的に割安寄り
  • 90%レンジ(5-95%点): 全シミュレーション結果を並べたときの下位5%点から上位95%点までの範囲。幅が広いほど不確実性が高い
  • 5% VaR: 悲観的な条件下でも95%の確率でこの値以上になると期待される最低ライン
  • 変動係数: 平均に対する標準偏差の比率。30%超だとパラメータ感度が高い(結果の信頼性に注意)
⚠️ 免責事項: 本モンテカルロシミュレーションはAIが推定したパラメータの分布に基づく統計的な参考値であり、投資助言ではありません。 正規分布の仮定、パラメータ間の独立性の仮定など、実際の市場とは異なる前提を含んでいます。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

EPS/BPSベース理論株価分析

理論株価モデルの前提条件

パラメータ 説明
直近EPS 80.80円 1株あたり利益
直近BPS 950.00円 1株あたり純資産
1株配当 30.00円 年間配当金
EPS成長率 4.0% 予測期間中の年平均
割引率 10.0% 将来EPSの割引率
想定PER 12.20倍 理論株価算出に使用

EPS/BPS予測と理論株価

年度 期首BPS EPS 配当 自己資本増加 期末BPS ROE(%) EPS成長率(%) PER(倍) PBR(倍) DCF 理論株価
2026年12月 950.00 80.80 30.00 50.80 1000.80 8.51 0.00 12.20 0.98 80.80 986
2027年12月 1000.80 84.03 30.00 54.03 1054.83 8.40 4.00 12.20 0.97 76.39 1,025
2028年12月 1054.83 87.39 30.00 57.39 1112.23 8.29 4.00 12.20 0.96 72.23 1,066
2029年12月 1112.23 90.89 30.00 60.89 1173.11 8.17 4.00 12.20 0.95 68.29 1,109
2030年12月 1173.11 94.52 30.00 64.52 1237.64 8.06 4.00 12.20 0.93 64.56 1,153
ターミナル 716.05
PER×EPS 理論株価
986円
-0.2%
DCF合計値
1,078.32円
+9.1%
現在の株価
988円

DCF内訳

予測期間EPS現在価値合計(5年分) 362.27円
ターミナルバリュー現在価値 716.05円(全体の66.4%)
DCF合計理論株価 1,078.32円

EPS/BPSモデルの総合評価

株式会社日本抵抗器製作所(6977)の現在の株価988円は、モデルから算出された「PER×EPS理論株価」の986円とほぼ同水準にあり、足元の利益水準に対しては極めて妥当な評価を受けていると言えます。一方で、将来の利益成長を現在価値に割り引いた「DCF合計理論株価」は1,078.32円となっており、現在株価に対して+9.1%の乖離(割安感)が認められます。

この乖離は、市場が短期的なPER(株価収益率)に基づいた評価を優先しているのに対し、理論モデル上では将来の着実なEPS成長とBPS(1株純資産)の積み上げが加味されていることに起因します。現在のバリュエーションは、割高感はないものの、将来の成長性が完全には織り込まれていない「適正からやや割安」なレンジにあると評価できます。

ROE推移の見通し

本モデルの予測によれば、ROE(自己資本利益率)は2026年12月期の8.51%から、2030年12月期には8.06%へと緩やかに低下する傾向が示されています。これは、年率4.0%のEPS成長を上回るペースで利益剰余金が積み上がり、BPSが950円から1,237.64円へと拡大していくことが主な要因です。

PBR(株価純資産倍率)の推移に注目すると、0.98倍から0.93倍へと1.0倍を下回る水準で推移しており、資本効率の改善が今後の株価水準を押し上げる鍵となります。利益成長が資本の蓄積に追いつかない場合、ROEの低下と共にPBRの評価も切り下がるリスクを内包していますが、安定した利益水準が維持される限り、下値の硬直性は保たれる見通しです。

前提条件の妥当性

今回のモデルで設定された前提条件は、製造業としての同社の立ち位置を考慮すると、保守的かつ現実的な設定と考えられます。

  • EPS成長率(4.0%): 過度な期待を排除した持続可能な成長率として設定されており、急激な市況変動がない限り、達成可能性の高い数値です。
  • 割引率(10.0%): 中小型株特有のリスクプレミアムを考慮した標準的な水準です。
  • 想定PER(12.20倍): 現在の市場平均や同社の過去実績と比較して、過熱感のない妥当なマルチプルです。

一方で、配当が30円で固定されている前提のため、今後の利益成長に伴う増配期待や配当性向の変化が生じた場合、理論株価はさらに上振れる余地を残しています。

投資判断への示唆

本モデルの分析結果は、現在の株価が短期的な収益力(PER視点)では適正水準にあり、中長期的な現金創出力(DCF視点)では約9%のアップサイドを秘めていることを示唆しています。

投資家にとっての注目点は、今後同社が「BPSの蓄積に伴うROEの低下をどのように回避するか」にあります。利益成長率が4%を超えるポジティブ・サプライズが発生するか、あるいは配当性向の引き上げ等による資本効率の向上が確認されれば、PBR 1.0倍割れという現状の評価が見直される契機(カタリスト)となるでしょう。

以上の通り、ダウンサイドリスクは限定的であるものの、大きな株価上昇には成長の加速または株主還元策の強化が必要とされる状況にあります。これらの指標の推移を注視しつつ、投資タイミングを検討することが肝要です。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

過去2年のEPSは大幅な減益後の回復基調にあり、直近のROE(約8.5%)と配当性向(約37%)から算出される内部成長率をベースに、保守的に4%の成長率を推定しました。割引率は、日本企業の標準的な資本コストに小型株特有の流動性リスクを考慮し、10%に設定しています。現在のPBRが1.04倍と解散価値付近であることは、市場が資本コストを上回る利益成長を限定的と見ている現状を反映しています。電子部品業界の景気サイクルを考慮し、持続可能な成長性を加味したパラメータ設定としました。

⚠️ 免責事項: 本理論株価分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 EPS成長率・割引率・PER等の前提条件により結果は大きく変動します。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

残留利益モデル分析(Residual Income Model)

残留利益モデル(Residual Income Model)

残留利益モデルは、現在のBPS(1株純資産)に将来の「超過利益」の現在価値を加算して理論株価を算出します。 株主資本コストを上回るROEを持続できる企業ほど、BPSに大きなプレミアムが付きます。

理論株価 = BPS₀ + Σ[(ROEₜ − r) × BPSₜ₋₁ / (1+r)ᵗ] + TV/(1+r)ⁿ

前提条件

パラメータ 説明
直近BPS 950.00円 1株あたり純資産(出発点)
直近EPS 80.80円 1株あたり利益
株主資本コスト (r) 10.0% 株主の要求収益率(エクイティチャージの基準)
EPS成長率 4.0% 予測期間中の年平均
1株配当 30.00円 年間配当金(BPS蓄積に影響)
予測年数 5年 個別予測期間

残留利益の年次予測

年度 期首BPS EPS ROE(%) エクイティチャージ 残留利益 PV(残留利益) 期末BPS
2026年12月 950.00 80.80 8.51 95.00 -14.20 -12.91 1000.80
2027年12月 1000.80 84.03 8.40 100.08 -16.05 -13.26 1054.83
2028年12月 1054.83 87.39 8.29 105.48 -18.09 -13.59 1112.23
2029年12月 1112.23 90.89 8.17 111.22 -20.33 -13.89 1173.11
2030年12月 1173.11 94.52 8.06 117.31 -22.79 -14.15 1237.64
ターミナル 残留利益の永続価値: -227.9円 → PV: -141.51円 -141.51
理論株価の構成
現在BPS
950円
簿価部分
+
残留利益PV合計
-67.8円
超過利益の現在価値
+
ターミナルPV
-141.51円
永続価値の現在価値
=
RIM理論株価
741円
-25.0%
現在の株価: 988円
残留利益モデル:ROEとエクイティチャージの推移8.0%8.5%9.0%9.5%10.0%2627282930ROE(%)株主資本コスト(10.0%)
残留利益と現在価値の推移-24円-22円-20円-18円-16円-14円-12円2627282930残留利益(円)PV(残留利益)(円)
📖 残留利益モデルの読み方:
  • 残留利益 > 0(ROE > 株主資本コスト)→ 企業はBPS以上の価値を創出。理論株価 > BPS となりプレミアム付与
  • 残留利益 < 0(ROE < 株主資本コスト)→ 資本効率が不十分。理論株価 < BPS となりディスカウント
  • DCF法との違い: RIMはBPS(純資産)を出発点とするため、資産ベースの評価に強く、安定企業・金融機関の評価に適しています

残留利益の評価

今回の分析結果において、株式会社日本抵抗器製作所のROE(自己資本利益率)は、2026年12月期の8.51%から2030年12月期の8.06%へと推移する予測となっています。これに対し、投資家が期待する収益率である株主資本コスト(r)を10.0%と設定した場合、すべての年度において「ROE < 株主資本コスト」の状態が続くことになります。 その結果、エクイティチャージ(資本コスト相当額)がEPS(一株当たり純利益)を上回り、残留利益は2026年の-14.20円から2030年の-22.79円までマイナス幅が拡大する見通しです。これは、会計上の利益は計上されているものの、資本コストを考慮した「経済的付加価値」の観点では、現時点の前提条件において価値創造が十分になされていない可能性を示唆しています。

BPSプレミアム/ディスカウントの解釈

残留利益モデル(RIM)における理論株価は741円と算出されました。これは現在のBPS(一株当たり純資産)である950.00円を約22%下回る水準です。通常、ROEが株主資本コストを上回る企業ではBPSにプレミアム(上乗せ)が付与されますが、本件のようにROEが資本コストを下回る状況では、将来の負の残留利益を割り引く形で、BPSに対する「ディスカウント(割引き)」が発生します。 具体的には、BPS(950.00円)から、予測期間の残留利益PV合計(-67.80円)およびターミナルバリューPV(-141.51円)を差し引く構造となっており、資産規模に見合った収益性が十分に確保できていないことが理論株価を押し下げる要因となっています。

他の評価手法との比較

本モデルによる理論株価(741円)は、現在株価(988円)に対して-25.0%の乖離を示しています。現在株価はPBR(株価純資産倍率)で約1.04倍の水準にあり、市場は概ねBPS相当の価値を認めていると言えます。 DCF法(ディスカウント・キャッシュ・フロー法)と比較した場合、DCF法は設備投資や運転資本の変動によるキャッシュフローを重視しますが、RIMはROEという「資本効率」に焦点を当てます。もしPER(株価収益率)等の指標で割安と判断される場合であっても、このRIMの結果は、株主資本を効率的に活用してコストを上回る利益を上げる能力が課題であることを浮き彫りにしています。市場価格が理論値を上回っている背景には、モデルに織り込まれていない将来的なROEの劇的な改善や、非営業資産の含み益、あるいは資本コストの低下(低リスク評価)を市場が期待している可能性が考えられます。

投資判断への示唆

RIMによる試算では、現行の収益性(ROE 8.0~8.5%)と資本コスト(10.0%)の前提に基づくと、理論上の価値は現在の市場価格を25%下回る結果となりました。投資家の皆様にとっての注目点は、「今後、同社のROEが株主資本コストの10.0%を超える水準まで向上するかどうか」に集約されます。 具体的には、EPS成長率が想定の4.0%を大きく上回るシナリオや、資本効率の改善によるROEの上昇が確認されれば、理論株価は上方修正されます。一方で、現状の収益性のまま推移すると考えるならば、現在の株価はBPSや将来収益に対してやや割高な水準にあると解釈することも可能です。本分析結果を一つの視点とし、他手法による評価や同社の事業戦略と照らし合わせた多角的なご判断をお勧めいたします。

⚠️ 注意: 残留利益モデルの結果は、EPS成長率・株主資本コスト・BPSの前提条件に大きく依存します。 また、会計基準の違い(日本基準/IFRS)によりBPSの定義が異なる場合があります。投資判断の際は他の手法と合わせてご検討ください。

リバースDCF分析(EPSベース・市場の期待値)

市場が織り込んでいる成長期待

現在の株価(988円)を正当化するために必要なインプライドEPS成長率を逆算しました。

インプライドEPS成長率
1.3%
市場が織り込む成長率
AI推定EPS成長率
4.0%
ファンダメンタル分析ベース
成長率ギャップ
-2.7%
ほぼ妥当

リバースDCF詳細

現在の株価988円
インプライドEPS成長率1.26%
AI推定EPS成長率4.00%
成長率ギャップ-2.74%(ほぼ妥当)
インプライド割引率50.00%
AI推定割引率10.00%
📖 読み方:
  • インプライド成長率 > AI推定成長率 → 市場は楽観的。期待通りの成長が実現しなければ株価下落リスク
  • インプライド成長率 < AI推定成長率 → 市場は悲観的。実態より過小評価されている可能性
  • 両者がほぼ一致 → 市場の評価はファンダメンタルに整合的

市場の期待値の評価

現在の株価988円に基づくリバースDCF分析の結果、市場が織り込んでいるインプライドEPS成長率は1.26%となりました。この数値は、市場が株式会社日本抵抗器製作所に対して、将来的に極めて緩やかな成長、あるいは現状維持に近い安定した業績推移を期待していることを示唆しています。AIが推定する成長率4.00%と比較すると、市場の評価は慎重な姿勢が強く、過熱感のない「ほぼ妥当」からやや割安に近い水準にあると解釈できます。

インプライド成長率の実現可能性

市場が求めている年率1.26%という成長ハードルは、製造業における一般的なインフレ率や設備投資による効率化を考慮すると、実現可能性が比較的高い水準と言えます。一方で、インプライド割引率が50.00%という極めて高い値を示している点には注意が必要です。これは、市場が同社に対して非常に高いリスクプレミアム(流動性リスクや業績のボラティリティ等)を課している、あるいは現在の利益水準に対して株価が著しく保守的に評価されている可能性を示しています。AI推定の割引率10.00%との間に大きな乖離があるため、このリスク認識の差がどこに起因するかが、実現可能性を判断する鍵となります。

投資判断への示唆

本分析における成長率ギャップ(AI推定成長率 - インプライド成長率)は-2.74%(市場がAI予測より2.74ポイント低い成長を見込んでいる状態)であり、もし同社がAIの推定する4.00%の成長を達成できるのであれば、現在の株価は上昇余地を残していることになります。投資家は、同社の主軸である抵抗器やハイブリッドICの需要動向、および自動車・産業機器向け市場でのシェア拡大の可能性を精査し、市場が課している「50%」という高い割引率(リスク評価)が過剰であるかどうかを検討する必要があります。最終的な投資判断は、これらのリスクと成長のバランスを考慮した上で、ご自身の責任において行われるようお願いいたします。

感応度分析・シナリオ分析

感度分析: 割引率 × EPS成長率(理論株価: 円)

金利上昇は割引率の増加、景気後退はEPS成長率の低下として理論株価に影響します。

割引率 →
EPS成長率 ↓
8.0%9.0%10.0%11.0%12.0%
-1.0%987952919888858
1.5%1,0701,032996961929
4.0%1,1601,1181,0781,0411,005
6.5%1,2561,2101,1671,1251,086
9.0%1,3591,3081,2611,2151,172

※ 緑色: 現在株価(988円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 現在の前提条件

シナリオ分析(楽観・基本・悲観)

金利環境・景気動向の変化に応じた3つのシナリオで理論株価を比較します。

楽観シナリオ
割引率: 8.5% / EPS成長率: 10.0%
1,375円
+39.2%
基本シナリオ
割引率: 10.0% / EPS成長率: 4.0%
1,078円
+9.1%
悲観シナリオ
割引率: 11.5% / EPS成長率: -2.0%
845円
-14.5%

シナリオ分析の総合評価

株式会社日本抵抗器製作所(6977)の現在株価(988円)を基準とした場合、今回のシナリオ分析による理論株価のレンジは845円から1,375円となりました。基本シナリオにおける理論株価は1,078円であり、現在株価はそこから9.1%の割安圏に位置しています。現在価格は「基本」と「悲観」の間に位置しており、市場は同社の成長性に対してやや慎重、あるいは中立的な評価を下していることが示唆されます。楽観シナリオ(+39.2%)と悲観シナリオ(-14.5%)の乖離幅を確認すると、上振れ余地が下振れリスクを上回る非対称的なプロファイルが確認できます。

金利変動の影響

本分析では、割引率を8.5%から11.5%の範囲で設定しました。割引率は市場金利やリスクプレミアムを反映しますが、基本シナリオ(10.0%)から楽観シナリオ(8.5%)へ1.5ポイント低下することで、理論株価を押し上げる大きな要因となります。逆に、マクロ経済の不透明感や資本コストの上昇により割引率が11.5%まで上昇した場合、他の条件が一定でも株価には強い下押し圧力がかかります。同社のような製造業においては、設備投資の資金調達コストや市場全体の期待収益率の変化が、理論株価の妥当性に敏感に影響を与える構造となっています。

景気変動の影響

EPS成長率の変化は、将来のキャッシュフロー創出力に直結します。基本シナリオの4.0%に対し、楽観シナリオでは10.0%という高い成長率を想定しており、これが実現した場合には1,375円という現行水準を大きく上回る評価が可能となります。一方で、景気後退や原材料高、需要減退により成長率がマイナス2.0%(悲観シナリオ)に転じた場合、理論株価は845円まで低下し、現在価格を約15%下回ることになります。抵抗器事業を取り巻く産業機器や自動車分野の需給動向が、EPS成長率を通じて株価のボラティリティを左右する主因であると言えます。

投資判断への示唆

以上の分析結果から、現在の株価988円は、基本シナリオが示す1,078円に対して一定の安全余裕率(セーフティ・マージン)を含んでいると解釈できます。投資家の皆様におかれましては、同社が掲げる成長戦略や市場環境の推移が、「基本(成長率4%)」を維持できるものか、あるいは「楽観(成長率10%)」に近い飛躍を見込めるものかを精査することが肝要です。同時に、割引率に影響を与える外部環境の変化が、許容できるリスクの範囲内にあるかを検討し、これらの数値モデルを一つの判断材料としてご活用ください。最終的な投資決定は、最新の決算短信や事業報告等の公開情報に基づき、ご自身の責任において行われるようお願いいたします。

限界利益分析(CVP分析)

高低点法による費用構造の推定

売上高が最大の年度と最小の年度を比較し、総費用(売上高−営業利益)の変化から変動費率と固定費を推定します。

推定変動費率
95.0%
売上高に対する変動費の割合
推定限界利益率
5.0%
1 − 変動費率
推定固定費
192
百万円
基準: 2023年 12月期 連結(売上高 7,400 百万円)と 2016年 12月期 連結(売上高 5,135 百万円)の比較

年度別 限界利益指標

年度 売上高 限界利益 限界利益率 損益分岐点 安全余裕率 経営レバレッジ
16年 12月期 5,500 277 5.0% 3,824 30.5% 6.15倍
16年 12月期 5,135 258 5.0% 3,824 25.5% 3.92倍
16年 12月期 5,135 258 5.0% 3,824 25.5% 3.92倍
17年 12月期 5,600 282 5.0% 3,824 31.7% 1.88倍
17年 12月期 5,863 295 5.0% 3,824 34.8% 1.22倍
17年 12月期 5,864 295 5.0% 3,824 34.8% 1.21倍
18年 12月期 7,000 352 5.0% 3,824 45.4% 1.01倍
18年 12月期 6,752 340 5.0% 3,824 43.4% 0.99倍
18年 12月期 6,753 340 5.0% 3,824 43.4% 0.99倍
19年 12月期 6,200 312 5.0% 3,824 38.3% 2.08倍
19年 12月期 6,179 311 5.0% 3,824 38.1% 2.21倍
20年 12月期 5,500 277 5.0% 3,824 30.5% 5.54倍
20年 12月期 5,543 279 5.0% 3,824 31.0% 7.54倍
21年 12月期 6,185 311 5.0% 3,824 38.2% 2.80倍
21年 12月期 6,193 312 5.0% 3,824 38.3% 2.76倍
22年 12月期 6,700 337 5.0% 3,824 42.9% 1.69倍
22年 12月期 7,000 352 5.0% 3,824 45.4% 1.30倍
22年 12月期 7,204 363 5.0% 3,824 46.9% 1.17倍
22年 12月期 7,206 363 5.0% 3,824 46.9% 1.26倍
23年 12月期 7,400 372 5.0% 3,824 48.3% 2.07倍
23年 12月期 7,176 361 5.0% 3,824 46.7% 3.61倍
23年 12月期 7,167 361 5.0% 3,824 46.6% 3.61倍
24年 12月期 6,800 342 5.0% 3,824 43.8% 8.56倍
24年 12月期 6,500 327 5.0% 3,824 41.2% -
24年 12月期 6,454 325 5.0% 3,824 40.8% -
24年 12月期 6,500 327 5.0% 3,824 41.2% -
24年 12月期 6,455 325 5.0% 3,824 40.8% -
25年 12月期 6,200 312 5.0% 3,824 38.3% 10.40倍
25年 12月期 6,000 302 5.0% 3,824 36.3% -
25年 12月期 5,906 297 5.0% 3,824 35.3% -
売上高と損益分岐点売上高の推移3十億4十億5十億6十億7十億8十億1617181920222223242525売上高(百万円)損益分岐点(百万円)
安全余裕率と経営レバレッジの推移0.010.020.030.040.050.01617181920222223242525安全余裕率(%)経営レバレッジ(倍)
直近年度の損益分岐点分析(2025年 12月期 連結)
売上高
5,906
百万円
損益分岐点
3,824
百万円
安全余裕率
35.3%
十分な安全余裕
経営レバレッジ
-
中程度の経営リスク

費用構造の評価

本分析による株式会社日本抵抗器製作所の推定変動費率は95.0%、限界利益率は5.0%となっています。この数値から、同社は極めて「変動費型」の費用構造を有していると分析されます。固定費が192百万円と売上規模(直近約7,000百万円前後)に対して低水準に抑えられている一方で、売上高の大部分が原材料費や外注費などの変動費で占められていることが示唆されます。製造業としては限界利益率が非常に低く、付加価値の創出よりも、外部環境(原材料価格や部材調達コスト)の影響を受けやすい薄利多売型の収益構造である点に留意が必要です。

損益分岐点と安全余裕率

損益分岐点売上高は3,824百万円と算出されました。これに対し、近年の売上高は5,500百万円から7,400百万円の間で推移しており、損益分岐点を大きく上回っています。安全余裕率に着目すると、2023年12月期には48.3%と高い水準を記録しており、一般的に良好とされる30%を安定的に超えています。2025年12月期の予測値(売上高5,906百万円)においても安全余裕率は35.3%を維持する見通しであり、低固定費構造が奏功して、多少の減収局面においても赤字に転落しにくい、事業継続上の強固な安定性を備えていると評価できます。

経営レバレッジとリスク

経営レバレッジは年度によって大きく変動しており、2024年12月期には8.56倍、2025年12月期予測では10.40倍と極めて高い数値が示されています。これは、限界利益率が5.0%と低いため、売上のわずかな増減が営業利益に大きなインパクトを与える「ハイリスク・ハイリターン」な構造であることを意味します。特に、安全余裕率が低下傾向にある局面ではレバレッジが急上昇し、景気後退や需要減退による減益リスクが増大します。利益を伸ばすには徹底した売上高の積み上げ、あるいは変動費率のわずかな改善(原価低減)が不可欠であり、売上のボリューム変化が利益成長率を大きく左右する特性を持っています。

投資判断への示唆

限界利益分析の結果から、以下の点が投資判断のポイントとして挙げられます。第一に、低固定費構造により、売上が3,824百万円を割り込まない限り赤字になりにくい「下方硬直性」は評価に値します。第二に、限界利益率の低さから、増収が利益に結びつく効率は限定的ですが、高い経営レバレッジを背景に、予測を上回る増収が達成された場合には利益が爆発的に伸びるポテンシャルを有しています。一方で、2024年から2025年にかけて売上高の減少が予想されており、これに伴い安全余裕率の低下と経営レバレッジの上昇が同時に進む「利益の不安定化」が懸念材料です。今後の受注動向と、変動費率を抑制するための原価管理体制を慎重に見極めることが求められます。

⚠️ 注意: 本分析は高低点法による推定値です。実際の変動費・固定費は有価証券報告書の費用明細と異なる場合があります。 費用構造が大きく変化した期間を含む場合、推定精度が低下する可能性があります。投資判断の際は他の指標と合わせてご確認ください。

デュポン分析(ROE分解)

ROEの3要素分解(デュポン分析)

ROE = 純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ に分解し、収益性の源泉を可視化します。

年度 純利益率(%) × 総資産回転率(回) × 財務レバレッジ(倍) = ROE(%)
16年 12月期 0.18 × 0.851 × 6.84 = 0.01
17年 12月期 1.07 × 0.800 × 6.72 = 0.06
18年 12月期 2.43 × 1.025 × 5.61 = 0.14
19年 12月期 1.13 × 0.927 × 5.21 = 0.05
20年 12月期 0.73 × 0.875 × 4.90 = 0.03
21年 12月期 0.79 × 0.902 × 5.05 = 0.04
22年 12月期 1.04 × 0.883 × 5.50 = 0.05
23年 12月期 1.35 × 0.968 × 5.56 = 0.07
24年 12月期 0.44 × 0.880 × 6.68 = 0.03
25年 12月期 0.32 × 0.860 × 9.70 = 0.03
デュポン分析:ROEの3要素推移0.0%0.5%1.0%1.5%2.0%2.5%161820222425純利益率(%)ROE(%)
総資産回転率と財務レバレッジの推移0.002.004.006.008.0010.00161820222425総資産回転率(回)財務レバレッジ(倍)
直近年度のROE構成(2025年 12月期 連結)
純利益率
0.32%
収益性
×
総資産回転率
0.860回
効率性
×
財務レバレッジ
9.70倍
借入で資本効率を870%ブースト
=
ROE
0.03%
株主資本利益率
📊 ROE変動の主因: 直近の変動は主に「財務レバレッジ」の変化によるものです。借入金の増減がROEに大きく影響しています。高レバレッジによるROEの嵩上げはリスクも伴います。

ROEの質の評価

株式会社日本抵抗器製作所のROE(自己資本利益率)は、直近10年間において0.01%から0.14%の範囲で推移しており、絶対水準として極めて低い水準にあります。デュポン分析の内訳を見ると、ROEの変動は主に「財務レバレッジ」の変化に依存しており、収益性を示す「純利益率」の貢献度は限定的です。2018年12月期には純利益率が2.43%まで上昇し、ROEも0.14%と期間内最高値を記録しましたが、その後は再び低下傾向にあります。本業の稼ぐ力によるROEの押し上げが弱く、負債による資本構成がROEの数値を維持している側面が強いため、現時点でのROEの「質」は必ずしも高いとは言えない状況です。

財務レバレッジの影響

同社の最大の特徴は、非常に高い財務レバレッジにあります。2016年時点の6.84倍から一時期は4.90倍(2020年)まで低下しましたが、2024年12月期予測では6.68倍、2025年12月期予測では9.70倍と急上昇する見込みです。一般的に製造業の財務レバレッジは2〜3倍程度が標準的とされる中で、9倍を超える水準は自己資本比率が10%程度まで低下していることを示唆しており、財務的な弾力性に注視が必要です。純利益率が0.3%台と低位に留まる中でレバレッジを拡大させている現状は、わずかな金利上昇や景気後退による利益圧縮が、自己資本に対して大きな毀損(きそん)を与えるリスクを内包しています。

トレンド分析

過去10年の推移を分析すると、収益構造の「低位安定」と「財務負荷の増大」という2つのトレンドが見て取れます。

  • 収益性(純利益率):2018年の2.43%をピークに、2024年〜2025年にかけては0.44%から0.32%へと低下が予想されています。原材料費の高騰や競争環境の変化が利益を圧迫している可能性があります。
  • 効率性(総資産回転率):0.8倍から1.0倍の間で推移しており、資産を売上に変える効率性は比較的安定しています。劇的な改善は見られませんが、事業規模に見合った資産運用は維持されていると言えます。
  • 財務戦略:2025年度に向けてレバレッジが9.70倍まで跳ね上がる点は、大きな構造変化です。これは設備投資のための借入増、あるいは何らかの資本構成の変化を反映していると考えられ、ROEを維持するための苦肉の策、あるいは将来の成長に向けた勝負局面のいずれかであると推察されます。

投資判断への示唆

デュポン分析から導き出される同社の姿は、「薄利多売の構造を高い財務レバレッジで支える典型的な中小製造業」の性格を強めています。投資家が注目すべきは、2025年に向けて急増する財務レバレッジが、将来的に純利益率の改善(収益性向上)に結びつくかどうかです。現状、0.3%〜1%程度の純利益率では、資本コストを十分にカバーできているとは言い難い状況にあります。今後の投資判断においては、この高いレバレッジを背景とした財務リスクを許容できるか、そして低迷する純利益率が反転する明確なシナリオ(新製品の寄与やコスト構造の改革など)が見えるかどうかが重要な焦点となるでしょう。

⚠️ 注意: デュポン分析の数値はIRBankから取得した財務データに基づいています。 会計基準(日本基準/IFRS)の違いにより、株主資本の定義が異なる場合があります。

借金が利益に与える影響分析

有利子負債の概要

項目 説明
有利子負債 40億 銀行借入・社債等の利息付き負債
推定金利 0.25% 営業利益と経常利益の差から推定
推定支払利息 10百万 有利子負債 × 推定金利
利息 / 純利益 比率 50.0% 純利益に対する利息負担の大きさ
推定実効税率 30.0% 1 − (純利益 / 経常利益) から推定

「もし借金がなかったら」年度別シミュレーション

有利子負債による支払利息を除外した場合の仮想利益を試算しています。

年度 有利子負債 推定利息 経常利益
実績
経常利益
借金なし
純利益
実績
純利益
借金なし
ROE
実績
ROE
借金なし
レバレッジ
効果
2016/12 32億 5百万 40百万 45百万 10百万 14百万 1.06% 0.33% +0.73%pt
2017/12 30億 20百万 1億 2億 60百万 69百万 5.76% 1.73% +4.03%pt
2018/12 30億 40百万 3億 4億 2億 2億 13.96% 4.58% +9.37%pt
2019/12 30億 45百万 2億 2億 70百万 91百万 5.45% 2.12% +3.34%pt
2020/12 29億 43百万 50百万 93百万 40百万 75百万 3.12% 1.79% +1.33%pt
2021/12 29億 7百万 1億 1億 49百万 52百万 3.61% 1.22% +2.40%pt
2022/12 32億 48百万 2億 2億 70百万 1億 5.07% 2.25% +2.82%pt
2023/12 38億 57百万 2億 3億 1億 1億 7.27% 2.42% +4.86%pt
2024/12 41億 62百万 50百万 1億 30百万 67百万 2.59% 1.27% +1.32%pt
2025/12 40億 10百万 20百万 30百万 20百万 27百万 2.69% 0.57% +2.12%pt
純利益推移: 実績 vs 借金なしシミュレーション0百万50百万1億2億2億2016/122018/122020/122022/122024/122025/12実績純利益借金なし純利益ROE推移: 実績 vs 借金なしシミュレーション0.0%5.0%10.0%15.0%2016/122018/122020/122022/122024/122025/12実績ROE借金なしROE
レバレッジ効果の評価(直近年度)
借金が利益を増やしている(レバレッジ効果あり)
実績ROE
2.69%
借金なしROE
0.57%
レバレッジ効果
+2.12%pt

事業利益率が借入金利を上回っており、借金によるレバレッジが株主リターン(ROE)を押し上げています。

借金の利益インパクト

株式会社日本抵抗器製作所の2025年12月期予測における有利子負債は40億円であり、これに対する推定支払利息は10百万円となっています。一見すると支払利息の絶対額は小さく見えますが、同社の純利益水準(実績予測20百万円)と比較すると、「利息/純利益比率」は50.0%に達しています。シミュレーション上、もし借金が全くなかった場合、純利益は実績の20百万円から27百万円へと約35%増加する計算となります。このことから、同社の利益構造において支払利息は無視できない重みを持っており、わずかな金利上昇や営業利益の変動が最終的な純利益に大きく影響を及ぼす性質を持っていることが分かります。

レバレッジ効果の評価

財務レバレッジの活用については、一貫して株主資本利益率(ROE)を押し上げる「プラスの効果」が確認できます。2025年12月期の予測では、実績ROE 2.69%に対し、借金がないと仮定した場合のROEは0.57%にとどまります。この差分である+2.12%ptが財務レバレッジによる上乗せ効果です。過去の推移を振り返ると、2018年12月期にはレバレッジ効果が+9.37%ptと非常に高く、効率的な資本運用がなされていました。近年のレバレッジ効果は縮小傾向にあるものの、依然として借入金による事業規模の維持が、株主に対するリターン(ROE)の底上げに寄与している状況と評価できます。

財務戦略の考察

同社の有利子負債は2016年の32億円から2025年には40億円へと増加傾向にあります。一方で、推定金利は0.25%と極めて低水準に抑えられており、低コストな資金調達を維持できている点が強みです。製造業として設備投資や運転資金を確保する上で、この低金利環境を活かした負債活用は合理的な選択と言えます。しかし、2024年から2025年にかけて経常利益が低迷している中、利息負担が利益を圧迫する構図が鮮明になっています。同業他社と比較しても、この低金利メリットを維持しつつ、いかに事業利益率(ROA)を高め、借入コストを上回る収益を安定的に生み出せるかが、中長期的な財務健全性の鍵となります。

投資家へのポイント

投資判断においては、以下の2点を注視する必要があります。 第一に「金利上昇への耐性」です。現在は0.25%という極めて低い推定金利の恩恵を受けていますが、利息/純利益比率が高い現状では、将来的な市場金利の上昇が直接的に純利益を圧迫するリスクがあります。 第二に「収益性の回復力」です。レバレッジ効果がプラスであることは、事業そのものが借入コスト以上の利益を生んでいることを示しますが、ROEの絶対値(2.69%)は依然として低い水準にあります。 借金がリターンを増幅させる「レバレッジの正の効果」を今後も維持できるか、あるいは利益減少により負の影響へ転じるか、営業利益の推移とともに慎重に見極めることが重要です。

⚠️ 注意事項: 本分析は営業利益と経常利益の差額から支払利息を推定しており、実際の支払利息とは異なる場合があります。 営業外収支には受取利息・配当金・為替差損益等も含まれるため、あくまで参考値としてご活用ください。 また、借金を全額返済した場合の実際の影響は資金調達構造の変化を伴うため、単純なシミュレーションとは異なります。
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