7196株式会社Casa||

Casa(7196) 理論株価分析:与信コスト増による利益圧迫と再成長へのDX戦略 カチノメ

決算発表日: 2026-04-232026年1月期 通期
総合業績スコア
43/100
注意

セクション別スコア

業績成長性35収益性20財務健全性55株主還元45成長戦略60理論株価評価45
業績成長性35
収益性20
財務健全性55
株主還元45
成長戦略60
理論株価評価45

※ 本記事は後半になるにつれて、内容が専門的になるように構成しています。

決算履歴(業績推移)

売上高推移(百万円)80億90億100億110億120億130億140億2017年 2019年 2021年 2023年 2025年 2026年 '27/1売上高利益推移(営業利益・経常利益・当期純利益)-5億0百万5億10億15億20億2017年 2019年 2021年 2023年 2025年 2026年 '27/10営業利益経常利益純利益利益率推移(%)-5.0%0.0%5.0%10.0%15.0%20.0%2017年 2019年 2021年 2023年 2025年 2026年 '27/10営業利益率経常利益率純利益率
年度 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 包括利益
2017年 1月期 個別 8,022 - 1,263 633 -
2018年 1月期 個別 8,315 1,259 1,303 805 -
2018年 1月期 個別 8,293 1,167 1,212 745 -
2019年 1月期 個別 8,609 1,325 1,391 840 -
2020年 1月期 連/個 9,454 1,409 1,469 890 -
2020年 1月期 連/個 9,436 1,523 1,577 927 913
2021年 1月期 連結 10,227 1,032 1,090 611 593
2022年 1月期 連結 10,379 1,038 1,117 658 -
2022年 1月期 連結 10,341 1,037 1,146 647 646
2023年 1月期 連結 10,286 786 895 255 226
2024年 1月期 連結 11,224 787 966 605 678
2025年 1月期 連結 12,081 759 935 12 -
2025年 1月期 連結 12,081 759 935 185 -
2025年 1月期 連結 12,157 1,303 1,564 602 618
2026年 1月期 連結 12,768 -298 -220 -90 -
2026年 1月期 連結 12,754 -63 45 123 191
2027年1月期 13,830 355 426 187

※単位: 百万円

利益率推移

営業利益率 = 営業利益÷売上高×100 / 経常利益率 = 経常利益÷売上高×100 / 純利益率 = 当期純利益÷売上高×100

年度 売上高 (百万円) 営業利益率 (%) 経常利益率 (%) 純利益率 (%)
2017年 1月期 個別 8,022 - 15.74% 7.89%
2018年 1月期 個別 8,315 15.14% 15.67% 9.68%
2018年 1月期 個別 8,293 14.07% 14.61% 8.98%
2019年 1月期 個別 8,609 15.39% 16.16% 9.76%
2020年 1月期 連/個 9,454 14.90% 15.54% 9.41%
2020年 1月期 連/個 9,436 16.14% 16.71% 9.82%
2021年 1月期 連結 10,227 10.09% 10.66% 5.97%
2022年 1月期 連結 10,379 10.00% 10.76% 6.34%
2022年 1月期 連結 10,341 10.03% 11.08% 6.26%
2023年 1月期 連結 10,286 7.64% 8.70% 2.48%
2024年 1月期 連結 11,224 7.01% 8.61% 5.39%
2025年 1月期 連結 12,081 6.28% 7.74% 0.10%
2025年 1月期 連結 12,081 6.28% 7.74% 1.53%
2025年 1月期 連結 12,157 10.72% 12.87% 4.95%
2026年 1月期 連結 12,768 -2.33% -1.72% -0.70%
2026年 1月期 連結 12,754 -0.49% 0.35% 0.96%
2027年1月期 13,830 2.57% 3.08% 1.35%

※営業利益率 = 営業利益÷売上高×100、経常利益率 = 経常利益÷売上高×100、純利益率 = 当期純利益÷売上高×100

決算サマリー

株式会社Casaの2026年1月期通期決算は、売上高12,753百万円(前年同期比4.9%増)、営業損失63百万円(前年同期は1,303百万円の営業利益)、経常利益45百万円(同97.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益123百万円(同79.5%減)となりました。既存代理店での利用拡大や新規代理店の獲得により増収を確保したものの、審査厳格化に伴う承認率の低下や、長期滞留債権の回収遅れに伴う貸倒引当金繰入額の大幅な増加が利益を大きく圧迫しました。

注目ポイント

与信コストのコントロールと回収体制の再構築

当期の業績悪化の主因は貸倒引当金繰入額が3,517百万円(前年比77.7%増)に達したことです。これに対し、同社は債権を初期・中期・長期に区分した回収体制の再構築や、弁護士委託の早期化、回収プロセスの分業化・専門化を進めており、今後の信用コスト適正化が焦点となります。

保証DXの推進と生産性向上

属人的な判断を排除し、審査精度を高めるためにAIスコアの導入や、AIボイスボットを活用した督促業務の自動化を進めています。これにより業務の標準化と効率化を図り、持続的な収益体質への転換を目指しています。

人的資本への投資「Casaアカデミー」

専門人材を体系的に育成するため「Casaアカデミー」を設立しました。早期戦力化と専門性向上を図ることで、人的基盤を強化し、長期的な成長を支える体制を整えています。

業界動向

賃貸住宅市場では、少子高齢化や世帯構成の変化により家主の安定的な賃料回収ニーズは依然として高く、家賃債務保証サービスの重要性は増しています。一方で、新設住宅着工件数は前年同期比5.0%減と減少傾向にあり、限られた市場内でのシェア拡大と、付加価値サービスの提供による差別化競争が激化しています。

投資判断材料

ストック型ビジネスとしての売上基盤は着実に拡大(保有契約件数は前期末比5.9%増)しており、収益の源泉となる継続保証料は積み上がっています。当期の利益急落は一時的な与信コストの増加という側面が強いですが、再構築中の回収体制がいつ実効性を発揮し、利益水準が正常化するかが最大の投資判断材料となります。

セグメント別業績

同社グループは家賃債務保証事業の単一セグメントですが、売上の内訳は以下の通りです。

  • 初回保証料:6,131百万円(前年同期比1.1%増)
  • 継続保証料:6,278百万円(同6.9%増)
  • その他売上(システム・不動産・コールセンター等):344百万円(同56.3%増)

特にストック収益である継続保証料が着実に伸長している点は評価できます。

財務健全性

自己資本比率は43.5%(前期末は47.6%)と、やや低下したものの、依然として健全な水準を維持しています。また、当座貸越及びコミットメントラインの総額4,000百万円のうち、借入実行残高は600百万円にとどまり、3,400百万円の未実行枠を確保しており、運転資金の流動性は確保されています。

配当・株主還元

当期の配当金は、業績悪化を背景に前期の32円から15円へと大幅な減配が予定されています(配当性向は算出不能)。一方で、自己株式の取得(ToSTNeT-3等による総額約7.9億円)を実施しており、機動的な資本政策を通じた株主還元への姿勢は維持されています。

通期業績予想

2027年1月期の業績目標として、売上高13,830百万円、営業利益355百万円を掲げています。さらに、2028年1月期には営業利益1,165百万円(営業利益率7.6%)まで回復させる計画であり、再生フェーズへの移行が期待されます。

中長期成長戦略

賃貸経営プラットフォーム「COMPASS」を通じて自主管理オーナー向けサービスを拡充し、従来の保証業務を超えた収益基盤の構築を目指しています。また、子会社プロフィットセンターを活用したアウトバウンド・インバウンド業務の強化により、顧客接点の最大化を図る方針です。

リスク要因

  • 信用リスク:経済環境の悪化による代位弁済額のさらなる増加
  • 法規制リスク:家賃債務保証業に関する新たな規制導入や任意登録制度の義務化
  • システムリスク:大規模災害や不正アクセスによるオペレーション停止

ESG・サステナビリティ

「誰もが安心して暮らせる社会」を目指し、ひとり親世帯への養育費保証事業を推進しています。ガバナンス面では、独立社外取締役が取締役会の半数を占める体制を構築し、透明性の高い経営を追求しています。

経営陣コメント

代表取締役社長の宮地正剛氏は、審査厳格化や回収体制の課題を認めつつも、今後は「成長の質を高める営業戦略」と「信用コスト管理の高度化」を一体で推進し、持続的な収益性の改善を実現すると強い意欲を示しています。

バリュエーション

当期の利益水準が極めて低いためPERでの評価は困難ですが、PBR(純資産倍率)は1倍を大きく下回る水準で推移しています。これは市場が同社の収益回復力に対して慎重な姿勢をとっていることを示唆しており、将来の利益回復が確実視されれば、再評価(リレーティング)の余地があります。

過去決算との比較

直近4四半期のトレンドでは、売上高は安定的に推移しているものの、貸倒引当金の繰入タイミングによって営業利益が大きく変動する傾向が顕著です。特に第2四半期から第3四半期にかけて与信コストの影響が強く出たため、今後の四半期決算では「貸倒引当金繰入額の減少」が確認できるかが重要になります。

市場の評判

株式会社Casaは家賃保証サービスを提供する大手企業で、社会的信用が高く、多くの自治体からも支持されています。投資家からの評価は様々ですが、事業の成長性は高いと見られています。社員の口コミは、成果主義と残業文化を指摘しています。

詳細リサーチレポート

最新の業績動向と今後の見通し

  • 2026年1月期の連結業績は、売上高127億5300万円、当期純利益1億2300万円であった。
  • 2026年1月期の決算短信によると、売上高は増収であったものの、営業損益は0.6億円の赤字に転落した。
  • 経常利益は45百万円であった。
  • 2027年1月期の会社予想では、経常利益は4億2600万円を見込んでいる。
  • アナリスト予想では、経常利益の増加が見込まれている。
  • 2025年3月18日の中期経営計画の見直しに関するお知らせでは、2027年の売上高目標を154億2400万円、営業利益を20億500万円と設定している。
  • 2025年9月には、求償債権に係る貸倒引当金の予測誤りによる2026年1月期の連結業績予想の修正に関する情報が開示された。

業界内での競合ポジションと市場シェア

  • 家賃債務保証事業を主軸としており、独立系大手として位置づけられている。
  • 主要な競合他社としては、あんしん保証、Jリース、イントラストなどが挙げられる。
  • 競合他社との比較では、売上高成長や営業利益成長の面で見劣りする時期もあった。
  • OpenWorkの社員クチコミ比較によると、Casaはオリコフォレントインシュア、日本賃貸保証などの競合他社と比較して、社員の相互尊重や法令順守意識などの項目で評価が異なる。
  • 2021年のレポートでは、Casaは家賃保証事業のパイオニアであり、安定的に高い利益を継続していると評価されている。

成長戦略と重点投資分野

  • 成長戦略として、「賃貸経営プラットフォーム」戦略を推進している。
  • 保証DXを推進し、AIやRPAを取り入れた業務効率化、与信・回収モデルの精度向上に注力している。
  • 不動産テック事業を強化しており、ITを活用した賃貸管理システム「家主ダイレクト」などを提供している。
  • 2023年5月には、不動産テックのGoldKey社を子会社化し、DX技術を強化している。
  • 2023年6月には、タレントプラットフォーム事業を展開するギグベースと資本業務提携し、不動産サービスの共同開発を行っている。
  • 中期経営計画では、「保証DXの推進」を掲げ、顧客体験の向上とサービス領域の拡大を目指している。

リスク要因と課題

  • 与信コストの増加が業績悪化の要因となっている。
  • 国内外の経済環境や雇用環境の悪化による、賃借人の家賃支払いへの影響がリスク要因として挙げられる。
  • 貸倒引当金の会計上の見積り方法の見直しを行ったが、今後の経済状況や債務者の支払い能力の変化により、貸倒リスクが再び高まる可能性がある。
  • 首都圏に本社機能が集中しているため、大規模災害発生時の事業継続性がリスクとして挙げられる。
  • 代表取締役社長への依存度が高い点がリスクとして認識されており、経営幹部の育成と権限委譲を進めている。
  • 家賃債務保証事業には直接的な規制法は存在しないが、今後の法規制の変更により事業展開や業績に影響が生じる可能性がある。

アナリストの評価と目標株価

  • Yahoo!ファイナンスでは、アナリストレポートが掲載されている。
  • 株予報Proでは、アナリストのレーティング、目標株価、理論株価などが掲載されている。
  • フィスコの銘柄カルテでは、ファンダメンタルズとテクニカルの総合判定が提供されている。
  • ジェイ・フェニックス・リサーチは、GCC経営™分析により、株主価値を試算し、最大アップサイド7.5倍の可能性があると分析している。
  • 理論株価Webでは、個人投資家はっしゃん氏独自のモデルで算出した理論株価が提供されている。

最近の重要ニュースやイベント

  • 2026年4月2日に、第13回定時株主総会の招集通知が発表された。
  • 2026年3月12日に、2026年1月期の決算が発表され、減益となったことが報じられた。
  • 2025年10月には、自己株式の取得が行われた。
  • 2025年9月には、中期経営計画の見直しに関するお知らせが発表された。
  • 2025年2月には、株式会社GoldKeyの株式譲渡に関するお知らせが発表された。

ESG・サステナビリティへの取り組み

  • 「人々の健全な住環境の維持」を企業理念としており、入居者の生活環境や収入状況の変化に応じて、支払い方法の調整や分割返済の相談に対応している。
  • 養育費保証事業にも注力しており、社会課題の解決を目指している。
  • AIやRPAを取り入れ、業務の効率化を進めることで、新たな働き方の実現に取り組んでいる。

配当政策と株主還元

  • 安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としている。
  • 期末配当は年1回を基本的な方針としており、決定機関は株主総会である。
  • 2026年1月期の配当は、1株あたり20円と予想されている。
  • 配当利回りは2.70%と予想されている。
  • 2025年10月には、自己株式の取得が行われた。
  • Finboardによると、Casaの株を100株買うと、年間2,000円の配当金がもらえる予想である。
  • みんかぶによると、配当利回りは2.66%、配当性向は119.23%である。

情報源

年度別バリュエーション推移(PBR/PER/時価総額)

株価推移(高値・安値)6008001,0001,2001,4001,6001,800'18/1'20/1'22/1'24/1'26/1最新(株探)高値安値PBR推移(高値・安値・期末PBR)0.5倍1.0倍1.5倍2.0倍2.5倍3.0倍'18/1'20/1'22/1'24/1'26/1最新(株探)PBR高値PBR安値期末PBRPER推移(高値・安値)10倍20倍30倍40倍50倍60倍70倍'18/1'20/1'22/1'24/1'26/1最新(株探)PER高値PER安値時価総額推移(高値・安値)80億100億120億140億160億180億200億'18/1'20/1'22/1'24/1'26/1最新(株探)高値安値ROE推移(PBR÷PERで算出・高値同士/安値同士)0.0%5.0%10.0%15.0%'18/1'20/1'22/1'24/1'26/1最新(株探)ROE高値ROE安値
年度 株価高値 株価安値 PER高値 PER安値 PBR高値 PBR安値 時価総額高値 時価総額安値 期末PBR
2018年1月期 1,190 1,057 16.79 14.91 2.03 1.81 128億9418万 114億5246万 1.94倍
2019年1月期 1,364 868 17.43 11.09 2.26 1.44 147億8576万 94億370万 1.86倍
2020年1月期 1,660 975 18.34 10.77 2.56 1.51 182億9984万 107億160万 2.37倍
2021年1月期 1,650 829 27.34 13.73 2.46 1.23 181億8960万 91億7868万 1.43倍
2022年1月期 1,076 800 16.58 12.33 1.55 1.15 119億2498万 89億6216万 1.19倍
2023年1月期 913 733 35.65 28.62 1.34 1.07 102億2934万 82億1157万 1.21倍
2024年1月期 1,084 793 17.96 13.14 1.51 1.1 122億4930万 89億6097万 1.17倍
2025年1月期 956 750 15.99 12.55 1.29 1.01 108億5107万 85億1287万 1.08倍
2026年1月期 878 706 69.79 56.12 1.21 0.97 101億1675万 81億3488万 0.98倍
最新(株探) 739 - 35.9倍 - 1.02倍 - - - 1.02倍

ROE算出表(PBR÷PER×100)

PBR = ROE × PER の関係式から逆算。高値同士・安値同士で算出しています。

年度 PBR高値 PER高値 ROE高値(%) PBR安値 PER安値 ROE安値(%)
2018年1月期 2.03 16.79 12.1% 1.81 14.91 12.1%
2019年1月期 2.26 17.43 13.0% 1.44 11.09 13.0%
2020年1月期 2.56 18.34 14.0% 1.51 10.77 14.0%
2021年1月期 2.46 27.34 9.0% 1.23 13.73 9.0%
2022年1月期 1.55 16.58 9.3% 1.15 12.33 9.3%
2023年1月期 1.34 35.65 3.8% 1.07 28.62 3.7%
2024年1月期 1.51 17.96 8.4% 1.1 13.14 8.4%
2025年1月期 1.29 15.99 8.1% 1.01 12.55 8.0%
2026年1月期 1.21 69.79 1.7% 0.97 56.12 1.7%
最新(株探) 1.02倍 35.9倍 2.8% - - -

バリュエーション推移の概要

株式会社Casa(7196)の過去約8年間のバリュエーション推移を俯瞰すると、2020年1月期から2021年1月期にかけて評価のピークを迎え、その後は段階的に調整局面に入っていることが見て取れます。当初はPBR2倍台、PER10倍台後半という成長期待を含んだ評価がなされていましたが、直近数年間は収益性の変動に伴いPERが大きく乱高下する一方、PBRは継続的な低下傾向にあり、現在は解散価値に近い水準で推移しています。

PBR分析

PBR(株価純資産倍率)の推移は、明確な右肩下がりのトレンドを描いています。2020年1月期には高値で2.56倍を記録し、期末時点でも2.37倍と高い期待値を示していました。しかし、2022年1月期に期末PBRが1.19倍まで下落して以降、1倍前後の水準が定着しています。2026年1月期の安値圏では0.97倍と、ついに1倍を割り込む場面も見られました。最新の1.02倍という数値は、歴史的な高値(2.56倍)と比較して極めて低い位置にあり、資産価値に対する株価のプレミアムがほぼ消失している状態といえます。

PER分析

PER(株価収益率)は、純利益の変動を反映して激しく推移しています。2018年1月期から2020年1月期にかけてはPER安値が10倍台で推移しており、収益力が安定していた時期のボトムラインとして機能していました。しかし、2023年1月期にはPER高値が35.65倍、2026年1月期の予測値では69.79倍にまで達しており、これは利益水準の低下(分母の縮小)が主因であると考えられます。最新の35.9倍という数値は、過去の安定期(10〜15倍程度)と比較すると割高に見えますが、これは収益性の回復待ちという市場の姿勢を反映したものと推察されます。

時価総額の推移

時価総額は、2020年1月期の高値182億9,984万円をピークに、現在は概ね80億〜100億円前後のレンジへと規模を縮小させています。2021年1月期までは180億円台を維持する局面もありましたが、2023年1月期以降は安値で81億〜82億円程度まで売り込まれる場面が散見されます。ピーク時から時価総額が約半分程度まで減少している事実は、市場が同社の成長シナリオを大幅に修正したことを示唆しており、企業価値の再構築が急務となっている現状が浮き彫りになっています。

現在のバリュエーション評価

現在の株価739円におけるバリュエーションは、PBR1.02倍、PER35.9倍となっています。PBRの観点では、歴史的安値圏である0.97倍(2026年1月期予測安値)に極めて近く、下値余地は限定的であるとの見方も可能です。一方で、PER35.9倍は過去の平均的なPER水準(約15倍前後)と比較して高く、利益成長による割高感の解消が期待されるフェーズにあります。投資家にとっては、PBR1倍割れ目前という「資産面での底値感」と、利益低迷による「見掛け上の割高なPER」のどちらを重く見るかが、判断の分かれ目になると言えるでしょう。

キャッシュフロー推移

キャッシュフロー推移(営業CF・投資CF・フリーCF)-15億-10億-5億0百万5億10億15億20億'17/1'19/1'21/1'23/1'25/1'26/10営業CF投資CFフリーCF設備投資 vs フリーCF(百万円)-5億0百万5億10億15億20億'17/1'19/1'21/1'23/1'25/1'26/10設備投資#1フリーCF現金等残高推移15億20億25億30億35億40億'17/1'19/1'21/1'23/1'25/1'26/1現金等
年度 四半期 営業CF 投資CF 財務CF フリーCF 設備投資#1 現金等
2017年1月期個別 通期 88 -182 -442 -94 - 1512
2018年1月期個別 通期 1039 -44 0 995 -35 2507
2019年1月期個別 通期 1689 42 -1532 1731 -32 2706
2020年1月期連結 通期 1194 -312 -598 882 -22 2990
2021年1月期連結 通期 1077 -445 -444 632 -486 3178
2022年1月期連結 通期 729 -1010 -480 -281 -451 2416
2023年1月期連結 通期 1165 -301 -391 865 -228 2889
2024年1月期連結 通期 1141 -11 -315 1129 -245 3704
2025年1月期連結 通期 14 -334 -401 -320 -109 2982
2026年1月期連結 通期 545 -185 -523 360 -184 2819

※単位: 百万円。データ出典: IRBank(irbank.net)

キャッシュフロー推移の概要

株式会社Casaの長期的なキャッシュフロー(CF)推移を俯瞰すると、多くの期間で営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスという「優良安定型」のパターンを維持しています。これは本業で稼いだキャッシュの範囲内で、将来への投資と株主還元や借入金返済をバランス良く行っている状態を示唆します。直近の2026年1月期においても、営業CFが5.45億円、投資CFが-1.85億円、財務CFが-5.23億円となっており、引き続き「優良安定型」のフレームワークに合致しています。

営業キャッシュフロー分析

営業CFは、2019年1月期の16.89億円をピークに、概ね年間10億円前後で推移してきました。しかし、2025年1月期には0.14億円と急激に減少しており、一時的な事業環境の変化や債権管理状況の変動が伺えます。翌2026年1月期には5.45億円まで回復傾向にありますが、全盛期の水準(10億円超)と比較すると、本業によるキャッシュ創出力の底上げが今後の焦点となります。安定性という観点では、長年プラスを維持している点は評価できるものの、直近数年の振れ幅には注意が必要です。

投資キャッシュフロー・設備投資分析

投資CFは、2022年1月期に-10.10億円と大幅な支出を記録しています。この時期には設備投資として4.51億円が計上されており、システム開発や拠点の整備など、将来の成長に向けた積極的な資本投下が行われたことが分かります。その後、2024年1月期以降は投資額が1〜3億円程度に落ち着いており、大規模投資の一巡と、現在の事業規模に見合った維持・更新投資への移行が見て取れます。投資の積極度は「中期的には抑制傾向」にあり、現在は過去の投資を収益化するフェーズにあると推察されます。

フリーキャッシュフロー分析

フリーCF(営業CF+投資CF)は、2022年1月期と2025年1月期を除き、概ねプラスで推移しています。特に2024年1月期には11.29億円という高い創出力を示しました。フリーCFが潤沢な時期は、財務活動における株主還元(配当や自社株買い)の余力が大きいことを意味します。一方で、2025年1月期のように営業CFの低下によりフリーCFが-3.20億円と赤字転落する局面もあり、キャッシュの「質の安定性」については、営業活動の効率性と連動する傾向が強いと言えます。

財務戦略・現金残高の評価

財務CFは一貫してマイナスが続いており、これは主に安定的な配当実施や債務の返済を継続している結果と考えられます。特筆すべきは手元流動性の厚さです。2017年1月期の15.12億円から、2024年1月期には37.04億円まで積み上がりました。2026年1月期時点でも28.19億円の現金等を保持しており、近年の設備投資額(年間1〜2億円程度)と比較しても、当面の運転資金および投資資金として十分な水準を確保しています。財務戦略としては、借入に頼らず自己資金で成長と還元を賄う「自己金融」の色彩が強いのが特徴です。

キャッシュフロー総合評価

株式会社Casaは、長期にわたり本業のキャッシュで投資と還元を賄う健全な財務構造を維持しています。2025年1月期に営業CFが一時的に低迷したものの、28億円を超える手元現預金がバッファーとなり、財務健全性が揺らぐ事態には至っていません。今後の注目点は、2026年1月期に見られる営業CFの回復基調が本物となり、再び年間10億円規模のフリーCFを安定的に創出できる体制に戻るかどうかです。豊富な現預金を背景とした機動的な成長投資、あるいはさらなる株主還元の強化に対する余力は十分に保持していると判断されます。

DCF法による理論株価分析

DCF分析の前提条件

パラメータ 説明
WACC(割引率) 7.5% 加重平均資本コスト
FCF成長率 4.0% 予測期間中の年平均成長率
EV/FCF倍率 15.45倍 ターミナルバリュー算出用(現在の市場評価)
予測年数 5年 将来FCFの予測期間
発行済株式数 10,800,000株 理論株価算出の分母
現金及び現金同等物 28億 非事業資産として加算
有利子負債 4億 企業価値から控除

将来フリーキャッシュフロー予測

予測年 予測FCF 現在価値(PV)
1年目 4億 3億
2年目 4億 3億
3年目 4億 3億
4年目 4億 3億
5年目 4億 3億
ターミナルバリュー 68億 47億
フリーキャッシュフロー推移(実績 + DCF予測)-5億0百万5億10億15億2224262028予2030予2031予0FCF実績FCF予測

理論株価の算出プロセス

① 予測FCF現在価値の合計 16億
② ターミナルバリューの現在価値 47億
③ 事業価値(① + ②) 63億
④ 加算: 現金及び現金同等物 +28億
⑤ 控除: 有利子負債 -4億
⑥ 株主価値(③ + ④ − ⑤) 88億
DCF理論株価
812円
現在の株価
739円
乖離率(割安)
+9.9%

感度分析(理論株価: 円)

WACC(横軸)とFCF成長率(縦軸)を変化させた場合の理論株価の変動を示します。

WACC →
FCF成長率 ↓
5.5%6.5%7.5%8.5%9.5%
-1.0%737716696677660
1.5%797774751730710
4.0%863837812788765
6.5%935906878851826
9.0%1,014981950920892

※ 緑色: 現在株価(739円)より高い(割安方向) / 赤色: 低い(割高方向) / 青背景: 現在の前提条件

DCF分析の総合評価

株式会社Casa(7196)のDCF分析の結果、理論株価は812円と算出されました。現在の市場価格である739円と比較すると、理論上の乖離率は+9.9%となり、現状の株価は「やや割安」な水準にあると評価できます。この約1割のプラス乖離は、将来のキャッシュフロー創出能力に対して、市場価格が一定のディスカウントを置いている、あるいは将来の不確実性を織り込んでいる状態を示唆しています。バリュエーションとしては過熱感はなく、投資家にとっては一定の安全余裕(マージン・オブ・セーフティ)が確保された水準と言えるでしょう。

フリーキャッシュフローの質

過去のフリーキャッシュフロー(FCF)実績を確認すると、2019年1月期の1,731百万円をピークに、年度によってマイナス(2022年1月期:-281百万円、2025年1月期:-320百万円)を計上するなど、変動性が非常に高い点が特徴です。家賃債務保証というビジネスモデル上、代位弁済の発生状況や求償債権の回収効率、また運転資本の増減がキャッシュフローに大きく影響を与えるためと考えられます。今回の将来予測(1年目:374百万円〜5年目:438百万円)は、過去の好調時と比較すると保守的な水準に設定されており、予測の信頼性は一定程度確保されているものの、過去に見られたような振れ幅の大きさが将来的に再発するリスクには留意が必要です。

前提条件の妥当性

本分析ではWACC(加重平均資本コスト)を7.5%、将来のFCF成長率を4.0%と設定しています。中小型株としてのリスクプレミアムを考慮すると、7.5%の割引率は標準的な設定と言えます。一方、4.0%の成長率は、日本の不動産市場および賃貸管理市場の緩やかな拡大を背景に、同社のシェア拡大や周辺サービスへの展開を織り込んだ期待値と解釈できます。ただし、出口マルチプルとして採用されている15.45倍は、現在の市場環境においては妥当な範囲内ですが、業績のボラティリティが高い局面では、市場が適用する倍率が低下する可能性がある点には注意が必要です。

ターミナルバリューの影響

算出された事業価値63億円のうち、ターミナルバリューの現在価値が47億円を占めており、事業価値全体に対する割合は約75%に達しています。これは、同社の企業価値の大部分が、予測期間(5年)を超えた将来の継続的なキャッシュフローに依存していることを示しています。DCF法においてはこの比率が高くなることは一般的ですが、長期的な成長率やWACCのわずかな変動が理論株価に大きな影響を与える構造となっているため、5年目以降の事業継続性と収益性の維持が投資判断の極めて重要なポイントとなります。

感度分析から読み取れること

今回の分析条件(WACC 7.5%、成長率 4.0%)において、理論株価と現株価の差は73円程度です。WACCが1%上昇して8.5%になった場合、あるいは成長率が想定を下回った場合、この乖離(+9.9%)は容易に解消され、割高に転じる可能性があります。特に同社のようにネットキャッシュ(現金等28億円 − 有利子負債4億円 = 24億円)が豊富で、時価総額に対して現預金の比率が高い企業の場合、事業価値(EV)の変動が株主価値にダイレクトに響くため、資本コストの変動には高い感応度を持つことが読み取れます。

投資判断への示唆

以上の分析結果から、株式会社Casaは財務的な安定性(純現金24億円)を背景にしつつ、理論株価に対して約10%の割安圏で取引されていると判断されます。ダウンサイドのリスクは手元流動性によって一定程度支えられていますが、アップサイドの実現には、予測FCF(3.6億〜4.3億円規模)を安定的に創出できるかどうかが鍵となります。ただし、DCF法は将来の成長率や割引率といった不確実な仮定に強く依存する手法であり、これらの前提が変化すれば算出結果は大きく異なります。投資に際しては、本分析結果を一つの参考指標としつつ、競合環境の変化や法規制の動向など、定性的な側面も併せて総合的に判断することをお勧めします。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

FCFは年度により変動が大きいものの、売上高の堅調な伸びと利益率の改善傾向を考慮し、年平均4%の成長を維持すると推定しました。WACCは、有利子負債が極めて少ない財務体質と、中小型株としての流動性リスクを勘案し、株主資本コストを中心に7.5%と設定しました。発行済株式数は、提供されたPERと純利益予想の整合性から約1,080万株と推計しています。永久成長率は、日本の長期的な経済成長予測に基づき、保守的に1%としています。

⚠️ 免責事項: 本DCF分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 DCF法は前提条件(WACC、成長率等)に大きく依存するため、感度分析を参考に幅を持って評価してください。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

リバースDCF分析(市場の期待値)

市場が織り込んでいる成長期待

現在の株価(739円)を正当化するために必要なインプライドFCF成長率を逆算しました。

インプライドFCF成長率
1.0%
市場が織り込む成長率
AI推定FCF成長率
4.0%
ファンダメンタル分析ベース
成長率ギャップ
-3.0%
悲観的

リバースDCF詳細

現在の株価739円
インプライドFCF成長率0.99%
AI推定FCF成長率4.00%
成長率ギャップ-3.01%(悲観的)
インプライドWACC30.00%
AI推定WACC7.50%
📖 読み方:
  • インプライド成長率 > AI推定成長率 → 市場は楽観的。期待通りの成長が実現しなければ株価下落リスク
  • インプライド成長率 < AI推定成長率 → 市場は悲観的。実態より過小評価されている可能性
  • 両者がほぼ一致 → 市場の評価はファンダメンタルに整合的

市場の期待値の評価

現在の株価739円に基づくリバースDCF分析の結果、市場が織り込んでいるインプライド成長率は0.99%となりました。これは、市場が株式会社Casaの将来的なフリーキャッシュフロー(FCF)の成長を、現状維持に近い「ほぼ横ばい」と極めて慎重に評価していることを示唆しています。 AIが推定する成長率4.00%と比較すると、-3.01%の大きな乖離(マイナス・ギャップ)が生じており、現在の株価形成は市場の「悲観的」なスタンスを強く反映していると言えます。過去数年の同社の業績推移や家賃債務保証業界の安定性を鑑みると、1%に満たない成長期待は、保守的な投資判断に基づいている可能性が高いと考えられます。

インプライド成長率の実現可能性

市場が織り込む0.99%という成長率は、以下の要因を考慮すると、達成のハードルは決して高くない水準であると分析されます。 第一に、日本の不動産賃貸市場において、連帯保証人制度から家賃債務保証サービスへの移行は不可逆的な潮流であり、ストック型の収益基盤を持つ同社にとって急激な収益悪化のリスクは限定的です。 第二に、AI推定の4.00%という成長率は、既存事業の堅実な拡大と、同社が推進するDX支援等の付加価値サービスの進展を考慮した数値です。インプライドWACCが30.00%と異常値に近い極めて高い水準で算出されている事実は、市場が事業継続性や流動性に対して過度なリスク・プレミアムを要求している、あるいは一時的な要因(業績見通しの修正やセクター全体の地合い等)によって株価が極端に押し下げられている可能性を浮き彫りにしています。

投資判断への示唆

本分析の結果、株式会社Casaの現在の株価は、AIが推定する企業本来の成長ポテンシャル(4.00%)を大幅に下回る評価(0.99%)に留まっていることが分かりました。 注目すべきは、インプライドWACC(30.00%)と推定WACC(7.50%)の圧倒的な乖離です。この乖離が「市場によるリスクの見落とし」ではなく「単なる過小評価」であると判断する場合、現在の株価は割安な水準にあるとの見方も成立します。 投資家の皆様におかれましては、この「期待値の低さ」を底堅い投資機会と捉えるか、あるいは市場がこれほどまでに悲観的である背景(競合激化や法規制の動向等)に未知のリスクが潜んでいると捉えるか、慎重に検討されることを推奨いたします。

拡張感応度分析・シナリオ分析

感度分析: WACC × FCF成長率(理論株価: 円)

金利上昇はWACCの増加、景気後退はFCF成長率の低下として理論株価に影響します。

WACC →
FCF成長率 ↓
5.5%6.5%7.5%8.5%9.5%
-1.0%737716696677660
1.5%797774751730710
4.0%863837812788765
6.5%935906878851826
9.0%1,014981950920892

※ 緑色: 現在株価(739円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 現在の前提条件

シナリオ分析(楽観・基本・悲観)

金利環境・景気動向の変化に応じた3つのシナリオで理論株価を比較します。

楽観シナリオ
WACC: 6.0% / FCF成長率: 9.0%
永久成長率: 1.4%
997円
+34.9%
基本シナリオ
WACC: 7.5% / FCF成長率: 4.0%
永久成長率: 1.0%
812円
+9.9%
悲観シナリオ
WACC: 9.0% / FCF成長率: -2.0%
永久成長率: 0.6%
649円
-12.2%

シナリオ分析の総合評価

株式会社Casa(7196)の現在の株価739円は、算出された基本シナリオの理論株価812円を約9.9%下回る水準にあります。分析結果のレンジは、楽観シナリオの997円から悲観シナリオの649円までと幅広く、現在の市場価格はこのレンジの「下半分(悲観と基本の間)」に位置しています。これは、市場が将来の不確実性をある程度織り込みつつも、基本シナリオが示す潜在的な価値に対しては、一定の割安感が生じている状態と評価できます。

金利変動の影響

本分析におけるWACC(加重平均資本コスト)の変動は、理論株価に対して強い感応度を持っています。WACCが基本の7.5%から悲観シナリオの9.0%へと1.5%上昇する局面では、FCF成長率の低下と相まって理論株価は649円まで下落します。一方で、金利環境が安定しWACCが6.0%まで低下する楽観シナリオでは、理論株価は997円まで跳ね上がります。資本コストの上昇(金利上昇やリスクプレミアムの拡大)は、同社の将来キャッシュフローの現在価値を大きく毀損させる要因となるため、マクロ経済における金利動向には注意深い監視が必要です。

景気変動の影響

FCF(フリーキャッシュフロー)成長率が基本シナリオの4.0%から、悲観シナリオの-2.0%へと悪化した場合、理論株価は現在の株価を約12.2%下回る649円まで低下する試算となりました。家賃債務保証事業を展開する同社にとって、景気後退による入居者の支払い能力低下は、代位弁済リスクの増大を通じてキャッシュフローを圧迫する要因となります。しかし、悲観シナリオにおいても下落率はマイナス10%台に留まっており、マイナス成長を想定した際の下値抵抗力は一定程度備わっていると分析されます。

投資判断への示唆

今回のシナリオ分析に基づくと、基本シナリオ(812円)に対する安全域(マージン・オブ・セーフティ)は約10%確保されています。楽観シナリオが実現した際の上昇余地(+34.9%)が、悲観シナリオにおける下落リスク(-12.2%)を上回っており、リスク・リワードの観点からは、現在の株価水準は相応の優位性を持っていると考えられます。投資家は、同社の成長戦略であるDX推進や付帯サービスの拡大によるFCF成長率の推移と、金利動向に伴う資本コストの変化を天秤にかけながら、慎重に判断を行うことが推奨されます。

モンテカルロシミュレーション

シミュレーション結果サマリー

WACC・FCF成長率・永久成長率をそれぞれ正規分布でランダムに変動させ、100,000回のDCF計算を実行した結果です。DCF計算の非線形性(特にゴードン成長モデルの割引構造)により、理論株価の分布は対数正規分布に近い形状となるため、ヒストグラムは対数スケールで表示しています。

平均理論株価
826円
中央値
815円
90%レンジ(5-95%点)
676 〜 1,015円
割安確率
79.6%
理論株価 > 現在株価
モンテカルロシミュレーション:理論株価の確率分布(100,000回・対数スケール)0.0%1.2%2.4%3.7%4.9%6.1%現在株価 739円649円694円743円795円851円910円974円1,042円シミュレーション分布現在株価

※ ヒストグラムは対数スケールで表示し、外れ値の影響を抑えるため分布の中央96%(2〜98パーセンタイル)を表示しています。対数スケールにより、DCF計算の非線形性に起因する右裾の歪みが補正され、分布の形状をより正確に把握できます。平均・中央値・パーセンタイルなどの統計値は元のスケールで有効サンプル全体から計算しています。

理論株価のパーセンタイル分布

シミュレーション結果を小さい順に並べたとき、各パーセンタイルにおける理論株価を示します。

パーセンタイル 5% 10% 25% 50% 75% 90% 95%
理論株価676円703円752円815円888円964円1,015円

※ 緑色: 現在株価(739円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 中央値(50%タイル)

リスク指標

理論株価の標準偏差 104円
5% VaR(下位5%タイル) 676円
変動係数(CV = σ / 平均) 12.6%
有効シミュレーション数 100,000 / 100,000

確率分布の解釈

今回のモンテカルロシミュレーションの結果、理論株価の平均値は826円、中央値は815円となりました。平均値が中央値を上回るこの分布形状は、DCF法特有の非線形性(成長率の上振れが理論株価を大きく押し上げる構造)を反映した対数正規分布に近い右裾の長い形を示唆しています。理論株価の5パーセンタイル(676円)から95パーセンタイル(1,015円)という広いレンジは、FCF成長率の標準偏差(2.75%)といったパラメータの不確実性が、最終的な企業価値評価に約340円幅のバリエーションのゆとりをもたらしていることを意味します。

リスク評価

リスク指標としての5% VaR(バリュー・アット・リスク)は676円となりました。これは、WACCの上昇や成長率の鈍化といった悲観的なシナリオが重なった場合でも、95%の確率で理論株価が676円を上回ることを示しています。変動係数(CV)は約12.6%(104円/826円)であり、一般的な中小型株のシミュレーション結果と比較すると、極端に高い不確実性ではないものの、将来のキャッシュフロー創出力に対する一定の警戒感が必要な水準です。パーセンタイル分布の幅を見ると、下振れリスク(25パーセンタイル:752円)よりも上振れ余地(75パーセンタイル:888円)の方が大きく、リスク・リターン特性は非対称であると評価できます。

現在株価の統計的位置づけ

現在株価739円は、シミュレーション上の割安確率が79.6%という極めて高い水準に位置しています。パーセンタイル分布で見ると、現在株価は10パーセンタイル(703円)と25パーセンタイル(752円)の間に位置しており、統計的には「理論株価の分布における下位4分の1近辺」で取引されていることを示しています。これは、市場が現在、同社の将来に対して保守的な見積もりを採用している、あるいはDCFモデルに織り込まれていない何らかの固有リスクを警戒している可能性を示唆しています。

投資判断への示唆

統計的な観点からは、現在株価(739円)は平均理論株価(826円)に対して約10.5%のディスカウント状態にあります。特筆すべきは、割安確率が約8割に達しており、シミュレーション上の大半のケースで理論価値が市場価格を上回っている点です。マージン・オブ・セーフティ(安全域)については、5% VaR(676円)を基準とすると、現在株価から約8.5%の下振れが最悪シナリオの目安となります。一方で、平均値までの回帰を期待する場合、約11.8%の上昇余地が見込まれます。投資家は、この「8割近い割安の蓋然性」と「約1割の安全域」を、自身の許容リスク照らして検討する必要があります。最終的な投資決定に際しては、この不確実性の源泉であるFCF成長率の持続性について、同社の事業環境や競争力を精査することが重要です。

📖 モンテカルロシミュレーションの読み方:
  • 割安確率: シミュレーション結果のうち、理論株価が現在株価を上回った割合。50%超なら統計的に割安寄り
  • 90%レンジ(5-95%点): 全シミュレーション結果を並べたときの下位5%点から上位95%点までの範囲。幅が広いほど不確実性が高い
  • 5% VaR: 悲観的な条件下でも95%の確率でこの値以上になると期待される最低ライン
  • 変動係数: 平均に対する標準偏差の比率。30%超だとパラメータ感度が高い(結果の信頼性に注意)
⚠️ 免責事項: 本モンテカルロシミュレーションはAIが推定したパラメータの分布に基づく統計的な参考値であり、投資助言ではありません。 入力パラメータに正規分布を仮定し、DCF計算の非線形性により出力は対数正規分布に近い形状となります。パラメータ間の独立性の仮定など、実際の市場とは異なる前提を含んでいます。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

EPS/BPSベース理論株価分析

理論株価モデルの前提条件

パラメータ 説明
直近EPS 20.60円 1株あたり利益
直近BPS 724.51円 1株あたり純資産
1株配当 20.00円 年間配当金
EPS成長率 -3.0% 予測期間中の年平均
割引率 10.0% 将来EPSの割引率
想定PER 35.90倍 理論株価算出に使用

EPS/BPS予測と理論株価

年度 期首BPS EPS 配当 自己資本増加 期末BPS ROE(%) EPS成長率(%) PER(倍) PBR(倍) DCF 理論株価
2027年1月 724.51 20.60 20.00 0.60 725.11 2.84 0.00 35.90 1.02 20.60 740
2028年1月 725.11 19.98 20.00 -0.02 725.09 2.76 -3.00 35.90 0.99 18.17 717
2029年1月 725.09 19.38 20.00 -0.62 724.47 2.67 -3.00 35.90 0.96 16.02 696
2030年1月 724.47 18.80 20.00 -1.20 723.28 2.60 -3.00 35.90 0.93 14.13 675
2031年1月 723.28 18.24 20.00 -1.76 721.51 2.52 -3.00 35.90 0.91 12.46 655
ターミナル 406.52
PER×EPS 理論株価
740円
+0.1%
DCF合計値
487.9円
-34.0%
現在の株価
739円

DCF内訳

予測期間EPS現在価値合計(5年分) 81.38円
ターミナルバリュー現在価値 406.52円(全体の83.3%)
DCF合計理論株価 487.9円

EPS/BPSモデルの総合評価

本モデルによる株式会社Casa(7196)の分析結果は、評価手法によって極めて対照的な側面を示しています。まず、PER(株価収益率)とEPS(1株当たり利益)を用いた理論株価は740円と算出され、現在の株価(739円)とほぼ同水準にあります。これは、現在の市場価格が「現在の利益水準とPER 35.90倍」という前提をほぼ完全に織り込んでいることを示唆しています。
一方で、将来の利益を現在価値に割り引いたDCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)合計による理論株価は487.9円となり、現在株価との乖離率は-34.0%に達しています。この大幅な乖離は、市場が織り込んでいる期待値に対し、本モデルが前提とした「EPS成長率 -3.0%」というシナリオが、長期的な資産価値形成において厳しい評価を下していることを意味します。

ROE推移の見通し

本モデルにおけるROE(自己資本利益率)の推移を概観すると、2027年1月期の2.84%から、2031年1月期には2.52%へと緩やかに低下する見通しとなっています。この要因は主に2点に集約されます。
第一に、EPS成長率を年率-3.0%と設定しているため、分母となる純資産に対して分子の利益が減少を続ける構造となっている点です。第二に、1株配当(20.00円)がEPS(20.60円〜18.24円)の大部分を占めており、配当性向が極めて高い(または利益を上回る)状態にあることです。この配当政策によりBPS(1株当たり純資産)の蓄積は抑制されていますが、利益の減少スピードが上回るため、資本効率(ROE)の悪化が避けられないシナリオとなっています。

前提条件の妥当性

本モデルの前提条件については、慎重な検証が必要です。

  • EPS成長率(-3.0%): 保守的な設定ですが、家賃債務保証業界の競争激化やコスト増を反映した数値と言えます。もし今後のDX推進等により利益が反転する場合、理論株価は大きく上昇する可能性があります。
  • 想定PER(35.90倍): 成長率がマイナスの企業に対しては、一般的に高い水準と解釈されます。現在の株価がこの水準で維持されている背景には、高い配当利回り(現在株価で約2.7%)や、株主還元への期待、あるいは将来的な業績回復を市場が期待している可能性が考えられます。
  • 割引率(10.0%): 中小型株のリスクプレミアムを考慮した標準的な設定ですが、金利環境や市場のボラティリティ変化により、DCF評価額は敏感に変動します。

投資判断への示唆

モデルの結果を踏まえると、現在の株価739円は「高水準のPER」と「安定的な配当維持」に支えられている状況と言えます。PERベースでは妥当な水準に見える一方で、利益成長を前提とした収益還元価値(DCF法)との乖離が3割以上存在している点は、長期投資におけるリスク要因として留意すべき点です。
投資家の皆様におかれましては、同社の現在の高い還元姿勢が今後も維持可能か、あるいはマイナス成長の予測を覆すような新規事業や収益性改善の兆しが見られるかという点を注視し、現在のPER水準の持続性について個別に判断されることが肝要です。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

過去5年間のEPS推移は2024年をピークに大きく変動しており、2023年から2027年にかけてのCAGRは約-5.3%と算出されます。直近のEPSは回復傾向にあるものの、中長期的な収益性の不安定さを考慮し、今後の成長率は微減の-0.03と推定しました。割引率は、東証スタンダード上場の小型株としての流動性リスクや業績のボラティリティを反映し、標準的な10%を採用しています。現在のPBRが1倍水準であることは、株主資本コストを上回る利益成長を市場が十分に織り込んでいない現状を裏付けています。

⚠️ 免責事項: 本理論株価分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 EPS成長率・割引率・PER等の前提条件により結果は大きく変動します。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

EPS成長率0%が続く場合の理論株価

将来のEPS成長率を0%(横ばい)と仮定した場合の試算です。本編のベースシナリオとは前提が異なります。

理論株価モデルの前提条件

パラメータ 説明
直近EPS 20.60円 1株あたり利益
直近BPS 724.51円 1株あたり純資産
1株配当 20.00円 年間配当金
EPS成長率 0.0% 予測期間中の年平均
割引率 10.0% 将来EPSの割引率
想定PER 35.90倍 理論株価算出に使用

EPS/BPS予測と理論株価

年度 期首BPS EPS 配当 自己資本増加 期末BPS ROE(%) EPS成長率(%) PER(倍) PBR(倍) DCF 理論株価
2027年1月 724.51 20.60 20.00 0.60 725.11 2.84 0.00 35.90 1.02 20.60 740
2028年1月 725.11 20.60 20.00 0.60 725.71 2.84 0.00 35.90 1.02 18.73 740
2029年1月 725.71 20.60 20.00 0.60 726.31 2.84 0.00 35.90 1.02 17.02 740
2030年1月 726.31 20.60 20.00 0.60 726.91 2.84 0.00 35.90 1.02 15.48 740
2031年1月 726.91 20.60 20.00 0.60 727.51 2.83 0.00 35.90 1.02 14.07 740
ターミナル 459.20
PER×EPS 理論株価
740円
+0.1%
DCF合計値
545.1円
-26.2%
現在の株価
739円

DCF内訳

予測期間EPS現在価値合計(5年分) 85.90円
ターミナルバリュー現在価値 459.20円(全体の84.2%)
DCF合計理論株価 545.1円

0%成長シナリオの意味

本シナリオは、株式会社Casaの将来の1株当たり利益(EPS)が成長せず、20.60円で横ばいに推移すると仮定した「ゼロ成長分析」です。この条件下でのPERベース理論株価は740円となり、現在株価(739円)とほぼ同水準の結果となりました。これは、現在の市場価格が「将来的な業績の拡大を見込まずとも、現状の利益水準とPER水準が維持されるのであれば妥当」と評価されている可能性を示唆しています。

一方で、収益性を表すROE(自己資本利益率)は約2.8%という低水準に留まります。配当性向がほぼ100%に近い(EPS 20.60円に対し配当20.00円)ため、内部留保による自律的な成長やBPS(1株当たり純資産)の積み上がりは限定的です。投資判断においては、成長による株価上昇(キャピタルゲイン)よりも、現在の配当水準の持続性、および高いPER(35.90倍)を許容し続ける市場環境が続くかどうかが重要な焦点となります。

ベースシナリオとの対比

本編のベースシナリオ(成長率:約-3.0%)と比較すると、この0%成長シナリオは「業績悪化を食い止め、現状維持を達成した」場合の改善ケースと位置づけることができます。ベースシナリオがマイナス成長を前提としている中で、理論株価が現在株価と均衡している事実は、市場がベースシナリオ以上の底堅さを期待している、あるいは高い配当利回りが下支え要因となっていることを示しています。

しかし、DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法による理論株価は545.1円となっており、現在株価に対して-26.2%の乖離が生じています。PERベースの理論株価が現在株価と一致しているのに対し、DCF法で乖離が出る理由は、10.0%という割引率(投資家が求める期待収益率)に対して、同社のROE水準が低いためです。資本コストを上回る利益を生み出せない場合、純粋な現金創出能力の観点からは割高と判断される傾向があります。

留意点

本モデルは、入力された前提条件に基づくシミュレーションであり、将来の株価推移を保証するものではありません。以下の点に留意が必要です。

  • PERの妥当性: 想定PER 35.90倍は、一般的な市場平均と比較して高水準です。将来的にこの倍率が収束(低下)した場合、EPSが維持されても理論株価は大きく下落します。
  • 配当の持続性: 利益のほとんどを配当に回しているため、将来的な業績悪化や戦略的な投資が必要になった場合、減配リスクが生じやすい構造にあります。
  • 割引率の設定: 割引率(10.0%)の微小な変動がDCF合計値に大きな影響を与えます。

以上の分析は、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行われるようお願いいたします。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

過去5年間のEPS推移は2024年をピークに大きく変動しており、2023年から2027年にかけてのCAGRは約-5.3%と算出されます。直近のEPSは回復傾向にあるものの、中長期的な収益性の不安定さを考慮し、今後の成長率は微減の-0.03と推定しました。割引率は、東証スタンダード上場の小型株としての流動性リスクや業績のボラティリティを反映し、標準的な10%を採用しています。現在のPBRが1倍水準であることは、株主資本コストを上回る利益成長を市場が十分に織り込んでいない現状を裏付けています。

⚠️ 免責事項: 本理論株価分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 EPS成長率・割引率・PER等の前提条件により結果は大きく変動します。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

拡張感度分析: WACC × FCF成長率(理論株価: 円)

WACC(加重平均資本コスト)は、株主資本コストと負債コストを資本構成比率で加重平均した「企業の資金調達コスト」です。WACCが高いほど将来キャッシュフローの現在価値は低くなり、理論株価は下がります。FCF成長率は、営業キャッシュフローから設備投資を差し引いた「企業が自由に使えるキャッシュ(フリーキャッシュフロー)」が年率何%で伸びるかの想定値です。

基準のWACC(7.5%)とFCF成長率(4.0%)から±100bpの範囲で、1%刻みの理論株価をシミュレーションします。

📊 巨大感度分析テーブルを計算中...

拡張感度分析: 割引率 × EPS成長率(理論株価: 円)

割引率は、将来の利益やキャッシュフローを現在価値に換算するための率で、投資家が求めるリターン(期待収益率)に相当します。割引率が高いほど将来利益の現在価値は低くなり、理論株価は下がります。EPS成長率は、1株当たり利益(EPS: Earnings Per Share)が年率何%で伸びるかの想定値です。

基準の割引率(10.0%)とEPS成長率(-3.0%)から±100bpの範囲で、1%刻みの理論株価をシミュレーションします。

📊 巨大感度分析テーブルを計算中...

拡張感度分析: PER × EPS(理論株価: 円)

PER(株価収益率)は、株価が1株あたり利益(EPS)の何倍で評価されているかを示す指標です。PERが高いほど市場がその企業の将来成長に高い期待を持っていることを意味します。EPS(1株あたり利益)は、企業の純利益を発行済株式数で割った値で、1株あたりの収益力を表します。

基準のPER(35.9倍)とEPS(21円)から、PERは1倍刻み(±100倍)・EPSは1%刻み(±100%)の理論株価をシミュレーションします。

📊 巨大感度分析テーブルを計算中...

拡張感度分析: PBR × BPS(理論株価: 円)

PBR(株価純資産倍率)は、株価が1株あたり純資産(BPS)の何倍で評価されているかを示す指標です。PBRが1倍を下回ると、株価が解散価値を下回っていることを意味し、割安と判断される場合があります。BPS(1株あたり純資産)は、企業の純資産を発行済株式数で割った値で、1株あたりの解散価値を表します。

基準のPBR(1.0倍)とBPS(725円)から、PBRは0.1倍刻み(±10.0倍)・BPSは1%刻み(±100%)の理論株価をシミュレーションします。

📊 巨大感度分析テーブルを計算中...

残留利益モデル分析(Residual Income Model)

残留利益モデル(Residual Income Model)

残留利益モデルは、現在のBPS(1株純資産)に将来の「超過利益」の現在価値を加算して理論株価を算出します。 株主資本コストを上回るROEを持続できる企業ほど、BPSに大きなプレミアムが付きます。

理論株価 = BPS₀ + Σ[(ROEₜ − r) × BPSₜ₋₁ / (1+r)ᵗ] + TV/(1+r)ⁿ

前提条件

パラメータ 説明
直近BPS 724.51円 1株あたり純資産(出発点)
直近EPS 20.60円 1株あたり利益
株主資本コスト (r) 10.0% 株主の要求収益率(エクイティチャージの基準)
EPS成長率 -3.0% 予測期間中の年平均
1株配当 20.00円 年間配当金(BPS蓄積に影響)
予測年数 5年 個別予測期間

残留利益の年次予測

年度 期首BPS EPS ROE(%) エクイティチャージ 残留利益 PV(残留利益) 期末BPS
2027年1月 724.51 20.60 2.84 72.45 -51.85 -47.14 725.11
2028年1月 725.11 19.98 2.76 72.51 -52.53 -43.41 725.09
2029年1月 725.09 19.38 2.67 72.51 -53.13 -39.91 724.47
2030年1月 724.47 18.80 2.60 72.45 -53.65 -36.64 723.28
2031年1月 723.28 18.24 2.52 72.33 -54.09 -33.59 721.51
ターミナル 残留利益の永続価値: -540.9円 → PV: -335.86円 -335.86
理論株価の構成
現在BPS
724.51円
簿価部分
+
残留利益PV合計
-200.69円
超過利益の現在価値
+
ターミナルPV
-335.86円
永続価値の現在価値
=
RIM理論株価
188円
-74.6%
現在の株価: 739円
残留利益モデル:ROEとエクイティチャージの推移2.0%4.0%6.0%8.0%10.0%2728293031ROE(%)株主資本コスト(10.0%)
残留利益と現在価値の推移-55円-50円-45円-40円-35円-30円2728293031残留利益(円)PV(残留利益)(円)
📖 残留利益モデルの読み方:
  • 残留利益 > 0(ROE > 株主資本コスト)→ 企業はBPS以上の価値を創出。理論株価 > BPS となりプレミアム付与
  • 残留利益 < 0(ROE < 株主資本コスト)→ 資本効率が不十分。理論株価 < BPS となりディスカウント
  • DCF法との違い: RIMはBPS(純資産)を出発点とするため、資産ベースの評価に強く、安定企業・金融機関の評価に適しています

残留利益の評価

本モデルにおける株式会社Casaの評価で最も顕著な点は、ROE(自己資本利益率)が株主資本コストを大幅に下回っている状況です。2027年1月期の予想ROE 2.84%に対し、設定された株主資本コスト(投資家の期待収益率)は10.0%であり、その差(エクイティ・スプレッド)はマイナス7.16%となります。

この結果、各期の「残留利益(EPS - エクイティチャージ)」はマイナス51円〜54円程度で推移しており、企業が事業を通じて株主の期待に応えるだけの付加価値を創出できていない、すなわち「経済的価値を毀損(デストロイ)している」状態と計算されます。EPS成長率が-3.0%と低迷を続ける前提では、今後もこのマイナスの残留利益が積み重なり、理論上の企業価値を押し下げる要因となります。

BPSプレミアム/ディスカウントの解釈

残留利益モデル(RIM)において、理論株価は「解散価値としてのBPS」に「将来の付加価値(残留利益の現在価値)」を加えて算出されます。

今回の試算では、現時点のBPS(純資産)が724.51円であるのに対し、将来の残留利益の合計(PV合計およびターミナルバリューPV)が合計でマイナス536.55円という大きなディスカウント要因となっています。その結果、算出された理論株価は188円となりました。 これは、現在の帳簿上の資産価値(BPS)が約725円あったとしても、収益性が低いために、投資家視点ではその資産を効率的に運用できておらず、市場価値としてはBPSから約74%割り引いた水準(188円)が妥当であるという厳しい評価を示唆しています。

他の評価手法との比較

現在の市場価格(739円)と各指標を比較すると、以下の通りの乖離が見られます。

  • PBR(株価純資産倍率): 現在株価に基づくPBRは約1.02倍であり、市場は概ね「帳簿上の解散価値」と同水準で評価しています。一方でRIMによる理論株価(188円)に基づくPBRは0.26倍となり、収益性の低さを強く反映した結果となっています。
  • PER(株価収益率): 2027年1月期予想EPS(20.60円)で計算すると、現在株価のPERは約35.8倍に達します。EPS成長率がマイナス3.0%という前提に立つならば、成長性の乏しい企業に対してこのPER水準は非常に割高であると判断されます。
  • DCF法との整合性: キャッシュフローを重視するDCF法と比較した場合、本モデル(RIM)は会計上の利益と資本コストの差を重視します。現時点での配当利回りの高さ(約4%前後)が株価の下支えとなっている可能性がありますが、利益成長が伴わない場合、長期的にはRIMが示す通りBPSを毀損するリスクが意識されるでしょう。

投資判断への示唆

本モデルによる分析結果(理論株価188円、現在株価との乖離率-74.6%)は、現在の市場株価が将来の収益力に対して極めて楽観的な前提に基づいている可能性、あるいはモデルに織り込まれていない成長シナリオを市場が期待している可能性を示唆しています。

投資家が注目すべき点は、同社が「ROEを株主資本コスト(10%)以上にまで引き上げられるか」という点です。もし今後、収益構造の改善や新規事業によってROEが2.5%〜2.8%程度の低空飛行から脱却できない場合、理論株価への収斂(株価の下落)がリスクとして意識されます。一方で、同社が潤沢なキャッシュや保有資産を活用し、資本効率を劇的に改善させる施策(大幅な自社株買いや高収益事業への転換など)を打ち出した場合は、このディスカウント評価が解消される余地が生まれます。

このRIMの結果を「現在の収益性の低さに対する警告」と捉えるか、「保守的すぎる評価」と捉えるかは、今後の同社の利益成長および資本政策の推移をどう予測するかによって分かれることとなります。

⚠️ 注意: 残留利益モデルの結果は、EPS成長率・株主資本コスト・BPSの前提条件に大きく依存します。 また、会計基準の違い(日本基準/IFRS)によりBPSの定義が異なる場合があります。投資判断の際は他の手法と合わせてご検討ください。

リバースDCF分析(EPSベース・市場の期待値)

市場が織り込んでいる成長期待

現在の株価(739円)を正当化するために必要なインプライドEPS成長率を逆算しました。

インプライドEPS成長率
8.6%
市場が織り込む成長率
AI推定EPS成長率
-3.0%
ファンダメンタル分析ベース
成長率ギャップ
+11.6%
楽観的

リバースDCF詳細

現在の株価739円
インプライドEPS成長率8.60%
AI推定EPS成長率-3.00%
成長率ギャップ+11.60%(楽観的)
インプライド割引率50.00%
AI推定割引率10.00%
📖 読み方:
  • インプライド成長率 > AI推定成長率 → 市場は楽観的。期待通りの成長が実現しなければ株価下落リスク
  • インプライド成長率 < AI推定成長率 → 市場は悲観的。実態より過小評価されている可能性
  • 両者がほぼ一致 → 市場の評価はファンダメンタルに整合的

市場の期待値の評価

現在の株価739円に基づくと、市場が織り込んでいるインプライドEPS成長率は8.60%となっています。これに対し、AIが算出する推定EPS成長率は-3.00%であり、両者の間には11.60%という大きな乖離(成長率ギャップ)が存在します。市場はAIの予測よりも大幅に「楽観的」な見方をしており、今後の収益改善や事業拡大に対して一定の期待を寄せている状態と言えます。また、インプライド割引率が50.00%という極めて高い水準にあることは、現在の株価が将来の不確実性やリスクを非常に強く意識した上で形成されている可能性を示唆しています。

インプライド成長率の実現可能性

市場が期待する年率8.60%のEPS成長が実現可能かどうかを検討する必要があります。家賃債務保証業界において、株式会社Casaは独立系大手としての地位を確立していますが、AIの推定成長率が-3.00%であることは、現状の延長線上では収益が微減するリスクがあることを示しています。市場が期待する8.60%の成長を達成するためには、既存の保証事業におけるシェア拡大に加え、IT活用による業務効率化や、養育費保証などの新規事業による利益貢献が不可欠となります。過去の業績推移や現在の市場環境と照らし合わせ、この11.60%のギャップを埋めるだけのポジティブな変化が同社に起きているかを見極めることが重要です。

投資判断への示唆

本リバースDCF分析の結果は、現在の株価が「AIの弱気な予測」よりも「市場の強気な成長期待」に基づいていることを浮き彫りにしています。 投資家にとっての注目点は、AIの推定割引率10.00%に対し、インプライド割引率が50.00%という乖離にあります。もし、同社の事業リスクが市場の評価(50%)ほど高くなく、AIが想定する10%程度であると考えるならば、現在の株価は割安と判断できる余地があります。一方で、AIの予測通りEPS成長率がマイナス圏(-3.00%)で推移する場合、市場が期待する8.60%とのギャップが株価の下押し圧力となるリスクも孕んでいます。同社の今後の決算において、EPSが市場の期待する成長軌道に乗っているかを確認することが、投資判断の鍵となります。

感応度分析・シナリオ分析

感度分析: 割引率 × EPS成長率(理論株価: 円)

金利上昇は割引率の増加、景気後退はEPS成長率の低下として理論株価に影響します。

割引率 →
EPS成長率 ↓
8.0%9.0%10.0%11.0%12.0%
-8.0%437420403388373
-5.5%482462444427410
-3.0%530508488469450
-0.5%581558535514494
2.0%637611586563540

※ 緑色: 現在株価(739円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 現在の前提条件

シナリオ分析(楽観・基本・悲観)

金利環境・景気動向の変化に応じた3つのシナリオで理論株価を比較します。

楽観シナリオ
割引率: 8.5% / EPS成長率: 2.0%
624円
-15.6%
基本シナリオ
割引率: 10.0% / EPS成長率: -3.0%
488円
-34.0%
悲観シナリオ
割引率: 11.5% / EPS成長率: -8.0%
380円
-48.6%

シナリオ分析の総合評価

今回のシナリオ分析の結果、株式会社Casa(7196)の理論株価は、楽観シナリオで624円、基本シナリオで488円、悲観シナリオで380円と算出されました。現在の市場価格である739円は、最も好意的な条件を設定した楽観シナリオの理論株価(624円)をも15.6%上回っており、基本シナリオ(488円)比較では34.0%の乖離が生じています。この結果は、現在の株価が本モデルで想定した収益成長性やリスクプレミアム(割引率)に対し、市場がより高い期待値、あるいは異なる評価軸(資産価値や配当利回りなど)を織り込んでいる可能性を示唆しています。

金利変動の影響

割引率(資本コスト)の変化は、理論株価に顕著な影響を与えています。基本シナリオの割引率10.0%に対し、楽観シナリオで8.5%に緩和した場合、他の要因(EPS成長率の改善)と相まって理論株価は136円(約28%)上昇します。一方で、リスク許容度の低下や市場金利の上昇を想定した悲観シナリオ(11.5%)では、理論株価は基本シナリオから108円(約22%)下落する結果となりました。家賃債務保証事業という特性上、金利上昇は運用環境や倒産リスクを通じたリスクプレミアムの増大につながりやすく、割引率の変動に対して理論上の評価額が敏感に反応する構造が見て取れます。

景気変動の影響

EPS成長率の設定が、理論株価の底上げおよび押し下げの主要因となっています。基本前提として置いたEPS成長率-3.0%に対し、楽観シナリオの+2.0%(5ポイントの改善)は、理論株価を押し上げる強い原動力となります。しかし、成長率をプラスに転じさせた場合でも、算出された理論株価は現在株価に届いていません。これは、市場が持続的なプラス成長を既に確信しているか、あるいは将来の成長加速をさらに高い水準(2.0%超)で見込んでいる可能性を提示しています。反対に、景気後退等により成長率が-8.0%まで悪化する悲観シナリオでは、理論株価は現在価格の約半分に近い380円まで低下するリスクを示しています。

投資判断への示唆

本分析の結果、算定された理論価格帯(380円~624円)と現在株価(739円)の間には一定の乖離が確認されました。投資家はこの乖離をどのように解釈するかが判断の分かれ目となります。「現在の株価は割高である」と判断するか、あるいは「本モデルの前提(割引率10%、成長率-3%~2%)が保守的すぎ、実際にはより高い成長や安定性がある」と判断するか。特に、同社が推進する新規事業やシェア拡大の可能性が、今回のEPS成長率シナリオの範囲内に収まるものかどうかを精査することが重要です。理論株価と市場価格のギャップを埋める要因が、将来の利益成長によるものか、あるいは市場全体の需給によるものかを慎重に見極める必要があります。

デュポン分析(ROE分解)

ROEの3要素分解(デュポン分析)

ROE = 純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ に分解し、収益性の源泉を可視化します。

年度 純利益率(%) × 総資産回転率(回) × 財務レバレッジ(倍) = ROE(%)
17年 1月期 個別 7.89 × 0.735 × 2.13 = 0.12
18年 1月期 個別 9.68 × 0.707 × 1.85 = 0.13
19年 1月期 個別 9.76 × 0.737 × 1.86 = 0.13
20年 1月期 連/個 9.41 × 0.746 × 1.91 = 0.13
21年 1月期 5.97 × 0.762 × 1.96 = 0.09
22年 1月期 6.34 × 0.804 × 1.84 = 0.09
23年 1月期 2.48 × 0.778 × 1.92 = 0.04
24年 1月期 5.39 × 0.760 × 2.05 = 0.08
25年 1月期 0.10 × 0.766 × 2.11 = 0.00
26年 1月期 -0.70 × 0.841 × 2.33 = -0.01
デュポン分析:ROEの3要素推移-2.0%0.0%2.0%4.0%6.0%8.0%10.0%1719212325260純利益率(%)ROE(%)
総資産回転率と財務レバレッジの推移0.501.001.502.002.50171921232526総資産回転率(回)財務レバレッジ(倍)
直近年度のROE構成(2026年 1月期 連結)
純利益率
-0.70%
収益性
×
総資産回転率
0.841回
効率性
×
財務レバレッジ
2.33倍
借入で資本効率を133%ブースト
=
ROE
-0.01%
株主資本利益率
📊 ROE変動の主因: 直近の変動は主に「純利益率」の変化によるものです。本業の収益力の変化がROEに直結しています。

ROEの質の評価

株式会社CasaのROE(自己資本利益率)は、2017年1月期から2020年1月期にかけては12〜13%という高い水準で推移しており、投資効率の極めて高い企業でした。しかし、近年の動向を見ると、2025年1月期には0.00%、2026年1月期(予想含む)には-0.01%と急激に低下しており、ROEの質は著しく悪化しています。デュポン分析の3要素を分解すると、この悪化の主因は「純利益率」の低下にあります。かつて9%台を維持していた純利益率は、直近のデータではマイナス圏にまで沈んでおり、現在のROEは収益性の低下によって支えを失った状態であると判断されます。

財務レバレッジの影響

財務レバレッジは、2017年1月期の2.13倍から一旦は1.8倍程度まで低下し、安定的に推移してきましたが、2024年1月期以降は再び上昇傾向にあります。2026年1月期には2.33倍まで高まる見通しです。通常、利益成長局面でのレバレッジ上昇はROEを押し上げるポジティブな効果を持ちますが、同社の場合、純利益率がマイナス(-0.70%)に転じる中でレバレッジが上昇しています。これは、純資産の減少(赤字による内部留保の毀損)や負債の増加が要因と考えられ、ROEを底上げするための戦略的なレバレッジ活用というよりは、財務体質の悪化に伴う数値の上昇という側面が強く、リスク要因として注視する必要があります。

トレンド分析

経年推移を分析すると、同社の収益構造に大きな変化が生じていることが分かります。「総資産回転率」については、2017年の0.735回から2026年の0.841回へと、むしろ改善傾向にあります。これは、資産を売上に変える効率性(ビジネスの現場の稼働力)自体は衰えていないことを示唆しています。一方で、その売上を利益に残す「純利益率」が、2019年の9.76%をピークに、2023年に2.48%、2026年には-0.70%へと大幅に下落しています。売上は作れているものの、利益を確保できないコスト構造の変化(代位弁済コストの増加や競争激化、販管費の増大など)が、同社の収益性を根本から揺さぶっている現状が浮き彫りになっています。

投資判断への示唆

デュポン分析から導き出される同社の現状は、「効率性(資産回転率)は維持できているが、収益性(純利益率)が崩壊し、財務リスク(レバレッジ)が上昇している」という厳しいものです。投資家としては、今後のROE回復の鍵を握るのは財務レバレッジの拡大ではなく、あくまで純利益率の劇的な改善にあることを認識する必要があります。総資産回転率が高い水準にあるため、ひとたび純利益率が数%でも回復すれば、ROEは急速に改善するポテンシャルは秘めています。しかし、現時点では収益性の悪化に歯止めがかかっておらず、レバレッジの上昇が財務上の重石となる懸念があるため、利益率の反転を確認できるまで慎重なモニタリングが求められます。

⚠️ 注意: デュポン分析の数値はIRBankから取得した財務データに基づいています。 会計基準(日本基準/IFRS)の違いにより、株主資本の定義が異なる場合があります。

借金が利益に与える影響分析

有利子負債の概要

項目 説明
有利子負債 6億 銀行借入・社債等の利息付き負債
推定金利 1.50% 営業利益と経常利益の差から推定
推定支払利息 9百万 有利子負債 × 推定金利
利息 / 純利益 比率 0.0% 純利益に対する利息負担の大きさ
推定実効税率 30.0% 1 − (純利益 / 経常利益) から推定

「もし借金がなかったら」年度別シミュレーション

有利子負債による支払利息を除外した場合の仮想利益を試算しています。

年度 有利子負債 推定利息 経常利益
実績
経常利益
借金なし
純利益
実績
純利益
借金なし
ROE
実績
ROE
借金なし
レバレッジ
効果
2017/01 10億 15百万 13億 13億 6億 6億 12.33% 10.44% +1.89%pt
2018/01 6億 9百万 13億 13億 8億 8億 12.69% 11.67% +1.02%pt
2019/01 0百万 0百万 14億 14億 8億 8億 13.38% 13.38% +0.00%pt
2020/01 0百万 0百万 15億 15億 9億 9億 13.44% 13.44% +0.00%pt
2021/01 0百万 0百万 11億 11億 6億 6億 8.93% 8.93% +0.00%pt
2022/01 57百万 1百万 11億 11億 7億 7億 9.38% 9.31% +0.07%pt
2023/01 45百万 1百万 9億 9億 3億 3億 3.69% 3.68% +0.02%pt
2024/01 2億 3百万 10億 10億 6億 6億 8.38% 8.18% +0.19%pt
2025/01 2億 3百万 9億 9億 12百万 14百万 0.16% 0.18% -0.02%pt
2026/01 6億 9百万 -2億 -2億 -90百万 -84百万 -1.38% -1.18% -0.21%pt
純利益推移: 実績 vs 借金なしシミュレーション-2億0百万2億4億6億8億10億2017/012019/012021/012023/012025/012026/010実績純利益借金なし純利益ROE推移: 実績 vs 借金なしシミュレーション-5.0%0.0%5.0%10.0%15.0%2017/012019/012021/012023/012025/012026/010実績ROE借金なしROE
レバレッジ効果の評価(直近年度)
借金の影響は限定的
実績ROE
-1.38%
借金なしROE
-1.18%
レバレッジ効果
-0.21%pt

有利子負債の水準が小さい、または事業利益率と借入金利がほぼ均衡しています。

借金の利益インパクト

株式会社Casaの直近(2026年1月期予想)における有利子負債は6億円であり、これに対する推定支払利息は年間9百万円と算出されます。現在の経常利益が赤字(-2億円)に転じている局面において、この9百万円の利息負担は純利益をさらに押し下げる要因となっています。

過去の推移を見ると、2019年から2021年にかけては無借金経営を維持しており、利息負担がゼロの状態でした。しかし、近年は有利子負債が2億円から6億円へと増加傾向にあります。利益規模が大きかった2017年当時は、10億円の負債があっても経常利益13億円に対して利息の影響は軽微でしたが、足元の業績悪化に伴い、少額の利息であっても「利益に対するインパクト」は相対的に増大している点に注意が必要です。

レバレッジ効果の評価

財務レバレッジの効果を分析すると、直近の2026年1月期は-0.21%ptとマイナスの評価となっています。これは、事業から得られるリターンが借入コスト(金利)を下回っている、あるいは赤字であるため、負債を抱えることが逆に株主資本利益率(ROE)を押し下げている状態を指します。

2017年〜2018年当時は、レバレッジ効果が+1.0%pt〜+1.8%pt程度あり、借入金が効率的に自己資本利益率を高めていました。しかし、2025年1月期からこの効果がマイナスに転じており、財務構造が利益に対してポジティブに作用する「良質のレバレッジ」から、リターンを損なう「重石」へと変化していることが確認できます。

財務戦略の考察

同社の有利子負債6億円という水準自体は、過去の利益実績や事業規模と比較して決して過大なレベルではありません。推定金利も1.50%と低水準に抑えられており、資金調達コストそのものに大きな懸念は見られません。家賃債務保証という業態は、本来は資産を多く持たないアセットライトなモデルですが、代位弁済リスクへの備えや運転資金として一定のキャッシュが必要です。

現在の課題は負債の量ではなく、「投下した資本(借入金含む)が十分な利益を生んでいない」点に集約されます。同業他社と比較しても、このビジネスモデルは高い営業利益率を維持することで財務レバレッジを活かすのが定石ですが、現状は収益性の改善が最優先課題となっており、積極的なレバレッジ戦略をとれる段階にはないと考えられます。

投資家へのポイント

本分析に基づき、投資家が注目すべきポイントを整理します。

  • レバレッジの逆回転: 利益の減少に伴い、かつてROEを押し上げていた負債が、現在は逆にROEを低下させる要因となっています。業績が回復し、レバレッジ効果がプラスに転じるタイミングが投資判断の鍵となります。
  • 金利耐性: 借入額は限定的であり、推定金利1.5%という条件から、多少の金利上昇が直ちに経営危機を招くリスクは低いと推察されます。
  • 収益性の回復が前提: 借金の影響(9百万円の利息)よりも、本業の利益(-2億円の経常利益)の変動幅の方が圧倒的に大きく、財務構造の健全化よりも先に営業利益のV字回復を確認することが重要です。

総じて、財務面でのリスクは現時点では限定的ですが、収益性が改善しない限り、負債が株主価値に寄与することはありません。今後の決算において、ROEが「借金なしROE」を再び上回る局面が来るかどうかに注視が必要です。

⚠️ 注意事項: 本分析は営業利益と経常利益の差額から支払利息を推定しており、実際の支払利息とは異なる場合があります。 営業外収支には受取利息・配当金・為替差損益等も含まれるため、あくまで参考値としてご活用ください。 また、借金を全額返済した場合の実際の影響は資金調達構造の変化を伴うため、単純なシミュレーションとは異なります。

ROIC分析(投下資本利益率)

ROIC(投下資本利益率)推移

ROIC = NOPAT(税引後営業利益)÷ 投下資本(株主資本+有利子負債)。資本コスト(WACC)を上回れば価値を創造していると評価できます。

年度 NOPAT(百万円) 投下資本(百万円) ROIC(%) WACC(%) スプレッド(%pt)
17年 1月期 個別 0 6,133 0.00 5.94 -5.94
18年 1月期 個別 778 6,943 11.20 6.45 +4.75
19年 1月期 個別 800 6,277 12.75 7.00 +5.75
20年 1月期 連/個 854 6,622 12.89 7.00 +5.89
21年 1月期 578 6,841 8.46 7.00 +1.46
22年 1月期 611 7,072 8.65 6.95 +1.70
23年 1月期 393 6,947 5.66 6.96 -1.30
24年 1月期 493 7,415 6.65 6.83 -0.19
25年 1月期 380 7,660 4.95 6.85 -1.90
26年 1月期 -209 7,113 -2.93 6.46 -9.39
ROIC vs WACC推移-5.0%0.0%5.0%10.0%15.0%1719212325260ROIC(%)WACC(%)
直近年度のROIC評価(2026年 1月期 連結)
ROIC
-2.93%
投下資本利益率
WACC
6.46%
加重平均資本コスト
=
スプレッド
-9.39%pt
価値破壊

ROIC水準の評価

株式会社CasaのROIC(投下資本利益率)は、2020年1月期の12.89%をピークに、近年は著しい低下傾向にあります。2018年1月期から2020年1月期にかけては11%〜12%台の高い資本効率を維持しており、家賃債務保証業界の中でも効率的な経営がなされていました。しかし、2021年1月期に8.46%へと下落して以降、右肩下がりの推移が続いています。特に2024年1月期の6.65%から2025年1月期の4.95%、そして2026年1月期(予想・算定値)の-2.93%という急激な悪化は、事業収益性の抜本的な見直しが必要な局面であることを示唆しています。投下資本が7,000百万円台で概ね横ばいから微増傾向にある中、NOPAT(税引後営業利益)が2020年1月期の854百万円から直近のマイナス圏まで落ち込んでいることが、ROIC低下の主因です。

ROIC-WACCスプレッド分析

資本効率と資本コストの差を示すROIC-WACCスプレッドの推移を見ると、同社の「価値創造力」の変化が顕著に表れています。2018年1月期から2022年1月期までは、WACC(加重平均資本コスト)を上回るROICを創出し、プラスのスプレッド(最大+5.89%pt)を維持してきましたが、これは株主・債権者の期待を上回る利益を生み出していた「価値創造」のフェーズと言えます。しかし、2023年1月期にスプレッドが-1.30%ptと負に転じて以降、2025年1月期は-1.90%pt、2026年1月期は-9.39%ptとマイナス幅が拡大しています。現在の状況は、事業から得られるリターンが資本コストを下回る「価値破壊」の状態にあり、投下した資本が効率的に利益に結びついていないことを示しています。特に2026年1月期の大幅なマイナス転落は、NOPATの赤字化が要因であり、資本コストに見合う収益性の回復が急務となっています。

投資家へのポイント

本分析を踏まえた投資判断における注視点は、以下の3点に集約されます。第一に「収益性の回復シナリオ」です。2026年1月期のNOPATがマイナス(-209百万円)と算出される背景に、一時的なコスト増があるのか、あるいは競争激化や代位弁済コストの上昇といった構造的な収益性の悪化があるのかを見極める必要があります。第二に「資本構成の最適化」です。投下資本は7,000百万円台を維持していますが、利益成長が伴わない中での資本維持はさらなるROICの押し下げ要因となります。今後の資本配分方針が注目されます。第三に「市場期待との乖離」です。WACC(6%台)を下回るリターンが続く中で、いかにして再度スプレッドを正(プラス)の領域へ回帰させるのか、経営陣による事業構造改革や成長戦略の具体性を確認することが重要です。現在の指標は厳しい状況を示していますが、これをボトム(底)とした回復の兆しが見えるかどうかが、今後の投資判断の分かれ目となるでしょう。

⚠️ 注意: WACCは簡易推定値です(株主資本コスト7%想定、負債コストは推定支払利息から算出)。 実際のWACCはCAPMや市場データに基づくより精緻な計算が必要です。

ROIC逆ツリー分析

ROIC逆ツリー分解

ROIC = NOPATマージン × 投下資本回転率 に分解し、収益性の改善ドライバーを特定します。

年度 売上高(百万円) NOPATマージン(%) × 投下資本回転率(回) = ROIC(%)
17年 1月期 個別 8,022 0.00 × 1.308 = 0.00
18年 1月期 個別 8,315 9.35 × 1.198 = 11.20
19年 1月期 個別 8,609 9.29 × 1.372 = 12.75
20年 1月期 連/個 9,454 9.03 × 1.428 = 12.89
21年 1月期 10,227 5.66 × 1.495 = 8.46
22年 1月期 10,379 5.89 × 1.468 = 8.65
23年 1月期 10,286 3.82 × 1.481 = 5.66
24年 1月期 11,224 4.39 × 1.514 = 6.65
25年 1月期 12,081 3.14 × 1.577 = 4.95
26年 1月期 12,768 -1.63 × 1.795 = -2.93
ROIC逆ツリー: NOPATマージンと投下資本回転率-2.000.002.004.006.008.0010.001719212325260NOPATマージン(%)投下資本回転率(回)
ROIC逆ツリー分解(2026年 1月期 連結)
NOPATマージン
-1.63%
NOPAT -209百万円 ÷ 売上 12,768百万円
×
投下資本回転率
1.795回
売上 12,768百万円 ÷ IC 7,113百万円
=
ROIC
-2.93%
📊 ROIC変動の主因: 直近の変動は主に「NOPATマージン」の変化によるものです。本業の収益力の変化がROICに直結しています。

ROIC変動要因の分解

株式会社Casaの過去10期におけるROIC(投下資本利益率)の推移を分析すると、明確なトレンドの変化が見て取れます。同社のROICは、2020年1月期の12.89%をピークに低下傾向にあり、直近の2025年1月期予測では4.95%、さらに2026年1月期には-2.93%と赤字転落が予想されています。

この変動の主因は、収益性指標である「NOPATマージン」の悪化にあります。2018年から2020年にかけては9%台の高いマージンを維持していましたが、2021年1月期以降は5%台、3%台と段階的に低下し、2026年1月期には-1.63%まで落ち込む見通しです。一方で、効率性指標である「投下資本回転率」は、2017年1月期の1.308回から2026年1月期の1.795回(予測)へと、一貫して上昇、または高水準を維持しています。つまり、資産を売上高に変える「効率」は向上しているものの、その売上を最終的な利益に残す「収益力」が急激に低下していることが、ROICを押し下げている構造的な要因です。

改善ドライバーの特定

ROICを再びプラス圏へ戻し、資本効率を改善するためには、最優先で「NOPATマージンの回復」に取り組む必要があります。投下資本回転率は既に1.7回を超えており、同業態の中でも比較的高い水準にあると考えられるため、回転率のさらなる向上によるROICの押し上げ効果は限定的です。

具体的な改善ドライバーとしては、以下の2点が挙げられます。第一に、営業費用のコントロールです。売上高は伸長している(回転率の上昇から推察)にもかかわらずマージンが低下していることは、家賃保証ビジネスにおける代位弁済コストの上昇や、人件費・システム投資などの販管費が利益を圧迫している可能性を示唆しています。第二に、プライシング戦略の見直しです。競争環境の変化により、獲得する案件の収益性が低下している場合、リスクに見合った保証料設定への是正が不可欠となります。2026年1月期のマイナス予測を回避し、かつての10%台のROICを取り戻すには、売上の「量」よりも「質(利益率)」を重視した経営への舵切りが急務といえます。

投資家へのポイント

本分析から浮かび上がる株式会社Casaの現状は、「事業の規模拡大や資産の活用効率は進んでいるが、利益が伴わなくなっている」という状態です。投資家の皆様にとっては、以下の視点が判断のポイントとなります。

  • 収益性悪化の性質: 現在のマージン低下が、将来のシェア拡大のための戦略的投資(一時的なコスト増)によるものなのか、それとも家賃保証業界の競争激化や貸倒リスク増大という構造的な問題によるものなのかを、今後の決算発表から見極める必要があります。
  • 2026年1月期予測の妥当性: NOPATマージンがマイナスに転じる予測となっている点は、資本コスト(WACC)を大きく下回ることを意味し、企業価値の毀損が懸念されるフェーズです。この転換点を底としてV字回復のシナリオが描けているかが焦点となります。
  • 資産効率の高さの評価: 投下資本回転率が上昇傾向にあることは、同社のプラットフォームが市場で広く利用されている証左でもあります。この高い回転率を維持したままマージンをわずかでも改善できれば、ROICは急速に回復するポテンシャルを秘めています。

経営陣が今後、どのようなコスト構造改革や高付加価値サービスの展開を打ち出し、収益性の反転を図るのか、その実行力と進捗に注目が集まります。

EVA(経済的付加価値)分析

EVA(経済的付加価値)推移

EVA = (ROIC − WACC) × 投下資本。資本コストを超えるリターンを生み出し、株主価値を真に創造しているかを測定する指標です。

年度 NOPAT(百万円) 資本コスト(百万円) EVA(百万円) ROIC(%) WACC(%)
17年 1月期 個別 0 364 -364 0.00 5.94
18年 1月期 個別 778 448 330 11.20 6.45
19年 1月期 個別 800 439 361 12.75 7.00
20年 1月期 連/個 854 464 390 12.89 7.00
21年 1月期 578 479 100 8.46 7.00
22年 1月期 611 492 120 8.65 6.95
23年 1月期 393 484 -90 5.66 6.96
24年 1月期 493 506 -14 6.65 6.83
25年 1月期 380 525 -146 4.95 6.85
26年 1月期 -209 459 -668 -2.93 6.46
EVA(経済的付加価値)推移-1000-50005001.0千1719212325260EVA(百万円)NOPAT(百万円)
EVA評価サマリー
直近EVA
-668
百万円(2026年 1月期 連結)
累積EVA
19
百万円(10年間合計)
価値創造評価
価値破壊

EVAの推移と評価

株式会社Casa(7196)のEVA(経済的付加価値)推移を分析すると、2018年1月期から2022年1月期にかけてはプラスを維持し、株主資本コストを上回るリターンを創出していました。特に2020年1月期にはROIC(投下資本利益率)が12.89%に達し、EVAも390百万円とピークを記録しています。しかし、2023年1月期以降はROICがWACC(加重平均資本コスト)を下回る状況が続いており、EVAはマイナス圏に転じています。

特筆すべきは、2023年1月期から2025年1月期にかけてです。NOPAT(税引後営業利益)は380百万円〜493百万円と会計上の利益は計上されているものの、資本コスト(約480百万円〜525百万円)を補うには至っておらず、実質的には「価値破壊」のフェーズに入っています。2026年1月期にはNOPATが-209百万円、EVAが-668百万円と大幅な悪化が予測されており、資本効率の急激な低下が懸念されます。

価値創造力の持続性

累積EVAは19百万円と、過去の蓄積により辛うじてプラスを維持していますが、近年のトレンドは明確な右肩下がりを示しています。2019年〜2020年頃に見られた12%台の高いROICは、直近の2025年1月期予測で4.95%まで低下し、2026年1月期にはマイナスに転じる見通しです。

WACCが6%台で安定的に推移している一方で、ROICがそれを下回り続けている現状は、同社の本業による収益力が投下資本に対して十分でないことを示唆しています。過去に築いた価値創造力が持続せず、現在は事業構造の再構築や収益性の改善が急務となっている局面であると評価せざるを得ません。

投資家へのポイント

本分析における投資判断の注目点は、以下の3点に集約されます。

  • スプレッド(ROIC - WACC)の逆転: 2023年1月期を境にスプレッドがマイナスに転じています。この乖離が一時的な要因(先行投資や市場環境の一時的悪化)によるものか、あるいはビジネスモデルの陳腐化による構造的なものかを見極める必要があります。
  • 2026年1月期の業績予測: 投下資本が459百万円規模であるのに対し、NOPATが赤字に転落する予測となっています。この大幅な価値破壊の要因(大型投資、減損リスク、競合激化等)を精査することが不可欠です。
  • 資本効率の再定義: 累積EVAがプラスからマイナスへ転じる瀬戸際にあります。会社側が今後、どのように資本効率(ROIC)を回復させ、WACCを上回る利益水準へ回帰させるのか、その再生シナリオの有無が重要な判断材料となります。

以上の通り、数値上は厳しい局面を迎えており、今後の収益性回復に向けた具体的な施策とその進捗を注視する必要があります。

⚠️ 注意: EVAは簡易推定値です。WACCは株主資本コスト7%想定に基づく簡易計算であり、 正確なEVA算出にはβ値やリスクフリーレートの精緻な設定が必要です。

営業レバレッジ分析

営業レバレッジ度(DOL)推移

DOL = 営業利益変化率 ÷ 売上高変化率。売上が1%変化したとき営業利益が何%変化するかを示し、固定費比率の高さ(経営リスク)を表します。

平均DOL
10.02倍
有効年度の平均
リスク評価
高リスク
DOL≤2: 低 / 2-5: 中 / 5+: 高
年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 営業利益率(%) 売上変化率(%) 営業利益変化率(%) DOL(倍)
18年 1月期 個別 8,315 1,259 15.14 - - -
18年 1月期 個別 8,293 1,167 14.07 -0.26 -7.31 -
19年 1月期 個別 8,609 1,325 15.39 3.81 13.54 3.55
20年 1月期 連/個 9,454 1,409 14.90 9.82 6.34 0.65
20年 1月期 連/個 9,436 1,523 16.14 -0.19 8.09 -
21年 1月期 10,227 1,032 10.09 8.38 -32.24 -3.85
22年 1月期 10,379 1,038 10.00 1.49 0.58 0.39
22年 1月期 10,341 1,037 10.03 -0.37 -0.10 -
23年 1月期 10,286 786 7.64 -0.53 -24.20 45.51
24年 1月期 11,224 787 7.01 9.12 0.13 0.01
25年 1月期 12,081 759 6.28 7.64 -3.56 -0.47
25年 1月期 12,081 759 6.28 0.00 0.00 -
25年 1月期 12,157 1,303 10.72 0.63 71.67 -
26年 1月期 12,768 -298 -2.33 5.03 -122.87 -24.45
26年 1月期 12,754 -63 -0.49 -0.11 78.86 -
27年1月期 13,830 355 2.57 8.44 663.49 -
営業レバレッジ度(DOL)と営業利益率の推移-40.0-20.00.020.040.060.01820222425270DOL(倍)営業利益率(%)

費用構造の特徴

株式会社Casaの過去の業績データに基づく平均DOL(営業レバレッジ度)は10.02倍と極めて高く、当分析における「高リスク(5倍以上)」の基準を大きく上回っています。これは、同社の費用構造において固定費の比率が非常に高い「固定費型ビジネス」であることを示唆しています。家賃債務保証という事業特性上、基幹システムの維持費や審査・回収を担う人員の人件費といった固定的なコストが大きな割合を占める一方、売上高の変化がダイレクトに利益の増減に直結しやすい構造です。特に2023年1月期には売上高がわずか0.53%減少したのに対し、営業利益が24.20%減少(DOL 45.51倍)しており、わずかな減収が利益を大きく押し下げる特徴が顕著に表れています。

景気変動への感応度

営業レバレッジが高い同社は、景気変動や市場環境の変化に伴う業績のボラティリティ(振れ幅)が非常に大きい傾向にあります。2021年1月期のように、売上高が8.38%増加しながらも営業利益が32.24%減少するといった、固定費や貸倒関連費用の増加が利益を圧迫する局面も見受けられます。一方で、2027年1月期の予想値では、売上高8.44%の増加に対し、営業利益が663.49%増加するという劇的な回復が示唆されています。このように、損益分岐点を超えた後の増収局面では利益が爆発的に伸びる「ポジティブなレバレッジ」が期待できる反面、停滞期には利益が急速に枯渇するリスクを内包しており、投資家は同社の売上成長率の推移を極めて慎重に注視する必要があります。

投資家へのポイント

Casaへの投資を検討する際、この「高い営業レバレッジ」をどう評価するかが鍵となります。固定費型ビジネスの特性上、トップライン(売上高)の拡大が継続する局面では、他業種を圧倒する利益成長を享受できる可能性があります。一方で、2026年1月期に予想されている営業赤字(-298百万円)のように、売上の前提が崩れた際の下方リスクは一般的な企業よりも増幅されやすい点に注意が必要です。現在の高い平均DOLは、同社が収益構造の転換点、あるいは利益の不安定なフェーズにあることを示しています。将来的な利益成長のポテンシャルと、業績の下振れが株価に与えるインパクトを天秤にかけ、自身のポートフォリオの許容リスクに照らした判断が求められます。

⚠️ 注意: 営業レバレッジ度は前年比の変化率から算出しており、売上や利益が急変する年度では極端な値になることがあります。 複数年の平均値での評価を推奨します。

持続的成長率分析(SGR)

持続的成長率(SGR)推移

SGR = ROE × 内部留保率。外部からの資金調達なしで持続可能な売上成長率を示します。実際の成長率と比較することで、成長の持続可能性を評価します。

年度 ROE(%) 配当性向(%) 内部留保率(%) SGR(%) 実際成長率(%)
17年 1月期 個別 12.33 推定30% 70.0 8.63 -
18年 1月期 個別 12.69 推定30% 70.0 8.88 3.65
19年 1月期 個別 13.38 推定30% 70.0 9.37 3.54
20年 1月期 連/個 13.44 推定30% 70.0 9.41 9.82
21年 1月期 8.93 推定30% 70.0 6.25 8.18
22年 1月期 9.38 推定30% 70.0 6.57 1.49
23年 1月期 3.69 100.0 0.0 0.00 -0.90
24年 1月期 8.38 49.7 50.3 4.22 9.12
25年 1月期 0.16 53.5 46.5 0.07 7.64
26年 1月期 -1.38 100.0 0.0 0.00 5.69
持続的成長率(SGR)vs 実際の売上成長率-2.0%0.0%2.0%4.0%6.0%8.0%10.0%1719212325260SGR(%)実際成長率(%)
ROEと配当性向の推移-20.0%0.0%20.0%40.0%60.0%80.0%100.0%1719212325260ROE(%)配当性向(%)
持続的成長率の評価(2026年 1月期 連結)
ROE
-1.38%
×
内部留保率
0.0%
=
SGR
0.00%
📊 成長持続性の評価: 実際の成長率がSGRを大幅に上回っており、外部資金調達や財務レバレッジの拡大が必要な可能性

SGR水準の評価

株式会社Casaの持続的成長率(SGR)は、2020年1月期までは9%前後と高い水準を維持していましたが、近年は急速に低下し、直近では0.00%(2026年1月期予想)に達しています。この低下には、ROE(自己資本利益率)の悪化と配当性向の上昇という二つの側面が影響しています。ROEは2020年1月期の13.44%をピークに、2025年1月期には0.16%、2026年1月期には-1.38%と、収益性の低下が顕著です。加えて、2023年1月期や2026年1月期に見られる100.0%という極めて高い配当性向により、内部留保率が0%(あるいはそれ以下)となっていることが、理論上の自己資本による成長余力を奪っている主因と言えます。

成長の持続可能性

実際の成長率とSGRを比較すると、近年の同社は「不調和な成長」の状態にあると分析されます。2024年1月期以降、実際の成長率は9.12%、7.64%、5.69%と堅調な伸びを示している一方、同時期のSGRは4.22%、0.07%、0.00%と乖離が拡大しています。特に直近2期においては、内部留保による資金裏付けがない中で売上高が増加しており、この成長を維持するためには外部資金(借入金や増資)の調達、あるいは財務レバレッジの拡大が不可欠な状況です。収益性が伴わない中での規模拡大は、中長期的に財務体質の弱体化を招くリスクを内包しており、現在の成長ペースを自己資本だけで維持することは極めて困難であると評価されます。

投資家へのポイント

本分析から、投資家が注目すべき点は以下の3点に集約されます。第一に「収益性の回復」です。ROEがマイナス圏に沈む中で、売上成長が利益に結びつくビジネスモデルへの再構築が進むかどうかが焦点となります。第二に「株主還元と成長投資のバランス」です。利益を上回る、あるいは利益のすべてを配当に回す方針は短期的には株主を惹きつけますが、事業成長に必要な再投資を阻害している側面は否定できません。第三に「財務余力」です。SGRを大幅に上回る成長を継続する場合、負債比率の上昇や資本効率の変化が財務健全性に与える影響を注視する必要があります。現在の成長路線が持続可能なものか、あるいは財務上の歪みを生じさせていないか、慎重なモニタリングが求められます。

⚠️ 注意: 配当データが取得できない年度は内部留保率70%(配当性向30%)を仮定しています。 実際の配当政策と異なる場合があります。

インタレストカバレッジレシオ推移

インタレストカバレッジレシオ推移

ICR = 営業利益 ÷ 支払利息。営業利益で利息の何倍を賄えるかを示す、借入金利負担の安全性指標です。

直近ICR
∞(利息負担なし)
>10: 極めて安全 / 3-10: 安全 / 1-3: 要注意 / <1: 危険
安全性評価
極めて安全
年度 営業利益(百万円) 推定支払利息(百万円) ICR(倍) 有利子負債(百万円) 有利子負債比率(%) 推定借入金利(%)
17年 1月期 個別 0 - 1,000 9.2 -
18年 1月期 個別 1,259 - 600 5.1 -
19年 1月期 個別 1,325 - - 0.0 -
20年 1月期 連/個 1,409 - - 0.0 -
21年 1月期 1,032 - - 0.0 -
22年 1月期 1,038 - 57 0.4 -
23年 1月期 786 - 45 0.3 -
24年 1月期 787 - 193 1.3 -
25年 1月期 759 - 171 1.1 -
26年 1月期 -298 - 610 4.0 -

利払い安全性の評価

株式会社Casaのインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)は、分析期間を通じて「∞(無限大)」を継続しており、利払い能力の観点からは極めて安全な水準にあります。2017年1月期から2025年1月期に至るまで、営業利益が推定支払利息を大幅に上回る、あるいは支払利息自体が極めて僅少な状態で推移しています。2020年1月期に記録した営業利益1,409百万円をピークに、近年は700〜1,000百万円台で推移してきましたが、この間も財務的な利息負担が経営を圧迫する兆候は見られません。ただし、2026年1月期の業績予想では営業利益が-298百万円と赤字転落が示唆されており、キャッシュフローの観点から今後の推移を注視する必要があります。

有利子負債の状況

同社の有利子負債の状況を確認すると、一貫して実質無借金に近い健全な財務体質を維持してきました。2019年1月期から2021年1月期にかけては有利子負債比率が0.0%となっており、外部負債に頼らない経営姿勢が鮮明です。2022年以降、少額の有利子負債が計上されていますが、2025年1月期時点でも有利子負債比率は1.1%(負債額171百万円)と極めて低位に抑制されています。2026年1月期には有利子負債が610百万円(比率4.0%)へ増加する計画ですが、依然として一般的な財務安全基準を十分に満たす水準であり、負債管理は極めて保守的かつ適切に行われていると評価できます。

投資家へのポイント

投資判断における注目点は、同社の「強固な財務基盤」と「足元の収益性の変化」の対比にあります。利払い負担がほぼゼロであるため、短中期的に金利上昇や負債返済が経営の障害となるリスクは極めて低いと言えます。一方で、2026年1月期に予定されている営業損失への転落は、これまでの高ICRを支えてきた収益構造に変化が生じている可能性を示唆しています。財務的な安全性(ストック)は依然として高いものの、本業での稼ぐ力(フロー)が一時的な悪化なのか、構造的な問題なのかを見極めることが肝要です。極めて安全な財務レバレッジを活かし、今後の再成長に向けた投資をいかに行うかが、長期的な企業価値を左右する論点となるでしょう。

⚠️ 注意: 支払利息は「営業利益−経常利益」から推定しています。 営業外収益が大きい企業では過小評価になる可能性があります。正確な支払利息は有価証券報告書の注記をご確認ください。

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