7727株式会社オーバル精密機器

オーバル(7727) 理論株価分析:大幅増益と積極的な株主還元が光る計測機器の老舗 カチノメ

決算発表日: 2025-11-142026年3月期 第2四半期
AI判定メタデータ
業種: 精密機器テーマ: 精密計測テーマ: 株主還元テーマ: 脱炭素テーマ: 知的財産テーマ: PBR改善
総合業績スコア
76/100
好決算

セクション別スコア

業績成長性75収益性80財務健全性85株主還元80成長戦略70理論株価評価65
業績成長性75
収益性80
財務健全性85
株主還元80
成長戦略70
理論株価評価65

※ 本記事は後半になるにつれて、内容が専門的になるように構成しています。

決算履歴(業績推移)

売上高推移(百万円)100億110億120億130億140億150億160億2017年 2018年 2019年 2021年 2022年 2023年 2024年 2026年 売上高利益推移(営業利益・経常利益・当期純利益)-5億0百万5億10億15億20億2017年 2018年 2019年 2021年 2022年 2023年 2024年 2026年 0営業利益経常利益純利益利益率推移(%)-5.0%0.0%5.0%10.0%15.0%2017年 2018年 2019年 2021年 2022年 2023年 2024年 2026年 0営業利益率経常利益率純利益率
年度 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 包括利益
2017年 3月期 連結 11,900 210 220 90 -
2017年 3月期 連結 12,000 380 410 270 -
2017年 3月期 連結 12,094 385 419 272 206
2018年 3月期 連結 10,800 165 195 26 -
2018年 3月期 連結 10,900 250 280 120 -
2018年 3月期 連結 10,948 253 284 123 265
2019年 3月期 連結 11,716 419 498 473 415
2020年 3月期 連結 11,800 480 560 280 -
2020年 3月期 連結 11,887 484 562 282 135
2021年 3月期 連結 10,250 -170 -80 -180 -
2021年 3月期 連結 10,340 -110 41 28 -
2021年 3月期 連結 10,342 -110 42 29 81
2022年 3月期 連結 11,500 360 460 220 -
2022年 3月期 連結 11,145 277 470 286 568
2023年 3月期 連結 12,500 680 820 300 -
2023年 3月期 連結 12,700 1,000 1,100 550 -
2023年 3月期 連結 13,313 1,105 1,228 649 935
2024年 3月期 連結 14,000 1,400 1,500 910 -
2024年 3月期 連結 14,348 1,476 1,573 1,102 1,368
2025年 3月期 連結 15,049 1,423 1,444 1,030 1,283
2026年 3月期 連結 15,500 1,700 1,750 1,409 -

※単位: 百万円

利益率推移

営業利益率 = 営業利益÷売上高×100 / 経常利益率 = 経常利益÷売上高×100 / 純利益率 = 当期純利益÷売上高×100

年度 売上高 (百万円) 営業利益率 (%) 経常利益率 (%) 純利益率 (%)
2017年 3月期 連結 11,900 1.76% 1.85% 0.76%
2017年 3月期 連結 12,000 3.17% 3.42% 2.25%
2017年 3月期 連結 12,094 3.18% 3.46% 2.25%
2018年 3月期 連結 10,800 1.53% 1.81% 0.24%
2018年 3月期 連結 10,900 2.29% 2.57% 1.10%
2018年 3月期 連結 10,948 2.31% 2.59% 1.12%
2019年 3月期 連結 11,716 3.58% 4.25% 4.04%
2020年 3月期 連結 11,800 4.07% 4.75% 2.37%
2020年 3月期 連結 11,887 4.07% 4.73% 2.37%
2021年 3月期 連結 10,250 -1.66% -0.78% -1.76%
2021年 3月期 連結 10,340 -1.06% 0.40% 0.27%
2021年 3月期 連結 10,342 -1.06% 0.41% 0.28%
2022年 3月期 連結 11,500 3.13% 4.00% 1.91%
2022年 3月期 連結 11,145 2.49% 4.22% 2.57%
2023年 3月期 連結 12,500 5.44% 6.56% 2.40%
2023年 3月期 連結 12,700 7.87% 8.66% 4.33%
2023年 3月期 連結 13,313 8.30% 9.22% 4.87%
2024年 3月期 連結 14,000 10.00% 10.71% 6.50%
2024年 3月期 連結 14,348 10.29% 10.96% 7.68%
2025年 3月期 連結 15,049 9.46% 9.60% 6.84%
2026年 3月期 連結 15,500 10.97% 11.29% 9.09%

※営業利益率 = 営業利益÷売上高×100、経常利益率 = 経常利益÷売上高×100、純利益率 = 当期純利益÷売上高×100

決算サマリー

2026年3月期 第2四半期(中間期)の連結業績は、売上高73億73百万円(前年同期比3.4%増)、営業利益9億19百万円(同33.3%増)、経常利益9億57百万円(同53.3%増)、親会社株主に帰属する中間純利益6億百万円(同42.2%増)と、大幅な増益を達成しました。ライセンス契約一時金の計上や、主力のセンサ部門の堅調な推移が利益を押し上げました。

注目ポイント

1. 知的財産による収益化の進展

Anton Paar GmbHとのライセンス契約に基づく一時金が売上および利益に大きく寄与しました。自社製品の販売だけでなく、培ってきた技術資産を収益化する戦略が実を結んでいます。

2. 過去最大規模の株主還元策

自己資本効率の向上を目指し、上限8億円・220万株(発行済株式総数の10%超)という大規模な自己株式取得を実施中です。あわせて中間配当を前年同期の7円から10円へ増配しており、還元姿勢が極めて強まっています。

業界動向

国内では化学・石油関連業界の設備投資が堅調に推移しています。海外では中国の船舶関連向けが回復基調にある一方、EV(電気自動車)電池関連の韓国市場が低迷するなど、地域や用途によって明暗が分かれています。同社は「アジアNo.1のセンシング・ソリューション・カンパニー」を掲げ、成長市場への展開を加速させています。

投資判断材料

高い自己資本比率(65.9%)を背景とした財務の安定性は抜群です。一方で、PBR(株価純資産倍率)が低位に留まっていることが課題でしたが、今回の大規模な自社株買いは資本効率改善への強い意思表示と受け取れます。中長期経営計画「Imagination2028」の初年度として、順調な滑り出しを見せています。

セグメント別業績

  • センサ部門: 売上高49億97百万円(前年同期比4.2%増)。国内の化学・石油向けが好調。中国での船舶向け回復も寄与。
  • システム部門: 売上高8億71百万円(同5.5%減)。前年同期の大口案件集中の反動により受注・売上ともに減少。
  • サービス部門: 売上高15億4百万円(同6.6%増)。石油・化学業界向けにメンテナンスや校正事業が安定的に推移。

財務健全性

自己資本比率は65.9%と、前連結会計年度末の64.8%からさらに向上しました。流動比率も高く、現預金36億円を保有するなど、極めて強固な財務体質を維持しています。営業キャッシュ・フローも6億99百万円のプラス(前年同期は2億73百万円)と大幅に改善しています。

配当・株主還元

中間配当は1株当たり10円(前年同期は7円)を実施。さらに、2025年8月から1年間の期間で、上限220万株(自己株式を除く発行済株式総数の10.15%)、総額8億円の自己株式取得を決定・実行しており、総還元性向は大幅に高まる見通しです。

通期業績予想

中間期時点で経常利益9億57百万円を達成しており、前通期実績(14億44百万円)に対する進捗率は66.3%と高水準です。システム部門の受注減はあるものの、センサ部門の収益性向上とライセンス収入により、通期でも堅調な着地が期待されます。

中長期成長戦略

2028年度を最終年度とする「Imagination2028」を策定。従来の「計測機器メーカー」から、センシング技術を活用した「ソリューションプロバイダー」への変革を目指しています。特にアジア圏でのシェア拡大と、脱炭素社会に向けた新エネルギー分野(水素・アンモニア等)への計測技術応用が鍵となります。

リスク要因

米中関係の緊張やトランプ政権の関税政策による世界経済の減速リスク、および原材料価格の高騰が懸念材料です。また、海外売上比率に関連する為替変動リスクも注視する必要があります。

ESG・サステナビリティ

「確かな計測」を通じて、エネルギー効率の最適化や資源保護に貢献しています。特に脱炭素社会に向けた流量計測技術の提供は、環境負荷低減に直結する同社の主要な社会的責務となっています。

経営陣コメント

谷本社長は、中期経営計画において資本効率の改善を最重要課題の一つに挙げています。今回の大規模な自己株式取得は、1株当たり価値の向上と資本コストを意識した経営への転換を象徴する施策であると位置づけています。

バリュエーション

実績PBRは0.6倍~0.7倍水準(推計)と解散価値を大きく下回る状態が続いてきましたが、今期のROE向上施策により評価の修正が期待されます。予想PERも10倍前後(足元の利益成長を考慮)と、製造業平均と比較して割安感が漂います。

過去決算との比較

直近4四半期を概観すると、売上高は安定的に推移しつつ、今第2四半期で利益率が急改善しています。これは原価率の低減努力に加え、高利益率のサービス事業やライセンス収入が寄与した結果であり、収益構造の強化が確認できます。

年度別バリュエーション推移(PBR/PER/時価総額)

株価推移(高値・安値)02004006008001,000'11/3'14/3'17/3'20/3'23/3最新(株探)高値安値PBR推移(高値・安値・期末PBR)0.0倍0.5倍1.0倍1.5倍2.0倍'11/3'14/3'17/3'20/3'23/3最新(株探)PBR高値PBR安値期末PBRPER推移(高値・安値)0倍100倍200倍300倍400倍'11/3'14/3'17/3'20/3'23/3最新(株探)PER高値PER安値時価総額推移(高値・安値)0億50億100億150億200億250億'11/3'14/3'17/3'20/3'23/3最新(株探)高値安値ROE推移(PBR÷PERで算出・高値同士/安値同士)0.0%2.0%4.0%6.0%8.0%10.0%'11/3'14/3'17/3'20/3'23/3最新(株探)ROE高値ROE安値
年度 株価高値 株価安値 PER高値 PER安値 PBR高値 PBR安値 時価総額高値 時価総額安値 期末PBR
2011年3月期 200 98 17.05 8.35 0.51 0.25 52億3600万 25億6564万 0.42倍
2012年3月期 178 123 15.32 10.59 0.43 0.3 46億6004万 32億2014万 0.41倍
2013年3月期 180 126 20.83 14.58 0.43 0.3 47億1240万 32億9868万 0.37倍
2014年3月期 202 141 26.9 18.77 0.4 0.28 52億8836万 36億9138万 0.34倍
2015年3月期 445 165 39 14.46 0.8 0.3 116億5010万 43億1970万 0.58倍
2016年3月期 328 197 21.16 12.71 0.59 0.36 85億8704万 51億5746万 0.44倍
2017年3月期 300 211 24.71 17.38 0.54 0.38 78億5400万 55億2398万 0.48倍
2018年3月期 406 232 73.95 42.26 0.72 0.41 106億2908万 60億7376万 0.54倍
2019年3月期 361 199 17.11 9.43 0.63 0.35 94億5098万 52億982万 0.43倍
2020年3月期 278 184 22.05 14.59 0.49 0.32 72億7804万 48億1712万 0.38倍
2021年3月期 424 199 328.68 154.26 0.75 0.35 111億32万 52億982万 0.51倍
2022年3月期 307 236 24.04 18.48 0.52 0.4 80億3726万 61億7848万 0.48倍
2023年3月期 947 281 32.68 9.7 1.53 0.45 247億9246万 73億5658万 0.66倍
2024年3月期 632 366 12.85 7.44 0.95 0.55 165億4576万 95億8188万 0.84倍
2025年3月期 579 309 12.6 6.72 0.82 0.44 151億5822万 80億8962万 0.58倍
最新(株探) 728 - 10.5倍 - 0.96倍 - 153億円 - 0.96倍

ROE算出表(PBR÷PER×100)

PBR = ROE × PER の関係式から逆算。高値同士・安値同士で算出しています。

年度 PBR高値 PER高値 ROE高値(%) PBR安値 PER安値 ROE安値(%)
2011年3月期 0.51 17.05 3.0% 0.25 8.35 3.0%
2012年3月期 0.43 15.32 2.8% 0.3 10.59 2.8%
2013年3月期 0.43 20.83 2.1% 0.3 14.58 2.1%
2014年3月期 0.4 26.9 1.5% 0.28 18.77 1.5%
2015年3月期 0.8 39 2.1% 0.3 14.46 2.1%
2016年3月期 0.59 21.16 2.8% 0.36 12.71 2.8%
2017年3月期 0.54 24.71 2.2% 0.38 17.38 2.2%
2018年3月期 0.72 73.95 1.0% 0.41 42.26 1.0%
2019年3月期 0.63 17.11 3.7% 0.35 9.43 3.7%
2020年3月期 0.49 22.05 2.2% 0.32 14.59 2.2%
2021年3月期 0.75 328.68 0.2% 0.35 154.26 0.2%
2022年3月期 0.52 24.04 2.2% 0.4 18.48 2.2%
2023年3月期 1.53 32.68 4.7% 0.45 9.7 4.6%
2024年3月期 0.95 12.85 7.4% 0.55 7.44 7.4%
2025年3月期 0.82 12.6 6.5% 0.44 6.72 6.5%
最新(株探) 0.96倍 10.5倍 9.1% - - -

バリュエーション推移の概要

株式会社オーバルの過去14年間にわたるバリュエーションデータを確認すると、長期的には「低PBR・低PER」の状態が継続していましたが、2023年3月期を境に大きな変化が見られます。2011年から2022年3月期までは、PBRは概ね0.3倍から0.5倍台、PERは10倍から20倍台で推移する期間が長く、資本効率や市場の成長期待が抑制された状態にありました。しかし、2023年3月期には株価の急騰に伴いPBRが1.53倍まで上昇し、その後は一段高い水準での推移へとステージが変化しています。

PBR分析

PBR(株価純資産倍率)の推移をみると、歴史的な最安値は2011年3月期の0.25倍、最高値は2023年3月期の1.53倍です。2011年から2022年までの約12年間、期末PBRは一度も0.7倍を超えることがなく、解散価値である1倍を大幅に下回る水準が常態化していました。しかし、2024年3月期の期末PBRは0.84倍まで切り上がっており、最新データでは0.96倍と、悲願とも言える1.0倍の大台に肉薄しています。これは、市場が同社の資産価値を再評価している、あるいは資本効率の改善を期待している兆候と捉えることができます。

PER分析

PER(株価収益率)は、業績の変動を反映して非常に激しい動きを見せています。特に2021年3月期には、利益水準の低下によりPER高値が328.68倍という極端な数値を示しました。一方で、2024年3月期以降はPER安値が6倍から7倍台まで低下しており、足元の最新PER(株探ベース)も10.5倍と、過去の平均的なレンジ(15倍〜25倍程度)と比較して、利益面から見た割安感が強まっている状況です。2024年3月期・2025年3月期のPER高値が12倍台に留まっていることは、以前のような過度な期待感によるプレミアムが付与されにくい反面、収益力に対する評価が安定しつつあることを示唆しています。

時価総額の推移

時価総額は、2011年から2014年頃までは25億円から50億円規模で推移する超小型株でした。2015年3月期に一時116億円まで急増しましたが、その後は再び100億円を下回る時期が続きました。大きな転換点は2023年3月期で、高値ベースで247億9246万円に達し、企業の時価総額規模が一段階引き上げられました。最新の時価総額は約153億円となっており、2010年代の平均的な水準(50億〜80億円)と比較すると、約2倍から3倍の規模で市場から評価されるようになっています。

現在のバリュエーション評価

現在のバリュエーションを歴史的水準と比較すると、PBR 0.96倍は過去14年間の中で2023年の突出した時期を除けば、最も高い評価水準に位置しています。これは「1倍割れ」の状態から脱却しようとする強いモメンタムを感じさせる数値です。一方で、PER 10.5倍は、2014年〜2017年頃のPER高値20倍超の水準と比較すると半分程度に留まっており、利益成長に対する評価には依然として慎重さ、あるいは上値余地が残されているという見方も可能です。株価が2023年の高値947円から調整を経て、現在の700円台で推移する中、資産価値(PBR)の再評価と収益性(PER)の裏付けのバランスがどのように変化するかが、今後の注視すべきポイントとなります。

限界利益分析(CVP分析)

高低点法による費用構造の推定

売上高が最大の年度と最小の年度を比較し、総費用(売上高−営業利益)の変化から変動費率と固定費を推定します。

推定変動費率
64.4%
売上高に対する変動費の割合
推定限界利益率
35.6%
1 − 変動費率
推定固定費
3,821
百万円
基準: 2026年 3月期 連結(売上高 15,500 百万円)と 2021年 3月期 連結(売上高 10,250 百万円)の比較

年度別 限界利益指標

年度 売上高 限界利益 限界利益率 損益分岐点 安全余裕率 経営レバレッジ
17年 3月期 11,900 4,239 35.6% 10,727 9.8% 20.18倍
17年 3月期 12,000 4,274 35.6% 10,727 10.6% 11.25倍
17年 3月期 12,094 4,308 35.6% 10,727 11.3% 11.19倍
18年 3月期 10,800 3,847 35.6% 10,727 0.7% 23.31倍
18年 3月期 10,900 3,882 35.6% 10,727 1.6% 15.53倍
18年 3月期 10,948 3,900 35.6% 10,727 2.0% 15.41倍
19年 3月期 11,716 4,173 35.6% 10,727 8.4% 9.96倍
20年 3月期 11,800 4,203 35.6% 10,727 9.1% 8.76倍
20年 3月期 11,887 4,234 35.6% 10,727 9.8% 8.75倍
21年 3月期 10,250 3,651 35.6% 10,727 -4.7% -
21年 3月期 10,340 3,683 35.6% 10,727 -3.8% -
21年 3月期 10,342 3,684 35.6% 10,727 -3.7% -
22年 3月期 11,500 4,096 35.6% 10,727 6.7% 11.38倍
22年 3月期 11,145 3,970 35.6% 10,727 3.8% 14.33倍
23年 3月期 12,500 4,452 35.6% 10,727 14.2% 6.55倍
23年 3月期 12,700 4,524 35.6% 10,727 15.5% 4.52倍
23年 3月期 13,313 4,742 35.6% 10,727 19.4% 4.29倍
24年 3月期 14,000 4,987 35.6% 10,727 23.4% 3.56倍
24年 3月期 14,348 5,111 35.6% 10,727 25.2% 3.46倍
25年 3月期 15,049 5,360 35.6% 10,727 28.7% 3.77倍
26年 3月期 15,500 5,521 35.6% 10,727 30.8% 3.25倍
売上高と損益分岐点売上高の推移1億1億1億1億1億2億2億1718192122232426売上高(百万円)損益分岐点(百万円)
安全余裕率と経営レバレッジの推移-10.00.010.020.030.040.017181921222324260安全余裕率(%)経営レバレッジ(倍)
直近年度の損益分岐点分析(2026年 3月期 連結)
売上高
15,500
百万円
損益分岐点
10,727
百万円
安全余裕率
30.8%
十分な安全余裕
経営レバレッジ
3.25倍
中程度の経営リスク
⚠️ 注意: 本分析は高低点法による推定値です。実際の変動費・固定費は有価証券報告書の費用明細と異なる場合があります。 費用構造が大きく変化した期間を含む場合、推定精度が低下する可能性があります。投資判断の際は他の指標と合わせてご確認ください。

デュポン分析(ROE分解)

ROEの3要素分解(デュポン分析)

ROE = 純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ に分解し、収益性の源泉を可視化します。

年度 純利益率(%) × 総資産回転率(回) × 財務レバレッジ(倍) = ROE(%)
17年 3月期 0.76 × 0.578 × 2.31 = 0.01
18年 3月期 0.24 × 0.530 × 2.29 = 0.00
19年 3月期 4.04 × 0.565 × 2.25 = 0.05
20年 3月期 2.37 × 0.564 × 2.24 = 0.03
21年 3月期 -1.76 × 0.463 × 2.39 = -0.02
22年 3月期 1.91 × 0.530 × 2.31 = 0.02
23年 3月期 2.40 × 0.559 × 2.26 = 0.03
24年 3月期 6.50 × 0.597 × 2.19 = 0.08
25年 3月期 6.84 × 0.614 × 2.14 = 0.09
デュポン分析:ROEの3要素推移-2.0%0.0%2.0%4.0%6.0%8.0%17192123250純利益率(%)ROE(%)
総資産回転率と財務レバレッジの推移0.000.501.001.502.002.501719212325総資産回転率(回)財務レバレッジ(倍)
直近年度のROE構成(2025年 3月期 連結)
純利益率
6.84%
収益性
×
総資産回転率
0.614回
効率性
×
財務レバレッジ
2.14倍
借入で資本効率を114%ブースト
=
ROE
0.09%
株主資本利益率
📊 ROE変動の主因: 直近の変動は主に「純利益率」の変化によるものです。本業の収益力の変化がROEに直結しています。

ROEの質の評価

株式会社オーバルのROEは、2021年3月期のマイナス圏(-0.02:約-2.0%相当)を底として、直近の2025年3月期予測では0.09(約9.0%相当)にまで大幅に改善しています。この改善の主因は、分析データが示す通り「純利益率」の劇的な向上にあります。2021年3月期の-1.76%から2025年3月期の6.84%へと、収益性がV字回復を遂げています。財務レバレッジに頼らず、本業の稼ぐ力(収益性)の向上がROEを押し上げている点は、投資家にとって「質の高い改善」であると評価できます。

財務レバレッジの影響

財務レバレッジは、2021年3月期の2.39倍をピークに、2025年3月期には2.14倍へと緩やかに低下傾向にあります。一般的に、レバレッジを下げるとROEは押し下げられる要因となりますが、同社はそれを上回る純利益率の改善を実現しています。借入金への依存度を抑え、財務の健全性を高めながらもROEを向上させている現在の構造は、リスク耐性を備えた堅実な成長プロセスにあると言えます。過剰なレバレッジによるリスクは現時点では限定的であり、自己資本の蓄積が進んでいることが推察されます。

トレンド分析

過去9年間の推移を概観すると、同社の経営効率は明確な構造変化を見せています。

  • 収益性の転換: 2017年から2020年頃までは純利益率が0.2%〜4.0%台と低位で不安定でしたが、2024年3月期以降は6%台に乗せており、高付加価値化やコスト構造の改革が進んだ形跡が見て取れます。
  • 効率性の改善: 総資産回転率についても、2021年3月期の0.463回から2025年3月期の0.614回へと着実に上昇しています。これは保有資産をより効率的に売上につなげられるようになっていることを示唆しています。
収益性(利益率)と効率性(回転率)が同時に改善し、かつ財務リスク(レバレッジ)を低減させている現在のトレンドは、非常にポジティブな循環に入っていることを示しています。

投資判断への示唆

デュポン分析の結果から、株式会社オーバルは「低収益・高レバレッジ型」の構造から、「中収益・適正レバレッジ型」の企業へと変貌を遂げつつあると評価できます。特にROEが8〜9%水準にまで到達したことは、資本効率を重視する現代の投資環境において注目に値します。今後は、この高まった純利益率(6.8%台)を維持できるか、あるいは総資産回転率をさらに高めて資産効率を一段と向上させられるかが、ROE 10%の大台突破に向けた鍵となるでしょう。投資家の皆様におかれましては、この収益性改善が一時的な要因(為替や一過性の利益)によるものか、あるいは製品競争力の強化といった構造的なものかを見極めることが肝要です。

⚠️ 注意: デュポン分析の数値はIRBankから取得した財務データに基づいています。 会計基準(日本基準/IFRS)の違いにより、株主資本の定義が異なる場合があります。

借金が利益に与える影響分析

有利子負債の概要

項目 説明
有利子負債 16億 銀行借入・社債等の利息付き負債
推定金利 1.50% 営業利益と経常利益の差から推定
推定支払利息 24百万 有利子負債 × 推定金利
利息 / 純利益 比率 2.3% 純利益に対する利息負担の大きさ
推定実効税率 28.7% 1 − (純利益 / 経常利益) から推定

「もし借金がなかったら」年度別シミュレーション

有利子負債による支払利息を除外した場合の仮想利益を試算しています。

年度 有利子負債 推定利息 経常利益
実績
経常利益
借金なし
純利益
実績
純利益
借金なし
ROE
実績
ROE
借金なし
レバレッジ
効果
2017/03 17億 26百万 2億 2億 90百万 1億 1.01% 0.95% +0.06%pt
2018/03 17億 26百万 2億 2億 26百万 44百万 0.29% 0.42% -0.12%pt
2019/03 15億 22百万 5億 5億 5億 5億 5.13% 4.57% +0.56%pt
2020/03 22億 33百万 6億 6億 3億 3億 3.00% 2.57% +0.43%pt
2021/03 37億 55百万 -80百万 -25百万 -2億 -1億 -1.95% -1.10% -0.85%pt
2022/03 24億 36百万 5億 5億 2億 2億 2.34% 2.01% +0.33%pt
2023/03 21億 32百万 8億 9億 3億 3億 3.03% 2.68% +0.35%pt
2024/03 18億 27百万 15億 15億 9億 9億 8.48% 7.39% +1.10%pt
2025/03 16億 24百万 14億 15億 10億 10億 9.00% 8.02% +0.98%pt
純利益推移: 実績 vs 借金なしシミュレーション-5億0百万5億10億15億2017/032019/032021/032023/032025/030実績純利益借金なし純利益ROE推移: 実績 vs 借金なしシミュレーション-2.0%0.0%2.0%4.0%6.0%8.0%10.0%2017/032019/032021/032023/032025/030実績ROE借金なしROE
レバレッジ効果の評価(直近年度)
借金が利益を増やしている(レバレッジ効果あり)
実績ROE
9.00%
借金なしROE
8.02%
レバレッジ効果
+0.98%pt

事業利益率が借入金利を上回っており、借金によるレバレッジが株主リターン(ROE)を押し上げています。

借金の利益インパクト

株式会社オーバルの2025年3月期における有利子負債は16億円、推定される支払利息は24百万円です。この利息負担が純利益(10億円)に占める割合は2.3%にとどまっており、利益に対する金利負担のインパクトは極めて限定的といえます。 「もし借金がなかったら」のシミュレーションでは、経常利益が14億円から15億円へ、純利益が実績ベースから約17百万円(税引き後換算)上乗せされる計算となりますが、現在の高い収益力に照らせば、このコストは事業継続および資本活用における必要経費の範囲内と評価できます。

レバレッジ効果の評価

直近の財務レバレッジ効果は+0.98%ptと算出されており、借入金が株主リターン(ROE)を押し上げるプラスの方向に働いています。実績ROE(9.00%)は、借金がないと仮定した場合のROE(8.02%)を上回っており、負債を活用して自己資本以上の収益を上げている状態です。 経年で見ると、業績が低迷した2021年3月期にはレバレッジ効果が-0.85%ptとマイナスに振れていましたが、2024年3月期以降は収益性の向上に伴い、レバレッジ効果も+1%pt前後の高い水準を維持しています。これは、負債コスト(金利)を大きく上回る事業利益を効率的に稼ぎ出せていることを示唆しています。

財務戦略の考察

同社の有利子負債は2021年3月期の37億円をピークに、直近では16億円まで着実に減少しており、デレバレッジ(負債圧縮)が進んでいます。推定金利は約1.50%と安定しており、製造業(計測機器・制御装置)という業種特性を考慮すると、適正な調達コストといえます。 現在の事業利益率が負債コストを十分に上回っているため、財務的な健全性は高い水準にあります。一方で、有利子負債の削減が進むにつれ、分母となる自己資本比率が高まるため、今後は余剰資金をどのように成長投資や株主還元へ配分し、現在の高いROEを維持・向上させていくかが中長期的な課題となります。

投資家へのポイント

投資判断における注目点は以下の通りです。

  • 財務の安全性: 利息負担が純利益のわずか2.3%であり、金利上昇局面においても耐性が強い財務構造となっています。
  • 資本効率の推移: 直近2期でROEが8〜9%台まで急改善しており、借金が効率的に利益に結びつく「正のレバレッジ」が力強く働いています。
  • リスク要因: 2021年3月期のように、経常利益が損益分岐点付近まで低下すると、負債がROEを下押しするリスクがあります。景気動向による利益の振れ幅には注意が必要です。
  • 今後の展望: 負債の圧縮が進んだことで財務基盤は強固になりましたが、さらなるROE向上には、単なる負債削減ではなく、より積極的な資本活用(設備投資や研究開発、株主還元)が必要になる局面といえます。

現在の同社は、借入コストを上回る利益を安定的に創出しており、財務レバレッジを適切にコントロールできている状態にあると分析されます。

⚠️ 注意事項: 本分析は営業利益と経常利益の差額から支払利息を推定しており、実際の支払利息とは異なる場合があります。 営業外収支には受取利息・配当金・為替差損益等も含まれるため、あくまで参考値としてご活用ください。 また、借金を全額返済した場合の実際の影響は資金調達構造の変化を伴うため、単純なシミュレーションとは異なります。

ROIC分析(投下資本利益率)

ROIC(投下資本利益率)推移

ROIC = NOPAT(税引後営業利益)÷ 投下資本(株主資本+有利子負債)。資本コスト(WACC)を上回れば価値を創造していると評価できます。

年度 NOPAT(百万円) 投下資本(百万円) ROIC(%) WACC(%) スプレッド(%pt)
17年 3月期 105 10,657 0.99 5.94 -4.95
18年 3月期 83 10,628 0.78 5.94 -5.17
19年 3月期 398 10,687 3.72 6.16 -2.44
20年 3月期 240 11,524 2.08 5.77 -3.68
21年 3月期 -119 12,914 -0.92 5.21 -6.13
22年 3月期 180 11,773 1.53 5.69 -4.16
23年 3月期 340 12,019 2.83 5.85 -3.02
24年 3月期 849 12,543 6.77 6.07 +0.70
25年 3月期 1,015 13,060 7.77 6.22 +1.55
ROIC vs WACC推移-2.0%0.0%2.0%4.0%6.0%8.0%17192123250ROIC(%)WACC(%)
直近年度のROIC評価(2025年 3月期 連結)
ROIC
7.77%
投下資本利益率
WACC
6.22%
加重平均資本コスト
=
スプレッド
+1.55%pt
価値創造

ROIC水準の評価

株式会社オーバルのROIC(投下資本利益率)は、過去数年間で劇的な改善を遂げています。2017年3月期から2022年3月期までは、おおむね0%〜1%台(2021年3月期には-0.92%まで下落)と極めて低水準で推移しており、資本効率の面で課題を抱えていました。しかし、2023年3月期の2.83%から、2024年3月期には6.77%、さらに2025年3月期(予想)には7.77%と急上昇する見通しです。 流体計測機器の専業メーカーという資本集約的な側面を持つ同社において、ROICが7%台に達することは、資産の効率的活用が急速に進んでいることを示唆しています。特に、投下資本が2017年比で約22%増(10,657百万円から13,060百万円)に留まっているのに対し、NOPAT(税引後営業利益)が約10倍(105百万円から1,015百万円)に急拡大している点は、収益性の抜本的な改善を高く評価できる材料です。

ROIC-WACCスプレッド分析

資本コストを考慮した「真の価値創造」を測るROIC-WACCスプレッドの推移を見ると、同社は明確な転換点を迎えています。2017年3月期から2023年3月期までの長きにわたり、スプレッドはマイナス圏(-2.44pt〜-6.13pt)で推移しており、投下資本から得られるリターンが資本コスト(WACC)を下回る「価値破壊」の状態が続いていました。 しかし、2024年3月期にスプレッドは+0.70ptとプラスに転じ、2025年3月期には+1.55ptまで拡大する見込みです。このポジティブな変化の要因は、WACCが6%前後で安定している中で、NOPATが急増したことにあります。半導体や脱炭素関連など、高付加価値分野への注力や、生産効率の向上が利益率を押し上げ、資本コストを上回るリターンを生み出せる体質へと変貌を遂げたことが、数値から読み取れます。

投資家へのポイント

本分析に基づいた投資判断のポイントは、以下の2点に集約されます。 第一に、「構造的な利益体質への移行」が本物かどうかという点です。2024年、2025年と連続して価値創造フェーズ(ROIC > WACC)に入っていますが、この高い利益率が業界のサイクルによる一時的なものか、あるいは同社の製品力や市場シェアに基づいた持続的なものかを見極める必要があります。 第二に、「資本投下の規律」です。投下資本は増加傾向にありますが、これまでのところNOPATの成長がそれを上回っています。今後、新たな設備投資や研究開発投資が行われる際、現在の高いROIC水準を維持・向上させることができるか、あるいは余剰資金を株主還元へ回すのかなど、経営陣の資本配分(キャピタル・アロケーション)の動向が、長期的な企業価値を左右する鍵となるでしょう。

⚠️ 注意: WACCは簡易推定値です(株主資本コスト7%想定、負債コストは推定支払利息から算出)。 実際のWACCはCAPMや市場データに基づくより精緻な計算が必要です。

ROIC逆ツリー分析

ROIC逆ツリー分解

ROIC = NOPATマージン × 投下資本回転率 に分解し、収益性の改善ドライバーを特定します。

年度 売上高(百万円) NOPATマージン(%) × 投下資本回転率(回) = ROIC(%)
17年 3月期 11,900 0.88 × 1.117 = 0.99
18年 3月期 10,800 0.76 × 1.016 = 0.78
19年 3月期 11,716 3.40 × 1.096 = 3.72
20年 3月期 11,800 2.03 × 1.024 = 2.08
21年 3月期 10,250 -1.16 × 0.794 = -0.92
22年 3月期 11,500 1.57 × 0.977 = 1.53
23年 3月期 12,500 2.72 × 1.040 = 2.83
24年 3月期 14,000 6.07 × 1.116 = 6.77
25年 3月期 15,049 6.74 × 1.152 = 7.77
ROIC逆ツリー: NOPATマージンと投下資本回転率-2.000.002.004.006.008.0017192123250NOPATマージン(%)投下資本回転率(回)
ROIC逆ツリー分解(2025年 3月期 連結)
NOPATマージン
6.74%
NOPAT 1,015百万円 ÷ 売上 15,049百万円
×
投下資本回転率
1.152回
売上 15,049百万円 ÷ IC 13,060百万円
=
ROIC
7.77%
📊 ROIC変動の主因: 直近の変動は主に「NOPATマージン」の変化によるものです。本業の収益力の変化がROICに直結しています。

ROIC変動要因の分解

株式会社オーバルのROIC(投下資本利益率)を分析すると、2021年3月期の-0.92%を底として、直近の2025年3月期(予想含む)には7.77%へと劇的な回復・上昇を遂げていることが分かります。この変動の主因は、分析結果にも示されている通り「NOPATマージン」の改善にあります。

2017年から2022年3月期にかけて、同社のNOPATマージンは概ね0.7%〜3.4%の低水準で推移していましたが、2024年3月期に6.07%、2025年3月期には6.74%と、収益性が急速に高まっています。一方で、投下資本回転率についても2021年3月期の0.794回から2025年3月期の1.152回へと着実に向上しており、効率性の改善も伴っています。しかし、ROICの上昇幅(約8.7ポイント増)に対する寄与度を考慮すると、売上高に対する利益率(NOPATマージン)の拡大が、企業価値向上を牽引する最大のエンジンとなっていることが浮き彫りになっています。

改善ドライバーの特定

今後、ROICをさらに高め、持続的な成長を実現するための鍵は、「高付加価値化によるマージンの維持・拡大」と「資産効率のさらなる追求」の2点に集約されます。

まず、マージン面では、2024年3月期以降の6%台という高い水準をいかに維持できるかが焦点となります。原材料費の変動や労務コストの上昇に対し、適切な価格転嫁や、同社が得意とする流体計測技術を活かした高利益率製品・ソリューションの比率を高めることが重要です。

次に、投下資本回転率については、過去最高水準(1.152回)にあるものの、製造工程の最適化や在庫管理の精緻化を通じて、さらなる積み上げの余地を模索することが求められます。特に棚卸資産や売上債権の圧縮といった運転資本の効率化が進めば、分母となる投下資本が抑制され、ROICを押し上げる強力なドライバーとなります。NOPATマージンが主導する現在の局面から、資産効率の向上も並行して加速させる「両輪の経営」が期待されます。

投資家へのポイント

本分析から読み取れる経営の方向性は、かつての「低利益率・低効率」な体質からの脱却です。特に、ROICが2023年3月期の2.83%から2025年3月期の7.77%へと短期間で急改善している点は、収益構造に何らかの構造的変化、あるいは戦略的進展があった可能性を示唆しています。

投資家としては、この高い収益性が一過性の受注要因によるものか、あるいは製品ポートフォリオの刷新やコスト構造の改革といった持続可能な施策によるものかを見極めることが肝要です。投下資本回転率も向上傾向にあることから、事業規模の拡大と資産効率のバランスを保ちつつ、資本コストを上回るROICを安定的に創出できるフェーズに移行したかどうかが、中長期的な評価の分水嶺となるでしょう。

※本分析は提供されたデータに基づいた客観的な考察であり、投資の勧誘を目的としたものではありません。実際の投資判断は、最新の情報や市場環境を踏まえ、ご自身の責任で行ってください。

EVA(経済的付加価値)分析

EVA(経済的付加価値)推移

EVA = (ROIC − WACC) × 投下資本。資本コストを超えるリターンを生み出し、株主価値を真に創造しているかを測定する指標です。

年度 NOPAT(百万円) 資本コスト(百万円) EVA(百万円) ROIC(%) WACC(%)
17年 3月期 105 633 -527 0.99 5.94
18年 3月期 83 631 -549 0.78 5.94
19年 3月期 398 658 -261 3.72 6.16
20年 3月期 240 665 -425 2.08 5.77
21年 3月期 -119 673 -792 -0.92 5.21
22年 3月期 180 670 -490 1.53 5.69
23年 3月期 340 703 -363 2.83 5.85
24年 3月期 849 761 88 6.77 6.07
25年 3月期 1,015 812 203 7.77 6.22
EVA(経済的付加価値)推移-1000-50005001.0千1.5千17192123250EVA(百万円)NOPAT(百万円)
EVA評価サマリー
直近EVA
203
百万円(2025年 3月期 連結)
累積EVA
-3,116
百万円(9年間合計)
価値創造評価
価値創造

EVAの推移と評価

株式会社オーバルの過去9年間の財務データを確認すると、2017年3月期から2023年3月期までは、一貫してEVA(経済的付加価値)がマイナス圏で推移してきました。この期間、会計上の利益(NOPAT)は2021年3月期を除いて黒字を維持していましたが、株主や債権者が求める資本コスト(WACC)を上回るリターンを生み出すには至らず、経済的な意味では「価値を破壊」している状態が続いていました。特に2021年3月期は、NOPATが119百万円の赤字となり、EVAもマイナス792百万円と大きく落ち込んでいます。

しかし、2024年3月期に大きな転換点を迎えています。NOPATが849百万円へと急拡大したことで、ROIC(投下資本利益率)が6.77%に上昇し、WACCの6.07%を上回りました。その結果、EVAは88百万円とプラスに転換。続く2025年3月期(予想)においても、EVAは203百万円へとさらなる拡大が見込まれており、長年続いた価値破壊のフェーズを脱し、真の「価値創造」の局面に入ったと評価できます。

価値創造力の持続性

同社の価値創造力における注目すべき点は、ROICの改善スピードです。2022年3月期の1.53%から、2025年3月期予想の7.77%へと、わずか数年で大幅な収益性の向上を遂げています。これは、事業構造の効率化や高付加価値製品へのシフトが功を奏している可能性を示唆しています。WACCが5%台後半から6%台前半で安定的に推移する中で、ROICがそれを確実に上回るトレンドを形成しつつあることは、価値創造の持続性においてポジティブな材料です。

一方で、累積EVAがマイナス3,116百万円と依然として多額である点は無視できません。過去の投資に対する「負債(経済的付加価値の未達分)」が積み上がっている状態であり、現在のプラス圏での推移をいかに長期化させ、資本効率をさらに高めていけるかが、今後の企業価値評価における持続的な課題となります。

投資家へのポイント

投資判断においては、以下の3点が重要な視点となります。

  1. スプレッドの拡大: 2024年3月期以降、ROICとWACCの差(EVAスプレッド)が拡大傾向にあります(2024年:0.70% → 2025年予測:1.55%)。このスプレッドの拡大が、売上高の成長に伴うものか、あるいはコスト削減によるものか、その質を見極める必要があります。
  2. 資本コストへの意識: 同社のWACCは6%前後で推移しており、金利上昇局面においては資本コストが増大し、EVAを圧迫するリスクがあります。今後もROICを8%以上などの高い水準で維持できるかが、投資家にとっての安全域(マージン・オブ・セーフティ)となります。
  3. ターンアラウンドの確信: 長期のマイナス圏を経てようやくプラスに転じた「利益構造の変化」が本物であるかどうか。直近の2カ年で見せている良好なモメンタムが、一過性の要因によるものではなく、中長期的な経営戦略に基づいたものであるかを確認することが肝要です。

以上の通り、数値上は明確な改善傾向にありますが、過去の累積損失を埋めるほどの抜本的な成長フェーズにあるのか、あるいは一時的な回復に留まるのか、慎重なモニタリングが推奨されます。

⚠️ 注意: EVAは簡易推定値です。WACCは株主資本コスト7%想定に基づく簡易計算であり、 正確なEVA算出にはβ値やリスクフリーレートの精緻な設定が必要です。

営業レバレッジ分析

営業レバレッジ度(DOL)推移

DOL = 営業利益変化率 ÷ 売上高変化率。売上が1%変化したとき営業利益が何%変化するかを示し、固定費比率の高さ(経営リスク)を表します。

平均DOL
12.72倍
有効年度の平均
リスク評価
高リスク
DOL≤2: 低 / 2-5: 中 / 5+: 高
年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 営業利益率(%) 売上変化率(%) 営業利益変化率(%) DOL(倍)
17年 3月期 11,900 210 1.76 - - -
17年 3月期 12,000 380 3.17 0.84 80.95 -
17年 3月期 12,094 385 3.18 0.78 1.32 1.68
18年 3月期 10,800 165 1.53 -10.70 -57.14 5.34
18年 3月期 10,900 250 2.29 0.93 51.52 -
18年 3月期 10,948 253 2.31 0.44 1.20 -
19年 3月期 11,716 419 3.58 7.01 65.61 9.35
20年 3月期 11,800 480 4.07 0.72 14.56 20.31
20年 3月期 11,887 484 4.07 0.74 0.83 1.13
21年 3月期 10,250 -170 -1.66 -13.77 -135.12 9.81
21年 3月期 10,340 -110 -1.06 0.88 35.29 40.20
21年 3月期 10,342 -110 -1.06 0.02 0.00 -
22年 3月期 11,500 360 3.13 11.20 427.27 38.16
22年 3月期 11,145 277 2.49 -3.09 -23.06 7.47
23年 3月期 12,500 680 5.44 12.16 145.49 11.97
23年 3月期 12,700 1,000 7.87 1.60 47.06 29.41
23年 3月期 13,313 1,105 8.30 4.83 10.50 2.18
24年 3月期 14,000 1,400 10.00 5.16 26.70 5.17
24年 3月期 14,348 1,476 10.29 2.49 5.43 2.18
25年 3月期 15,049 1,423 9.46 4.89 -3.59 -0.73
26年 3月期 15,500 1,700 10.97 3.00 19.47 6.50
営業レバレッジ度(DOL)と営業利益率の推移-10.00.010.020.030.040.050.017181921222324260DOL(倍)営業利益率(%)

費用構造の特徴

株式会社オーバルの過去数年間のデータに基づくと、平均DOL(営業レバレッジ度)は12.72倍と非常に高い水準にあります。一般にDOLが5倍を超えると「高リスク(固定費型ビジネス)」と分類されますが、同社の数値はそれを大きく上回っており、典型的な高固定費型の費用構造を有していることが分かります。同社は流体計測機器(流量計)の専業メーカーであり、精密機器製造に伴う生産設備、研究開発費、および高度な技術を要する人員などの固定費負担が相対的に重い業種特性が背景にあると考えられます。特に、営業利益率が1〜3%台と低位であった2021年3月期以前においては、売上高のわずかな変動が損益分岐点付近で増益・減益に極めて大きな影響を及ぼす構造となっていました。

景気変動への感応度

DOLの推移を見ると、業績のボラティリティ(振れ幅)が非常に大きいことが顕著です。例えば、2021年3月期には売上高が13.77%減少した際、営業利益は135.12%減少し赤字転落を喫しています。一方で、2022年3月期のように売上高が11.20%回復した局面では、営業利益が427.27%増(DOL 38.16倍)と爆発的な伸びを見せています。このように、景気後退局面や需要減退期には利益が急速に蒸発するリスクがある反面、景気拡大期には売上の伸びを大幅に上回るスピードで利益が拡大する「ハイリスク・ハイリターン」な特性を持っています。ただし、直近の2024年3月期以降は営業利益率が10%台に乗っており、DOLも2〜6倍程度に落ち着きつつあります。これは、売上高の拡大に伴い固定費を効率的に回収できる体質へ変化し、以前ほどの極端なボラティリティは抑制され始めている兆候とも読み取れます。

投資家へのポイント

投資にあたっては、同社の高い営業レバレッジがもたらす「利益の増幅効果」と「下振れリスク」の両面を注視する必要があります。現在の業績予想(2025年、2026年3月期)では、売上高の安定的な成長とともに10%前後の営業利益率が維持される見通しとなっており、収益基盤の強化が進んでいるかが焦点となります。景気循環や設備投資動向に敏感な業種であるため、トップライン(売上高)の変化が利益に何倍ものインパクトを与えるという特性を念頭に置くことが肝要です。同社の成長シナリオが実現した際の利益成長力は魅力的な要素となりますが、同時に需要が減退した際の利益急減リスクも内包している点について、現在の株価水準や市場環境と照らし合わせた慎重な判断が求められます。

⚠️ 注意: 営業レバレッジ度は前年比の変化率から算出しており、売上や利益が急変する年度では極端な値になることがあります。 複数年の平均値での評価を推奨します。

持続的成長率分析(SGR)

持続的成長率(SGR)推移

SGR = ROE × 内部留保率。外部からの資金調達なしで持続可能な売上成長率を示します。実際の成長率と比較することで、成長の持続可能性を評価します。

年度 ROE(%) 配当性向(%) 内部留保率(%) SGR(%) 実際成長率(%)
17年 3月期 1.01 推定30% 70.0 0.71 -
18年 3月期 0.29 推定30% 70.0 0.20 -9.24
19年 3月期 5.13 推定30% 70.0 3.59 8.48
20年 3月期 3.00 推定30% 70.0 2.10 0.72
21年 3月期 -1.95 推定30% 70.0 -1.36 -13.14
22年 3月期 2.34 46.9 53.1 1.24 12.20
23年 3月期 3.03 31.0 69.0 2.09 8.70
24年 3月期 8.48 28.5 71.5 6.07 12.00
25年 3月期 9.00 34.8 65.2 5.87 7.49
持続的成長率(SGR)vs 実際の売上成長率-15.0%-10.0%-5.0%0.0%5.0%10.0%15.0%17192123250SGR(%)実際成長率(%)
ROEと配当性向の推移-10.0%0.0%10.0%20.0%30.0%40.0%50.0%17192123250ROE(%)配当性向(%)
持続的成長率の評価(2025年 3月期 連結)
ROE
9.00%
×
内部留保率
65.2%
=
SGR
5.87%
📊 成長持続性の評価: 実際の成長率がSGRをやや上回っており、持続性に注意が必要

SGR水準の評価

株式会社オーバルの持続的成長率(SGR)は、過去数年間で劇的な改善傾向にあります。2017年3月期から2022年3月期までは、SGRが概ね0%〜2%台と低水準で推移していましたが、直近の2024年3月期には6.07%、2025年3月期(予想)も5.87%と、一段高い水準へのシフトが見られます。

この上昇の主因は、内部留保率の変動ではなく、主にROE(自己資本利益率)の大幅な向上にあります。配当性向は概ね30%前後(2022年3月期を除く)で安定的に推移しており、内部留保率も65%〜70%台を維持しています。一方で、ROEは2021年3月期のマイナス圏から、2024年3月期には8.48%、2025年3月期予想では9.00%まで上昇しており、収益性の改善が自律的な成長余力を力強く押し上げている格好です。

成長の持続可能性

成長の持続可能性という観点では、「実際の成長率」が「SGR」を継続的に上回っている点に注目が必要です。2024年3月期はSGR 6.07%に対して実際成長率が12.00%、2025年3月期予想もSGR 5.87%に対して実際成長率が7.49%と、いずれも上振れています。

理論上、実際成長率がSGRを上回り続ける状態は、内部資金(内部留保)だけでは成長資金を賄いきれないことを意味します。同社は直近、外部資金の調達や手元資金の活用によって積極的な事業拡大を推進していると推察されますが、これが長期間続くと財務レバレッジの上昇や、将来的な資金調達ニーズの発生を招く可能性があります。現在の高成長を維持するためには、さらなるROEの向上、あるいは成長スピードと資金バランスの調整が鍵となります。

投資家へのポイント

SGR分析から導き出される、今後の投資判断における注目点は以下の通りです。

  • ROEの維持・向上: SGRの源泉はROEの高さに依存しています。9.00%(予想)というROE水準を維持し、10%台に乗せることができれば、外部資金に頼らずともより高い成長を持続できる「筋肉質な成長体質」へと進化します。
  • 成長スピードと財務健全性のバランス: 実際成長率がSGRを上回る状況が続く中、キャッシュフローの状況や有利子負債の推移を確認し、無理な拡大路線になっていないかを注視する必要があります。
  • 株主還元と成長投資の配分: 現在、配当性向を30%程度に抑えることで成長資金を確保していますが、将来的に成長が鈍化しSGRを下回る局面が来れば、余剰資金による追加的な株主還元(増配や自己株式取得)の余地が生まれます。

同社は現在、内部留保を活用した積極的な成長フェーズにありますが、その持続可能性は収益性のさらなる改善、あるいは資本効率の最適化にかかっていると言えるでしょう。

⚠️ 注意: 配当データが取得できない年度は内部留保率70%(配当性向30%)を仮定しています。 実際の配当政策と異なる場合があります。

インタレストカバレッジレシオ推移

インタレストカバレッジレシオ推移

ICR = 営業利益 ÷ 支払利息。営業利益で利息の何倍を賄えるかを示す、借入金利負担の安全性指標です。

直近ICR
∞(利息負担なし)
>10: 極めて安全 / 3-10: 安全 / 1-3: 要注意 / <1: 危険
安全性評価
極めて安全
年度 営業利益(百万円) 推定支払利息(百万円) ICR(倍) 有利子負債(百万円) 有利子負債比率(%) 推定借入金利(%)
17年 3月期 210 - 1,746 8.5 -
18年 3月期 165 - 1,729 8.5 -
19年 3月期 419 - 1,475 7.1 -
20年 3月期 480 - 2,186 10.4 -
21年 3月期 -170 - 3,667 16.6 -
22年 3月期 360 - 2,374 10.9 -
23年 3月期 680 - 2,128 9.5 -
24年 3月期 1,400 - 1,818 7.8 -
25年 3月期 1,423 - 1,619 6.6 -

利払い安全性の評価

株式会社オーバルのインタレストカバレッジレシオ(ICR)は、対象期間を通じて「∞(無限大)」と算出されており、財務上の安全性は極めて高い水準にあります。2021年3月期には営業利益が1億7,000万円の赤字に転落したものの、推定支払利息が極めて低位に抑えられていたため、利払い負担が経営を圧迫するリスクは顕在化しませんでした。直近の2024年3月期以降は営業利益が14億円を超える規模まで拡大しており、利払い能力は一段と強固なものとなっています。時系列で見ても、一時的な業績悪化を乗り越え、現在は利益創出能力の向上とともに盤石な安全性を維持していると評価できます。

有利子負債の状況

有利子負債の推移を確認すると、2021年3月期の36億6,700万円(有利子負債比率16.6%)をピークに、その後は一貫して減少傾向にあります。2025年3月期の予測では16億1,900万円まで縮小し、有利子負債比率は6.6%にまで低下する見込みです。同社は有利子負債を抱えつつも、実質的な利息負担が極めて少ない、あるいは営業外収益等で相殺される構造となっており、推定支払利息が算出されないほどの低金利、もしくは無借金に近い財務構成を実現しています。負債管理の観点からは、極めて保守的かつ健全な運用が行われていると言えます。

投資家へのポイント

投資判断においては、以下の3点が重要な考察材料となります。第一に、現在の金利上昇局面においても、同社の利払い負担は無視できるほど小さく、金融環境の変化に対する耐性が非常に強い点です。第二に、2024年3月期に営業利益が前期比で倍増(6億8,000万円→14億円)しており、財務の安全性だけでなく収益性の成長も伴っている点。第三に、有利子負債比率が1桁台まで低下していることから、将来的な設備投資や研究開発に対して追加融資を受ける余力が十分にある点です。これらを踏まえ、高い財務安定性を背景とした持続的な成長性をどう評価するかが、投資判断の鍵となります。

⚠️ 注意: 支払利息は「営業利益−経常利益」から推定しています。 営業外収益が大きい企業では過小評価になる可能性があります。正確な支払利息は有価証券報告書の注記をご確認ください。

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データソース

この記事はEDINETから取得した決算報告書をAIが分析して生成しています。

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