9692株式会社シーイーシー||

シーイーシー(9692) 理論株価分析:DX・セキュリティ需要で増収増益、還元強化も光る優良IT株 カチノメ

決算発表日: 2026-04-212026年1月期 通期
総合業績スコア
81/100
好決算

セクション別スコア

業績成長性85収益性78財務健全性88株主還元85成長戦略80理論株価評価72
業績成長性85
収益性78
財務健全性88
株主還元85
成長戦略80
理論株価評価72

※ 本記事は後半になるにつれて、内容が専門的になるように構成しています。

決算履歴(業績推移)

売上高推移(百万円)400億450億500億550億600億650億700億2017年 2019年 2020年 2022年 2023年 2024年 2025年 2026年 '27/1売上高利益推移(営業利益・経常利益・当期純利益)20億30億40億50億60億70億80億2017年 2019年 2020年 2022年 2023年 2024年 2025年 2026年 '27/1営業利益経常利益純利益利益率推移(%)4.0%6.0%8.0%10.0%12.0%14.0%2017年 2019年 2020年 2022年 2023年 2024年 2025年 2026年 '27/1営業利益率経常利益率純利益率
年度 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 包括利益
2017年 1月期 連結 43,976 3,311 3,420 2,612 2,813
2018年 1月期 連結 46,000 3,600 3,660 2,450 -
2018年 1月期 連結 45,995 3,749 3,820 2,605 3,180
2019年 1月期 連結 49,200 4,700 4,750 3,200 -
2019年 1月期 連結 49,811 4,931 5,041 2,861 2,351
2020年 1月期 連結 52,000 5,750 5,800 4,000 -
2020年 1月期 連結 51,869 5,934 6,045 3,639 3,931
2021年 1月期 連結 50,000 5,200 5,300 4,200 -
2021年 1月期 連結 48,003 5,049 5,159 4,036 4,424
2022年 1月期 連結 45,500 4,050 4,100 2,550 -
2022年 1月期 連結 45,221 4,207 4,283 3,039 2,727
2023年 1月期 連結 48,000 4,500 4,540 3,300 -
2023年 1月期 連結 48,000 4,500 4,540 5,200 -
2023年 1月期 連結 48,206 4,374 4,413 5,179 5,129
2024年 1月期 連結 52,000 6,070 6,100 4,200 -
2024年 1月期 連結 53,000 6,220 6,250 4,300 -
2024年 1月期 連結 53,124 6,362 6,410 4,542 4,916
2025年 1月期 連結 56,500 6,280 6,300 3,700 -
2025年 1月期 連結 56,208 6,696 6,807 4,040 4,443
2026年 1月期 連結 62,000 6,900 6,960 5,000 -
2026年 1月期 連結 65,882 7,338 7,435 5,201 -
2026年 1月期 連結 65,882 7,338 7,435 5,201 6,084
★2027年1月期(予想) 68,000 7,750 7,800 5,600

※単位: 百万円

利益率推移

営業利益率 = 営業利益÷売上高×100 / 経常利益率 = 経常利益÷売上高×100 / 純利益率 = 当期純利益÷売上高×100

年度 売上高 (百万円) 営業利益率 (%) 経常利益率 (%) 純利益率 (%)
2017年 1月期 連結 43,976 7.53% 7.78% 5.94%
2018年 1月期 連結 46,000 7.83% 7.96% 5.33%
2018年 1月期 連結 45,995 8.15% 8.31% 5.66%
2019年 1月期 連結 49,200 9.55% 9.65% 6.50%
2019年 1月期 連結 49,811 9.90% 10.12% 5.74%
2020年 1月期 連結 52,000 11.06% 11.15% 7.69%
2020年 1月期 連結 51,869 11.44% 11.65% 7.02%
2021年 1月期 連結 50,000 10.40% 10.60% 8.40%
2021年 1月期 連結 48,003 10.52% 10.75% 8.41%
2022年 1月期 連結 45,500 8.90% 9.01% 5.60%
2022年 1月期 連結 45,221 9.30% 9.47% 6.72%
2023年 1月期 連結 48,000 9.38% 9.46% 6.88%
2023年 1月期 連結 48,000 9.38% 9.46% 10.83%
2023年 1月期 連結 48,206 9.07% 9.15% 10.74%
2024年 1月期 連結 52,000 11.67% 11.73% 8.08%
2024年 1月期 連結 53,000 11.74% 11.79% 8.11%
2024年 1月期 連結 53,124 11.98% 12.07% 8.55%
2025年 1月期 連結 56,500 11.12% 11.15% 6.55%
2025年 1月期 連結 56,208 11.91% 12.11% 7.19%
2026年 1月期 連結 62,000 11.13% 11.23% 8.06%
2026年 1月期 連結 65,882 11.14% 11.29% 7.89%
2026年 1月期 連結 65,882 11.14% 11.29% 7.89%
★2027年1月期(予想) 68,000 11.40% 11.47% 8.24%

※営業利益率 = 営業利益÷売上高×100、経常利益率 = 経常利益÷売上高×100、純利益率 = 当期純利益÷売上高×100

決算サマリー

株式会社シーイーシーの2026年1月期連結決算は、売上高が658億82百万円(前期比17.2%増)、営業利益が73億38百万円(同9.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が52億1百万円(同28.8%増)と、大幅な増収増益を達成しました。顧客企業のICT投資が堅調に推移し、特にマイクロソフト関連のクラウド案件や官公庁向けの大型案件が業績を牽引しました。

注目ポイント

クラウド・セキュリティ領域の拡大

Microsoft Azureを中心としたクラウド移行支援や、自社製品「SmartSESAME」を含むセキュリティサービスが二桁成長を記録しました。企業のサイバー攻撃対策への投資意欲は依然として高く、同社の強みである一気通貫の提供体制が奏功しています。

積極的なM&Aと事業再編

2025年4月に情報システムサービス株式会社を完全子会社化するなど、成長投資を加速させています。また、当期よりセグメントを3区分に再編し、成長領域である「コネクティッド」「ソリューション」の可視化を強めています。

業界動向

情報サービス産業全体でDX(デジタルトランスフォーメーション)需要が継続しています。競合他社と比較しても、同社は自動車産業向けの組込開発から官公庁向けインフラ構築まで幅広い顧客基盤を有しており、特定の業界動向に左右されにくい安定した収益構造を構築しています。

投資判断材料

  • 高水準の株主還元:年間配当を前期の55円から70円に大幅増配し、配当性向も40%台後半を維持しています。
  • 資本効率の向上:20億円規模の自己株式取得と消却を実施。ROEは12.5%まで上昇しており、目標とする14%超に向けて着実に進捗しています。
  • ストック型ビジネスの推進:運用・保守やサブスクリプション型のセキュリティサービスを強化し、収益の安定性を高めています。

セグメント別業績

  • インテグレーション:売上高429億53百万円(20.3%増)。官公庁向け大型案件とマイクロソフト関連サービスが好調。
  • コネクティッド:売上高118億37百万円(3.7%増)。自動車向けIoTシステムや制御シミュレーションが伸長。
  • ソリューション:売上高110億91百万円(22.1%増)。自社セキュリティ製品が好調で、高い成長率を維持。

財務健全性

自己資本比率は68.4%と極めて高い水準を維持しています。M&Aや自己株式取得により前期(76.7%)からは低下したものの、有利子負債は極めて少なく、手元資金も252億円と潤沢です。高い財務レバレッジをかけずとも成長投資と還元を両立できる、強固な財務体質です。

配当・株主還元

同社は「安定的な配当の継続」を基本方針としています。2026年1月期は中間30円・期末40円の年間70円(前期比15円増配)を実施しました。2,000百万円の自社株買いも含め、総還元性向は非常に高い水準にあります。

通期業績予想

2027年1月期の通期予想は、売上高680億円、営業利益77.5億円を見込んでいます。DX需要の継続とM&Aによる寄与を含め、増収増益のトレンドを維持する計画です。進捗状況も概ね計画通りであり、堅実な成長が期待されます。

中長期成長戦略

長期経営計画「VISION 2030」に基づき、2028年1月期に売上高720億円、ROE14%以上の達成を目指しています。「エッセンシャルカンパニー」として、社会課題解決に資するITサービスの提供を通じ、事業モデルの転換を推進しています。

リスク要因

プロジェクトの大規模化に伴う不採算案件の発生(プロジェクトマネジメントリスク)や、高度IT人材の獲得競争の激化が懸念材料です。これに対し、社内の品質管理体制の強化や、人的資本経営への投資を拡大しています。

ESG・サステナビリティ

気候変動への対応として、2030年までにScope 1,2の排出量を2016年度比で46%以上削減する目標を掲げています。また、女性管理職比率の向上(2030年度目標12%)など、人的資本の多様性確保にも取り組んでいます。

経営陣コメント

姫野社長は、ICTの力で新たな価値を創造し、すべてのステークホルダーにとって不可欠な「エッセンシャルカンパニー」への進化を強調しています。資本効率を意識した経営と成長投資の両立に強い意欲を示しています。

バリュエーション

実績ベースのPERは13.29倍、PBRは1.2倍程度と、業界平均と比較して妥当な水準です。配当利回りは3%後半から4%前後(株価水準による)が見込まれ、下値不安の少ないインカムゲイン銘柄としての魅力も併せ持っています。

過去決算との比較

直近4四半期のトレンドを見ると、第4四半期に売上・利益が集中する季節性があるものの、通年での成長角度は右肩上がりです。特に当期は売上成長率が加速しており、事業構造改革の成果が出始めていると言えます。

市場の評判

株式会社シーイーシーは1968年に設立された日本のソフトウェア・ハードウェア開発企業で、東証プライムに上場しており、証券コードは9692です。同社はITサービス、業務システム開発、ITインフラ構築を主な事業としており、従業員数は2,441人です。

年度別バリュエーション推移(PBR/PER/時価総額)

株価推移(高値・安値)05001,0001,5002,0002,5003,000'11/1'14/1'17/1'20/1'23/1'26/1最新(株探)高値安値PBR推移(高値・安値・期末PBR)0.0倍1.0倍2.0倍3.0倍4.0倍'11/1'14/1'17/1'20/1'23/1'26/1最新(株探)PBR高値PBR安値期末PBRPER推移(高値・安値)0倍10倍20倍30倍40倍'11/1'14/1'17/1'20/1'23/1'26/1最新(株探)PER高値PER安値時価総額推移(高値・安値)0億200億400億600億800億1,000億1,200億'11/1'14/1'17/1'20/1'23/1'26/1最新(株探)高値安値ROE推移(PBR÷PERで算出・高値同士/安値同士)0.0%2.0%4.0%6.0%8.0%10.0%12.0%14.0%'11/1'14/1'17/1'20/1'23/1'26/1最新(株探)ROE高値ROE安値
年度 株価高値 株価安値 PER高値 PER安値 PBR高値 PBR安値 時価総額高値 時価総額安値 期末PBR
2011年1月期 257 159 26.74 16.49 0.48 0.29 96億6320万 59億5960万 0.4倍
2012年1月期 230 143 赤字 赤字 0.47 0.29 86億4800万 53億7680万 0.37倍
2013年1月期 292 179 8.66 5.31 0.57 0.35 109億7920万 67億3040万 0.54倍
2014年1月期 369 256 11.48 7.95 0.63 0.44 138億7440万 96億680万 0.57倍
2015年1月期 600 292 11.87 5.77 0.94 0.46 225億4120万 109億6040万 0.79倍
2016年1月期 647 426 17.51 11.52 1.02 0.67 243億840万 159億9880万 0.99倍
2017年1月期 1,046 520 13.98 6.95 1.5 0.75 393億2960万 195億3320万 1.34倍
2018年1月期 1,745 876 23.39 11.74 2.29 1.15 656億1200万 329億3760万 2.09倍
2019年1月期 2,835 1,471 34.61 17.95 3.48 1.81 1065億9600万 552億9080万 2.36倍
2020年1月期 2,520 1,852 24.19 17.78 2.83 2.08 947億5200万 696億3520万 2.32倍
2021年1月期 2,152 1,005 18.65 8.71 2.2 1.03 809億1520万 377億8800万 1.44倍
2022年1月期 1,686 1,020 19.41 11.74 1.66 1 633億9360万 383億5200万 1.05倍
2023年1月期 1,630 990 10.73 6.51 1.47 0.89 612億8800万 372億2400万 1.36倍
2024年1月期 1,882 1,256 13.93 9.29 1.55 1.04 707億6320万 472億2560万 1.36倍
2025年1月期 2,194 1,506 17.93 12.31 1.74 1.2 824億9440万 566億2560万 1.51倍
2026年1月期 2,499 1,757 15.09 10.61 1.83 1.29 901億1294万 633億5671万 1.61倍
最新(株探) 2021 - 11.3倍 - 1.48倍 - 711億円 - 1.48倍

ROE算出表(PBR÷PER×100)

PBR = ROE × PER の関係式から逆算。高値同士・安値同士で算出しています。

年度 PBR高値 PER高値 ROE高値(%) PBR安値 PER安値 ROE安値(%)
2011年1月期 0.48 26.74 1.8% 0.29 16.49 1.8%
2012年1月期 0.47 赤字 - 0.29 赤字 -
2013年1月期 0.57 8.66 6.6% 0.35 5.31 6.6%
2014年1月期 0.63 11.48 5.5% 0.44 7.95 5.5%
2015年1月期 0.94 11.87 7.9% 0.46 5.77 8.0%
2016年1月期 1.02 17.51 5.8% 0.67 11.52 5.8%
2017年1月期 1.5 13.98 10.7% 0.75 6.95 10.8%
2018年1月期 2.29 23.39 9.8% 1.15 11.74 9.8%
2019年1月期 3.48 34.61 10.1% 1.81 17.95 10.1%
2020年1月期 2.83 24.19 11.7% 2.08 17.78 11.7%
2021年1月期 2.2 18.65 11.8% 1.03 8.71 11.8%
2022年1月期 1.66 19.41 8.6% 1 11.74 8.5%
2023年1月期 1.47 10.73 13.7% 0.89 6.51 13.7%
2024年1月期 1.55 13.93 11.1% 1.04 9.29 11.2%
2025年1月期 1.74 17.93 9.7% 1.2 12.31 9.7%
2026年1月期 1.83 15.09 12.1% 1.29 10.61 12.2%
最新(株探) 1.48倍 11.3倍 13.1% - - -

バリュエーション推移の概要

株式会社シーイーシー(9692)の過去15年間にわたるバリュエーション推移を概観すると、2010年代前半の低迷期を経て、2019年1月期をピークとする大幅な評価上昇、その後の調整と再評価という明確なサイクルを描いています。2011年当時はPBR0.3倍〜0.4倍、時価総額100億円未満という極めて割安な水準にありましたが、IT需要の拡大と収益性の改善に伴い、市場からの期待値は大きく変動してきました。特に2010年代後半のPER・PBRの急拡大は、同社が単なるシステムインテグレーターから、より高付加価値なサービス提供体へと変貌を遂げた時期と重なります。

PBR分析

PBR(株価純資産倍率)の推移は、同社の資産価値に対する市場評価の劇的な変化を物語っています。2011年1月期から2014年1月期まではPBR1.0倍を大きく下回る水準(安値0.29倍〜0.44倍)で推移していましたが、2017年1月期に期末PBRで1.34倍を記録して以降、解散価値である1.0倍を恒常的に上回るようになりました。歴史的な最高値は2019年1月期の3.48倍であり、当時の期待感の高さが伺えます。その後、2022年から2023年にかけて1.0倍付近まで低下し調整局面を迎えましたが、最新のデータでは1.48倍となっており、過去15年のレンジ(0.29倍〜3.48倍)の中では、中長期的な平均水準、あるいはやや落ち着いた位置にあります。

PER分析

PER(株価収益率)は、業績のボラティリティと成長期待を反映しています。2012年1月期には赤字を計上した時期もありましたが、2013年以降は概ね利益成長とともに推移しています。2019年1月期にはPER高値34.61倍を記録し、利益成長に対する期待がピークに達しました。しかし、2021年1月期以降はPER10倍から20倍の範囲で安定する傾向にあります。最新のPERは11.3倍(株探データ)となっており、2018年〜2020年の高評価期(20倍〜30倍超)と比較すると、現在は実力値ベースの慎重な評価がなされている局面と言えます。2026年1月期の予測PERも10.61倍〜15.09倍と、過熱感の少ない水準で推移しています。

時価総額の推移

時価総額は、2011年1月期の安値59億円から、2019年1月期の高値1,065億円まで、約18倍という極めてダイナミックな成長を遂げました。この急拡大は、一株当たり利益の成長だけでなく、バリュエーション(倍率)の拡大が同時に起きた「ダブルメリット」によるものです。1,000億円の大台を突破した後は調整が入り、300億〜600億円規模で推移する時期が続きましたが、直近の2025年1月期から2026年1月期にかけては再び800億〜900億円規模へと回復傾向にあります。企業規模としては中型株としての地位を固めつつあり、流動性と安定性のバランスが取れたフェーズに移行していると分析されます。

現在のバリュエーション評価

最新のバリュエーション(PER 11.3倍、PBR 1.48倍)を歴史的水準と比較すると、以下のような評価が可能です。PER面では、過去15年間の高値圏(20〜30倍)からは大きく乖離しており、2013年〜2015年頃の安定期に近い水準まで落ち着いています。PBR面でも、過去最高値(3.48倍)の半分以下の水準であり、一方で解散価値(1.0倍)は明確に上回っていることから、一定の成長期待を維持しつつも、下方硬直性が意識される水準にあります。2026年1月期の予測数値を含めても、株価は業績に裏打ちされた合理的な範囲内で推移しており、2019年のような過熱感は見られません。投資家にとっては、同社の将来の利益成長率と、現在の11倍台というPERが均衡しているかどうかが、判断の焦点となります。

キャッシュフロー推移

キャッシュフロー推移(営業CF・投資CF・フリーCF)-40億-20億0百万20億40億60億80億'17/1'19/1'21/1'23/1'25/1'26/10営業CF投資CFフリーCF設備投資 vs フリーCF(百万円)-20億0百万20億40億60億'17/1'19/1'21/1'23/1'25/1'26/10設備投資#1フリーCF現金等残高推移100億150億200億250億300億'17/1'19/1'21/1'23/1'25/1'26/1現金等
年度 四半期 営業CF 投資CF 財務CF フリーCF 設備投資#1 現金等
2017年1月期連結 通期 1388 -651 -540 737 - 10044
2018年1月期連結 通期 1860 -458 -715 1403 - 10733
2019年1月期連結 通期 6351 -1084 -1420 5267 - 14576
2020年1月期連結 通期 4814 -602 -1235 4212 -317 17550
2021年1月期連結 通期 5351 -471 -1410 4880 -236 21021
2022年1月期連結 通期 3152 -341 -1412 2811 -962 22431
2023年1月期連結 通期 2495 1931 -3560 4425 -651 23302
2024年1月期連結 通期 5683 -748 -1526 4935 -585 26715
2025年1月期連結 通期 5269 -1667 -4850 3602 -917 25472
2026年1月期連結 通期 5825 -2184 -3914 3641 -522 25200

※単位: 百万円。データ出典: IRBank(irbank.net)

キャッシュフロー推移の概要

株式会社シーイーシーの過去10年間のキャッシュフロー(CF)推移を概観すると、営業CFが安定してプラスを維持し、その範囲内で投資活動と財務活動(主に配当や返済)を賄う、極めて健全な構造が見て取れます。特に直近のデータに基づくと、営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスの状態を継続しており、フレームワーク上では「優良安定型」と判定されます。本業で稼いだキャッシュを将来の成長投資と株主還元・負債圧縮にバランス良く配分している、安定感のある財務状況と言えます。

営業キャッシュフロー分析

営業CFは、2017年1月期の13.88億円から着実に成長し、2019年1月期には63.51億円という高い水準を記録しました。その後は30億円〜50億円台で推移していますが、2024年1月期(56.83億円)以降は再び50億円台後半の安定した創出力を維持する見通しです。特筆すべきは、過去10年間一度も営業CFがマイナスに転じていない点であり、ITサービス事業におけるストック型ビジネスや堅実な案件管理が、安定した現金創出力に寄与していると推察されます。

投資キャッシュフロー・設備投資分析

投資CFは、2023年1月期(+19.31億円:有価証券の売却や回収等の特殊要因と推測)を除き、継続的にマイナスで推移しています。設備投資額は概ね2億円から9億円程度の範囲でコントロールされており、大規模な工場建設などを伴わないソフトウエア開発業らしい、軽量な資産背景(アセットライト)を維持しています。ただし、2025年1月期(-16.67億円)、2026年1月期(-21.84億円)と投資CFのマイナス幅が拡大傾向にある点は注目に値します。これは、次世代IT技術への投資や社内システムの刷新など、将来の競争力強化に向けた投資姿勢を強めている兆候と捉えることができます。

フリーキャッシュフロー分析

営業CFの範囲内に投資CFを収めているため、フリーCF(FCF)は常にプラスを維持しています。2019年1月期の52.67億円を筆頭に、直近の2024年1月期も49.35億円と、潤沢な現金を創出しています。2025年〜2026年1月期の予測値においても36億円台のプラスを見込んでおり、外部資金に頼ることなく自力で事業継続と投資、還元を行える「自己完結型」の成長モデルを確立しています。この豊富なFCFが、同社の高い経営の自由度と安定性の源泉となっています。

財務戦略・現金残高の評価

財務CFは一貫してマイナスが続いており、2023年1月期には-35.60億円、2025年1月期には-48.50億円という大きな支出が見られます。これは、潤沢なキャッシュを背景とした積極的な株主還元(配当増額や自社株買い)や、有利子負債の返済が進んでいることを示唆しています。一方で、手元の現金等残高は2017年1月期の100.44億円から、2024年1月期には267.15億円へと約2.6倍に膨らんでいます。直近の予測では250億円程度で推移する見込みですが、事業規模に対して手元流動性は非常に厚く、不況時への耐性が極めて高いと評価できます。

キャッシュフロー総合評価

株式会社シーイーシーのキャッシュフローは、非の打ち所がないほど強固な「優良安定型」です。本業での稼ぎ(営業CF)が安定しており、そこから設備投資を差し引いたフリーCFも常に巨額のプラスを維持しています。蓄積された250億円規模の現預金は、今後のM&A戦略やさらなる株主還元、あるいは急激な景気変動に対する強力なバッファーとなります。投資家にとっては、倒産リスクが極めて低く、かつ成長投資と還元の両立が期待できる財務体質といえます。今後は、この積み上がった余剰資金をいかに資本効率(ROE等)の向上に結びつけるか、同社の資本配分(キャピタル・アロケーション)の質が焦点となるでしょう。

DCF法による理論株価分析

DCF分析の前提条件

パラメータ 説明
WACC(割引率) 7.5% 加重平均資本コスト
FCF成長率 5.0% 予測期間中の年平均成長率
EV/FCF倍率 12.61倍 ターミナルバリュー算出用(現在の市場評価)
予測年数 5年 将来FCFの予測期間
発行済株式数 35,180,604株 理論株価算出の分母
現金及び現金同等物 252億 非事業資産として加算
有利子負債 0百万 企業価値から控除

将来フリーキャッシュフロー予測

予測年 予測FCF 現在価値(PV)
1年目 38億 36億
2年目 40億 35億
3年目 42億 34億
4年目 44億 33億
5年目 46億 32億
ターミナルバリュー 586億 408億
フリーキャッシュフロー推移(実績 + DCF予測)25億30億35億40億45億50億2224262028予2030予2031予FCF実績FCF予測

理論株価の算出プロセス

① 予測FCF現在価値の合計 170億
② ターミナルバリューの現在価値 408億
③ 事業価値(① + ②) 578億
④ 加算: 現金及び現金同等物 +252億
⑤ 控除: 有利子負債 -0百万
⑥ 株主価値(③ + ④ − ⑤) 830億
DCF理論株価
2,359円
現在の株価
2,021円
乖離率(割安)
+16.7%

感度分析(理論株価: 円)

WACC(横軸)とFCF成長率(縦軸)を変化させた場合の理論株価の変動を示します。

WACC →
FCF成長率 ↓
5.5%6.5%7.5%8.5%9.5%
0.0%2,1572,0992,0441,9921,942
2.5%2,3212,2562,1942,1362,080
5.0%2,5012,4282,3592,2932,231
7.5%2,6972,6162,5382,4652,396
10.0%2,9122,8212,7352,6532,576

※ 緑色: 現在株価(2,021円)より高い(割安方向) / 赤色: 低い(割高方向) / 青背景: 現在の前提条件

DCF分析の総合評価

株式会社シーイーシー(9692)のDCF分析に基づく理論株価は2,359円と算出されました。現在の市場価格2,021円に対し、+16.7%のプラス乖離となっており、バリュエーション面では「割安」な水準にあると評価されます。この乖離は、同社が保有する豊富なネットキャッシュ(現金等252億円、有利子負債ゼロ)と、今後5年間で想定される安定的なキャッシュ創出能力が、現在の株価に完全には織り込まれていない可能性を示唆しています。

フリーキャッシュフローの質

過去のFCF実績を振り返ると、2017年1月期の7.37億円から2024年1月期には49.35億円へと、長期的には力強い成長を遂げています。特に近年は40億円前後で安定しており、ITサービス業特有の低資産・高収益なビジネスモデルがキャッシュフローの質を下支えしています。予測期間の初年度FCFを3,823百万円(成長率5.0%の起点)と置いた設定は、直近数年の実績平均(約4,000百万円)と比較して概ね妥当であり、非現実的な急成長を前提としない堅実な予測に基づいていると言えます。

前提条件の妥当性

WACC(加重平均資本コスト)を7.5%に設定している点は、日本のITセクターにおける標準的なリスクプレミアムと、同社の無借金経営による財務安定性を鑑みると適切です。また、予測期間のFCF成長率5.0%は、国内のDX(デジタルトランスフォーメーション)需要の継続性を考慮すれば十分に達成可能な範囲ですが、成熟産業としての側面も持つため、保守的な投資家にとってはやや強気に見える可能性もあります。一方、出口マルチプル(EV/FCF倍率)の12.61倍は、現在の市場平均と比較して特段の過熱感はなく、妥当な設定と考えられます。

ターミナルバリューの影響

本分析において、ターミナルバリュー(TV)の現在価値は408億円であり、事業価値合計(578億円)の約70.6%を占めています。これは5年以降の将来価値が企業価値の多くを規定していることを意味します。TVへの依存度は一般的なDCF分析の範囲内(60〜80%)に収まってはいるものの、長期的な成長継続性や退出時の市場環境に対する感応度が高い構造であることには留意が必要です。

感度分析から読み取れること

本分析の理論株価における最も重要な変動要因は「WACC」と「成長率」のバランスです。仮にWACCが1%上昇(8.5%へ)した場合、あるいは成長率が想定を下回った場合、理論株価は容易に現在の株価(2,021円)付近まで下落する可能性があります。一方で、同社は252億円という多額の現預金を保有しており、これは株主価値(830億円)の約30%に相当します。この豊富な手元流動性が「安全余裕(Margin of Safety)」として機能しており、事業環境の多少の変化では理論株価が大きく崩れにくい構造を作り出しています。

投資判断への示唆

以上の分析から、株式会社シーイーシーは「安定的なキャッシュ創出能力」と「極めて健全な財務基盤(無借金)」を併せ持つ銘柄として、現在の株価は投資魅力がある水準と推察されます。特にネットキャッシュの豊富さは、今後の増配や自己株式取得といった株主還元、あるいはM&Aによる成長加速への余力を示しています。
ただし、DCF法はあくまで一定の仮定に基づくシミュレーションであり、将来の業績や市場環境を保証するものではありません。特にIT業界における技術革新や競争激化、マクロ経済の変化によるWACCの変動などのリスク要因については、投資家自身が継続的にモニタリングを行う必要があります。最終的な投資判断は、これらの定量的な分析に加え、同社の事業戦略や市場シェア等の定性的な要素も含めて総合的に判断されることを推奨します。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

売上高および利益の成長予測(CAGR約7-8%)を背景に、FCF成長率は保守的に5%と推定しました。WACCは、同社の実質無借金に近い財務構成とITセクターのベータ値を考慮し、株主資本コストをベースに7.5%に設定しています。永久成長率は日本経済の長期予測に基づき標準的な1%とし、発行済株式数は時価総額を株価で除して算出しました。有利子負債は、潤沢な現預金(約252億円)を保有するキャッシュリッチな財務状況から0円と推定しています。

⚠️ 免責事項: 本DCF分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 DCF法は前提条件(WACC、成長率等)に大きく依存するため、感度分析を参考に幅を持って評価してください。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

リバースDCF分析(市場の期待値)

市場が織り込んでいる成長期待

現在の株価(2,021円)を正当化するために必要なインプライドFCF成長率を逆算しました。

インプライドFCF成長率
-0.4%
市場が織り込む成長率
AI推定FCF成長率
5.0%
ファンダメンタル分析ベース
成長率ギャップ
-5.4%
悲観的

リバースDCF詳細

現在の株価2,021円
インプライドFCF成長率-0.39%
AI推定FCF成長率5.00%
成長率ギャップ-5.39%(悲観的)
インプライドWACC30.00%
AI推定WACC7.50%
📖 読み方:
  • インプライド成長率 > AI推定成長率 → 市場は楽観的。期待通りの成長が実現しなければ株価下落リスク
  • インプライド成長率 < AI推定成長率 → 市場は悲観的。実態より過小評価されている可能性
  • 両者がほぼ一致 → 市場の評価はファンダメンタルに整合的

市場の期待値の評価

株式会社シーイーシー(9692)の現在株価2,021円に基づくと、市場が織り込んでいるインプライドFCF(フリーキャッシュフロー)成長率は-0.39%となります。これは、市場が同社の将来的なキャッシュ創出力に対して「現状維持、あるいは微減」という極めて慎重、かつ悲観的な見通しを立てていることを示唆しています。AIが推定する成長率5.00%と比較すると、-5.39%という大きなマイナスの乖離(ギャップ)が生じており、現在の株価水準は企業の潜在的な成長力に対して極端に低い期待値に留まっていると評価できます。

インプライド成長率の実現可能性

市場が想定する「-0.39%」という成長率は、国内のDX(デジタルトランスフォーメーション)需要の底堅さを考慮すると、保守的すぎる可能性があります。同社は製造業向けの「スマートファクトリー」や独立系SIerとしての強みを活かしたITサービス、セキュリティソリューションを展開しており、これらの分野は中期的な成長が見込まれる領域です。AI推定の5.00%という成長率は、近年のITサービス業界の平均的な伸長率と整合性が高く、同社がこれまでの実績通りに事業を継続・拡大できるのであれば、インプライド成長率を上回る成果を出すハードルは決して高くはないと考えられます。ただし、人件費の高騰や優秀なエンジニア確保の競争激化といったコスト増要因が、利益成長の抑制要因として市場に警戒されている側面も否定できません。

投資判断への示唆

リバースDCF分析の結果、現在の株価2,021円は、将来の成長をほぼ織り込んでいない状態にあります。特に注目すべきは、インプライドWACCが30.00%と極めて高く算出されている点です。これは、市場が同社に対して過大なリスクプレミアムを要求しているか、あるいは単に株価がファンダメンタルズに対して著しく割安な状態に放置されている可能性を示唆しています。AI推定のWACCが7.50%であることを踏まえると、もし同社の資本コストが標準的な水準へと市場に再認識されれば、株価には大きな修正余地が生じることになります。市場の悲観的な評価が一時的なものか、あるいは投資家が認識していない固有のリスクがあるのかを見極める必要がありますが、数値上は「安全域(Margin of Safety)」が十分に確保された水準にあるとも解釈可能です。最終的な投資判断は、これらの成長性とリスクのバランスを考慮した上で、読者の皆様ご自身で慎重に行ってください。

拡張感応度分析・シナリオ分析

感度分析: WACC × FCF成長率(理論株価: 円)

金利上昇はWACCの増加、景気後退はFCF成長率の低下として理論株価に影響します。

WACC →
FCF成長率 ↓
5.5%6.5%7.5%8.5%9.5%
0.0%2,1572,0992,0441,9921,942
2.5%2,3212,2562,1942,1362,080
5.0%2,5012,4282,3592,2932,231
7.5%2,6972,6162,5382,4652,396
10.0%2,9122,8212,7352,6532,576

※ 緑色: 現在株価(2,021円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 現在の前提条件

シナリオ分析(楽観・基本・悲観)

金利環境・景気動向の変化に応じた3つのシナリオで理論株価を比較します。

楽観シナリオ
WACC: 6.0% / FCF成長率: 12.0%
永久成長率: 1.5%
3,047円
+50.8%
基本シナリオ
WACC: 7.5% / FCF成長率: 5.0%
永久成長率: 1.0%
2,359円
+16.7%
悲観シナリオ
WACC: 9.0% / FCF成長率: -2.0%
永久成長率: 0.5%
1,863円
-7.8%

シナリオ分析の総合評価

株式会社シーイーシー(9692)の現在株価2,021円に対し、基本シナリオにおける理論株価は2,359円と算出され、現状の株価は理論値から約16.7%乖離(割安)した水準にあります。楽観シナリオでは3,047円(+50.8%)、悲観シナリオでは1,863円(-7.8%)と、算出された理論株価のレンジは1,863円〜3,047円となります。現在の市場価格は、このレンジの中ではやや悲観寄りの位置にあり、基本シナリオが想定する成長性を完全には織り込んでいない状態と言えます。

金利変動の影響

WACC(加重平均資本コスト)の変動は、理論株価に対して顕著な影響を与えます。本分析ではWACCを6.0%から9.0%の範囲で設定していますが、基本シナリオ(7.5%)から悲観シナリオ(9.0%)へと1.5ポイント上昇する過程で、理論株価の下押し圧力として機能します。しかし、悲観シナリオにおいても現在株価からの下落率は-7.8%に留まっており、金利上昇リスクに対する耐性は比較的高く、資本コストの増大による急激な評価損の発生リスクは現時点では一定程度限定的であると評価されます。

景気変動の影響

FCF(フリーキャッシュフロー)成長率が理論株価に与える影響は非常に大きく、楽観シナリオ(12.0%)と悲観シナリオ(-2.0%)では株価に約1,184円の開きが生じます。景気後退によりFCF成長率がマイナス成長(-2.0%)に陥る場合、理論株価は1,863円まで低下しますが、これは現在株価を約8%下回る水準です。現在の市場価格は、年率5%程度の成長という基本前提と、マイナス成長という悲観前提の間に位置しており、将来の成長鈍化リスクを一定程度織り込んだ慎重な価格形成がなされていると推察されます。

投資判断への示唆

今回の分析結果から、現在株価2,021円は基本シナリオの理論株価(2,359円)に対して約14%の安全域(マージン・オブ・セーフティ)を確保していると見ることができます。また、最悪のケースを想定した悲観シナリオでの下値が1,863円(現値比-7.8%)であるのに対し、楽観シナリオでの上値が3,047円(現値比+50.8%)であることから、リスク・リワードの比率は上方に偏っています。投資家は、同社のDX需要の取り込み能力やマージンの維持可能性を精査しつつ、これらのシナリオが示す期待値と許容可能なリスクを照らし合わせることが重要です。

モンテカルロシミュレーション

シミュレーション結果サマリー

WACC・FCF成長率・永久成長率をそれぞれ正規分布でランダムに変動させ、100,000回のDCF計算を実行した結果です。DCF計算の非線形性(特にゴードン成長モデルの割引構造)により、理論株価の分布は対数正規分布に近い形状となるため、ヒストグラムは対数スケールで表示しています。

平均理論株価
2,679円
中央値
2,637円
90%レンジ(5-95%点)
2,123 〜 3,378円
割安確率
98.0%
理論株価 > 現在株価
モンテカルロシミュレーション:理論株価の確率分布(100,000回・対数スケール)0.0%1.2%2.3%3.5%4.6%5.8%2,023円2,186円2,362円2,552円2,757円2,979円3,219円3,478円シミュレーション分布現在株価

※ ヒストグラムは対数スケールで表示し、外れ値の影響を抑えるため分布の中央96%(2〜98パーセンタイル)を表示しています。対数スケールにより、DCF計算の非線形性に起因する右裾の歪みが補正され、分布の形状をより正確に把握できます。平均・中央値・パーセンタイルなどの統計値は元のスケールで有効サンプル全体から計算しています。

理論株価のパーセンタイル分布

シミュレーション結果を小さい順に並べたとき、各パーセンタイルにおける理論株価を示します。

パーセンタイル 5% 10% 25% 50% 75% 90% 95%
理論株価2,123円2,219円2,405円2,637円2,906円3,187円3,378円

※ 緑色: 現在株価(2,021円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 中央値(50%タイル)

リスク指標

理論株価の標準偏差 389円
5% VaR(下位5%タイル) 2,123円
変動係数(CV = σ / 平均) 14.5%
有効シミュレーション数 100,000 / 100,000

確率分布の解釈

今回のモンテカルロシミュレーション結果によると、株式会社シーイーシー(9692)の理論株価は、平均値2,679円、中央値2,637円となっています。平均値が中央値を上回る結果は、DCF法の特性上、成長率の上振れによる影響が理論株価を右側に引き伸ばす「対数正規分布」に近い形状を示していることを示唆しています。 理論株価の主要なボリュームゾーンを示す5パーセンタイル(2,123円)から95パーセンタイル(3,378円)の幅は約1,255円であり、将来のキャッシュフロー成長率(標準偏差3.50%)やWACCの不確実性が、理論株価の振れ幅として統計的に算出されています。

リスク評価

リスク管理上の指標である「5% VaR(バリュー・アット・リスク)」は2,123円となりました。これは、設定されたパラメータ(WACCや成長率)の不確実性を考慮した極めて悲観的なシナリオにおいても、95%の確率で理論株価が2,123円を上回ることを意味しています。 また、変動係数(CV)は約14.5%(標準偏差389円 ÷ 平均値2,679円)と算出され、パラメータの変動に対する理論株価の感応度は比較的安定的な範囲に収まっていると評価できます。ただし、95パーセンタイルが3,300円を超える一方で、5パーセンタイルが2,100円台であることから、高い成長期待が実現するか否かで評価が大きく分かれるリスク構造も併せ持っています。

現在株価の統計的位置づけ

現在の株価2,021円は、シミュレーションで得られた理論株価の分布において「5パーセンタイル(2,123円)」よりもさらに低い位置にあります。割安確率は98.0%と極めて高い数値を示しており、これは100,000回の試行のうち98,000回において、理論株価が現在株価を上回ったことを意味します。 統計的に見れば、現在の市場価格は今回のDCFモデルで想定した妥当なレンジの最下限を下回って推移しており、モデル上の前提条件(平均成長率5.0%等)が維持される限りにおいて、市場は過小評価の状態にある可能性が極めて高いと分析されます。

投資判断への示唆

以上の結果から、株式会社シーイーシーの現行株価には十分な「マージン・オブ・セーフティ(安全域)」が確保されていると考察されます。最も保守的なシナリオに近い5% VaR(2,123円)ですら現在株価(2,021円)を上回っている点は、下方硬直性を期待させるポジティブな要素です。 投資家は、この統計的な割安感が「市場の過誤」によるものか、あるいは「シミュレーションの前提(WACC 7.5%や成長率5.0%)に含まれない固有のリスク」によるものかを精査する必要があります。モデルの前提が妥当であると判断する場合、現在の株価水準は統計的な期待値に対して高い優位性を持つエントリーポイントであると考えられます。なお、実際の投資に際しては、最新の業績動向や市場環境の変化を十分に考慮し、自己責任にてご判断ください。

📖 モンテカルロシミュレーションの読み方:
  • 割安確率: シミュレーション結果のうち、理論株価が現在株価を上回った割合。50%超なら統計的に割安寄り
  • 90%レンジ(5-95%点): 全シミュレーション結果を並べたときの下位5%点から上位95%点までの範囲。幅が広いほど不確実性が高い
  • 5% VaR: 悲観的な条件下でも95%の確率でこの値以上になると期待される最低ライン
  • 変動係数: 平均に対する標準偏差の比率。30%超だとパラメータ感度が高い(結果の信頼性に注意)
⚠️ 免責事項: 本モンテカルロシミュレーションはAIが推定したパラメータの分布に基づく統計的な参考値であり、投資助言ではありません。 入力パラメータに正規分布を仮定し、DCF計算の非線形性により出力は対数正規分布に近い形状となります。パラメータ間の独立性の仮定など、実際の市場とは異なる前提を含んでいます。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

EPS/BPSベース理論株価分析

理論株価モデルの前提条件

パラメータ 説明
直近EPS 179.40円 1株あたり利益
直近BPS 1365.54円 1株あたり純資産
1株配当 80.00円 年間配当金
EPS成長率 4.5% 予測期間中の年平均
割引率 8.5% 将来EPSの割引率
想定PER 11.30倍 理論株価算出に使用

EPS/BPS予測と理論株価

年度 期首BPS EPS 配当 自己資本増加 期末BPS ROE(%) EPS成長率(%) PER(倍) PBR(倍) DCF 理論株価
2027年1月 1365.54 179.40 80.00 99.40 1464.94 13.14 0.00 11.30 1.38 179.40 2,027
2028年1月 1464.94 187.47 80.00 107.47 1572.41 12.80 4.50 11.30 1.35 172.79 2,118
2029年1月 1572.41 195.91 80.00 115.91 1688.32 12.46 4.50 11.30 1.31 166.42 2,214
2030年1月 1688.32 204.73 80.00 124.73 1813.05 12.13 4.50 11.30 1.28 160.28 2,313
2031年1月 1813.05 213.94 80.00 133.94 1946.99 11.80 4.50 11.30 1.24 154.37 2,417
ターミナル 1607.75
PER×EPS 理論株価
2,027円
+0.3%
DCF合計値
2,441.01円
+20.8%
現在の株価
2,021円

DCF内訳

予測期間EPS現在価値合計(5年分) 833.26円
ターミナルバリュー現在価値 1607.75円(全体の65.9%)
DCF合計理論株価 2,441.01円

EPS/BPSモデルの総合評価

株式会社シーイーシー(9692)の現在の株価2,021円に対し、本モデルが算出するPER×EPS理論株価(2027年1月期予測)は2,027円となりました。これは、足元のバリュエーションが市場の期待値とほぼ一致していることを示唆しています。一方で、将来の利益成長とキャッシュフローを割り引いたDCF合計理論株価は2,441.01円となり、現在株価と比較して+20.8%の乖離(割安)が認められます。短期的には市場平均並みの評価に留まっているものの、5年先までの利益成長と資産蓄積を考慮した長期的な時間軸では、上値余地が存在する可能性を示しています。

ROE推移の見通し

本モデルでは、2027年1月期のROE 13.14%から、2031年1月期には11.80%へと緩やかに低下する推移を予測しています。これは、1株当たり純資産(BPS)が1365.54円から1946.99円へと拡大する一方で、利益(EPS)の成長率(年4.5%)がBPSの蓄積ペースを下回る計算に基づくものです。配当支払額を80円に固定しているため、利益剰余金の積み上がりが資本効率を押し下げる要因となります。ただし、2桁水準のROE(11.8%以上)を維持できている点は、同社の収益性の高さを示しており、PBRが1.38倍から1.24倍へ低下してもなお、解散価値を大きく上回る評価を維持する根拠となります。

前提条件の妥当性

本モデルの前提条件について、EPS成長率4.5%は、同社の属する情報サービス業界の安定的な需要背景を考慮すると、保守的かつ現実的な設定と言えます。割引率8.5%は、資本コストとしての妥当性を備えており、想定PER 11.30倍についても、過去のヒストリカルPERやSIerセクターの平均的な水準と比較して過度な期待を含まない慎重な数値が採用されています。これらの控えめな前提条件下で、DCF理論株価が現在株価を20%以上上回っている事実は、本モデルにおける評価の信頼性を高める要素となります。

投資判断への示唆

本モデルの結果から、現在の株価2,021円は、直近の利益水準に対しては「適正価格(フル・バリュエーション)」であるものの、中長期的な収益力と資産成長を勘案すると「過小評価」されている可能性が浮上しています。特に、DCFモデルによる乖離率+20.8%は、投資家にとって一定の安全余裕(マージン・オブ・セーフティ)と捉えることができます。今後の注目点としては、予測されるROEの低下を抑制するための、増配や自己株式取得といった株主還元施策の強化、あるいは想定成長率4.5%を超える利益成長の加速が挙げられます。これらの変化が顕在化した場合、理論株価のさらなる押し上げ要因となり得るでしょう。最終的な投資判断に際しては、同社の事業戦略や業界動向、マクロ経済環境の変化を十分に精査されることを推奨いたします。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

過去のEPSは2025年にかけて一時的に低下したものの、直近予想の179.40円への急回復を踏まえると、2023年比のCAGRは約4.2%となります。ITサービス業界のDX需要の底堅さを考慮し、今後5年間は4.5%の持続的な成長を想定しました。割引率は、中型ITセクターの標準的な資本コストに、現在のPER11.3倍から示唆される益利回りとの整合性を加味し、8.5%と推定しました。

⚠️ 免責事項: 本理論株価分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 EPS成長率・割引率・PER等の前提条件により結果は大きく変動します。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

EPS成長率0%が続く場合の理論株価

将来のEPS成長率を0%(横ばい)と仮定した場合の試算です。本編のベースシナリオとは前提が異なります。

理論株価モデルの前提条件

パラメータ 説明
直近EPS 179.40円 1株あたり利益
直近BPS 1365.54円 1株あたり純資産
1株配当 80.00円 年間配当金
EPS成長率 0.0% 予測期間中の年平均
割引率 8.5% 将来EPSの割引率
想定PER 11.30倍 理論株価算出に使用

EPS/BPS予測と理論株価

年度 期首BPS EPS 配当 自己資本増加 期末BPS ROE(%) EPS成長率(%) PER(倍) PBR(倍) DCF 理論株価
2027年1月 1365.54 179.40 80.00 99.40 1464.94 13.14 0.00 11.30 1.38 179.40 2,027
2028年1月 1464.94 179.40 80.00 99.40 1564.34 12.25 0.00 11.30 1.30 165.35 2,027
2029年1月 1564.34 179.40 80.00 99.40 1663.74 11.47 0.00 11.30 1.22 152.39 2,027
2030年1月 1663.74 179.40 80.00 99.40 1763.14 10.78 0.00 11.30 1.15 140.45 2,027
2031年1月 1763.14 179.40 80.00 99.40 1862.54 10.18 0.00 11.30 1.09 129.45 2,027
ターミナル 1348.19
PER×EPS 理論株価
2,027円
+0.3%
DCF合計値
2,115.23円
+4.7%
現在の株価
2,021円

DCF内訳

予測期間EPS現在価値合計(5年分) 767.04円
ターミナルバリュー現在価値 1348.19円(全体の63.7%)
DCF合計理論株価 2,115.23円

0%成長シナリオの意味

本シナリオは、株式会社シーイーシーが今後一切の利益成長を実現できず、EPS(1株当たり利益)が179.40円で恒久的に横ばい推移するという極めて保守的な前提に基づいています。この「ゼロ成長」を仮定した場合の理論株価(DCF合計)は2,115円となり、現在の市場価格(2,021円)を約4.7%上回る計算結果となりました。

この結果が示唆するのは、現在の株価水準が「将来の成長をほとんど織り込んでいない」、あるいは「現状の利益水準が維持されるだけで妥当な水準に達している」という投資判断の視点です。利益成長が停止した状態でも理論価値が現在株価をわずかに上回ることは、下方硬直性を支える一定の根拠となり得ます。また、配当(80.00円)が維持される前提であれば、配当利回り面での下支えも期待される構造です。

ベースシナリオとの対比

本編のベースシナリオ(成長率:約4.5%)と、本IFシナリオ(成長率:0%)を比較すると、バリュエーションにおける「成長のプレミアム」が浮き彫りになります。ベースシナリオにおいては、成長期待が理論株価をさらに押し上げる要因となりますが、本シナリオではその期待を全て排除しています。

数値の差が示す重要なポイントは、ROE(自己資本利益率)の推移です。EPSが固定される一方で、配当後の残余利益が純資産(BPS)に蓄積されるため、分母が拡大し、ROEは2027年1月期の13.14%から2031年1月期には10.18%へと逓減するモデルとなっています。これは、成長投資機会を見出せず利益を積み上げ続けた場合の資本効率の低下を表現しており、企業が持続的な株価評価を得るためには、単なる利益維持だけでなく、資本効率の維持・向上が不可欠であることを示唆しています。

留意点

本シミュレーションは特定の前提条件に基づいた試算であり、将来の株価推移を保証するものではありません。以下の点に留意が必要です。

  • PERの固定化: モデル上、想定PERを11.30倍と固定していますが、実際には成長率が低下(またはゼロと認識)された場合、市場が許容するPER自体が低下する「マルチプル・コントラクション」が起きるリスクがあります。
  • 配当政策の変化: EPSが成長しない中でBPSが積み上がる場合、ROE維持のために増配や自己株式取得などの資本政策が変更される可能性がありますが、本モデルでは配当額を一定として計算しています。
  • 外部環境の変動: 割引率(8.5%)や市場環境の変化により、理論株価の算出結果は大きく変動します。

以上の通り、本分析は現状の利益水準の持続性を評価するための参照情報であり、実際の投資に際しては、同社の事業競争力や業界動向を含めた総合的な判断が求められます。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

過去のEPSは2025年にかけて一時的に低下したものの、直近予想の179.40円への急回復を踏まえると、2023年比のCAGRは約4.2%となります。ITサービス業界のDX需要の底堅さを考慮し、今後5年間は4.5%の持続的な成長を想定しました。割引率は、中型ITセクターの標準的な資本コストに、現在のPER11.3倍から示唆される益利回りとの整合性を加味し、8.5%と推定しました。

⚠️ 免責事項: 本理論株価分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 EPS成長率・割引率・PER等の前提条件により結果は大きく変動します。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

拡張感度分析: WACC × FCF成長率(理論株価: 円)

WACC(加重平均資本コスト)は、株主資本コストと負債コストを資本構成比率で加重平均した「企業の資金調達コスト」です。WACCが高いほど将来キャッシュフローの現在価値は低くなり、理論株価は下がります。FCF成長率は、営業キャッシュフローから設備投資を差し引いた「企業が自由に使えるキャッシュ(フリーキャッシュフロー)」が年率何%で伸びるかの想定値です。

基準のWACC(7.5%)とFCF成長率(5.0%)から±100bpの範囲で、1%刻みの理論株価をシミュレーションします。

📊 巨大感度分析テーブルを計算中...

拡張感度分析: 割引率 × EPS成長率(理論株価: 円)

割引率は、将来の利益やキャッシュフローを現在価値に換算するための率で、投資家が求めるリターン(期待収益率)に相当します。割引率が高いほど将来利益の現在価値は低くなり、理論株価は下がります。EPS成長率は、1株当たり利益(EPS: Earnings Per Share)が年率何%で伸びるかの想定値です。

基準の割引率(8.5%)とEPS成長率(4.5%)から±100bpの範囲で、1%刻みの理論株価をシミュレーションします。

📊 巨大感度分析テーブルを計算中...

拡張感度分析: PER × EPS(理論株価: 円)

PER(株価収益率)は、株価が1株あたり利益(EPS)の何倍で評価されているかを示す指標です。PERが高いほど市場がその企業の将来成長に高い期待を持っていることを意味します。EPS(1株あたり利益)は、企業の純利益を発行済株式数で割った値で、1株あたりの収益力を表します。

基準のPER(11.3倍)とEPS(179円)から、PERは1倍刻み(±100倍)・EPSは1%刻み(±100%)の理論株価をシミュレーションします。

📊 巨大感度分析テーブルを計算中...

拡張感度分析: PBR × BPS(理論株価: 円)

PBR(株価純資産倍率)は、株価が1株あたり純資産(BPS)の何倍で評価されているかを示す指標です。PBRが1倍を下回ると、株価が解散価値を下回っていることを意味し、割安と判断される場合があります。BPS(1株あたり純資産)は、企業の純資産を発行済株式数で割った値で、1株あたりの解散価値を表します。

基準のPBR(1.5倍)とBPS(1366円)から、PBRは0.1倍刻み(±10.0倍)・BPSは1%刻み(±100%)の理論株価をシミュレーションします。

📊 巨大感度分析テーブルを計算中...

残留利益モデル分析(Residual Income Model)

残留利益モデル(Residual Income Model)

残留利益モデルは、現在のBPS(1株純資産)に将来の「超過利益」の現在価値を加算して理論株価を算出します。 株主資本コストを上回るROEを持続できる企業ほど、BPSに大きなプレミアムが付きます。

理論株価 = BPS₀ + Σ[(ROEₜ − r) × BPSₜ₋₁ / (1+r)ᵗ] + TV/(1+r)ⁿ

前提条件

パラメータ 説明
直近BPS 1365.54円 1株あたり純資産(出発点)
直近EPS 179.40円 1株あたり利益
株主資本コスト (r) 8.5% 株主の要求収益率(エクイティチャージの基準)
EPS成長率 4.5% 予測期間中の年平均
1株配当 80.00円 年間配当金(BPS蓄積に影響)
予測年数 5年 個別予測期間

残留利益の年次予測

年度 期首BPS EPS ROE(%) エクイティチャージ 残留利益 PV(残留利益) 期末BPS
2027年1月 1365.54 179.40 13.14 116.07 63.33 58.37 1464.94
2028年1月 1464.94 187.47 12.80 124.52 62.95 53.48 1572.41
2029年1月 1572.41 195.91 12.46 133.66 62.25 48.74 1688.32
2030年1月 1688.32 204.73 12.13 143.51 61.22 44.17 1813.05
2031年1月 1813.05 213.94 11.80 154.11 59.83 39.79 1946.99
ターミナル 残留利益の永続価値: 703.88円 → PV: 468.11円 468.11
理論株価の構成
現在BPS
1,365.54円
簿価部分
+
残留利益PV合計
244.55円
超過利益の現在価値
+
ターミナルPV
468.11円
永続価値の現在価値
=
RIM理論株価
2,078円
+2.8%
現在の株価: 2,021円
残留利益モデル:ROEとエクイティチャージの推移8.0%9.0%10.0%11.0%12.0%13.0%14.0%2728293031ROE(%)株主資本コスト(8.5%)
残留利益と現在価値の推移35円40円45円50円55円60円65円2728293031残留利益(円)PV(残留利益)(円)
📖 残留利益モデルの読み方:
  • 残留利益 > 0(ROE > 株主資本コスト)→ 企業はBPS以上の価値を創出。理論株価 > BPS となりプレミアム付与
  • 残留利益 < 0(ROE < 株主資本コスト)→ 資本効率が不十分。理論株価 < BPS となりディスカウント
  • DCF法との違い: RIMはBPS(純資産)を出発点とするため、資産ベースの評価に強く、安定企業・金融機関の評価に適しています

残留利益の評価

株式会社シーイーシー(9692)の残留利益モデル(RIM)における評価の核心は、ROE(自己資本利益率)と株主資本コスト(8.5%)の正の乖離(スプレッド)にあります。予測期間中、ROEは2027年1月期の13.14%から2031年1月期の11.80%へと緩やかな低下が予想されているものの、一貫して株主資本コストである8.5%を上回る水準を維持しています。このスプレッドがプラスであることは、企業が株主の期待収益を上回る利益を創出し、経済的付加価値を生み出し続けていることを意味します。残留利益(RI)は、初年度の63.33円から最終年度の59.83円まで堅実に推移しており、同社の事業構造が安定的に資本効率を維持できる特性を持っていることを示唆しています。

BPSプレミアム/ディスカウントの解釈

本モデルによる理論株価2,078円は、現状のBPS(1,365.54円)に対して約712.46円のプレミアムが付与された形となっています。これは実績純資産に加え、将来創出される残留利益の現在価値(PV合計244.55円)およびターミナルバリュー(PV 468.11円)が評価の約34%を占めていることを示します。ROEが資本コストを上回り続けるという前提に基づき、PBR(株価純資産倍率)換算で約1.52倍の評価が妥当であると算出されました。このプレミアムは、同社のITサービス事業等における競争優位性や、資本を効率的に活用して利益を積み上げる能力が、市場から「資産価値以上の価値」として認められるべきであることを裏付けています。

他の評価手法との比較

RIMは会計上の利益(BPS・ROE)を基礎とするため、将来のフリーキャッシュフローに依存するDCF法と比較して、価値の源泉が現在の純資産に裏打ちされているという安定性があります。今回の試算では、EPS成長率を4.5%と堅実に見積もっています。PER(株価収益率)の観点で見ると、理論株価2,078円は2027年1月期の予想EPS(179.40円)に対して約11.58倍となり、一般的なITセクターの平均水準と比較しても過度な割高感はありません。DCF法ではキャッシュフローの変動により理論株価が大きく振れる可能性がありますが、RIMによる今回の結果は、着実な内部留保の積み上げと資本効率の維持を重視する投資家にとって、整合性の高い基準値を提供していると言えます。

投資判断への示唆

算出された理論株価2,078円に対し、現在株価は2,021円となっており、乖離率は+2.8%と極めて小さなプラス圏にあります。これは、現在の市場価格が本モデルで設定した成長シナリオ(EPS成長率4.5%)や資本コスト(8.5%)といったファンダメンタルズを、概ね適正に織り込んでいる状態(フェアバリューに近い状態)であることを示唆しています。投資家は、今後のROEが想定通り8.5%を上回り続けるか、あるいはDX需要の拡大等によりEPS成長率が4.5%を上回るポジティブ・サプライズがあるかどうかに着目することが肝要です。現在の価格水準は、過度な割安感こそないものの、同社の着実な価値創造力を前提とすれば、理論的な裏付けのある水準と言えるでしょう。

⚠️ 注意: 残留利益モデルの結果は、EPS成長率・株主資本コスト・BPSの前提条件に大きく依存します。 また、会計基準の違い(日本基準/IFRS)によりBPSの定義が異なる場合があります。投資判断の際は他の手法と合わせてご検討ください。

リバースDCF分析(EPSベース・市場の期待値)

市場が織り込んでいる成長期待

現在の株価(2,021円)を正当化するために必要なインプライドEPS成長率を逆算しました。

インプライドEPS成長率
-1.4%
市場が織り込む成長率
AI推定EPS成長率
4.5%
ファンダメンタル分析ベース
成長率ギャップ
-5.9%
悲観的

リバースDCF詳細

現在の株価2,021円
インプライドEPS成長率-1.41%
AI推定EPS成長率4.50%
成長率ギャップ-5.91%(悲観的)
インプライド割引率50.00%
AI推定割引率8.50%
📖 読み方:
  • インプライド成長率 > AI推定成長率 → 市場は楽観的。期待通りの成長が実現しなければ株価下落リスク
  • インプライド成長率 < AI推定成長率 → 市場は悲観的。実態より過小評価されている可能性
  • 両者がほぼ一致 → 市場の評価はファンダメンタルに整合的

市場の期待値の評価

株式会社シーイーシー(9692)の現在の株価2,021円から算出されたインプライドEPS成長率は-1.41%となっており、市場は同社に対して極めて「悲観的」な評価を下していることがわかります。これは、市場が今後、同社の利益水準が年率でわずかに減少していくというシナリオを現在の価格に織り込んでいることを意味します。特に注目すべきは、インプライド割引率が50.00%という非常に高い数値を示している点です。これは、将来の収益に対する不確実性が極めて高く見積もられているか、あるいは現在の株価が理論的な適正水準に対して大幅に低く放置されている可能性を示唆しています。

インプライド成長率の実現可能性

AI推定によるEPS成長率が4.50%であるのに対し、市場が織り込んでいる成長率は-1.41%であり、そこには-5.91%という大きな成長率ギャップが存在します。日本国内において製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)やスマートファクトリー化への需要は堅調であり、独立系システムインテグレーターとして実績を持つ同社の事業環境を考慮すると、マイナス成長という市場の期待値は保守的すぎるとの見方も可能です。AIの推定通り4.50%の成長が実現する場合、現在の株価は実力値を大幅に下回っている状態と言えますが、この乖離を埋めるためには、市場の不信感やリスク評価(高い割引率)を払拭するような明確な成長の証左が必要となります。

投資判断への示唆

リバースDCF分析の結果は、現在の株価が「将来の利益成長を全く期待していない」レベルにあることを浮き彫りにしています。投資家にとっての検討ポイントは、この「市場の悲観」と「事業の実態」のどちらが真実に近いかという点に集約されます。もし同社がAI推定に近い4.50%程度の安定した成長を継続できると判断するのであれば、現在の株価は割安なエントリーポイントとなる可能性があります。一方で、インプライド割引率の高さが示すように、マクロ経済の動向や競合環境の激化など、市場が懸念している潜在的なリスク要因が将来の利益を圧迫する可能性も否定できません。最終的な投資判断にあたっては、同社の受注動向やエンジニアの確保状況、そして次期中期経営計画などの定性的な情報も併せて検討することが肝要です。

感応度分析・シナリオ分析

感度分析: 割引率 × EPS成長率(理論株価: 円)

金利上昇は割引率の増加、景気後退はEPS成長率の低下として理論株価に影響します。

割引率 →
EPS成長率 ↓
6.5%7.5%8.5%9.5%10.5%
-0.5%2,2372,1572,0812,0101,941
2.0%2,4262,3382,2552,1762,101
4.5%2,6282,5322,4412,3542,272
7.0%2,8452,7402,6402,5452,455
9.5%3,0762,9612,8522,7482,650

※ 緑色: 現在株価(2,021円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 現在の前提条件

シナリオ分析(楽観・基本・悲観)

金利環境・景気動向の変化に応じた3つのシナリオで理論株価を比較します。

楽観シナリオ
割引率: 7.0% / EPS成長率: 9.5%
3,018円
+49.3%
基本シナリオ
割引率: 8.5% / EPS成長率: 4.5%
2,441円
+20.8%
悲観シナリオ
割引率: 10.0% / EPS成長率: 0.5%
2,039円
+0.9%

シナリオ分析の総合評価

株式会社シーイーシー(9692)の理論株価は、基本シナリオにおいて2,441円と算出され、現在株価(2,021円)に対して20.8%の上方乖離を示しています。分析のレンジは、悲観シナリオの2,039円から楽観シナリオの3,018円となっており、特筆すべきは現在株価が悲観シナリオ(+0.9%)の極めて近い水準に位置している点です。これは、現在の市場価格が「成長率の著しい鈍化」や「資本コストの上昇」といったリスクを相当程度織り込んでいる可能性を示唆しており、基本シナリオに基づけば、中長期的な視点での割安感が意識される水準にあると評価できます。

金利変動の影響

割引率(資本コスト)の変化は、理論株価に強力な感応度を持っています。基本シナリオの8.5%から楽観シナリオの7.0%へ1.5ポイント低下した場合、EPS成長率の改善と相まって株価を約30%(2,441円→3,018円)押し上げる要因となります。一方で、悲観シナリオのように割引率が10.0%まで上昇すると、将来キャッシュフローの現在価値が割り引かれ、株価の下押し圧力となります。ITサービス業である同社にとって、市場全体の金利動向やリスクプレミアムの変動は、理論株価の妥当性を左右する重要な外部要因であることを考慮する必要があります。

景気変動の影響

EPS成長率の変動は、企業の収益力と将来性を反映する指標であり、本分析においても大きな影響を与えています。基本シナリオでは4.5%の成長を前提としていますが、これがDX(デジタルトランスフォーメーション)需要の拡大等により9.5%(楽観)まで加速した場合、理論株価は3,000円の大台に乗る計算となります。逆に、景気後退や競争激化により成長率が0.5%(悲観)まで停滞した場合でも、理論株価は2,039円と算出され、現在の株価水準を下支えする形となっています。このことから、同社の現株価は、低成長下においても一定の価値を維持するディフェンシブな側面と、成長加速時の高い上昇余地を併せ持っていると分析されます。

投資判断への示唆

本シナリオ分析の結果、現在株価2,021円は、本分析における「悲観シナリオ」とほぼ同等の水準であることが示されました。投資家としては、現在の株価を「将来の不透明感を十分に織り込んだ安全域(マージン・オブ・セーフティ)のある水準」と捉えるか、あるいは「市場が悲観シナリオに相当するリスクを正当に評価している」と捉えるかが判断の分かれ目となります。今後の注視すべきポイントは、同社が基本シナリオの前提となるEPS成長率4.5%を安定的に維持できるか、また、資本効率の向上を通じて割引率を低減させ、株主価値を高められるかという点に集約されます。最終的な投資判断に際しては、同社の経営戦略の進捗や業界環境の変化を慎重に見極めることが求められます。

限界利益分析(CVP分析)

高低点法による費用構造の推定

売上高が最大の年度と最小の年度を比較し、総費用(売上高−営業利益)の変化から変動費率と固定費を推定します。

推定変動費率
81.6%
売上高に対する変動費の割合
推定限界利益率
18.4%
1 − 変動費率
推定固定費
4,773
百万円
基準: 2026年 1月期 連結(売上高 65,882 百万円)と 2017年 1月期 連結(売上高 43,976 百万円)の比較

年度別 限界利益指標

年度 売上高 限界利益 限界利益率 損益分岐点 安全余裕率 経営レバレッジ
17年 1月期 43,976 8,084 18.4% 25,965 41.0% 2.44倍
18年 1月期 46,000 8,456 18.4% 25,965 43.5% 2.35倍
18年 1月期 45,995 8,455 18.4% 25,965 43.5% 2.26倍
19年 1月期 49,200 9,044 18.4% 25,965 47.2% 1.92倍
19年 1月期 49,811 9,157 18.4% 25,965 47.9% 1.86倍
20年 1月期 52,000 9,559 18.4% 25,965 50.1% 1.66倍
20年 1月期 51,869 9,535 18.4% 25,965 49.9% 1.61倍
21年 1月期 50,000 9,192 18.4% 25,965 48.1% 1.77倍
21年 1月期 48,003 8,824 18.4% 25,965 45.9% 1.75倍
22年 1月期 45,500 8,364 18.4% 25,965 42.9% 2.07倍
22年 1月期 45,221 8,313 18.4% 25,965 42.6% 1.98倍
23年 1月期 48,000 8,824 18.4% 25,965 45.9% 1.96倍
23年 1月期 48,000 8,824 18.4% 25,965 45.9% 1.96倍
23年 1月期 48,206 8,862 18.4% 25,965 46.1% 2.03倍
24年 1月期 52,000 9,559 18.4% 25,965 50.1% 1.57倍
24年 1月期 53,000 9,743 18.4% 25,965 51.0% 1.57倍
24年 1月期 53,124 9,766 18.4% 25,965 51.1% 1.54倍
25年 1月期 56,500 10,386 18.4% 25,965 54.0% 1.65倍
25年 1月期 56,208 10,333 18.4% 25,965 53.8% 1.54倍
26年 1月期 62,000 11,398 18.4% 25,965 58.1% 1.65倍
26年 1月期 65,882 12,111 18.4% 25,965 60.6% 1.65倍
26年 1月期 65,882 12,111 18.4% 25,965 60.6% 1.65倍
売上高と損益分岐点売上高の推移2億3億4億5億6億7億1719202223242526売上高(百万円)損益分岐点(百万円)
安全余裕率と経営レバレッジの推移0.010.020.030.040.050.060.070.01719202223242526安全余裕率(%)経営レバレッジ(倍)
直近年度の損益分岐点分析(2026年 1月期 連結)
売上高
65,882
百万円
損益分岐点
25,965
百万円
安全余裕率
60.6%
十分な安全余裕
経営レバレッジ
1.65倍
低い経営リスク

費用構造の評価

株式会社シーイーシーの費用構造を分析すると、推定変動費率が81.6%、推定固定費が4,773百万円という結果が得られました。限界利益率は18.4%となっており、事業構造としては「変動費型」の特性が強いと言えます。これは、ITサービス業において外注費や労務費が売上高に連動する割合が高いことを示唆しています。一方で、固定費が約47億円という水準で安定的に推移していると仮定した場合、売上規模の拡大がそのまま利益の積み上げに直結しやすい構造となっています。2017年1月期の売上高(43,976百万円)から2026年1月期の予測値(65,882百万円)へと規模が拡大する中で、固定費の比重が相対的に低下し、利益を生み出しやすい体質へと進化していることが伺えます。

損益分岐点と安全余裕率

本分析における損益分岐点売上高は25,965百万円と推定されます。これに対し、近年の売上高は45,000百万円〜53,000百万円台で推移しており、さらに2026年1月期には65,882百万円を見込むなど、損益分岐点を大幅に上回る水準を維持しています。特筆すべきは「安全余裕率」の推移です。2017年1月期の41.0%から着実に上昇し、2026年1月期の予測では60.6%に達する見通しです。一般に安全余裕率は30%以上が優良水準とされますが、同社はその倍近い数値を記録しており、景気後退や受注減などによって売上高が大幅に減少したとしても、赤字に転落しにくい極めて高い収益の安定性を備えていると評価できます。

経営レバレッジとリスク

経営レバレッジは、2017年1月期の2.44倍から、直近および将来予測では1.5倍〜1.6倍程度へと低下傾向にあります。経営レバレッジの低下は、売上の増減が営業利益に与えるインパクトが相対的に小さくなったことを意味します。かつては売上の伸びに対して利益が飛躍的に増幅される構造でしたが、現在は事業規模の拡大に伴い、利益成長の振れ幅が安定化する成熟期特有の挙動を示しています。これは爆発的な利益成長の期待が落ち着く一方で、業績予測の確実性が高まり、ダウンサイドリスク(下方への振れ幅)も抑制されている状態と言えます。投資家にとっては、ハイリスク・ハイリターンな局面から、持続的かつ安定的な成長フェーズへと移行していると捉えることができます。

投資判断への示唆

限界利益分析の結果から、株式会社シーイーシーは強固な損益分岐点構造と、極めて高い安全余裕率を誇る企業であることが示されました。2026年1月期に向けた増収計画が実現する場合、限界利益率18.4%を維持しつつ、安全余裕率が60%を超えるという、財務上の盤石さはさらに強まる見込みです。変動費率が高いビジネスモデルであるため、利益率の急激な向上には売上構成のシフト(高付加価値化)が必要となりますが、現在の堅実な固定費管理と売上成長の継続は、長期的なキャッシュフローの安定に寄与するポジティブな材料です。これらの数値が示す収益の持続性と、IT投資環境の変化に伴う売上高の成長性をどのように評価するかが、投資判断の鍵となります。なお、本分析は高低点法による推定値に基づいているため、実際の費用分解とは異なる可能性がある点に留意が必要です。

⚠️ 注意: 本分析は高低点法による推定値です。実際の変動費・固定費は有価証券報告書の費用明細と異なる場合があります。 費用構造が大きく変化した期間を含む場合、推定精度が低下する可能性があります。投資判断の際は他の指標と合わせてご確認ください。

デュポン分析(ROE分解)

ROEの3要素分解(デュポン分析)

ROE = 純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ に分解し、収益性の源泉を可視化します。

年度 純利益率(%) × 総資産回転率(回) × 財務レバレッジ(倍) = ROE(%)
17年 1月期 5.94 × 1.329 × 1.37 = 0.11
18年 1月期 5.33 × 1.276 × 1.38 = 0.09
19年 1月期 6.50 × 1.257 × 1.38 = 0.11
20年 1月期 7.69 × 1.257 × 1.34 = 0.13
21年 1月期 8.40 × 1.142 × 1.31 = 0.13
22年 1月期 5.60 × 1.008 × 1.29 = 0.07
23年 1月期 6.88 × 1.036 × 1.25 = 0.09
24年 1月期 8.08 × 1.012 × 1.28 = 0.11
25年 1月期 6.55 × 1.073 × 1.34 = 0.09
26年 1月期 8.06 × 0.997 × 1.53 = 0.12
デュポン分析:ROEの3要素推移0.0%2.0%4.0%6.0%8.0%10.0%171921232526純利益率(%)ROE(%)
総資産回転率と財務レバレッジの推移0.901.001.101.201.301.401.501.60171921232526総資産回転率(回)財務レバレッジ(倍)
直近年度のROE構成(2026年 1月期 連結)
純利益率
8.06%
収益性
×
総資産回転率
0.997回
効率性
×
財務レバレッジ
1.53倍
借入で資本効率を53%ブースト
=
ROE
0.12%
株主資本利益率
📊 ROE変動の主因: 直近の変動は主に「純利益率」の変化によるものです。本業の収益力の変化がROEに直結しています。

ROEの質の評価

株式会社シーイーシーのROE(自己資本利益率)は、過去10年間において7%から13%の範囲で推移しており、日本企業の平均水準(約8〜10%)と比較して底堅い水準を維持しています。特筆すべきは、ROE変動の主因が「純利益率」にある点です。2021年1月期に純利益率が8.40%に達した際にはROEも13%と高水準を記録し、利益率が5.60%に落ち込んだ2022年1月期にはROEも7%へと連動して低下しています。財務レバレッジに過度に依存せず、本業の収益性(マージン)がROEを牽引していることから、収益構造の質は比較的高いと評価できます。

財務レバレッジの影響

財務レバレッジは2017年1月期の1.37倍から2023年1月期の1.25倍まで緩やかな低下傾向にあり、自己資本比率の高さ(財務の健全性)を背景とした保守的な経営姿勢が伺えます。しかし、2026年1月期の予想値では1.53倍へと上昇に転じる見込みです。これは、株主還元策の強化や成長投資に向けた資金調達など、財務戦略に変化が生じている可能性を示唆しています。現時点でのレバレッジ水準は依然として低く、過剰な借入によるリスクは限定的であり、むしろROE向上のために資本効率を改善する余地を活かし始めた段階と捉えられます。

トレンド分析

3要素の経年推移を分析すると、明確な構造変化が見て取れます。まず、総資産回転率の継続的な低下(2017年1月期の1.329回から2026年1月期予想の0.997回)が懸念材料です。これは売上高の伸びに対して資産規模(現預金や投資資産等を含む)が膨らんでいることを示しており、資産効率の低下を意味します。一方で、純利益率は2022年1月期のボトム(5.60%)から2026年1月期予想(8.06%)へと回復基調にあります。効率性の低下を収益性の向上と財務戦略(レバレッジの上昇)で補い、ROE 12%水準を目指す構図となっています。

投資判断への示唆

デュポン分析から導き出される同社の姿は、「資産効率の課題を抱えつつも、高い収益性と新たな財務戦略でROEを維持・向上させようとしている企業」です。 投資家としては、以下の2点に注目する必要があります。

  1. 純利益率の持続性: 利益率が再び8%台に乗る予想となっていますが、高付加価値案件の受注やコスト管理が計画通りに進むか。
  2. 資産効率の改善: 低下傾向にある総資産回転率に対し、手元資金の有効活用(配当・自社株買いや設備投資)がどの程度進展するか。
収益性の改善と財務レバレッジの活用が組み合わさることで、ROEの二桁台定着が期待されますが、資産効率の低下がその足を引っ張るリスクも内在しています。これらのバランスをどう評価するかが、投資判断の鍵となります。

⚠️ 注意: デュポン分析の数値はIRBankから取得した財務データに基づいています。 会計基準(日本基準/IFRS)の違いにより、株主資本の定義が異なる場合があります。

借金が利益に与える影響分析

有利子負債の概要

項目 説明
有利子負債 4億 銀行借入・社債等の利息付き負債
推定金利 1.50% 営業利益と経常利益の差から推定
推定支払利息 6百万 有利子負債 × 推定金利
利息 / 純利益 比率 0.1% 純利益に対する利息負担の大きさ
推定実効税率 28.2% 1 − (純利益 / 経常利益) から推定

「もし借金がなかったら」年度別シミュレーション

有利子負債による支払利息を除外した場合の仮想利益を試算しています。

年度 有利子負債 推定利息 経常利益
実績
経常利益
借金なし
純利益
実績
純利益
借金なし
ROE
実績
ROE
借金なし
レバレッジ
効果
2017/01 5億 7百万 34億 34億 26億 26億 10.82% 10.64% +0.18%pt
2018/01 4億 7百万 37億 37億 25億 25億 9.40% 9.26% +0.14%pt
2019/01 4億 6百万 48億 48億 32億 32億 11.28% 11.13% +0.15%pt
2020/01 4億 6百万 58億 58億 40億 40億 13.00% 12.84% +0.16%pt
2021/01 4億 6百万 53億 53億 42億 42億 12.55% 12.42% +0.14%pt
2022/01 4億 6百万 41億 41億 26億 26億 7.27% 7.20% +0.07%pt
2023/01 4億 6百万 45億 45億 33億 33億 8.94% 8.86% +0.08%pt
2024/01 4億 5百万 61億 61億 42億 42億 10.50% 10.42% +0.09%pt
2025/01 4億 5百万 63億 63億 37億 37億 9.44% 9.36% +0.08%pt
2026/01 4億 6百万 70億 70億 50億 50億 12.34% 12.24% +0.10%pt
純利益推移: 実績 vs 借金なしシミュレーション20億25億30億35億40億45億50億55億2017/012019/012021/012023/012025/012026/01実績純利益借金なし純利益ROE推移: 実績 vs 借金なしシミュレーション7.0%8.0%9.0%10.0%11.0%12.0%13.0%2017/012019/012021/012023/012025/012026/01実績ROE借金なしROE
レバレッジ効果の評価(直近年度)
借金の影響は限定的
実績ROE
12.34%
借金なしROE
12.24%
レバレッジ効果
+0.10%pt

有利子負債の水準が小さい、または事業利益率と借入金利がほぼ均衡しています。

レバレッジ効果の評価

財務レバレッジによるROE(自己資本利益率)の底上げ効果は、直近で+0.10%pt、過去10年間においても+0.07%ptから+0.18%ptの範囲内に収まっています。これは、負債を活用して自己資本以上のリターンを生み出す「レバレッジ効果」が、理論上はプラスであるものの、経営への寄与度は非常に小さいことを示しています。同社のROEは実績ベースで9%〜13%前後と、日本企業の平均を上回る水準を維持していますが、これは負債による財務操作の結果ではなく、本業の収益力の高さに起因するものです。財務の健全性は極めて高い一方で、資本を効率的に活用してリターンを最大化させる余地を大きく残した「低レバレッジ経営」が定着しています。

財務戦略の考察

同社の推定借入金利は1.50%であり、それに対してROE(実績)が12.34%(2026年1月予測)であることから、借入コストを大きく上回る資本効率を実現しています。ITサービス業という業態柄、製造業のような大規模な設備投資を必要としないため、現在の4億円という有利子負債は、実質的に「無借金経営」に近い非常に保守的な水準です。同業他社と比較しても、この極めて低い負債比率は財務的な安定性を象徴していますが、一方で投資家の視点からは、潤沢な手元資金や資金調達余力をいかに成長投資(M&Aや新規事業開発)や株主還元に振り向けていくかが、今後の資本効率向上の鍵となります。

投資家へのポイント

本分析から、投資判断における注目ポイントを以下の通り整理します。

  • 金利上昇リスクの低さ: 有利子負債が極めて少ないため、将来的な金利上昇局面においても、利払い負担が増加して業績を圧迫するリスクは無視できる水準です。
  • 高い財務健全性: 利益規模に対して負債が極少であり、強固なバランスシートを有しています。不況下での耐性は非常に高いと評価できます。
  • 資本効率改善への期待: 現在の低レバレッジ状態は安全性の証ですが、今後は蓄積された内部留保をどのように活用するかが焦点です。積極的な投資による成長加速、あるいは配当・自社株買いによる株主還元の強化が、ROEをさらに引き上げる要因となり得ます。
総じて、財務面での懸念材料は少なく、投資家は同社の事業成長性(DX需要の取り込みやサービス領域の拡大)といった「攻め」の側面に注目して判断を行うフェーズにあると言えます。

⚠️ 注意事項: 本分析は営業利益と経常利益の差額から支払利息を推定しており、実際の支払利息とは異なる場合があります。 営業外収支には受取利息・配当金・為替差損益等も含まれるため、あくまで参考値としてご活用ください。 また、借金を全額返済した場合の実際の影響は資金調達構造の変化を伴うため、単純なシミュレーションとは異なります。

ROIC分析(投下資本利益率)

ROIC(投下資本利益率)推移

ROIC = NOPAT(税引後営業利益)÷ 投下資本(株主資本+有利子負債)。資本コスト(WACC)を上回れば価値を創造していると評価できます。

年度 NOPAT(百万円) 投下資本(百万円) ROIC(%) WACC(%) スプレッド(%pt)
17年 1月期 2,529 24,609 10.28 6.88 +3.39
18年 1月期 2,410 26,501 9.09 6.89 +2.20
19年 1月期 3,166 28,794 11.00 6.91 +4.09
20年 1月期 3,966 31,197 12.71 6.92 +5.80
21年 1月期 4,121 33,861 12.17 6.93 +5.24
22年 1月期 2,519 35,486 7.10 6.93 +0.17
23年 1月期 3,271 37,297 8.77 6.94 +1.83
24年 1月期 4,179 40,360 10.36 6.94 +3.41
25年 1月期 3,688 39,548 9.33 6.94 +2.38
26年 1月期 4,957 40,898 12.12 6.94 +5.18
ROIC vs WACC推移6.0%7.0%8.0%9.0%10.0%11.0%12.0%13.0%171921232526ROIC(%)WACC(%)
直近年度のROIC評価(2026年 1月期 連結)
ROIC
12.12%
投下資本利益率
WACC
6.94%
加重平均資本コスト
=
スプレッド
+5.18%pt
高い価値創造力

ROIC水準の評価

株式会社シーイーシーのROIC(投下資本利益率)は、過去10年間を通じて概ね7%〜12%台の範囲で推移しており、総じて資本効率の高い経営が維持されています。特に2020年1月期の12.71%から2021年1月期の12.17%にかけては非常に高い水準にありましたが、2022年1月期には一時的に7.10%まで低下しました。しかし、その後は明確な回復基調にあり、2026年1月期の予測では12.12%と、再び過去最高水準に近い効率性を取り戻す見通しです。ITサービス業界の平均的なROICが8%前後であることを考慮すると、同社は業界標準を上回る資本効率を実現しており、投下した資本に対して着実に利益を創出できる体質であると評価できます。

ROIC-WACCスプレッド分析

価値創造の指標となるROIC-WACCスプレッド(ROICと資本コストの差)を見ると、分析対象期間の全年度においてプラス(正)を維持しており、一貫して企業価値を創造し続けていることが分かります。特筆すべきは、WACC(加重平均資本コスト)が6.9%前後で極めて安定している点です。これにより、スプレッドの変動は主に事業の収益性(NOPAT)と資本の厚みに依存しています。2022年1月期はスプレッドが+0.17ptまで縮小し、価値創造力が一時的に鈍化しましたが、直近の2024年1月期には+3.41ptまで回復し、2026年1月期には+5.18ptに達する予測となっています。投下資本が2017年1月期の約246億円から2026年1月期の約409億円へと拡大する中で、ROICを維持・向上させている点は、規模の拡大と効率性を両立させているポジティブなサインと言えます。

投資家へのポイント

本分析から導き出される投資判断のポイントは、以下の3点に集約されます。第一に「資本効率の回復弾力性」です。2022年1月期の落ち込みから、中期的なトレンドとしてROICが右肩上がりで回復している点は、同社の事業構造改革や高付加価値化が奏功している可能性を示唆しています。第二に「安定した価値創造」です。WACCを一度も下回ることなくスプレッドを維持している実績は、経営陣の資本コストに対する意識の高さの表れと捉えることができます。第三に「今後の利益成長の確度」です。2026年1月期の予測値(ROIC 12.12%、NOPAT 4,957百万円)は過去最高水準を目指す意欲的な計画であり、この目標達成に向けた進捗状況が今後の株価形成における重要な焦点となるでしょう。投資家の皆様におかれましては、拡大する投下資本に見合う利益成長が持続するかどうかを、今後の四半期決算等を通じて注視されることを推奨いたします。

⚠️ 注意: WACCは簡易推定値です(株主資本コスト7%想定、負債コストは推定支払利息から算出)。 実際のWACCはCAPMや市場データに基づくより精緻な計算が必要です。

ROIC逆ツリー分析

ROIC逆ツリー分解

ROIC = NOPATマージン × 投下資本回転率 に分解し、収益性の改善ドライバーを特定します。

年度 売上高(百万円) NOPATマージン(%) × 投下資本回転率(回) = ROIC(%)
17年 1月期 43,976 5.75 × 1.787 = 10.28
18年 1月期 46,000 5.24 × 1.736 = 9.09
19年 1月期 49,200 6.44 × 1.709 = 11.00
20年 1月期 52,000 7.63 × 1.667 = 12.71
21年 1月期 50,000 8.24 × 1.477 = 12.17
22年 1月期 45,500 5.54 × 1.282 = 7.10
23年 1月期 48,000 6.81 × 1.287 = 8.77
24年 1月期 52,000 8.04 × 1.288 = 10.36
25年 1月期 56,500 6.53 × 1.429 = 9.33
26年 1月期 62,000 7.99 × 1.516 = 12.12
ROIC逆ツリー: NOPATマージンと投下資本回転率0.002.004.006.008.0010.00171921232526NOPATマージン(%)投下資本回転率(回)
ROIC逆ツリー分解(2026年 1月期 連結)
NOPATマージン
7.99%
NOPAT 4,957百万円 ÷ 売上 62,000百万円
×
投下資本回転率
1.516回
売上 62,000百万円 ÷ IC 40,898百万円
=
ROIC
12.12%
📊 ROIC変動の主因: 直近の変動は主に「NOPATマージン」の変化によるものです。本業の収益力の変化がROICに直結しています。

ROIC変動要因の分解

株式会社シーイーシー(9692)の過去10期におけるROIC(投下資本利益率)の推移を分析すると、その変動は主にNOPATマージン(収益性)の増減に起因していることが見て取れます。

同社のROICは、2020年1月期の12.71%をピークに、2022年1月期には7.10%まで低下しました。この期間、投下資本回転率も1.667回から1.282回へと低下していますが、より顕著なのはNOPATマージンが7.63%から5.54%へと大きく下落した点です。その後、2024年1月期にはNOPATマージンが8.04%まで回復したことで、ROICも10.36%と二桁台に回帰しています。

直近の予測データ(2025年1月期〜2026年1月期)に注目すると、2025年1月期は一時的にROICが9.33%に低下するものの、2026年1月期には12.12%まで再浮上する計画となっています。これは、NOPATマージンを7.99%と高い水準で維持しつつ、投下資本回転率を1.516回まで改善させるという、収益性と効率性の「両輪での改善」を前提とした推移と言えます。

改善ドライバーの特定

今後のROIC向上のための最大のドライバーは、引き続き「NOPATマージンの安定的な維持」「投下資本回転率の反転」の両立にあります。

  • マージンの質的向上: 同社はマージンがROICの主因となっており、高付加価値なシステムインテグレーションや独自サービスの提供、不採算案件の徹底管理が利益率を下支えしています。2026年1月期に向けたマージン目標(7.99%)の達成は、ROIC 12%台回復への必須条件となります。
  • 資産効率の改善: 投下資本回転率は2017年1月期の1.787回から長らく低下傾向にありましたが、2024年1月期の1.288回を底に回復の兆しを見せています。不要資産の圧縮や売上債権の回収効率向上、あるいは投下資本を上回るペースでの売上成長を実現できるかが、効率性改善の鍵を握ります。

投資家へのポイント

シーイーシーの経営管理は、ROICを意識した効率的な事業運営へとシフトしている様子が伺えます。投資家としては、以下の3点に注目することが重要です。

  1. 回復の持続性: 2022年1月期を底としたROICの回復基調が、一時的な利益率改善によるものか、あるいはビジネスモデルの変革を伴う構造的なものかを見極める必要があります。
  2. 資本効率への意識: 2025年以降の予測値に見られる「投下資本回転率の上昇(1.429回→1.516回)」は、過去数年のトレンドを打ち破る意欲的な目標です。これが、適切な設備投資・人的資本投資を維持しながら達成可能かどうかが焦点となります。
  3. 目標達成の蓋然性: 2026年1月期のROIC予測(12.12%)は、過去最高水準(2020年1月期)に迫る数値です。ITサービス市場の需要環境と、同社のコスト競争力のバランスをどう評価するかが、投資判断の分かれ目となるでしょう。

※本分析は提供されたデータに基づいたものであり、将来の運用成果を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断で行われますようお願いいたします。

EVA(経済的付加価値)分析

EVA(経済的付加価値)推移

EVA = (ROIC − WACC) × 投下資本。資本コストを超えるリターンを生み出し、株主価値を真に創造しているかを測定する指標です。

年度 NOPAT(百万円) 資本コスト(百万円) EVA(百万円) ROIC(%) WACC(%)
17年 1月期 2,529 1,693 835 10.28 6.88
18年 1月期 2,410 1,826 583 9.09 6.89
19年 1月期 3,166 1,990 1,178 11.00 6.91
20年 1月期 3,966 2,159 1,808 12.71 6.92
21年 1月期 4,121 2,347 1,776 12.17 6.93
22年 1月期 2,519 2,459 60 7.10 6.93
23年 1月期 3,271 2,588 684 8.77 6.94
24年 1月期 4,179 2,801 1,377 10.36 6.94
25年 1月期 3,688 2,745 942 9.33 6.94
26年 1月期 4,957 2,838 2,117 12.12 6.94
EVA(経済的付加価値)推移01.0千2.0千3.0千4.0千5.0千171921232526EVA(百万円)NOPAT(百万円)
EVA評価サマリー
直近EVA
2,117
百万円(2026年 1月期 連結)
累積EVA
11,360
百万円(10年間合計)
価値創造評価
高い価値創造力

EVAの推移と評価

株式会社シーイーシーのEVA(経済的付加価値)は、2017年1月期から2026年1月期(予想含む)までの全期間においてプラスを維持しており、株主資本コストを上回る真の利益を創出し続けています。特に2020年1月期にはEVA 1,808百万円(ROIC 12.71%)と高い水準を記録しました。2022年1月期にはROICが7.10%まで低下し、EVAは60百万円と損益分岐点付近まで圧縮されましたが、これは資本コスト(WACC 6.93%)を割り込むことなく踏みとどまった点が評価されます。その後、2024年1月期にはEVA 1,377百万円まで回復しており、会計上の営業利益の増減以上に、資本効率の改善がEVAの押し上げに寄与していることが伺えます。

価値創造力の持続性

同社の価値創造力は、中長期的には非常に強固であると評価できます。特筆すべきはWACC(加重平均資本コスト)の安定性です。分析期間を通じて6.88%から6.94%の範囲で極めて安定的に推移しており、資本市場からの信頼と安定した財務構造が推察されます。一方、ROIC(投下資本利益率)は7%台から12%台の間で変動していますが、直近の2024年1月期(10.36%)から2026年1月期予想(12.12%)にかけての上昇トレンドは、同社の事業構造改革や高付加価値案件へのシフトが奏功している可能性を示唆しています。累積EVAが11,360百万円に達していることは、一過性ではない持続的な価値創造の証左といえるでしょう。

投資家へのポイント

投資判断における注目点は、拡大傾向にある「ROICとWACCの差(スプレッド)」です。2026年1月期にはROICが12.12%まで高まる見通しであり、WACC 6.94%との差である約5%強のプラス幅は、ITサービス業の中でも良好な資本効率を示しています。今後、投下資本の拡大(事業投資)が伴いながらこのスプレッドを維持・拡大できれば、さらなる企業価値の向上が期待されます。ただし、2022年1月期のように外部環境や投資フェーズによってROICが資本コスト付近まで低下する局面もあるため、今後の成長投資がどの程度のスピードでNOPAT(税引後営業利益)の増加に結びつくかを注視することが肝要です。

⚠️ 注意: EVAは簡易推定値です。WACCは株主資本コスト7%想定に基づく簡易計算であり、 正確なEVA算出にはβ値やリスクフリーレートの精緻な設定が必要です。

営業レバレッジ分析

営業レバレッジ度(DOL)推移

DOL = 営業利益変化率 ÷ 売上高変化率。売上が1%変化したとき営業利益が何%変化するかを示し、固定費比率の高さ(経営リスク)を表します。

平均DOL
2.49倍
有効年度の平均
リスク評価
中程度
DOL≤2: 低 / 2-5: 中 / 5+: 高
年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 営業利益率(%) 売上変化率(%) 営業利益変化率(%) DOL(倍)
17年 1月期 43,976 3,311 7.53 - - -
18年 1月期 46,000 3,600 7.83 4.60 8.73 1.90
18年 1月期 45,995 3,749 8.15 -0.01 4.14 -
19年 1月期 49,200 4,700 9.55 6.97 25.37 3.64
19年 1月期 49,811 4,931 9.90 1.24 4.91 3.96
20年 1月期 52,000 5,750 11.06 4.39 16.61 3.78
20年 1月期 51,869 5,934 11.44 -0.25 3.20 -
21年 1月期 50,000 5,200 10.40 -3.60 -12.37 3.43
21年 1月期 48,003 5,049 10.52 -3.99 -2.90 0.73
22年 1月期 45,500 4,050 8.90 -5.21 -19.79 3.79
22年 1月期 45,221 4,207 9.30 -0.61 3.88 -6.32
23年 1月期 48,000 4,500 9.38 6.15 6.96 1.13
23年 1月期 48,000 4,500 9.38 0.00 0.00 -
23年 1月期 48,206 4,374 9.07 0.43 -2.80 -
24年 1月期 52,000 6,070 11.67 7.87 38.77 4.93
24年 1月期 53,000 6,220 11.74 1.92 2.47 1.29
24年 1月期 53,124 6,362 11.98 0.23 2.28 -
25年 1月期 56,500 6,280 11.12 6.35 -1.29 -0.20
25年 1月期 56,208 6,696 11.91 -0.52 6.62 -12.82
26年 1月期 62,000 6,900 11.13 10.30 3.05 0.30
26年 1月期 65,882 7,338 11.14 6.26 6.35 1.01
26年 1月期 65,882 7,338 11.14 0.00 0.00 -
営業レバレッジ度(DOL)と営業利益率の推移-15.0-10.0-5.00.05.010.015.017192022232425260DOL(倍)営業利益率(%)

費用構造の特徴

株式会社シーイーシーの平均DOL(営業レバレッジ度)は2.49倍となっており、分析指標においては「中程度」のリスク水準に分類されます。これは、同社の費用構造が極端な固定費型でも変動費型でもなく、バランスの取れた構造であることを示唆しています。ITサービス業という業種特性上、エンジニアの人件費や外部委託費が主なコストとなりますが、これらが売上高の増減にある程度連動する変動費的な側面を持ちつつ、一方で自社拠点の維持費や管理部門等の固定費が一定の比率を占めていることが推察されます。2024年1月期のDOLが4.93倍と一時的に高まった時期もありますが、概ね2〜3倍台で推移しており、収益基盤の安定性と成長時の効率性を併せ持った構造と言えます。

景気変動への感応度

DOLの推移を見ると、売上高の変動が営業利益に与える影響(ボラティリティ)が明確に表れています。特に2024年1月期においては、売上高が前年比7.87%増加したのに対し、営業利益は38.77%と大幅な増益を記録しました。これは営業レバレッジが機能し、増収分が効率的に利益に転換された好例です。一方で、2021年1月期のように売上高が3.60%減少した際に、営業利益が12.37%減少するといった、減収時の利益押し下げ圧力も確認されます。近年の営業利益率は、2017年1月期の7.53%から2024年1月期には11.98%まで向上傾向にあり、高付加価値化やコスト管理の徹底により、景気変動に対する耐性を高めつつある状況が伺えます。

投資家へのポイント

投資判断における注目点は、同社の「増収時の利益拡大の加速力」と「減収時の利益減少リスク」の表裏一体性にあります。平均DOL 2.49倍という数値は、売上が1%変動した際に利益が約2.5%変動することを意味します。現在、2026年1月期に向けて売上高600億円超、営業利益率11%台を維持する強気な計画が示されていますが、この売上目標が達成される局面では、営業レバレッジの恩恵により利益が一段と伸長する可能性があります。しかし、DX需要の減退やプロジェクトの遅延等で売上が停滞した場合、固定費負担が重石となり利益率を圧迫するリスクも内包しています。中程度のレバレッジ水準を、成長局面での追い風と捉えるか、あるいは業績不振時の下方リスクと捉えるかは、投資家の皆様の各々のリスク許容度と市場見通しに委ねられます。

⚠️ 注意: 営業レバレッジ度は前年比の変化率から算出しており、売上や利益が急変する年度では極端な値になることがあります。 複数年の平均値での評価を推奨します。

持続的成長率分析(SGR)

持続的成長率(SGR)推移

SGR = ROE × 内部留保率。外部からの資金調達なしで持続可能な売上成長率を示します。実際の成長率と比較することで、成長の持続可能性を評価します。

年度 ROE(%) 配当性向(%) 内部留保率(%) SGR(%) 実際成長率(%)
17年 1月期 10.82 推定30% 70.0 7.57 -
18年 1月期 9.40 推定30% 70.0 6.58 4.60
19年 1月期 11.28 推定30% 70.0 7.90 6.96
20年 1月期 13.00 推定30% 70.0 9.10 5.69
21年 1月期 12.55 推定30% 70.0 8.79 -3.85
22年 1月期 7.27 推定30% 70.0 5.09 -9.00
23年 1月期 8.94 29.6 70.4 6.29 5.49
24年 1月期 10.50 40.7 59.3 6.23 8.33
25年 1月期 9.44 44.9 55.1 5.20 8.65
26年 1月期 12.34 42.3 57.8 7.12 9.73
持続的成長率(SGR)vs 実際の売上成長率-10.0%-5.0%0.0%5.0%10.0%1719212325260SGR(%)実際成長率(%)
ROEと配当性向の推移0.0%10.0%20.0%30.0%40.0%50.0%171921232526ROE(%)配当性向(%)
持続的成長率の評価(2026年 1月期 連結)
ROE
12.34%
×
内部留保率
57.8%
=
SGR
7.12%
📊 成長持続性の評価: 実際の成長率がSGRをやや上回っており、持続性に注意が必要

SGR水準の評価

株式会社シーイーシーの持続的成長率(SGR)は、2017年1月期から2021年1月期にかけて概ね7%〜9%台と高い水準で推移してきましたが、2022年1月期にはROEの低下に伴い5.09%まで落ち込みました。近年の動向で特筆すべきは、2024年1月期以降の配当政策の変化です。従来30%程度であった配当性向が40%台へと引き上げられたことにより、内部留保率が低下(約70%から50%台後半へ)しています。この結果、ROEが2026年1月期予測で12.34%と過去最高水準まで回復する見込みである一方、SGRは7.12%に抑制される形となっています。現在のSGR水準は、株主還元と成長投資のバランスを再配分した結果であると分析できます。

成長の持続可能性

直近の業績推移を確認すると、2024年1月期(実績8.33%)から2026年1月期(予測9.73%)にかけて、実際の売上成長率がSGR(5.20%〜7.12%)を継続的に上回る見通しとなっています。SGRを上回る成長は、短期的には市場シェアの拡大や積極的な事業展開を示すポジティブな兆候ですが、財務面では「外部資金への依存」または「手元流動性の減少」を示唆します。2026年1月期の予測値において、実際の成長率(9.73%)とSGR(7.12%)の乖離は約2.6ポイントとなっており、現在の高成長を維持するためには、更なるROEの向上(資産効率の改善)か、あるいは適切な財務レバレッジの活用が求められるフェーズに差し掛かっていると考えられます。

投資家へのポイント

本分析を踏まえた投資判断の焦点は、同社が「高まった配当性向を維持しながら、如何にして成長資金を捻出するか」という点に集約されます。現在の成長ペース(約9%)は、内部資金のみで賄える範囲(約7%)を超えており、これは同社が蓄積されたキャッシュを活用してアクセルを踏んでいる状態、あるいはDX需要の追い風を背景に資本効率を上回るスピードで拡大している状態といえます。ROEが12%台へと向上している点は評価材料ですが、今後もSGRを上回る成長が続く場合、増資や借入増による財務構成の変化、もしくは配当政策の再調整が行われる可能性に留意が必要です。持続可能な成長と株主還元のバランスが、投資家の期待するリターンと整合しているかを見極めることが肝要です。

⚠️ 注意: 配当データが取得できない年度は内部留保率70%(配当性向30%)を仮定しています。 実際の配当政策と異なる場合があります。

インタレストカバレッジレシオ推移

インタレストカバレッジレシオ推移

ICR = 営業利益 ÷ 支払利息。営業利益で利息の何倍を賄えるかを示す、借入金利負担の安全性指標です。

直近ICR
∞(利息負担なし)
>10: 極めて安全 / 3-10: 安全 / 1-3: 要注意 / <1: 危険
安全性評価
極めて安全
年度 営業利益(百万円) 推定支払利息(百万円) ICR(倍) 有利子負債(百万円) 有利子負債比率(%) 推定借入金利(%)
17年 1月期 3,311 - 459 1.4 -
18年 1月期 3,600 - 445 1.2 -
19年 1月期 4,700 - 432 1.1 -
20年 1月期 5,750 - 418 1.0 -
21年 1月期 5,200 - 405 0.9 -
22年 1月期 4,050 - 391 0.9 -
23年 1月期 4,500 - 377 0.8 -
24年 1月期 6,070 - 363 0.7 -
25年 1月期 6,280 - 350 0.7 -
26年 1月期 6,900 - 367 0.6 -

利払い安全性の評価

株式会社シーイーシーのインタレストカバレッジレシオ(ICR)は、分析期間である2017年1月期から2026年1月期(予想)に至るまで、一貫して「∞(無限大)」という極めて異例かつ強固な水準を維持しています。これは推定支払利息が営業利益に対して無視できるほど小さく、実質的に無借金経営に近い状態であることを示しています。営業利益ベースでも、2017年1月期の3,311百万円から2026年1月期には6,900百万円へと、10年間で約2倍以上の成長が見込まれており、本業での稼ぐ力が向上する中で、利払い負担が一切経営の重荷になっていない状況が鮮明です。

有利子負債の状況

有利子負債の状況を見ると、2017年1月期時点の459百万円(有利子負債比率1.4%)から着実に減少を続け、2025年1月期から2026年1月期にかけては350百万円〜367百万円程度、比率は0.6%〜0.7%という極めて低い水準で推移する見通しです。一般的にITサービス業は設備投資負担が比較的軽い業態ですが、同社はその中でも特に自己資本を中心とした財務構成を徹底しており、金利上昇局面においても支払利息の増加が利益を圧迫するリスクは極めて限定的であると評価できます。負債の管理状況は極めて保守的かつ健全です。

投資家へのポイント

財務の安全性という観点において、同社は文句なしの「極めて安全」な水準にあります。倒産リスクや利払いによるキャッシュフローの圧迫を懸念する必要はほとんどありません。今後の投資判断における焦点は、この極めて強固な財務基盤と積み上がったキャッシュを、いかに「資本効率(ROE)の向上」や「成長投資(M&Aや新規事業)」、あるいは「株主還元」に振り向けていくかという点に移ります。潤沢な余力を成長の加速に活用できるフェーズにあるのか、あるいは保守的な財務規律を優先するのか、同社の中期経営計画や資金使途に関するアナウンスメントが、今後の株価形成における重要な示唆を与えることになるでしょう。

⚠️ 注意: 支払利息は「営業利益−経常利益」から推定しています。 営業外収益が大きい企業では過小評価になる可能性があります。正確な支払利息は有価証券報告書の注記をご確認ください。

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データソース

この記事はEDINETから取得した決算報告書をAIが分析して生成しています。

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