8142株式会社トーホー

トーホー(8142) 理論株価分析:業務用卸の雄が挑む「SHIFT-UP 2027」と過去最高益の行方 カチノメ

決算発表日: 2026-04-272026年1月期 通期
総合業績スコア
65/100
中立

セクション別スコア

業績成長性75収益性50財務健全性55株主還元70成長戦略75理論株価評価65
業績成長性75
収益性50
財務健全性55
株主還元70
成長戦略75
理論株価評価65

※ 本記事は後半になるにつれて、内容が専門的になるように構成しています。

決算履歴(業績推移)

売上高推移(百万円)1,800億2,000億2,200億2,400億2,600億2,800億2017年 2018年 2019年 2021年 2022年 2023年 2023年 2024年 2025年 '27/1売上高利益推移(営業利益・経常利益・当期純利益)-50億0百万50億100億2017年 2018年 2019年 2021年 2022年 2023年 2023年 2024年 2025年 '27/10営業利益経常利益純利益利益率推移(%)-3.0%-2.0%-1.0%0.0%1.0%2.0%3.0%4.0%2017年 2018年 2019年 2021年 2022年 2023年 2023年 2024年 2025年 '27/10営業利益率経常利益率純利益率
年度 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 包括利益
2017年 1月期 連結 213,000 2,900 2,900 1,300 -
2017年 1月期 連結 209,834 2,877 2,894 1,208 1,432
2018年 1月期 連結 208,500 2,400 2,400 1,100 -
2018年 1月期 連結 207,000 1,800 1,700 450 -
2018年 1月期 連結 207,631 1,838 1,749 458 938
2019年 1月期 連結 220,000 1,800 1,740 900 -
2019年 1月期 連結 217,666 1,637 1,753 849 -258
2020年 1月期 連結 230,000 1,400 1,450 550 -
2020年 1月期 連結 231,266 1,433 1,518 474 533
2021年 1月期 連結 185,000 -3,900 -2,900 -4,100 -
2021年 1月期 連結 186,000 -3,200 -2,100 -3,600 -
2021年 1月期 連結 186,217 -3,141 -2,063 -3,591 -4,128
2022年 1月期 連結 190,000 -500 100 0 -
2022年 1月期 連結 188,000 -450 150 300 -
2022年 1月期 連結 188,567 -446 178 335 1,196
2023年 1月期 連結 201,000 1,200 1,350 400 -
2023年 1月期 連結 207,000 2,100 2,300 900 -
2023年 1月期 連結 212,000 2,900 3,100 1,400 -
2023年 1月期 連結 215,572 3,649 3,877 1,006 2,686
2024年 1月期 連結 223,000 4,500 4,600 2,200 -
2024年 1月期 連結 239,000 6,500 6,500 2,900 -
2024年 1月期 連結 247,000 7,800 7,900 3,250 -
2024年 1月期 連結 244,930 7,819 7,971 3,605 5,504
2025年 1月期 連結 246,000 7,300 7,500 4,400 -
2025年 1月期 連結 246,465 7,496 7,693 4,485 4,773
2026年 1月期 連結 260,000 7,900 8,000 4,700 -
2026年 1月期 連結 259,747 7,853 7,928 4,576 5,628
★2027年1月期(予想) 274,000 8,200 8,300 4,800

※単位: 百万円

利益率推移

営業利益率 = 営業利益÷売上高×100 / 経常利益率 = 経常利益÷売上高×100 / 純利益率 = 当期純利益÷売上高×100

年度 売上高 (百万円) 営業利益率 (%) 経常利益率 (%) 純利益率 (%)
2017年 1月期 連結 213,000 1.36% 1.36% 0.61%
2017年 1月期 連結 209,834 1.37% 1.38% 0.58%
2018年 1月期 連結 208,500 1.15% 1.15% 0.53%
2018年 1月期 連結 207,000 0.87% 0.82% 0.22%
2018年 1月期 連結 207,631 0.89% 0.84% 0.22%
2019年 1月期 連結 220,000 0.82% 0.79% 0.41%
2019年 1月期 連結 217,666 0.75% 0.81% 0.39%
2020年 1月期 連結 230,000 0.61% 0.63% 0.24%
2020年 1月期 連結 231,266 0.62% 0.66% 0.20%
2021年 1月期 連結 185,000 -2.11% -1.57% -2.22%
2021年 1月期 連結 186,000 -1.72% -1.13% -1.94%
2021年 1月期 連結 186,217 -1.69% -1.11% -1.93%
2022年 1月期 連結 190,000 -0.26% 0.05% 0.00%
2022年 1月期 連結 188,000 -0.24% 0.08% 0.16%
2022年 1月期 連結 188,567 -0.24% 0.09% 0.18%
2023年 1月期 連結 201,000 0.60% 0.67% 0.20%
2023年 1月期 連結 207,000 1.01% 1.11% 0.43%
2023年 1月期 連結 212,000 1.37% 1.46% 0.66%
2023年 1月期 連結 215,572 1.69% 1.80% 0.47%
2024年 1月期 連結 223,000 2.02% 2.06% 0.99%
2024年 1月期 連結 239,000 2.72% 2.72% 1.21%
2024年 1月期 連結 247,000 3.16% 3.20% 1.32%
2024年 1月期 連結 244,930 3.19% 3.25% 1.47%
2025年 1月期 連結 246,000 2.97% 3.05% 1.79%
2025年 1月期 連結 246,465 3.04% 3.12% 1.82%
2026年 1月期 連結 260,000 3.04% 3.08% 1.81%
2026年 1月期 連結 259,747 3.02% 3.05% 1.76%
★2027年1月期(予想) 274,000 2.99% 3.03% 1.75%

※営業利益率 = 営業利益÷売上高×100、経常利益率 = 経常利益÷売上高×100、純利益率 = 当期純利益÷売上高×100

決算サマリー

株式会社トーホーの2026年1月期(第73期)連結決算は、売上高259,747百万円(前年同期比5.4%増)、営業利益7,853百万円(同4.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,576百万円(同2.0%増)となりました。不採算であった食品スーパー事業からの完全撤退と、主力の業務用食品卸売事業への経営資源集中が奏功し、営業利益および当期純利益において過去最高益を更新しました。

注目ポイント

事業ポートフォリオの最適化

前期までに連結子会社であった株式会社トーホーストアの解散および食品スーパー事業からの撤退を完了しました。これにより、経営資源を収益性の高い業務用卸売および関連ソリューション事業へ集中させる体制が整いました。不採算部門の切り離しによる利益率の底上げが期待されます。

「SHIFT-UP 2027」の進展

中期経営計画に基づき、プライベートブランド(PB)商品の売上構成比12%達成を目標に掲げ、商品開発と提案力を強化しています。また、2026年2月にはベトナムの食品卸企業「KOME88」の株式を取得するなど、アジア圏を中心とした海外事業の拡大も加速しています。

1株から3株への株式分割

2026年2月1日付で実施された株式分割により、投資単位当たりの金額が引き下げられました。これは個人投資家の参入障壁を下げ、株式の流動性向上に寄与するポジティブな要因です。

業界動向

外食市場はインバウンド需要の回復により堅調に推移していますが、一方で深刻な人手不足や原材料・物流コストの上昇が継続しています。業務用食品卸業界では、単なる商品の納入だけでなく、調理の省力化やDX支援などの「ソリューション提供力」が競合他社(尾家産業や久世など)との差別化要因となっています。トーホーは「フードソリューション事業」を有しており、この付加価値提供において業界内でも独自の地位を築いています。

投資判断材料

  • 強み:業務用食品卸で国内最大手の規模、ホテル・外食向けへの強い販路、DX・厨房設計等の周辺事業のシナジー。
  • 懸念点:物流コストのさらなる上昇、海外事業におけるカントリーリスク。
  • 機会:インバウンド拡大に伴う宿泊・外食需要の増加、PB商品比率向上によるマージン改善。

セグメント別業績

ディストリビューター事業(業務用食品卸売)

売上高:200,910百万円(9.2%増)、セグメント利益:5,810百万円(6.7%減)。新規連結(三協食鳥)の寄与もあり大幅増収となったものの、シンガポール子会社の利益率低下や物流費増が利益を圧迫しました。

キャッシュアンドキャリー事業(現金卸売「A-プライス」)

売上高:45,644百万円(1.7%増)、セグメント利益:1,543百万円(9.6%減)。既存店の改装やクイックコマース導入を進めるも、人件費等の諸経費増により減益となりました。

フードソリューション事業

売上高:13,193百万円(2.1%増)、セグメント利益:500百万円(25.4%増)。人手不足を背景とした業務用調理機器や業務支援システムの需要が旺盛で、大幅な増益を達成しました。

財務健全性

自己資本比率は35.7%と、前期(34.8%)から0.9ポイント上昇し、改善傾向にあります。有利子負債残高は18,520百万円と横ばいですが、営業キャッシュ・フローが7,935百万円の黒字(前期比1,444百万円増)と着実に現金を創出できる体質となっており、財務の安定性は高まっています。

配当・株主還元

2026年1月期は年間配当150円(分割前ベース)を実施。配当性向は44.9%(個別ベースで算出される傾向あり)となりました。中期経営計画では連結配当性向40%を目途に安定的な還元を掲げており、業績成長に伴う増配が期待されます。また、株主優待制度も継続されており、長期保有を促す仕組みが整っています。

通期業績予想

2027年1月期の業績予想は、売上高2,740億円(5.5%増)、営業利益82億円(4.4%増)、純利益48億円(4.9%増)と、さらなる増収増益を見込んでいます。インバウンドの継続的な恩恵と、不採算事業撤退後の固定費削減効果が寄与する見通しです。

中長期成長戦略

「新たな成長ステージへの変革」として、首都圏および沖縄エリアの再編、PB商品の開発強化、DXによる生産性向上を掲げています。特に、ベトナムでのM&Aを足掛かりとしたASEAN地域での事業拡大は、国内市場の成熟を補う成長ドライバーとして期待されます。

リスク要因

最大のリスクは「2024年問題」に端を発する物流コストの上昇です。自社配送網を持つ同社にとって、ドライバー確保と配送効率化は喫緊の課題です。また、海外子会社の業績変動や為替リスクも、利益の下振れ要因となり得ます。

ESG・サステナビリティ

2030年度までにCO2排出量を46%削減(2013年度比)する目標を掲げ、配送車両のEV・ハイブリッド化や太陽光パネルの設置を進めています。また、女性管理職比率の向上(2030年度目標20%)など、人的資本への投資にも注力しています。

経営陣コメント

奥野社長は、中期経営計画の最終年度に向けて「新たな成長ステージへの変革」と「サステナビリティ経営」の重要性を強調しています。企業認知度の向上と株主還元の継続を重点施策とし、企業価値のさらなる向上を目指す姿勢を示しています。

バリュエーション

実績EPS 142.93円(分割考慮後)に対し、PERは約8.9倍、PBRは1.2倍前後の水準です(決算時点)。過去最高益を更新し、ROE 14.0%という高い収益性を維持している点に鑑みると、現在のバリュエーションは、卸売業界内でも比較的割安感のある水準と言えます。

過去決算との比較

直近5期のトレンドを見ると、コロナ禍の落ち込みから完全に脱却し、売上・利益ともに右肩上がりの回復を見せています。特に、第70期以降の利益成長率は高く、食品スーパー事業の切り離しによる「選択と集中」の成果が数字として明確に現れています。

市場の評判

株式会社トーホーの評判は総合評価3.1点、投資家は成長性に期待し、株価は上昇傾向。会社は安定した配当を維持し、業績は好調。

詳細リサーチレポート

最新の業績動向と今後の見通し

  • トーホーの2026年1月期の連結決算では、売上高2,597億4,700万円(前期比5.4%増)、営業利益78億5,300万円(前期比4.8%増)、経常利益79億2,800万円(前期比3.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益45億7,600万円(前期比2.0%増)と増収増益を達成しました.
  • 2027年1月期の業績予想については、売上高2,740億円、営業利益82億円、経常利益83億円、親会社株主に帰属する当期純利益48億円を見込んでいます.
  • アナリストは、トーホーが外食産業向け販売を伸ばし、創業以来最高の業績を達成したことを評価しています.
  • 中期経営計画「SHIFT-UP 2027」では、2027年1月期に売上高2,740億円、当期純利益48億円の達成を目指しており、ROE10%以上、PBR1倍以上の水準を維持することに取り組んでいます.
  • 長期ビジョンとして、2030年1月期に売上高3,000億円の達成を目標としています.

業界内での競合ポジションと市場シェア

  • トーホーは、業務用食品卸売業界で国内売上高トップクラス.
  • 競合他社としては、久世, 尾家産業, サトー商会 などが挙げられます。
  • トーホーは、「ディストリビューター事業」と「キャッシュアンドキャリー事業(A-プライス)」の2つのチャネルを併せ持つユニークなビジネスモデルを展開しています.
  • キャッシュアンドキャリー事業では、「A-プライス」などの店舗を35都府県に96店舗展開しています(2026年1月時点).

成長戦略と重点投資分野

  • 中期経営計画「SHIFT-UP 2027」では、「新たな成長ステージへの変革」「サステナビリティ経営の推進」「企業認知度の向上と株主還元の継続」の3つを重点施策としています.
  • 新たな成長ステージへの変革に向けて、「エリア毎の市場環境に沿った事業展開へのシフト」「新たな市場の開拓」「外食ビジネスをトータルにサポートする機能の拡充」「情報技術の最大活用による生産性の向上」「M&A、アライアンスの活用」の5つのテーマに取り組んでいます.
  • M&Aによる事業拡大を推進しており、食品製造や物流の分野でのM&Aを検討しています.
  • 2025年9月には、国産鶏肉加工の三協流通グループを子会社化し、国産チルド商品の拡充や販売網の拡大を図っています.
  • 海外事業の強化も戦略の軸としており、シンガポール、マレーシア、香港に進出しています.

リスク要因と課題

  • 食品の価格変動やサプライチェーンの混乱が収益に影響を与える可能性があります.
  • 食品卸売業界での競争激化.
  • 為替変動による原価上昇リスク.
  • 大規模な食中毒や異物混入が発生した場合、ブランドイメージと顧客からの信頼を損なう可能性があります.
  • 物流費や人手不足、物価上昇の影響によるコスト増.
  • 海外事業や新規投資の効果が不確実な面.

アナリストの評価と目標株価

  • 複数のアナリストがトーホーのレーティングや目標株価を提示していますが、具体的な数値は情報源によって異なります.
  • みんかぶによる株価診断では、トーホーの株価は「777円で【売り】」と評価されています.
  • IFIS株予報では、PBR基準、PER基準での妥当株価が算出されています.

最近の重要ニュースやイベント

  • 2026年3月:2027年1月期を最終年とする中期経営計画の目標数値を上方修正.
  • 2025年9月:国産鶏肉加工の三協流通グループを子会社化.
  • 2024年3月:食品スーパー事業から撤退.
  • 2026年5月16日:オンラインIRセミナーにトーホーが登壇予定.

ESG・サステナビリティへの取り組み

  • トーホーグループは、「美味しさ」そして「安心・安全、健康、環境」を基本に「食」のさまざまなシーンを支えることを目指しています.
  • サステナビリティ経営を推進しており、透明性・公正性の高いコーポレート・ガバナンス体制を構築しています.
  • 食品ロス削減への貢献や、環境に配慮したPB商品の開発など、ESG(環境・社会・ガバナンス)を意識した経営姿勢.
  • 事業活動を通じて温室効果ガスを削減していくこと、美味しさ、安心・安全、健康、環境、人権に配慮した責任ある調達活動を行っていくことなどを課題としています.

配当政策と株主還元

  • 安定配当を基本とし、連結業績に基づき配当性向40%を目標に株主還元を継続.
  • 中間・期末の年2回配当を実施.
  • 2027年1月期の年間配当予想は61円.
  • 予想配当利回りは4.35%~4.56%.
  • 株主優待として、「A-プライス」で使える買物割引券などが進呈されます(300株以上保有が対象).

情報源

年度別バリュエーション推移(PBR/PER/時価総額)

株価推移(高値・安値)2004006008001,0001,2001,4001,600'11/1'14/1'17/1'20/1'23/1'26/1最新(株探)高値安値PBR推移(高値・安値・期末PBR)0.4倍0.6倍0.8倍1.0倍1.2倍1.4倍1.6倍'11/1'14/1'17/1'20/1'23/1'26/1最新(株探)PBR高値PBR安値期末PBRPER推移(高値・安値)0倍20倍40倍60倍80倍'11/1'14/1'17/1'20/1'23/1'26/1最新(株探)PER高値PER安値時価総額推移(高値・安値)100億200億300億400億500億'11/1'14/1'17/1'20/1'23/1'26/1最新(株探)高値安値ROE推移(PBR÷PERで算出・高値同士/安値同士)0.0%5.0%10.0%15.0%'11/1'14/1'17/1'20/1'23/1'26/1最新(株探)ROE高値ROE安値
年度 株価高値 株価安値 PER高値 PER安値 PBR高値 PBR安値 時価総額高値 時価総額安値 期末PBR
2011年1月期 577 477 15.26 12.62 0.88 0.72 190億5076万 157億4716万 0.77倍
2012年1月期 533 352 31.52 20.78 0.81 0.53 176億1946万 116億1766万 0.79倍
2013年1月期 558 498 20.86 18.62 0.84 0.75 184億4537万 164億6318万 0.81倍
2014年1月期 645 527 40.95 33.44 0.95 0.78 213億854万 173億9922万 0.89倍
2015年1月期 767 532 25.11 17.41 1.06 0.74 253億2798万 175億6440万 1.01倍
2016年1月期 878 651 28.29 20.98 1.2 0.89 290億1705万 215億1777万 0.99倍
2017年1月期 871 680 23.61 18.45 1.15 0.9 287億6377万 224億7583万 1.1倍
2018年1月期 1,033 817 73.18 57.84 1.35 1.07 341億3771万 269億7980万 1.14倍
2019年1月期 894 648 33.99 24.64 1.21 0.88 295億4564万 214億1866万 0.93倍
2020年1月期 757 549 51.45 37.27 1.03 0.74 250億1964万 181億2602万 0.81倍
2021年1月期 709 358 赤字 赤字 1.22 0.61 234億1186万 118億1605万 1.08倍
2022年1月期 660 324 63.4 31.16 1.07 0.53 218億408万 107億1483万 0.58倍
2023年1月期 623 327 19.97 10.49 0.9 0.47 205億9275万 108億1394万 0.77倍
2024年1月期 1,327 528 11.88 4.73 1.57 0.63 438億2842万 174億4327万 1.13倍
2025年1月期 1,325 785 9.53 5.65 1.39 0.82 437億7335万 259億2263万 0.97倍
2026年1月期 1,365 829 9.55 5.8 1.26 0.77 450億9481万 273億7624万 1.18倍
最新(株探) 1405 - 9.3倍 - 1.30倍 - 464億円 - 1.30倍

ROE算出表(PBR÷PER×100)

PBR = ROE × PER の関係式から逆算。高値同士・安値同士で算出しています。

年度 PBR高値 PER高値 ROE高値(%) PBR安値 PER安値 ROE安値(%)
2011年1月期 0.88 15.26 5.8% 0.72 12.62 5.7%
2012年1月期 0.81 31.52 2.6% 0.53 20.78 2.6%
2013年1月期 0.84 20.86 4.0% 0.75 18.62 4.0%
2014年1月期 0.95 40.95 2.3% 0.78 33.44 2.3%
2015年1月期 1.06 25.11 4.2% 0.74 17.41 4.3%
2016年1月期 1.2 28.29 4.2% 0.89 20.98 4.2%
2017年1月期 1.15 23.61 4.9% 0.9 18.45 4.9%
2018年1月期 1.35 73.18 1.8% 1.07 57.84 1.8%
2019年1月期 1.21 33.99 3.6% 0.88 24.64 3.6%
2020年1月期 1.03 51.45 2.0% 0.74 37.27 2.0%
2021年1月期 1.22 赤字 - 0.61 赤字 -
2022年1月期 1.07 63.4 1.7% 0.53 31.16 1.7%
2023年1月期 0.9 19.97 4.5% 0.47 10.49 4.5%
2024年1月期 1.57 11.88 13.2% 0.63 4.73 13.3%
2025年1月期 1.39 9.53 14.6% 0.82 5.65 14.5%
2026年1月期 1.26 9.55 13.2% 0.77 5.8 13.3%
最新(株探) 1.30倍 9.3倍 14.0% - - -

バリュエーション推移の概要

株式会社トーホー(8142)の過去15年間のバリュエーション推移を俯瞰すると、2024年1月期を境に大きな転換点を迎えていることが分かります。2011年から2023年にかけては、PBR(株価純資産倍率)が1.0倍を割り込む期間が多く、PER(株価収益率)は20倍から50倍、時には70倍を超えるなど、利益水準に対して株価が割高に振れるか、あるいは利益そのものが低位で推移する局面が目立ちました。しかし、直近の2024年1月期以降は、時価総額が400億円規模へと急拡大する一方で、PERは10倍を下回る水準まで低下しており、収益力の劇的な改善に伴う「バリュー株からクオリティ・グロースへの再評価」が進んでいる状況が示唆されます。

PBR分析

PBRの推移を見ると、歴史的な安値は2023年1月期の0.47倍(下限)であり、この時期は解散価値を大幅に下回る過小評価の状態にありました。一方、歴史的な高値は2024年1月期の1.57倍です。長らく0.7倍〜1.1倍程度のレンジで推移してきましたが、2024年1月期以降は期末PBRが1.0倍を超える水準で定着しつつあります。最新の1.30倍という水準は、過去15年間の中では高位圏に位置しており、市場が同社の資産効率改善や将来のキャッシュフロー創出能力をポジティブに評価し始めていることを裏付けています。

PER分析

PERの動向からは、同社の収益構造の変化が顕著に読み取れます。2018年1月期のPER 73.18倍や2020年1月期の51.45倍といった過去の高水準は、利益が僅少であったために倍率が跳ね上がっていた「見かけ上の割高」状態でした。また、2021年1月期には赤字を計上しています。特筆すべきは、株価が過去最高値圏にある直近(2025年1月期予測以降)において、PERが9.3倍〜9.5倍前後という、過去最低水準(2011年〜2023年の平均値を大幅に下回る水準)で推移している点です。これは、株価の上昇スピード以上に、一株当たり利益(EPS)が飛躍的に増大していることを示しています。

時価総額の推移

時価総額は、2011年から2023年1月期まで、概ね100億円台から200億円台のレンジで停滞していました。特に2022年から2023年にかけては、一時107億円〜108億円まで落ち込む局面がありました。しかし、2024年1月期に438億円へと急騰し、最新データでは464億円に達しています。わずか2年足らずで時価総額が約4倍に拡大した背景には、業務用食品卸業界におけるシェア拡大や採算性の向上が、投資家からの資金流入を加速させた要因があると考えられます。

現在のバリュエーション評価

最新のバリュエーション(PER 9.3倍、PBR 1.30倍)を歴史的水準と比較すると、二極化した評価が下せます。PBRの観点では、過去15年間の上限付近(1.3倍〜1.5倍)に位置しており、資産面からの割安感は薄れ、成長への期待値が既に価格に織り込まれていると判断できます。一方で、PERの観点では、過去の平均的な水準(20倍〜30倍)を大きく下回る10倍割れとなっており、現在の高い収益力が継続すると仮定すれば、依然として利益面での上昇余地を残しているとも解釈可能です。投資家は、この「過去最高水準のPBR」と「過去最低水準のPER」のギャップを、収益性の持続的な向上によるものと見るか、あるいは一時的な業績拡大によるものと見るか、慎重に判断する必要があります。

キャッシュフロー推移

キャッシュフロー推移(営業CF・投資CF・フリーCF)-100億-50億0百万50億100億'17/1'19/1'21/1'23/1'25/1'26/10営業CF投資CFフリーCF設備投資 vs フリーCF(百万円)-40億-20億0百万20億40億60億80億100億'17/1'19/1'21/1'23/1'25/1'26/10設備投資#1フリーCF現金等残高推移50億60億70億80億90億100億110億120億'17/1'19/1'21/1'23/1'25/1'26/1現金等
年度 四半期 営業CF 投資CF 財務CF フリーCF 設備投資#1 現金等
2017年1月期 通期 4561 -3727 -1346 834 - 5674
2018年1月期 通期 2294 -4069 4081 -1775 - 7993
2019年1月期 通期 3326 -6117 2097 -2791 - 7245
2020年1月期 通期 2500 -754 -2202 1746 -1980 6790
2021年1月期 通期 139 -2474 2453 -2335 -2227 6839
2022年1月期 通期 3547 2078 -4003 5625 -1036 8596
2023年1月期 通期 4110 -931 -4477 3179 -1507 7511
2024年1月期 通期 9303 -1251 -6520 8052 -2381 9216
2025年1月期 通期 6490 -2160 -4634 4330 -3677 9109
2026年1月期 通期 7935 -500 -5484 7435 -2780 11150

※単位: 百万円。データ出典: IRBank(irbank.net)

キャッシュフロー推移の概要

株式会社トーホーの過去10期にわたるキャッシュフロー(CF)データを分析すると、2021年1月期のコロナ禍による落ち込みを底に、劇的なV字回復を遂げていることが分かります。2010年代後半は外部調達を伴う「積極投資型」の傾向がありましたが、直近数年および今後の予測においては、営業CFが投資額を大幅に上回り、その余剰金で債務返済や配当を進める「優良安定型(営業CF:+、投資CF:ー、財務CF:ー)」へと完全にシフトしています。特に2024年1月期以降は、フリーCFが極めて高い水準で推移しており、経営基盤の強靭化が鮮明になっています。

営業キャッシュフロー分析

営業CFは、2021年1月期に約1.3億円まで落ち込みましたが、2024年1月期には約93.0億円と過去最高水準を記録しました。2025年1月期(予測:約64.9億円)、2026年1月期(予測:約79.3億円)と、その後も高い本業のキャッシュ創出力を維持する見通しです。この急拡大の背景には、外食産業の回復に伴う主力の業務用食品卸事業の伸長に加え、収益構造の改善が着実に進んでいることが伺えます。一過性の回復ではなく、ベースとなるキャッシュ創出能力が一段上のステージへ引き上がっている点は、投資家にとってポジティブな材料と言えます。

投資キャッシュフロー・設備投資分析

投資活動については、2019年1月期に約61.1億円の大きな支出が見られましたが、近年は営業CFの範囲内に投資を収める規律ある運用が続いています。設備投資額に注目すると、2024年1月期の約23.8億円から、2025年1月期には約36.7億円へと増額される計画であり、物流効率化やDX投資など、持続的成長に向けた攻めの姿勢も堅持しています。投資CFがマイナス(支出)で推移しながらも、フリーCFがプラスを維持している点は、投資効率の高さと資金繰りの余裕を示唆しています。

フリーキャッシュフロー分析

フリーCF(営業CF+投資CF)は、2024年1月期に約80.5億円という極めて高い数値を記録しました。2018年〜2021年にかけてフリーCFがマイナスに振れる局面が目立ちましたが、直近3期(2024年〜2026年予測)の平均フリーCFは約66億円に達する見込みです。これほど多額の「自由なキャッシュ」を生み出せるようになったことで、今後の株主還元の拡充(配当増や自社株買い)や、機動的なM&A戦略への期待が高まるフェーズに移行したと評価できます。

財務戦略・現金残高の評価

財務CFは2022年1月期から継続して大きなマイナスとなっており、本業で稼いだキャッシュを借入金の返済や配当支払いに充てていることが分かります。特に2024年1月期はマイナス約65.2億円と、財務体質の健全化を強力に推進しました。それにもかかわらず、手元現預金は2017年当時の約56.7億円から、2026年1月期には約111.5億円まで倍増する見通しです。有利子負債の圧縮と手元流動性の確保を同時に達成しており、極めて盤石な財務戦略を展開していると言えます。

キャッシュフロー総合評価

総評として、株式会社トーホーは「耐える時期」から「収穫し、再投資する時期」への転換に成功したと判断されます。かつての有利子負債に頼った成長投資モデルから、自己資金で成長と還元を賄う「優良安定型」のキャッシュフロー構造へ進化を遂げました。2026年1月期に向けて現預金残高が100億円の大台を超える予測となっており、財務健全性は非常に高いレベルにあります。今後は、積み上がったキャッシュをさらなる資本効率(ROE等)の向上にどう結びつけるか、その資本配分(キャピタル・アロケーション)の質が投資家からの注目点となるでしょう。

DCF法による理論株価分析

DCF分析の前提条件

パラメータ 説明
WACC(割引率) 7.0% 加重平均資本コスト
FCF成長率 4.0% 予測期間中の年平均成長率
EV/FCF倍率 6.76倍 ターミナルバリュー算出用(現在の市場評価)
予測年数 5年 将来FCFの予測期間
発行済株式数 33,024,911株 理論株価算出の分母
現金及び現金同等物 112億 非事業資産として加算
有利子負債 150億 企業価値から控除

将来フリーキャッシュフロー予測

予測年 予測FCF 現在価値(PV)
1年目 77億 72億
2年目 80億 70億
3年目 84億 68億
4年目 87億 66億
5年目 90億 65億
ターミナルバリュー 611億 436億
フリーキャッシュフロー推移(実績 + DCF予測)30億40億50億60億70億80億90億100億2224262028予2030予2031予FCF実績FCF予測

理論株価の算出プロセス

① 予測FCF現在価値の合計 342億
② ターミナルバリューの現在価値 436億
③ 事業価値(① + ②) 778億
④ 加算: 現金及び現金同等物 +112億
⑤ 控除: 有利子負債 -150億
⑥ 株主価値(③ + ④ − ⑤) 739億
DCF理論株価
2,238円
現在の株価
1,405円
乖離率(割安)
+59.3%

感度分析(理論株価: 円)

WACC(横軸)とFCF成長率(縦軸)を変化させた場合の理論株価の変動を示します。

WACC →
FCF成長率 ↓
5.0%6.0%7.0%8.0%9.0%
-1.0%1,9641,8861,8121,7421,675
1.5%2,1862,0982,0161,9371,862
4.0%2,4282,3302,2382,1502,067
6.5%2,6922,5832,4802,3822,289
9.0%2,9792,8582,7432,6342,531

※ 緑色: 現在株価(1,405円)より高い(割安方向) / 赤色: 低い(割高方向) / 青背景: 現在の前提条件

DCF分析の総合評価

今回のDCF(ディスカウンテッド・キャッシュフロー)分析に基づく株式会社トーホー(8142)の理論株価は2,238円となりました。現在の市場価格1,405円と比較すると、理論上の乖離率は+59.3%となり、バリュエーション面では大幅な「割安」水準にあると評価されます。この大幅な乖離は、市場が同社の将来的なキャッシュフロー創出力に対して慎重な見方をしているか、あるいは直近の業績回復を十分に株価に織り込んでいない可能性を示唆しています。ただし、この評価は設定した前提条件に強く依存している点に留意が必要です。

フリーキャッシュフローの質

過去10年間のフリーキャッシュフロー(FCF)を振り返ると、2018年1月期の-1,775百万円から2024年1月期の8,052百万円まで、非常に大きな変動が見られます。特に2021年1月期(-2,335百万円)などのマイナス局面は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外食産業向け需要の急減が影響したと考えられます。一方で、直近3期(2022年〜2024年)は5,625百万円、3,179百万円、8,052百万円と力強い回復基調にあります。予測モデルでは初年度のFCFを7,732百万円と設定し、年率4.0%の成長を見込んでいますが、過去の変動性の高さを踏まえると、この成長が安定的に持続するかどうかが予測の信頼性を左右する鍵となります。

前提条件の妥当性

WACC(加重平均資本コスト)を7.0%と設定した点は、同社のビジネスモデルや資本構成から見て概ね妥当な水準と言えます。一方で、FCF成長率4.0%という設定は、成熟産業である食品卸売業界においてはやや楽観的な印象を与える可能性があります。同社がDX推進による物流効率化や、M&Aを通じた市場シェア拡大をどの程度継続できるかが、この成長率の妥当性を裏付けるポイントとなります。また、出口マルチプル(EV/FCF倍率)の6.76倍は、保守的な設定となっており、成長率の期待を一定程度相殺する形となっています。

ターミナルバリューの影響

本分析における事業価値(EV)778億円のうち、ターミナルバリュー(TV)の現在価値は436億円であり、事業価値全体に占める割合は約56%となります。一般的なDCF分析ではTVが全体の70〜80%を占めることも珍しくないため、本モデルは「予測期間5年間のキャッシュフロー」に比較的重きを置いた構成と言えます。とはいえ、価値の半分以上が5年目以降の不確実な将来に依存している事実は変わりなく、長期的な競争優位性の維持が理論株価の正当化には不可欠です。

感度分析から読み取れること

DCF法において最も感応度が高いパラメータはWACCと成長率です。仮にWACCが1%上昇して8.0%になった場合、あるいは成長率が1%低下して3.0%になった場合、理論株価は数百円単位で下押しされる可能性があります。現在の株価(1,405円)と理論株価(2,238円)の間に800円以上の大きな安全域(マージン・オブ・セーフティ)が存在することは、多少の前提条件のブレがあっても割安圏内にとどまる可能性が高いことを示していますが、市場が認識しているリスク(原材料費高騰や人件費増など)がWACCを押し上げている可能性も否定できません。

投資判断への示唆

結論として、現在の株価はDCF分析上の理論価値を大きく下回っており、中長期的な視点では投資妙味がある水準と考えられます。しかし、DCF法は「将来の予測」という不確実な土台の上に成り立つ手法です。特にトーホーのような外部環境(景気動向や外食需要)に左右されやすい業種では、予測FCFの未達リスクを考慮する必要があります。投資家は、本分析で示された2,238円という数値を絶対的なものと捉えず、同社の四半期ごとのFCF推移や、有利子負債150億円に対するキャッシュ創出能力のバランスを継続的に監視し、自身のリスク許容度に基づいた判断を行うことが推奨されます。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

FCFは年度により変動があるものの、売上高の堅調な推移と利益率の改善傾向を考慮し、今後5年間は年平均4%の成長を維持すると推定しました。WACCは食品卸売業の安定性と低ベータ、および現在の低金利環境を反映し、株主資本コストを中心に7%と設定しています。有利子負債は、営業キャッシュフローの規模と時価総額のバランスから、標準的な財務レバレッジを想定して15,000百万円と推計しました。

⚠️ 免責事項: 本DCF分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 DCF法は前提条件(WACC、成長率等)に大きく依存するため、感度分析を参考に幅を持って評価してください。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

リバースDCF分析(市場の期待値)

市場が織り込んでいる成長期待

現在の株価(1,405円)を正当化するために必要なインプライドFCF成長率を逆算しました。

インプライドFCF成長率
-6.8%
市場が織り込む成長率
AI推定FCF成長率
4.0%
ファンダメンタル分析ベース
成長率ギャップ
-10.8%
悲観的

リバースDCF詳細

現在の株価1,405円
インプライドFCF成長率-6.78%
AI推定FCF成長率4.00%
成長率ギャップ-10.78%(悲観的)
インプライドWACC1.00%
AI推定WACC7.00%
📖 読み方:
  • インプライド成長率 > AI推定成長率 → 市場は楽観的。期待通りの成長が実現しなければ株価下落リスク
  • インプライド成長率 < AI推定成長率 → 市場は悲観的。実態より過小評価されている可能性
  • 両者がほぼ一致 → 市場の評価はファンダメンタルに整合的

市場の期待値の評価

株式会社トーホー(8142)の現在の株価1,405円から逆算されたインプライドFCF(フリーキャッシュフロー)成長率は、-6.78%となっています。この数値は、現在の市場がトーホーの将来的な現金創出力に対して、継続的なマイナス成長を織り込んでいることを示しています。同社は業務用食品卸の最大手として、外食産業の回復とともに足元の業績は堅調に推移していますが、市場は将来的な人口減少や外食市場の成熟化、あるいは物流コストの増加といった構造的なリスクを非常に厳しく見積もっている、「悲観的」な評価と言えます。

インプライド成長率の実現可能性

市場が織り込む「毎年約6.8%の収益減少」というシナリオの実現可能性を検討すると、現在の実態との乖離が目立ちます。AI推定のFCF成長率が4.00%であるのに対し、市場の期待値との間には-10.78%という大幅なギャップが存在します。トーホーは、飲食店向けのM&A戦略やDXによる物流効率化を推進しており、コロナ禍からの回復以降、収益性は改善傾向にあります。業界全体の再編が進む中で、シェア拡大の余地を考慮すれば、市場が想定するような急激な衰退が起こる可能性は、現在の事業環境からは限定的であると分析されます。ただし、インプライドWACCが1.00%と極めて低く算出されている点は、資本コストの認識において市場とAIの間でリスクプレミアムの解釈に大きな差があることを示唆しています。

投資判断への示唆

リバースDCF分析の結果からは、現在の株価1,405円は、同社の将来性を極めて保守的に、あるいは悲観的に見積もった水準にあると解釈できます。もし投資家が「トーホーの将来的なキャッシュフローは、年率マイナス7%近くまで落ち込むことはない」と判断するのであれば、現在の株価は実力の乖離から割安な水準にあるという見方が成立します。一方で、AI推定のWACC(7.00%)に対して市場が織り込んでいる資本コスト(1.00%)の低さは、今後の金利情勢や市場環境の変化によって株価評価が大きく変動するリスクも孕んでいます。最終的な投資判断にあたっては、この大きな成長率ギャップが埋まる時期と、物流2024年問題などの外部環境が収益に与える実影響を慎重に見極める必要があります。

拡張感応度分析・シナリオ分析

感度分析: WACC × FCF成長率(理論株価: 円)

金利上昇はWACCの増加、景気後退はFCF成長率の低下として理論株価に影響します。

WACC →
FCF成長率 ↓
5.0%6.0%7.0%8.0%9.0%
-1.0%1,9641,8861,8121,7421,675
1.5%2,1862,0982,0161,9371,862
4.0%2,4282,3302,2382,1502,067
6.5%2,6922,5832,4802,3822,289
9.0%2,9792,8582,7432,6342,531

※ 緑色: 現在株価(1,405円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 現在の前提条件

シナリオ分析(楽観・基本・悲観)

金利環境・景気動向の変化に応じた3つのシナリオで理論株価を比較します。

楽観シナリオ
WACC: 5.5% / FCF成長率: 9.0%
永久成長率: 1.4%
2,917円
+107.6%
基本シナリオ
WACC: 7.0% / FCF成長率: 4.0%
永久成長率: 1.0%
2,238円
+59.3%
悲観シナリオ
WACC: 8.5% / FCF成長率: -2.0%
永久成長率: 0.6%
1,636円
+16.4%

シナリオ分析の総合評価

株式会社トーホー(8142)の理論株価は、基本シナリオにおいて2,238円と算出され、現在の市場価格(1,405円)を59.3%上回る結果となりました。特筆すべきは、最も厳しい前提を置いた悲観シナリオにおいても理論株価が1,636円となり、現在株価に対して+16.4%の乖離(割安性)を維持している点です。楽観シナリオでは2,917円(+107.6%)と、株価倍増のポテンシャルを示唆しています。総じて、現在の株価は当分析におけるすべてのシナリオの理論価格を下回っており、市場が織り込んでいるリスクが、当分析の悲観ケース以上に保守的である可能性を示しています。

金利変動の影響

本分析では、資本コスト(WACC)を5.5%から8.5%の範囲で設定し、金利変動や市場リスクの影響を評価しました。WACCが基本シナリオの7.0%から悲観シナリオの8.5%へと1.5%上昇した場合、理論株価は2,238円から1,636円へと約27%低下します。これは、金利上昇や資本コストの増大が企業価値を押し下げる一定の感応度を持っていることを示しています。しかし、8.5%という高い資本コストを想定した場合でも、理論価値が現状の株価を上回っていることから、一定程度の金利上昇リスクに対しては耐性を持っている(現在の株価が既に高いリスクプレミアムを織り込んでいる)と判断されます。

景気変動の影響

フリーキャッシュフロー(FCF)成長率の変動は、理論株価のボラティリティに大きな影響を与えます。外食産業を主顧客とする同社にとって、景気後退に伴うFCF成長率の鈍化は主要なリスク要因です。基本シナリオの4.0%から、景気後退を想定した悲観シナリオの-2.0%まで成長率が低下した場合、理論株価への下押し圧力は強まります。しかし、FCF成長率がマイナス成長に陥る局面(悲観シナリオ)を想定しても、永久成長率(0.6%)との組み合わせにより、理論株価は1,636円に踏み止まります。これは、事業構造から生み出される現金の安定性が、景気後退時の下値リスクを一定程度限定的にしていることを示唆しています。

投資判断への示唆

今回のシナリオ分析に基づくと、現在株価1,405円は悲観シナリオの理論株価(1,636円)をも下回る水準にあり、投資における「安全域(マージン・オブ・セーフティ)」が十分に確保されている可能性が高いと考えられます。市場価格と理論価値の乖離は、将来の不確実性や特定の事業リスクに対する市場の過度な警戒を反映している可能性があります。投資家としては、現在株価が示す「極めて保守的な評価」と、各シナリオが示す「事業の収益ポテンシャル」を比較衡量することが重要です。理論株価が現在株価を下回るリスクは相対的に低いと考えられますが、最終的な投資決定に際しては、今後の既存店売上高の推移や物流コストの動向を慎重に見極める必要があります。

モンテカルロシミュレーション

シミュレーション結果サマリー

WACC・FCF成長率・永久成長率をそれぞれ正規分布でランダムに変動させ、100,000回のDCF計算を実行した結果です。DCF計算の非線形性(特にゴードン成長モデルの割引構造)により、理論株価の分布は対数正規分布に近い形状となるため、ヒストグラムは対数スケールで表示しています。

平均理論株価
4,294円
中央値
4,211円
90%レンジ(5-95%点)
3,160 〜 5,712円
割安確率
100.0%
理論株価 > 現在株価
モンテカルロシミュレーション:理論株価の確率分布(100,000回・対数スケール)0.0%1.1%2.3%3.4%4.6%5.7%2,945円3,248円3,583円3,952円4,359円4,808円5,303円5,849円シミュレーション分布現在株価

※ ヒストグラムは対数スケールで表示し、外れ値の影響を抑えるため分布の中央96%(2〜98パーセンタイル)を表示しています。対数スケールにより、DCF計算の非線形性に起因する右裾の歪みが補正され、分布の形状をより正確に把握できます。平均・中央値・パーセンタイルなどの統計値は元のスケールで有効サンプル全体から計算しています。

理論株価のパーセンタイル分布

シミュレーション結果を小さい順に並べたとき、各パーセンタイルにおける理論株価を示します。

パーセンタイル 5% 10% 25% 50% 75% 90% 95%
理論株価3,160円3,364円3,738円4,211円4,770円5,338円5,712円

※ 緑色: 現在株価(1,405円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 中央値(50%タイル)

リスク指標

理論株価の標準偏差 775円
5% VaR(下位5%タイル) 3,160円
変動係数(CV = σ / 平均) 18.0%
有効シミュレーション数 100,000 / 100,000

確率分布の解釈

今回のモンテカルロシミュレーション結果によると、株式会社トーホー(8142)の理論株価の分布は、平均値4,294円、中央値4,211円となっており、平均値が中央値を上回る「右に裾が長い」対数正規分布に近い形状を示しています。これは、DCF法における分母(WACC - 永久成長率)が小さくなるシナリオにおいて、理論株価が非線形に上昇する特性を反映したものです。 5パーセンタイル(3,160円)から95パーセンタイル(5,712円)という広いレンジは、FCF成長率の標準偏差(2.75%)やWACCの変動が理論株価の推計に大きな幅をもたらしていることを意味しますが、全シミュレーションの90%がこの2,500円以上のレンジ内に収まっている点は注目に値します。

リスク評価

リスク指標としての5% VaR(バリュー・アット・リスク)は3,160円と算出されました。これは、成長率の鈍化や資本コストの上昇といった悲観的なパラメータが重なる下位5%のシナリオにおいても、理論上の価値が3,160円以上を維持する確率が95%であることを示唆しています。 変動係数(CV)は約18.0%(標準偏差775円 ÷ 平均値4,294円)となっており、一般的な上場企業のシミュレーションと比較して、パラメータの不確実性が理論株価に与える影響は中程度からやや高い水準にあります。しかし、分布の下限(5%タイル)が依然として高い水準にあることから、ダウンサイドリスクに対して事業価値の底堅さが統計的に示されています。

現在株価の統計的位置づけ

現在の株価1,405円をシミュレーション結果と比較すると、極めて特異な位置にあることが分かります。算定された「割安確率100.0%」は、実行された100,000回のシミュレーションにおいて、理論株価が一度も現在株価を下回らなかったことを意味します。 現在株価の1,405円は、本シミュレーションにおける最も悲観的なシナリオ(5パーセンタイルの3,160円)のさらに半分以下の水準に位置しており、統計的な分布の枠外(外れ値)に近いほど過小評価されている状態です。理論株価の中央値(4,211円)と比較した場合、現在株価は約66.6%のディスカウントで取引されている計算になります。

投資判断への示唆

本シミュレーションの結果は、現在の市場価格がファンダメンタルズから導き出される理論価値を大幅に下回っていることを示唆しています。特筆すべきは「マージン・オブ・セーフティ(安全域)」の大きさです。最も保守的な5% VaR(3,160円)を基準としても、現在株価には50%以上の安全域が確保されており、投資における価格下落リスクは統計学上極めて低いと解釈できます。 ただし、これほどの乖離が存在する場合、市場が流動性リスク、特定のセクター懸念、あるいは将来の不透明性を過剰に織り込んでいる可能性があります。投資家は、この圧倒的な割安感が解消されるためのカタリスト(きっかけ)の有無を検討するとともに、DCFモデルの前提条件であるFCF予測の妥当性を改めて精査することが推奨されます。統計的には、現在の株価水準は極めて強力な「買い」のシグナルを示唆していますが、最終的な投資判断は市場の需給動向を含めて慎重に行う必要があります。

📖 モンテカルロシミュレーションの読み方:
  • 割安確率: シミュレーション結果のうち、理論株価が現在株価を上回った割合。50%超なら統計的に割安寄り
  • 90%レンジ(5-95%点): 全シミュレーション結果を並べたときの下位5%点から上位95%点までの範囲。幅が広いほど不確実性が高い
  • 5% VaR: 悲観的な条件下でも95%の確率でこの値以上になると期待される最低ライン
  • 変動係数: 平均に対する標準偏差の比率。30%超だとパラメータ感度が高い(結果の信頼性に注意)
⚠️ 免責事項: 本モンテカルロシミュレーションはAIが推定したパラメータの分布に基づく統計的な参考値であり、投資助言ではありません。 入力パラメータに正規分布を仮定し、DCF計算の非線形性により出力は対数正規分布に近い形状となります。パラメータ間の独立性の仮定など、実際の市場とは異なる前提を含んでいます。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

EPS/BPSベース理論株価分析

理論株価モデルの前提条件

パラメータ 説明
直近EPS 150.50円 1株あたり利益
直近BPS 1080.77円 1株あたり純資産
1株配当 61.00円 年間配当金
EPS成長率 6.0% 予測期間中の年平均
割引率 9.0% 将来EPSの割引率
想定PER 9.30倍 理論株価算出に使用

EPS/BPS予測と理論株価

年度 期首BPS EPS 配当 自己資本増加 期末BPS ROE(%) EPS成長率(%) PER(倍) PBR(倍) DCF 理論株価
2027年1月 1080.77 150.50 61.00 89.50 1170.27 13.93 0.00 9.30 1.20 150.50 1,400
2028年1月 1170.27 159.53 61.00 98.53 1268.80 13.63 6.00 9.30 1.17 146.36 1,484
2029年1月 1268.80 169.10 61.00 108.10 1376.90 13.33 6.00 9.30 1.14 142.33 1,573
2030年1月 1376.90 179.25 61.00 118.25 1495.15 13.02 6.00 9.30 1.11 138.41 1,667
2031年1月 1495.15 190.00 61.00 129.00 1624.15 12.71 6.00 9.30 1.09 134.60 1,767
ターミナル 1148.45
PER×EPS 理論株価
1,400円
-0.4%
DCF合計値
1,860.65円
+32.4%
現在の株価
1,405円

DCF内訳

予測期間EPS現在価値合計(5年分) 712.20円
ターミナルバリュー現在価値 1148.45円(全体の61.7%)
DCF合計理論株価 1,860.65円

EPS/BPSモデルの総合評価

株式会社トーホー(8142)の理論株価モデルによる分析の結果、現在のバリュエーションは「短期的な収益性に対しては妥当、中長期的な成長ポテンシャルに対しては割安」という二面性を示しています。 現在の株価1,405円に対し、PER×EPSによる理論株価は1,400円とほぼ同水準にあり、市場は足元の利益水準を正確に織り込んでいると言えます。 一方で、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いたDCF合計理論株価は1,860.65円となっており、現行株価との乖離率は+32.4%に達しています。 この乖離は、現在の市場株価が将来の安定的な利益成長と純資産の蓄積を完全には反映していない可能性を示唆しています。

ROE推移の見通し

本モデルの予測では、ROE(自己資本利益率)は2027年1月期の13.93%から、2031年1月期には12.71%へと緩やかに低下する見通しとなっています。 これは、配当(1株当たり61.00円)として社外流出する分を除いた利益が、利益剰余金としてBPS(1株当たり純資産)を押し上げる(1080.77円から1624.15円へ増加)一方、EPSの成長率が6.0%に設定されているため、分母となる自己資本の増加スピードが分子の利益成長を上回ることによるものです。 しかし、一般的に日本企業に求められる資本効率の目安である8.0%を大きく上回る12%台を維持する予測となっており、同社の収益性の高さと資本効率の良さは中長期的にも維持される計算となります。

前提条件の妥当性

本モデルで設定された前提条件の妥当性については、以下の検証が必要です。 まず、EPS成長率6.0%は、業務用食品卸業界の市場環境を鑑みると、オーガニックな成長に加えて、同社が進めるDX化による効率改善や拠点再編の効果が寄与することを前提としたややポジティブな設定と言えます。 割引率(資本コスト)9.0%は、同社の事業リスクと資本構成を考慮した標準的な水準です。 想定PER 9.30倍については、過去のヒストリカルPERや同業他社比較において、ディフェンシブな特性を持つ卸売業としての保守的な評価に基づいています。 仮に市場からの評価が高まり、PERが10倍台に乗るような場面があれば、理論株価のさらなる押し上げ要因となります。

投資判断への示唆

以上の分析を踏まえると、現在の株価1,405円は「下値が堅く、かつ上値の余地を残した状態」と考察されます。 PERベースの評価では割高感はなく、着実に純資産が積み上がることで、長期的にはDCF理論株価である1,860円台を目指すポテンシャルを秘めています。 一方で、今後の注視すべきポイントは「ROEの低下をいかに食い止めるか」です。 モデル上では資本の蓄積によりROEが低下傾向にありますが、会社側が今後さらに配当性向を高める、あるいは自己株式取得などの資本政策を強化した場合、BPSの膨張が抑えられ、ROEの維持と株価の再評価(リレイティング)が加速する可能性があります。 投資家の皆様におかれましては、同社の成長戦略の進捗とともに、株主還元姿勢の変化を注視し、ご自身の投資期間とリスク許容度に基づいた判断をされることを推奨いたします。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

過去3年間の急激な業績回復(CAGR約66%)は一巡し、2025年から2026年にかけての増益率が約2.8%に鈍化する見通しを踏まえ、今後5年間の平均成長率を保守的に6%と推定しました。割引率は、食品卸売業の安定性と中型株のリスクプレミアムを考慮し、一般的な資本コストの範囲内である9%に設定しています。現在のPERが9倍台と低位にあることから、市場は急成長期の終了と成熟期への移行を織り込んでいると判断しました。

⚠️ 免責事項: 本理論株価分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 EPS成長率・割引率・PER等の前提条件により結果は大きく変動します。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

EPS成長率0%が続く場合の理論株価

将来のEPS成長率を0%(横ばい)と仮定した場合の試算です。本編のベースシナリオとは前提が異なります。

理論株価モデルの前提条件

パラメータ 説明
直近EPS 150.50円 1株あたり利益
直近BPS 1080.77円 1株あたり純資産
1株配当 61.00円 年間配当金
EPS成長率 0.0% 予測期間中の年平均
割引率 9.0% 将来EPSの割引率
想定PER 9.30倍 理論株価算出に使用

EPS/BPS予測と理論株価

年度 期首BPS EPS 配当 自己資本増加 期末BPS ROE(%) EPS成長率(%) PER(倍) PBR(倍) DCF 理論株価
2027年1月 1080.77 150.50 61.00 89.50 1170.27 13.93 0.00 9.30 1.20 150.50 1,400
2028年1月 1170.27 150.50 61.00 89.50 1259.77 12.86 0.00 9.30 1.11 138.07 1,400
2029年1月 1259.77 150.50 61.00 89.50 1349.27 11.95 0.00 9.30 1.04 126.67 1,400
2030年1月 1349.27 150.50 61.00 89.50 1438.77 11.15 0.00 9.30 0.97 116.21 1,400
2031年1月 1438.77 150.50 61.00 89.50 1528.27 10.46 0.00 9.30 0.92 106.62 1,400
ターミナル 909.68
PER×EPS 理論株価
1,400円
-0.4%
DCF合計値
1,547.75円
+10.2%
現在の株価
1,405円

DCF内訳

予測期間EPS現在価値合計(5年分) 638.07円
ターミナルバリュー現在価値 909.68円(全体の58.8%)
DCF合計理論株価 1,547.75円

0%成長シナリオの意味

本シナリオは、将来的なEPS(1株当たり純利益)の成長が完全に停止し、現状維持が続くという保守的な前提に基づいたストレスリサーチです。このモデルでは、当期純利益が横ばいであっても、配当支払後の残余利益が内部留保として蓄積されるため、BPS(1株当たり純資産)は年々増加します。

特筆すべき点は、利益が一定である中で自己資本(BPS)が積み上がるため、ROE(自己資本利益率)が2027年1月期の13.93%から2031年1月期には10.46%へと逓減していく構造にあります。この「ゼロ成長かつ効率性低下」という厳しい条件下においても、PER(株価収益率)9.30倍に基づく理論株価は1,400円となり、現在の市場価格(1,405円)とほぼ同水準の結果となりました。これは、現在の株価が「将来の成長をほとんど織り込んでいない」極めて保守的な評価水準にあることを示唆しています。

ベースシナリオとの対比

本編のベースシナリオ(成長率約6.0%)と比較すると、本シナリオのDCF合計理論株価(1,547.75円)は、成長期待を削ぎ落とした「実力値の底上げ」を確認する指標となります。

現在の株価(1,405円)が、成長率0%のPER理論株価(1,400円)とほぼ一致している事実は、市場が同社の将来の成長性に対して非常に慎重な見方をしている、あるいは現在の利益水準の持続性について一定の不透明感を感じている可能性を示しています。一方で、DCFベースの理論株価が現在株価を約10.2%上回っていることは、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いた場合、ゼロ成長であっても資産蓄積の観点からは一定のバリュー(割安性)が存在することを示しています。

留意点

本モデルは、入力された前提条件(割引率9.0%、想定PER 9.30倍等)に基づいた試算であり、将来の株価推移を保証するものではありません。特に、想定PERは市場環境や同業他社のマルチプル変化によって大きく変動する可能性があります。

また、本シナリオは「利益が減少しない」という前提に立っていますが、実際のビジネス環境では、原材料費の高騰や競争激化による減益リスクも考慮する必要があります。この理論株価モデルは、あくまで投資判断における一つの参照情報であり、最終的な投資決定は、事業環境の変化やコーポレート・ガバナンス、資本効率の改善策など、定性的な側面も含めて総合的に判断されるべきものです。

パラメータ推定の根拠(AI分析)

過去3年間の急激な業績回復(CAGR約66%)は一巡し、2025年から2026年にかけての増益率が約2.8%に鈍化する見通しを踏まえ、今後5年間の平均成長率を保守的に6%と推定しました。割引率は、食品卸売業の安定性と中型株のリスクプレミアムを考慮し、一般的な資本コストの範囲内である9%に設定しています。現在のPERが9倍台と低位にあることから、市場は急成長期の終了と成熟期への移行を織り込んでいると判断しました。

⚠️ 免責事項: 本理論株価分析はAIが推定したパラメータに基づく参考値であり、投資助言ではありません。 EPS成長率・割引率・PER等の前提条件により結果は大きく変動します。 実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

拡張感度分析: WACC × FCF成長率(理論株価: 円)

WACC(加重平均資本コスト)は、株主資本コストと負債コストを資本構成比率で加重平均した「企業の資金調達コスト」です。WACCが高いほど将来キャッシュフローの現在価値は低くなり、理論株価は下がります。FCF成長率は、営業キャッシュフローから設備投資を差し引いた「企業が自由に使えるキャッシュ(フリーキャッシュフロー)」が年率何%で伸びるかの想定値です。

基準のWACC(7.0%)とFCF成長率(4.0%)から±100bpの範囲で、1%刻みの理論株価をシミュレーションします。

📊 巨大感度分析テーブルを計算中...

拡張感度分析: 割引率 × EPS成長率(理論株価: 円)

割引率は、将来の利益やキャッシュフローを現在価値に換算するための率で、投資家が求めるリターン(期待収益率)に相当します。割引率が高いほど将来利益の現在価値は低くなり、理論株価は下がります。EPS成長率は、1株当たり利益(EPS: Earnings Per Share)が年率何%で伸びるかの想定値です。

基準の割引率(9.0%)とEPS成長率(6.0%)から±100bpの範囲で、1%刻みの理論株価をシミュレーションします。

📊 巨大感度分析テーブルを計算中...

拡張感度分析: PER × EPS(理論株価: 円)

PER(株価収益率)は、株価が1株あたり利益(EPS)の何倍で評価されているかを示す指標です。PERが高いほど市場がその企業の将来成長に高い期待を持っていることを意味します。EPS(1株あたり利益)は、企業の純利益を発行済株式数で割った値で、1株あたりの収益力を表します。

基準のPER(9.3倍)とEPS(151円)から、PERは1倍刻み(±100倍)・EPSは1%刻み(±100%)の理論株価をシミュレーションします。

📊 巨大感度分析テーブルを計算中...

拡張感度分析: PBR × BPS(理論株価: 円)

PBR(株価純資産倍率)は、株価が1株あたり純資産(BPS)の何倍で評価されているかを示す指標です。PBRが1倍を下回ると、株価が解散価値を下回っていることを意味し、割安と判断される場合があります。BPS(1株あたり純資産)は、企業の純資産を発行済株式数で割った値で、1株あたりの解散価値を表します。

基準のPBR(1.3倍)とBPS(1081円)から、PBRは0.1倍刻み(±10.0倍)・BPSは1%刻み(±100%)の理論株価をシミュレーションします。

📊 巨大感度分析テーブルを計算中...

残留利益モデル分析(Residual Income Model)

残留利益モデル(Residual Income Model)

残留利益モデルは、現在のBPS(1株純資産)に将来の「超過利益」の現在価値を加算して理論株価を算出します。 株主資本コストを上回るROEを持続できる企業ほど、BPSに大きなプレミアムが付きます。

理論株価 = BPS₀ + Σ[(ROEₜ − r) × BPSₜ₋₁ / (1+r)ᵗ] + TV/(1+r)ⁿ

前提条件

パラメータ 説明
直近BPS 1080.77円 1株あたり純資産(出発点)
直近EPS 150.50円 1株あたり利益
株主資本コスト (r) 9.0% 株主の要求収益率(エクイティチャージの基準)
EPS成長率 6.0% 予測期間中の年平均
1株配当 61.00円 年間配当金(BPS蓄積に影響)
予測年数 5年 個別予測期間

残留利益の年次予測

年度 期首BPS EPS ROE(%) エクイティチャージ 残留利益 PV(残留利益) 期末BPS
2027年1月 1080.77 150.50 13.93 97.27 53.23 48.84 1170.27
2028年1月 1170.27 159.53 13.63 105.32 54.21 45.62 1268.80
2029年1月 1268.80 169.10 13.33 114.19 54.91 42.40 1376.90
2030年1月 1376.90 179.25 13.02 123.92 55.33 39.19 1495.15
2031年1月 1495.15 190.00 12.71 134.56 55.44 36.03 1624.15
ターミナル 残留利益の永続価値: 616円 → PV: 400.36円 400.36
理論株価の構成
現在BPS
1,080.77円
簿価部分
+
残留利益PV合計
212.09円
超過利益の現在価値
+
ターミナルPV
400.36円
永続価値の現在価値
=
RIM理論株価
1,693円
+20.5%
現在の株価: 1,405円
残留利益モデル:ROEとエクイティチャージの推移9.0%10.0%11.0%12.0%13.0%14.0%2728293031ROE(%)株主資本コスト(9.0%)
残留利益と現在価値の推移35円40円45円50円55円60円2728293031残留利益(円)PV(残留利益)(円)
📖 残留利益モデルの読み方:
  • 残留利益 > 0(ROE > 株主資本コスト)→ 企業はBPS以上の価値を創出。理論株価 > BPS となりプレミアム付与
  • 残留利益 < 0(ROE < 株主資本コスト)→ 資本効率が不十分。理論株価 < BPS となりディスカウント
  • DCF法との違い: RIMはBPS(純資産)を出発点とするため、資産ベースの評価に強く、安定企業・金融機関の評価に適しています

残留利益の評価

株式会社トーホーの残留利益モデル(RIM)分析の結果、同社は安定的に「株主の期待収益(株主資本コスト)」を上回る利益を創出する能力を有していると評価されます。本モデルにおける株主資本コスト(r)は9.0%に設定されていますが、予測期間中のROE(自己資本利益率)は13.93%(2027年1月期)から12.71%(2031年1月期)と推移し、常にコストを3.7~4.9ポイント上回っています。

残留利益(Residual Income)は、2027年1月期の53.23円から2031年1月期には55.44円へと堅調に推移する見通しです。ROEが資本コストを上回り続けることは、同社が事業を通じて投下資本に対して付加価値を創造していることを示唆しており、会計上の利益が資本の毀損ではなく、企業価値の増大に寄与していると解釈できます。

BPSプレミアム/ディスカウントの解釈

本モデルから算出された理論株価は1,693円であり、期首BPS(実績純資産)である1080.77円に対して約56.6%のプレミアムが付与されています。RIMにおいて理論株価がBPSを上回る(プレミアムが発生する)ことは、市場や投資家がその企業の資産を単なる帳簿価格以上の「収益を生み出す源泉」として評価していることを意味します。

このプレミアムの内訳を見ると、予測期間5年間の残留利益の現在価値(PV)合計が212.09円、それ以降の継続価値(TV)の現在価値が400.36円となっています。特に、純資産(BPS)に加えて合計612.45円のプレミアムが上乗せされている事実は、同社の高ROE体質が将来にわたって維持されるという前提に基づいています。現在のPBR(株価純資産倍率)は約1.3倍ですが、モデル上の理論的なPBRは約1.57倍まで許容される計算となります。

他の評価手法との比較

DCF法(ディスカウント・キャッシュ・フロー法)が将来のフリー・キャッシュ・フローを基礎とするのに対し、RIMは会計上のBPSとROEに基づいています。DCF法では設備投資の多寡によって推計値が大きく変動する傾向がありますが、RIMは既に蓄積された自己資本(BPS)をベースにするため、より保守的かつ実態に即した評価が可能です。

また、PER(株価収益率)の観点では、現在株価1,405円に対する2027年予測EPS(150.50円)はPER 9.3倍程度となります。一方、理論株価1,693円はPER 11.2倍に相当します。同業他社の水準や過去の平均PERと比較し、現在の10倍を下回る水準が「資本効率に対して過小評価」されているのか、あるいは「将来の成長性への不透明感」を反映しているのかを慎重に見極める必要があります。

投資判断への示唆

現在の市場価格1,405円に対し、算出された理論株価1,693円は+20.5%の乖離を示しています。これは、現状の株価がRIMが示すファンダメンタルズ価値よりも割安な水準に放置されている可能性を示唆しています。株主資本コスト9.0%というハードルに対し、2桁台のROEを維持できるという成長シナリオが実現すれば、株価には理論上の上昇余地が存在すると考えられます。

ただし、本評価はEPS成長率6.0%の継続を前提としています。投資家は、食品卸売業界におけるコスト環境の変化や、同社の中期経営計画の進捗を確認し、ROEが資本コストを下回るリスク、あるいは成長率が鈍化するリスクを考慮に入れる必要があります。理論株価と現在価格の20.5%の乖離を「安全域(Margin of Safety)」と捉えるか、あるいは前提条件の不確実性に対するリスクプレミアムと捉えるかは、各投資家のリスク許容度と市場観に委ねられます。

⚠️ 注意: 残留利益モデルの結果は、EPS成長率・株主資本コスト・BPSの前提条件に大きく依存します。 また、会計基準の違い(日本基準/IFRS)によりBPSの定義が異なる場合があります。投資判断の際は他の手法と合わせてご検討ください。

リバースDCF分析(EPSベース・市場の期待値)

市場が織り込んでいる成長期待

現在の株価(1,405円)を正当化するために必要なインプライドEPS成長率を逆算しました。

インプライドEPS成長率
-3.1%
市場が織り込む成長率
AI推定EPS成長率
6.0%
ファンダメンタル分析ベース
成長率ギャップ
-9.1%
悲観的

リバースDCF詳細

現在の株価1,405円
インプライドEPS成長率-3.10%
AI推定EPS成長率6.00%
成長率ギャップ-9.10%(悲観的)
インプライド割引率50.00%
AI推定割引率9.00%
📖 読み方:
  • インプライド成長率 > AI推定成長率 → 市場は楽観的。期待通りの成長が実現しなければ株価下落リスク
  • インプライド成長率 < AI推定成長率 → 市場は悲観的。実態より過小評価されている可能性
  • 両者がほぼ一致 → 市場の評価はファンダメンタルに整合的

市場の期待値の評価

株式会社トーホー(8142)の現在株価1,405円から算出されたインプライドEPS成長率は-3.10%となりました。これは、現在の株式市場が同社の将来的な収益力に対し、毎年約3%ずつ利益が縮小していくという非常に「悲観的」なシナリオを織り込んでいることを示唆しています。特筆すべきはインプライド割引率が50.00%という極めて高い水準に達している点です。これは、市場が同社の将来キャッシュフローに対して非常に高いリスクプレミアムを要求しているか、あるいは現在の利益水準が一時的なピークであり、長期的には大幅に減衰すると予測している可能性を浮き彫りにしています。

インプライド成長率の実現可能性

市場が織り込む「マイナス成長(-3.10%)」に対し、AIによる推定EPS成長率は6.00%と予測されています。両者の間には-9.10%という大幅な成長率ギャップが存在しており、AIの予測に基づけば、現在の株価は実態よりも過小評価されている状態と言えます。業務用食品卸の最大手として、外食需要の回復や価格転嫁の進展が期待される中、年率3%以上の利益減少が永続的に続くという市場の期待値は、やや保守的に過ぎるという見方も可能です。しかし、この乖離は、原材料費の高騰や物流コストの増加といった外部環境の不透明さを市場が強く警戒している結果とも解釈できます。

投資判断への示唆

リバースDCF分析の結果は、現在の株価が「利益の衰退」を前提とした水準にあることを示しています。投資家にとっての注目点は、同社が市場の悲観的な予想を覆し、現状維持(成長率0%)またはAI推定に近い成長を達成できるかどうかです。もし同社がAI推定(6.00%)に近い成長を維持、あるいは利益を安定させることができれば、現在の株価には修正余地(アップサイド)があると考えられます。一方で、50.00%という高いインプライド割引率は、予期せぬ業績変動や業界構造の変化に対する市場の強い不信感の表れでもあります。これらの数値情報を踏まえ、同社のファンダメンタルズが市場の悲観シナリオを上回る確信が持てるかどうかが、投資判断の重要な鍵となります。最終的な投資決定は、これらのリスクと可能性を総合的に考慮した上で、慎重にご判断ください。

感応度分析・シナリオ分析

感度分析: 割引率 × EPS成長率(理論株価: 円)

金利上昇は割引率の増加、景気後退はEPS成長率の低下として理論株価に影響します。

割引率 →
EPS成長率 ↓
7.0%8.0%9.0%10.0%11.0%
1.0%1,7111,6521,5961,5431,493
3.5%1,8501,7851,7241,6661,611
6.0%1,9981,9281,8611,7971,736
8.5%2,1572,0802,0061,9371,870
11.0%2,3262,2422,1622,0862,013

※ 緑色: 現在株価(1,405円)より高い(割安) / 赤色: 低い(割高) / 青背景: 現在の前提条件

シナリオ分析(楽観・基本・悲観)

金利環境・景気動向の変化に応じた3つのシナリオで理論株価を比較します。

楽観シナリオ
割引率: 7.5% / EPS成長率: 11.0%
2,283円
+62.5%
基本シナリオ
割引率: 9.0% / EPS成長率: 6.0%
1,861円
+32.4%
悲観シナリオ
割引率: 10.5% / EPS成長率: 1.0%
1,518円
+8.0%

シナリオ分析の総合評価

株式会社トーホー(8142)の理論株価は、基本シナリオで1,861円、楽観シナリオで2,283円、悲観シナリオで1,518円と算出されました。現在の市場価格1,405円は、最も保守的な「悲観シナリオ」の理論株価である1,518円をも下回る水準(乖離率 -8.0%)に位置しています。このことは、現在の株価が市場において極めて慎重に評価されているか、あるいは分析に用いた前提条件以上に厳しいリスクを織り込んでいる可能性を示唆しています。全シナリオにおいて理論株価が現在株価を上回っている点は、バリュエーション面での下値の堅さを示す一つの指標となります。

金利変動の影響

本分析では割引率を7.5%から10.5%の範囲で設定しています。割引率が1.5%上昇(9.0%から10.5%へ)し、同時に成長率が鈍化する悲観シナリオにおいても、理論株価は1,518円に留まります。これは、金利上昇や資本コストの増大という外部環境の変化に対して、現在の株価水準が一定の耐性を持っていることを示しています。しかし、割引率の変動は理論株価の分母に直結するため、マクロ経済環境の変化に伴いリスクプレミアムが急騰した場合には、理論株価がさらに押し下げられる要因となる点には留意が必要です。

景気変動の影響

EPS成長率を1.0%(悲観)から11.0%(楽観)の間で推計した結果、理論株価には最大で約765円の幅が生じています。業務用食品卸を主軸とする同社の事業特性上、外食需要の動向やインフレに伴う価格転嫁の成否がEPS成長率に大きく寄与します。基本シナリオの成長率6.0%を維持できるか、あるいは楽観シナリオの11.0%へ加速できるかが、株価のアップサイド(上昇余地)を決定付ける鍵となります。一方で、成長率が1.0%まで低迷する厳しい景況感においても、現在株価を上回る理論値が算出されたことは、資産背景や収益基盤の安定性を反映していると考えられます。

投資判断への示唆

以上のシナリオ分析に基づくと、株式会社トーホーの現在の株価1,405円は、将来の成長期待が著しく低い、あるいは過度にリスクを織り込んだ水準にあると解釈することができます。投資家は、同社が今後「基本シナリオ」で想定される年率6.0%の成長を持続可能かどうか、また市場が現在懸念しているリスク要因(物流コストの上昇や個人消費の減退など)が「悲観シナリオ」以上に深刻なものになるかどうかを精査する必要があります。本分析は一定の前提に基づいた理論値であり、実際の市場環境の変化により大きく変動する可能性があることを踏まえ、多角的な視点から検討されることが推奨されます。

限界利益分析(CVP分析)

高低点法による費用構造の推定

売上高が最大の年度と最小の年度を比較し、総費用(売上高−営業利益)の変化から変動費率と固定費を推定します。

推定変動費率
84.3%
売上高に対する変動費の割合
推定限界利益率
15.7%
1 − 変動費率
推定固定費
33,007
百万円
基準: 2026年 1月期 連結(売上高 260,000 百万円)と 2021年 1月期 連結(売上高 185,000 百万円)の比較

年度別 限界利益指標

年度 売上高 限界利益 限界利益率 損益分岐点 安全余裕率 経営レバレッジ
17年 1月期 213,000 33,512 15.7% 209,788 1.5% 11.56倍
17年 1月期 209,834 33,014 15.7% 209,788 0.0% 11.48倍
18年 1月期 208,500 32,804 15.7% 209,788 -0.6% 13.67倍
18年 1月期 207,000 32,568 15.7% 209,788 -1.4% 18.09倍
18年 1月期 207,631 32,667 15.7% 209,788 -1.0% 17.77倍
19年 1月期 220,000 34,613 15.7% 209,788 4.6% 19.23倍
19年 1月期 217,666 34,246 15.7% 209,788 3.6% 20.92倍
20年 1月期 230,000 36,187 15.7% 209,788 8.8% 25.85倍
20年 1月期 231,266 36,386 15.7% 209,788 9.3% 25.39倍
21年 1月期 185,000 29,107 15.7% 209,788 -13.4% -
21年 1月期 186,000 29,264 15.7% 209,788 -12.8% -
21年 1月期 186,217 29,298 15.7% 209,788 -12.7% -
22年 1月期 190,000 29,893 15.7% 209,788 -10.4% -
22年 1月期 188,000 29,579 15.7% 209,788 -11.6% -
22年 1月期 188,567 29,668 15.7% 209,788 -11.3% -
23年 1月期 201,000 31,624 15.7% 209,788 -4.4% 26.35倍
23年 1月期 207,000 32,568 15.7% 209,788 -1.4% 15.51倍
23年 1月期 212,000 33,355 15.7% 209,788 1.0% 11.50倍
23年 1月期 215,572 33,917 15.7% 209,788 2.7% 9.29倍
24年 1月期 223,000 35,085 15.7% 209,788 5.9% 7.80倍
24年 1月期 239,000 37,603 15.7% 209,788 12.2% 5.79倍
24年 1月期 247,000 38,861 15.7% 209,788 15.1% 4.98倍
24年 1月期 244,930 38,536 15.7% 209,788 14.3% 4.93倍
25年 1月期 246,000 38,704 15.7% 209,788 14.7% 5.30倍
25年 1月期 246,465 38,777 15.7% 209,788 14.9% 5.17倍
26年 1月期 260,000 40,907 15.7% 209,788 19.3% 5.18倍
26年 1月期 259,747 40,867 15.7% 209,788 19.2% 5.20倍
売上高と損益分岐点売上高の推移18億20億22億24億26億17181921222323242526売上高(百万円)損益分岐点(百万円)
安全余裕率と経営レバレッジの推移-20.0-10.00.010.020.030.0171819212223232425260安全余裕率(%)経営レバレッジ(倍)
直近年度の損益分岐点分析(2026年 1月期 連結)
売上高
259,747
百万円
損益分岐点
209,788
百万円
安全余裕率
19.2%
適度な安全余裕
経営レバレッジ
5.20倍
高い経営リスク

費用構造の評価

株式会社トーホーの費用構造は、推定変動費率84.3%、推定固定費33,007百万円となっており、典型的な「変動費型」の事業特性を示しています。限界利益率が15.7%と比較的低水準に留まるのは、業務用食品卸売という業態上、売上原価(仕入コスト)が大きな比重を占めるためです。このような構造下では、売上の増加が直接的に利益を押し上げる力は限定的ですが、一方で固定費の負担が極端に重いわけではないため、売上が損益分岐点を下回った際の赤字幅を急激に拡大させにくいという特徴があります。しかし、本分析の推移を見ると、コロナ禍の影響を強く受けた2021年1月期から2022年1月期にかけては売上の減少が利益を大きく圧迫しており、仕入価格の変動や物流コストなどの外部要因に収益が左右されやすい構造と言えます。

損益分岐点と安全余裕率

損益分岐点売上高は209,788百万円と推定されます。過去の推移を見ると、2021年1月期から2023年1月期(一部)にかけては売上高がこの水準を下回り、安全余裕率がマイナス(最低値-13.4%)に陥るなど、厳しい経営環境にありました。しかし、2024年1月期には売上高が244,930百万円まで回復し、安全余裕率は14.3%まで改善しています。さらに2026年1月期の予測値では、売上高260,000百万円に対し、安全余裕率は19.3%に達する見込みです。一般に目安とされる30%には届かないものの、損益分岐点を大きく上回る水準まで回復しており、収益の安定性は着実に高まっていると評価できます。

経営レバレッジとリスク

経営レバレッジは、損益分岐点付近で20倍を超える極めて高い数値を示していましたが、直近の2024年1月期(実績)では4.93倍、2026年1月期の予測では5.18倍程度で推移しています。これは、売上高が1%増減した際に、営業利益が約5%変動することを意味します。過去の10倍を超える水準と比較すると、利益の変動リスク(感応度)は沈静化しており、事業が安定期に入りつつあることを示唆しています。ただし、依然として5倍程度のレバレッジがかかっているため、外食需要の動向や物価変動による売上高の微増減が、最終的な利益に一定の振れ幅をもたらすリスクについては留意が必要です。

投資判断への示唆

本分析の結果から、株式会社トーホーはコロナ禍による業績低迷期を脱し、現在は損益分岐点を安定的に上回るフェーズに移行していることが読み取れます。2026年1月期に向けた売上高の増加予測に伴い、安全余裕率の向上と利益の積み増しが期待される状況です。一方で、限界利益率が15.7%と一定であると仮定した場合、利益成長の鍵は「売上高の拡大」または「仕入・物流の効率化による変動費率の抑制」に集約されます。投資家の皆様においては、同社が掲げる成長戦略が売上高をどこまで伸長させられるか、またインフレ下において変動費率(84.3%)をいかに維持・改善できるかが、今後の収益性を評価する上での重要な指標となるでしょう。

⚠️ 注意: 本分析は高低点法による推定値です。実際の変動費・固定費は有価証券報告書の費用明細と異なる場合があります。 費用構造が大きく変化した期間を含む場合、推定精度が低下する可能性があります。投資判断の際は他の指標と合わせてご確認ください。

デュポン分析(ROE分解)

ROEの3要素分解(デュポン分析)

ROE = 純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ に分解し、収益性の源泉を可視化します。

年度 純利益率(%) × 総資産回転率(回) × 財務レバレッジ(倍) = ROE(%)
17年 1月期 0.61 × 2.750 × 3.32 = 0.06
18年 1月期 0.53 × 2.533 × 3.61 = 0.05
19年 1月期 0.41 × 2.465 × 3.86 = 0.04
20年 1月期 0.24 × 2.535 × 3.93 = 0.02
21年 1月期 -2.22 × 2.225 × 4.46 = -0.22
22年 1月期 0.00 × 2.297 × 4.35 = 0.00
23年 1月期 0.20 × 2.301 × 4.40 = 0.02
24年 1月期 0.99 × 2.526 × 3.88 = 0.10
25年 1月期 1.79 × 2.785 × 3.39 = 0.17
26年 1月期 1.81 × 2.696 × 3.36 = 0.16
デュポン分析:ROEの3要素推移-3.0%-2.0%-1.0%0.0%1.0%2.0%1719212325260純利益率(%)ROE(%)
総資産回転率と財務レバレッジの推移2.002.503.003.504.004.50171921232526総資産回転率(回)財務レバレッジ(倍)
直近年度のROE構成(2026年 1月期 連結)
純利益率
1.81%
収益性
×
総資産回転率
2.696回
効率性
×
財務レバレッジ
3.36倍
借入で資本効率を236%ブースト
=
ROE
0.16%
株主資本利益率
📊 ROE変動の主因: 直近の変動は主に「総資産回転率」の変化によるものです。資産の活用効率の変化がROEに影響しています。

ROEの質の評価

株式会社トーホーのROE(自己資本利益率)は、2021年1月期のマイナス圏(-0.22)を底として、直近の2025年1月期予想では0.17(17%相当)、2026年1月期には0.16(16%相当)と、劇的な回復と改善を見せています。このROE向上の内訳をデュポン分析で分解すると、過去(2017年〜2020年)は「低い純利益率(0.24%〜0.61%)を高い財務レバレッジ(3.32倍〜3.93倍)で補う」構造でした。

しかし、直近の予測データでは、純利益率が1.8%前後まで上昇しており、ROE向上の主因が「収益性の改善(純利益率の上昇)」と「資産効率の回復(総資産回転率の上昇)」に移っています。財務レバレッジは2021年の4.46倍から3.3倍台へと抑制傾向にあり、借入金に過度に依存しない「質の高いROE」への転換が進んでいると評価できます。

財務レバレッジの影響

同社の財務レバレッジは、コロナ禍の影響を強く受けた2021年1月期に4.46倍まで上昇しました。これは業績悪化に伴う自己資本の毀損、あるいは手元流動性確保のための負債増が要因と考えられます。一般的にレバレッジの上昇はROEを押し上げる効果がありますが、当時は純利益率がマイナスであったため、逆に赤字幅を増幅させるリスクとして作用していました。

その後、2024年1月期以降は3.3倍〜3.8倍程度で推移しています。卸売業という業態特有の薄利多売の構造上、レバレッジが3倍を超える水準は一般的ではありますが、同社は収益性の向上に伴い、過度なレバレッジに頼らずとも高いROEを維持できる局面に入っています。財務健全性を高めつつ、資本効率を維持している点は、リスク管理の観点からポジティブな変化と言えるでしょう。

トレンド分析

過去10年の推移を辿ると、明確な「V字回復と構造変化」が読み取れます。

  1. 停滞期(2017-2020年): 純利益率が0.6%以下で低迷し、総資産回転率も緩やかに低下。ROEは微増減を繰り返す低水準な状態でした。
  2. 危機期(2021-2022年): パンデミックにより純利益率が大幅悪化。資産回転率も2.2倍台まで落ち込み、収益・効率の両面で苦戦を強いられました。
  3. 躍進期(2024年以降): 2024年1月期から利益率が0.99%、2025年予測では1.79%と急改善。さらに主因とされる総資産回転率も2.78倍(2025年予測)と過去最高水準まで回復しています。
特に総資産回転率の改善は、不採算事業の整理や在庫管理の適正化など、オペレーションの効率化が成功していることを示唆しています。

投資判断への示唆

デュポン分析の結果から、株式会社トーホーは単なる「コロナ禍からの復旧」を超え、以前よりも高い収益力を備えた企業体へ変貌を遂げつつあることが分かります。かつては0.5%程度だった純利益率が1.8%まで引き上げられたことは、同社の収益構造における損益分岐点が下がり、レバレッジを抑えながらも高水準のROEを創出できるようになったことを意味します。

今後は、この向上した純利益率と高い資産回転率が持続可能なのか、あるいは原材料高や物流コストの上昇が再びマージンを圧迫しないかが注視すべきポイントとなります。現在のROE水準は過去と比較して極めて高い位置にありますが、これが構造的な変化によるものか、一時的な市況によるものかを精査することが、投資判断における重要な鍵となります。

⚠️ 注意: デュポン分析の数値はIRBankから取得した財務データに基づいています。 会計基準(日本基準/IFRS)の違いにより、株主資本の定義が異なる場合があります。

借金が利益に与える影響分析

有利子負債の概要

項目 説明
有利子負債 185億 銀行借入・社債等の利息付き負債
推定金利 1.50% 営業利益と経常利益の差から推定
推定支払利息 3億 有利子負債 × 推定金利
利息 / 純利益 比率 5.9% 純利益に対する利息負担の大きさ
推定実効税率 41.3% 1 − (純利益 / 経常利益) から推定

「もし借金がなかったら」年度別シミュレーション

有利子負債による支払利息を除外した場合の仮想利益を試算しています。

年度 有利子負債 推定利息 経常利益
実績
経常利益
借金なし
純利益
実績
純利益
借金なし
ROE
実績
ROE
借金なし
レバレッジ
効果
2017/01 207億 3億 29億 32億 13億 14億 5.56% 3.26% +2.30%pt
2018/01 262億 4億 24億 28億 11億 13億 4.82% 2.61% +2.21%pt
2019/01 310億 60百万 17億 18億 9億 9億 3.89% 1.72% +2.17%pt
2020/01 299億 4億 15億 19億 6億 9億 2.38% 1.63% +0.75%pt
2021/01 339億 5億 -29億 -24億 -41億 -37億 -21.98% -7.12% -14.86%pt
2022/01 307億 5億 1億 6億 0百万 3億 0.00% 0.65% -0.65%pt
2023/01 268億 4億 14億 18億 4億 7億 2.02% 1.46% +0.55%pt
2024/01 214億 3億 46億 49億 22億 24億 9.66% 5.33% +4.34%pt
2025/01 185億 3億 75億 78億 44億 46億 16.88% 10.24% +6.64%pt
2026/01 185億 3億 80億 83億 47億 49億 16.36% 10.29% +6.07%pt
純利益推移: 実績 vs 借金なしシミュレーション-60億-40億-20億0百万20億40億60億2017/012019/012021/012023/012025/012026/010実績純利益借金なし純利益ROE推移: 実績 vs 借金なしシミュレーション-30.0%-20.0%-10.0%0.0%10.0%20.0%2017/012019/012021/012023/012025/012026/010実績ROE借金なしROE
レバレッジ効果の評価(直近年度)
借金が利益を増やしている(レバレッジ効果あり)
実績ROE
16.36%
借金なしROE
10.29%
レバレッジ効果
+6.07%pt

事業利益率が借入金利を上回っており、借金によるレバレッジが株主リターン(ROE)を押し上げています。

借金の利益インパクト

直近の2026年1月期の予測データに基づくと、株式会社トーホーの有利子負債は185億円であり、そこから推定される支払利息は約3億円です。この利息負担が純利益(47億円)に与える比率は5.9%となっており、現在の収益力に対して利息支払いが利益を圧迫している度合いは限定的と言えます。もし借金が全くなかった場合、純利益は実績より2億円多い49億円になると推定されますが、これは税引後の利息負担分が利益に還元されるためです。現状、同社は安定した収益基盤を背景に、利息コストを十分に上回る利益を計上できている状態にあります。

レバレッジ効果の評価

財務レバレッジの効果をROE(自己資本利益率)で比較すると、直近の2026年1月期では実績ROE 16.36%に対し、借金がないと仮定したROEは10.29%にとどまります。この差である「+6.07%pt」がレバレッジ効果であり、借入金を利用することで株主リターンを大きく押し上げていることが分かります。 経年変化を見ると、コロナ禍の影響を強く受けた2021年1月期にはレバレッジ効果が-14.86%ptと大きくマイナスに作用し、借金が赤字幅を拡大させる要因となっていました。しかし、業績が回復した2024年1月期以降は再びプラスの効果が顕著となっており、現在は「攻めの財務構造」として機能しています。

財務戦略の考察

同社の有利子負債は2021年1月期の339億円をピークに、直近では185億円まで圧縮が進んでいます。推定金利1.50%という低水準な調達コストに対し、事業を通じて得られる利益率(ROEベースで10%超)が大きく上回っているため、負債を活用した経営は合理的であると評価できます。 食品卸売業界は薄利多売の構造になりやすく、一定の負債を利用して総資産を拡大し、売上規模を追う戦略が一般的です。同社の場合、パンデミックを乗り越えて負債を削減しつつ、高い資本効率を実現している現在の水準は、同業他社と比較してもバランスの取れた健全な財務戦略を歩んでいるものと推察されます。

投資家へのポイント

本分析から、投資家が注目すべきポイントは以下の2点に集約されます。 第一に、現在の高いROE(約16%)は財務レバレッジによって「嵩上げ」されている側面がある点です。利益成長が続く局面では非常に強力な武器となりますが、万が一利益が大幅に減少した場合には、レバレッジが逆方向に働き、ROEが急降下するリスクを内包しています。 第二に、金利上昇への耐性です。現在は推定1.50%という低金利の恩恵を受けていますが、今後の市場金利の上昇が支払利息を増大させ、レバレッジ効果を減退させる可能性があります。 現在の高い資本効率を維持できるか、あるいはさらなる負債圧縮を進めて財務健全性を高めるか、同社の次なる資本政策の舵取りが投資判断の重要な鍵となります。

⚠️ 注意事項: 本分析は営業利益と経常利益の差額から支払利息を推定しており、実際の支払利息とは異なる場合があります。 営業外収支には受取利息・配当金・為替差損益等も含まれるため、あくまで参考値としてご活用ください。 また、借金を全額返済した場合の実際の影響は資金調達構造の変化を伴うため、単純なシミュレーションとは異なります。

ROIC分析(投下資本利益率)

ROIC(投下資本利益率)推移

ROIC = NOPAT(税引後営業利益)÷ 投下資本(株主資本+有利子負債)。資本コスト(WACC)を上回れば価値を創造していると評価できます。

年度 NOPAT(百万円) 投下資本(百万円) ROIC(%) WACC(%) スプレッド(%pt)
17年 1月期 1,450 44,100 3.29 3.94 -0.66
18年 1月期 1,200 49,007 2.45 3.53 -1.08
19年 1月期 931 54,157 1.72 3.05 -1.33
20年 1月期 700 52,953 1.32 3.33 -2.01
21年 1月期 -2,730 52,587 -5.19 2.94 -8.13
22年 1月期 -350 49,731 -0.70 3.11 -3.81
23年 1月期 600 46,676 1.29 3.26 -1.98
24年 1月期 2,250 44,196 5.09 3.85 +1.24
25年 1月期 4,283 44,571 9.61 4.34 +5.27
26年 1月期 4,641 47,240 9.82 4.49 +5.34
ROIC vs WACC推移-10.0%-5.0%0.0%5.0%10.0%1719212325260ROIC(%)WACC(%)
直近年度のROIC評価(2026年 1月期 連結)
ROIC
9.82%
投下資本利益率
WACC
4.49%
加重平均資本コスト
=
スプレッド
+5.34%pt
高い価値創造力

ROIC-WACCスプレッド分析

価値創造の指標となるROIC-WACCスプレッドの推移を見ると、同社は長期にわたる「価値破壊」のフェーズから脱却し、強力な「価値創造」のフェーズへ移行したことが鮮明です。2017年から2023年まではスプレッドがマイナス圏で推移しており、資本コストを上回る利益を生み出せていない状態でした。特に2021年のスプレッドは-8.13%ptと深刻な乖離を見せました。しかし、2024年には+1.24%ptとプラス転換を果たし、2025年以降は+5%ptを超える大幅なプラス幅が予測されています。この要因としては、外食需要の回復に伴うNOPATの増加に加え、有利子負債のコントロールや株主資本の最適化によってWACCを3〜4%台に安定させていることが挙げられます。リスクプレミアムを考慮した資本コストを大幅に上回るリターンを創出できる体質へと、構造的な変革を遂げた可能性を示唆しています。

投資家へのポイント

投資判断における重要なポイントは、この高いROIC水準の「持続性」と「資本投下の行方」です。 第一に、2025年・2026年予測に見られる9%台のROICは、過去の推移と比較して非常に高い目標設定です。これが一時的な需要回復によるものか、あるいは物流効率化や採算重視の受注戦略といった構造的な収益力の向上によるものかを見極める必要があります。 第二に、投下資本の推移です。2024年期までは資本を絞り込むことで効率を高めてきましたが、2026年期にかけては投下資本が再び増加(47,240百万円)する計画となっています。この追加投資が、将来のNOPAT増益にどれだけ寄与し、スプレッドを維持できるかが焦点となります。 現在は「価値創造企業」への転換期として市場から評価されやすい局面ですが、予測値の達成精度と、業界環境の変化に対する耐性を注視することが推奨されます。

⚠️ 注意: WACCは簡易推定値です(株主資本コスト7%想定、負債コストは推定支払利息から算出)。 実際のWACCはCAPMや市場データに基づくより精緻な計算が必要です。

ROIC逆ツリー分析

ROIC逆ツリー分解

ROIC = NOPATマージン × 投下資本回転率 に分解し、収益性の改善ドライバーを特定します。

年度 売上高(百万円) NOPATマージン(%) × 投下資本回転率(回) = ROIC(%)
17年 1月期 213,000 0.68 × 4.830 = 3.29
18年 1月期 208,500 0.58 × 4.254 = 2.45
19年 1月期 220,000 0.42 × 4.062 = 1.72
20年 1月期 230,000 0.30 × 4.343 = 1.32
21年 1月期 185,000 -1.48 × 3.518 = -5.19
22年 1月期 190,000 -0.18 × 3.821 = -0.70
23年 1月期 201,000 0.30 × 4.306 = 1.29
24年 1月期 223,000 1.01 × 5.046 = 5.09
25年 1月期 246,000 1.74 × 5.519 = 9.61
26年 1月期 260,000 1.79 × 5.504 = 9.82
ROIC逆ツリー: NOPATマージンと投下資本回転率-2.000.002.004.006.001719212325260NOPATマージン(%)投下資本回転率(回)
ROIC逆ツリー分解(2026年 1月期 連結)
NOPATマージン
1.79%
NOPAT 4,641百万円 ÷ 売上 260,000百万円
×
投下資本回転率
5.504回
売上 260,000百万円 ÷ IC 47,240百万円
=
ROIC
9.82%
📊 ROIC変動の主因: 直近の変動は主に「NOPATマージン」の変化によるものです。本業の収益力の変化がROICに直結しています。

ROIC変動要因の分解

株式会社トーホーのROIC(投下資本利益率)を分析すると、2021年1月期の-5.19%を底として、急激なV字回復を遂げていることが分かります。2025年1月期には9.61%、2026年1月期には9.82%と、過去10年で最高水準に達する見通しです。

この変動の主因は「NOPATマージン」の劇的な改善にあります。2017年1月期から2020年1月期までは0.3%〜0.6%台という低空飛行が続いていましたが、直近の2025年1月期予測では1.74%と、以前の約3倍から5倍の水準にまで跳ね上がっています。一方で、「投下資本回転率」も2021年1月期の3.518回から2025年1月期の5.519回へと着実に上昇しており、収益性と効率性の双方がROICを押し上げる「両輪の改善」が見て取れます。特に、マージンの拡大がROICの絶対値を大きく押し上げている点が特徴的です。

改善ドライバーの特定

今後のROICをさらに維持・向上させるための焦点は、以下の2点に集約されます。

  • NOPATマージンの維持と深化: 卸売業という業態柄、薄利多売の構造になりやすい中、1.7%台のマージンを確保できている要因(物流コストの適正化、不採算取引の見直し、高付加価値商品の販売比率向上など)が、一過性のものでなく構造的な強みとして定着しているかが重要です。
  • 資本効率の最適化: 投下資本回転率は5.5回前後と、過去の水準(4回台)と比較して非常に高いレベルにあります。これは、売上高の拡大に対して投下資本(在庫や売掛金、設備投資)をいかに抑制できているかを示しています。さらなる改善には、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した在庫管理の高度化や、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)の短縮が鍵となります。

投資家へのポイント

本分析から読み取れる経営の方向性は、かつての「規模追及・低利益率」からの脱却と、資本効率を重視した「高付加価値型経営」への転換です。

  • 収益構造の変化: 2024年1月期以降、NOPATマージンが1%の壁を突破し、安定的に推移している点は、同社の収益基盤が一段上のフェーズに移行した可能性を示唆しています。
  • 資本効率の評価: 投下資本回転率が過去最高水準にあることは、資産を極めて効率的に活用して売上を生み出していることを意味します。この効率性が限界点に近いのか、あるいはさらなる伸び代があるのかが今後の注目点です。

2026年1月期に向けたROIC 9.82%という目標値は、資本コストを十分に上回る水準であると考えられます。この高い資本効率が長期的に持続可能なものか、あるいは市場環境の変化によってマージンが圧縮されるリスクはないか、今後の業績推移とマージンの推移を注視することが重要です。

EVA(経済的付加価値)分析

EVA(経済的付加価値)推移

EVA = (ROIC − WACC) × 投下資本。資本コストを超えるリターンを生み出し、株主価値を真に創造しているかを測定する指標です。

年度 NOPAT(百万円) 資本コスト(百万円) EVA(百万円) ROIC(%) WACC(%)
17年 1月期 1,450 1,738 -289 3.29 3.94
18年 1月期 1,200 1,730 -528 2.45 3.53
19年 1月期 931 1,652 -719 1.72 3.05
20年 1月期 700 1,763 -1,064 1.32 3.33
21年 1月期 -2,730 1,546 -4,273 -5.19 2.94
22年 1月期 -350 1,547 -1,895 -0.70 3.11
23年 1月期 600 1,522 -924 1.29 3.26
24年 1月期 2,250 1,702 549 5.09 3.85
25年 1月期 4,283 1,934 2,349 9.61 4.34
26年 1月期 4,641 2,121 2,522 9.82 4.49
EVA(経済的付加価値)推移-6000-4000-200002.0千4.0千6.0千1719212325260EVA(百万円)NOPAT(百万円)
EVA評価サマリー
直近EVA
2,522
百万円(2026年 1月期 連結)
累積EVA
-4,272
百万円(10年間合計)
価値創造評価
高い価値創造力

EVAの推移と評価

株式会社トーホーのEVA(経済的付加価値)推移を概観すると、長年続いた「価値破壊(EVAマイナス)」の局面から、劇的な「価値創造(EVAプラス)」への転換を果たしたことが鮮明に読み取れます。2017年1月期から2023年1月期までは、会計上の利益(NOPAT)が黒字の年であっても、資本コスト(WACC)を上回るリターン(ROIC)を生み出せず、株主価値を毀損する状態が続いていました。特に2021年1月期には、新型コロナウイルス感染症拡大による外食需要の減退を受け、NOPATが-2,730百万円、EVAが-4,273百万円と大きく落ち込みました。

しかし、2024年1月期にEVAが549百万円とプラスに転じて以降、その幅は急拡大しています。2025年1月期にはEVA 2,349百万円(ROIC 9.61%)、2026年1月期にはEVA 2,522百万円(ROIC 9.82%)と高い水準が予想されています。累積EVAは依然として-4,272百万円と過去の損失を相殺しきれていませんが、直近の収益性の向上は、単なる会計利益の回復に留まらず、資本効率を意識した経営へと質的に変化していることを示唆しています。

価値創造力の持続性

本分析結果から、同社の価値創造力には強い「回復力」と「成長性」が認められます。注目すべきは、WACC(加重平均資本コスト)が3%台から4.5%近辺へと上昇傾向にある中で、それを大幅に上回るROIC(投下資本利益率)を確保できている点です。2025年1月期以降のROICは9%台後半と、WACC(約4.49%)の2倍以上の水準を維持する見通しとなっており、スプレッド(ROIC - WACC)の拡大がEVAの成長を牽引しています。

NOPATが2024年1月期の2,250百万円から、2026年1月期には4,641百万円へと倍増する予測となっており、この利益成長が投下資本の増加(資本コストの増加)を十分にカバーできるかどうかが、価値創造の持続性を占う鍵となります。現状のトレンドが継続すれば、資本効率を重視した経営基盤が定着し、中長期的な企業価値向上が期待できる局面にあると評価できます。

投資家へのポイント

投資判断にあたっては、以下の3点をEVAの観点から注視することが肝要です。

  • リターンスプレッドの拡大: 2026年1月期予測において、ROIC(9.82%)とWACC(4.49%)の差は約5.33%まで拡大しています。この「稼ぐ力」が市場環境の変化(原材料費の高騰や金利動向)に対してどの程度の耐性を持っているかを確認する必要があります。
  • 累積EVAの解消プロセス: 過去の「負の遺産」である累積EVA -4,272百万円を、現在の高い価値創造ペースでいつ頃解消できるかが、長期的な株主還元の余力を見極める指標となります。
  • 資本コストの動向: WACCが徐々に上昇している点には注意が必要です。資本構成の変化や株主資本コストの上昇が、今後のEVA成長の重石にならないか、IR等を通じて経営陣の資本政策を注視すべきでしょう。

以上の分析は提供されたデータに基づくものであり、将来の成果を保証するものではありません。最終的な投資判断は、市場環境や同社の事業戦略を総合的に勘案し、投資家ご自身の責任で行ってください。

⚠️ 注意: EVAは簡易推定値です。WACCは株主資本コスト7%想定に基づく簡易計算であり、 正確なEVA算出にはβ値やリスクフリーレートの精緻な設定が必要です。

営業レバレッジ分析

営業レバレッジ度(DOL)推移

DOL = 営業利益変化率 ÷ 売上高変化率。売上が1%変化したとき営業利益が何%変化するかを示し、固定費比率の高さ(経営リスク)を表します。

平均DOL
16.24倍
有効年度の平均
リスク評価
高リスク
DOL≤2: 低 / 2-5: 中 / 5+: 高
年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 営業利益率(%) 売上変化率(%) 営業利益変化率(%) DOL(倍)
17年 1月期 213,000 2,900 1.36 - - -
17年 1月期 209,834 2,877 1.37 -1.49 -0.79 0.53
18年 1月期 208,500 2,400 1.15 -0.64 -16.58 26.08
18年 1月期 207,000 1,800 0.87 -0.72 -25.00 34.75
18年 1月期 207,631 1,838 0.89 0.30 2.11 -
19年 1月期 220,000 1,800 0.82 5.96 -2.07 -0.35
19年 1月期 217,666 1,637 0.75 -1.06 -9.06 8.54
20年 1月期 230,000 1,400 0.61 5.67 -14.48 -2.55
20年 1月期 231,266 1,433 0.62 0.55 2.36 4.28
21年 1月期 185,000 -3,900 -2.11 -20.01 -372.16 18.60
21年 1月期 186,000 -3,200 -1.72 0.54 17.95 33.21
21年 1月期 186,217 -3,141 -1.69 0.12 1.84 -
22年 1月期 190,000 -500 -0.26 2.03 84.08 41.39
22年 1月期 188,000 -450 -0.24 -1.05 10.00 -9.50
22年 1月期 188,567 -446 -0.24 0.30 0.89 -
23年 1月期 201,000 1,200 0.60 6.59 369.06 -
23年 1月期 207,000 2,100 1.01 2.99 75.00 25.13
23年 1月期 212,000 2,900 1.37 2.42 38.10 15.77
23年 1月期 215,572 3,649 1.69 1.68 25.83 15.33
24年 1月期 223,000 4,500 2.02 3.45 23.32 6.77
24年 1月期 239,000 6,500 2.72 7.17 44.44 6.19
24年 1月期 247,000 7,800 3.16 3.35 20.00 5.98
24年 1月期 244,930 7,819 3.19 -0.84 0.24 -0.29
25年 1月期 246,000 7,300 2.97 0.44 -6.64 -
25年 1月期 246,465 7,496 3.04 0.19 2.68 -
26年 1月期 260,000 7,900 3.04 5.49 5.39 0.98
26年 1月期 259,747 7,853 3.02 -0.10 -0.59 -
営業レバレッジ度(DOL)と営業利益率の推移-10.00.010.020.030.040.050.0171819212223232425260DOL(倍)営業利益率(%)

費用構造の特徴

株式会社トーホーの分析期間における平均DOL(営業レバレッジ度)は16.24倍と極めて高く、典型的な「固定費型」の費用構造を有しています。一般的に、DOLが5倍を超えると高リスクと判定されますが、同社の数値はそれを大きく上回っています。これは、業務用食品卸売という業態において、物流拠点(倉庫)の維持費、車両費、人件費といった売上高の増減に関わらず発生する固定費の比率が高いことを示唆しています。
特に、営業利益率が0%台から3%台と低水準で推移している時期において、わずかな売上高の変化が利益を大きく増幅、あるいは減退させる構造となっています。例えば、2021年1月期のように売上高が20.01%減少した際、営業利益が372.16%も減少(赤字転落)した点は、この高レバレッジ構造がネガティブに作用した典型的な例と言えます。

景気変動への感応度

DOLの推移を見ると、業績のボラティリティ(振れ幅)が非常に大きいことが分かります。外食需要が回復基調にあった2023年1月期において、売上高が1.68%増加しただけで営業利益が25.83%増加(DOL 15.33倍)するなど、増収局面では利益が飛躍的に伸びる「ポジティブ・レバレッジ」が働いています。
一方で、2021年1月期前後の数値が示す通り、不況期や外部要因による売上減少時には、利益が急激に悪化するリスクを内包しています。2024年1月期以降は営業利益率が3%台まで向上し、DOLも5.98倍〜6.77倍程度まで落ち着きを見せていますが、依然として製造業や他の小売業と比較しても景気変動に対する感応度は高く、市場環境の変化がダイレクトに最終利益へ反映されやすい特性を持っています。

投資家へのポイント

投資判断にあたっては、以下の2点を営業レバレッジの観点から注視する必要があります。

第一に、「増収時の利益爆発力」です。2024年1月期のように売上高が3%〜7%伸長するだけで、利益が20%〜40%上振れる可能性があり、売上高の成長予測が利益予想に対して極めて重要な意味を持ちます。
第二に、「損益分岐点の位置」です。高DOLは固定費負担が重いことを意味するため、売上高が一定水準を下回った際の利益の毀損スピードは速くなります。2026年1月期の予測値ではDOLが0.98倍と大幅に低下する見通しとなっており、これが収益構造の改善(固定費の削減や変動費化)によるものか、あるいは利益水準の上昇に伴う相対的なレバレッジの低下によるものかを見極めることが肝要です。

同社は高いレバレッジを活かして効率的に利益を伸ばせるフェーズにあるのか、あるいは売上減少リスクに対して脆弱な状態にあるのか、今後の売上高変化率の推移とともに慎重な検討が求められます。

⚠️ 注意: 営業レバレッジ度は前年比の変化率から算出しており、売上や利益が急変する年度では極端な値になることがあります。 複数年の平均値での評価を推奨します。

持続的成長率分析(SGR)

持続的成長率(SGR)推移

SGR = ROE × 内部留保率。外部からの資金調達なしで持続可能な売上成長率を示します。実際の成長率と比較することで、成長の持続可能性を評価します。

年度 ROE(%) 配当性向(%) 内部留保率(%) SGR(%) 実際成長率(%)
17年 1月期 5.56 推定30% 70.0 3.89 -
18年 1月期 4.82 推定30% 70.0 3.37 -2.11
19年 1月期 3.89 推定30% 70.0 2.72 5.52
20年 1月期 2.38 推定30% 70.0 1.67 4.55
21年 1月期 -21.98 推定30% 70.0 -15.38 -19.57
22年 1月期 0.00 推定30% 70.0 0.00 2.70
23年 1月期 2.02 37.4 62.6 1.26 5.79
24年 1月期 9.66 26.9 73.1 7.07 10.95
25年 1月期 16.88 30.0 70.0 11.82 10.31
26年 1月期 16.36 35.0 65.0 10.64 5.69
持続的成長率(SGR)vs 実際の売上成長率-20.0%-10.0%0.0%10.0%20.0%1719212325260SGR(%)実際成長率(%)
ROEと配当性向の推移-30.0%-20.0%-10.0%0.0%10.0%20.0%30.0%40.0%1719212325260ROE(%)配当性向(%)
持続的成長率の評価(2026年 1月期 連結)
ROE
16.36%
×
内部留保率
65.0%
=
SGR
10.64%
📊 成長持続性の評価: 実際の成長率がSGR範囲内で、健全な成長ペース

SGR水準の評価

株式会社トーホーの持続的成長率(SGR)は、過去数年間で劇的な変化を遂げています。2017年1月期から2020年1月期にかけては、ROEが2〜5%台と低位で推移していたため、SGRも1.67%〜3.89%という低水準に留まっていました。しかし、コロナ禍による2021年1月期の赤字転落を経て、直近の2024年1月期以降はROEが急改善(9.66%から2025年予測16.88%)しています。このROEの大幅な上昇が主因となり、SGRは10%を超える水準まで跳ね上がりました。配当性向を30〜35%程度で安定させつつ、内部留保を厚くすることで、外部資金に頼らずとも年率10%以上の成長を維持できる財務的ポテンシャルを確保したと評価できます。

成長の持続可能性

実際の成長率とSGRを比較すると、同社の成長の健全性が見て取れます。2024年1月期は実際の成長率(10.95%)がSGR(7.07%)を上回り、積極的な拡大局面であったことが示唆されますが、2025年1月期以降はSGRが10〜11%台に対し、実際の成長率は10.31%、5.69%(予測)とSGRの範囲内に収まる見通しです。これは、事業拡大に必要な資金を内部留保で十分に賄えることを意味しており、無理な借入や増資をせずとも持続可能な「自律的成長」のフェーズに入ったと言えます。特に2026年1月期は、SGR(10.64%)に対して予測成長率(5.69%)に余裕があるため、財務基盤はさらに強化される見込みです。

投資家へのポイント

投資判断における注目点は以下の3点です。第一に、ROEが16%超という高い水準を維持できるかという点です。卸売業という薄利多売の構造下で、この資本効率が継続されるかが中長期的な成長の鍵となります。第二に、余剰資金の使途です。2026年予測のようにSGRが実際成長率を大きく上回る場合、手元資金に余裕が生じます。これをさらなる成長投資(M&A等)に充てるのか、あるいは配当性向の引き上げといった追加の株主還元に回すのかが焦点となります。第三に、外部環境の変化によるボラティリティです。2021年1月期のような急激な業績悪化のリスクを、現在の高ROE体質がどの程度吸収できるか、将来の不確実性を踏まえた慎重な分析が求められます。

⚠️ 注意: 配当データが取得できない年度は内部留保率70%(配当性向30%)を仮定しています。 実際の配当政策と異なる場合があります。

インタレストカバレッジレシオ推移

インタレストカバレッジレシオ推移

ICR = 営業利益 ÷ 支払利息。営業利益で利息の何倍を賄えるかを示す、借入金利負担の安全性指標です。

直近ICR
∞(利息負担なし)
>10: 極めて安全 / 3-10: 安全 / 1-3: 要注意 / <1: 危険
安全性評価
極めて安全
年度 営業利益(百万円) 推定支払利息(百万円) ICR(倍) 有利子負債(百万円) 有利子負債比率(%) 推定借入金利(%)
17年 1月期 2,900 - 20,736 26.8 -
18年 1月期 2,400 - 26,188 31.8 -
19年 1月期 1,800 60 30.0 31,026 34.8 0.19
20年 1月期 1,400 - 29,885 32.9 -
21年 1月期 -3,900 - 33,930 40.8 -
22年 1月期 -500 - 30,727 37.1 -
23年 1月期 1,200 - 26,827 30.7 -
24年 1月期 4,500 - 21,427 24.3 -
25年 1月期 7,300 - 18,505 20.9 -
26年 1月期 7,900 - 18,520 19.2 -
インタレストカバレッジレシオと有利子負債比率の推移15.020.025.030.035.040.045.0171921232526ICR(倍)有利子負債比率(%)

利払い安全性の評価

株式会社トーホーのインタレストカバレッジレシオ(ICR)を分析すると、財務的な利払い能力は「極めて安全」な水準にあると評価できます。データ上の多くの年度でICRが「∞(無限大)」と算出されているのは、支払利息を上回る営業外収益が発生しているか、あるいは金利負担が営業利益に対して極めて軽微であることを示唆しています。特筆すべきは、2021年1月期から2022年1月期にかけて、新型コロナウイルスの影響により営業赤字(-3,900百万円、-500百万円)を計上したものの、その後は急速なV字回復を遂げている点です。2024年1月期の営業利益は4,500百万円、さらに2026年1月期には7,900百万円まで拡大する見通しであり、利益成長に伴って利払いに対する安全余裕度はさらに強固なものとなっています。

有利子負債の状況

有利子負債の管理状況についても、極めて健全な改善傾向が見て取れます。有利子負債残高は、コロナ禍の影響を強く受けた2021年1月期の33,930百万円(有利子負債比率40.8%)をピークに、段階的な削減が進んでいます。2025年1月期には18,505百万円、2026年1月期には18,520百万円と、ピーク時から約45%削減される見込みです。これに伴い、有利子負債比率も40.8%から19.2%へと大幅に低下しており、借入金に依存しない自己資金による経営基盤が確立されつつあります。推定支払利息が極めて低水準で推移していることから、低コストでの資金調達が維持されており、金利上昇局面においても経営への悪影響は限定的であると考えられます。

投資家へのポイント

本分析に基づき、投資家が注目すべきポイントは以下の3点です。第一に、業績の回復力と成長性です。外食産業向けの業務用食品卸を主軸とする同社にとって、厳しい経営環境を脱し、営業利益が過去最高水準へと拡大している点は高く評価されます。第二に、強固なキャッシュフロー創出力です。借入金の削減と利益拡大を同時に達成していることは、本業で稼いだ資金が着実に財務体質の強化に充てられている証左です。第三に、低リスクな財務構造です。ICRが極めて高く、有利子負債比率が20%を割り込む水準まで低下していることは、将来的な金利上昇や景気変動に対する強い耐性を示しています。これらの財務健全性を前提とした上で、今後の配当政策や成長投資への資金配分がどのように推移するかを注視することが、中長期的な投資判断の鍵となります。

※本解説は提供されたデータに基づく分析であり、投資勧誘を目的としたものではありません。最終的な投資判断は、ご自身の責任において行われますようお願いいたします。

⚠️ 注意: 支払利息は「営業利益−経常利益」から推定しています。 営業外収益が大きい企業では過小評価になる可能性があります。正確な支払利息は有価証券報告書の注記をご確認ください。

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